• 検索結果がありません。

『恋 す る女 た ち』 再 考 暖か な闇一

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "『恋 す る女 た ち』 再 考 暖か な闇一"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

『恋 す る女 た ち』 再 考

暖か な闇一

山 田 晶 子

F.R.リ ー ヴ ィ ス が,名 著D.H.Lawrence:Novelistに お い て 『恋 す る 女 た ち 』 を 彼 の 最 高 傑 作 で あ る と賞 賛 し て 以 来,彼 の 第5作 目 の 長 編 小 説 は,内 外 に お い て 芸 術 性 の 高 さ を 認 め ら れ て き た 。

Evenareaderwhoisstillfarfromhavinggraspedthefulldevelopment

mustbeawarebythetimehereachedtheendofthebookthatitcontainsa

representationoftwentieth‑centuryEngland‐ofmoderncivilization‐so

firsthandandsearchinginitscomprehensivenessastobebeyondthepower

ofanyothernovelistheknowso£1)

ロ レ ンス 研 究 者 は こ の小 説 の 主 題 とス タ イ ル が オ リジ ナ ル で あ り,現 代 文 学 に お い て 重 要 性 な も の で あ る と論 じて い る。 『 恋 す る女 た ち 』 の 世 界 に は,個 人 及 び社 会 集 団 の 暴 力 と憎 悪 ・退 廃 が 充 満 して い るが,そ れ は この 小 説 が 第 一 次 世 界 大 戦 中 の1916年 に書 き 上 げ られ,ロ レ ン ス の 人 間 の 運 命 に 対 す る絶 望 感 が 反 映 して い る た め で あ る 。 この 小 説 が 書 き は じめ ら れ る前 の1916年2月 に,彼 がO・ モ レ ル 夫 人 へ 宛 て た 手 紙

r

(2)

に は,当 時 の彼 の心 境 が に じみ 出 て い る。

Thisworldofourshasgottocollapsenow,inviolenceandinjusticeand destruction,nothingwillstopit.

Theonlythingnowtobedoneiseithertogodownwiththeship,sink

withtheship,orasmuchasonecan,leavetheship,andlikeacatawaylivea

lifeapart.Asforme,Idonotbelongtotheship;Iwillnotliveanymorein

thistime.Iknowwhatitis.Irejectit.AsfarasIpossiblycan,Iwillstand

outsidethistime,Iwilllivemylife,andifpossible,behappy,thoughthe

wholeworldshdesinhorrordo㎜intothebottomlesspit2)

八七

こ の小 説 に は 直 接 第 一 次 世 界 大 戦 へ の 言 及 は な い の だ が,H.M.ダ レ ス キ ー が 指摘 して い る よ うに,こ れ は 「 戦 争 小 説 」 で あ る3)。こ の 小 説 が 主題 と して い る戦 い は 国 家 と国家 の 戦 いで は な くて,個 人 と個 人 つ ま り親 と子,男 と女,夫 と妻,雇 主 と使 用 人 の戦 い で あ り,ま た相 反 す る 思 想 と思 想 の 戦 いで あ る。 これ らの 戦 い は,現 代 の 人 間 が 生 き て い る社 会 状 況 ・歴 史 展 開 か ら生 じた も の で あ り,『恋 す る 女 た ち 』 は現 代 機 械 文 明社 会 の 本 質 を余 す と こ ろ な く描 写 して い る と言 え よ う。

『 恋 す る 女 た ち 』 の 暴 力 に満 ち た 世 界 は 機 械 組 織 に 支 配 さ れ て い る。

人 間 は何 もの か に束 縛 さ れ 閉 じ込 め られ て い る。 「 閉 じた 」,「封 じ る」,

「 監 禁 され た 」 ,「 所 有 」,「縛 られ た」 な ど の表 現 が 繰 り返 し使 わ れ て い るが,こ の こ とが 人 間社 会 が 目 に 見 えな い一 種 の 牢 獄 で あ る とい う印 象 を 与 え る。 バ ー キ ン は,現 代 社 会 の 人 間 は全 て が は っ き り した 限 界 に 閉 じ込 め られ て い る と思 い,恋 愛 も古 い形 の ま ま で は 恐 ろ しい 束 縛 関 係 に 思 わ れ る。 彼 は こ の不 自然 な状 態 か ら有機 的 で 自然 な世 界 を 目指 し,自 由 を求 め る 。 新 しい 世 界 に 生 き る上 で 必 要 な の は,思 想 上 の 革 新 で あ

一2一

(3)

『恋 す る女 た ち 』 再 考

る。 ロ レ ン ス の 代 弁 者 で あ るバ ー キ ン は,他 の 人 間 が 考 え た こ と が な か っ た 「 闇 」 とい う新 た な 思 想 を 唱 道 す る こ とに よっ て,世 界 の 革 新 を 目指 して い る。 これ ま で 『 恋 す る女 た ち 』 の 重 要 な 主 題 で あ る 「闇 」 に っ い て 論 じ られ た論 文 は 数 多 い が,ロ レ ンス の 思 想 の 中 核 が 書 か れ て い る この 作 品 に お い て,彼 の 「 闇 」 の公 式 化 につ い て 論 じた論 文 は ほ とん

どな い と思 わ れ る。

筆 者 は,本 論 に お い て,ロ レ ン ス の 「 闇 」 の 思 想 が 『恋 す る女 た ち 』 に お い て 一 つ の 頂 点 に 立 っ て い る こ と を論 じた い 。 彼 の 「闇 」 の 思 想 が,こ の 作 品 に お い て 初 め て 公 式 化 さ れ た こ とが,『 恋 す る女 た ち 』 が 最 高 傑 作 と され て い る一 因 に な っ て い る と思 わ れ る。 で は,ロ レ ン ス の

「闇 」 は ど の よ うに公 式 化 され て い るの で あ ろ うか 。 先 ず,① ロ レ ン ス の 「 闇 」 は常 識 的 な 冷 た い 闇 に対 して 「 暖 か な 闇 」 で あ る。 現 代 世 界 の

「 人 工 の 光 」 の 重 視 か ら 目を 転 じ て 「 闇 」 を 認 識 す る こ との 必 要 を 説 い て い る。 更 に② 「 闇 」 と 「 光 」 とい う二 元 の均 衡 を重 視 して い る。 これ は 男 女 の 理 想 的 な 釣 り合 い を 説 くバ ー キ ン の 「 星 の 均 衡 」 の 思 想 に表 れ て い る。 ま た 「シ ン グ ル ネ ス 」(singleness)の 思 想 も二 元 の 均 衡 に 関 わ っ て い る。 ③ 『カ ン ガ ル ー 』 で ロ レ ン ス の代 弁 者 で あ る主 人 公 サ マ ー ズ に よ っ て キ リ ス ト教 の 愛 の 神 に 対 立 す る神 と して 登 場 す る 「 黒 い神 」 の 仲 立 ち人 で あ る 「 黒 い 男 」 が,初 め て バ ー キ ン に よ って 体 現 され て い る。 「 闇 」 に つ い て の これ ら3つ の公 式 化 が 『恋 す る 女 た ち』 に お い て 具 体 的 に どの よ うに描 か れ て い るか を本 論 で述 べ た い 。

1暖 か な 「闇 」

『恋 す る女 た ち 』 の 主 人 公 で あ り ,ロ レ ン ス の 代 弁 者 と考 え ら れ る バ ー キ ン は,「 遠 出 」 の 章 に お い て 恋 人 ア ー シ ュ ラ と和 解 した 後 理 想 的 な 性 愛 を 交 わ す 。 そ の 時 二 人 は闇 に 包 ま れ て い るが,こ の闇 は 「 豊 穣 な

Il̲.

