脂質異常症の日本人患者における臨床検査値に対する
スタチンとフィブラートの効果の比較 - 後ろ向きコホート研究 -
日本大学大学院医学系研究科博士課程 生理系薬理学専攻
竹内 聡
修了年 2020 年
指導教員 浅井 聰
1
脂質異常症の日本人患者における臨床検査値に対する
スタチンとフィブラートの効果の比較 - 後ろ向きコホート研究 -
日本大学大学院医学系研究科博士課程 生理系薬理学専攻
竹内 聡
修了年 2020 年
指導教員 浅井 聰
2
目 次
1
概 要3
2
緒 言4
3
目 的6
4
対 象 と 方 法7
4(1)
デ ー タ ソ ー ス7
4(2)
デ ー タ 抽 出7
4(3)
統 計 解 析8
5
結 果10
5(1)
患 者 背 景10
5(2)
薬 剤 の 効 果 の 推 定10
6
考 察12
6(1)
主 要 な 発 見 の 概 要12
6(2)
先 行 研 究 の 結 果 と の 比 較12
6(3)
限 界(limitations) 14
7 結 論
15
3
1. 概要
本 研 究 の 目 的 は 、 臨 床 試 験 の 実 施 に お い て 様 々 な 臨 床 背 景 を 有 す る 脂 質 異 常 症 の 日 本 人 患 者 に お け る 、 腎 機 能 系 を 含 む 臨 床 検 査 値 に 対 す る ス タ チ ン 単 剤 療 法 お よ び フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 の 効 果 を 明 ら か に す る こ と で あ る 。 デ ー タ の 抽 出 に は 日 本 大 学 医 学 部 ク リ ニ カ ル デ ー タ ウ ェ ア ハ ウ ス (
Nihon University School of Medicine Clinical Data
Warehouse; NUSM's CDW) を 用 い 、2005
年1
月 か ら2017
年12
月 の 間 に 脂 質 低 下 効 果 が 安 定 し た と 考 え ら れ る 、 少 な く と も2
か 月 間 ス タ チ ン 単 剤 療 法 ま た は フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 で 新 た に 治 療 さ れ た20
歳 以 上80
歳 未 満 の 脂 質 異 常 症 患 者 を 抽 出 し 、 後 向 き コ ホ ー ト 研 究 を 実 施 し た 。性 別 、 年 齢 、 お よ び 治 療 開 始 前 の ト リ グ リ セ リ ド
(TG)
に よ っ て 無 作 為 に2
組 に マ ッ チ ン グ さ せ たTG
適 合 ペ ア(415
人 の フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 及 び415
人 の 適 合 ス タ チ ン 使 用 者)830
人 の 患 者 、 及 び 同 様 に 性 別 、 年 齢 、 ま た は 低 密 度 リ ポ 蛋 白 質(LDL)
コ レ ス テ ロ ー ル に よ っ て マ ッ チ ン グ さ せ たLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア(586
人 の フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 及 び586
人 の 適 合 ス タ チ ン 使 用 者)1172
人 の 患 者 を 選 定 し た 。 解 析 対 象 の 評 価 項 目 と し て 、TG
、LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 、 な ら び に 赤 血 球(RBC)
数 お よ び 血 小 板(PLT)
数 、 血 清 ク レ ア チ ニ ン 、 推 定 糸 球 体 濾 過 率(eGFR)
、 尿 素 窒 素(BUN)
、HbA1c
、 ア ス パ ラ ギ ン 酸 ア ミ ノ ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ(AST)
、 お よ び ア ラ ニ ン ア ミ ノ ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ(ALT)
の 1 0 種 類 を 使 用 し た 。 こ れ ら 評 価 項 目 に 対 す る 薬 剤 の 効 果 を 、 一 般 化 推 定 方 程 式 を 用 い て 推 定 し 比 較 し た 。解 析 の 結 果 、 薬 剤 投 与 前 後 の 臨 床 検 査 値 の 変 化 量 の 比 較 に お い て 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 で は ス タ チ ン 使 用 者 と 比 較 し て 、 血 清 ク レ ア チ ニ ン お よ び
BUN
の 増 加 、 な ら び にeGFR
、ALT
お よ びRBC
の 減 少 が 、TG
適 合 ペ ア お よ びLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア と も に 、 有 意 に 大 き か っ た 。 ま た 、 血 小 板 の 減 少 は 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 と 比 べ て ス タ チ ン 使 用 者 で 有 意 に 大 き か っ た 。こ れ ら の 結 果 は 、 腎 機 能 に 対 す る 保 護 作 用 は フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 よ り も ス タ チ ン 単 剤 療 法 で よ り 大 き い 一 方 で 、 血 小 板 数 の 低 下 作 用 は ス タ チ ン 単 剤 療 法 が フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 よ り も 大 き く 、 ス タ チ ン 使 用 者 は 脳 出 血 等 の 出 血 イ ベ ン ト に 関 す る 臨 床 検 査 値 に つ い て 定 期 的 に モ ニ タ ー す べ き で あ る こ と を 示 唆 し て い る 。
4
2. 緒言
ス タ チ ン と フ ィ ブ ラ ー ト は 、 異 な る 作 用 機 序 を 介 し て 脂 質 プ ロ フ ァ イ ル の 異 な る 成 分 を 改 善 す る 脂 質 低 下 薬 で あ る 。 ス タ チ ン は ヒ ド ロ キ シ メ チ ル グ ル タ リ ル 補 酵 素
A (HMG-CoA)
還 元 酵 素 阻 害 薬 で あ り 、 肝 臓 に お け る コ レ ス テ ロ ー ル の 合 成 を 抑 制 し 、 主 に 低 比 重 リ ポ 蛋 白(LDL)
コ レ ス テ ロ ー ル 値 を 低 下 さ せ る こ と が で き る が 、 高 ト リ グ リ セ リ ド(TG)
血 症 お よ び 高 比 重 リ ポ 蛋 白(HDL)
コ レ ス テ ロ ー ル 値 に 対 す る 効 果 は 限 ら れ て い る[1]
。ス タ チ ン は 心 血 管 イ ベ ン ト お よ び 死 亡 率 を 効 果 的 に 低 下 さ せ る こ と が 報 告 さ れ て お り
[2,3]
、 現 行 の ガ イ ド ラ イ ン で は 、 推 奨 リ ス ク ス コ ア で 評 価 し た 心 血 管 疾 患 の 一 次 予 防 お よ び 二 次 予 防 に ス タ チ ン を 推 奨 し て い る[4, 5]
。 ス タ チ ン は 内 因 性 コ レ ス テ ロ ー ル 低 下 作 用 の ほ か に 、 抗 炎 症 、 抗 酸 化 、 プ ラ ー ク 安 定 化 能 も 示 し 、 心 血 管 障 害 以 外 の 疾 患 の 予 防 の 可 能 性 が あ る[6, 7]
