スウェーデンにおける両親休暇制度 ⑴
─ 「雇用の場と家庭双方における男女共同参画」
および「子どもの最善の利益」の実現─
The Parental Leave Legislation in Sweden(1):
Approach to Both Gender Equality at Work and at Home and the Best Interests of the Child
西 和 江*
目 次 は じ め に
Ⅰ 両親休暇制度を規律する法制度
Ⅱ 「子どもの最善の利益」について
Ⅲ 両親休暇制度発展の歴史的な経緯
Ⅳ 現行法制度 (以上,本号)
Ⅴ 両親休暇制度の今日における到達点
Ⅵ 今後の課題 お わ り に
は じ め に
育児という営みは,改めて述べるまでもなく,この社会を維持し発展さ せるために欠くことのできないものである。従来,育児責任は,性別役割 分業に基づき女性が担ってきたが,女性の職場進出がすすんだことを契機 とし,多くの国で就業と育児の両立が社会的な課題となり今日に至ってい る。就業と育児の両立は,育児責任に関し,従来女性が担ってきた役割分
* 中央大学大学院法学研究科博士後期課程在学中
担の見直しを迫るものである。育児責任に関する役割分担の見直しは,国 家(社会)と家族間,あるいは家庭において父親母親の両親間で必要とな る。
スウェーデンの両親休暇制度において,この役割分担の見直しは,国家 と家族間,あるいは家庭での両親間において進展している。家庭での両親 間における役割分担の見直しは,性別役割分業の解消を目指すものであ り,スウェーデンの両親休暇制度は,1974年に世界初の男女双方を対象と する両親休暇制度として導入された。その後40年にわたり法改正を重ね,
育児期間中の男女被用者に対する支援策として発展を続けている。
スウェーデンの両親休暇制度は,性別役割分業を解消し,「雇用の場と 家庭双方における男女共同参画」の実現を目指すものである。そして,雇 用の場と家庭双方における男女共同参画の実現を目指しつつ,同時に,被 用者に育てられる「子どもの最善の利益」の実現を重要視する。ここでい う「子どもの最善の利益」の実現は,第Ⅱ章にその詳細を記述するが,子 どもの養育や発達に配慮した両親休暇制度の実現,および,子どもが母親 だけでなく父親母親双方から育てられる権利の実現を意味する。スウェー デンの両親休暇制度は,被用者である父親および母親そして養育される子 どもの ₃ 者の権利を,法制度による調整を通し実現することを目指す。
「雇用の場と家庭双方における男女共同参画」の実現および「子どもの 最善の利益」の実現は,それぞれ,国連を中心とし進展をみせている国際 的な人権保障の潮流に由来する1)。「雇用の場と家庭双方における男女共 同参画」の実現に関し1979年に採択された女性差別撤廃条約,「子どもの 最善の利益」の実現に関し1989年に採択された子どもの権利条約がそれに あたる。
1) 人権保障の歩みは,第二次世界大戦後に国連を中心として,進展をみせた。
世界人権宣言や国際人権規約等により理念的には「全ての者」に含まれてはい たが,実際には無権利かあるいは人権無視に等しい状況に置かれていた女性 や,子どもや障碍者等が,現実的で具体的な権利主体として登場し,主体別の 権利保障が「女性差別撤廃条約」「子どもの権利条約」等として実現された。
スウェーデンは,これら ₂ つの条約を,国連における採択の後に直ちに 批准している。批准を待つまでもなく,スウェーデンの両親休暇制度にお いて,「雇用の場と家庭双方における男女共同参画」および「子どもの最 善の利益」という理念は,既に,1974年の導入時から制度化されていた。
それは,例えば,制度の導入時から男女双方を対象としていたこと,ま た,子どもが父親の積極的な関与を必要としているとし保育における父親 の位置づけが明確であったことに表れている。いわば先進的な法制度を有 していたスウェーデンは,これら ₂ つの条約の,提案から採択に至る一連 の作業において国連で重要な役割を担った。先進的な制度を有してはいた が, ₂ つの条約を批准することにより,「雇用の場と家庭双方における男 女共同参画」および「子どもの最善の利益」という理念が,両親休暇制度 においてより明確になり,その理念の実現に弾みがついたことは明らかで ある2)。
「雇用の場と家庭双方における男女共同参画」に関し,女性差別撤廃条 約は,その前文(第13 ~ 14パラグラフ)において「子どもの養育には男 女および社会全体が共に責任を負うことが必要であることを認識し,社会 および家庭における男性の伝統的役割を女性の役割とともに変更すること が男女の完全な平等の達成に必要であることを認識すべき」と宣言してい る。また,「子どもの最善の利益」に関し,子どもの権利条約は,第18条 第 ₁ 項において「締約国は,親双方が子どもの養育および発達に対する共 通の責任を有するという原則の承認を確保するために最善の努力を払う。
親または場合によって法定保護者は,子どもの養育および発達に対する第 一次的責任を有する。子どもの最善の利益が,親または法定保護者の基本 的関心となる」と規定する。
「雇用の場と家庭双方における男女共同参画」および「子どもの最善の 利益」という ₂ つの理念の関係において,子どもの権利条約は女性差別撤 2) 子どもの権利条約に関し,1990年の批准後,スウェーデンの国会は,1999年 に子どもの権利条約を実現するための国家戦略を承認した。それに伴い「子ど もの最善の利益」という理念に対する配慮は一段と強化された。
廃条約の影響を受けているとされる3)。そして,就業と育児の両立や,子 どもの養育に関する子どもと父親母親間の親子関係の規定において,両条 約の内容は共通の認識を有するものとなっている4)。
3) 広沢明「子どもの権利条約と国内の課題」永井憲一編『子どもの権利条約の 研究 法政大学現代法研究所叢書12』法政大学出版局(1995年)133─134頁。
4) 子どもの権利条約第18条(第 ₁ ~ ₃ 項)は,女性差別撤廃条約の影響を受 けているとされ,以下に記述する女性差別撤廃条約各規定と共通の認識を有す る内容となっている。なお,保育サービスは本稿において検討の対象ではない が,就業と育児の両立において,保育サービスが不可欠であることはいうまで もない。
【子どもの権利条約第18条】
第 ₁ 項:「締約国は,親双方が子どもの養育および発達に対する共通の責任を 有するという原則の承認を確保するために最善の努力を払う。親または場合に よって法定保護者は,子どもの養育および発達に対する第一次的責任を有す る。子どもの最善の利益が,親または法定保護者の基本的関心となる」
第 ₂ 項:「この条約に掲げる権利の保障および促進のために,締約国は,親お よび法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適切な援助を与え,か つ,子どものケアのための機関,施設およびサービスの発展を確保する。」
第 ₃ 項:「締約国は,働く親をもつ子どもが,受ける資格のある保育サービス および保育施設から利益を得る権利を有することを確保するためにあらゆる適 切な措置をとる。」
【女性差別撤廃条約】
前文第13 ~ 14パラグラフ:「子どもの養育には男女および社会全体が共に責任 を負うことが必要であることを認識し,社会および家庭における男性の伝統的 役割を女性の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要であ ることを認識すべき」と宣言し,
第11条第 ₂ 項⒞号:「親が家庭責任と職業上の責務および社会的活動への参加 とを両立させることを可能とするために必要な補助的な社会的サービスの提供 を,特に保育施設網の設置および充実を促進することにより奨励すること」が 必要であると宣言し,
第16条第 ₁ 項:「締約国は,婚姻および家族関係にかかる全ての事項について 女性に対する差別を撤廃するための全ての適切な措置をとるもの」とし,「特 に,男女の平等を基礎として次のことを確保する」ために,
同条同項⒟号:「子どもに関する事項についての親(婚姻をしているかいない
I 両親休暇制度を規律する法制度
1 両親休暇法および社会保険法による両親保険
両 親 休 暇 制 度 は 二 つ の 法 制 度 に 基 づ く。 労 働 法 上 の 両 親 休 暇 法
(Föräldraledighetslag(1995:584))および両親休暇取得により生じる所得補 償に関する規定として,社会保険法上の両親保険(社会保険法 Social- försäkringsbalk(2010:110)第12章,第13章)である。(詳細は第Ⅳ章に記 述する。)
両親休暇法は,両親休暇に関し,主として雇用の場における労働条件に ついて規定する。一方の両親保険は,両親休暇の具体的な内容,例えば両 親休暇の日数や期間,所得保障の金額や期間等について規定する。両親保 険は,「子どもの最善の利益」の実現を法制度の中心に据え,両親保険の 法改正は「子どもの最善の利益」を達成するためと明示する5)。
かを問わない)としての同一の権利および責任」をあげ,さらに「あらゆる場 合において,子どもの利益は至上である」と規定している。
5) 例えば,立法趣意書や政府調査委員会報告書は以下のように明示している。
「両親保険は,その中心に子どもを置く(den svenska föräldraförsäkringen satter barnet i centrum)。」「両親保険は,子どもの最善の利益を前提とする (föräldraförsäkringen utgar från barnets bästa)。」立法趣意書(prop.)2000/01:44, p. 23.