ノ\

(4)

闇 」 で あ り,バ ー キ ン は い つ ま で も そ の 中 か ら 出 た く な い と 思 う。

Theyweresoonoutofthelittletown,andrunningthroughtheuneven

lanesofthecountry.Ursulanestlednearhim,intohisconstantwarmth,and

watchedthepale‑litrevelationracingahead,thevisiblenight.Sometimesit

wasawideoldroad,withgrass‑spacesoneitherside,flyingmagicandelvin

inthegreenishillumination,sometimesthewallsofacrew‑yardandthebutt

ofabarn.

"Are

yougoingtoShortlandstodinner?"Ursulaaskedhimsuddenly.He started.

"GoodGod1"hesaid

."Shortlands.Neveragain.Notthat.‐Besideswe

shouldbetoolate."

"Wherearewegoingthen ‐totheMill?"

"lfyoulike

.‐Pitytogoanywhereonthisgooddarknight.Pitytocome

outit,really.Pitywecan'tstopinthegooddarkness.Itisbetterthan

an)thingeverwouldbe‑thisgoodimmediatedarkness."4)(317‑18.)

二 人 は そ の 後 車 で 町 へ 向 か う が,暗 い 車 中 で ア ー シ ュ ラ は バ ー キ ン を 見 つ め て,彼 を 「エ ジ プ トの フ ァ ラ オ 」 の よ う で あ る と 思 う 。 エ ジ プ ト っ ま り暖 か な 国 で あ る。

八五

HesatstilllikeanEgyptianPharaoh,drivingthecar.Hefeltasifhewere

seatedinimmemorialpotency,likethegreatcarvenstatuesofrealEgypt,as

realandas丘11filledwithsubtlestrength,astheseare,withavagueinscrutable

smileonthelips.Heknewwhatitwastohavethestrengthandmagical

currentofforceinhisbackandloins,anddownhislegs,forcesoperfectthat

itstayedhimimmobile,andle丘hisfacesubtly,mindlesslysmiling.Heknew

一4一

(5)

『恋 す る 女 た ち』 再 考

whatitwastobeawakeandpotentinthatotherbasicmind,thedeepest physicalmind.Andfromthissourcehehadapureandmagiccontrol, magicalmystical,aforceindarkness,likeelectricity.(318)

バ ー キ ン は 「白 い 世 界 」 を嫌 い 「 闇 」 を愛 す る 男で あ り,か つ 暖 か な エ ジ プ トとい う異 教 の 国 と関 連 づ け られ て い る。 上 の 引 用 で は,「 魔 法 の 」,「神 秘 的 」,「闇 の 力 」 と い う言 葉 が 表 れ て い るが,こ の よ う な言 葉 は ロ レ ンス の他 の 小 説 で も多 用 さ れ て い る 。 これ らの言 葉 は キ リス ト教

と相 容 れ な い 異教 性 を感 じ させ る 。

この 小 説 の最 後 で は,バ ー キ ンは 全 て を 捨 て て ど こか へ 行 こ う とア ー シ ュ ラ に語 り,二 人 は もっ と暖 か な 所 へ 行 きた い と思 う。 具 体 的 に は イ タ リア を挙 げ て い る。 彼 は チ ロ ル の 山 中 に い る と きそ の 静 け さ と冷 た さ と凍 りつ い た 永 遠 性 に耐 え られ な い,と 言 い,ア ー シ ュ ラ も純 粋 な新 雪 の 目 も く らむ よ うな 白 さが 自分 を 傷 つ け る気 が す るの で 幽 霊 の よ うな 不 自然 な雪 の 光 が 嫌 い で あ る と言 う。 そ して バ ー キ ン とア ー シ ュ ラ は 暖 か な 場 所 を 求 め るの で あ る。 こ れ よ り前 の 「 大 陸 」 と い う章 の初 め の部 分 で は,バ ー キ ン とア ー シ ュ ラが 船 で ドー バ ー 海 峡 を渡 る場 面 が あ る が, そ の 船 上 で も アー シ ュ ラが 暖 か な 闇 の光 を 感 じて 幸 福 感 に浸 る個 所 が 出 て 来 る。

Theyseemedtofallawayintotheprofounddarkness.Therewasnosky,no earth,onlyoneunbrokendarkness,intowhich,withasoft,sleepingmotion, theyseemedtofall,likeoneclosedseedoflifefallingthroughdarkness, fathomlessspace.

Theyhadforgottenwheretheywere,forgottenallthatwasandallthat hadbeen,consciousonlyintheirheart,andthereconsciousonlypure trajectorythroughthesurpassingdarkness.Theship'sprowcleavedon,with

八四

(6)

afaintnoiseofcleavage,intothecompletenight,withoutknowing,without

seeing,onlysurgingon.

InUrsulathesenseoftheunrealizedworldaheadtriumphedover

everything.Inthemidstofthisprofounddarkness,thereseemedtoglowon

herhearttheeffulgenceofaparadiseunknownandunrealized.Herheart

wasfu皿ofthemostwonderfullight,goldenlikehoneyofdarkness,sweetlike

thewarmthofday,alightwhichwasnotshedontheworld,onlyonthe

unknownparadisetowardswhichshewasgoing,asweetnessofhabitation,a

delightoflivingquiteunknown,buthersinfallibly.(388)

「 深 遠 な 闇 」 ,「 破 ら れ な い 闇 」 を 通 過 して 「 底 の な い 空 間 」 に 落 ち て 行 く と い う表 現 は,ジ ョ ン ・ミル トンのParadiseLostに お い て,神 の軍 隊 に敗 れ た サ タ ンの軍 隊 が 暗 黒 の 闇 の 中 を 地 獄 まで 落 ちて 行 っ た とい う 描 写5)を連 想 させ る。 しか しバ ー キ ン と ア ー シ ュ ラ は 「 救 い の楽 園 」 へ 落 ち て 行 った の で あ り 「 命 の種 」 と して 落 ち て行 っ た の で あ る。 こ こに も キ リス ト教 の 伝 統 に 反 抗 す る思 想 が 表 れ て い る と思 わ れ る。 「 理 性 」 を拒 否 して 「 非 理 性 」 の楽 園 を 目指 して 二 人 は落 ち て 行 く。 この よ うな 例 か ら分 か る よ うに,ロ レ ンス を代 弁 す るバ ー キ ンは 「 暖 か な 闇 」 とい う思 想 を 『 恋 す る女 た ち』 で 説 い て い る。 この 思 想 は こ の小 説 で 公 式 化 され て い る と思 わ れ る。

