防 災 科 学 技 術 研 究 所 研 究 資 料 第 294 号
A Study on Strong-Motion Maps for Scenario Earthquakes in Yamasaki Fault Zone
山崎断層帯の地震を想定した 地震動予測地図作成手法の検討
January 2006
㓛刀 卓・石井 透・早川 讓・森川 信之・
小林 京子・大井 昌弘・奥村 直子
独立行政法人 防災科学技術研究所 特定プロジェクトセンター
独立行政法人防災科学技術研究所では、「地震調査研究の推進について-地震に関 する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策-」(平成 11年4月)に基づき、地震調査研究推進本部地震調査委員会により進められている
「全国を概観した地震動予測地図」の作成に資するため、平成13年4月より、特定プ ロジェクト「地震動予測地図作成手法の研究」を実施しており、その研究の一環と して震源断層を特定した地震動予測地図作成手法の検討を行ってきた。
本研究資料では、山崎断層帯の地震を想定した地震動予測地図作成に必要な検討
を実施し、その成果をとりまとめた。本検討結果は、地震調査研究推進本部地震調
査委員会が作成する「震源断層を特定した地震動予測地図」の具体的な作成事例に
資するものとして位置づけられる。
2.地震動予測地図の概略
2.1 想定する震源断層 3
2.2 強震動評価の流れ 11
3.地下構造モデルの設定
3.1 地下構造モデル設定の考え方と方針 13
3.2 対象地域の地質環境 15
3.3 伝播経路モデル 20
3.4 深部地盤構造モデル 21
3.5 浅部地盤構造モデル 50
4.震源モデルの作成
4.1 山崎断層帯の概要 59
4.2 断層モデルの作成 60
4.3 詳細な計算に用いる震源モデル 86
5.計算に用いた地震動予測手法とパラメータ
5.1 簡便法 87
5.2 詳細法(ハイブリッド合成法)について 92
6.計算結果
6.1 簡便法による強震動予測結果 107
6.2 強震動計算に用いた「深い地盤構造」(3章のまとめ)について
113
6.3 「有限差分法」による強震動予測結果 117
6.4 「統計的グリーン関数法」による強震動予測結果 127
6.5 「詳細法」(ハイブリッド合成法)による強震動予測結果 131
7.2 今後の課題 179
参考文献 181
謝辞 195
が進めている「全国を概観した地震動予測地図」の作成に資するため、平成 13 年 4 月より、特定プロジェクト「地震動予測地図作成手法の研究」を開始し、
地震動予測地図作成に必要な技術的問題に関しての研究開発、及び、地震調査 委員会及び関連する部会・分科会の指導の下に、実際の地震動予測地図作成に 関する作業を実施している。
地震動予測地図には「確率論的手法による地震動予測地図」と「シナリオ地震 による地震動予測地図」の2種類あり、前者は確率論的地震ハザードマップと も呼ばれるもので、ある一定の期間内に、ある地域が強い地震動に見舞われる 可能性を、確率を用いて予測した地図である。一般には、期間・地震動レベル・
確率のうち2つを固定し、残りの1つの分布を地図上で等値線図として示した 地図のことを言い、 後者はこれまでの地震調査委員会強震動評価部会及び強震 動予測手法検討分科会で検討されてきた予測手法を踏まえ、長期評価部会によ り地震発生の長期確率評価及び断層の形状評価がなされた地震の中で、地震発 生の確率が高い地震について、ある想定された震源モデルに対しての地震動分 布を予測した地図のことである。
本研究資料では、後者であるシナリオ地震による地震動予測地図のうち、長期 評価部会で高い確率と評価された山崎断層帯に関する検討と解析を実施した。
態、過去や将来の活動等に関する評価結果を「山崎断層帯の評価」(地震調査 委員会,2003c;以下「長期評価」という)としてまとめ、公表している。今回、
この報告を踏まえ、強震動評価を行った。
2.1 想定する震源断層
山崎断層帯は、岡山県北東部から兵庫県南東部にかけて分布する活断層帯で、
西から那岐山(なぎせん)断層帯、山崎断層帯主部、草谷断層の3つの起震断 層に区分される。
山崎断層帯主部は、岡山県勝田郡勝田町から兵庫県三木市に至る長さが約 80kmで、左横ずれが卓越する断層帯である。那岐山断層帯は、岡山県苫田(と また)郡鏡野町から岡山県勝田郡奈義(なぎ)町に至る長さが約32kmで、北側 が南側に対して相対的に隆起する断層帯である。草谷断層は、兵庫県三木市か ら兵庫県加古川市に至る長さが約13kmで、右横ずれが卓越する断層である。2005 年1月1日を起点とした今後30年間の地震発生確率は、山崎断層帯主部のうち 北西部で0.08%1%、南東部で0.03%5%、那岐山断層帯で0.07%0.1%、草 谷断層でほぼ0%と評価されており、各地震発生確率の最大値をとると、山崎断 層帯主部の南東部は、今後30年間に地震が発生する確率が我が国の主な活断層 の中では高いグループに属することになる。
