※ 当誌は、株式会社 時事通信社がライセンスに基づき Dow Jones & Company, Inc.の発行する BARRON’S 誌の内容を利用して作成したものです。
※ 当誌は、情報提供を目的としてのみ作成したものであり、有価証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、当誌は当社が信頼できると判断した資 料およびデータ等により作成しておりますが、その正確性および完全性について保証するものではありません。また、将来の投資成果や市場環境を保証するもの ではありません。投資決定にあたっては、投資家ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
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Week of November 281. Cut the Top U.S. Corporate Tax Rate to 22% 法人税率を 22%へ引き下げ→ - 2 - 【減税】 減税による税収増効果が最大になるポイント
2. A Top European Hedge Fund’s Latest Bets ペトリ氏の手法→ - 4 - 【欧州のヘッジファンド】 欧州随一のヘッジファンドの責任者が、傑出したリターンを上げる方法を語る
3. Bullish on the Trump Market トランプ相場に強気→ - 6 - 【インタビュー】
パイプライン、米ドル、防衛関連銘柄に強気
4. The Trader 資金流入が続いて連日の史上最高値更新→ - 8 - 【米国株式市場】
減税効果の大きな小型株優位の相場が続く
5. Up and Down Wall Street 米 4 大主要株価指数が揃って高値更新→ - 11 - 【コラム】
トランプ氏の税制改革、海外滞留資金 2000 億ドルの本国還流を促すか
6. The Trump Rally Has Legs トランプ相場の持続性→ - 13 - 【株式市場展望】
強気が強気を生む 減税・経済成長への期待 小売業者に恩恵
7. 4 Deal-Bait Stocks for Big Tech Names to Snap Up 老舗 IT 企業の処方箋→ - 14 - 【ハイテク】 HP エンタープライズやシスコシステムズが新興 IT 企業を買収すべき理由とその候補
8. Trump Era: A Good Change for Hedge Funds 好転か→ - 17 - 【ヘッジファンド】 トランプ政権の財政刺激策によってアクティブ運用のマネジャーの機会が拡大する可能性
9. Global Dividend Growth Takes a Few Steps Back 世界の配当トレンド→ - 21 - 【配当投資】 第 3 四半期に世界の配当額は減少し、米国では配当の伸びが金融危機以降で最低に
10. Preview 今週の予定→ - 23 - 【経済関連スケジュール】
1. Cut the Top U.S. Corporate Tax Rate to 22% 法人税率を 22%へ引き下げ
【減税】
減税による税収増効果が最大になるポイント
■ 多くの課税回避手段 トランプ次期大統領と新しい議会が米国経済の活性化を真剣に考え ているならば、速やかに減税するだろう。トランプ次期大統領は選 挙期間中に、法人税率の35%から 15%への引き下げを公約に掲げ ていたが、本誌は税収中立である22%への引き下げを提案したい。 税収中立の法人減税という概念は、1978 年に経済学者のアーサー・ ラッファー氏が提唱した。ラッファー氏の分析は、減税によって引 き起こされる可能性のある全ての行動変化を網羅しており、まず、 所得に占める税金の割合が低下すれば所得を増やすインセンティブ が働き、第2 に、税率が低下すれば税金回避のために労力を割くイ ンセンティブが低下するというものだ。特に2 点目は、法人税減税で重要なポイントだ。 大企業に税制優遇措置を与えることはポピュリズムに反するが、法人税が低い国に経済的優位性で負けるこ とも同じ結果をもたらす。大金がかかっている以上、海外で事業を行う米国企業が税率の低い国・地域を積 極的に探すのも当たり前だ。民主党は、「インバージョン(買収などによる、米国からの税率の低い国・地域 への本社移転)」の違法化を模索したが、それは実質的には保護主義の一形態で、機能しなかった。 