「両親保険の法改正は,両親保険が「子どもの最善の利益」を達成するため にあることを出発点として議論された。それ故,検討委員会による法改正のた めの提案は,子どもの立場からの展望に基づき形成されている。」政府調査委 員会報告書(SOU)2005:73, p. 403.
政府調査委員会報告書(SOU)および立法趣意書(prop.)は,共に「立法 のための草稿」として,スウェーデンの法制度における法源のヒエラルキーに おいて,第 ₃ 位という高い地位に位置する。法源のヒエラルキーは, ₁ 位憲 法, ₂ 位制定法(法・政令・各局が制定する規則), ₃ 位立法のための草稿,
₄ 位判例法, ₅ 位一般的な法の原理(allmänna rättsprinciper), ₆ 位慣習およ び慣例となっている。Laura Carlson, The Fundamentals of Swedish Law, Student- litteratur, (2009), pp. 38─47.
両親休暇制度は,この ₂ つの法制度が一体となり実現されるものであ る。そのため,法改正において,改正された内容は両制度間で互いに連動 する。また,内容だけでなく,両制度における法の趣旨の実現について も,法改正により両制度間で互いに連動し促進される6)。
2 法制度を支える理念
⑴ 男女平等の促進
スウェーデン憲法の基本法の一つである政体法は,第 ₁ 章第 ₂ 条におい て,全ての国民の平等と自由および個人の尊厳をうたう。また同条は,性 別をはじめ民族・宗教・年齢等を理由とする差別の禁止をうたう。両親休 暇制度の基本的理念は,法制定時から一貫して,憲法に基づき男女間の平 等を促進することにある。
⑵ 雇用の場と家庭双方における男女共同参画の促進
男女平等を促進するための具体的な施策として,女性被用者が雇用の場 において公正に処遇され労働する権利の促進,および男性被用者が家庭に おいて積極的に育児に関わる権利の促進が必要とされる。これは,男女共 同参画に向けての「二重の解放」という考え方に基づくものである。すな わち,「女性の解放は労働の権利と経済的な自立によりなされるのに対し,
男性の解放は積極的で公平な親としての家庭参画によりなされる。男女双 方における解放が必要であり,男性の解放なしに女性の解放は成しえな い」とされる。
⑶ 「子どもの最善の利益」(子どもが親双方により養育される権利)の促進 「子どもの最善の利益」の具体的な内容として,子どもの権利条約に基 づく,「子どもの養育や発達に配慮した両親休暇制度の実現」「子どもが父
6) 例えば,法改正について,政府調査委員会報告書は次のように述べている。
「父親と母親間における両親休暇取得の差を縮小するという,両親休暇法の法 改正の目的は,親双方から世話をされ親双方と近接した関係性を発展させると いう子どもの権利を,最も注目すべきものとして取り扱う。両親保険の法改正 は,「子どもの最善の利益」を達成するためにある。」(SOU2005:73, p. 403)
親母親双方から同等に関与され養育される権利の実現」が必要とされる。
とりわけ,同条約第18条第 ₁ 項が規定する,子どもが母親だけでなく父親 母親双方から養育される権利の促進が必要とされる。スウェーデンの親子 関係において,「子どもの最善の利益」は,しばしば,子どもが父親母親 双方から同等に養育される権利として用いられる7)。
3 法制度の特徴
法制度における特徴として,就業と育児の両立に関し世界初の父親母親 双方を対象とした制度であり男女平等の促進を基本的理念とすること,出 産およびそれに続く育児を総合的に捉えこれらの全過程に親双方が関わる ことができるよう法的配慮がなされていること,また,親双方が就業し共 に子どもの養育にあたるという家族を制度のモデルとすること等がある。
育児義務の分担に関し,育児義務を国家と家族との間で,また家庭内で は両親の間で分配するという原則は多くの国の制度にみられるが,原則に 止まることなく高度に実行されているところにスウェーデン法の特徴があ る。育児はもはや個人の私的な責任ではなく,国家と個人の共同責任であ り育児は国家に対する社会権とされる8)。
男女平等を促進するため,両親休暇制度に関する法政策の中心に雇用の 場と家庭双方における男女共同参画の促進を位置づける。そして,具体的 な施策として,家庭において母親だけでなく父親母親双方が子どもに関わ ることが子どもの利益に適うとし,とりわけ,父親の積極的な両親休暇取 得を促進する。
スウェーデンの両親休暇制度における最も顕著な特徴は,同制度が,親 である被用者だけでなく親である被用者に養育される子どもの権利を保護
7) Laura Carlson, The Fundamentals of Swedish Law, Studentlitteratur, (2009), p. 189.
8) Leira, A.,“Parenthood change and policy reform in Scandinavia, 1970s─2000s”
in Anne Lise Ellingsaeter /Arnlaug Leira(eds) Politicising Parenthood in Scandinavia (Policy Press, 2006), p. 46.