。 蛋 白 尿 お よ び 腎 機 能 の 低 下 に 対 す る ス タ チ ン 治 療 の 効 果 は 、 慢 性 腎 臓 病(CKD)
患 者 に お け る 強 力 な 抗 炎 症 作 用 を 介 し て 発 揮 さ れ る が 、 腎 保 護 作 用 は 個 々 の ス タ チ ン に よ っ て 異 な り 、 未 だ 議 論 さ れ て い る[8-11]
。 ス タ チ ン は 一 般 的 に 安 全 で 忍 容 性 が 良 好 で あ る と 考 え ら れ て い る が[12]
、 ス タ チ ン の 使 用 と 糖 尿 病 の 新 規 発 症 と の 関 係 性 に つ い て 懸 念 さ れ て い る[13, 14]
。フ ィ ブ ラ ー ト は フ ィ ブ リ ン 酸 誘 導 体 で あ り 、 ペ ル オ キ シ ソ ー ム 増 殖 因 子 活 性 化 受 容 体
α (PPARα)
を 活 性 化 す る 。PPARα
は 、 脂 質 合 成 と 分 泌 に 関 与 す る 酵 素 の 遺 伝 子 転 写 を 調 節 し 、 血 漿 ト リ グ リ セ リ ド の 減 少 とHDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 の 改 善 を も た ら す[15]
。 ま た 、PPARα
の 活 性 化 は 活 性 酸 素 種 の 生 成 お よ び 炎 症 性 サ イ ト カ イ ン 発 現 を 減 少 さ せ[16]
、 メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム お よ び2
型 糖 尿 病 に 関 連 す る ア テ ロ ー ム 性 脂 質 異 常 症 を 改 善 す る[17]
。 さ ら に 、 フ ィ ブ ラ ー ト は 心 血 管 イ ベ ン ト[18]
や 下 肢 切 断 お よ び 網 膜 症 レ ー ザ ー 治 療 な ど を 伴 う 糖 尿 病 性 微 小 血 管 合 併 症 の リ ス ク を 低 下 さ せ る 可 能 性 が あ る[19, 20]
。 し か し な が ら 、 肝 代 謝 型 の フ ィ ブ ラ ー ト で は 腎 機 能 に 対 し て 影 響 を 与 え な い と い う 報 告 が あ る 一 方 で[21]
、 腎 排 泄 性 の フ ィ ブ ラ ー ト に お い て は 治 療 中 に ク レ ア チ ニ ン 、 シ ス タ チ ンC
お よ び ホ モ シ ス テ イ ン の 血 清 中 濃 度 が 増 加 す る こ と か ら 、 腎 機 能 障 害 患 者 に は 慎 重 な 投 与 が 必 要 で あ り 、 一 過 性 の 腎 機 能 障 害 が 示 唆 さ れ る[16, 22, 23]
。 脂 質 異 常 症 の 管 理 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン で は 、 脂 質 低 下 療 法 を 受 け て い る 患 者 で は 、 脂 質 プ ロ フ ァ イ ル の ほ か に 、 腎 機 能 を 含 む い く つ か の 臨 床 検 査 値 を 定 期 的 に モ ニ タ リ ン グ す る こ と が 推 奨 さ れ て い る[24]
。 ス タ チ ン 系 薬 剤 と フ ィ ブ ラ ー ト 系 薬 剤 と の 間 の 作 用 機 序 お よ び 潜 在 的 か つ 多 面 的 効 果 の 違 い に よ っ て 、 臨 床 検 査 値 が ど の よ う な 影 響 を 受 け る 可 能 性 が あ る か は 興 味 深 い 。 し か し な が ら 、 ス タ チ ン と フ ィ ブ ラ ー ト の 臨 床 検 査 値 に 及 ぼ す 影 響 を 比 較 し た 報 告 は 少 な く 、 様 々 な 併 存 疾 患 を 有 し 、 併 用 薬 を 投 与 さ れ て い る 患 者 で の 報 告 は 特 に 少 な い 。 し た が っ て 、 本 研 究 で は 、 ス タ チ ン 単 剤 療 法 お よ び フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法5
が 臨 床 検 査 値 に 及 ぼ す 効 果 を 調 べ る た め 、
LDL
コ レ ス テ ロ ー ル お よ びTG
、 な ら び に 赤 血 球(RBC)
数 お よ び 血 小 板(PLT)
数 、 血 清 ク レ ア チ ニ ン 、 推 定 糸 球 体 濾 過 率(eGFR)
、 尿 素 窒 素(BUN)
、HbA1c
、 ア ス パ ラ ギ ン 酸 ア ミ ノ ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ(AST)
、 お よ び ア ラ ニ ン ア ミ ノ ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ(ALT)
の 値 を 後 ろ 向 き に 調 査 し 、 比 較 検 討 し た 。eGFR
は 血 清 ク レ ア チ ニ ン と 性 別 、 年 齢 の パ ラ メ ー タ を 用 い て 推 算 さ れ る 検 査 値 で あ る が 、 慢 性 腎 不 全 (CKD
) ス テ ー ジ の 指 標 に は ク レ ア チ ニ ン 値 で は な くeGFR
の 値 が 使 用 さ れ た め 、 本 研 究 で は 血 清 ク レ ア チ ニ ン だ け で な くeGFR
も 解 析 対 象 の 項 目 に 含 め た 。6
3. 目的
本 研 究 の 目 的 は ス タ チ ン 単 剤 療 法 お よ び フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 が 臨 床 検 査 値 に 及 ぼ す 影 響 を 比 較 検 討 す る こ と は 先 に 述 べ た 。我 々 の 研 究 の 意 義 と し て は 、腎 機 能 、肝 機 能 、お よ び
HbA1c
、赤 血 球 と 血 小 板 に 対 す る ス タ チ ン や フ ィ ブ ラ ー ト 療 法 の 有 害 作 用 が 懸 念 さ れ る 混 合 型 脂 質 異 常 症 患 者 に お い て 、医 師 が 薬 剤 選 択 に 関 す る 決 定 を 下 す 指 標 に な れ ば と 考 え た 。タ ン パ ク 尿 及 び 腎 機 能 低 下 に 関 す る ス タ チ ン の 効 果 は 、個 々 の ス タ チ ン 間 で 異 な る が 、多 く の 報 告 が あ り 、ま た フ ィ ブ ラ ー ト に つ い て は 腎 排 泄 性 の フ ィ ブ ラ ー ト で は 、 ク レ ア チ ニ ン や シ ス タ チ ン
C
及 び ホ モ シ ス テ イ ン の 血 中 濃 度 が 上 昇 す る と い う 報 告 が あ る 。以 上 の 先 行 報 告 よ り 、ス タ チ ン が フ ィ ブ ラ ー ト よ り も 腎 機 能 に 対 し て 良 い 影 響 を 与 え る か も し れ な い と い う 仮 説 を 検 証 す る た め に 臨 床 デ ー タ を 用 い た 比 較 研 究 を 行 っ た 。
7
4. 対象と方法
(1)
データ ソー ス本 研 究 は 臨 床 デ ー タ ベ ー ス を 用 い た 後 ろ 向 き コ ホ ー ト 研 究 で あ る 。 研 究 で 使 用 し た 臨 床 情 報 は 日 本 大 学 臨 床 デ ー タ ウ ェ ア ハ ウ ス (
Nihon University School of Medicine's Clinical Data Warehouse; NUSM's CDW
) よ り 入 手 し た 。NUSM's CDW