税金回避のもう一つの戦略は、税率の低い国・地域に子会社を設立し、利益を海外にため込むことだ。約 2 兆ドルの現金が海外にあり、税率が引き下げられれば米国に還流するだろう。 また、移転価格というややこしい問題もある。法人税の低い国・地域にある子会社からの購入価格を幾分か 過大評価して、米国にある会社の利益を減らす手段だ。米国政府はこの問題に取り組もうとしたが、そもそ も「正確」な価格の算出は不可能だ。 ■ 減税効果 減税すれば課税回避意欲を削ぐことになり、米国の税収が増えることになる。さらに、米国内の投資促進に よって利益が増え、その分の税収も増える。ワシントンにあるタックス・ファウンデーションは、トランプ 次期大統領の減税計画が、短期的には投資を促進し、減価償却費の増加を通じて企業の課税所得を減らすこ とになると主張している。一方で、10 年間という期間でみると、設備投資の増加は増益、ひいては課税所得 の増加につながることになる。加えて、波及効果による税収増が短期的にも見込める。配当やキャピタルゲインの増加によって株主の所得が増加するほか、設備投資の増加が引き金となって企業労働者の所得も増え るからだ。 長期的には、減税の効果は明らかで、米国の大半の貿易相手国では、減税による供給サイドの効果を既に経 験している。過去 35 年間で、海外では米国以上に法人税が引き下げられている。米国の最高法人税率(連 邦税と州・地方税の合計)は39%で、ドイツ(30.2%)、日本(30%)、英国(20%)、デンマーク(22%) を上回っている。 ただ、法人税率が各国で引き下げられているのであれば、ラッファー効果に対する懐疑論者は、法人税収の 減少を予想することになる。本誌は、ケイト研究所の研究者であるクリス・エドワーズ氏とダニエル・J・ ミッチェル氏のオリジナル・データを更新して、その考え方を検証した。ラッファー効果を確認したのみな らず、減税が歳入増をもたらすという結果となった。 経済協力開発機構(OECD)加盟 19 カ国について、本誌は最高法人税率の単純平均を計算した。統計上最 も古い1981 年の平均は 47.6%で、統計上最新の 2014 年には 27.4%へ低下した。平均では 20%ポイント低 下しているが、米国は同期間に49.7%から 39.1%への 10.6%ポイントの低下にとどまっている。 法人税率引き下げ競争は、税収の減少をもたらしても不思議ではなかったが、実際には逆の効果を上げたよ うだ。OECD は、各国の法人税収の国内総生産(GDP)比を提供しており、本誌はそれに基づいて各国の 平均を計算した。 平均法人税率が最高だった1981 年(47.6%)と 1985 年(47.8%)には法人税収の GDP 比は最低で(それ ぞれ2.1%と 2.3%)、法人税率が低かった 2000 年(35.4%)と 2005 年(31.1%)における比率は 3.5%と 3.3%で最も高かった。ちなみに、2014 年の平均法人税率は 27.4%だが法人税収の比率は 2.7%で低く、低 い経済成長率を反映している。 ■ 適正税率 では、どの程度の税率引き下げがベストなのだろうか。本誌は保守的なアプローチを提案する。トランプ次 期大統領の提唱する15%は低過ぎる可能性がある。 アメリカン・エンタープライズ研 究所の研究者であるアレックス・ ブリル氏とケビン・ハセット氏は、 法人税率引き下げに関してラッフ ァー効果があると判断し、約26% の水準が「税収を最大化するポイ ント」であると推定している。本 誌はこの 26%の税率を好んでお り、それは、州・地方税の 4%を 考慮すると連邦法人税としては 22%となる。 トランプ次期大統領の経済顧問で あるピーター・ナバロ氏とウィル バー・ロス氏は、海外に保有され ている2 兆ドルの現金還流に対し て 10%の一時的な特赦税率を提 案しており、本誌も賛同する。
なお、ウォール・ストリート・ジャーナルは先週、英国のメイ首相が、英国の最高法人税率を2020 年まで に20%から 10%へ引き下げることを承認したと報じた。その他の諸国も法人税率引き下げで対応する可能 性があり、トランプ次期大統領が提案する15%に対する支持要因となる可能性がある。
By GENE EPSTEIN (Source: Dow Jones)
