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シリーズ研究の周縁より 自然災害と自主防災

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熊本大学学術リポジトリ

シリーズ研究の周縁より 自然災害と自主防災

著者 北園, 芳人

雑誌名 東光原 : 熊本大学附属図書館報 = Kumamoto

University Library bulletin

巻 42

ページ 4‑6

発行年 2005‑07

URL http://hdl.handle.net/2298/10368

(2)

東光原 Tokogen

シリーズ研究の周縁より

自然災害と自主防災

北園芳人

1.自然災害

平成'5年の水俣市宝川内の土石流災害、平成,5 年の'0個鰯上陸台風による風水害、同じく新潟中 越地震、スマトラ沖の巨大地震、平成17年3月の 福岡西方沖地震など、毎年様々な自然災害によっ て犠牲者や被害が出ている。

その中で土砂災害に遭われたものの幸いにも無 事だった人達によると「これまでここは大丈夫だ と思っていた」とか「これまでに経験したことの なかった雨、風だった」という話を聞くことが多 い。しかし「これまでの経験」とはどれくらいの 経験なのだろうか。高齢化が進んだとはいえ、

高々l加年未満ではなかろうか。

最近の降雨の状況を見ると100年確率を超える ような1時間の雨量が10Gmmを超す集中豪雨が頻 発している。ところが、人間は経験しないとなか

なか的確な判断をすることが困難である。そのた め、経験したことのない自然災害に遭遇し、人的 な被害を受けることになる。

自然災害に関しては戦後の復興のために荒廃地 に植林などがなされ、洪水などの発生回数は確実 に減少し、被害も減少している。しかし、開発に よって新たな危険箇所も増加し、ハード対策も着 実に施工がなされてはいるが追いつかず斜面崩壊 危険箇所の大幅な減少には繋がっていない。そこ で国でもソフト対策として平成13年に「土砂災害 防止法」と呼ばれる法律を制定し、それを基に都 道府県に「土砂災害警戒区域等」の指定を求め、

ソフトとハードの両面から災害対策が必要である ことを示している。

しかしながら、ソフト対策も防災情報が住民に

浸透して初めて効力が発揮ざれ愚ものであり、そ の情報をどのようにして住民に.伝え、浸透きせて いくかが問われている。すなわち、災害による被 害を減少させるためには行政側の防災情報の伝達 方法と住民側の収集方法が行政と住民の両者に求 められているといえるだろう。

2.ハザードマップについて

ハザードマップ〔haza1dmaP:災害(危険区

域)予測図〕とは、対象となる災害がいか葱患場 所(範囲)で、どのように起こる可能性があるか を具体的に地図上に表したものである。さらに避 難場所やルートも表示することで、地域住民に日 頃から災害危険箇所と災害時の行動の自覚を助長 することができる。

その自然災害ハザードマップには災害の種類別 に次の5種類がある。火山ハザードマップ、洪水 ハザードマップ、津波ハザードマップ、地震ハ ザードマップ、土砂災害ハザードマップ

これらのハザードマップの作成は進んでいるも のもあるし、これから整備されるものもある。早 急な整備が望まれる。

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3.土砂災害危険箇所とハード対策

土砂災害には土石流、地すべり、急傾斜地崩壊 が含まれ、全国で50万箇所以上、九州でも10万箇 所以上あるといわれている。熊本県内では約

13国00箇所以上の土砂災害危険箇所があるとされ ている。

しかし、このうちハード対策が施されているの は熊本県内でも20%程度に過ぎない。残りの危険

(3)

第42号July2005

土砂災害警戒情報は雨量の情報を基に観測所ご との土砂災害発生の危険性を示した画面で、現在 の降雨状況だけでなく1時間後や2時間後の予測 箇所の全てについて砂防堰堤や擁壁等のハード対

