民具情報のデータベース化に関する一検討
著者 八重樫 純樹, 吉村 祐一
雑誌名 静岡大学情報学研究
巻 11
ページ 59‑69
発行年 2006‑03‑10
出版者 静岡大学情報学部
URL http://doi.org/10.14945/00002675
民具情報のデータベース化に関する一検討
An Ex面natton on the MaHng Folk]hり lements Data Base
吉 村 祐 一 (*),八重樫 純樹 (**)
(*)神奈 川 大 学 大 学 院歴 史 民 俗 資 料 学研 究 科 (**)静岡大 学 情 報 学 部 Yuichi Yoshimura(*)and Junki Yacgashi(**)
(*)Gradutte School of History&Folklore Studies, Kanagawa University Graduate School (**)Faculty of WoHnatics,Shizuoka University
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民具 、 デー タベ ース、IcOM―CDOC、 博物館 資料 、標準化 [SuEInIElary]
h recent years,the movelllents ofinfomatization are active m the world oflnuseuIIl。 1lis is because intasmc―
轟 離 轟 轟 榊
[Keywords]Folk Lnplemen徳,Data Base,ICOM― CIDOC,Museum ottect,Standardization
1口 民 具 の 概 要
まずはデータベース (Data Base:以下本稿で はDBと略す)の対象 となる民具について考察す る。博物館資料の中で、民具は他の資料 と比べ
て時代的にも地域的にも、また形状的にも用途 的にも多様である。まずは民具の持つ性質を知 ることが必要である。
1.1.民具 とその性質
民具 とは一言で言つて しまえば人々が生活の
民具情報のデータベース化 に関す る一検討 必要か ら作 り出 し使用 してきた道具であ り、主
に機械化以前の大量生産によらない道具を指す。
『日本民俗大辞典』(注1)によれば、「 日常生活 の必要か ら製作 。使用 してきた伝承的な器具・造 形物の総称」 と定義 される。つまり民具は有形 の資料であ り、また伝承的な性質をもつ ことか ら民俗資料 に内包する考え方 もある。
また民具 と一口に言つて も人間生活のあらゆ る場面に関わつて くる資料の総称のため非常 に 範囲が広い。従 ってまずはどのように分類 を定 めるか という問題がある。
そ して画一生産によらないため、たとえ同 じ 名称 。同 じ用途の資料であって も形状が異なる 場合がある。それは生産 。伝播の段階で異なる 場合 もある し、使用者のクセや保存状況など環 境 によって異なる場合 もある。従 って情報化の 際は同名の民具であっても一点ずつ情報 を確認 する必要がある。
1.2.民具 学 とその性質
民具 を研究するのが民具学であ り、前述の『 日 本民俗大辞典』によれば「民具 を研究する学問。
しか し、それは単 に民具だけを研究する、個々 の民具 を知るということにとどまるものではな く、(中略)民具 を生活の中に正確 に位置づけ、
民族の生活文化 。生活技術の体系 を明 らかにし ていこうとする意図をもっている」学問である (注2)。
「民族の生活文化・生活技術 の体系 を明 らか に」するためには民族の生活文化、即 ち民俗 を 研究することにもつなが り、民俗学 とも密接 な 関係 を持つ学問で もある。従 つて民具DBは民俗 的側面 も記録・保存する必要があ り、民具その ものの情報以外 にも民具が生活の中で使 われた
「事柄」 をも記録する必要がある。
民具 と民具学の定義について論 を展開するこ とは本稿の主旨ではないので引用のみに留める が、大筋 においては異論のない ところであると 思われる。なお、本稿では「民具資料」 と表現 す る場合 は民具その ものに加 え民具の実測図、
写真、寸法 などのデータ、民具台帳 といった資 料 までを含めるものとし、「民具情報」と表現す る場合 はそれ らの持つ資料情報 を指すこととす る。