2. A Top European Hedge Fund’s Latest Bets ペトリ氏の手法 【欧州のヘッジファンド】
欧州随一のヘッジファンドの責任者が、傑出したリターンを上げる方法を語る
■ 低リスク高リターン 以前デンマーク中央銀行で働き、同国最大の銀行であるダンスケ 銀行を経て 2007 年にダンスケ・キャピタルに入ったミカエル・ ペトリ氏は、1070 億ユーロ(1130 億ドル)を運用するこの会社 で、旗艦ヘッジファンドのダンスケ・インベスト・ヘッジ・フィ クスト・インカム・ストラテジーズのチーフポートフォリオマネ ジャーを務めている。11 億 5000 万ドルを運用する北欧最大級の ファンドの責任者である同氏は、米国が 12 月に政策金利を引き 上げ、2017 年にも 2 回の利上げを実施すると予想。欧州では経 済成長率が上昇し、欧州中央銀行(ECB)は量的緩和策を縮小し 始めるとみている。一方、トランプ氏の米大統領選勝利と英国の 欧州連合(EU)離脱決定による不確実性の増大を見込んでいる。 ペトリ氏のファンドは、北欧の証券がポートフォリオの大部分を 占める一方、ユーロ、英ポンド、円、米ドルに関連する商品も保 有している。クオリティおよびクオンツの手法を駆使し、世界屈 指の債券アービトラージファンドに成長した。2005 年の創設以来、 2016年10月までの間に手数料控除後で12%を超える年率リター ンを確保しながら、ボラティリティは 9%未満に抑えている。中 でも直近1 年と 5 年のリターンは 15%超で、ボラティリティは 6.4%未満。つまりリスクを効果的に管理しつつ、常に高リターンを上げている。また、管理手数料は 0.75% と比較的低く、成功報酬は20%だ。 約40 の戦略を使っており、主要戦略の一つとして北欧の住宅ローン担保証券(MBS)をロングする。MBS というと米国の金融危機が思い出されるが、北欧では格付けの高い金融商品で、200 年以上の間デフォルト は出ていない。ペトリ氏のファンドは、中でも満期3~5 年のスウェーデンとデンマークの MBS をロングし て安定的な利益を得ている。 今年に入ってからの市場の混乱に伴い、5 年物デンマーク MBS の利回りと 5 年物欧州銀行間取引金利 (EURIBOR)を反映した 5 年物スワップ金利の差が拡大。MBS のロングとスワップのショートにより、 ペトリ氏は金利リスクをヘッジし、金利スプレッド縮小の方向に賭けた。加えて、欧州の短期金利がマイナ スになっている状況を利用し、借り入れでポジションを築くことで小幅ながら利益を確保。このアービトラ ージ戦略は、ファンドのパフォーマンスを年初来で2%ポイント押し上げている。 ■ 長期的視点でスプレッドを注視 複雑な戦略を駆使しているものの、ファンドの目標と手法は極めて単純だ。独自のソフトウエアを利用し、ペトリ氏と3 人のマネジャーは債券商品の数百万のペアの中から過去のトレンドに照らして金利スプレッド が極限に達しているものをあぶり出している。短期的な歪みでなく長期的なスプレッドの遷移に着目する以 外に、同氏はリスクを制限する方法として、同氏はスプレッドが完全に正常化するのを待つのではなく、予 想した方向に動き始めた時点で利益確定に動く。 例えば昨年、5 年物スウェーデンスワップ金利の 5 年先物とユーロの同等商品のスプレッドが 0.50%から 0.75%に急上昇して過去最高を更新すると、ペトリ氏のファンドはスウェーデンスワップをロングしてユー ロスワップをショート。スプレッドが1.00%まで急速に広がると、ポジションを積み増した。このスプレッ ドが屈折点となり、2016 年 5 月に 0.75%まで低下すると、ペトリ氏は売りを開始。11 月時点で 0.65%に下 がるまで、ファンドは利益確定を続けている。さらなるスプレッド縮小を予想し、まだ当初のポジションの 25%を保有しているが、これまでの売却分だけで 2016 年の利益を 0.5%ポイント押し上げている。 「市場は投資家が耐えられる以上に長く非合理的な状態を保つ場合もある」と割り切り、ロスカットもため らわないペトリ氏は、30~50 倍のレバレッジをかけていることもあり、リスクには敏感だ。だが、大半のト レードではペアの両方に同等のレバレッジをかけており、単一金利の動きがもたらすリターンでなく、スプ レッドの変化に着目している。つまり、従来型の債券投資家とは違い、金利が大方の予想通り上昇し始めて も利益を上げられるというわけだ。 ■ トランプ氏への不安と期待 ECB が追加金融緩和を示唆し始めた 2014 年の第 3 四半期、20 年物ユーロスワップ金利がペトリ氏の設定 した底である2%を割り込むと、同氏のファンドはこれをショート。ところが、ECB が予想以上に金融緩和 を進め、量的緩和を実施するとともにマイナス金利を導入したため、この金利はさらに低下した。そこでフ ァンドはショートポジションの半分を解消し、0.5%ポイントの損失を出した。それでも、この先物金利が「嘘 のよう低い」と考えるペトリ氏は、ちょっとした経済成長のニュースが出ただけで金利は急上昇すると考え、 ポジションの一部を保っている。 来年については、「トランプ氏の当選があらゆる種類の不確実性をもたらす」とする一方、ペトリ氏は投資機 会に期待している。トランプ次期大統領がインフラ投資や雇用創出を公約に掲げたことから、政府支出と個 人消費は増加し、金利は上昇する公算が大きい。「これが欧州の成長改善と金利正常化に波及効果をもたら す」と同氏は指摘する。 その一方で、ペトリ氏はナショナリズムの復活と保護主義的な貿易政策に警戒を示す。また、トランプ氏が 米国の銀行規制の一部を撤廃する可能性はあるが、欧州の銀行は引き続きマーケットメーク役を降り、ポー トフォリオからの債権売却を進めていくとペトリ氏は考える。プレーヤーが減れば流動性は下がり、ボラテ ィリティは上がる。 これは多くの投資家 にとって望ましくな い状況だが、不合理 な値付けから利益を 得る身のこなしの速 い投資家なら、投資 機会を見つけられる はずだ。 By ERIC UHLFELDER (Source: Dow Jones)
3. Bullish on the Trump Market トランプ相場に強気
【インタビュー】
パイプライン、米ドル、防衛関連銘柄に強気
■ トランプ候補の勝利を早い段階で予想したジェドロー氏に聞く 機関投資家に調査・情報サービスを 提供するTISグループの創立者であ り、同社のニュースレター、インス ティテューショナル・ストラテジス トの編集者でもあるラリー・ジェド ロー氏に聞いた。 本誌:トランプ候補の勝利を予想し た数少ない人のうちの一人だったが。 ジェドロー氏:2014 年のスコットラ ンドでの住民投票も、今年6 月の英 国の欧州連合(EU)離脱(Brexit) の是非を問う国民投票も、テーマは 同じで、経済的安定、雇用、移民問 題だ。米国でも同じ問題を抱えてい るが、世論調査にうまく反映されず、 われわれの業界の人間の考えだけを考慮していると見誤ってしまう。内陸部の普通の人たちと話すと、トラ ンプ支持者が多かった。ミネソタ州のような通常はリベラルな土地柄でも、トランプ候補が来ると聞いて、 空港に2 万人もの人が集まったりしていた。 Q:株式市場の急騰と、財政赤字との相性はどうなのか? A:今は、長い経験の中でも最高の投資機会の一つだ。財政赤字は膨らむかもしれないが、それでも政府は お金を使い続けるだろう。また、新政権発足と同時に規制緩和も進み、減税も実行され、経済成長が加速し、 債券利回りも上昇するだろう。 ■ S&P500 指数は 3 年後に 3000 の可能性も Q:株式市場はどうか? A:今や、S&P500 指数、ラッセル 2000 指数、バリューライン総合指数も全て強気相場だ。来年 S&P500 指数は 2400 になると予想する。3 年後に 3000 になるかもしれない。ラッセル 2000 やバリューラインは S&P500 をアウトパフォームするだろう。投資家の新たな参入も株価を押し上げる。選挙以降で、世界の債 券ファンドから180 億ドルもの資金が流出し、米国株式には 280 億ドルが流入し、S&P500 は 2.3%上昇し た。米国債の市場規模は 18 兆ドルあるのだから、計算してみると良い。ドル高に投資するには、パワーシ ェアーズ・DB・米ドル指数・ブリッシュ・ファンド(UUP)が簡単な方法だ。アップル(AAPL)やジョ ンソン・エンド・ジョンソン(J&J、ティッカーは JNJ)などの保有は別として、外国人投資家はこの 4 年 間米国株式を売り越してきたが、今や米国株を買うべき強い理由がある。ドル高は一部輸出産業には痛手だ が、流入する資金量が圧倒的なため、当面マイナス面を吹き飛ばすだろう。 Q:資金の流入先はインデックスファンドか? A:アクティブ運用のファンドに流れるだろう。手数料が少々高くとも、優良なアクティブファンドを持つ 方が得だ。