そ して 「 黒 い 暖 か な世 界 」 と対 照 的 に 「白 い冷 た い 世 界 」 が 描 か れ て い る。 「 湖 上 パ ー テ ィ」 の章 で は,バ ー キ ンが 反 発 を 感 じな が ら も この 上 な く愛 情 を 寄 せ て い る 男性 ジ ェ ラ ル ドの 家 で あ る ク ラ イ チ家 で の パ ー テ ィが 描 か れ て い る。 最 初 は 華 や か で賑 や か な パ ー テ ィで あ っ た が,最 後 の 方 で ク ラ イ チ 家 の若 夫 婦 で あ る ロ ー ラ とそ の夫 が 湖 の 中 で 溺 れ て 死

ぬ とい う事 件 が起 き る。 これ 以 前 に バ ー キ ン は,人 生 に は 「 生 へ 向 か う 銀 色 の 流 れ 」 と 「 死 へ 向 か う暗 黒 の流 れ 」 が 存 在 す るが,人 々 は 普 通 は

一6一

(7)

『恋 す る 女 た ち 』 再 考

「暗 黒 の 流 れ 」 に は 気 が つ い て い な い の だ と述 べ て い る。

"Doyousmellthislittlemarsh?"hesaid

,sniffingtheair.Hewasvery

sensitivetoscents,andquickinunderstandingthem.

"lt'

srathernice,"shesaid.

"No

,"hereplied,"alarming."

"Whyalarming?"shelaughed

.

"lt

seethesandseethes,ariverofdarkness,"hesaid,"puttingforthlilies

andsnakes,andignisfatuus,androllingallthetimeonward.That'swhatwe

nevertakeintocount‐thatitrollsonwards."

"Whatdoes?"

"Theotherriver

,theblackriver.Wealwaysconsiderthesilverriveroflife, rollingandquickeningalltheworldtoabrightness,onandontoheaven,

flowingintoabrighteternalsea,aheavenofangelsthronging.‐Butthe

otherisourrealreality‐"

"Butwhatother?Idon'tseeanyother

,"saidUrsula.

̀̀ltisyourrea丘 彫nevertheless

,"hesaid,̀̀thedarkriverofdissolution.‑

Youseeitrollsinusjustastheotherrolls‐theblackriverofcorruption.

Andourflowersareofthis‐oursea‑bornAphrodite,allourwhitephos‑

phorescentflowersofsensuousperfection,allourreality,nowadays."(172)

ロ レ ンス の 「 闇 」 の 思 想 に は,こ の よ う に破 壊 的 な 意 味 を 持 つ 闇 と建 設 的 な意 味 を持 つ 闇 が 含 ま れ て い る の だ が,こ れ ま で 西 欧 の キ リス ト教 世 界 で は,闇 を破 壊 的 な要 素 を 持 つ もの とだ け しか 捉 え て お らず,ロ レ

ン ス は 闇 の 建 設 的 要 素 を唱 え た 点 に彼 の 作 品 のオ リジ ナ リテ ィが 存 在 す る と言 え よ う。 ク ライ チ 家 の パ ー テ ィで,若 夫 婦 が 溺 死 した 事 件 は 闇 の 否 定 的 な側 面 を表 わ して い る。 他 方 で,バ ー キ ン とア ー シ ュ ラが 理 想 的

(8)

な 性 愛 を 達 成 し た時 の 闇 は 建 設 的 な 闇 で あ る と考 え ら れ る。C.ク ラ ー ク は そ の 論 文 で,「 崩 壊 の過 程 は 否 定 的 で あ る と同 時 に 肯 定 的 で あ る 」 と述 べ,H.M.ダ レス キが 「 崩 壊 」 を否 定 的 に の み 捉 え て い る と反 論 し て い る6)。筆 者 は,ク ラ ー クに 賛 同 す る。 ロ レ ン ス は二 元 論 を 唱 道 して お り,物 事 の 意 味 に は 両 面 的 要 素 が あ るの で あ る。

建 設 的 な 「 闇 」 と破 壊 的 な 「 闇 」 の分 岐 点 を表 わ して い るの が,「 トー テ ム 」 の 章 で ボ ヘ ミア ン た ち が そ の 一 人 の アパ ー トで 見 た ア フ リカ の トー テ ム で あ る。 「 闇 」 は理 性 を拒 絶 した 世 界 で あ り 「 官 能 」 の 世 界 を も意 味 す る。 バ ー キ ンは 出 産 中 の 女 性 を彫 っ た トー テ ム を見 て 芸 術 の 極 地 で あ る と言 う。 そ れ は 官 能 世 界 の 極 地 で も あ る。 だ か ら次 に くる段 階

は 官 能 世 界 の 堕 落 で あ る。

Hesawvividlywithhisspirit,thegrey,forward‑stretchingfaceofthe Negrowoman,Africanandtense,abstractedinutterphysicalstress.Itwasa terribleface,void,peaked,abstractedalmostintomeaning‑lessbytheweight ofsensationbeneath.HesawthePussuminit.Asinadream,heknewher.

"Whyisitart?"Geraldasked

,shocked,resentful.

"ltconveysacompletetruth

,"saidBirkin."ltcontainsthewholetruthof thatstate,whateveryoufeelaboutit."

"Butyoucan'tcallithighart

,"saidGerald.

"High!Therearecenturiesandhundredsofcenturiesofdevelopmentina straightline,behindthatcarving,itisanawfulpitchofculture,ofadefinite sort."

"Whatculture?"Geraldasked

,inopposition.HehatedthesheerAfrican thing.

"Purecultureinsensation

,cultureinthephysicalconsciousness,really ultimatephysicalconsciousness,mindless,utterlysensual.Itissosensualas

一g一

(9)

tobefinal,supreme."(79)

『恋 す る 女 た ち 』 再 考

バ ー キ ン は,こ の トー テ ム が 南 方 民 族 の 熱 に よ る破 壊 の道 を示 唆 して い る と考 え て い る。 南 方 民 族 の こ の 女 性 像 の トー テ ム は 「ほ っ そ り し た 」,「長 い 」,重 い 」,「優 雅 な 」 と い う形 容 詞 で 表 わ さ れ て い る が,

ジ ェ ラ ル ドに 代 表 さ れ る 北 方 民 族 も 同 じ よ うな 形 容 詞 で 表 現 さ れ て お り,甲 虫 や そ れ に 類 す る昆 虫 の イ メ ジ ャ リー が 溢 れ て い る こ とに よ り分 か る。 つ ま り北 方 民 族 も今 や そ の 崩 壊 の極 地 まで 達 した と い う こ とな の で あ る。 そ して 今 や 時 代 は 北 方 志 向 か ら南 方 志 向 へ と転 回 しな け れ ば な らな い とバ ー キ ン に は思 わ れ るの で あ る。 「 南 方 」 は,女 性 の トー テ ム が表 わ して い る官 能 の世 界 と思 わ れ る。 ゆ え にバ ー キ ンの 思 想 に よ れ ば