は 日 本 大 学 医 学 部 付 属 板 橋 病 院 、 練 馬 光 が 丘 病 院 、 駿 河 台 日 本 大 学 病 院 の 病 院 情 報 シ ス テ ム よ り 入 手 し た 医 事 情 報 、 検 査 情 報 、 薬 剤 オ ー ダ リ ン グ 情 報 等 を 統 合 し て 一 元 管 理 し て お り 、 個 人 情 報 の 保 護 の た め に 患 者 デ ー タ は す べ て 匿 名 化 さ れ て 格 納 さ れ て い る[25]
。 本 シ ス テ ム の 薬 剤 デ ー タ ベ ー ス は 、 患 者 の 年 齢 ・ 性 別 な ど の 基 本 情 報 や 診 断 、 臨 床 検 査 デ ー タ な ど の 詳 細 な 臨 床 情 報 と 経 時 的 に 関 連 付 け さ れ た 約70
万 人 分 の 処 方 デ ー タ を 保 存 し て い る 。NUSM's CDW
を 用 い た 心 血 管 領 域 の 臨 床 研 究 は こ れ ま で に 数 本 報 告 さ れ て い る[26-32]
。(2)
データ 抽出2005
年1
月1
日 か ら2017
年12
月31
日 の 期 間 に 初 め て ス タ チ ン 又 は フ ィ ブ ラ ー ト を 処 方 さ れ た20
歳 以 上80
歳 未 満 の 日 本 人 脂 質 異 常 症 患 者 で 、 脂 質 低 下 効 果 が 安 定 し た と 考 え ら れ る 少 な く と も2
ヵ 月 以 上 の 対 象 薬 剤 に よ る 治 療 を 受 け た 日 本 人 患 者 を 、NUSM’s CDW
を 用 い て 抽 出 し た 。 ス タ チ ン 及 び フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 群 に 用 い た 脂 質 低 下 薬 を 表1
に 示 す 。 研 究 期 間 中 に 急 性 肝 不 全 、 急 性 腎 不 全 、 末 期 腎 不 全 、 ネ フ ロ ー ゼ 症 候 群 と 診 断 さ れ た 患 者 及 びCKD
ス テ ー ジG5
の 患 者 、 透 析 治 療 を 受 け て い る 患 者 を 除 外 し た 。 ま た 、 対 象 薬 剤 の 投 与 期 間 中 に 他 の 脂 質 低 下 薬 を 使 用 し た 患 者 を 研 究 対 象 か ら 除 外 し た 。 続 い て 、 ス タ チ ン ま た は フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 開 始 前90
日 間 の 血 清TG
、LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 、 お よ び ク レ ア チ ニ ン デ ー タ の 欠 測 値 を 有 す る 患 者 を 除 外 し た 。 上 記 の 基 準 を 満 た し た ス タ チ ン 単 剤 療 法 の 新 規 使 用 者8354
例 お よ び フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 の 新 規 使 用 者703
例 を 抽 出 し た(
図1)
。 臨 床 状 況 に お い て ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の 間 で 脂 質 プ ロ フ ィ ー ル は 必 然 的 に 異 な る た め 、 患 者 を 薬 剤 治 療 開 始 前 の ベ ー ス ラ イ ン 時 のTG
値 ま た はLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 に よ っ て2
組 の ペ ア に 無 作 為 に マ ッ チ さ せ 、 非 無 作 為 化 被 験 者 に お け る バ イ ア ス を 減 少 さ せ た 。 各 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 に 対 し て 、 性 別 、 年 齢(±1
歳)
、 お よ び ベ ー ス ラ イ ン 時 の 血 清TG
値(±1mg/dL)
ま た は 血 清LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値(±1mg/dL)
に 従 っ て ス タ チ ン 使 用 者 を 無 作 為 に マ ッ チ さ せ た 。 そ の 結 果 、 ベ ー ス ラ イ ン 時 の 血 清TG
値 に 基 づ い て マ ッ チ ン グ さ せ たTG
適 合 ペ ア830
例(
フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者415
例 、 ス タ チ ン 使 用 者415
例)
お よ び ベ ー ス ラ イ ン 時 の 血 清LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 に 基 づ い て マ ッ チ ン グ さ せ たLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア1172
例(
フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者586
例 、 ス タ チ ン 使 用 者586
例)
を 選 定 し 、 各 ペ ア セ ッ ト を 比 較 し た 。 な お 、TG
値 とLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 が 一 致 す る デ ー タ セ ッ ト は 、 サ ン プ ル 数 が 少 な い た め 、 本 研 究 で は 解 析 し な か っ た 。ベ ー ス ラ イ ン 期 間 は 、ス タ チ ン ま た は フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 の 開 始 前
3
ヵ 月 以8
内 と 定 義 し た 。治 療 期 間
(
投 与 期 間)
は 、薬 剤 の 長 期 効 果 を 評 価 す る た め 、投 与 開 始 日 を 起 点 と し た 日 数 を0
~3M (
投 与 開 始 か ら3
ヵ 月 未 満)
、3
~6M (3
ヵ 月 以 上 か ら6
ヵ 月 未 満)
、6
~9M (6
ヵ 月 以 上 か ら9
ヵ 月 未 満)
、9
~12M (9
ヵ 月 以 上 か ら12
ヵ 月 未 満)
で 分 類 し た 。 血 清TG
、LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 、HbA1c
、 ク レ ア チ ニ ン 、BUN
、ALT
、お よ びAST
を 含 む 血 液 検 査 デ ー タ 、な ら び にRBC
数 お よ びPLT
数 を 含 む 血 液 学 的 パ ラ メ ー タ(
ア ウ ト カ ム)
は 、ベ ー ス ラ イ ン 期 間 の 薬 剤 投 与 開 始 日 に 最 も 近 い 日 、 な ら び に 投 与 期 間 の 治 療 開 始 後3
、6
、9
、 お よ び12
ヵ 月 に 最 も 近 い 日 に 個 別 に 収 集 し た 。eGFR
は 日 本 腎 臓 学 会 が 推 奨 す る 下 記 の 推 定 式 を 用 い て 計 算 し た[33]
。eGFR (mL/min/1.73 m
2) = 194*SCr
-1.094*Age
-0.287(*0.739 if female) GFR
カ テ ゴ リ ー は 以 下 の よ う に 割 り 当 て ら れ る 。G1(eGFR
>=90mL/min/1.73m2)
、G2(eGFR 60
~89mL/min/1.73m2)
、G3a (eGFR 45
~59mL/min/1.73m2)
、G3b (eGFR 30
~44mL/min/1.73m2)
、G4(eGFR 15
~29mL/min/1.73m2)
、G5 (eGFR <15 mL/min/1.73 m2).