セクター別のパフォーマンスの差が大きいからだ。当社は経済成長との相関が最も強いセクター を選好する。例えば、証券会社、保険会社、銀行、消費者金融などはイールドカーブのスティープ化の恩恵 を受ける。S&P500 の中でのウエートが高い製薬会社、たばこ、飲料、バイオテクノロジー系は保有しない。 行き過ぎと言えば、年金基金はヘッジファンドを過度に避けてきたが、今は特にマクロのヘッジファンドを 買うべきだ。■ 規制緩和で市場参加者が増える Q:どのような規制緩和を予想するか? A:新政権発足後早い時期に、棚上げされていたキーストーン・パイプラインや、ダコタ・アクセス・パイ プラインが開通するだろう。そうなれば、石油・ガス輸送のエンブリッジ(ENB)やエナジー・トランスフ ァー・パートナーズ(ETP)を後押しする。また、ドッド・フランク法やボルカールールによる規制が緩和 されると予想する。自己勘定取引が復活するだろう。以前の自己勘定のトレーダーたちは、高いレバレッジ をかけ、銀行のバランスシートも利用でき、コモディティー取引も行った。銀行が買い手として復活してく るだろうから、今度原油相場が下落したら当社は大量に原油を買いたい。 Q:政党が入れ替わると株価には良くないとの話だったが、今回はなぜそうならないのか? A:まず、次期政権が経済成長推進派だからだ。次に、今や連邦準備制度理事会(FRB)はいつでも利上げ できる。世界中で量的緩和(QE)が行われているため、資産の評価が困難だった。FRB が金利を正常な水 準に戻せば、投資家はもっと確信が持てる。欧州では特に債券の価格がゆがんでいる。100 年後に振り返っ てみると、年金基金がなぜマイナス金利の債券を買ったのか不思議に思うことだろう。 ■ 景気後退は先送りされ、外交関係に変化が生じる可能性 Q:次の大統領は、3 年以内に景気後退と弱気市場に苦しむという話だったが、今もそう思うか? A:シリアの戦争は来年1月には終結するだろう。ロシアとの関係も劇的に変化する。多くの大統領は、就 任1 年目に不況が到来し、それを前任者のせいにしたいと考える。今回は、財政支出で乗り切り、ツケを後 で味わうことになるだろう。景気後退やそれに伴う金融の混乱は2019 年か 2020 年に先延ばしされた。 Q:他の地域での地政学的な予想は? A:当社内で、ロシアや中国との関係が改善すると考える者もいる。7 月に中国に行ったとき、多くの人が トランプ氏に親近感を持っており、自分たちは資本主義者だと言っていた。日本人とは違い、貿易紛争の心 配などしない。オバマ政権は環太平洋経済連携協定(TPP)で中国を隔離しようとしてきたが、今度は米国 と日本がアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加するかもしれない。あるいは、米国の利益を重視して個別 に貿易協定を結ぶ、と考える者もいる。米国は世界の警察の役割を捨てるだろう。 ■ 防衛産業に強気 Q:それは防衛産業にどういう意味があるのか? A:政権の最初の 4 年間は防衛支出が増えるだろう。海軍や空軍での設備更新サイクルが始まる。陸上戦向 けではなく、潜水艦や戦闘機などを増やすだろう。大型株を広く保有する、i シェアーズ米国航空&防衛(ITA) を選好する。また、海軍増強計画があるため、受注が伸びるゼネラル・ダイナミクス(GD)を特に好む。 米国政府の大掛かりな再編も予想する。私なら、フィラデルフィアやシカゴ、デトロイトなどに免税特区を 作り、コミュニティを再建するだろう。これらの地域の不動産投資信託(REIT)や不動産デベロッパーも 興味深い。 Q:欧州はどうか? A:イタリアの国民投票は、結局は官僚対一般国民という戦いで、 結局官僚が負けるだろう。首相は退陣を余儀なくされ、次にEU から離脱すべきかを問う国民投票があるかもしれない。そうなる とEU も変革を迫られる。例えば、準加盟国のような待遇を設け て、英国はパスポートの恩恵だけを、イタリアは非関税の貿易の 特典だけを受けるため、料金を払うこともできるだろう。ところ で、イタリアの国債の利回りは低過ぎる。世界中で最も価格がゆ がんでいる例の一つだと思う。