「 官 能 」 イ コー ル 「 無 意 識 」 イ コ ー ル 「暖 」 イ コ ー ル 「 善 な る闇 」 と い う公 式 が 出 来 上 が るの で あ る。 これ に対 して ジ ェ ラル ドの世 界 で は 「 人 工 の光 」 イ コー ル 「 理 性 」 イ コー ル 「 意 識 」 イ コ ー ル 「 冷 」 とい う公 式 が 存 在 す る。 ロ レ ンス は,後 者 の 公 式 を 持 つ 現 代 機 械 社 会 を批 判 して 前 者 を 唱 え た の で あ る。 『 恋 す る女 た ち』 に お い て,彼 が 唱 え た 思 想 を 理 解 す るに 当 り,後 者 の 代 表 で あ る ジ ェ ラル ド とプ サ ム の破 壊 的側 面 を 見 て み よ う。

先 ず プサ ム で あ るが,酒 場 ポ ンパ ドー ル で バ ー キ ン とジ ェ ラル ド及 び ボ ヘ ミア ンが 登 場 し,そ こで 唯 一 の女 性 で あ る プ サ ム は ボ ヘ ミ ア ン の 一 人 で あ るハ リデ ィの 愛 人 で あ り,娼 婦 の よ うな女 性 で あ る。彼 女 は ジ ェ ラル ドに子 供 の よ うに 未 熟 な 感 じを 与 え るが,二 人 は一 夜 を 共 に す る。

彼 女 と別 れ て か ら ジ ェ ラ ル ドは彼 女 に 金 を 渡 す べ き で あ っ た と後 悔 す る。 この よ うに 金 を媒 介 に して い ろ い ろ な男 と関 係 を持 ち,ハ リデ ィ と 関 係 して 無 責 任 な妊 娠 を す る プ サ ム は,退 廃 的 な 人 間 で あ る。 彼 女 と ジ ェ ラ ル ドの 惹 か れ 方 は,電 気 が 間 に走 っ て い る,と た び た び 描 か れ, 二 人 の 人 間 は あ た か も機 械 で 出 来 て い るか の よ うな 印 象 を 与 え る。

八〇

(10)

ThePussumsatneartoGerald,andsheseemedtobecomesoft,subtlyto

in丘lseherselfintohisbones,asifshewerepassingintohiminablack,

electricflow.Herbeingsuffusedintohisveinslikeamagneticdarkness,and

concentratedatthebaseofhisspinelikeafearfulsourceofpower.

Meanwhilehervoicesoundedoutreedyandnonchalant,asshetalked

indifferentlywithBirkinandwithMaxim.BetweenherandGeraldwasthis

silenceandthisblack,electriccomprehensioninthedarkness.Thenshe

foundhishands,andgraspeditinherownfirm,smallclasp.Itwassoutterly

dark,andyetsuchanakedstatementthatrapidvibrationranthroughhis

bloodandoverhisbrain,hewasnolongerresponsible.Stillhervoicerangon

likeabell,tingedwithatoneofmockery.Andassheswungherhead,her

finemaneofhairjustswepthisface,andallhisnerveswereonfire,aswitha

subtlefrictionofelectricity.Butthegreatcenterofhisforceheldsteady,a

magnificentpridetohim,atthebaseofhisspine.(73)

七九

車 中 の ジ ェ ラル ド とプ サ ム の 描 写 は,「 遠 出 」 の 章 の 車 中 の,エ ジ プ トの フ ァ ラ オ の よ うに 座 る バ ー キ ン と ア ー シ ュ ラ と対 比 さ れ て い る。

バ ー キ ン とア ー シ ュ ラ が 「シ ン グ ル ネ ス」 を達 成 した 人 間 と して描 か れ て い る の に 反 して ジ ェ ラ ル ド とプ サ ム は 互 い に 依 存 しあ う人 間 で あ り, ロ レ ンス に よ り批 判 さ れ て い る存 在 で あ る。 ジ ェ ラ ル ドは,父 親 が 亡 く な っ た 後 炭 坑 を 機 械 化 して 経 営 す る こ とに な る産 業 王 で あ り現 代 機 械 文 明 社 会 の 成 功 者 で あ り代 表 者 で あ る男 と して描 か れ て い る。 機 械 は 「 冷 た い 」 もの で あ る。 彼 は 北 方 的 美,氷 の 結 晶 に反 射 さ れ た太 陽 光 線 の よ うな美 を 備 え,均 整 の取 れ た 体 格 あ り余 る エ ネ ル ギ ー と意 志 を持 っ た 男 ら し さを 備 えて い て,外 見 上 も 内 面 上 も北 方 的 な 人 間 で あ る こ とが 強 調 さ れ て い る 。 しか し彼 の 人 物 像 に は 両 面 性 が あ る。 彼 は 「 非 常 に新 鮮 で 世 間 の 風 に 当 っ て い な い 純 粋 な感 じ」 と 「 静 か な 邪 悪 さ と押 さ え られ

一10一

(11)

『恋 す る 女 た ち 』 再 考

ぬ あ ぶ な っ か し さ 」 を 持 っ て い る。 「湖 上 パ ー テ ィ」 の 章 に お い て, ジ ェ ラル ドの 悲 劇 性 は 明 白 に な っ て くる。 この 時 彼 は,機 械 に挟 まれ た た め に 右 手 を怪 我 して い る。 彼 の意 志 の担 い 手 で あ る手 の怪 我 は彼 の 意 志 が 損 な わ れ る こ との 暗 示 で あ る と同 時 に,彼 が 自分 の 墓 穴 を掘 っ て い る こ と を暗 示 して い る。 これ ま で彼 に は不 可 能 な こ と は な か っ た 。 だ が 彼 は 溺 死 した 自分 の妹 とそ の 夫 を 救 え な か っ た 。 そ して 水 中 に潜 った 彼 は 「 地 獄 の 冷 た さ 」 を 体 験 し,自 分 の 家 族 の 特 徴 に 思 い 至 る。 そ れ は

「 一 度 こ とが 間 違 う と再 び 正 し くな ら な い 」 と い う こ とで ,彼 が 幼 い頃 弟 を事 故 で 殺 し旧約 聖 書 中 の カ イ ン の よ う に 区別 され た存 在 で あ っ た こ

とで あ る。 炭 坑 主 と して の ジ ェ ラル ドの 最 大 の 目標 は,地 下 に 眠 る石 炭 を可 能 な 限 りの 手 段 を用 い て,で き る だ け多 く掘 り出 す こ とで あ る。 そ の た め に彼 は鉄 の よ う な 意 志 で,容 赦 な く無 駄 を 切 り捨 て る の で あ る。

炭 鉱 夫 た ち は 巨 大 な機 械 の 歯 車 の 一 つ で あ り,ジ ェ ラ ル ド自身 も機 械 的 組 織 に 組 み 込 まれ て い る。 機 械 とは 人 工 の 産 物 で あ り自 然 に対 立 す る も の で あ る。 「 炭 塵 」 の 章 に お け る,彼 の ア ラ ブ 牝 馬 の 非 情 な 扱 い 方 や 暴 力 に 寄 る兎 の 支 配 に は,動 物 に対 す る人 間 の 意 志 力 行 使 の 思 い 上 が りが あ る。 ま た 汽 車 に脅 え る馬 の 姿 は 人 工 と自然 の対 立 を表 わ して お り,ロ