本検討では、「長期評価」を参照して、各断層帯の震源断層位置を図2.1およ び図2.2のように設定した。震源断層としては、山崎断層帯主部のうち、大原断 層・土万(ひじま)断層・安富断層と南東部が同時に活動する場合(以下、モ デル1とする)、山崎断層帯主部の北西部のうち、大原断層・土万断層・暮坂 峠断層(以下、モデル2とする)、山崎断層帯主部の南東部(以下、モデル3と する)、山崎断層帯主部の南東部と草谷断層が同時に活動する場合(以下、モデル 4とする)、那岐山断層帯 (以下、モデル5とする)を想定した。各CASEの震 源断層の形状、アスペリティおよび破壊開始点の位置を図2.32.5に示す。モデ ル1については、震源断層が長大であるため、アスペリティを3つとした。ア スペリティの位置については、「長期評価」により平均的なずれの速度が比較 的大きいと推測された大原断層に対応する断層帯北西部に大きいアスペリティ
と推定される安富断層に対応する断層帯中央部と、平均的なずれの速度が比較 的大きいと推測された琵琶甲断層に対応する断層帯南東部に同規模の小さいア スペリティ(第2、第3アスペリティ)を配置した(CASE11)。破壊開始 点は、地盤増幅効果に加えてディレクティビティ効果により、瀬戸内海沿岸地 域で揺れが大きくなると予想されるCASEとして、第1アスペリティの北西 端の下隅に設定した。また、「レシピ」の改良という観点から、長大な震源断 層に対する震源断層パラメータの設定方法について検討することを目的として、
さらに、3CASE(CASE12、13、14)を試行CASEとして想 定した。モデル2については、震源断層の面積が比較的大きいため、アスペリ ティを2つとし、大原断層に対応する断層帯北西部に大きいアスペリティ(第1 アスペリティ)を、暮坂峠断層の北西端部に小さいアスペリティ(第2アスペリテ ィ)を配置した。破壊開始点は、第1アスペリティの北西端の下隅(CASE2 1)と、第2アスペリティの南東端の下隅(CASE22)の2CASE とした。モデル3については、震源断層の面積が比較的小さいため、平均的な ずれの速度が比較的大きいと推測された琵琶甲断層に対応する断層帯中央部に アスペリティを配置し、破壊開始点は、モデル1と同様の観点から、アスペリ ティの北西端の下隅とした。モデル4については、モデル3と同様に、山崎断 層帯主部の南東部の中央部に大きいアスペリティ(第1アスペリティ)を、草谷断 層の草谷付近のトレンチ調査結果等を参考に、断層の北東端部に小さいアスペ リティ(第2アスペリティ)を配置した。破壊開始点は、過去に2つの断層(帯)
が同時に活動した可能性があることから、第2アスペリティの北東端の下隅と した。モデル5については、震源断層の面積が比較的小さく、アスペリティの 位置を設定するための情報に乏しいことから、平均的なCASEとして、断層 帯中央部にアスペリティを配置し、破壊開始点をアスペリティの中央下端とし た。
まず、簡便法による地震動予測地図作成領域は評価する断層帯のほぼ中心部 に位置する山崎断層帯を中心に、西端は那岐山断層帯が評価できる範囲となる 北緯34.00度36.00度まで、東経133.0度136.0度の領域である。図2.2に山崎断 層帯・那岐山断層帯において設定された想定断層面分布図を示す。
この領域における簡便法による地震動評価を行う計算地点は国土数値情報の
3次メッシュに対応している。
一方、詳細法による地震動予測地図作成領域は、全ての断層帯を包括する矩 形領域である。領域の4隅の座標値は、
北西端:北緯35.71°, 東経133.25°
北東端:北緯35.71°, 東経135.80°
南西端:北緯34.19°, 東経133.25°
南東端:北緯34.19°, 東経135.80°
となっている(本検討では改正測量法以降の日本測地系2000を用いている)。
この領域は簡便法による地震動の事前評価を行った後に、概ね震度5強よりも 強い地震動が予測される領域を想定して設定されたものである。
この領域における詳細法による地震動評価を行う計算地点は矩形の計算領域 を1km間隔にグリッド分割した点である。具体的には、縦X方向(南北方向)155 グリッド、横(東西方向)213グリッドに分割した各点において地震動評価を行 った。上述のように詳細法では、工学的基盤で時刻歴波形が1kmグリッド、155
×213=33015点で得られるが、本検討でそれらの波形を全て表示することは出 来ない。6章では、「詳細法工学的基盤」上において計算された波形のうち、
図2.1の図面に示す岡山市役所(岡山県)・津山市役所(岡山県)・鳥取市役所
(鳥取県)・大原町役場(岡山県)・山崎町役場(兵庫県)・姫路市役所(兵 庫県)・福崎町役場(兵庫県)・三木市役所(兵庫県)・神戸市役所(兵庫県)・
大阪市役所(大阪府)のそれぞれに最も近い10評価地点について、時刻歴波形、
および減衰定数5%の擬似速度応答スペクトルを例として示すこととした。
図 2.1 山崎断層帯および那岐山断層帯の位置図
図 2.2 山崎断層帯・那岐山断層帯において設定された想定断層面分布図
図 2.3 設定断層モデル(CASE1-1 CASE1-4)
図 2.4 設定断層モデル(CASE2-1 CASE3)
図 2.5 設定断層モデル(CASE4 CASE5)
2.2 強震動評価の流れ
山崎断層帯の地震を想定した強震動評価全体の流れを以下に示す。図 2.6 には 作業内容をフローチャートにして示す。
① 「山崎断層帯の評価」(地震調査委員会,2003c;以下、「長期評価」という)
で示されたそれぞれの断層帯(山崎断層帯主部(北西部・南東部)、那岐山
(なぎせん)断層帯、草谷断層)の位置図を参考にして、想定する震源断層 モデルの位置・規模(長さ・幅)を設定した。山崎断層帯主部については、