法益の対象とするところにある。両親休暇制度は,被用者である父親およ び母親の権利,そして被用者に養育される子どもの権利を,法制度による 調整を通し実現することを目指す。前述したように,両親保険は,法改正 の目的は「子どもの最善の利益(barnets bästa)」の実現にあると明示す る。
II 「子どもの最善の利益」について
両親休暇制度は1974年の施行当初から,子どもの利益(barnets intresse)
あるいは子どもの権利(barnets rätt)について意識した内容となってお り,それは,例えば,両親休暇制度の導入に際し,家族政策委員会が子ど もは父親の積極的な関与を必要としているとし,父親の保育における位置 づけを明確にしたことに表れている。その後,スウェーデンは1990年に子 どもの権利条約を批准し,国内において,1999年に子どもの権利条約を実 現するための国家戦略を承認した。これら一連の政策により,子どもの権 利条約に基づく「子どもの最善の利益」という理念の実現が,具体的な施 策において強化された。
両親休暇制度における「子どもの最善の利益」とは,子どもの権利条約 第 ₃ 条9)・第18条に基づく,「子どもの養育や子どもの発達に配慮した両 親休暇制度の実現」,「子どもが父親母親双方から同等に関与され養育され る権利の実現」である。(子どもの権利条約第18条について注 ₄ を参照の こと。)以下,詳細について記述する。
1 「子どもの最善の利益」と子どもの権利条約
子どもの権利条約は,子どもを独立した権利主体と見なす。そして,同
9) 子どもの権利条約第 ₃ 条第 ₁ 項:「子どもにかかわる全ての活動において,
その活動が公的もしくは私的な社会福祉機関,裁判所,行政機関または立法機 関によりなされたかどうかにかかわらず,子どもの最善の利益が第一次的に考 慮される。」
条約は「子どもの最善の利益」の実現を基本的理念とする10)。この理念 は,同条約前文に記述される ₂ つの思想(tankar)に基づく。すなわち,
「子どもは完全(欠けるところのない)かつ同等な人としての尊厳を有し,
それ故,大人に比べ価値が劣ることはない。」「子どもは傷つきやすい存在 なので特別の支援および保護を必要とする」というものである。同条約第
₃ 条は,子どもに関する全ての施策において,「子どもの最善の利益」が 第一次的に考慮されなければならないとする。
2 「子どもの最善の利益」に関する内容の決定
子どもの権利条約に係る国連委員会は,何が子どもにとっての最善の利 益であるか,一般的な基準について判断していない。同委員会は,同条約 が総体として理解され,そのうえで個別条文の内容に基づき,「子どもの 最善の利益」という法益が遵守されることを要請する11)。
子どもの権利条約を実現するための国家戦略導入に向けての政府調査委 員会報告書(SOU1997:116)によれば,英国の家族法研究者であるJohn
Eekelaarは,「子どもの最善の利益」の内容の決定に関し, ₂ つの方法が
あるとする。 ₁ つは,子どもに関する科学的な学問研究や定評のある経験 を根拠とする決定である。もう ₁ つは,同条約第12条の意見表明権に基づ き,当該子どもに対し,何が当該子どもの最善の利益であるかについて意 見表明を促すことである。 ₂ 番目の方法は,当該子どもが意見表明に適し た環境を保障されることが前提となる。「子どもの最善の利益」の内容に ついて決定する最良の方法は,これら ₂ つの方法を組み合わせることとさ れる12)。乳幼児であり意見表明が事実上不可能な場合は,当該子どもの 10) 「子どもの最善の利益」は,子どもの権利条約によって新たに登場した概念 ではない。同理念についての萌芽は,1924年に国際連盟において採択された子 どもの権利宣言に見いだされ,1959年の子どもの権利宣言において同理念の発 展がみられる。
11) 子どもの権利条約を実現するための国家戦略導入に向けての政府調査委員会 報告書(SOU)1997:116, Del 6, 6・3・1.
12) 同上(SOU)1997:116, Del 6, 6・2・1.
意思を適切な方法により推察することになろう。
3 「子どもの最善の利益」と両親休暇制度
両親休暇制度に関する条文として,同条約第18条第 ₁ 項は次のように規 定する。
第18条第 ₁ 項:締約国は,親双方が子どもの養育および発達に対す る共通の責任を有するという原則の承認を確保するために最善の努力 を払う。親または場合によって法定保護者は,子どもの養育および発 達に対する第一次的責任を有する。子どもの最善の利益が,親または 法定保護者の基本的関心となる。(下線による強調は筆者による。)
親双方が子どもの養育および発達に対する共通の責任を有するという条 文に含まれる共通の責任の文言について,スウェーデン政府は,国連での 採択文におけるcommon responsibilities(英語)をgemensamt ansvar(ス ウェーデン語)(共通の責任)と翻訳しつつ,同時に,親としての責任・
権利・義務に関し,父親母親双方が同等(lika)に関与することの重要性 を強調している13)。スウェーデン政府によるこの解釈は,前節 ₂ で記述 したように,親子関係に関する学問研究や定評ある経験に基づき判断され たものと理解される。親双方による同等(lika)の関与という,共通の責 任という文言に比べると,より父親母親間の平等に踏み込んだ解釈が明示 されたことは重要である。
4 「子どもの最善の利益」と親双方による養育への同等の関与 前節 ₃ で記述した解釈により,両親休暇制度における「子どもの最善の 利益」の内容に関し,親双方が子どもの養育および発達に対する共通の責 任を有しつつ,親双方が子どもの養育に同等に関与することが,スウェー
13) 同上(SOU)1997:116, Del 10, 10・1.
デン政府の方針として明らかになった。これを養育される子どもの側から みると,「子どもは親双方から同等に養育される権利」を有することにな る。
「子どもの最善の利益」すなわち「子どもが親双方から同等に養育され る権利」の実現に向け,とりわけ,父親の両親休暇取得を促進することの 必要性および重要性が,一貫して強く主張されてきた。法改正のための草 稿である立法趣意書(prop.)および政府調査委員会報告書(SOU)の記 述内容から,「子どもが親双方から同等に養育される権利」の実現に向け てのスウェーデン政府の確固たる姿勢をうかがうことができる。
その一例であるが,両親休暇法改正のため1994年に出された立法趣意書 は次のように述べている14)。1994年法改正は,父親の両親休暇取得を促進 するため,両親間で譲渡できない両親休暇,いわゆるパパ・クォータ制度 を法定した。
「両親間で譲渡できない両親休暇(30日間)の法定という両親保険 の発展により,子どもは彼らの親双方に対して権利を有し,親双方は 彼らの子どもに関し権利と義務を有することが明確になった。」と述 べ,
就業と親であることの接合について,「子どもにとって,父親が両親 休暇を取得することは肝要である。調査によれば,早期に開始され近 接した父子間における関係性は,父親と子ども双方にとって好都合で あり,その後の人生における関係性に良好な基礎を与える。このよう な,幼い子どもを持つ親双方に対する必要性は,子ども自身による伝 達が不可能である。それ故,社会がそれらの要求が保障されるよう必 要とされる援助を行わなければならない。
父親の両親休暇取得促進の目標は,就業と家庭という ₂ つの労働の 場において,男性が女性同様に,子どもへの尽力と養育における実際 14) 立法趣意書(prop.)1993/94:147, 8─1, 8─2─2.