1.3.民具 の 内包 す る情 報 と情 報化 このように民具の内包する情報 を大別すると モノ情報 とコ ト情報に分けられる。モノ情報 と は資料その ものが普遍的に持つ情報であ り、た とえば材質、寸法、形状 などである。 コ ト情報 とは資料が使 われる中で得てゆ く情報であ り、
た とえば名称、用途、使用者などである(注3)。
前者は資料その ものが持つ情報のため資料が変 形 しない限 り保存 される情報であ り、後者は資 料か らだけでは得 られない情報のため使用者や 伝承者などその資料 を知る人か ら得 られる情報 である。民具は人に使 われることが前提の資料 であるため、モノ情報 とともにコ ト情報の採取・
記録が重要になる。
そ うして資料の持つ情報が台帳などによって 整理 され、活用で きる段階まで くると情報化が 可能になる。つまり、資料の情報化 とは既存の データをメディアを通 じて発信で きる状態 にす ることである。逆 に言えば情報化のためには情 報化す るためのデータが必要である。民具で言 えば先のモノ情報・コ ト情報が引 き出され、整 理 されていることが必要なのである。繰 り返 し になるが、情報化のためにはまず台帳などの「整 理 されたデータあ りき」である。
1.4.民具研 究 の手法
民具研究はモノ情報 による研究 とコ ト情報に よる研究に大別で きる。前者は比較研究などを 通 して一つの民具 を追及する研究、後者は人の 生活の中で民具 を捉える研究である。生物学に 例 えれば、前者は人間、雀、あるいは哺乳類、鳥 類 といったある一つの生物 についての研究であ り、後者は生態系の中で一つの生物 を捉 える研 究であるといえる。コ ト情報による研究 をする ためにはまずモノ情報 による研究が進め られて
いる必要があ り、民具学の目的である「民族の 生活文化 。生活技術の体系 を明 らかに」するた めにはどちらの研究 も必要不可欠である。
モノ情報による研究は、たとえば形態などを 広域調査 によつて比較 し、その差異や共通点 を 基 に民具 を深 く掘 り下げ、その起源や伝播の過 程 を明 らかに し、それを通 じて民具か ら歴史 を 明 らかにするとい う研究手法である。
そのため、この研究手法ではまず「 どこの博 物館 に求める資料があるか」分かることが第一 となる。これに対応するためには各館がDBや日 録 を作 リインターネッ ト等で公開することが考 えられる。 この作業は研究者に限 らず一般利用 客 に向けて も有益 と言える。
一方、コ ト情報による研究は民具 を知る人か ら聞 き書 きをおこなう事 になる。 しか し、資料 についての伝承者がいない場合 には資料 を収集 した段階の情報に頼ることになるため、資料 を 収集する段階で より多 くのコ ト情報 を意識 して 集めてお く必要がある。
1.5.民具情 報 のDB化の意 義
このように見 ると民具情報 をDB化す る意義 は二つある。一つはインターネットなどを通 じ て公開 し公共の益 に資すること。 もう一つは劣 化 してい く民具の状態 をデジタルで保存 してい
くことである。
博物館 の役割の一つ に教育普及活動がある (注4)。 所蔵資料 を整理 し、解説をつけて公開す ることは博物館 にとつての義務である。普段は それ を展示 とい う形で 日にすることが多いが、
DBもその役割 を担 っている。DBであれば普段 は展示 されない資料の情報 を得 ることが可能で あるし、インターネットを利用すれば来館せず とも公共の財である資料情報 を得 ることもで き る。
また、先 も述べたように民具は有形資料であ る。有形 ということはいずれ破損や劣化すると いうことであり、永久的にその姿を留めてお く ことは不可能である。そこでデジタルカメラで
の撮影や、既存の写真や図をデジタルで保存す ることは数値 によらない資料の情報 を残す こと が可能なのである。
2.先行研究
これまでに民具や民俗学分野 において資料の DB化の研究が行われた例がい くつかある。民具 に限つた例ではないが、過去の研究における着 眼点や問題点 を参考にするため3例を取 り上げ た。
2.1.豊北 町歴 申民俗 資料 館
収蔵資料 をDB化した報告書 (注5)の中で吉 留徹 は民俗資料の情報化の課題 を三点挙げてい
る。
一つ 目は民具情報の欠落である。民具 という モノは残 っていても、それを使用 していた人が 年 を重ねるごとにいな くなって しまう。コ ト情 報欠落の問題の指摘である。
二つ 日はデジ タル化 の基準 の問題 であ る。