大原断層・土万(ひじま)断層・安富断層と南東部が同時に活動する場合(モ デル1)と、大原断層・土万断層・暮坂峠(くれさかとうげ)断層(モデル 2)の場合、および山崎断層帯主部の南東部の場合(モデル3)を想定した。
草谷断層については山崎断層帯主部の南東部と同時に活動する場合(モデ ル4)を想定した。さらに、那岐山断層帯(モデル5)を想定した。モデル 2については、破壊開始点を変えた2通りの震源断層モデルを設定した(C ASE21、22)。
② ①の巨視的震源特性等から微視的震源特性を評価して特性化震源モデル 1 を 設定した。モデル1については、震源断層が長大であることから、特性化震 源モデルの作成にあたって、試行的に別途3通りの方法で特性化震源モデル を設定した。したがって、合計で4CASE(CASE11、12、1 3、14)となる。
③ 山崎断層帯周辺の「深い地盤構造」に対する三次元地下構造モデルを既存の 物理探査結果、ボーリング調査の結果等より評価した。「浅い地盤構造」は 国土数値情報(国土地理院,1987)を基に作成した。
④ ②で作成された特性化震源モデル、③で作成された三次元地下構造モデルを 基に震源断層周辺の領域において、約1km 四方のメッシュごとに「詳細法」
(ハイブリッド合成法:4章参照)を用いて強震動評価を行った。
⑤ 平均的な地震動分布を評価するため、「簡便法」(4章参照)による強震動評 価も行った。
である「震源特性」、「地下構造モデル」、「強震動計算方法」、「予測結果の検証」
の考え方については、付録の「活断層で発生する地震の強震動評価のレシピ」(以 下、「レシピ」という)に基づいたものであり、その内容と重複する事項につい てはここでは簡単に記述した。
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図 2.6 予測地図作成の作業の流れ
地表における地震動予測計算に必要とされる地下構造モデルとしては、図 3.1 に示すように震源から地表までを対象としている。地下構造モデルを作成する には、必要となる資料やモデル作成の手法によって、以下のモデルを設定する 必要がある。
・伝播経路モデル:震源から対象地域の地震基盤までの広域の地下構造
・深部地盤構造モデル:対象地域の地震基盤から工学的基盤までの地下構造
・浅部地盤構造モデル:対象地域の工学的基盤から地表までの地下構造 地震基盤とは、S波速度で 3km/s 程度以上の地層
工学的基盤とは、S波速度で 400m/s 程度の地層
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図 3.1 地震動の伝播経路と地下構造モデル
3.1.1 伝播経路モデル
伝播経路モデルの対象範囲は、想定地震の断層モデルが平面的にも深さ方向
上部地殻が含まれ、深さは 40km 程度までを考える。
伝播経路モデルの設定に際しては、文献調査を行い、最新の知見を反映させ ることを基本とする。必要なパラメータは、層厚、P波速度、S波速度、密度、
Q値(Qp、Qs)である。
3.1.2 深部地盤構造モデル
深部地盤構造モデルの対象範囲は、地震基盤以浅で工学的基盤までの地層を 対象とする。深部地盤構造モデルの設定に際しては、伝播経路モデルの設定と 同様に文献調査を行い、最新の知見を反映させることを基本とする。
伝播経路モデルおよび深部構造地盤モデルにおいては、理論的評価手法による 地震動の計算を行うことから、3次元のモデル化を行う。
3.1.3 浅部地盤構造モデル
浅部地盤構造モデルの対象範囲は、工学的基盤から地表までの地層を対象とす る。浅部地盤構造モデルの作成の考え方は次の地震動算出の考え方によって2 種類モデルの作成を行った。
①計算対象範囲及びその周辺地域を簡易的な手法によって地震動を算出する 方法として、国土数値情報の微地形区分を用いた増幅倍率を求める。
②ハイブリッド法によって算出された工学的基盤における地震波形を用いて 応答計算によって地表の地震動を求めるための地盤モデルの作成。
本検討では、①の考え方に基づいて浅部地盤構造のモデル化を行うこととし、
国土数値情報が基準地域メッシュ(第三次地域区画)(約 1km×1km メッシュ)
となっていることから、基準地域メッシュごとに微地形分類を行い、松岡・翠 川(1994)および藤本・翠川(2003)の方法によって増幅倍率を求める。
3.2 対象地域の地質環境
本検討では、山崎断層帯を起震断層とする地震動予測地図を作成するため、
山崎断層帯およびその周辺地域の中国地方 瀬戸内地域を検討対象地域とした。
図 3.2 に中国地方 瀬戸内地域の地形標高図、図 3.3 に表層地質図、表 3.1 に 地質構成表を示す。
当地域は先第三系を基盤とし、古第三系、新第三系中新統、鮮新統 更新統、
完新統および第四紀火山が分布している。
以下に、それぞれの地質について概述する。
(1)先第三系
当地域は、先第三系が面積の大半を占めており、第三紀以降の地質の分布は 狭い。これらの先第三系は、中古生層(付加体)、変成岩類、深成岩類、後期白亜 紀火山岩類に大別される。
中古生層は、中国から近畿地方にかけては丹波帯、舞鶴帯、中国帯などと呼 ばれ、花崗岩類に貫入されたり、白亜紀以降の火成岩類、堆積岩類に覆われて いたりするため、その分布は脊梁山地から瀬戸内にかけて広く点在している。
変成岩類は、岡山県北部から鳥取県にかけて、結晶片岩から成る三郡変成岩 類がまとまった分布を見せる。瀬戸内島嶼部には、領家変成岩類が点在して現 れる。