デ ー タ ベ ー ス か ら 収 集 し た 患 者 情 報 は 、 年 齢 、 性 別 、 既 往 歴 及 び 薬 剤 処 方 歴 で あ っ た 。 既 往 歴 は ス タ チ ン ま た は フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 治 療 開 始 の
1
年 前 ま で に 診 断 さ れ た も の と し 、 脳 血 管 疾 患(ICD-10
コ ー ド 、I60-I69)
、 虚 血 性 心 疾 患(I20- I25)
、 そ の 他 の 心 疾 患(I30-I52)
、 関 節 リ ウ マ チ(M5
、M6)
、 肝 疾 患(K70-K77)
、 腎 疾 患(N00-N19)
、 糖 尿 病(E10-E14)
、 高 血 圧(I10)
を 含 め た 。 薬 剤 処 方 歴 は ス タ チ ン ま た は フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 の 開 始 前3
ヶ 月 以 内 に 患 者 に 投 与 さ れ た 薬 剤 と し 、 抗 糖 尿 病 薬(
イ ン ス リ ン 、 経 口 血 糖 降 下 剤 、 そ の 他 の 糖 尿 病 治 療 剤 を 含 む)
降 圧 薬(
ア ン ジ オ テ ン シ ンII
型 受 容 体 拮 抗 薬(ARB)
を 含 む)
、 ア ン ジ オ テ ン シ ン 変 換 酵 素(ACE)
阻 害 薬 、β
遮 断 薬 、 カ ル シ ウ ム 拮 抗 薬(CCB)
、 降 圧 利 尿 薬 お よ び そ の 他 の 降 圧 薬)
、 抗 血 栓 薬 、 肝 疾 患 治 療 薬 、 腎 疾 患 治 療 薬 、 ス テ ロ イ ド 、 非 ス テ ロ イ ド 性 抗 炎 症 薬(NSAID)
、 利 尿 薬 、 お よ び 抗 不 整 脈 薬 を 含 め た 。こ の 研 究 に 関 す る 患 者 情 報 と 診 療 情 報 の 取 り 扱 い は 日 本 大 学 医 学 部 倫 理 委 員 会 の 審 査 ・ 承 認 を 得 た 上 で ガ イ ド ラ イ ン に 則 し て 行 っ た
(
承 認 番 号 :30-2-0/
許 可 年 月 日 : 平 成30
年6
月19
日)
。 ま た 、 本 研 究 に お い て 開 示 す べ きConflict of
Interest(COI)
は 無 い 。(3)
統計解 析患 者 背 景 を 比 較 す る た め に 、 連 続 変 数 に は
t
検 定 を 、 カ テ ゴ リ ー 変 数 に は カ イ 二 乗 検 定 を 用 い た 。 ま た ベ ー ス ラ イ ン 期 間 の 各 検 査 値 の ス タ チ ン 使 用 者 群 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 群 間 の 比 較 、 及 び 全 投 与 期 間 中 のTG
とLDL
コ レ ス テ ロ ー ル の 比 較 に はt
検 定 を 用 い た 。本 研 究 は 欠 損 値 を 含 む 反 復 測 定 デ ー タ を 取 り 扱 う た め 、 統 計 解 析 に は 一 般 化 推 定 方 程 式
(Generalized estimating equations ;GEE)
を 用 い た 。 我 々 は 、GEE
と 共 分 散 分 析 を 用 い て ス タ チ ン 使 用 者 群 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 群 の 各 群 に お け る 投 与 前 後 の 臨 床 検 査 値 の 変 化 を 群 間 で 比 較 し た 。 ま た 、 各 群 に お け る 各 治 療 期 間9
の 臨 床 検 査 値 の 変 化 量 の 最 小 二 乗 平 均 の 算 出 に も
GEE
を 用 い た 。 非 無 作 為 化 対 象 試 験 の バ イ ア ス を 調 整 す る た め 、GFR
カ テ ゴ リ ー 、 既 往 歴 及 び 薬 剤 処 方 歴 を 用 い て 算 出 し た 傾 向 ス コ ア を 用 い て 共 変 量 の 補 正 を し た が[34,35]
、 こ の 方 法 の 詳 細 は 他 紙 に 譲 る も の と す る[36]
。 そ の 結 果 、TG
適 合 ペ ア の モ デ ル で は 、 傾 向 ス コ ア 、 治 療 期 間 、 お よ び 各 血 液 学 的 パ ラ メ ー タ とLDL
コ レ ス テ ロ ー ル の ベ ー ス ラ イ ン 値 に つ い て 補 正 さ れ た 。 ま た 、LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア の モ デ ル で は 、 傾 向 ス コ ア 、 治 療 期 間 、 お よ び 各 血 液 学 的 パ ラ メ ー タ とTG
の ベ ー ス ラ イ ン 値 に つ い て 補 正 さ れ た 。 各 分 析 に お い て 、 欠 測 値 を 含 む い く つ か の 臨 床 検 査 デ ー タ に つ い て 患 者 数 が 変 化 し た た め 、 す べ て の 臨 床 検 査 値 に つ い て 傾 向 ス コ ア を 再 計 算 し た 。P
値0.05
未 満 を 有 意 な 変 化 で あ る と し た 。 す べ て の 統 計 解 析 は 、SAS
ソ フ ト ウ ェ ア 、 バ ー ジ ョ ン9.4(SAS Institute
、Cary
、NC)
を 用 い て 行 っ た 。10
5. 結果
(1)
患者背 景の 比較当 初 の 選 択 基 準 及 び 除 外 基 準 に 基 づ い て 選 定 し 、 性 別 、 年 齢 及 び ベ ー ス ラ イ ン 時 の
TG
値 で マ ッ チ さ せ たTG
適 合 ペ ア 、 並 び に 性 別 、 年 齢 及 び ベ ー ス ラ イ ン 時 のLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 で マ ッ チ さ せ たLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア の 患 者 背 景 を 表 2 に 示 す 。 平 均 薬 剤 投 与 期 間 は 、TG
適 合 ペ ア に お い て フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者(264
日)
よ り も ス タ チ ン 使 用 者(290
日)
で 有 意 に 長 か っ た 。 ま た 、LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア に お い て も 同 様 に 、 ス タ チ ン 使 用 者(276
日)
の 方 が フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者(269
日)
よ り 長 い 傾 向 が あ っ た が 、 そ の 差 は 有 意 で は な か っ た 。TG
適 合 ペ ア お よ びLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア の い ず れ に お い て も 、 ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の 間 で 年 齢 お よ び 男 女 比 に 有 意 な 差 は 無 か っ た 。 各 コ ホ ー ト の 半 数 以 上 が 高 血 圧 症 ま た は 糖 尿 病 で あ り 、 メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム の 潜 在 的 患 者 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 ス タ チ ン 使 用 者 は 、 脳 血 管 疾 患 、 虚 血 性 心 疾 患 、 そ の 他 の 心 疾 患 、 腎 疾 患 お よ び 高 血 圧 症 を 有 す る 可 能 性 が 高 く 、TG
適 合 ペ ア お よ びLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア の い ず れ に お い て も 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 よ り も 肝 疾 患 を 有 す る 可 能 性 が 低 か っ た 。 現 行 の 治 療 に 関 し て は 、TG
適 合 ペ ア お よ びLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア の 両 方 に お い て 、 ス タ チ ン 使 用 者 は フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 よ り も 抗 高 血 圧 薬 、 抗 血 栓 薬 、 利 尿 薬 お よ び 抗 不 整 脈 薬 を 利 用 す る 傾 向 が 高 か っ た 。 ま た 、 ス タ チ ン 使 用 者 はLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア に お い てNSAID
を 利 用 す る 傾 向 が 高 か っ た 。 一 方 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 は 、TG
適 合 ペ ア お よ びLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア の い ず れ に お い て も 、 肝 疾 患 治 療 薬 を 利 用 す る 可 能 性 が 高 か っ た 。ベ ー ス ラ イ ン 時 の 臨 床 検 査 値 の 平 均 値 を 表
3
に 示 す 。TG
適 合 ペ ア で は 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 よ り も ス タ チ ン 使 用 者 の 方 が 平 均 血 清AST
お よ びALT
値 が 低 く 、 平 均 赤 血 球 数 が 高 か っ た 。LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア で は 、 平 均 血 清ALT