的な責任に関し,それらを生来のように上手に果たすことができるこ とを示すことにある。」
また,両親保険改正に向け2005年に提出された政府調査委員会報告書 は,親子関係に関する結論として次のように述べている15)。
「親として果たすべき義務に関わる男女平等なparenthoodは,子ど もに対し具体的な影響を与える。殆どの場合において,両親間の男女 平等は子どもに対し好ましく積極的な結果を与える。
幼い子どもは,早期において親双方と関係性を結ぶ能力を有する。
一方,親にとって乳幼児期における子どもとの近接した関係性は,そ れに続く子どもの成長の全過程において,親としての責任感に基づき
(ansvarstagande),子どもとの近接した関係性を維持することへの必 要性や願望を強くする。そして,より年齢が上の子どもにとって,親 双方による世話や配慮は,人生の質にかかわる体験において決定的な 影響を与える。
それ故,父親と母親間における両親給付取得の差を縮小すべきとい う法改正の目的は,親双方から世話をされ親双方と近接した関係性を 発展させるという子どもの権利を,最も注目すべきものとして取り扱 う。」
5 「子どもの最善の利益」と両親保険
くり返し述べたように,両親保険は,「子どもの最善の利益」の実現を 法制度の中心に据え,両親保険の法改正は「子どもの最善の利益」を達成 するためと明示する。
両親休暇制度は,両親休暇法および社会保険法上の両親保険からなり,
両親保険は,両親休暇の具体的な内容である両親休暇の日数や期間,所得 15) 政府調査委員会報告書(SOU) 2005:73, p. 404.
保障の金額等について規定する。両親保険が規定する両親休暇の具体的な 保障内容は,施行から40年にわたり法改正を重ねた結果,現行法において 非常に手厚いものとなっている。両親保険は「子どもの最善の利益」の実 現を法制度の中心に据え,「子どもの最善の利益」を達成するために法改 正を重ねており,理論上,現行法上の手厚い保障内容は,あくまで養育さ れる子どもを対象とするものといえよう。直接の対象者は養育される子ど もであり,養育に当たる被用者である父親および母親は,子どもの養育と いう行為を通し間接的に両親保険による具体的な保障内容を享受すると考 えられる。
子どもを主体性のある独立した存在として認め,子どもの権利条約に基 づく具体的な権利内容の実現が,両親保険における法改正により目指され てきた。現行両親保険による保障内容の詳細について,第Ⅳ章に記述す る。
ここでは,「子どもの最善の利益」の実現を目指し,両親保険による具 体的な給付内容である両親給付や臨時両親給付に関し,給付日数および給 付期間の拡大,給付額の引き上げ,給付制度における柔軟性の促進,親双 方を対象とする給付理由の拡大,両親給付に関する権利譲渡の承認等,40 年にわたり法改正が重ねられたことを述べるにとどめる。
6 関連する判例
関連する判例として,「子どもの最善の利益」という法益により,両親 手当における男性被用者への間接差別が否定された事案がある。スウェー デ ン 労 働 裁 判 所 判 決Dom nr.74/2003 Svenska Metallindustriarbetare- förbundet v. Sveriges Verkstadsförening(スウェーデン金属産業労働者連 盟 v. スウェーデン金属産業使用者団体)である16)。
労働協約による休暇規定に関する両親手当について,当該休暇における 対象期間が子どもの出生から ₃ ヵ月に限定されているため,実際に両親 16) 拙稿「両親手当における男性被用者への間接差別─外国労働判例研究─スウ
ェーデン」労働法律旬報no.1796(2013年)24─27頁。
手当を取得するのは大多数が女性被用者であり,このような取得期間の限 定は男性被用者に対する間接差別に当たるとし,労働者連盟が提訴した。
判決は,休暇取得の対象期間を ₃ ヵ月に限定した理由について,被告 である使用者団体の主張を容認した。すなわち「両親手当の趣旨に基づ き,子どもの出生に関連し,出生したばかりの子どもが必要とする特別な 保護や世話を保障するため」というものである。そして,「子どもの利益」
を最優先に考慮し,子どもの出生に最も近接する時期に経済的な援助を与 えるという同休暇規定の内容は,性に基づく差別とは無関係であり,(当 時の)男女雇用平等法第16条(間接差別)17)後段が規定する客観的に正当 な理由にあたるとした。「子どもの最善の利益」という法益により男性被 用者への間接差別が否定された事案である。
III 両親休暇制度発展の歴史的な経緯
1 両親休暇法の制定まで
スウェーデンの両親休暇制度は,1930年代に生じた出生率の低下を国家 の危機と捉え就業と育児の両立が国家的な課題となったことを契機とす る。就業と育児の両立を可能にする制度の必要性が認識されたが,当初そ の対象は女性被用者のみであった。その後,1960年代に国内および国際的 に高まった男女平等論を受け,男女双方を対象とする性中立的な制度の必 要性が自覚された。
(1930年代の社会的な背景)世界恐慌による出生率低下により,出生率 の増加をめざす人口政策および母親の就業と育児の両立を目指す労働政策 が発展した。以来,人口問題は,就業と育児の両立に関する政策におい
17) 男女雇用平等法第16条(間接差別):使用者は,求人への応募者および被用 者を,性中立とみなされてはいるが実際には性別により不平等を生じさせる規 定や基準および手続により,不平等に扱ってはならない。ただし,それらの規 定や基準および手続が,制度の趣旨・目的を達成するための適切かつ必要とさ れる正当な理由に基づく場合には,この限りでない。
て,課題として常に意識され続けている18)。
1934年 ミュルダール夫妻の著書『人口問題の危機』が世論を喚起し,
妊娠・出産に関する保護規定を拡充した。
1939年 「結婚・妊娠に関し雇用の権利を保障する特別法」により,女 性被用者の結婚・妊娠・出産を理由とする解雇を禁止し,12週間の出産休 暇を法定した。
1945年 出産休暇を ₆ ヵ月に延長し,出産から育児へと連続する休暇 とした。
1955年 出産給付(出産休暇中の所得保障)を,本人の医療給付相当額 で90日間支給するようになった。
1963年 出産給付(出産休暇中の所得保障)を,約 ₆ ヵ月に相当する 180日間に延長した。保育所の入所条件がそれに連動し「生後 ₆ ヵ月以上 の子ども」となった。
(1940 ~ 1950年代の社会的な背景)公平性の原則に基づき社会保障制度 が整備された。また,1944年には「国民の家」構想により,所得の公平な 分配,生産効率やデモクラシー,完全雇用の実現を目指す国家プログラム が立ち上げられた。一方で,1940 ~ 50年代は専業主婦の時代ともいわれ,
女性は結婚や出産を機に家庭に入るのが一般的であった。
(1960年代の社会的な背景)1960年代に入ると,高度経済成長による労 働力不足を背景に女性労働者の活用が労働政策の課題となった。この時 期,国際的に男女平等論が高まった19)。