策が施工されることは経費や期間等の問題から非 常に困難である。そのため、人的被害を免れるた

めには、早急なソフト対策が必要である。 雨量を基に土砂災害の危険 性が図示され、現在の状況 と過去の災害発生時の状況 を比べられるように工夫さ れている。

気象情報

●メニュー 熊本県雨量情報 注意報・警報 天気予報週間予報 台風お知らせ 利用上の注意 4.熊本県のソフト対策

熊本県では平成13年に「土砂災害防止法」が制 定されたのを受けて、熊本県の基礎調査の技術基 準を策定し、平成16年度からこの技術基準を基に 基礎調査に取り掛かっている。

これは土砂災害の危険のある箇所を「土砂災害 警戒区域」「土砂災害特別警戒区域」の2段階で評 価し、特別警戒区域ではその区域内での開発や居 住を制限できるもので、地域住民にはその内容を 公開し周知される。

また、水俣市の土石流災害を教訓に防災情報の 伝達方法の見直しや防災情報そのものを見直すた めに雨量基準の見直し作業にも着手している。

防災情報の伝達については、行政から行政へば かりでなく、住民へもいち早く伝達されるように 平成16年6月からは、熊本県のホームページに図 のような「熊本県統合型防災情報システム」,が 公開された。防災情報の内容は雨量情報、土砂災 害警戒情報を中心に8項目を見ることができる。

5.自主防災…凰蕾一利用上の注意 この様にハザードマッ ヒ↑弓佇=畳+方△、t三

プ、災害危険箇所の公開、

熊本県雨量情報 土砂災害危険情報の公開 (iモード)

(ホームページ上)、雨量

状況2)を上記ホームページや携帯電話のiモード でみることもできる。住民はこれらの情報を用い ることで現在の自分の住んでいる地域の防災情報 を取得できるようになり、これを参考に自主避難 などの対策を建てることが出来るようになった。

そこで必要となるのが自主防災組織である。

自主防災組織とは、自助、共助の組織で災害に 対して地域で防災に取り組む組織である。防災に 関する現状は、気象台を通して発表される注意報 や警報があるが避難については行政から避難指示 を待っている状態である。しかしながら、その指 示の伝達に時間がかかり手遅れになること

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がある。

被災を防ぐには自ら積極的に防災情報を 取得し、これを基に自主避難することが自 分の身を守ることである。しかし、地域に は災害弱者と呼ばれる高齢者、子供、障害 者も居られるので被災をできるだけ避ける にはお互いに声を掛け合って避難する必要 がある。そのためには災害に対する地域住 民の共通の理解が必要で、日頃からの防災 に対する活動が重要である。これらの活動 を行う組織が自主防災組織である。

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熊本県統合型防災情報システム

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東光原Tokogen

自主防災組織は人に頼るのではなく、一人一人 が役目を担い共同で被災を防ごうという考えかた である。ところが熊本県内の自主防災組織率は平 成15年度現在で20数パーセントである。全国平均 は60%に近い、東海沖地震や東南海沖地震が予想 される静岡県内では100%に近い市町村もあると いわれている。

このように、県市町村の担当者だけでなく、地 域住民も防災情報システムを積極的に利用し、災 害は防ぐことはできなかったにしても、人的被害 はⅢoⅢを目指して減災に向かって ̄致協力してい くことが重要で、そのためには自主防災組織の結 成と活発な活動が必要である。

最後に、自然災害の減災を目指して熊本では産 官学で協力して「熊本自然災害研究会」を組織し

活動している。学の参加者が少ないので皆さんの ご参加をお願いしたい。

連絡先:熊本自然災害研究会事務局・北園

TEL&FAX:096-342-3540

E-mail:kitazono@gpo、kumamoto-uacJp

*きたぞのよしと 工学部教授

参考文献

1)熊本県統合型防災情報システム:

http:"www、bousai,prefkumamotojp/

2)熊本県雨量情報:

http:"www,jwaq,grjp/kumamoto/i/

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■熊本県大学図書館協議会総会

平成17年5月16日に熊本大学で第11回熊本県大学図書館協議会総会を開催しました。

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九州地区国立大学図書館協会総会 九州地区大学図書館協議会総会

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