「『何 を』映像化 し、保存するか という大 きな枠 組、明確 な基準 を設定 し、検討する必要性 を痛 切 に感 じる」 と指摘 している。 この問題 につい ては4章において後述するが、世界的に博物館 資料の情報化の基準が提案 されてお り、民具 に ついてもこの基準 との整合性 を詰めてい く必要 がある。
三つ 目は公開の問題である。「一つで も多 くの 資料が、一部の研究者だけでな く、多数の一般 利用者の目に触れるよう、情報 を提供すること は、データ・ベースの主要な機能の一つである」
と確認 したうえで、「何の知識 もない一般利用者 が使用で きるようにするためには、『閲覧・検索』
システムの方法など、利用者の階層 (大人、小 中学生等)にあった方法が検討 される必要があ ろう」 と利用者 に合わせた公開の必要性 を指摘
している。
民具情報 のデー タベ ース化 に関す る一検討
撮影年月日 撮影者 写真画像
図 1 民具台 帳の再構成
幸
2.2.民謡DB
国立歴史民俗博物館 において民謡DBが検討
された (注6)。 この研究では民謡の分類 につい て様 々に検討 されたが万人が納得で きるものが 作れず実用 までは至 らなかった。 この結果 を受 けて亦野あゆみ(注7)は「データベースを作成 する際には (中略)使用 目的にあった形で実際 のデータベース項 目を決めてい く方法 をとるな どすれば、必ず しも分類は必要不可欠なもので はない」 としたうえで、分類 とはデータを管理 する側の問題である事、分類 とはそれ 自体が研 究にな りうるため安易 に固定すべ きでない事 と い う指摘 を引用 した後 に「データベース化 と分 類の問題 は別々に検討すべ きものである。 さら に、データベースに情報 を蓄積 してい くことに よって新たな分類の方針が見えて くる、 という のが理想的であろう」 と指摘 している。
しか し、民具のように広範囲の資料群 を扱 う こと、また利用者の理解の一助 になることを考 えると大 まかな分類は必要であると考 える。ま た適切 に正規化 されたDBであれば構築後 も分 類項 目の追加や削除は可能であ り、い くらかの 柔軟性 はある。従って暫定的で も分類 を行い、整
理 された形で情報発信 をすべ きであると考える。
2.3.年中行 事DB
この研究の報告書 (注8)にはDBの詳 しい設 計内容 は紹介 されていない ものの、この研究 に おける (1)民俗語彙の問題 と (2)分類の問題 を検討 してみる。
(1)民俗語彙の問題
これは要す るに語彙の多様性 の問題である。
一つの年中行事 について複数の呼称がある場合 や、発音が微妙 に異なる場合があ り、この多様 性 をDBで どう扱 うか という問題である。この研 究 においては日本民俗事典 によつて一般的な名 称 を与えたが、同時にシソーラス(thcsaurus:類 語辞典)の必要性 を説いている。
(2)分類の問題
この研究における分類は、資料情報 を管理す るというねらいで分類 を設けている。 しか し厳 密 にやろ うとして も結局多様性 を収め きれず、
処理 に迷 うものや分類の階層 においても錯綜 し て しまうため、「・……それらの関係 をどのように 表現 し、検索 に役立たせてい くかが大 きな問題 となる」と課題 を残 している。そ して、「 もちろ
んこれら全ての関係を表現することは必要なく、
(中略)できるだけこれらを生かすような工夫を するべ きである……」 としている。
この研究からは、語彙の多様性の解決はシ ソーラスの利用が一助になること、分類にこだ わりすぎると例外を処理できないため、特に多 岐にわたる民俗学資料は無理に厳密に分類する 必要はない、という二点を汲み取ることができ る。
3口 民具DB構築
3.1.留意点 の ま とめ
これまでに民具資料の情報化 について留意点 がい くつか明 らかになった。 これ らをまとめる
と表19姿 p蜃
曇不料の情報化の留意点
留意点は情報化準備段階におけるもの と情報化 段階におけるものに分類で きる。準備段階の も のは、仮 に情報化 をせず とも資料管理において 必要な留意点である。
3.2.留意点 の 実践 案
これらの留意点 を踏 まえ実際にDBを構築 し、
留意点の実践 を試みた (注9)。
3.2.1情報化準備段階の留意点
本件 の場合既 に民具台帳が存在 し、それ に
沿つて情報が整理 されていたため、基本的にこ の台帳の項 目を全てDB化することとした。本 DBはRDB(Relationd Data Base:関 係型データ ベース:以下本稿ではRDBと略す)であ り、DB