18) スウェーデンには,人々に対し直接に出産を促す人口政策はない。代わり に,人々が,家庭を築き望む数の子どもを持つことができるよう,そのための 家族政策や労働政策がある。就業と育児の両立を可能にすることが出生率にも 寄与するとされる。今日における少子化対策の主流は男女均等政策であり,男 女の均等が出生性向を高めるという仮説を裏づける実証結果が多数出ている。
谷沢英夫『スウェーデンの少子化対策―家族政策の展開と男女共同参画社会へ の挑戦―』日本評論社(2012年)159─160頁。
19) 戦後のスウェーデンを代表する女性リーダーの ₁ 人であったE.モベリィは,
1961年に発表した話題のメッセージ「女性解放の条件」(『若き自由主義者た
(1970年代の社会的な背景)それまでの議論を受け,働く男女が就業と 育児を共に担うことができるよう親双方を対象とする両親給付制度の必要 性が認識された。スウェーデンでは1970年代に,男女平等政策を軸とし,
関連する諸政策および法律の調整がなされている20)。
1974年 男女双方を対象とした両親保険(当時の一般保険法第 ₄ 章)制 度が導入された。世界初の,男女双方を対象とする両親給付制度である。
それまでの,女性被用者を対象とする出産・育児のための「出産給付」を 廃止し,それに代わり,男女双方の被用者を対象とする「両親給付」とし た。
1976年 両親休暇法(Lag om rätt till föräldraledighet(1976:280))が 制定された21)。それまでの出産休暇を,性中立的・より長期( ₇ ヵ月に 延長)・有給の「両親休暇」に移行し,休暇後に同一の職場に復帰できる 権利を法定した。
ち』に収録)で,当時の一般的論調を否定した。当時は,女性がその役割を変 更すれば,それが女性解放につながるであろうという考え方が一般的であっ た。モベリィは,それだけでは不十分であると力説した。女の役割が変わった ところで,男の役割が変わらなければ,女が二重の労働負担を背負うことにな るだけという意見である。「女の性役割を変えるのと同時に男の性役割を変え ること」が重要と主張した。伝統的な性役割二元論を変更することが社会改革 の条件であるというメッセージはその後の論争を指導し,意識革命を引き起こ した。岡沢憲芙『スウェーデンの政治』東京大学出版会(2009年)222─223,
235頁。
20) その一端として,次のような改正がなされた。
1971年 所得税の個人別課税制度導入(夫婦所得合算課税制度を廃止)。
1973年 婚姻法の改正による離婚手続の簡素化(パートナーシップを,自立し た成人間の自発的な共同関係とみなすようになった)。
1977年 共同監護権の保障(離婚後も親双方の合意により共同監護権が取得可 能となった)。
21) 1974年に両親保険制度が導入され,その ₂ 年後に両親休暇法が制定された。
両親休暇の権利を保障する法の制定が後であったが,出産や育児等を理由とす る両親給付の受給中は,両親保険の規定により休暇権があると解釈された。
2 両親休暇法制定以降の法改正
「雇用の場と家庭双方における男女共同参画」の促進をめざし,両親休 暇制度の法改正が重ねられた。1970年代,男女平等をめざす活発な活動が 国連を中心とし国際的な広がりをみせた。1976年に始まった国連主導によ る国際女性年,1979年の女性差別撤廃条約の採択等がそれにあたる。ま た,スウェーデンは1995年にEUに加盟しており,このような,同国を取 り巻く国際環境の変化が法改正を後押ししたといえる。
1978年 部分両親休暇制度が導入され,通常の労働時間を ₂ 分の ₁ 短縮
( ₄ 時間労働),あるいは ₄ 分の ₁ 短縮( ₆ 時間労働)することが可能にな った。
導入の理由として,両親休暇法の導入後,休暇中の所得保障があるにも かかわらず父親の取得率が極めて低調であったこと,また,当初,両親休 暇は全日休暇のみであったため,母親から,就業の中断による不安解消の ため早期の職場復帰を可能にする施策を望む声が寄せられていたことがあ る。
(1980年,スウェーデンは女性差別撤廃条約を批准し,それに伴い男女 雇用平等法を制定した。同年,男女平等オンブズマン制度が戧設された。)
1980年 子どもの出生に際し,10日間の父親休暇が法定された。
1982年 授乳時間制度が導入された。
1985年 親である被用者の範囲が拡大された。
1994年 パパ・クォータ制度(父親による両親休暇取得の促進を目的と し,両親間で譲渡できない日数として30日の「父親の月」を制定)が導入 された。
パパ・クォータ制度の導入により,父親が「父親の月」を取得しなけれ ば,両親休暇および両親給付の権利は30日分減少する。パパ・クォータ制 度は2001年法改正により60日に延長された。父親による両親休暇取得率
(両親休暇取得の対象となる父親の中で実際に取得した人数の割合)は,
同制度導入時の ₆ %から2009年には79%となっている。
(1995年,スウェーデンはEUに加盟した。)
1995年 国際的に就業と育児の両立に関する政策の見直しが進むなか,
(新)両親休暇法(Föräldraledighetslag(1995:584))が制定された。こ の時,妊産婦に対する保護が強化された。
2001年 法改正によりパパ・クォータ制度が60日に延長され,同時に,
部分両親休暇制度の柔軟化が図られた。父親による両親休暇取得の促進を 目的とし,父親からの要望に応じ法改正されたものである。新たに12.5%
の部分休暇が法定され,その結果75%,50%,25%,12.5%という部分両 親休暇の取得が可能になった。また,部分両親休暇は,就業する全ての曜 日に配置され,あるいは就業する週の曜日の特定の ₁ 日あるいは特定の複 数日に配置されることが可能になった(両親休暇法第12条)。
2006年 両親休暇は性別に関わりなく取得可能であるが,事実上,女性 の方がより多く取得しており,それにより生じている男女間の雇用格差を 解消に向け縮小することが必要とされ,そのための効果的な保護規定を導 入することが2006年法改正の目的であった。
次のような大幅な法改正が施行された。①両親休暇取得を理由とする不 利益取扱い禁止が強化された。不利益取扱い禁止の対象となる範囲が一気 に拡大し,採用から退職に至る雇用の全過程となった。法改正に伴い,新 たに,求人への応募者が法的保護の対象となった(同法第16条)。②両親 休暇取得を理由とする不利益取扱い禁止に関する因果関係の証明におい て,両親休暇の請求または取得が不利益取扱いを受けた理由の ₁ つであれ ば足りる,すなわち,唯一の理由あるいは決定的な理由である必要はない とされた。③両親休暇取得を理由とする不利益取扱いは原則として妊娠を 理由とする不利益取扱いと同様に扱われるべきとし,通常の男女差別では なく,妊娠差別の禁止がモデルとなった22)。そのため,妊娠差別につい て判示したECJの1990年Dekker判決(c─177/88)に基づき,不利益取扱 いの立証に関し,「同等の状況にある被用者との比較」が不要となった。
22) 妊娠差別の禁止をモデルとして用いたことは,妊娠・出産と育児は基本的に 連続するプロセスであり,雇用や社会保障との関係で法的に両者を区別する必 要はないとの考えに基づくものである。
