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小児全身性肺炎球菌感染症 33 例の臨床的検討 1)

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(1)

肺炎球菌は,小児期にしばしば中耳炎,鼻副鼻 腔炎,気管支炎,肺炎などの気道感染症の起因菌 となる.これらの気道感染症が局所性肺炎球菌感 染症と呼ばれるのに対し,菌が直接浸潤性または 血行性に伝播され,本来無菌的であるべき部位か ら細菌学的に肺炎球菌が証明された場合,これを 全身性肺炎球菌感染症と呼ぶ

1)

.この全身性肺炎 球菌感染症には,菌血症 (潜在性菌血症を含む) ,

髄膜炎,胸膜炎,腹膜炎,関節炎などが含まれ,

進行が早く,予後不良例があることから,臨床的 には非常に重要な感染症である.

肺炎球菌はランセット型のグラム陽性双球菌 で,周囲に多糖体夾膜を有する.この夾膜は菌体 が白血球による貪食から免れるのに役立っている が,生体側からみれば肺炎球菌を強毒菌としてい る.肺炎球菌は,この夾膜の型特異抗原によって 84 種の血清型に分類されている.小児において分 離頻度の高い血清型としては 3, 6, 14, 19, 23 が挙 げ ら れ る

2)3)

.ま た 近 年,ペ ニ シ リ ン 結 合 蛋 白

小児全身性肺炎球菌感染症 33 例の臨床的検討

1)横浜栄共済病院小児科,2)国保旭中央病院小児科,3)横浜市立大学医学部小児科

佐藤 厚夫

1)

北澤 克彦

2)

本多 昭仁

2)

前本 達男

2)

稲川 直浩

2)

仙田 昌義

2)

小林 裕之

2)

伊部 正明

3)

森 雅亮

3)

横田 俊平

3)

(平成 13 年 6 月 4 日受付)

(平成 13 年 8 月 6 日受理)

1985 年から 1999 年の 15 年間に,国保旭中央病院小児科で診断し加療した小児全身性肺炎球菌感染症 33 例を,菌血症群(22 例)と髄膜炎群(11 例)の 2 群に分けて比較検討した.対象 33 例の診断時年齢

[中央値](以下同)は[1 歳 3 カ月]で,生後 7 カ月から 1 歳台が全体の 57.6% を占めていた.2 例で血 清 IgG2 の低下が示唆された.発熱は全例に共通の症状で,13 例(39.4%)に痙攣を認めた.病型別の検 討では,発症年齢は菌血症群[1 歳 4 カ月]よりも髄膜炎群[10 カ月]で低い傾向にあった.菌血症群 では 54.5% が発熱後 12 時間以内に診断されたのに対して,髄膜炎群では全例が 12 時間以上経過してい た.診断時白血球数は菌血症群[23,900 mm3]よりも髄膜炎群[9,700 mm3]で有意に低値であったが,

CRP 値は菌血症群[4.2mg dl]よりも髄膜炎群[25.6mg dl]で有意に高値であった.菌血症群は全例が 抗菌薬により後遺症なく軽快したが,髄膜炎群は 3 例(27.3%)が死亡,4 例(36.4%)が神経学的後遺 症を残した.以上の結果より,全身性肺炎球菌感染症では菌血症から髄膜炎へ進展する病態が考えられ,

髄膜炎の予後が不良であることを考慮すれば,菌血症の段階で早期診断・早期治療を行う妥当性が示唆 された.

〔感染症誌 75:1007〜1013,2001〕

別刷請求先:(〒247―8581)横浜市栄区桂町 132

横浜栄共済病院小児科 佐藤 厚夫

Key words: systemic pneumococcal infection, bacteremia, meningitis

(2)

(cases)

12 10 8 6 4 2

0 85〜87 88〜90 91〜93 94〜96 97〜99(year)

PRSP PISP PSSP

(PBPs) 遺伝子の変異により,同蛋白への薬剤親和 性が低下したペニシリン耐性肺炎球菌(ペニシリ ン中等度耐性菌:PISP と高度耐性菌:PRSP の 両者を含む)の増加が注目されている

2)

全身性肺炎球菌感染症のうち菌血症から髄膜炎 への病態の進展について検討した論文はこれまで 報告されていない.本研究では,当科で経験した 小児全身性肺炎球菌感染症 33 例を菌血症群と髄 膜炎群に分けて,上記の観点から検討を加えたの で報告する.