レ ン ス の 立 ち 場 は馬 の 側 に あ っ て,機 械 に対 す る彼 の恐 怖 感 を 表 わ して い る。 ジ ェ ラル ドの 行 な う 自然 との格 闘,つ ま り人 間 が 万 物 の 中 心 で あ り人 間 の 意 志 こ そ 全 て の 支 配 力 とい う考 え 方 は,バ ー キ ン と対 立 す る。

バ ー キ ン は人 間 が この 世 に い な くて も万 物 は相 変 わ らず 存 在 す る,人 間 が 万 物 の 中 心 で あ る とい う考 え方 は 思 い上 が りで あ る と謙 虚 に 考 え て い る。 バ ー キ ン は ジ ェ ラル ドに は お も り木 が あ る と思 う。 そ れ は 狂 気 の よ うな意 志 へ の 固執 で あ り,こ れ が彼 の 不 幸 な の で あ る 。 お も り木 は 囚 人 の 足 枷 を 暗 示 して い て,彼 が 古 い崩 壊 の 世 界 か ら抜 け だ せ な い こ と を示 唆 して い る。 ジ ェ ラル ドの 恋 人 に な っ たが 最 後 に は彼 を 死 に追 い や る こ とに な る グ ッ ドル ー ン は,彼 の トー テ ム は狼 で あ る と思 う。 狼 は北 国 に

七八

(12)

生 き る動 物 で あ り,南 方 の 極 限 状 況 を示 す 出 産 中 の女 性 の トー テ ム に対 立 して 描 か れ て い る。 ジ ェ ラ ル ドは,ま さ し く北 方 民 族 の 文 明 の極 限 を 擬 人 化 した 人 物 で あ る。 つ ま り,バ ー キ ンが ア ー シ ュ ラ と一緒 に 暖 か な 南 方 へ 旅 立 と う と して い る状 況 と は対 比 され て い る。 ジ ェ ラル ドと グ ッ ドル ー ン が雪 に 囲 ま れ た チ ロル の 山 小 屋 か ら眺 め る光 景 は,出 口 の な い 場 所 と して書 か れ て い る。 こ の場 面 は,ジ ェ ラ ル ドは出 口 の な い世 界 に 生 き て い る こ とを 暗 示 して お り,彼 は 最 後 に は雪 に埋 もれ て死 ぬ 。 彼 が 属 して い た 世 界 は 北 方 の キ リス ト教 機 械 文 明 の世 界 で あ っ た。 ゆ え に, ロ レ ンス は,北 方 で 生 き た ジ ェ ラ ル ドの 生 き方 を批 判 して お り,南 方 へ 向 か う こ とに よ っ て 生 き延 び よ う とす るバ ー キ ン を擁 護 して い る と言 え る。 ロ レ ン ス の 南 方 志 向 は,彼 が イ タ リ ア,オ ー ス トラ リ ア,メ キ シ コ,ア メ リカ の ニ ュー メ キ シ コ州 へ 旅 行 しそ こを 舞 台 に した 小 説 を 数 多 書 い た こ とか ら も うか が え る。

七七

II星 の均衡

次 に,ロ レン ス の 「 闇 」 の 特 質 の2番 目 の もの す な わ ち 「 光 」 と 「 闇 」 の 均 衡 とい う二 元 論 の 思 想 につ い て 論 じて み よ う。 この 思 想 は,意 識 と 無 意 識 女 と男 とい う対 立 に も つ な が っ て い る。 『 恋 す る女 た ち 』 に お い て は,こ の 対 立 が バ ー キ ン と二 人 の 女 性 との 関 わ りか ら描 か れ て い る。 バ ー キ ン は,最 後 に は アー シ ュ ラ とい う女 性 と理 想 的 な 関 係 を 達 成 して 結 婚 す るの で あ るが,そ の 前 に ハ ー マ イ オ ニ ー とい う貴 族 の 女 性 と 決 別 しな けれ ば な らな い。 ハ ー マ イ オ ニ ー は,自 意 識 の 固 ま りで あ り理 知 を探 究 す る 女 性 と して描 か れ,真 の 官 能 性 を持 って い な い 女 性 と して バ ー キ ンつ ま りロ レン ス に批 判 され て い る。 この よ う な女 性 は 最 終 的 に は 殺 意 を 抱 き破 壊 的 な行 動 を す る こ とに な る の で あ り,現 代 機 械 文 明 を 代 表 す る女 性 と して 批 判 さ れ て い る。

一12一

(13)

『恋 す る女 た ち 』 再 考

一 方,ア ー シ ュ ラ は,バ ー キ ン の 求 め る 新 し い 男 女 の 関 係 で あ る 「星 の 均 衡 」(star‑equilibrium)と い う 思 想 を 受 け 入 れ る こ と に な る 女 性 で あ る。 「星 の 均 衡 」 と は,男 は 純 粋 な 男 の 極 と な り,女 は 純 粋 な 女 の 極 と な っ て 対 置 さ れ 均 衡 を 保 つ と い う 思 想 で あ る 。 こ の 時 男 も 女 も 没 我 的 (impersona1)か っ た だ 一 つ の 個(individuality)を 得 て お り,相 手 を 支 配 し た り服 従 した り す る こ と の な い 自 由 な 立 ち 場 に あ る 。"impersonalyou"

と"impersonalme"は 単 一 で あ る こ と に よ り 自 発 性 を 確 立 で き る 存 在 で あ る 。 単 一 性(singleness)と は 自 意 識 古 い 観 念 の 放 棄 を 意 味 す る 。 そ の 時 義 務 は な く な り 衝 動 に 従 っ て 人 は 行 動 す る の で あ る 。

Onemustcommitoneselftoaconjunctionwiththeother‐Forever.But

itisnotselfless‐itisamaintainingoftheselfinmysticwayandintegrity

‐likeastarbalancedwithanotherstar .(144)

バ ー キ ン は 人類 は嘘 の 固 ま りで あ る と し,個 人 の 方 が人 類 よ り有 意 義 で あ る と し て,個 の重 要 さ を 主 張 す る。 個 人 は 時 と して 真 実 を含 む が, 多 勢 に な る と嘘 が 入 る か らで あ る。 この 個 人 の 純 粋 さ は,現 代 の機 械 文 明 に 組 み 込 ま れ た 集 団 的 人 間 に は,な か な か達 せ ら れ な い も の で あ る。

炭 鉱 夫 達 は無 数 の 車 輪 か ら成 る機 械 の 小 さ な 部 分 品 ・道 具 で あ り,ま さ に 単 一 性 を喪 失 して い る。 また 異 性 に 所 有 さ れ る こ とも個 の 喪 失 で あ り 自由 で は な くな る。 バ ー キ ン は ア ー シ ュ ラ との 会 話 で,「 人 間 は 最 後 の 望 み の も の を 手 に 入 れ る た め に全 て を捨 て な けれ ば な ら な い」 と言 い, 彼 女 に 「 最 後 の も の とは何?」 と きか れ て,「 わ か ら な い 共 に あ る 自 由(freedomtogether)だ 」(152)と 答 え て い る。 「 共 に あ る 自 由 」 と い う こ とは 「 星 の均 衡 」 に 喩 え られ て い る。