④被用者の立証責任が軽減され,被用者に対する不利益取扱いと両親休暇 取得の因果関係が一応立証された場合,使用者は,そのような不利益取扱 いは生じていないこと,あるいは,当該取扱いが「両親休暇取得に伴う不 可避の結果」であることを立証しなければならないとされた(同法第24 条)。
2008年 男女均等ボーナス制度が導入された。同制度により,男女双方 が60日を超えて両親休暇を取得した場合,休暇取得を男女均等にすればす るほど,より多額の税額控除を受けることができるようになった。
IV 現行法制度
1 両親休暇制度の概要
両 親 休 暇 制 度 は ₂ つ の 法 制 度 に 基 づ く。 労 働 法 上 の 両 親 休 暇 法
(Föräldraledighetslag(1995:584))および両親休暇取得により生じる所得補 償に関する規定として,社会保険法上の両親保険(社会保険法 Social- försäkringsbalk(2010:110)第12章,第13章)である。
両親休暇法および社会保険法上の両親保険により規定される両親休暇 は,両親休暇制度および臨時両親休暇制度からなる。社会保険法におい て,第12章が両親休暇制度のための両親給付,第13章が臨時両親休暇制度 のための臨時両親給付について規定する。
【両親休暇制度】両親休暇制度は,妊娠,出産,子どもの世話を理由と する休暇に関し,父親と母親それぞれに(両親給付を伴う)240日の両親 休暇の権利を付与する。両親休暇には,全日両親休暇と部分両親休暇があ る。全日両親休暇は文字通り全日の休暇であり,子どもが18 ヵ月に達す るまで取得できる。部分両親休暇は通常の就業時間を短縮する休暇であ り,12.5%・25%・50%・75%の就業時間の短縮が可能である。子どもが
₈ 歳に達するか小学校の第 ₁ 学年を終了するいずれか遅い方まで取得でき る。
両親休暇中は社会保険法に基づき,所得補償として,全日両親休暇に対
し従前の所得の80%相当額が支給される。部分両親休暇については就業時 間の減少に応じ比例して算定される。
【臨時両親休暇制度】臨時両親休暇制度は,両親休暇制度とは別に,子 どもの世話に関して生じる,一時的に必要とされる休暇の要請に対応する 制度である。臨時両親休暇制度は,子どもの出生に伴う10日間の父親休 暇・子どもの看護や健診・就学前学校の参観・育児中のもう ₁ 人の親が疾 病や感染症に罹患した場合の休暇等について規定する。原則として,子ど もが12歳に達するまで取得可能であり,子ども ₁ 人につき年間60日を限度 とする。ただし,子どもが12歳以上であっても重篤な疾病に罹患した場合 や子どもが障碍者支援法の対象となっている場合等に,親は臨時両親休暇 取得の権利を有する。また,親が疾病あるいは感染症に罹患した場合,親 以外であっても,親に代わり子どもの世話をする被保険者は臨時両親休暇 取得の権利を有する。全日休暇および部分休暇の取得が可能である。
所得補償として,社会保険法に基づき,両親保険による臨時両親給付が 支給される。全日休暇に対し従前の所得の80%相当額が支給され,部分休 暇については12.5%・25%・50%・75%という就業時間の減少に応じ比例 して算定される。
2 両親休暇法 Föräldraledighetslag (1995:584)23)
両親休暇法は,妊娠,出産,授乳,子どもの世話を理由とする休暇に関 し,雇用の場における労働条件について規定する。
⑴ 権利取得の対象者および要件
対象者は,親である被用者である。また,次の被用者も同様の権利を有 する。①親ではないが,監護権者であり子どもの世話をしている者,②恒 常的な世話および養育のために子どもを家庭に受け入れた者,③子どもの 親と長年共同生活を営み,その親と現在婚姻関係にあるか,あるいは(婚 姻関係に)あった者,あるいは,その親との間に共通の子どもがいるか,
23) 2010年の法改正(SFS2010:2006)まで記載済みである。
あるいは(子どもが)いた者。(両親休暇法第 ₁ 条)
2006年法改正により,求人への応募者に対しても両親休暇取得に関し不 利益取扱いが禁止されている。
権利取得の資格要件は,2006年法改正により廃止された24)。
⑵ 両親休暇の種類
子どもの世話を目的とする両親休暇には次の ₆ つの種類がある。(同法 第 ₃ 条)
ⅰ 母親休暇(同法第 ₄ 条)
女性被用者のための,出産および授乳に関する全日休暇である。女性被 用者は,出産に際し,産前産後において各 ₇ 週間の連続する全日休暇を取 得する権利を有する。何らかの理由によりこのような休暇を取得できない 場合,産前あるいは産後における ₂ 週間の母親休暇が強制的な休暇とな る。また,女性被用者は,子どもへの授乳のために休暇を取得する権利を 有する。
ⅱ 両親給付を伴う全日両親休暇,両親給付の無い全日両親休暇(同法 第 ₅ 条)
両親のための,子どもが18 ヵ月に達するまで取得することのできる,
あるいは社会保険法第12章が定める両親給付の全額受給を要件に,その期 間に取得できる全日休暇である。親は,子どもが18 ヵ月に達するまで,
両親給付を受給するか否かにかかわらず全日両親休暇を取得する権利を有 する。すなわち,両親給付の受給可能日数との関連により,両親給付を伴 う全日両親休暇あるいは両親給付の無い全日両親休暇となる。
この規定は養子縁組の場合にも適用され,18 ヵ月という期間は,親が 子どもの世話を開始した時から計算される。
ⅲ 両親給付を伴う部分両親休暇(同法第 ₆ 条)
親は,社会保険法第12章が定める ₄ 分の ₃ , ₂ 分の ₁ , ₄ 分の ₁ あるい 24) 改正前の同法第 ₉ 条は,資格要件について,被用者が両親休暇開始時に ₆
ヵ月または過去 ₂ 年間に少なくとも12 ヵ月雇用されていたこと,と規定して いた。
は ₈ 分の ₁ の両親給付を受給する期間,通常の就業時間の ₄ 分の ₃ , ₂ 分 の ₁ , ₄ 分の ₁ あるいは ₈ 分の ₁ を減じ,部分両親休暇を取得する権利を 有する。子どもが ₈ 歳に達するか小学校の第 ₁ 学年を終了するいずれか遅 い方まで取得できる。
ⅳ 両親給付の無い部分両親休暇(同法第 ₇ 条)
親は, ₈ 歳未満かあるいは ₈ 歳に達してはいるが小学校の第 ₁ 学年を終 了していない子どもの世話をするため,通常の就業時間を最大で ₄ 分の ₁ 減じる権利を有する。
ⅴ 臨時両親給付を伴う臨時両親休暇(同法第 ₈ 条)
臨時両親休暇は,両親休暇とは別に,子どもの世話に関して生じる一時 的に必要とされる休暇の要請に対応する休暇である。親が被用者であるこ とを要件とし,臨時両親給付について定める社会保険法第13章の第10 ~ 31条,第31条e,第31条fに基づき取得することが可能である。子どもの 出生に伴う10日間の父親休暇,子どもの看護や健診,就学前学校の参観,
育児中のもう ₁ 人の親が疾病や感染症に罹患した場合の休暇等がそれにあ たる。原則として子どもが12歳に達するまで取得可能であり,子ども ₁ 人 につき年間60日を限度とする。
ⅵ 子育て手当に関する両親休暇(同法第 ₉ 条)
