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山下 樹三裕 武藤 鉄司 三角 宗近

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Academic year: 2021

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論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

報 告 番 号 博(生)甲第256号 氏 名 三角 宗近

学 位 審 査 委 員

主査 中村 剛 副査 武藤 鉄司 副査 山下 樹三裕

論文審査の結果の要旨

三角宗近氏は、2010 年 4 月に長崎大学大学院生産科学研究科博士後期課程に社会人学生として入 学し、現在に至っている。同氏は、生産科学研究科に入学以降、システム科学専攻において所定の 単位を修得するとともに、生物統計学、特に臨床試験・疫学の統計解析と研究計画における方法論 の研究に従事し、その成果を 2011 年 7 月に主論文「Asymptotic Relative Efficiency of Logistic and

Poisson Models with both Response and Covariate Subject to Measurement Errors and its Application to Design of Epidemiological and Clinical Studies(応答変量と共変量に測定誤差を伴

うロジスティックモデル及びポアソンモデルの漸近相対効率とその疫学及び臨床研究デザインへの 応用)」として完成させ、参考論文として、学位論文の印刷公表論文 5 編(うち審査付き論文 5 編)、

学位の基礎となる論文 5 編(うち審査付き論文 4 編)を付して、博士(工学)の学位の申請をした。

長崎大学大学院生産科学研究科教授会は、2011 年 7 月 20 日の定例教授会において論文内容等を検 討し、生産科学研究科規程第 18 条ただし書きに基づく在学期間短縮を適用し、本論文を受理して差 し支えないものと認め、上記の審査委員を選定した。委員は主査を中心に論文内容について慎重に 審議し、公開論文発表会を実施するとともに、最終試験を行い、論文審査および最終試験の結果を 2011 年 9 月 7 日の生産科学研究科教授会に報告した。

本論文はデータを用いて2つの要因間に(臨床試験では治療法と効果、疫学では曝露量と異常発 生率、毒性学では用量と反応量等)、統計学的に有意な関連があることを示すのに必要なサンプルサ イズを決定する問題を扱っている。原因側の要因は説明変数あるいは共変量、結果側の要因は応答 変数あるいは評価変数と呼ばれる。それら変数の正確な値が分らないときに、代わりに誤差を伴っ て測定された値を用いて統計解析することがあるが、それは検定の検出力を低下させる。説明変数 の測定誤差の影響に関する文献は

100

年以上前からあるが、応答変数の測定誤差の影響に関しては

10

年程前から扱われ始めた。しかしながら、本研究の対象である説明変数と応答変数の双方に測定 誤差がある場合を扱っている文献は全く見当たらない。本研究の目標はサンプルサイズの決定にあ るので、Pitman漸近相対効率(ARE)を用いて検出力の低下を評価している。「誤差を含む変数を用い

(2)

た検定」の「正確な変数を用いた検定」に対する

ARE

P

とすると、「正確な変数を用いた標本数

n

での検定」と「誤差を含む変数を用いた標本数

n/P

での検定」の検出力は漸近的に等しいという性 質がある。

本研究で得られた主定理は「ロジスティックモデルまたはポアソンモデルを用いた検定において、

正確に測定された応答変数(Y)と説明変数(X) の代わりに測定誤差を含む変数

Y*と X*を用いたとき

ARE

は、ρ(X,X*)2

ρ (Y,Y*)

2となる。但しρ は相関係数を示す。」である。AREは大標本の理論に 基づいているため、実際の臨床試験・疫学研究での性能を評価するために、実例に準じた標本数お よび測定誤差の設定で、上記定理に基づく標本数決定法の妥当性が検証された。ロジスティックモ デルの応答変数の誤分類については、遺伝子-疾患関連研究への応用を考慮して、応答変数の値に より誤分類率が異なる(Differential)設定とした。一方、ポアソンモデルについては、申請者の属す る放射線影響研究所で通常用いる応答変数である「疾患の発生件数」について、誤って報告されな

い(

underreported

)誤差を設定した。説明変数については両モデルともに、通常仮定される

Nondifferential(誤差の分布が値に拠らない)な誤差とした。どちらのモデルにおいても、応答変

数と説明変数の双方の測定誤差の影響を考慮したシミュレーションによって観察された検出力低下 は、上記定理により予測された結果と近似的に一致した。上記の定理により代数的に計算される

ARE

は小標本でも適用可能であることが示された。以上の成果により、研究計画段階で応答変数と 説明変数双方の測定誤差の検出力への影響を考慮した標本数を決定することを可能にしたことの、

医学・疫学研究への貢献は大きいと考えられる。

本論文は医学・疫学の研究デザインにおける重要な未解決の問題に対し,Pitman ARE指標を用い てほぼ完全に解決したので、学位審査委員会は、博士(工学)の学位に値するものとして合格と判 定した。

参照

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