対象と方法

1985 年 1 月 か ら 1999 年 12 月 ま で の 15 年 間 に,国保旭中央病院小児科において,細菌学的に

全身性肺炎球菌感染症と診断され,入院加療を受 けた 34 例中, 肺炎・胸膜炎から播種性血管内凝固 症候群(DIC)・ショックを起こして死亡した 1 例 を除いた 33 例を対象とした.患者背景,発熱から 診断までの有熱期間, 診断時血液学的検査所見 (白 血球数と CRP 値.ただし,CRP 値は定量測定法導 入以前の 3 例を除く) ,起因菌のペニシリン感受 性,予後について後方視的に検討した.ここで全 身性肺炎球菌感染症とは,正常では無菌的な部位 から培養検査で肺炎球菌が証明されたことを必須 条件とし,肺炎球菌の検出部位に基づいて髄膜炎 および菌血症の診断を行った

4)5)

.検出された肺炎 球菌のペニシリン感受性の分類は,1997 年の The National Committee for Clinical Laboratory Stan- dards(NCCLS)のガイドラインにしたがい,MIC が 0.06

µ

g ml 以 下 を PSSP,0.1

µ

g ml〜1.0

µ

g ml を PISP,2.0

µ

g ml 以上を PRSP とした.結果は

[中央値(第 1 四分位,第 3 四分位) ] で表し,菌血 症群と髄膜炎群との比較には,Yates の修正によ るカイ 2 乗検定,Fisher の直接確率検定,Mann- Whitney の U 検定を用いた.p<0.05 を有意とし た.

1)年度別症例数と検出菌のペニシリン感受性 3 年毎の症例数を Fig. 1 に示した.症例数は,近 年になるほど増加する傾向にあった.1991 年と 1997 年に PISP による髄膜炎例が 1 例ずつあり,

Fig. 1 Trend in number of cases of systemic pneu- mococcal infections and susceptibility to penicillin.

PSSP, PISP and PRSP stand for penicillin-sensitive, -insensitive, -resistant Streptococcus pneumoniae, re- spectively.

Fig. 2 Clinical diagnosis of 33 patients with systemic pneumococcal infections.

(3)

Table 1 Gender and outcome of 33 patients with systemic pneumococcal infections  and penicillin susceptibility of isolates

p value meningitis(n = 11)

bacteremia(n = 22)

number number

0.52070 9:2

21:  1 penicillin susceptibility

(susceptible:resistant)

1.00000 6:5

11:11 sex(male:female)

outcome

4 22

 recovery

4   0

 sequelae

3   0

 death

(cases)

14 12 10 8 6 4 2

0 <1Mo 1〜6Mo 7〜11Mo 1Y 2Y 3Y 4Y≦(age)

bacteremia meningitis

1999 年に PRSP による菌血症例が 1 例認められ た.

2)患者背景 1.病型

対象 33 例の病型は,菌血症が 22 例,髄膜炎が 11 例であった (Fig. 2) .菌血症 22 例のうち,細菌 学的あるいは臨床的に先行局所感染巣が推定され た例は 13 例で, 残りの 9 例は静脈血培養からのみ 肺炎球菌が証明された潜在性菌血症であった.髄 膜炎 11 例のうち, 同時に菌血症が証明された例が 7 例,残り 4 例は静脈血培養が陰性で直接髄膜炎 に進展しうるような局所感染巣を認めない感染経 路不明例であった.1 例は,髄膜炎と菌血症に加 え,中耳炎も併発していたことから,中耳から菌 が血行性に伝播し,髄膜炎に進行したと推定され た.検出菌のペニシリン感受性と病型には,関連 はみられなかった(Table 1) .