バ ー キ ンは 時 間 に拘 束 され ず 気 紛 れ で あ る。 ブ レ ダ ル ビ ィで バ ー キ ン の 踊 りを見 た 伯 爵 婦 人 は,「 彼 は カ メ レオ ンの よ う に変 化 す る」 と述 べ,

七六

(14)

そ れ を 聞 い た ハ ー マ イ オ ニ ー は,「 彼 は 自分 達 と同類 で は な い,彼 は 裏 切 り者 で 人 間 以 下 だ 」 と思 う。 しか しバ ー キ ン の 一 見 否 定 的 な 特 徴 に は,彼 が 機 械 的 な 牢 獄 の 生 活 に は相 応 し くな い とい う意 味 が 暗 示 さ れ て い る。 機 械 は変 化 を しな い し時 間 通 りで あ る か ら。 ア ー シ ュ ラ は,バ ー キ ンの 肉 体 に は 偉 大 な 自 由 な 感 じが あ る こ とを知 る。 ま た ジ ェ ラ ル ドも バ ー キ ン と柔 道 を した 時,彼 の 体 に は 見 か け に よ らず(バ ー キ ン は病 弱 な様 子 を して い る)強 さが あ る こ とを知 って 驚 い て い る。 バ ー キ ン の特 徴 は,こ の よ うな 見 か け に よ らな い強 さで あ る。 彼 は また,ジ ェ ラ ル ド

が 羨 む 動 物 の よ う な 自発 性 も持 ち 合 わ せ て い る。 動 物 は 人 間 の退 化 を 意 味 す る と同 時 に 自然 さを 意 味 す る両 面 性 の 象 徴 とな っ て い る。 バ ー キ ン とア ー シ ュ ラ は 「 遠 出 」 の 章 で,理 想 的 な愛 の 交 わ りを す る。 だ が こ こ に 至 る ま で に 二 人 の 間 に は 絶 え ま な い 心 の 闘 いが あ っ た 。 バ ー キ ン は, 自分 の 求 め る星 の 均 衡 と い う愛 の 形 を彼 女 に 説 くが,ま た 現 在 の 生 活 の 偽 りを 説 くが,彼 女 に は なか な か 理 解 で きな い 。 ア ー シ ュ ラ は,愛 は全 て で あ る とい う古 い愛 の形 を 求 め て い る。 彼 女 に は 男 を所 有 した い とい う思 い,ロ レ ン ス が 「マ グ ナ ・メ イ タ 」7)と 呼 ぶ 要 素 を 持 っ て い る。 彼 女 は 男 を 所 有 し た い と思 う反 面,奴 隷 の よ うに 仕 え た い と思 う。 ア ー

シ ュ ラの 奴 隷 願 望 は ハ ー マ イ オ ニ ー と共 通 の もの で あ る。

Hermionewouldhavebeenhisslave‐therewasinherahorribledesire

toprostrateherselfbeforeaman‐amanwhoworshippedher,however,and

admittedherasthesupremething.Hedidnotwantaodalisk.(286)

七五

ハ ー マ イ オ ニ ー は支 配 欲 と服 従 欲 を同 時 に持 っ て い る。 とい う よ り支 配 欲 を持 つ 人 間 は,ロ レ ン ス の二 元 論 に よれ ば 当 然 そ の反 対 極 と して の 服 従 欲 を持 つ と い う こ と に な る で あ ろ う。 ハ ー マ イ オ ニー の よ うな 支 配 欲 と服 従 欲 を 持 っ 人 間 は,ロ レ ンス に は批 判 され て い る。 彼 女 が バ ー キ

一14一

(15)

『恋 す る 女 た ち 』 再 考

ンを 文 鎮 で殺 そ う と した よ うに 崩 壊 の 道 を 歩 ん で い るか らで あ る。

しか しア ー シ ュ ラは 他 の 女 性 と異 な っ て お り,そ の 人物 像 に は 作 者 が 求 め る理 想 の 女 性 像 が 重 な っ て い る 。 彼 女 は 小 説 全 体 の腐 敗 の雰 囲 気 の 中 で,最 も新 生 の可 能 性 が 高 い 女 性 で あ る。 彼 女 の 特徴 は,ハ ー マ イ オ ニ ー の古 さ と対 比 さ れ る若 さで あ る。 それ は 芽 吹 く若 枝 や 蕾 に 喩 え られ て,枯 れ か か っ た 木 で あ る ハ ー マ イ オ ニ ー と対 比 され て い る。 ア ー シ ュ ラ は花 の よ う に 自然 で 春 の よ う に温 か い金 色 の 光 を 備 えて い る 。 バ ー キ ン は そ の金 色 の光 に 何 度 も魅 了 さ れ るが,こ の 光 こ そ,彼 を暗 黒 の 牢 獄 か ら明 る い澄 ん だ 自 由 な大 気 の 中 へ 導 い て行 く道 標 な ので あ る 。 こ の 金 色 の光 は単 に ア ー シ ュ ラ の ひ とみ の 色 に留 ま らず 彼 女 の性 質 を 表 わ して い る。

Herfacewasbeautifulandfullofbaffledlightasshetoldhimallthe thingsthathadhurtherorperplexedhersodeeply.Heseemedtowarmand comforthissoulatthebeautifullightofhernature.(145)

ア ー シ ュ ラ の 温 か さ は,腐 敗 の 川 に 属 す る 人 々 つ ま り ジ ェ ラ ル ド, グ ッ ド ル ー ン,プ サ ム,ベ ル ド ー ヴ ァ の 炭 鉱 夫 た ち の 冷 た さ と 対 比 さ れ て い る 。 そ れ ゆ え 彼 女 は,チ ロ ル の 雪 山 の 冷 た い 美 し さ に は 不 自 然 さ を 感 じ,バ ー キ ン に 南 方 へ 行 き た い と 言 う。 降 っ た ぼ か り の 雪 の 純 粋 な 白

さ と 冷 た さ は,彼 女 の 魂 を 絞 め 殺 し そ う な 気 が し た の で あ る 。

バ ー キ ン と ア ー シ ュ ラ は ,結 局,言 葉 に よ る 一 致 は 見 出 せ な か っ た が,二 人 の 肉 体 の 結 合 は,バ ー キ ン の 求 め る 「星 の 均 衡 」 に 等 し い も の で あ る 。 「遠 出 」 の 章 で,ア ー シ ュ ラ は ハ ー マ イ オ ニ ー へ の 嫉 妬 か ら バ ー キ ン を ひ ど く罵 っ た 。 そ の 激 怒 に お い て 彼 女 は 自 我 を 出 し切 っ た と 言 え る 。 そ の 後 に 二 人 に は 平 和 が 訪 れ る 。 バ ー キ ン は も は や 言 葉 は い ら な い の だ と 感 じ る 。 そ の 平 和 は 「完 全 な 死 」,「 決 し て 言 葉 で 表 わ す こ と

七四

(16)