値 お よ びPLT
数 が 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 よ り も ス タ チ ン 使 用 者 で 低 か っ た 。 他 の パ ラ メ ー タ は 、TG
適 合 ペ ア お よ びLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア の い ず れ に お い て も 、 ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の 間 で ベ ー ス ラ イ ン 時 の 平 均 値 に 有 意 差 を 示 さ な か っ た 。(
2)
薬剤 の効果 の推定TG
適 合 ペ ア で は 、 ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の 間 の ベ ー ス ラ イ ン で の 平 均TG
値 の 違 い は 有 意 で は な く(P=0.9921)
、 ベ ー ス ラ イ ン で の 平 均LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 は 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 よ り ス タ チ ン 使 用 者 で33.0mg/dl
高 か っ た(P<0.0001)(
表2)
。 ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 と の 間 で 、 投 与 期 間 中 の 総 平 均TG
濃 度 に 有 意 な 差 は 無 か っ た(
図2A)
。 投 与 期 間 中 の 総 平 均LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 は 、 ス タ チ ン 使 用 者 で は フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 よ り も12.1mg/dl
低 か っ た(P<0.0001)
。 一 方 、LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア で は 、 ベ ー ス ラ イ ン 時 の 平 均TG
値 は 、 ス タ チ ン 使 用 者 が フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 よ り も122.2mg/dl
低 く(P<0.0001)
、 ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の 間 の ベ ー ス ラ イ ン 時 の 平 均LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 の 違 い は 有 意 で は な か っ た11
(P=0.9839)
。 投 与 期 間 中 の 総 平 均TG
値 は フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 よ り も ス タ チ ン 使 用 者 で34.1mg/dl
低 く 、 総 平 均LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 は フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 よ り も ス タ チ ン 使 用 者 で27.3mg/dl
低 か っ た(
両 比 較 と もP<0.001)(
図2B)
。ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 と の 間 で 、
GFR
カ テ ゴ リ ー 、 既 往 歴 お よ び 薬 剤 処 方 歴 を 含 む ベ ー ス ラ イ ン 時 の 共 変 量 の 違 い が 潜 在 的 バ イ ア ス を 生 じ さ せ る 可 能 性 が あ る た め 、GFR
カ テ ゴ リ ー 、 既 往 歴 お よ び 薬 剤 処 方 歴 を 用 い て 計 算 し た 傾 向 ス コ ア 、 お よ び ベ ー ス ラ イ ン 時 の 臨 床 検 査 値 を 用 い た 共 分 散 分 析 を し 、 共 変 量 の 調 整 を 行 っ た 。TG
適 合 ペ ア で は 、 血 清 ク レ ア チ ニ ン お よ びBUN
の 増 加 、 な ら び にeGFR
、ALT
お よ びRBC
の 減 少 が 、 ス タ チ ン 使 用 者 よ り も フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の 方 が 有 意 に 大 き か っ た(
そ れ ぞ れP=0.0104,P<0.001,P=0.0003,P=0.0034,P=0.0136)(
図3
お よ び 表4)
。 ま た 、PLT
数 の 変 化 量 は フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 で は 増 加 し 、 ス タ チ ン 使 用 者 で は 減 少 を 示 し 有 意 な 差 が 見 ら れ た(P<0.0001)
。AST
とHbA1c
値 の 平 均 値 の 変 化 は 、 ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の 間 で 有 意 な 差 は な か っ た(P=0.1756,P=0.1053)
。LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア で は 、 ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の 間 の 全 臨 床 検 査 パ ラ メ ー タ の 変 化 の 差 は 、TG
適 合 ペ ア の 変 化 と 同 様 で あ っ た(
図4
お よ び 表4)
。12
6. 考察
(1)
主要な 発見 の概要本 研 究 で は 、 脂 質 降 下 約 を 使 用 し た 患 者 の 、 投 与 開 始 か ら
12
か 月 ま で の 服 薬 期 間 に お い て 、 ス タ チ ン 単 剤 療 法 と フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 が 血 清 ク レ ア チ ニ ンBUN
、HbA1c
、AST,ALT,RBC,PLT
及 びeGFR
の 臨 床 検 査 値 に 及 ぼ す 効 果 を 評 価 し 比 較 し た 。 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 は ス タ チ ン 使 用 者 と 比 較 し て 血 清 ク レ ア チ ニ ン お よ びBUN
の 増 加 さ せ る 効 果 が 有 意 に 大 き く 、eGFR
、ALT
お よ びRBC
を 減 少 さ せ る 効 果 が 有 意 に 大 き い こ と が 示 さ れ た 。 ま た 、 ス タ チ ン 使 用 者 は フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 と 比 較 し て 、PLT
を 減 少 さ せ る 効 果 が 有 意 に 大 き か っ た 。 こ れ ら の 結 果 は 、 ス タ チ ン と フ ィ ブ ラ ー ト と 比 べ て 腎 機 能 系 検 査 値 に 対 し て 好 ま し い 影 響 を 及 ぼ す 一 方 で 、 脳 出 血 等 の 出 血 イ ベ ン ト に 対 し て 望 ま し く な い 効 果 を 有 す る 可 能 性 を 示 唆 し て い る 。(2)
先行研 究の 結果との比較ス タ チ ン の タ ン パ ク 尿 お よ び 腎 機 能 低 下 に 対 す る 効 果 は 個 々 の ス タ チ ン 間 で 異 な っ て お り
[8]
、 議 論 の 余 地 が 残 さ れ て い る 。Atthobari
ら は 、ACE
阻 害 薬 の 使 用 の 有 無 に か か わ ら ず 、 プ ラ バ ス タ チ ン は 尿 中 ア ル ブ ミ ン 排 泄 量 ま た はGFR
を 変 化 さ せ な い こ と を 報 告 し た[9]
。GREek Atorovastain and Coronary heart disease Evaluation(GREACE)
試 験 で は 、 ス タ チ ン(
主 に ア ト ル バ ス タ チ ン)
治 療 に よ っ てeGFR
お よ びSUA
値 に 好 ま し い 影 響 を 与 え る 可 能 性 が 示 さ れ た[37]
。 一 部 の 無 作 為 比 較 試 験 で は 、CKD
患 者 のeGFR
に 対 す る ア ト ル バ ス タ チ ン の 良 好 な 効 果 は 示 さ れ な か っ た[10, 11]
。 一 方 で 、 複 数 の 無 作 為 化 比 較 試 験 に お い て 、 フ ィ ブ ラ ー ト が ク レ ア チ ニ ン 、 シ ス タ チ ンC
お よ び ホ モ シ ス テ イ ン の 血 清 中 濃 度 を 増 加 さ せ る こ と が 一 貫 し て 示 さ れ て お り 、 一 過 性 の 腎 機 能 障 害 が 示 唆 さ れ て い る[16, 22, 23]
。 予 想 通 り 、 著 者 ら は 、 ス タ チ ン 使 用 者 よ り も フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 に お い て 、 ク レ ア チ ニ ン お よ びBUN
の よ り 大 き な 増 加 お よ びeGFR
の よ り 大 き な 減 少 を 示 し た 。 我 々 の 研 究 結 果 は こ れ ま で の 報 告 を 支 持 す る も の と し て 妥 当 で あ る 。 介 入 試 験 で は 、 ご く 限 ら れ た 集 団 の 中 で 患 者 背 景 等 を そ ろ え た 、 理 想 的 な 条 件 下 で 治 療 法 の 「 有 効 性(
efficacy