上で台帳の項 目を再構成 し、モノ情報・ コ ト情 報 など項 目ごとのまとまりをはっきりさせるよ
うにし、民具一点ごとに情報 を管理することと した。これによつて同名の民具であつて もそれ らは別々の民具の情報 として認識 される(図1)。
また本DBにはどの ような民具が どれだけ収 蔵 されているかを明 らかにするためDBとは別 に収蔵品目録 を作成 した。 これによつて利用者 の「 どこに何があるか」 という要求に応えるよ うにした。
3.2.2情報化段階の留意点
分類 とDB構築は別問題であるとい う指摘が あるが、分類 を全 く用いないのは不便であるし、
分類 は未知の民具の理解 を助ける意味 もある。
情報化準備段階
まず台帳で情報 を整理す る
モ ノ情報・ コ ト情報の区別 を明確 にす る 同名 の民具で もそれぞれ内包す る情報 は異
なるため一点 ごとに情報管理す る 収蔵 品 目録 を作成す る
情報化段階
どのデータを情報化するか明確 にする 分類 は状況に合わせて検討するが、拘 りす
ぎてはいけない
語彙の多様性はシソーラスで補 う 公開対象の人を明確 にする
表2 機能分類項 目
1 捕 る (漁猟用具)
2 飼う(畜産用具)
飼 う (養蚕用具)
4 耕す (農耕用具)
こなす (脱穀調整・食料加工用具)
6 か しぐ (煮焼蒸用具)
7 食べ る (食料調理・食用具)
蓄える (容器 。包装用具)
9 運ぶ (運搬・交通用具) 10 住まう(住用具)
ともす 。あたためる (灯火・暖房用具)
身につける (着用具)
よそおう(容姿用具)
14 紡 ぐ・染める 。織 る (紡織用具)
切る (切裁用具)
16 つ くる (加工用具)
17 計る (計量用具)
伝える (意思伝達用具)
19 遊ぶ 。楽 しむ (玩具・遊戯・娯楽用具)
20 祈る 。まじなう(信仰呪術用具)
民具情報のデータベース化 に関する一検討
検索結果(簡易表示)
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螂彎
常
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検索結果(詳細表示)
そ こで本DBでは宮本常一の機能分類 (注10)を 用 いた (表2)。 また理解 をよ り助 けるため民具 につ いて詳細 な動作 を記録す る欄 を設 け機能分 類 を補 ってい る。
但 しこの分類 はあ くまで本DB上にお ける利 用者の理解 を助 けるための便宜的な分類であ り、
本DBに納 め られてい る民具 の分類 を恒 久 的 に
定 めた もので はない。研 究者が必 要 と感 じれば 別 の分類 を当てはめて各 自の研 究 を進 め るのが 望 ま しい。
語彙 については当地域 での呼称 に加 え、一般 語彙の併記 とい う意味で「 日本民具辞典」 に同 一 の民具の名称がある もの については「標準名」
として併記 した。そ して、研 究者や台帳情報 を 全 て見 たい利用者用 と、最低 限の情報 を知 りた
表3 MICMOの項目 (参考文献11より)
項 目
1 組織名 Institution name
2 資料 同定番号 Object identification number
3 資料分類 Object category
4 資料名 Object name
5 収蔵場所
6 受入情報 Acquisition information
7 資料構成数 Number of parts or components
8 姿酬斗タイ トル Object title
9 記録情報 Record information
10 法量 Measurements
H 素材・材質 Mate壺als
12 技術 Techniques
13 記号・刻印 Marks and inscriptions
14 主題 Subjects, contents, Iconographical, keywords
15 状態 Condition
16 画像 Lnage 分 野
目録記入
物理的記述
内容 に関する情報 17 原作
い一般の利用者用 にインタフェイス レベルで閲 覧で きる項 目を設定 し対応することとした (図 2)。 図2は上が最低限の簡易表示、下が台帳全
ての項 目の詳細表示の例である。
3.3.残され た 問題点
