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I C U に入室する患者の術前訪問方法の検討

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Academic year: 2021

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(1)

I C U に入室する患者の術前訪問方法の検討

〜看護師へのアンケート調査の結果から〜

キ ー ワ ー ド : 術 前 訪 問 模 擬 体 験 集 中 治 療 室

I .   はじめに

I C U は、治療や生命の管理が優先される特殊 な環境である。そのため、 I C U に入室すること や術後経過に対する不安軽減、術後合併症の予 防を目的として、 I C U では手術後に入室する全 患者を対象に術前訪問を行っている。しかし、

入室した患者は術前訪問の内容を覚えておら ず、入室後に再度説明が必要なことも多く、現 状の方法では入室後のイメージができていな いのではなし、かと考えた。薄井

1)

は、「患者は 医療に対しては素人であるから、イメージを描 きやすいような表現を工夫することによって、

よりよく解釈できるよう援助することができ る」と述べていることから、 I C U での術後の経 過を理解しやすいような模擬体験や見学を取 り入れた術前訪問方法を検討し実施した。同一 患者での比較・検討は行えないため、術前訪問 を行っている看護師に導入前と導入後にアン ケート調査を行い、術前訪問の方法について検 討したのでここに報告する。

I I .   研究目的

模擬体験や見学を取り入れた術前訪問を実 施し、導入前と後を比較することで I C U で、行っ ている術前訪問方法を検討する。

m .   研究方法

1 . 研究期間:平成 2 3 年 9 月 7日〜1 0 月 2 6日 2 . 研究対象: I C U 看護師 4 4 名中術前訪問を行 っている看護師 3 4 名

C 病棟 3 階 O 岡 本 理 恵 子 平 山 泰 栄 増 谷 尚 代

3 . 方法:導入前の術前訪問方法の実態を知るた めに看護師を対象にアンケート調査を行った。

術前訪問時の説明のしやすさ、術前訪問に要す る時間や看護師の負担感についてアンケート を作成した。アンケート結果を参考に術前訪問 方法を構成した。 I C U 入室後を想定した病室 ( I C U のベッド、輸液ポンプおよびシリンジポ ンプを点滴台に設置する)を I C U 内に準備した。

また所属で作成していた写真を見直し、各ノレー トやモニターについての写真や説明を追加し た。さらに術前訪問実施方法のマニュアルやビ デオを作成し、それらを用いて I C U 看護師に説 明することで実施方法の統ーをはかった。アン ケ}トは導入前と後で内容を検討できるもの とし、項目ごとに単純集計した。その上で導入 前と導入後の結果を比較・検討した。

4 . 術前訪問方法:導入前はパンフレットと写真、

D V D を用いて患者の病室で説明を行っていた が 、 I C U 入室後を想定した病室でオリエンテー ション用紙に沿って説明を行いながら、実際に ベッドに横になってもらい体位変換の実施、 M E 機器のアラーム音を聞いてもらう、電動ベッド

を利用した座位保持、マスク装着、動脈ライン 固定具の装着の模擬体験をしてもらった。説明 時に家族が同席する場合には家族控室に案内 し、面会方法を説明した。対象患者は、全身麻 酔下で手術後に I C U 入室した患者 4 9 名。小児 や意志疎通が不可能である患者や A D L 低下及 び安静指示にて I C U までの訪問が困難な患者、

拒否や恐怖心が強い患者は対象外とした。

J 7  

(2)

導入後 80% 

60% 

40% 

20% 

0% 

100% 

・思う

酎どちらで もない 導入前

呼吸状態 導入後 導入前 体位変換

導入後 導入前 導入後 導入前 術後状旗

導入後 環 境

・ O 〜 1 0 分 盤 1 0 〜 20 分 室 20 〜 30 分 留 30 〜 40 分 ・ 40 分以上|

lOO%  n  =34 

50% 

0% 

図 3 :術前訪問に要する時間

100% 

図 1 :I C U 入室後のイメージの伝えやすさ

80% 

60% 

20% 

40% 

聞ある 鱒わからない 51.6%  量ない

41.9% 

導入後 置ない I I 未回答 導入前

摺わからない 0% 

圃ある

図 2 :模擬体験を導入した術前訪問実施後の患者 の反応の変化

導入前には写真や口頭で行う方法に対して「術 後の状態のイメージを伝えにくい J 「実際に I C U に来てもらって説明したほうが伝えやす い」という意見があった。導入後の意見として

「模擬体験をしてもらうことで細かいところ まで伝えやすいJ r 実際に体位変換を体験して もらうので説明しやすい j といった意見があっ た。その反面「詳しいイメージを伝えることも できるが、不安をあおることもあるのではない か」という意見もあった。