Q:選好する資産クラスは? A:米ドルおよび時価総額を問わず米国株式。10 年物米国債はショートし、プロシェアーズ・ショート・20・ プラス・イヤー・トレジャリーETF(TBF)をロングする。対ドルでユーロはショートする。欧州は、今は 投資に適さない。日本株を少し保有するが、ヘッジしている。日本銀行は長期金利を制御できなくなるだろ う。円は対ドルで下落すると確信している。人民元は3~5%下落するだろう。新興国市場の株式は、ドル高 と新興国債券の急落の悪影響を受けるだろう。
PowerShares DB US Dollar Index
Bullish Fund (UUP) Apple Inc. (AAPL) Johnson & Johnson (JNJ)
Enbridge Inc. (ENB) Energy Transfer Partners L.P. (ETP) iShares U.S. Aerospace & Defense ETF (ITA)
General Dynamics Corp. (GD) ProShares Short 20+ Year Treasury (TBF)
チャートは3 年
By LESLIE P. NORTON (Source: Dow Jones)
4. The Trader 資金流入が続いて連日の史上最高値更新
【米国株式市場】
減税効果の大きな小型株優位の相場が続く
■ 投資家が買い急いでいるとの見方 先週の株式市場は感謝祭休日をはさんで営業日が少なかったが、大統領選挙後の上昇基調が続いた。ダウ工 業株30 種平均(NY ダウ)と S&P500 指数は毎日上昇して週間ベースでは 3 週連続の上昇となり、史上最 高値を更新した。NY ダウは 1.5%高の 1 万 9152 ドル 14 セント、S&P500 指数は 1.4%高の 2213.35 で引 けた。ナスダック総合指数は1.5%上昇して 5398.92 となり、こちらも史上最高値で引けた。小型株のラッ セル2000 指数は 15 営業日連続の上昇となり、2.4%高の 1347.20 と史上最高値を更新して週末を迎えた。 過去3 週間では合計で 15.8%上昇した。 ワデル・アンド・アソシエーツのチーフ・インベストメント・ストラテジストであるデービッド・ワデル氏 は、市場は来年の国内総生産(GDP)成長率が加速することがほぼ確実だと織り込んでいる、と述べる。現 在のGDP 成長率が 2.8%なら、「市場は織り込んでいるのはすぐに成長率が 4.5%に加速することであり、これが市場に楽観論が広がっている理由だ」と同氏は付け 加えるとともに、「これまでに積み上がっていたキャッシ ュが市場に流れ込んでいる。投資家は選挙を恐れて様子見 だったが、今は急いで市場に戻っており、押し目では必ず 買いが入るので下落しない」と指摘する。 しかし、市場で楽観論が広がっているときこそリスクが高 まっているのではないか。ワデル氏は、アニマル・スピリ ットの水準とその増幅効果を過小評価するべきではないと 考えている。アニマル・スピリットは一度解き放たれると、 経済に大きな刺激を与えることになるからだ。 ラッセル 2000 指数がこれだけ上昇した後でも、ワデル氏 は、小型株に対する強気姿勢を続けている。小型株は高成 長と低税率の期間に好調なパフォーマンスとなる傾向があ り、1980 年代前半に大型株に対して大幅なアウトパフォー ムになったことが一例だ。小型株に対する減税の恩恵が大 きくなるのは、大企業のようにうまく節税できていなかっ たためだ。 この点に関してグレンミードで投資ストラテジーの責任者 を務めるジェーソン・プライド氏は、法人税率が6~7%ポ イント引き下げられると、小型株の1 株当たり利益(EPS) は10%増加すると指摘する。そしてトランプ氏が掲げる減 税案は、それよりも大幅な35%から 15%への引き下げで あるため「小型株の上昇は十分に正当化される」と述べる。 ■ 慎重な見方とセクター動向 一方で慎重な見方もある。コーナーストーン・フィナンシャル・パート ナーズの共同創設者であるジェフ・カーボーン氏は、この時点での資金 流入を見て警戒を始めた。同氏は「投資家が市場に対して置いて行かれ ることを気にしている点が気になる」と述べ、アニマル・スピリットが 投資家を誤らせることもあると指摘する。 カーボーン氏の元に来る顧客からの問い合わせの中には、NY ダウが過 去3 週間に 7.1%も上昇したのに自分のポートフォリオがそれほど上昇 していない点を心配する声が多い。しかし、NY ダウの場合は、金融セ クターの動きにゆがめられやすく、ゴールドマン・サックス・グループ (GS)の値上がりが非常に影響している。