親は,共同体子育て手当法第 ₈ 条に基づき子育て手当25)を放棄する場 合,子どもの世話のために全日休暇を取得し,あるいは通常の就業時間を
₂ 分の ₁ 短縮する権利を有する。
⑶ 妊娠・出産・授乳中の被用者に関する規定(同法第18 ~ 21条)
妊娠・出産・授乳中の女性被用者は,労働環境法(SFS1977:1160)第 ₄ 章第 ₆ 条に基づく通常の職務の継続禁止を要件とし,雇用上の権利を保持
25) 子育て手当は,両親が子どもと過ごす時間を増やすことを趣旨とし,両親休 暇期間を超えて ₁ ~ ₂ 歳の子どもの養育に専念する親に対し,コミューンが 月額3000kr.を限度とし支給する手当である。導入するかどうかは各コミュー ンの判断による。2006年に政権の座についた中道右派連立政権の一角を占める キリスト教民主党による,伝統的価値観を反映したものとされる。
したまま他の職務に配置転換される権利を有する。また,妊娠を理由とし 要求される職務に身体的に応じることができない場合,出産に先立つ60日 目から,雇用上の権利を保持したまま他の職務に配置転換される権利を有 する。
これらの配置転換の権利は,使用者が,事業内の他の職務を女性被用者 に提供することを理に適い果たしうる範囲内で適用される。
配置転換が現実的でない場合,女性被用者は,自身の健康と安全を保護 するために必要な限りにおいて,両親休暇を取得する権利を有する。この 場合,雇用上の権利を保持することはできない。
⑷ 両親休暇の配置
両親休暇は,暦年毎に最大で ₃ 回に分割することができる。この制限に かかわらず,両親教育のための両親休暇や両親休暇法第 ₈ 条が規定する臨 時両親休暇は,分割された期間として扱われる。(同法第10条)
被用者は,被用者の請求により全日両親休暇を取得する権利を有する。
(同法第11条)
部分両親休暇として就業時間を減じる場合,部分両親休暇は就業する週 の全ての曜日に配置され,あるいは,就業する週の曜日の特定の ₁ 日また は特定の複数日に配置される。(同法第12条)
⑸ 両親休暇の届出および決定
被用者は,第 ₄ ,₅ ,₆ ,₇ ,₉ 条における両親休暇の取得を希望する場 合,両親休暇を開始する ₂ ヵ月前までに,それが不可能な場合は能う限り 速やかに,使用者に対し,その旨届け出るものとする。届出に際し,希望 する両親休暇の期間を明示するものとする。第 ₈ 条における臨時両親休暇 の取得を希望する場合には,臨時両親休暇を開始する ₁ 週間前までに,使 用者に対し,その旨届け出るものとする。臨時両親休暇の理由が疾病や感 染症の場合はこの限りでない。(同法第13条)
被用者は,両親休暇の決定に際し,必要な事項について使用者と協議す るものとする。被用者にとり不都合でなければ,被用者は第11条に則り,
使用者の事業の運営に明白な支障が生じない方法により両親休暇を取得す
るものとする。部分両親休暇として就業時間を減じるための協議において 両者が合意に達しない場合,それにより使用者の事業の運営に明白な支障 が生じないのであれば,使用者は,被用者の要望に沿い部分両親休暇を配 置するものとする。(同法第14条)
⑹ 両親休暇取得に関する雇用保障
ⅰ 就業の再開(同法第15条)
被用者は,開始した両親休暇を停止し,また,両親休暇を開始する前と 同じ程度(水準)の職務を再開することができる。
ⅱ 両親休暇取得を理由とする不利益取扱い禁止(同法第16条)
使用者は,求人への応募者および被用者に対し,両親休暇に関し次のよ うな不利益取扱いをしてはならない。
使用者が,
・採用に関して決定するとき,採用のための面接に関し応募者の人選を行 うとき,採用のための手続において何らかの施策を講じるとき,
・昇進について決定するとき,昇進のための教育・訓練に関し被用者の人 選を行うとき,
・職業上の実務に関する施策を決定し,または講じるとき,
・その他の教育・訓練あるいは職務についてのガイダンスに関する施策を 決定し,または講じるとき,
・賃金その他の労働条件を適用するとき,
・業務を管理し配置するとき,
・解約通知,解雇,一時帰休あるいは被用者に対しその他の重要な施策を 講じるとき。
以上の禁止事項は,異なる労働条件や取扱いが,両親休暇の取得に伴う 不可避の結果である場合には適用されない。
⑺ 立証責任その他に関する規定
立証責任に関し,求人への応募者あるいは被用者が,両親休暇に関し不 利益取扱いを受けたと思われる状況を証明した場合,使用者は,そうした 不利益取扱いは生じていないこと,あるいは,その不利益取扱いが両親休
暇の取得に伴う不可避の結果であることを立証しなければならない。(同 法第24条)
損害賠償について第22条,訴訟手続について第23条,異議申立ての権利 について第25条がそれぞれ規定する。
3 社会保険法 Socialförsäkringsbalk (2010:110) 第12章(両親給付)
第13章(臨時両親給付)26)
両親休暇取得により生じる所得補償として,両親保険により両親給付が 支給される27)。両親給付には,社会保険法第12章が規定する両親給付お よび社会保険法第13章が規定する臨時両親給付がある。両親給付は就業の 有無にかかわらず支給されるが(第12章第 ₂ 条),臨時両親給付は実際に 就業していることが要件となる(第13章第 ₂ 条)。
両親保険の財源は,自営業者を含む使用者が拠出する社会保険料であ る。法に基づき,使用者は,使用者が支払う賃金総額に対して一定の割合 で社会保険料を納付する。2010年における,使用者に対する社会保険料率 は31.42%である。31.42%のうち2.2%が両親保険のために使われる28)。
【3─1 社会保険法第12章 両親給付】
⑴ 両親給付の権利
被保険者である親は,就業せずあるいは休業し(avstår från förvärvs- arbete)子どもの世話をする場合,両親給付の権利を有する。
両親給付には,社会保険法第 ₅ 章第 ₉ 条 ₁ が規定する「居住に基づく両 親給付」と,同法第 ₆ 章第 ₂ 条 ₂ が規定する「就労に基づく両親給付」が
26) 2013年の法改正(SFS2013:427)まで記載済みである。
27) スウェーデンの社会保障は社会保険制度が中心となっている。社会保険は強 制保険であり,税務署に住民登録し個人番号が付与されることにより社会保険 に加入したことになる。基本的に職域の別なくスウェーデンに住む全住民に適 用され,16歳以上のスウェーデン人およびスウェーデンに ₁ 年以上居住する外 国籍の人は社会保険に加入している。
28) スウェーデン社会保険庁「Socialförsäkringen i siffror 2010」。
ある29)。(社会保険法第12章第 ₂ 条)
両親給付の権利は,親が,第12条が規定する期間において,実際に子ど もの世話をする場合に有効である。(同第 ₃ 条)
子どもの母親は,出産予定日に先立つ60日目から両親給付の権利を有す る。子どもの世話をしない母親であっても,出産後29日まで両親給付の権 利を有する。(同第 ₅ 条)
両親教育に参加する親は,その教育に関連し両親給付の権利を有する。
両親教育に関連する両親給付は,子どもの出生前であり世話をする子ども のいない親に支給される。(同第 ₆ 条)