) 」 が 検 証 さ れ る 。 一 方 、 様 々 な 患 者 背 景 や 投 薬 状 況 、 既 往 歴 を も つ 集 団 の 中 で 、 平 均 的 な 診 療 下 に あ る 実 際 の 臨 床 現 場 の 条 件 下 で 検 証 さ れ る の が 「 効 果 (effectiveness
) 」 で あ る[38]
。 理 想 的 な 条 件 下 で 検 証 さ れ る「 有 効 性 」 と 実 際 の 臨 床 現 場 で 検 証 さ れ る 「 効 果 」 と は 必 ず し も 一 致 し な い こ と が 知 ら れ て い る こ と か ら 、 最 近 で は 実 際 の 診 療 条 件 下 で 薬 剤 の 「 効 果 」 を 検 証 す る こ と も 求 め ら れ て い る
[39]
。 そ れ ゆ え 、 日 常 診 療 下 で 薬 剤 の 「 効 果 」 を 検 討 し た 我 々 の 研 究 は 、 先 の 試 験 の 「 効 果 」 を よ り 高 質 化 す る 観 点 か ら も 、 臨 床 医 が 薬 剤 を 選 択 す る 上 で の エ ビ デ ン ス と し て 有 用 で あ る と 考 え ら れ る 。本 研 究 で は
TG
適 合 ペ ア に お い て フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 と ス タ チ ン 使 用 者 間 で 総 平 均TG
濃 度 に 有 意 な 差 が 認 め ら れ な か っ た 。 一 般 に 、 ス タ チ ン はLDL
コ レ ス テ ロ ー ル を 低 下 さ せ る 作 用 が 強 く 、 高 レ ベ ル のLDL
コ レ ス テ ロ ー ル を 有 す る 患 者 に 使 用 さ れ 、 フ ィ ブ ラ ー ト はTG
を 下 げ る 作 用 が 強 い た め に 高 ト リ13
グ リ セ リ ド 血 症 を 有 す る 患 者 に 使 用 さ れ る 。 ス タ チ ン は そ の 作 用 機 序 と し て 肝 臓 に お い て
HMG-CoA
還 元 酵 素 を 阻 害 す る こ と に よ り コ レ ス テ ロ ー ル の 合 成 を 阻 害 し 、 結 果 と し て 肝 臓 に お け るLDL
受 容 体 の 発 現 量 が 増 え て 、 血 中 のLDL
コ レ ス テ ロ ー ル の 取 り 込 み が 促 進 さ れ て 血 漿LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 濃 度 が 低 下 す る 。 一 方 で 肝 臓 に お け る コ レ ス テ ロ ー ル の 合 成 が 阻 害 さ れ る た め 血 中 に お け るTG
の 供 給 減 で あ るVLDL
の 分 泌 も 低 下 す る た め 結 果 と し てTG
濃 度 が 低 下 す る こ と が 知 ら れ て い る 。 今 回TG
適 合 ペ ア に お け る ス タ チ ン 使 用 者 は 患 者 背 景 と し てTG
が 高 い に も 関 わ ら ず 、 ス タ チ ン 単 剤 治 療 を 選 択 し た 患 者 で あ り 、 相 対 的 にLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 が 高 く 、 強 力 にLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 を 低 下 さ せ る 必 要 が あ っ た 患 者 群 で あ る 可 能 性 が 高 く 、 結 果 と し て 血 漿 中TG
が フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 と 有 意 差 が 無 い ほ ど 低 下 し た 可 能 性 が あ る 。肝 酵 素 に 関 し て は 、 ウ ル ソ デ オ キ シ コ ー ル 酸 単 独 療 法 で 効 果 不 十 分 な 原 発 性 胆 管 炎 患 者 に お い て 、 ウ ル ソ デ オ キ シ コ ー ル 酸 と ベ ザ フ ィ ブ ラ ー ト の 併 用 療 法 が 肝 機 能 を 有 意 に 改 善 す る こ と が 最 近 の 試 験 で 示 さ れ て い る
[40]
。 こ の こ と を 裏 付 け る も の と し て 、 本 研 究 で は 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 のALT
が ス タ チ ン 使 用 者 よ り も 大 幅 に 低 下 す る こ と が 示 さ れ た が 、AST
に 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 こ れ ら の 結 果 は 、 肝 機 能 に 対 す る フ ィ ブ ラ ー ト の 好 ま し い 効 果 を 示 唆 し 、 ま た 脂 質 低 下 療 法 患 者 の 肝 機 能 を チ ェ ッ ク す る た め にALT
がAST
よ り 好 ま し い こ と を 示 唆 し て い る 。 本 試 験 で は 、 ベ ー ス ラ イ ン 時 の 肝 疾 患 の 罹 患 率 お よ び 平 均ALT
は 、 ス タ チ ン 使 用 者 よ り も フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 で 高 か っ た 。 ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の こ れ ら の ベ ー ス ラ イ ン 時 の 違 い が 、 ベ ー ス ラ イ ン の 共 変 量 で 補 正 し て もALT
の 結 果 に 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 を 考 慮 す べ き で あ る 。本 研 究 で は 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 と 比 較 し て ス タ チ ン 使 用 者 の 方 が
PLT
の 減 少 が 有 意 に 大 き い こ と が 示 さ れ 、 ス タ チ ン 使 用 者 に お け る ベ ー ス ラ イ ン 期 か ら 治 療 期 間 ま で のPLT
の 減 少 は 有 意 で あ っ た(
デ ー タ 非 表 示)
。 実 験 的 お よ び 臨 床 的 研 究 か ら 得 ら れ た 多 く の エ ビ デ ン ス は 、 ス タ チ ン が 血 小 板 活 性 化 お よ び 凝 固 カ ス ケ ー ド を 含 む 止 血 の 様 々 な 作 用 阻 害 を 介 し て 抗 血 栓 作 用 に 影 響 を 及 ぼ す こ と を 示 し て い る[41,42]
。 し か しJustification for the Use of Statins in
Prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin (JUPITER)
試 験 に お い て は 、 ロ ス バ ス タ チ ン が 高 値 の 高 感 度CRP
を 低 下 さ せ る と と も に 脳 梗 塞 の 頻 度 を51%
低 下 さ せ る 一 方 で 、 脳 出 血 に 関 し て は 有 意 な 差 は 認 め ら れ ず[43]
、Stroke Prevention by Aggressive Reduction in Cholesterol Levels (SPARCL)
試 験 に お い て も 、 脳 血 管 疾 患 患 者 に お い て 脳 出 血 が 有 意 に 増 加 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 一 方 で[44]
、 治 療 中 のLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 の 変 化 と 脳 出 血 の 間 に 関 連 は 認 め ら れ て お ら ず[45]
、LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 の 低 下 と 脳 出 血 の 明 確 な 関 連 性 は 示 さ れ て い な い 。 一 方 でLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 及 び ト リ グ リ セ リ ド が 低 値 で あ る 女 性 は 、 そ れ ら の 値 が よ り 高 い 女 性 よ り も 脳 出 血 を 発 症 す る リ ス ク が2
倍 以 上 高 い こ と が 報 告 さ れ て お り 、 血 中 脂 質 濃 度 が 低 い こ と に よ る 血 管 壁 の 脆 弱 性 が 影 響 し て い る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る[46]
。 慢 性 炎 症 は 反 応 性 血 小 板 増 加 症 の 主 要 な 因 子 で あ り 、 本 研 究 に お い て は 血 中 脂 質 濃 度 が 低 下 す る こ と に よ り 、 血 管 壁 の 脆 弱 性 が 亢 進 し 、 軽 微 な 炎 症 が 誘 導 さ れ た こ と に よ っ て フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 で はPLT
が 増 加 す る 一 方 で 、 ス タ チ ン 使 用 者 に14
お い て は ス タ チ ン に よ る 強 力 な 抗 炎 症 作 用 の 方 が 強 く 作 用 し 、 結 果 と し て
PLT
が 減 少 し た 可 能 性 が あ る 。 ス タ チ ン 療 法 に よ るPLT
減 少 の 原 因 と な る 正 確 な 関 連 性 は 明 ら か で は な く 、 低 下 の 程 度 も 直 ぐ に 治 療 の 中 止 を 検 討 し な け れ ば な ら な い 程 大 き く は な い が 、 ス タ チ ン の 血 小 板 数 に 対 す る 低 下 効 果 が そ れ ら の 抗 血 栓 特 性 を 増 強 す る 可 能 性 が あ り 、 ス タ チ ン 使 用 者 は 脳 出 血 な ど の 出 血 イ ベ ン ト に つ い て モ ニ タ ー す る こ と が 望 ま し い こ と を 示 唆 す る 。ス タ チ ン の 長 期 間 に 及 ぶ 使 用 は ス タ チ ン の 種 類 に よ ら ず 、 耐 糖 能 を 悪 化 さ せ る と す る 報 告 も さ れ て い る が