が で き な い彼 の真 実 」 で あ る。 それ は ハ ー マ イ オ ニ ー が 求 め る分 析 的 な

「 知 」 で は な くて ,本 能 的 な 「知 」で あ るため言葉 で は表 せ ない ので あ る。 バ ー キ ンは 子 宮 の 中 の 窮 屈 さ か ら生 まれ 抜 け出 して きた よ う な気 が し た。 赤 児 は,こ の よ う に 新 生 と 自然 さ の 象 徴 で あ る と同 時 に,プ サ ム,ハ リデ ィ,ジ ェ ラ ル ドが 赤 児 や 子 供 に喩 え られ る 時 の よ うに,未 熟

さ と退 化 の象 徴 に も な る とい う両 面 性 を 持 っ て い る。

アー シ ュ ラ の 魂 の 中 に も新 し い 目 が 開 か れ た。 「 遠 出 」 の最 後 の 方 で, 二 人 の 自動 車 の 中 の様 子 は 「 彼 女 は彼 の 隣 に座 り,星 が 何 も考 え ず に釣 り合 い を保 つ が ご と く,純 粋 な 憩 い に 浸 って い た 」(319)と 書 か れ て い る。 二 人 は この 時 点 で,バ ー キ ンが 説 く新 しい愛 の 形 を達 成 して い る と 言 え る。

一 方 ,ジ ェ ラル ドは 女 を愛 す る こ とが で きず,そ の 人 間 関 係 は常 に 支 配 と服 従 で あ る。 均 衡 が な い 生 き方 な の で あ る。 彼 は人 生 の 中 心 が何 か 分 か らな い。 女 を人 生 の 中心 と考 え て い るバ ー キ ンが ア ー シ ュ ラ と新 生 を 目指 す の に 反 して,ジ ェ ラル ドは グ ッ ドル ー ン と死 に至 る戦 い を繰 り 広 げ て行 く運 命 に あ る。 彼 に と っ て女 は 一 時 的 に苦 痛 を癒 して くれ る手 段 に過 ぎ な い 。 彼 が グ ッ ドル ー ン へ傾 い て い っ た の は,ク ラ イ チ 家 を 支 配 す る死 の重 圧 か ら逃 れ る た め で あ っ た 。 そ の た め グ ッ ドル ー ン と彼 が 初 め て性 交 した 時 も,彼 の み が 満 足 を得 て 彼 女 に は 苦 しみ が 残 され た ば か りで あ る。 彼 女 は彼 の 一 部 で あ る 「 死 」 を 受 け 取 る容 器 に す ぎ な い。

二 人 の関 係 は 「 永 遠 の シ ー ソー 遊 び」 で あ り,均 衡 が 得 られ な い の で あ る。 「 狼 」 を トー テ ム とす る ジ ェ ラル ド,氷 の結 晶 に反 射 され た 太 陽 光 線 の よ うな北 方 型 の 美 を代 表 し,西 欧近 代 機 械 文 明 を 体 現 した 男 性 で あ る ジ ェ ラル ドは,か く して最 後 に は死 ぬ運 命 で あ る。 それ は ジ ェ ラ ル ド が 自分 か ら招 い た 死 で あ る と は言 え,バ ー キ ン は激 しい 悲 しみ に 包 まれ

る ので あ る。

ロ レン ス の 二 元 論 の 思 想 は,文 体 に も密 接 に組 み合 わ され て い る。 常

一16一

(17)

『恋 す る女 た ち 』 再 考

識 上 は正 反 対 の性 質 で あ る言 葉 が 両 面 性 を 持 っ て い る。 これ は オ ク シ モ ロ ンで あ る8)。例 を あ げ る と 「肉体 的理 性 」(318),「 蜜 で で き た 闇 に 似 た 最 上 の素 晴 ら しい金 色 の 光 」(388)等 が あ る。 オ ク シモ ロ ンの 多 用 が ロ レ ン ス の 小 説 理 解 を難 解 にす る と同 時 に,深 み を持 たせ 面 白 く して い

る と言 え る。

皿 黒 い男の登場

キ リ ス ト教 で は,父 な る 神 と 子 な る 神 と 精 霊 は 同 じ で あ る と い う 三 位 一 体 説 が あ る。 父 な る 神 は 人 間 に は 姿 が 見 え な い 。 そ し て 人 間 の 姿 を し

た キ リ ス トが 父 な る 神 の 教 え を 人 間 に 説 く,と い う形 が あ る 。 つ ま り キ リ ス ト は 神 と 人 間 との 間 の 仲 立 ち を す る 人(theMediator)な の で あ る 。 一 方,ロ レ ン ス の 作 品 で は 『カ ン ガ ル ー 』 に お い て 「黒 い 神 」 が サ マ ー

ズ に よ っ て 唱 道 さ れ る9)。 こ れ は 明 白 に キ リ ス ト教 と対 立 し て い る こ と が サ マ ー ズ に よ っ て 宣 言 さ れ て い る 。

"Idon'tbelievethatloveistheoneandonlyexclusiveforceormysteryof livinginspiration.Idon'tquitebelievethat.Thereissomethingelse.

"Why

,"hesaid,"itmeansanendofusandwhatweare,inthefirstplace.

Andthenare‑entryintousoftheGreatGod,whoentersusfrombelow,not fromabove.

"Notthroughthespirit .Entersusfromthelowerself,thedarkself,the

phallicself,ifyoulike."

"Entersusfromthephallicself?"snappedKangaroosharply .

"Sacredly.Thegodyoucanneverseeorvisualize,whostandsdarkonthe

(18)

thresholdofthephallicme."10)

キ リス ト教 は 「 愛 の 宗 教 」 で あ り,性 愛 は 生 殖 の た め の も の で あ る。

しか し 「 黒 い神 」 は 「 恐 怖 の神 」 で あ り,ま た 「 性 愛 」 を 人 間 に と って 第 一 義 的 な もの と し,単 に 生 殖 の た め の も の と限 定 して い な い。 「 黒 い 神 」 は 「 性 愛讃 歌 」 の 宗 教 を 司 っ て い る。 ゆ え に キ リス ト教 とは根 本 的 に 異 な っ て い て,ギ リ シ ア ・ロー マ神 話 に お い て大 勢 の女 神 や 妖 精 や 人 間 の 女 性 ・男 性 を 愛 した 主 神 ゼ ウ ス(ジ ュ ピ タ ー)の 要 素 を 持 っ て い る。 キ リス ト教 で は神 の 子 で あ る キ リス トが 人 間 に 父 な る神 の 言 葉 を教 え る の で あ る が,ロ レ ンス が 信 奉 す る 「 黒 い神 」 の 言 葉 を人 間 に 伝 え る の は,人 間 で あ る 「 黒 い 男 」 で あ るti)。キ リス ト教 の 神 は,絵 画 に 描 か れ て い る こ とか ら分 か る よ うに北 方 的 「 白 い 神 」 で あ り,キ リス トも 白 く描 か れ て い る 。 キ リス ト教 の神 とロ レ ンス の 「 黒 い神 」 を比 較 して 分 か る よ うに,彼 は明 白 に 反 キ リス ト教 の 立 ち 場 か ら小 説 を書 き続 けて い

るの で あ る。

「 黒 い 男 」 と して 初 め て 登 場 す る の が 『恋 す る女 た ち 』 の バ ー キ ン で あ り,そ の後 の 小 説 で は 『ア ル ヴ ァ イ ナ の 堕 落 』 の チ ッチ ョ,『 羽 鱗 の 蛇 』 の ラモ ン と シ プ リア ー ノ,『 チ ャ タ レー 卿 夫 人 の 恋 人 』 の メ ラー ズ,