2.性差・年齢

対象 33 例の男女比は 17:16 と性差を 認 め な かった.病型別にみても性差はなかった(Table 1) .33 例中 31 例は 12 月から 5 月の冬から春にか けて発症していた.同一患者の反復感染例はな かった.発症年齢は最低が日齢 25, 最高が 13 歳 で, [中央値 (第 1 四分位, 第 3 四分位) ] (以下同) は

[1 歳 3 カ月(10 カ月,2 歳 2 カ月) ] であった.1 歳台が 13 名と最も多く,ついで 7 カ月から 11 カ 月の 6 名であり,この両年齢層を合わせると全体 の 57.6% に達していた (Fig. 3) .また,2 歳未満の 症例は全体の 72.7% を占めていた.病型別にみる と,菌血症群は 1 歳 台 が 22 例 中 12 例 と 最 も 多

かったが,髄膜炎群は 11 例中 6 例が 1 歳未満で,

とくに 1 カ月から 6 カ月に多く認められた.しか も髄膜炎群では菌血症群にはみられなかった 4 カ 月以下の症例も 2 例認められた.次に基礎疾患の 有無との関連を検討したところ,脳性麻痺とてん かんが各々 1 例,21 トリソミーで動脈管開存症

(PDA) を有する症例が 1 例, 気管支喘息が 2 例,

麻疹罹患直後の発症が 1 例,若年性関節リウマチ でプレドニゾロン(25mg 日)内服例が 1 例みられ た.免疫学的検索としては,免疫グロブリン定量 が 14 例,IgG サブクラス定量が 9 例,補体価測定 が 11 例,リンパ球サブセット解析が 5 例 (重複あ り)に行われた.その結果,1 歳 0 カ月と 13 歳 1 カ月の菌血症例で,それぞれ血清 IgG2 が 57mg dl,84mg dl と IgG2 欠乏症の可能性が示唆された が,再検査は行われていなかった.

3)症状

対象 33 例全例が 38℃ 以上の発熱で発症し,発 熱後 12 時間以内に診断された例は 12 例,12〜24

Fig. 3 Age distribution of 33 patients with systemic

pneumococcal infections.

(4)

(cases)

10 9 8 7 6 5 4 3 2 1

0 ≦6hr ≦12hr ≦24hr ≦48hr ≦72hr 72hr<(time)

bacteremia meningitis

時間が 5 例,24〜48 時間が 4 例,48〜72 時間が 2 例,72 時間以上が 9 例(不明 1 例)であった.病 型別の有熱期間の検討では, 発熱後 12 時間以内に 全身性肺炎球菌感染症と診断された 12 例はすべ て菌血症群であり,髄膜炎群は発熱時点が不明 だった 1 例を除く 10 例すべてが発熱後 12 時間以 上を経過していた (Fig. 4) .一方,菌血症群の中に は, 発熱後 72 時間以上経過していた症例も 4 例含 まれていた.この 4 例の平均年齢は 4 歳 8 カ月で あり,菌血症群全体の平均年齢 2 歳 2 カ月にくら べて高い傾向にあった.

痙攣は 13 例(39.4%)にみられた.病型別の痙 攣出現頻度は, 髄膜炎群に 11 例中 6 例 (54.5%) , 菌血症群に 22 例中 7 例(31.8%)と髄膜炎群に有 意に高かった(p<0.01) .

4)検査所見

対 象 の 診 断 時 白 血 球 数 は[19,400(13,450,

26,750) ]mm

3

,CRP 値 は[6.2(2.6, 22.0) ] mg dl であった.病型別の検討では,白血球数は菌血症 群[23,900(19,150, 29,050) ]mm

3

よ り 髄 膜 炎 群

[9,700 (3,700,14,300) ]mm

3

で有意に低値を示し,

髄膜炎群では白血球数 4,000 mm

3

以下の白血球 減少例を 4 例認めた(Table 2, Fig. 5).CRP 値は 菌血症群[4.2(0.9, 7.8)]mg dl より髄膜炎群[25.6

(12.1, 30.0) ] mg dl で有意に高値を示した.CRP 値が定量されなかった 3 例を除く 30 例でみると,

白血球 10,000 mm

3

以下の 5 例はすべて髄膜炎例 で,10,000 mm

3

を越えていた 25 例は,菌血症 21

例と髄膜炎 4 例であった.逆に,CRP10.0mg dl 未満の 20 例中に髄膜炎例は 1 例しかなく,10.0 mg dl 以上の 10 例中に髄膜炎例が 8 例含まれて いた(Fig. 5).白血球数 4,000 mm

3

以下の髄膜炎 例 4 例の CRP 値は,12.9mg dl,25.6mg dl が 1 例 ずつ,30mg dl 以上が 2 例で,いずれも CRP 値の 高値を認めた.白血球数,CRP 値以外の検査所見 では,ヘモグ ロ ビ ン 値 は 菌 血 症 群[11.6(11.0,

12.4) ] g dl よ り 髄 膜 炎 群[10.7(9.9, 11.4) ] g dl で 有 意 に 低 値 を 示 し,ALT 値 は 菌 血 症 群[13

(11,15) ] IU

l

よ り 髄 膜 炎 群[20(14, 116) ] IU

l

で 高 値 を と る 傾 向 が あ っ た(Table 2) .DIC や ショック・多臓器不全を反映して,髄膜炎群の中 には血小板数の低下や,AST,LDH,CK の上昇を みる例もあったが,菌血症群との間に統計学的有 意差はみられなかった.菌血症群では,先行局所 感染巣による検査所見の相違は認めなかった.