[47]
、 本 試 験 に お い て は 、 ス タ チ ン のHbA1c
の 平 均 値 は 変 動 せ ず 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 と の 比 較 に お い て も 有 意 な 差 は 無 か っ た 。前 述 の と お り 一 般 的 に 、 ス タ チ ン は 高 レ ベ ル の
LDL
コ レ ス テ ロ ー ル を 有 す る 患 者 に 使 用 さ れ 、 フ ィ ブ ラ ー ト は 高 ト リ グ リ セ リ ド 血 症 を 有 す る 患 者 に 使 用 さ れ る 。 し か し 、 臨 床 現 場 で は ト リ グ リ セ リ ド とLDL
コ レ ス テ ロ ー ル の 両 方 の 高 血 清 濃 度 を 特 徴 と す る 混 合 型 脂 質 異 常 症 患 者 に 遭 遇 す る 。 本 研 究 結 果 は 、 腎 機 能 、 肝 機 能 、 お よ び 赤 血 球 と 血 小 板 に 対 す る ス タ チ ン や フ ィ ブ ラ ー ト 療 法 の 有 害 作 用 が 懸 念 さ れ る 混 合 型 脂 質 異 常 症 患 者 に お い て 、 医 師 が 薬 剤 選 択 に 関 す る 決 定 を 下 す 指 標 と し て 役 立 つ こ と が 期 待 さ れ る 。 本 試 験 で は 、 ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の 間 で 、 ベ ー ス ラ イ ンTG
値 ま た は ベ ー ス ラ イ ンLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 に つ い て マ ッ チ ン グ さ せ た2
つ の デ ー タ セ ッ ト を 分 析 し た 。 本 研 究 で は 、 ス タ チ ン と フ ィ ブ ラ ー ト の 単 独 投 与 群 間 の す べ て の 臨 床 検 査 値 の 変 化 の 違 い が2
つ の デ ー タ セ ッ ト 間 で 類 似 し て い た が 、TG
適 合 ペ ア の ベ ー ス ラ イ ンLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 と 、LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア の ベ ー ス ラ イ ンTG
値 は2
つ の デ ー タ セ ッ ト 間 で 異 な っ て い た 。 こ れ ら の 結 果 は 、 ベ ー ス ラ イ ン 時 のTG
ま た はLDL
コ レ ス テ ロ ー ル が 不 均 一 な 患 者 に お い て も 、 ス タ チ ン 単 独 療 法 お よ び フ ィ ブ ラ ー ト 単 独 療 法 が 血 清 ク レ ア チ ニ ン 、eGFR
、BUN
、HbA1c
、AST
、ALT
、RBC
お よ びPCT
を 含 む 臨 床 検 査 値 に 対 し て 与 え る 影 響 が 顕 在 化 す る 可 能 性 が あ る こ と を 示 唆 し て い る 。 一 方 で 、 投 与 期 間 中 の 総 平 均LDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 は 、TG
適 合 お よ びLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 適 合 ペ ア の い ず れ に お い て も 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 よ り も ス タ チ ン 使 用 者 の 方 が 低 か っ た た め 、 投 与 期 間 中 の ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 のLDL
コ レ ス テ ロ ー ル 値 の 差 が 著 者 ら の 知 見 に 影 響 を 及 ぼ し た 可 能 性 が あ る 。(3)
限界(limitations)
本 試 験 に は い く つ か の 限 界
(limitations)
が あ る 。 第 一 に 本 研 究 デ ザ イ ン は 非 無 作 為 化 デ ー タ を 用 い た 後 ろ 向 き 観 察 研 究 で あ る た め 、 選 択 バ イ ア ス 等 の 潜 在 的 な 問 題 を 含 ん で い る 。 そ の た め 、 我 々 は 共 変 量 補 正 及 び 傾 向 ス コ ア を 用 い た 厳 密 な 統 計 手 法 を 用 い て 背 景 因 子 の バ ラ ン ス を 調 整 し た 。 し か し 、 こ の バ ラ ン ス を 制 御 す る 能 力 は 測 定 し た 変 数 に 限 ら れ て お り 、 ま た 測 定 値 に つ い て もLDL
コ レ ス テ ロ ー ル の 測 定 に 関 し て はLDL
直 接 法 に よ る 標 準 化 さ れ て い な い 測 定 法 に よ る 測 定 値 が 、HbA1c
に 関 し て はJDS
測 定 値 とNGSP
測 定 法 の 両 方 の 測 定 値 が 含 ま れ て い る 。 第 二 に 本 研 究 の た め に 同 定 さ れ た コ ホ ー ト は 日 本 人 患 者 の み を 対 象 と し て い る 。 従 っ て 本 知 見 を 白 人 の よ う な 他 の 人 種15
の 人 々 に 拡 大 す る こ と が で き る か ど う か を 結 論 づ け る こ と は で き な い 。 第 三 に 脂 質 目 標 値 を 達 成 す る た め に は 個 人 間 で の 様 々 な 薬 剤 濃 度 で の 治 療 が 必 要 で あ り 、 臨 床 現 場 で は 同 じ 個 人 で さ え 異 な っ た 対 応 が 必 要 と な る こ と も あ る た め 、 ス タ チ ン 使 用 者 と フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 の 両 方 で 投 与 濃 度 を 固 定 し な か っ た 。 本 試 験 は 、 薬 力 学 が 用 量 依 存 的 で あ る か 否 か を 決 定 す る こ と が 困 難 で あ る た め 、 各 用 量 に お け る ス タ チ ン お よ び フ ィ ブ ラ ー ト の 効 果 を 評 価 す る デ ザ イ ン は 行 わ な か っ た 。 第 四 に 本 研 究 で は ス タ チ ン と フ ィ ブ ラ ー ト の 効 果 を 比 較 し た が 、 タ ン パ ク 尿 お よ び 腎 機 能 に 対 す る ス タ チ ン の 効 果 は 、 個 々 の ス タ チ ン 間 で 異 な る こ と が 報 告 さ れ て い る
[8]
。 高 力 価 対 低 力 価 、 親 油 性 対 親 水 性 、 と い っ た 個 々 の ス タ チ ン の 特 徴 に 基 づ く 治 療 効 果 の 比 較 は 興 味 深 く 、 腎 機 能 、 肝 機 能 、 お よ び グ ル コ ー ス 代 謝 の パ ラ メ ー タ を 含 む 臨 床 検 査 値 に 対 す る 個 々 の 薬 剤 の 詳 細 な 効 果 を 決 定 す る た め に は さ ら な る 研 究 が 必 要 で あ る 。 ま た 、 非 無 作 為 化 設 計 に 基 づ く 本 研 究 得 ら れ た 知 見 を 確 認 す る た め に は 、 よ り 大 規 模 な 国 際 的 臨 床 デ ー タ ベ ー ス を 用 い た 前 向 き コ ホ ー ト 研 究 や 無 作 為 臨 床 試 験 な ど 、 今 後 さ ら な る 研 究 が 必 要 で あ る と 思 わ れ る 。16
7. 結論
本 研 究 で は 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 は ス タ チ ン 使 用 者 と 比 較 し て 血 清 ク レ ア チ ニ ン お よ び 尿 素 窒 素 の 増 加 が 有 意 に 大 き く 、
eGFR
、ALT
濃 度 お よ び 赤 血 球 数 の 減 少 が 有 意 に 大 き か っ た 。 ま た 、 フ ィ ブ ラ ー ト 使 用 者 と 比 較 し て ス タ チ ン 使 用 者 の 方 が 血 小 板 数 の 減 少 が 大 き か っ た 。 本 研 究 の 結 果 は 、 腎 機 能 及 び 赤 血 球 に 対 す る 有 害 作 用 、 及 び 肝 機 能 に 対 す る 良 好 な 効 果 が 、 ス タ チ ン 単 剤 療 法 よ り も フ ィ ブ ラ ー ト 単 剤 療 法 で よ り 大 き い こ と を 示 唆 し て い る 。 フ ィ ブ ラ ー ト の 使 用 に 際 し て は 定 期 的 に 血 液 検 査 を 施 行 し て 腎 機 能 を 確 認 す る 必 要 が あ る と 同 時 に 、 ス タ チ ン の 使 用 に 際 し て も 、 肝 機 能 及 び 血 液 凝 固 機 能 を 監 視 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ る が 、 個 々 の 薬 剤 の 詳 細 な 効 果 や 影 響 を 決 定 す る た め に は 更 な る 検 討 が 必 要 で あ る 。17
8. 謝辞
本 論 文 を ま と め る に あ た り 、 日 本 大 学 医 学 部 臨 床 試 験 研 究 セ ン タ ー の 高 橋 泰 夫 准 教 授 に 多 大 な る ご 指 導 、 ご 援 助 を 賜 り ま し た 。 こ こ に 心 よ り 感 謝 と 御 礼 を 申 し 上 げ ま す 。 ま た 、 多 大 な る ご 尽 力 を 頂 き ま し た 日 本 大 学 医 学 部 臨 床 試 験 研 究 セ ン タ ー の 西 田 弥 生 先 生 及 び 手 塚 琴 絵 先 生 に こ の 場 を 借 り ま し て 心 か ら 厚 く 御 礼 申 し 上 げ ま す 。
18
表表
1.