深成岩類は、花崗岩 花崗閃緑岩を主体とする。大別すると、瀬戸内島嶼部 から香川県、淡路島にかけての領家花崗岩類、脊梁山地から南側の、特に瀬戸 内沿岸に広く分布する広島(山陽帯)花崗岩類、島根県から鳥取県および丹後半島 付近に広く分布する山陰帯深成岩類に分けられる。形成時期は領家、山陽帯が 中 後期白亜紀であるのに対し、山陰帯では後期白亜紀から古第三紀に及んで いる。
後期白亜紀火山岩類は、兵庫県および中国地区に広域に分布している。この 火山岩類は、花崗岩類の活動とほぼ同時期、あるいはやや先行して形成された もので、流紋岩 安山岩質の溶岩、火砕岩を主体としている。山陽帯に広く分 布しており、広島、岡山では高田流紋岩類や吉舎安山岩類、兵庫では相生層群、
生野層群、有馬層群などと呼ばれている。一方、香川県および淡路島の南部に
は、砂岩層を主体とする和泉層群が、中央構造線に接してその北側に帯状に分
(2)古第三系
古第三系は、神戸層群および木地山火山岩類からなる。
兵庫県の三田盆地および神戸市北区須磨区にかけての地域には、砂岩、泥 岩、礫岩から成る堆積物が分布し、神戸層群と呼ばれる。神戸層群は従来、産 出する化石から中新世の第一瀬戸内累層に対比されてきたが、放射年代の測定 により形成時期は古第三紀まで遡っている。
木地山火山岩類は安山岩および同質凝灰岩からなり、鳥取県三朝町付近に局 所的に分布する。
(3)新第三系(中新統)
新第三系中新統は、海成層および淡水陸成層からなり、山陰地域、中国山 地瀬戸内地域および香川県地域に大別される。
山陰地区における本層は、島根では石見層群、出雲層群、鳥取では鳥取層群、
但馬では北但層群などと呼ばれている。中部中新統の下部層から下部中新統は グリーンタフ変動による一連の堆積物で、火山噴出物を多く含む地層である。
中部中新統の上部層は主に堆積岩からなり、中海-宍道湖周辺の低地帯に厚く分 布している。
中国山地から瀬戸内にかけては、砂岩、泥岩、礫岩などの非グリーンタフ層 が山間の盆地や谷を埋めて局所的に点在している。三次、庄原付近では備北層 群、津山付近では勝田層群と呼ばれ、当地域内においては津山盆地で広く分布 が見られる。また、児島湾下にも本層が厚く潜在していることがボーリングで 確認されている。
香川県に見られる中新統には、小豆島および豊島に狭小に分布する土庄層群 および、五色台、屋島、小豆島などの台地を形成して点在する讃岐層群があり、
土庄層群は瀬戸内区に連続する地層である。讃岐層群は安山岩流紋岩質の溶 岩、火砕岩からなり、”讃岐石”でも有名である。
淡路島に点在している岩屋累層は、従来は神戸側の神戸層群と一連の地層と 見なされていたものである。しかしながら、神戸層群が古第三系と考えられる ようになったため、切り離されて中新世の地層とされており、その境界は明石
海峡にあると言われている(松浦ほか,1995)。最近の研究では岩屋累層も古第三紀 に遡るとの報告もあるが、ここでは中新統として区分とする。
(4)鮮新統更新統
本地域内における鮮新統更新統の地層としては、山陰地域の三朝層群、照 来層群、瀬戸内周辺の大阪層群、三豊層群、中国山地の山砂利層などがある。
三朝層群は、鳥取県中部から岡山県境にかけて分布している。玄武岩安山 岩溶岩および火砕岩を主体とし、非火山性の堆積物を挟在している。同様に、
兵庫、鳥取の県境付近に広く現れている照来層群も、主に火山噴出物から構成 されている。これらの活動時期は主に鮮新世と考えられている。
大阪層群は、鮮新世更新世中期に形成された河成湖成堆積物で、火山灰 層や海成粘土層を挟んでいる。当地域では、播磨平野の東部および淡路島に露 出しており、播磨平野では西部の沖積層下位にも広がっている。淡路島の大阪 層群は中下部層のみが分布しており、その形成時期は鮮新世から一部更新世 である。
三豊層群は、香川県南部の阿讃山地北麓において、和泉層群、領家花崗岩の 基盤の凹地を埋めて堆積している。また、沿岸平野部の地下から瀬戸内海海底 にかけても広く分布している。礫層、砂層、粘土シルト層からなる湖成層で、
大阪層群に対比される。
山砂利層は、岡山県から広島県南東部の中国山地に点在している標高 400 100m 以下の瀬戸内面を構成する礫層である。化石が未発見のため年代は不明で あるが、層相や分布高度から鮮新統更新統と考えられている(最近の研究で は、放射年代の測定から古第三紀の形成であるとの報告もある)。
この他、局所的に分布する更新統として、蒜山南麓の蒜山原層、津山盆地北 東部の日本原層がある。蒜山原層は礫、砂、粘土、珪藻土層からなる湖成層、
日本原層は砂礫を主体とする扇状地崖錐性の堆積物である。
(5)完新統、第四紀火山噴出物
完新統は、平野部および河川沿いに分布する。当地域内では特に、播磨平野、
岡山平野、中海宍道湖周辺、讃岐平野、丸亀平野などに比較的厚く堆積してい る。
この他、兵庫県北部の神鍋、兵庫-鳥取県境の扇ノ山、中海の大根島、鳥取-島根 県境付近に点在する玄武岩台地等がある。
図 3.2 標高図
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図 3.3 表層地質図
地質調査所(1995) 100万分の
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日本地質図第3
版CD-ROM