5)予後

菌血症群 22 例はすべて抗菌剤治療に良好に反 応し,後遺症なく軽快した (Table 1) .一方,髄膜 炎群では,水頭症(1 例),脳萎縮(1 例),痙性四 肢麻痺(1 例) ,難聴(2 例)などの神経学的後遺 症を残したものが計 4 例(36.4%),死亡例が 3 例

(27.3%)と高率に予後不良例が認められた.

予後と症状および検査所見の検討では,髄膜炎 群において有熱期間と予後には明らかな関連は認 められなかったが,神経学的後遺症を残すかまた は死亡した髄膜炎例(計 7 例)は,4,000 mm

3

以下 の白血球減少か,20.0mg dl 以上の CRP 値著増の いずれかを満たしていた.このことから,診断時 の白血球減少と CRP 著増が予後不良の予測因子 として示唆された.

過去 15 年間に当科で経験した小児全身性肺炎 球菌感染症 33 例を髄膜炎群と菌血症群とに分け て両群の臨床像について比較検討した.

症例の年度別分布では,近年になるほど症例数

は増加する傾向がみられたが,これは全体の患者

数の増加や発熱患者に対する血液培養の適応の問

題もあり一概に論じることはできない.ペニシリ

ン耐性肺炎球菌は本邦において 1980 年代後半に

Fig. 4 Duration of febrile illness before diagnosis.

(5)

Table  2 Age  at  onset  and  laboratory  findings  of  33  patients  with  systemic  pneumococcal infections

p value meningitis(n = 11)

bacteremia(n = 22)

Median(1st Qr,3rd Qr)

Median(1st Qr, 3rd Qr)

0.24364 10(6, 41)

16(11, 23)

age(Mo)

0.00004  9,700(3,700, 14.3000)

23,900(19,150, 29,050)

WBC(/mm3

0.00011  25.6(12.1, 30.0)

4.2(0.9, 7.8)

CRP(mg/dl)

0.01807  10.7(9.9, 11.4)

11.6(11.0, 12.4)

Hb(g/dl)

0.10380 28.1(2.7, 41.3)

36.9(28.4, 47.6)

Plt(× 104/mm3

0.07403 80(21, 116)

30(24, 38)

AST(IU/l)

0.00949  20(14, 116)

13(11, 15)

ALT(IU/l)

0.15494 1,208(448, 2,806)

678(591, 759)

LDH(IU/l)

0.39903 115(43, 909)

89(64, 136)

CK(IU/l)

* p< 0.05

出現したと考えられているが,その後分離頻度は 増 加 し 続 け,現 在 地 域 に よ り 50〜60% に 達 し た

2)6)

.当院においても 1999 年 1 年間に分離され た肺炎球菌のうちペニシリン耐性株は 52.1% で あった.しかし,今回検討した小児全身性肺炎球 菌感染症におけるペニシリン耐性株は,1991 年に 初めての症例が記録されて後,現在まで 2 例を追 加するのみで,33 株中 3 株(9.1%)にすぎず,最 近 の 3 年 間 に 限 っ て み て も 11 株 中 2 株(18.2

%)ときわめて低かった.

全身性肺炎球菌感染症 33 例の診断の内訳は, 菌 血症 22 例,髄膜炎 11 例であった.過去の報告

3)4)7)

では,この両者に加えて,肺炎を別項として挙げ

ている.今回の 33 例については,肺炎を先行局所 感染症ととらえ

1)

,このような例を含めて菌血症 あるいは胸膜炎と分類し

5)

,菌血症群と髄膜炎群 との比較検討を行った.肺炎を菌血症,髄膜炎と 並列して扱うならば,菌血症 15 例,髄膜炎 11 例,

肺炎 7 例(胸膜炎 0 例)となる.検出菌のペニシ リン感受性と病型には,関連はみられなかった.