留意点についての実践案 を提示 したが、まだ 解決 しきれていない問題が残 されている。分類 と語彙の問題である。 これ らの問題 は2章で述 べた民具の「人間の生活全般に関わる資料のた め広範囲にわたる」 という性質に起因するもの であ り、民具 を扱 う上では避けて通れない問題 である。
分類 については普遍的な項 目を作 ろうとする と地域の特徴が見えに くくな り、地域 に特化 し た分類 を作 ろうとすると普遍化で きない という ジレンマが見 られる。現状は、機能分類や用途 分類 を参考 に地域 に即 した分類 を採用 している ところが多いようであるが、民具学界全体で考 えたときに分類項 目がバラバ ラにな り不便が生
Origins
じる。
またDB単体で多様 な語彙 を一度 に扱 うこと は難 しく、指摘 どお リシソーラス との併用が望 ましい と考 えるが、そのためにはシソーラスの 開発研究 を待たねばならない。
4口 博物館資料情報化 の世界標準 と 民具 DB
4.1.:COM‐CIDOCの博物館資料情報 化動向
世界 の博物館資料 の情報化動 向 に目を向けて み る とIcoM(htemationd Council ofMusellm:
国 際 博 物 館 会 議)の国 際 的 な委 員 会 で あ る
CIDOC(International Committee for Docmentation:国際 ドキユメ ンテー シ ョン委員 会)(注 11)が取 り上 げ られ る。この他 に も英 国 のMDA(MuseluIIs Docllmentation Association:博 物館 ドキュメンテーシ ョン協会)(注12)や カナ
ダのCHIN(Canadian Heritage lnformation
民具情報のデータベース化 に関する一検討 表4 民具台帳の例
分 野 項 目 分 類 項 目
番号 調査地
分類番号など 住所
製 作 対価/仕入先
製作者/製作時間/製作用具 縦 ×横 ×高/長径 ×短径 ×高 柄角/重さ
名 称 名称
別名
部分名 材 料 材料名″ 料産地
材料の処理法 用 途 使用 目的
使い方 効用
仕事時間/仕事量 使用年代
使用者の職業/氏名炸 齢′隆別
分 布 住 所
由来変遷 由来伝詢 禁忌・俗信云い伝 え 写 真 調査年月 日
写真番号
談話者職業/氏名/年齢′隆別 調査者氏名/FT属
入手経路 借用/購入月ヒ/自製島 らう
network:カ ナ ダ文化財情報 ネ ッ トワーク)(注 13)など自国で博物館資料情報化 の標準項 目を 提 唱 してい る国 もあるが、本稿 では国際機 関で あるICOM̲CDOCにつ いて取 り上 げる。
CIDOCに よる資料 標 準 化 の動 きの一 つ に MICMO(Minimum lnformation Categories for Museum OtteCtS:博 物館資料 の最小情報分類)が ある。これは、「1994年 8月 ワシン トンにて行わ れた国際会議の場で提唱され」「博物館の規模や 種類に関わ らず、将来ネッ トワーク化の促進の 際に、互いの基本的な共通認識 としてデータ項 目を規定 してお くべ きだと考えられ」た もので ある (注14)(表3)。
「最小限情報」と銘打たれているのは「この項 目だけについて情報 を集めればよい」 という意 味ではな く、「これは情報を集めるべ き最ガヽ限の 項 目であ り、 この項 目に加えて各館が独 自の項 目を設 ける」 とい う意味である。そ して この
MICMOは項 目を規定 したものであ り、項 目内の 記述形式 を規定 した ものではない。
また、博物館の持つ資料情報 を意味で もって 結 び付 けてい くCRM(Conceptual Reference Modd:以下本稿ではCRMと 略す)とい う標準
も進め られている。これはRDЁに替わるオン ト ロジー (Ont010gy)に よる情報化の手法であ り、
既存DBのスキーマにとらわれないため、横断的 利用が期待 されている。現在 は実装 にむけての 研究が進め られている。(注15)
DBでMICMOのようなメタデータ (Meta Data:データ検索のためのデータ)記述 を実現す る方法 としては、xML(eXtensible Markup Language)(注 16)やRDF(Resollrce Description Framework)(注 17)を用いてプログラムを組む 手法がある。そ して、将来的にはネッ トワーク を利用 してメタデータ記述 によるDB情報の横