版表 3.1 中国 瀬戸内地域の地質構成表
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震源モデルから地震基盤までの伝播経路のモデルについて、図 3.4 に示すよう に設定した。
モホ面とコンラッド面の深度とP波速度は、Zhao and Hasegawa (1993) に基づ いて設定した。P波速度は各グリッドにおける速度値の平均値とした。また、
Zhao and Hasegawa (1993) ではP波速度のみが求められているため、S波速度・
密度は Ludwig et al. (1970) により求めた。本地域の物性値を表 3.2 に示す。
表 3.2 物性値一覧
Vp=5.9km/s
Vs=3.3km/s
=2.7g/cm3
Vp=7.9km/s Vs=4.4km/s =3.3g/cm3
Vp=6.7km/s
Vs=3.8km/s =2.9g/cm3
32km
15km
図 3.4 中国地方
)瀬戸内地域の伝搬経路モデルの模式断面図
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3.4 深部地盤構造モデル
3.4.1 深部地盤構造モデル作成の手順
深部地盤構造モデルの作成にあたっては、対象地域内の物理探査に関する資 料および地質に関する資料を収集・整理し、地盤の速度構造モデルとしてとり まとめる。しかし当該地域は、特に中国地域においては、深部構造の検討に有 用となるような既往資料は少ない。これは、
・阪神淡路地域、中央構造線周辺域を除いて、大規模地震に関する地盤調査が ほとんど行われていない。
・地域内に石油、石炭、天然ガス等の資源の可能性が非常に小さく、これらの 開発を対象とした大規模な物理探査、地質調査が少ない。
等の理由によるものである。
このように物理探査資料が少なく、高い精度で全域の速度構造モデルを作成 することは困難であったため、ここでは以下の手順でモデルを検討した。
① 地質構成、地質構造に関する資料を整理し、地盤の速度構造に対応すると 想定される地質区分(地震基盤の設定、堆積層の分類)を行う。
② ボーリングや物理探査、その他の調査資料を総合的に検討し、地質構造モ デルを作成する。
③ 地震探査、速度検層等の速度データをとりまとめ、各地層区分に適切な速 度値を与えて速度構造モデルとする。
3.4.2 地質区分の設定
深部地盤構造モデルの作成を行うため、3.2 節で述べた構成地質をその年代や 岩相を考慮して以下のように区分した。表 3.3 に地質区分表を示す。
(1)基盤岩類(表 3.3 の⑥層)
中古生層、変成岩類、深成岩類、後期白亜紀火山岩類、古第三紀木地山火山 岩類などの先第三系については、岩塊が堅硬で割れ目が少なく、地震基盤に相 当するものとして基盤岩類として一括した。ただし、白亜紀後期の和泉層群は、
中古生層の付加体とは異なった堆積盆での生成層であり、速度値が 33.5km/s
(2)被覆層の区分
基盤岩類を覆う白亜紀以降の地質は、以下のように区分した。
1) 古第三系(表 3.3 の⑤層)
神戸層群
2) 中部中新統下部層下部中新統(表 3.3 の④層)
山陰地域の主にグリーンタフ相当層
兵庫:北但層群、鳥取:鳥取層群中、下部層、島根:(出雲)川合、久利、
波多層、(島根半島)成相寺層、古浦層
3) 中部中新統(上部層) (表 3.3 の③層)
山陰地域の中部中新統上部層および、中国脊梁山地以南の中部中新統(非 グリーンタフ相当層)
淡路島の岩屋累層は中下部中新統とされているが、火山岩系統ではな く堆積岩であり、速度値は小さくなると想定されることから、2)には含めな い区分とした。
4) 鮮新統(更新統) (表 3.3 の②層)
山陰側に分布する火山岩、火山砕屑岩類、海域に分布する鮮新世堆積物
5) (鮮新統)更新統および完新統(表 3.3 の①層)
大阪層群、三豊層群、山砂利層、大山等の山陰地域の火山噴出物、平野 部および谷部の沖積層、洪積層
これらは、層厚が薄いものが多く区分が困難なため、第四系として一括 する。淡路島の大阪層群は、その形成時期が概ね鮮新世に含まれるが、播 磨側の大阪層群と地質の性状は大きく変わらないと判定し、更新統に含め る。
表 3 . 3 地質区 分表
地質区分 地層名 地質モデル区分
完新統 沖積層
更新統 蒜山原層,日本原層
第四紀火山
大山火山岩類 扇ノ山,神鍋火山岩類 大根島玄武岩 アルカリ玄武岩台地 (鮮新統)更新統
大阪層群 三豊層群 山砂利層
①
鮮新統
三朝層群 照来層群 和久羅山安山岩
②
中部中新統(上部層)
出雲層群 石見層群上部 備北層群,勝田層群 岩屋累層(淡路島) 土庄層群,讃岐層群
③
中部中新統下部層 下部中新統
石見層群中部下部
北但層群 ④
神戸層群 ⑤
古第三系
木地山火山岩類
白亜紀古第三紀 火成岩類
高田流紋岩類 吉舎安山岩類 相生,生野,有馬層群 領家花崗岩類 広島花崗岩類 山陰帯深成岩類 先白亜系 丹波帯,舞鶴帯,中国帯
三郡変成岩類
⑥
前述の地質区分に基づき、各地質の分布や構造等を検討した。当該地域におけ る各地質区分の特徴を、以下に概述する。
(1)完新統および更新統(第四系)
播磨平野および香川県の平野部ではボーリング資料が多く、その分布や層厚が 概ね把握されている。播磨平野では、姫路、高砂、加古川の臨海部で約 200m の 層厚となっている。香川県の讃岐、丸亀、三豊の各平野では、臨海部で最大 150 200m の厚さがある。岡山、倉敷平野は資料が少ないため不明な部分が多いが、