ペニシリン耐性菌の分離頻度が低く,今回の研究 からペニシリン感受性の臨床経過に与える影響に ついて論ずることはできないが,これまでのとこ ろこの点については否定的な報告も多く

4)8)

,今後 もさらなる検討が必要だろう.

患者に性差はなく,全体の 57.6% が生後 7 カ月 から 1 歳台に集中していた.肺炎球菌の夾膜多糖 抗原に対する特異 IgG2 抗体が,この年齢層では 生理的に産生されにくいことがその一因と推測さ れている

9)

.潜在性肺炎球菌菌血症を繰り返した 一過性 IgG2 欠乏症も報告されている

10)

が,一方 で,反復性全身性肺炎球菌感染症は免疫不全を必 ずしも認めるわけではないという報告

11)

もある.

本研究では,同一患者の反復例はなかった.免疫 学的検索が行われた 14 例中,血清 IgG2 の低下を 示した症例が 2 例認められた

12)

.その内 1 例は 13 歳 1 カ月の菌血症例で,IgG2 値は 84mg dl だっ た.この患者は全 33 例中の最高齢であり,IgG2 欠乏がこの症例の菌血症発症の一因になっていた 可能性も示唆された.なお,母体からの移行抗体 の存在により肺炎球菌感染症には罹患しにくいと

Fig . 5 Distribution of white blood cell counts and

CRP levels at diagnosis.

(6)

される乳児期早期に髄膜炎例のピークを認めたこ とと,全菌血症群の中で,発熱後 72 時間以上経過 しても髄膜炎を併発していない症例の平均年齢が 比較的高い(4 歳 8 カ月)傾向にあったことは,患 者側の免疫能との関連が示唆された.

重症細菌感染症を反映して,診断時白血球数と CRP 値は上昇していた.菌血症群と髄膜炎群との 比較では,CRP 値は髄膜炎群において有意に高値 を示したのに対し,白血球数は菌血症群の方が有 意に高値を示した.髄膜炎群では白血球数 4,000 mm

3

以下の症例も 4 例みられた.有熱期間をみる と, 髄膜炎群は全例発熱から 12 時間以上経過して から診断されていた.すなわち,発熱後 12 時間以 内に髄膜炎をきたした症例は認められなかった.

このことは,髄膜炎は菌血症に続発する病態であ り,病態の進展に伴い,CRP 値が上昇し,白血球 数は増加を経て,重症例ではむしろ低下すること を示唆していた.菌血症群の約 1 3 に痙攣が認め られたことから,発熱・痙攣それ自体は髄膜炎の 存在を示唆するものではないが, 発熱後 12 時間以 上経過して,CRP 値の著増にもかかわらず白血球 数が減少した例は,積極的に髄膜炎の存在を疑う 必要があると考えられた.そして,重要な点は,

菌血症群と髄膜炎群で予後に明らかな相違が認め られたことである.したがって,予後改善のため にもっとも重要なことは,菌血症までの段階での 的確な抗菌薬治療であると言えるだろう.

謝辞:本研究における統計学的解析について御指導い ただきました,横浜市立大学医学部公衆衛生学教室の木村 博和先生に深謝いたします.

1)Todd JK:Streptococcus pneumoniae(Pneumo- coccus).In:Behrman RE, Kliegman RM, Jenson HB, ed. Nelson Textbook of Pediatrics, 16th edi- tion. WB Saunders, Philadelphia, 2000;p. 799―

801.

2)紺野昌俊,生方公子(ペニシリン耐性肺炎球菌研

究会):III.各種抗菌薬に対する感受性.ペニシリ ン耐性肺炎球菌.協和企画通信,東京,1999;p.

45―52.

3) Ohkusu K , Nakamura A : Characterization of Streptococcus pneumoniae strains isolated from systemic infections in children . Kansenshogaku Zasshi 2000;74:1―5.

4)Kaplan SL, Mason Jr EO, Barson WJ, Wald ER, Arditi M, Tan TQ,et al.:Three-year multicenter surveillance of systemic pneumococcal infections in children. Pediatrics 1998;102:538―45.

5)Huang FY, Chiu NC, Liu SC:Penicillin-resistant pneumococcal infections in children . J Formos Med Assoc 1997;96:414―8.