親は,子どもが参加する就学前学校あるいは学校法に基づき就学前学校 を補充し就学前学校の代わりとされる教育プログラムを参観する場合,両 親給付の権利を有する。(同第 ₇ 条)
両親給付の規定は,第 ₈ 条による例外規定を除き,子どもの養子縁組の 場合に適用される。(同第 ₈ 条)
⑵ 両親給付の期間
両親給付は,子どもの出生により,両親合わせて最長で480日支給され る。多子出産の場合,第 ₂ 子以降の子どもについて最長で180日が追加し て支給される。(同第12条)
両親給付は,最長で,子どもが ₈ 歳に達するか小学校の第 ₁ 学年を終了 するいずれか遅い日まで支給される。(同第13条)
⑶ 両親給付の対象者
親が単独の監護者である場合,第12条が規定する全期間の両親給付を受 給する。(同第14条)
両親が共同で子どもの監護に当たる場合,各親は,第12条が規定する期 間の半分の両親給付を受給する。両親の片方が両親給付の権利を有する場 合,その親は,第12条が規定する全期間の両親給付を受給する。(同第15 29) 居住に基づく両親給付(bosättningsbaserad förmåner)は, ₁ 年以上居住す る こ と に よ り 受 給 権 が 生 じ る。 就 労 に 基 づ く 両 親 給 付(arbetsbaserad förmåner)は収入に基づき給付額が決定される。
条)
片方の親が,疾病あるいは障碍により永続して子どもに対する監護能力 を欠く場合,もう片方の親は,第12条が規定する全期間の両親給付を受給 する。(同第16条)
親は,社会保険事務所へ書面で届け出ることにより,両親給付の権利 を,もう片方の親へ譲渡することができる。ただし,以下の日数は,医療 給付水準に基づく両親給付を譲渡することができない。①各子どもについ て60日,あるいは,②多子出産の場合,それらの子どもたちについて60 日。(同第17条)
⑷ 両親給付による所得補償
ⅰ 両親休暇取得と両親給付
両親給付は,両親休暇取得による次のような就業を対象とし支給され る。全日両親給付は,親が就業しない日を対象とし支給される。 ₄ 分の ₃ の両親給付は,親が,通常の就業時間の ₄ 分の ₁ について就業した場合に 支給される。以下, ₂ 分の ₁ ・ ₄ 分の ₁ ・ ₈ 分の ₁ の両親給付は,それぞ れ就業をした割合に応じて支給される。(同第 ₉ 条)
ⅱ 両親給付における給付水準
両親休暇取得に伴う両親給付は, ₃ つの給付水準,すなわち医療給付水 準・基礎水準・最低水準に基づき支給される。(同第18条)
《医療給付水準》
医療給付水準に基づく両親給付は,その親が,就労に基づく両親給付の 被保険者であり,その親に対し社会保険法第25章第 ₃ 条により医療給付に 基づく所得補償が決定される場合に支給される。(同第21条)
全日両親給付のために,親を対象とする医療給付算定基礎としての医療 給付水準が用いられる。これは,第25 ~ 31条により算定される医療給付 の基礎となる所得に基づき,第28章第 ₇ 条 ₁ が規定する標準的水準に基づ くものである。
医療給付水準に基づく全日両親給付が日額225kr.以下の場合,それに代 わり,第23条が規定する基礎水準に基づく両親給付が支給される。(同第
22条)
《基礎水準》
基礎水準に基づく両親給付は,その親が,居住に基づく両親給付の被保 険者,あるいは就労に基づく両親給付の被保険者である場合に支給され る。全日両親給付における基礎水準は日額225kr.である。(同第23条)
《最低水準》
最低水準に基づく両親給付は,その親が,居住に基づく両親給付の被保 険者であり,その期間について,医療給付水準あるいは基礎水準に基づく 両親給付が支払われない場合に,支給される。全日両親給付における最低 水準は日額180kr.である。(同第24条)
子どもの世話に関する両親給付の権利に関し,最初の180日について,
所得補償は医療給付水準あるいは基礎水準のいずれかに基づき支給され る。180日の後,両親給付は,医療給付水準あるいは基礎水準のいずれか に基づき210日支給され,最低基準に基づき90日支給される。(同第19条)
多子出産の場合の補償水準について,別に規定する。(同第20条)
ⅲ 医療給付水準に基づく両親給付30)
両親給付が医療給付水準に基づき支給される場合,その所得補償は,標 準的水準および社会保険法第25・26・28章が規定する医療給付の基礎とな る所得に基づき,医療給付規定により算定される(ただし例外規定を除 く)。(同第25条)
医療給付水準に基づき両親給付が支給される場合,両親給付額の算定 は,物価基礎額の10倍を超過する金額を,雇用やその他の就業による所得 から除外したうえで算定される。その場合,まず,その他の就業による所 得が除外される31)。(同第26条)
30) 雇用されている親が休業し両親休暇を取得する場合,両親休暇取得による所 得補償は,医療給付水準に基づくことが最も多いと思われる。医療給付水準に 基づく両親給付額は,現在のところ,従前の所得の80%相当額である。
31) 両親給付の算定に係る年収の上限が,2006年から物価基礎額の10倍,
397,000krに引き上げられた。この結果,870kr(397,000×0,8/365)が日額上
ⅳ 最初の180日に対する両親給付32)
《居住に基づく両親給付および就労に基づく両親給付双方の被保険者の 場合》(同第35条)
親が,居住に基づく両親給付および就労に基づく両親給付双方の被保険 者の場合,最初の180日について,両親給付は以下のように支給される。
₁ 両親給付は,親が子どもの出生前から引き続き240日以上休暇を取得 している場合,あるいは,その計算された日数の最初の日において社会保 険法第 ₆ 章第 ₆ 条 ₃ (医療給付)の被保険者であり,かつ,全期間におい て両親給付のための最低基準を超過する医療給付の権利を有していた場 合,医療給付水準に基づき支給される(240日条件)。
₂ ₁ の条件が満たされず,あるいは,医療給付水準に基づく全両親給付 が日額225kr.を超過していない場合,両親給付は基礎水準に基づき支給さ れる。
《居住に基づく両親給付のみの被保険者の場合》(同第36条)
親が居住に基づく両親給付のみの被保険者の場合,最初の180日につい て,両親給付は基礎水準に基づき支給される。
《就労に基づく両親給付のみの被保険者の場合》(同第37条)
親が就労に基づく両親給付のみの被保険者の場合,最初の180日につい て,両親給付は第35条に基づき支給される。
両親給付の基礎水準に基づく支給に関し,親が第35条 ₁ における240日 条件を満たしていることが要件となる。
ⅴ 180日経過後の両親給付33)
《居住に基づく両親給付および就労に基づく両親給付双方の被保険者の
限となる。
32) 最初の180日に対する両親給付は,次の ₃ つの場合,すなわち,①居住に基 づく両親給付および就労に基づく両親給付双方の被保険者の場合,②居住に基 づく両親給付のみの被保険者の場合,③就労に基づく両親給付のみの被保険者 の場合に分かれる。
33) 前述ⅳと同様に, ₃ つの場合に分かれる。