第四系の厚さは概ね 100m 以下と推定される。宍道湖-中海の低地帯では音波探 査等によって第四系の厚さが推定されており、数 10m と非常に薄い。
播磨平野東側の丘陵を形成する更新統大阪層群については、基盤の中古生層や 白亜紀火山岩類に達するボーリング資料が多く、その層厚は最大 200m 以上を有 している。一方、淡路島の大阪層群は、断層によって規制された堆積盆地を埋 めて分布し、一部では 200m 以上に及んでいると推定される。また、野島断層や 志筑断層によって本層が播磨灘側に数 100m 落込んでいる状況が、ボーリングや 物理探査で確認されている(村田ほか,1998、吉岡ほか,1996 など)。
この他、河川沿いの第四系については、ボーリング資料で厚さが判明している 箇所もあるが、多くは不明である。ただしいずれも数 10m あるいはそれ以下と 考えられる。
(2)鮮新統
三朝層群および照来層群が広く分布する。岡山-鳥取県境の人形峠周辺で三朝 層群のボーリング資料(山田,1961)があるが、それ以外には厚さを確定できる 資料はない。基盤を緩く覆っており、200300m、最大 500m 程度と推定される。
一方、地表には現れていないが、石油天然ガス調査の基礎試錐では日本海側の 海盆に鮮新世の堆積物が記載されている。
(3)中部中新統(上部層)
中国山地から瀬戸内には備北層群および勝田層群が点在しているが、個々の 層厚は比較的薄い。資料は少ないが、概ね 100m 前後、最大でも 200m 程度と推 定される。岡山県児島湾では、ボーリング調査で厚い中新統が潜在しているこ とが確認されている(多井, 1963)。
香川県の讃岐層群は、基盤岩類をほぼ水平に覆って台地を形成している。小 豆島や五色台では層厚 300500m に達するが、点在する他の台地では薄く、小 豆島および豊島の土庄層群は 100m 前後である。
淡路島に点在する岩屋累層は概ね 50m 以下と薄いが、断層変位により播磨灘 海底下にも存在することが確認されている(村田ほか, 1998、吉岡ほか, 1996 な ど)。
中海-宍道湖の低地帯周辺に分布する中部中新統上部層(出雲層群、石見層群上 部)については、温泉ボーリング資料がある(山内ほか, 1998、山内, 2001)。松江 温泉では深度約 940m で中部中新統下部層との境界(牛切層/成相寺層)が現れて いるが、弓ヶ浜では深度 1500m でも成相寺層に達していない。
日本海側では、石油天然ガス調査の基礎試錐、地震探査により本層下位のグ リーンタフ層上面が想定されており、沿岸部から-2000-3000m の深さにまで落 込んでいる(石油開発公団, 1975、石油公団, 1990 など)。
(4)中部中新統下部層下部中新統
グリーンタフを主体とする中新統下部層は、山陰地域の海岸に沿って帯状に 広がっている。ここでは地溝状の構造盆地が発達し、これを埋めて厚い本層が 分布している。中海、宍道湖の温泉ボーリング以外に本層の厚さを確定できる 資料はないが、厚い箇所では 1000m 以上に及ぶと想定される。また、但馬の北 但層群は 2000m 以上、豊岡市付近の北但層群は 1500m などの記載もある(国土 庁,1974、兵庫県,2000)。
日本海側での本層は、東西方向に延びる背斜構造の北側で深く落ち込んでい る。基盤岩との境界は確認されておらずその層厚は不明であるが、兵庫県沖で は-4000m 以深まで達するものと推定される。
三田盆地およびその南側に分布する神戸層群は、有馬-高槻構造線などの断層 崖に規制された半地溝部を埋積した形状を成しており、断層崖付近では急激な 落込みを呈する。ボーリング資料は分布域端部のみで、盆地内部の厚さを確定 できる資料はないが、最大 500m 程度と推定される。
(6)基盤岩類
山地部では被覆層は薄く、概ね表層付近から基盤岩が現れる。日本海側では落 込みが大きく、基盤岩の上面は確認されていない。
瀬戸内海では、明石海峡および備讃瀬戸の調査資料があり、基盤の分布も確認 されているが、いずれも浅海部であり、ほとんどの海域では基盤岩の形状を推 定できる資料はない。大阪湾のデータを参考に、播磨灘最深部を-2000m 程度と 推定した。
3.4.4 地質区分に対応する P 波速度の検討
地質モデルの各地質区分に対して適用するP波速度を、以下のような資料を 参考として検討した。
・石油、天然ガス調査の基礎試錐資料
・Hi-net 資料
・その他地震探査資料
地質区分と文献による速度値の関係を表 3.4 に示す。各地質区分におけるP波 速度値を以下に検討する。
(1)完新統および更新統(第四系)
完新統、更新統は概ね 1.62.0km/s の範囲となる。更新統に区分している大 阪層群の一部は鮮新世の堆積物であり、この部分は速度値も若干大きくなって いる。ただし、鮮新世の大阪層群は当区域では分布が狭く、とくに区分はしな いこととする。
また、第四紀火山も 2km/s 以上の速度値が得られているが、分布が非常に狭 いため同様に第四系に含めることとする。
(2)鮮新統
鮮新統のデータはほとんどなく、当該地域内では 2.0km/s の値が得られている のみである。これは海底のボーリング調査であり、陸上では若干大きくなるこ とも考えられる。
(3)中部中新統(上部層)