断的利用が期待 されている。
4.2.民具DBとの整 含性
MICMOの項 目は博物館資料全般 について提 唱 されたものである。 これを博物館資料たる民 具 に照 らし合わせてその整合性 を考察する。
(表4)は神奈川大学 日本常民文化研究所 にお ける民具台帳の項 目である。民具台帳は各博物 館や研究所 によって異なるが、名称、採取地、素 材… といった基本項 目については大同小異であ
ると考えてよい。
MICMOと民具台帳 を比較すると、MIcMoの 4,10,Hな どは民具のモノ情報 に相当 し、6,12, 13などはコ ト情報 に相当する。また民具には欠 かせない16,画像 もあ り、モノ情報・ コ ト情報
をはっきり認識 した上で当てはめれば博物館資 料 たる民具の最小限情報分類 として も妥当 と考
えられる。
しか し、MICMOに対応するにして も分類や語 彙の問題は依然残 されたままである。む しろこ れ らの問題 を解決 してか らMICMOへの対応 を 検討するのが手順である。例 えば 4,資 料名 に標 準名を当てはめると地方名で検索ができない し、
逆 もしか りである。またこの台帳ではMICMOの 7,15に対応する項 目が無いの も問題である。
今後の民具DBの動向 としては、 まず最低限
MICMOに対応 した項 目を入れること、その上で メタデータ記述 によつてネットワーク上での横 断利用に対応 してゆ くことが望 ましいと考 える。
5.まとめ
以上、民具情報のDB化についての留意点 とそ の解決案、そ して国際的な博物館資料の情報化 動向について述べた。本稿 において民具の情報 化、特 にDB化についてその留意点 と実践案の一 例 を提示で きたと考 える。 しか し、分類の問題 はいずれ何 らかの解決 をしなければならず、語 彙の問題 はシソーラスの開発研究が課題 として 残 っている。
DBを構築 した次の段階 として情報の検索、即 ち情報の共有がある。従 つてこれか らのDBは情 報の共有 を視野 に入 れる必要がある。 さ し当 たってはMICMOの ような国際的なメタデータ 標準 に対応 してい くこと、そ して将来的 には
CRMのようなオン トロジーモデルにも対応 して ゆけるような姿勢が求め られるだろう。CRMは
現在 まだ研究段階であ り、実装 に向けての項 目 名などはこれか らの研究課題である。その際に は既存のメタデータ規格が参考になると考える。
これか らの民具資料のDB化には民具学か ら の視点、博物館か らの視点、情報学か らの視点 といった複合的な視点で考えてゆ くことが必要 である。これまでにも国立歴史民俗博物館 (注
18)や神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科
(注19)な どで民具学、博物館学、情報学などで 学際的に研究 を行 った例がある。今後 はこの路 線 をさらに進めて多角的に研究 してい くことが 望 ましい と考える。
付記
本稿の竜洋町民具台帳の整理は竜洋町教育委 員会竜洋町史編 さん室 と静岡県立掛川西高校教 諭 (2004年当時)の中山正典先生が中心 となっ て行われたものであ ります。貴重な資料 を快 く お貸 し下 さり、また論文作成 に際 し大変お世話 にな りました。この場 を借 りてお礼 申し上げま す。
1.福田アジオ 。新谷尚紀・湯川洋司・神田よ り子 。中込睦子・渡邊欣雄編『日本民俗大 辞典 下』吉川弘文館 2000年 634項 注 1に 同 じ、636〜637項
柏村祐司「民具研究 と博物館」歴史 と民俗 神奈川大学 日本常民文化研究所論集13 平凡社 1996年 35項
博物館法第二条 による
1997年に同館 による民具資料 を中心 とした 収蔵資料のDB化プロジェク トがお こなわ れた。報告は吉留徹「民俗資料の映像化 と デジタル・アーカイブの課題一豊北町歴史 民俗資料館民俗資料映像データ 。ベースの 事例 を通 して―」民具マ ンス リー第36巻8 号 神奈川大学 日本常民文化研究所 2003 年
6。 国立歴史民俗博物館 を中心 に各分野か ら研 究者を集めてプロジェク トチームを編成 し、
日本の民謡の分類法 とデータベース化の研 究 を行 ったもので1989年に報告書が出され ている。小島美子代表『民謡の分類法 とそ のデータベース化に関する総合的研究』国 立歴史民俗博物館 1989年
7.亦野あゆみ「民俗資料のデータベース化 に [注]
2.
3.
4.