6) Song JH , Lee NY , Ichiyama S , Yoshida R , Hirakata Y, Fu W,et al.:Spread of drug-resis- tant Streptococcus pneumoniae in Asian coun- tries:Asian network for surveillance of resistant pathogens ( ANSORP ) study . Clin Infect Dis 1999;28:1206―11.

7)Tan TQ , Mason Jr EO , Kaplan SL : Penicillin- resistant systemic pneumococcal infections in children:A retrospective case-control study. Pe- diatrics 1993;92:761―7.

8) Friedland IR : Comparison of the responses to antimicrobial therapy of penicillin-resistant and penicillin-susceptible pneumococcal disease. Pedi- atr Infect Dis J 1995;14:885―90.

9)Powell KR:Fever without a focus. In:Behrman RE, Kliegman RM, Jenson HB, ed. Nelson Text- book of Pediatrics , 16 th edition . WB Saunders , Philadelphia, 2000;p. 742―7.

10)梶田光春,藤本陽子,田中明彦,成瀬 宏,岩瀬

勝彦:潜在性肺炎球菌菌血症を繰り返した一過 性 IgG2 欠乏症の 1 例.小児科診療 1990;53:

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11)Orlicek SL, Herrod HG, Leggiadro RJ, Lueatke G, English BK:Repeated invasive pneumococcal in- fections in young children without apparent un- derlying immunodeficiency . J Pediatr 1997 ; 130:284―8.

12)Hayashibara H, Tanimoto K, Nagata I, Harada Y, Shiraki K:Normal levels of IgG subclass in child- hood determined by a sensitive ELISA. Acta Pe- diatr Jpn 1993;35:113―7.

(7)

Clinical Study of 33 Children with Systemic Pneumococcal Infections Atsuo SATO

1)

, Katsuhiko KITAZAWA

2)

, Akihito HONDA

2)

, Tatsuo MAEMOTO

2)

,

Naohiro INAKAWA

2)

, Masayoshi SENDA

2)

, Hiroyuki KOBAYASHI

2)

, Masaaki IBE

3)

, Masaaki MORI

3)

& Shumpei YOKOTA

3)

1)Department of Pediatrics, Yokohama Sakae Kyosai Hospital,2)Department of Pediatrics, Asahi General Hospital,3)Department of Pediatrics, Yokohama City University School of Medicine

We retrospectively analyzed 33 cases of children with systemic pneumococcal infections, 22 bac- teremia and 11 meningitis, diagnosed and treated in Asahi General Hospital between 1985 and 1999.

The median age at diagnosis was 15 months old and the incidence peaked in infants between 7 and 24 months of age(57.6%) . Two cases showed low serum IgG2 levels. Fever was a common symptom in all cases and 13(39.4%)presented convulsions. Meningitis[median age:10 months]tended to oc- cur, if not significant, in younger children than bacteremia[16 months] . All cases of meningitis were diagnosed 12 hours or later after the onset of fever, though 54.5% of the cases of bacteremia were di- agnosed within 12 hours. The cases of meningitis showed statistically lower white blood cell counts

[ median: 9,700 mm

3

]and higher CRP levels[ median: 25.6 mg dl ]than those of bacteremia

[23,900 mm

3

and 4.2mg dl, respectively]at diagnosis. Although all cases of bacteremia were cured

without any sequelae by antibiotic treatment, 3 cases(27.3%)of meningitis died and 4(36.4%)de-

veloped severe neurological sequelae. Our findings suggest that the putative pathogenesis by which

pneumococcal meningitis results from bacteremia and, taking in the account of the poor outcome of

meningitis, may justify the early antibiotic intervention against pneumococcal bacteremia.

Fig. 2 Clinical diagnosis of 33 patients with systemic pneumococcal infections.
Table 1 Gender and outcome of 33 patients with systemic pneumococcal infections  and penicillin susceptibility of isolates p valuemeningitis(n = 11)bacteremia(n = 22) numbernumber 0.520709:221:  1penicillin susceptibility (susceptible:resistant) 1.000006:5
Table  2 Age  at  onset  and  laboratory  findings  of  33  patients  with  systemic  pneumococcal infections p valuemeningitis(n = 11)bacteremia(n = 22) Median (1st Qr,3rd Qr)Median(1st Qr, 3rd Qr) 0.2436410(6, 41)16(11, 23)age(Mo) 0.00004  *9,700(3,700, 

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