「導入後の術前訪問を実施して患者の反応 に変化はあったか j という質問に対しては 5 1 .  6% が ある と回答した(図 2 )。その回 答内容の中には「実際に患者が体験することで 不安や質問を具体的に聞くことができるよう になった」というものがあった。

また、術前訪問に要する時間や看護師の負担 感についての回答を図に示した(図 3 、図 4 ) 。 図 4 :負担感

5 . 倫理的配慮:事前にアンケート調査を行うこ と、個人を特定されないように無記名で行うこ と、協力は自由意志であり参加しなくても不利 益を講ずることはないことを文書で説明、同意 を得た。以上のことは看護部看護研究倫理委員 会にて承認を得た。

I V . 結果

アンケート回収率は 100% で、あった。

「 I C U 入室後をイメージしやすい内容で説明 できていると思うか」に対する回答を図に示し た(図 1 )。術前訪問で説明しているオリエン テーション用紙の項目である「環境」、

状態」、 「呼吸状態」、 「体位変換」について アンケートを集計した。アンケート結果から導 入前と後を比較し、すべての項目において導入 後は「患者が理解できる内容になっていると思 う」という回答が増加した。回答の理由として、

A A  

i

「術後

(3)

術前訪問に要する時間については導入前には 大半の看護師が 30 分以内であったが、導入後

には約 70% の看護師が 30 分以上術前訪問に要 する時聞がかかったと回答した。負担感につい ては導入後、 ある との回答が 54.8% と半 数以上の看護師が負担感を感じていることが わかった。

v . 考察

アンケート調査の結果から、導入後は「患者 が理解できる内容になっていると思う J という 回答が増加しており、このことから模擬体験や 見学を取り入れた術前訪問を行うことで愚者 がイメージ化しやすい環境を作ることができ、

術後の経過を伝えやすくなったといえる。また、

導入後患者からの具体的な質問がみられるよ うになったことから、実際に見て体験してもら うことで、具体的に患者が不安や疑問と感じる 内容を明らかにすることができ、説明がしやす

くなったと考えられる。

術前訪問に要する時間や負担感が増えると いう意見があったが、導入後の術前訪問方法に 慣れていないということも原因ではないかと 考えた。術後の状態を伝えやすくなったが、患 者に不安をあおるという意見もあり、詳しく説 明することには利点と欠点があることがわか った。

これまではすべての患者に同じ内容の術前 訪問を行ってきたが、術式や患者の背景などは 個々の患者により異なる。不安に感じる内容は 患者によって様々であるため、必要となる術前 訪問内容は異なり、患者の心理状態をアセスメ

ントしていく必要があると考えられる。須崎

2)

は「病気や入院によってもたらされる不安定な 患者の心理状態をアセスメントし、状況に適応 していくための適切なケアを行う必要がある」

と述べている。そのことからも今後は同ーの方 法で術前訪問を行うのではなく、模擬体験も取 り入れながら個々の患者に合わせた方法を考

え説明を行うことで、不安の軽減につなげてい く必要がある。

松藤 3 )が「息者が術前不安の内容について の知識を得たからといって不安が解消される

とは言い切れない J と述べているように、術前 訪問により患者の不安がすべてなくなる訳で はない。現在は業務上人数にも制限があるため、

術前訪問に費やす時聞は限られ、患者の不安を 十分に軽減できるまでの術前訪問を行えてい ない。今後の課題としては術前訪問に十分時聞 を確保できるように配慮し、術前・術後を通し て個々の患者の不安が軽減できるよう看護し ていきたいと考える。

羽.結論

1 .   術前訪問に模擬体験を取り入れることは I C U 入室後のイメージを説明しやすいと いう効果があった。

2 .   詳しく説明することには利点・欠点がある ため、患者の状態を考え、個々の患者に合 わせた術前訪問を行っていく必要がある。

引用文献

1 )   薄井坦子:科学的看護論、日本看護協会出 版会、 p48‑65 、1 9 8 1

2 )   須崎しのぶ:心理的ケアに必要なアセスメ ントとツーノレ、臨床看護、 1 3 4 ( 5 、 ) p675 、 2008 

3 )   松藤久美他:病棟看護師の捉える術前患者 とその関わり、第 36 回成人看護 I 、 p  1 5 4 ‑ 1 5 6 、 2005

参考文献

1 )   浦井真友美他:術前リアリティ・オリエン テーションの術前トラブノレ予防に対する 効果の検討、第 3 7 回成人看護 I、 p372‑374 、 2006 

2 )   若杉裕子他: I C U 入室患者に対する術前オ リエンテーションの効果と課題、第 38 回 成人看護 I 、p114‑115 、2007

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参照

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