脂 質 低 下 薬 リ ス トClass Generic name TG-matched pairs LDLC-matched pairs
Statins All 415 586
Atorvastatin 125 145
Fluvastatin 8 26
Pitavastatin 98 145
Pravastatin 59 77
Rosuvastatin 88 138
Simvastatin 9 10
Switch* 28 45
Fibrates All 415 586
Bezafibrate 331 454
Fenofibrate 78 116
Switch* 6 16
*: Drugs were switched within the same medication class.
Abbreviations: TG, triglyceride; LDLC, low-density lipoprotein cholesterol.
19
表
2.
投 与 前TG
ま た はLDLC
マ ッ チ ン グ 後 の 患 者 背 景Characteristics
TG-matched pairs LDLC-matched pairs
Statin users Fibrate users
P value Statin users Fibrate users
P value
(n=415) (n=415) (n=586) (n=586)
Exposure period (days, mean±sd) 290±89 264±106 0.0002 276±96 269±102 0.1986
Age (years, mean±sd) 60.3±11.5 60.2±11.4 0.9492 59.1±11.8 59.0±11.8 0.8543
Women 137 (33.0) 137 (33.0) 1 178 (30.4) 178 (30.4) 1
GFR category
G1 64 (15.4) 68 (16.4) 0.0485 94 (16.0) 96 (16.4) 0.3882
G2 246 (59.3) 235 (56.6) 353 (60.2) 346 (59.0)
G3a 73 (17.6) 73 (17.6) 87 (14.9) 101 (17.2)
G3b 18 (4.3) 34 (8.2) 34 (5.8) 34 (5.8)
G4 14 (3.4) 5 (1.2) 18 (3.1) 9 (1.5)
G5 0 (-) 0 (-) 0 (-) 0 (-)
Medical history
Cerebrovascular disease 70 (16.9) 50 (12.0) 0.0484 99 (16.9) 68 (11.6) 0.0096 Ischemic heart disease 163 (39.3) 61 (14.7) <0.0001 269 (45.9) 91 (15.5) <0.0001 Other heart disease 164 (39.5) 99 (23.9) <0.0001 281 (48.0) 147 (25.1) <0.0001
Rheumatoid arthritis 10 (2.4) 9 (2.2) 0.8165 16 (2.7) 15 (2.6) 0.8556
Liver disease 84 (20.2) 159 (38.3) <0.0001 95 (16.2) 216 (36.9) <0.0001
Kidney disease 53 (12.8) 35 (8.4) 0.0424 83 (14.2) 56 (9.6) 0.0147
Diabetes mellitus 222 (53.5) 223 (53.7) 0.9445 336 (57.3) 310 (52.9) 0.1268 Hypertension 273 (65.8) 218 (52.5) 0.0001 453 (77.3) 314 (53.6) <0.0001
Medication
Antihypertensive drugs 253 (61.0) 207 (49.9) 0.0013 425 (72.5) 294 (50.2) <0.0001
ARB 121 (29.2) 128 (30.8) 0.596 230 (39.2) 189 (32.3) 0.0125
ACE inhibitor 53 (12.8) 16 (3.9) <0.0001 96 (16.4) 23 (3.9) <0.0001
Beta blocker 47 (11.3) 34 (8.2) 0.1284 76 (13.0) 50 (8.5) 0.0142
CCB 161 (38.8) 140 (33.7) 0.1295 257 (43.9) 197 (33.6) 0.0003
Antihypertensive diuretic 17 (4.1) 10 (2.4) 0.1708 18 (3.1) 17 (2.9) 0.8637 Other antihypertensive drugs 66 (15.9) 54 (13.0) 0.2363 144 (24.6) 74 (12.6) <0.0001 Antidiabetic drugs 100 (24.1) 112 (27.0) 0.3395 189 (32.3) 160 (27.3) 0.064
Insulin 21 (5.1) 32 (7.7) 0.1184 45 (7.7) 41 (7.0) 0.6541
Oral antidiabetic drug 80 (19.3) 91 (21.9) 0.3451 151 (25.8) 132 (22.5) 0.1947 Other antidiabetic drugs 12 (2.9) 4 (1.0) 0.0434 15 (2.6) 7 (1.2) 0.0851 Antithrombotic drugs 187 (45.1) 96 (23.1) <0.0001 314 (53.6) 124 (21.2) <0.0001
20
Liver disease therapeutics 6 (1.4) 36 (8.7) <0.0001 11 (1.9) 37 (6.3) 0.0001 Kidney disease therapeutics 3 (0.7) 2 (0.5) 0.6537 4 (0.7) 2 (0.3) 0.413
Steroids 31 (7.5) 29 (7.0) 0.7886 35 (6.0) 45 (7.7) 0.2468
NSAID 106 (25.5) 90 (21.7) 0.191 186 (31.7) 107 (18.3) <0.0001
Diuretics 61 (14.7) 29 (7.0) 0.0004 92 (15.7) 41 (7.0) <0.0001
Antiarrhythmic drugs 62 (14.9) 40 (9.6) 0.02 116 (19.8) 65 (11.1) <0.0001
Baseline laboratory parameters
Triglyceride (mg/dL, mean±sd) 207.9±108.2 208±108.2 0.9921 163.8±104.7 289.3±158.8 <0.0001 LDLC (mg/dL, mean±sd) 149.2±36.6 116.2±35.3 <0.0001 117.9±33.2 117.8±33.3 0.9839