『プ リ ンセ ス 』 の ロ メ ロ ,『 太 陽 』 の 農 夫,『 処 女 と ジ プ シ ー』 の ジ プ シ ー 等 で あ る。

これ らの 「 黒 い 男 」 は 髪 が 黒 か っ た り皮 膚 が 黒 か っ た り,雰 囲 気 が 黒 か っ た り と 「 黒 い イ メ ー ジ 」 に包 まれ て い る。 彼 ら は官 能 的 で あ り異 教 的 で あ る。 つ ま り性 愛 の 重 要 性 を主 張 して い る。 彼 ら は既 存 の価 値 観 を 批 判 した り,ま た は そ れ か ら離 れ た所 に 生 きて い る とい う特 徴 を 持 っ て い る。 チ ッチ ョは ジ プ シ ー で あ り,ジ プ シー は異 教 徒 で あ る。 ラモ ン と シ プ リアー ノ は ケ ツ ア ル コ ア トル とい う異教 の 神 を信 奉 して い る。 ロ メ ロ は色 が 黒 い メ キ シ コ人 で あ る。 メ ラ ー ズ は現 代 機 械 文 明 を憎 悪 して お

一18一

(19)

『恋 す る 女 た ち 』 再 考

り,森 を住 処 と して い る森 の 精 の よ う に黒 く描 か れ て い る。 彼 らは み ん な 白 人 女 性 を本 当 の 「 性 の 歓 び を知 らな い」 ゆ え に 「 真 の 人 生 を生 きて い な い 」 状 態 か ら救 い 出 そ う と して い る。 キ リス トが 人 類 を 救 い 出 そ う と し た こ とに対 して,「 黒 い 男 」 は 「 白 い女 性 」 を 救 い 出 そ う と して い るの で あ る。 『 恋 す る 女 た ち』 の バ ー キ ン は,性 交 に お い て は タ ブ ー と い う も の を 否 定 して い る 。 そ して ア ー シ ュ ラ もそ れ に感 化 され て い くの で あ る。

結論

『恋 す る女 た ち 』 に は バ ー キ ン とい う 「 黒 い 男 」 が ロ レ ン ス の代 弁 者 と して 登 場 し,ロ レ ン ス 神 話 の公 式 化 が 彼 に よ っ て な さ れ て い る。 そ れ は① 北 方 的 キ リス ト教 文 明 の 「 冷 た く白 い世 界 」 を 拒 否 して 「 暖 か く黒 い 南 方 の 世 界 」 を希 求 す る思 想 で あ る。 また ② バ ー キ ン は 恋 人 で あ る ア ー シ ュ ラ に 「 星 の 均 衡 」 の思 想 を説 く。 この 思 想 は,ロ レ ン ス の 二 元 論 を 表 わ して お り,男 女 と い う二 元 を 基 に し て 「 光 」 と 「 闇 」,「生 と 死 」 「 愛 と憎 」 「 頭 脳 的 知 性 と本 能 的 知 性 」,「意識 と無 意 識 」 とい うよ う に い ろい ろ な次 元 で 対 応 す る もの で あ る。 ロ レ ンス は,『 恋 す る女 た ち』

に お い て は,頭 脳 的 知 性 を優 先 して い る現 代 の キ リス ト教 合 理 的 社 会 を 批 判 して い るが,最 終 的 に は 『チ ャ タ レー卿 夫 人 の 恋 人 』 で 描 か れ る よ うに,両 者 の均 衡 を求 め て い る。 そ して 「 星 の均 衡 」 とい う公 式 は,二 元 論 に関 す る ロ レ ンス の 最 初 の マ ニ フ ェ ス トな の で あ る。 ③ 「 黒 い 男 」 は キ リス ト教 の キ リス トに 対 応 す る 存 在 で あ り,性 愛 を信 奉 して,「 白 い 女 性 」 に真 の 官 能 の歓 び を教 え よ う とす る。 バ ー キ ン は ロ レ ンス の神 話 に お け る最 初 の 「黒 い 男 」 と して描 か れ て い る。 か く して,『 恋 す る 女 た ち 』 に お い て は,「 闇 」 の 公 式 化 が な され て い る と考 え られ る。

七〇

(20)

*本 論 は,1978年6月 に 発 表 した 「 『 恋 す る女 た ち 』 論 考 一 「 牢 獄 」 か ら の 脱 出 の 可 能 性 一 」(信 州 大 学 教 育 学 部 紀 要 第39号)を,新 た な 視 点 に 立 って 大 幅 に 書 き直 した もの で あ る。

一六九

1)F.R.Leavis,D.H.Lawrence:Novelist(Chatto&Windus,London,1955),p.

149.

2)G.J.Zytaruk&JamesT.Boultoned.,TheLettersofD.H.LawrenceVol.II 1913‑16(theCambridgeEdition,1981),p.528.

3)H.M.Daleski,7乃6砺 走84F伽8,オ3!吻 げ1)HL4ω78π ζ8(FaberPaper CoveredEdition,London,1965),p.127.

4)D.Farmer&L.Vasey&J.Worthened.,WomeninLovebyD.H.Lawrence

(TheCambridgeEdition),pp.317‑8.WomeninLoveか ら の,以 後 の 引 用 す べ て は 本 文 中 の 引 用 の 最 後 に 書 き 表 わ す 。

5)J.Carey&A.Fowlered.,ThePoemsofjohnMilton(Longman:Londonand NewYork,1968),p.463.

6)ColinClark,"̀LivingDisintegration':ASceneFromWomeninLove

Reinterpreted"inCasebookSeriesTheRainbow{サ 〃∂翅8ηinLoveedbyColin Clark(Macmillan,Essex,1969),p.219.

7)古 代 の ギ リ シ ア ・ ロ ー マ 神 話 を 中 心 と す る 異 教 の 神 話 に 登 場 す る 大 地 母 神 で あ る が,ロ レ ン ス は こ の 女 神 に 「支 配 す る 女 性 」 と い う 意 味 合 い を 込 め,作 品 中 で た び た び 用 い て い る 。

8)鈴 木 俊 次 ・有 為 楠 泉 編 著 『D.H.ロ レ ン ス と モ ダ ニ ズ ム の 作 家 た ち 』 (英 宝 社 ブ ッ ク レ ッ ト,2003年)中 の 拙 論 「ロ レ ン ス の 『闇 』 と コ ン ラ ッ ド の 『闇 』」p.54を 参 照 の こ と 。

9)拙 論 「D.H.ロ レ ン ス の 初 期 長 編 小 説 に お け る̀TheDarkGod'の 思 想 に つ い て(1)一 『白 孔 雀 』 と̀TheDarkGod'一 」(愛 知 大 学 文 学 会 『文 学 論 叢 』 第123輯,2001)pp.3‑12を 参 照 の こ と 。

10)B.Steeleed.,KangaroobyD.H.Lawrence(TheCambridgeEdition,1994)pp.

134‑5.

11)同 上,p.7.

一20一

参照