速度値の下限は概ね 2.0km/s であるが、上限値にはばらつきが見られる。この うち、大きな速度値を示すものは下部層との境界付近に位置している。全体と しては 2km/s 台前半の速度値と考えられ、下部層に近づいた範囲では 2km/s 台後 半から 3km/s 台になると推定される。
2km/s 台の値は表層付近の局所的な値であるが、これを除外しても 3.2 4.8km/s まで幅が大きい。中新統の地層は山陰地域から日本海海底にかけて広く 分布しており、その層厚は数 1000mに達する。このため Hi-net 資料は本層の深 部には至っておらず、このため 4km/s 台の速度値が出現していないと考えられ る。また、基礎試錐の資料では 4km/s 台の上面を音響基盤として解析している。
したがって、本層は速度層構造としては 3km/s 台と 4km/s 台の2層に区分する必 要があると考えられる。
(5)古第三系
対象とする地層が神戸層群のみでデータは少ない。概ね 3km/s 前後の速度値 と考えられる。
(6)基盤岩類
全体に速度値の幅は大きいが、深度の浅いボーリング調査や距離の短い物理 探査については、表層の緩み、風化帯でとどまっている可能性が大きい。距離 の長い地震探査資料では 5km/s 台の速度値が得られており、これが基盤岩類の 地震基盤としての真の値と考えられる。
表 3.4 地質区分と文献資料による速度値
(km/sec)
山 陰 中国山地
瀬戸内
四国,淡路 和歌山
完新統,更新統 2.3 2.3 1.9
第四紀火山 2.32.6
(鮮新統)更新統
(大阪層群相当層) 1.62.5 1.72.8
鮮新統 2.0
中部中新統上部 1.83.6 2.13.6 1.72.9 中部中新統下部
下部中新統 2.14.8
古第三系
(神戸層群) 2.04.0
後期白亜系
(和泉層群) 2.74.2
Vp
基盤岩類 4.15.8
完新統,更新統 0.8 0.8 0.4
第四紀火山 0.71.4
(鮮新統)更新統
(大阪層群相当層) ── 0.40.8
鮮新統 ──
中部中新統上部 0.71.7 0.41.7 0.71.6 中部中新統下部
下部中新統 1.02.1
古第三系
(神戸層群) 0.41.2
後期白亜系
(和泉層群) 0.81.7
Vs
基盤岩類 2.03.2
:分布しない
──:データなし
し、速度層モデルを作成する。設定したP波速度と地質区分および地層名の関 係を表 3.5 に示す。図 3.5 (1) (6) に検討より作成した地質境界の上面標高等高 線図を示す。
1) 1.8km/s : 完新統および更新統(第四紀火山を含む) 2) 2.0km/s : 鮮新統
3) 2.2km/s : 中部中新統(上部層)
4) 3.5km/s : (中部中新統下部層下部中新統)の上位層 5) 4.5km/s : (中部中新統下部層下部中新統)の下位層 6) 5.0km/s: 地震基盤
※ 4)と 5)の区分については、境界とする深度は地質文献では判定できないが、
基礎試錐の資料では上面から 5001000m にその境があることから、これを 参考として速度層境界を検討する。
※ 古第三系の神戸層群は分布が狭く、文献による速度値も近いことから 4)に含 める。
※ 表層に近い部分では風化や緩みの影響が大きく、低速度から徐々に基盤岩の 真の速度値に近づいていく。このため地表部から基盤岩が出現する地域にお いても、6)地震基盤の 5.4km/s 層は地表には現れない。この出現深度は地質条 件によって異なるため確定できないが、鳥取県(2003)では地表から 500m 前後の深度で 5.5km/s 層が現れていることから、これを参考として地震基盤 の上面深度を推定する。
表 3 . 5 速度構造一覧表
速度層 速度値
(km/sec) 地質区分 地層名
完新統 沖積層
更新統 蒜山原層,日本原層
第四紀火山
大山火山岩類 扇ノ山,神鍋火山岩類 大根島玄武岩 アルカリ玄武岩台地 第1層 1.8
(鮮新統)更新統 大阪層群,三豊層群,山砂利層
第2層 2.0 鮮新統 三朝層群,照来層群
和久羅山安山岩
第3層 2.2 中部中新統(上部層)
出雲層群,石見層群(上部) 備北層群,勝田層群 岩屋累層(淡路島) 土庄層群,讃岐層群
第4層 3.5 上位層
(古第三系を含む) (上位) 神戸層群 第5層 4.5
中部中新統 (下部層)
下部中新統 下位層
石見層群 (中下部)
北但層群(下位)
古第三系 木地山火山岩類
白亜紀古第三紀火成岩類
高田流紋岩類,吉舎安山岩類 相生,生野,有馬層群
領家花崗岩類 広島花崗岩類 山陰帯深成岩類 第6層
地震基盤
5.0
先白亜系 丹波帯,舞鶴帯,中国帯
三郡変成岩類
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図 3.5 (1) 完新統および更新統上面標高図
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図 3.5 (2) 鮮新統上面標高
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図 3.5 (3) 中部中新統上部上面標高
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図 3.5 (4) 中部中新統下部~下部中新統上位層上面標高
ᮡ㜞=O?
図 3.5 (5) 中部中新統下部~下部中新統下位層上面標高
ᮡ㜞=O?