5。
民具情報のデータベース化 に関す る一検討 関する基礎研究」神奈川大学大学院歴史民
俗資料学研究科修士論文 1997年
8.新潟県朝 日村 と千葉県袖 ヶ浦町における一 年間の年中行事 を民俗調査 し、その資料 を 実際にDB化した ものである。松本浩一 。古 家信平「民俗資料データベース化の試み一 年中行事資料 を中心 として一」人文科学 と
コンピュータ6‑1 情報処理学会 1990年 9.本DBは静岡県磐田市 (1日磐 田郡竜洋町)に
おける民具資料 をDB化した ものである。民 具の選考 については竜洋町教育委員会竜洋 町史編 さん室 (2004年当時)において過去 に民具調査が行 われ、2000点 強の民具台帳 がで きていたためそれを基 にした。ただ し 民具台帳 に付記 されている情報 は少 な く、
聞 き書 き調査でで きる限 り情報 を補い、主 に農業 に関する民具 を中心 に456点の民具 台帳 をDB化した。開発環境は以下の とお り である。
OS:Microsott Windows Millemium Edition デー タベ ース ソフ ト :MicЮso■Access2000
10。 宮本 の機 能分類 は人 間の動作 に着 目 し、民 具 を20のカテ ゴリに分類 した ものである。
民具 の用途 で はな く、人間の動作 に主眼が 置 かれているため、未知 の民具 で もその働 きを直感 的 に理解 しやすい。宮本常一 『民 具学 の提 唱』未来社 1979年 1 〜202項 11. CDOC
h岬ノ加W・Willpowerinfo.myby.coouk/cidoげ 国際博物館会議
httpノ′www.museum.orjp/icom―J/
12.MDA
http://www.mda.orgouk/
13. CHIN
h中プノwwwochin.gcoca/
14.和久田聖衣・八重樫純樹「デジタルアーカ イブの調査研究 一博物館情報の標準化動 向を中心 に―」情報学研究第10巻 静岡大 学情報学部 20И年 128項
15.村田 良 二「CDOC CRMに よ る デ ー タ モ デ リ
ング」 アー ト。ドキュメンテーシ ョン研究
NO.H アー ト・ ドキユメンテーシ ョン学 会 20 年 など
16.W3C(World Wide Web Consortium)に よっ て勧告 されたマークア ップ言語 のための フレーフレセ ッ ト。
17.W3Cに よって勧告 された資源記述のための 枠組み。
18。 国立歴史民俗博物館研究報告第30集 共同 研究「歴史研究支援情報処理の研究一画像 データを中心 にして一」国立歴史民俗博物 館 1991年など
19.神 奈川大学21世 紀COEプログラム「人類文 化研究のための非文字資料の体系化」2003 年〜
[参考文献]
1.福田アジオ・新谷尚紀・湯川洋司 。神 田よ り子 。中込睦子・渡邊欣雄編『日本民俗大 辞典 下』吉川弘文館 2000年
2.日本民具学会編著 『日本民具辞典』株式会 社 ぎょうせい 1997年
3.宮本常一『民具学の提唱』未来社 1979年
4.嘉村哲郎「博物館・美術館 を中心 とした収 蔵 品情報 の横 断的利用 の考察 一CIDOC
CRMの適用か らセマンティックwebへの展 望」一 アー ト・ ドキュメンテーシ ョン学会 第16回年次大会予稿集 アー ト・ ドキュメ ンテーション学会 2005年
5。 坂井知志 。高橋信裕 。高安ネL士。武田国夫・
水嶋英治・八重樫純樹共著・編『博物館情 報論』樹村房 1999年
6.柏村祐司「民具研究 と博物館」歴史 と民俗 神奈川大学 日本常民文化研究所論集13 平凡社 1996年
7.吉留徹「民俗資料の映像化 とデジタル・アー カイブの課題―豊北町歴史民俗資料館民俗 資料映像データ・ベースの事例 を通 して―」
民具マ ンス リー第36巻8号 神奈川大学 日
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人文科学とコンピュータ6‑1 情報処理学会 1990年
11.和久田聖衣 。八重樫純樹「デジタルアーカ
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12.村田 良 二「CDOC CRMに よ る デ ー タ モ デ リ
ング」アート・ドキュメンテーション研究
NO.H アー ト・ ドキュメ ンテー シ ョン学 会 2004年
13.ICOM CDOC編 鯨井秀伸編訳 『アー ト・
ドキ ュメ ンテーシ ョン叢書I 文化遺産情 報のData Modelと CRM』 勉誠出版 2003年 14.E.Oma&Ch.Petti■著 安澤秀一監修 水 嶋英治編訳『アー ト・ ドキュメンテーショ
ン叢書2 博物館情報学入門』勉誠出版 20034「