図 3.5 (6) 地震基盤上面標高
3.4.5 速度構造モデルの作成
前項までの検討結果を元に、当該地域の速度構造モデルを検討した。その際、
既往文献などとのチェックを行い、図 3.5 (1) (6) に示した地質構造境界の修正 も行った。主な修正箇所は、以下の地域である。
1) 京都北部、若狭湾周辺域
丹後半島の地質文献(山元ほか, 1988)や海域の音響探査(山本ほか, 1993)などか ら地質モデルを検討した。
海岸部から日本海側にかけては、島根・鳥取から連続する中新統のグリーン タフが厚いが、若狭湾内では中古生層までの深度は浅い。
2) 播磨灘海底
海底重力探査(駒澤ほか, 1996)や反射法地震探査(横倉ほか, 1996)などから、基 盤上面深度は淡路島西方の断層落込み部が最も深く 1000m 程度と推定した。
3) 四国東部紀伊半島の中央構造線沿い(和泉層群の地下構造)
中央構造線沿の北側に沿って、後期白亜系の和泉層群が領家花崗岩類と中央構 造線に挟まれた細長い堆積盆を埋めて分布している。和泉層群は中央構造線の 左横ずれ運動により、断層北側の堆積盆に形成された上部白亜紀の堆積岩であ る。既往文献によれば、本層のP波速度は 2.74.2km/s であり、地震基盤とは ならないので、基盤岩類(三波川帯および領家帯)と区分した。
吉野川北側の反射法地震探査では、和泉層群は 3000m の層厚を有すると推定 されている(伊藤ほか, 1996)。一方、中央構造線の南側では逆断層成分を有す る右横ずれ断層によって深い堆積盆が形成されており、紀淡海峡や吉野川での 地震探査では厚さ 10002000m の大阪層群相当層が堆積しているのが確認され ている(横倉ほか, 1998;伊藤ほか, 1996;佃ほか, 1996)。これらの既往文献を 参考に、和泉層群の分布を推定した。四国から紀伊半島にかけての基盤岩類上 面の最深部は、中央構造線の北側に溝状に分布する形となる。
いる地域がある。当該地域の東側には、既に地震動予測地図を作成している「琵 琶湖西岸断層帯」で用いた深い地盤構造モデルが存在し、表 3.6 に示す速度層モ デルを設定している。この表において、速度層15は大阪層群、古琵琶湖層 群および相当層、6、7は堆積盆地下における岩盤の風化帯、8の上面が地震 基盤面にあたる。このうち大阪層群、古琵琶湖層群および相当層については、
個々の堆積盆地における検討で表 3.7 に示す層区分を行い、全体として 1.6、1.8、
2.0、2.2、2.5km/s の5層を設定したものである。
これらの資料も考慮して、当地域における地震基盤までのP波速度層区分を 設定した。以下に、設定した速度層区分について述べる。
(1)完新統、更新統、大阪層群および相当層
山陰中四国地域の大阪層群および相当層は、隣接する大阪平野の区分と同 様の3層区分(1.6、1.8、2.5km/s)とする。区分は、香川ほか(2003)のモデル による比例配分とする。
検討地域全域としては、京都盆地の区分を含めた5層区分(1.6、1.8、2.0、2.2、
2.5km/s)とする。
(2)鮮新統
山陰地域にやや広く分布しており、データが少なく判定は困難であるが、大阪 層群の最下部層と同じ 2.5km/s 層とする。
(3)第四紀火山
鳥取の大山火山噴出物が対象となり、速度検層の結果から 2.5km/s 層とする。
(4)中部中新統(上部層)
下位層近くでは速度値が大きくなるが、固結度が低く概ね 2km/s 台半ばと考 えられ、上記と同様の 2.5km/s 層とする。
(5)中部中新統下部層下部中新統
地層が厚く速度値の幅も大きいため、3km/s 台前半と 4km/s 台前半の2層に区 分する。後者はいわゆるグリーンタフに相当し、火山砕屑物を主体とする。速 度値のばらつきが大きく判定は難しいが、上位層は 3.3km/s、下位層は 4.4km/s とする。
(6)古第三系
神戸層群が対象となるが、分布は三田盆地付近に限られ層厚も最大 500m 程度 と薄い。固結の程度が小さい堆積岩であり、中部中新統下部下部中新統の上 位層と同じ 3.3km/s とする。
(7)後期白亜系
和泉層群は、新鮮部では 3.54km/s 程度の速度値が推定され、3.8km/s とする。
(8)地震基盤
地震基盤上面は琵琶湖西岸断層帯で設定している 5.2km/s とする。
山地部で地表に露出している基盤岩については、風化を考慮して表層部の速 度値を低下させる。風化帯の設定は、検討地域内の K-NET および KiK-net デー タを統計処理してP波速度と深度の関係式を求め、区分した各層の速度値が現 れる深度を風化深度とした。図 3.6 にP波速度と深度の関係を示す。
速度層 P波速度
(km/s)
S波速度
(km/s) 密度(g/cm3) 1 1.6 0.39 1.8 2 1.8 0.43 1.9 3 2.0 0.62 2.0 4 2.2 0.75 2.0 5 2.5 0.95 2.2 6 3.8 1.8 2.4 7 4.4 2.2 2.5 8 5.2 3.1 2.6
表 3.7 大阪層群,古琵琶湖層群および相当層の速度層区分
大阪平野 京都盆地 近江盆地
1.6 1.8 1.6 1.8 2.0 1.8 速度値
(km/s)
2.5 2.2 2.0
備 考 香川ほか(2003) 基準ボーリング 烏丸ボーリング 澤田ほか(1999)
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