NY ダウのことはニュースで 報じられても、すべての銘柄が今回のラリーの恩恵を受けているわけではない、と同氏は指摘する。 カーボーン氏はセクターに関して、金利上昇と規制緩和の恩恵が期待されて上昇した金融株には割高感が出 始めていると考えている。それよりも、米国市場の上昇を前提とすれば、中央銀行による緩和策の継続とド ル高の恩恵を受ける欧州や日本の株式市場に注目している。 セクター別のその他の動きでは、規制の変更やオバマケアの見直しが期待されるヘルスケア、インフラ投資 の恩恵が期待される資本財・サービスが買われてきた。ハイテク株は選挙直後に調整していたが、先週は買 い戻された。大きく売られていた公益株にも買いが入り、上場投資信託(ETF)のユーティリティ・セレク
ト・セクターSPDR(XLU)は先週 1.9%の値上がりとなった。 一方、選挙前に不透明感が広がれば投資家がヘッジのため に買いに回ると見られていた貴金属価格は下落基調が続い た。金の先物価格は先週 2.5%下落して 1 オンス当たり 1178 ドル 20 セントとなった。 今週は金曜日に11 月の雇用統計が発表され、12 月相場を 方向付ける可能性がある。連邦準備制度理事会(FRB)の 今後の利上げスピードに対する見方に影響するからだ。 ■ 散々な空売り投資家 今回の選挙後の上昇相場で最も驚いているのは空売り投資 家だろう。マークイットのアナリストであるサイモン・コ ルビン氏によると、ラッセル3000 指数に採用されている銘柄の中で空売り比率が高い上位 10%の銘柄の選 挙後5 日間の上昇率は 12%で、市場全体を大きく上回ったという。次に空売り比率が高かった 10%の銘柄 の平均上昇率も10.6%と大きかった。 選挙前にバイオ株のような一部のセクターで空売り残が積み上がっていたのは、おそらくクリントン政権に なればコスト増加要因が生じるか、薬価の規制が厳しくなるとの予想によるものだろう。コルビン氏は、空 売り比率の高い上位10%の銘柄の 4 分の 1 を占めていたという。しかし、クリントン氏が敗北してバイオ株 に強気の投資家の勢いが増し、ETF の i シェアーズ・ナスダック・バイオテクノロジー(IBB)は選挙後に 9%上昇した。最も空売りが多かったバイオ株は、選挙後の 5 日間で 22%高となった。 加えて、空売り投資家は少なくとも現時点で今の上昇トレンドに逆らおうとしていないようだ。選挙後の 1 週間において、最も空売りが多かった銘柄の借株需要は 1.5%減っており、空売り投資家が損失を取り戻そ うと空売りの量を 2 倍にするような動きはなかったようだ。「今のトランプ相場に空売りを仕掛けようとす る動きがほとんどないことを物語っている」とコルビン氏は言う。 ■ 主要指標 Friday's
Close Change Week's Week's % Chg. Week Last Earlier Week DJ Industrials 19152.14 + 284.21 + 1.51 NYSE Advances 2,454 1,982 DJ Transportation 9044.21 + 187.74 + 2.12 Declines 662 1,149
DJ Utilities 639.95 + 12.67 + 2.02 Unchanged 38 30
DJ 65 Stocks 6751.33 + 117.15 + 1.77 New Highs 451 450
DJ US Market 554.69 + 8.32 + 1.52 New Lows 69 355
NYSE Comp. 10878.09 + 168.58 + 1.57 Av Daily Vol (mil) 3,118.4 4,188.8 NYSE MKT Comp. 2239.56 + 44.88 + 2.04 Dollar (Finex spot index) 101.50 101.21 S&P 500 2213.35 + 31.45 + 1.44 T-Bond (CBT nearby futures) 152-260 153-050 S&P MidCap 1640.81 + 34.88 + 2.17 Crude Oil (NYM light sweet crude) 46.06 45.69 S&P SmallCap 825.28 + 22.28 + 2.77 Inflation KR-CRB (Futures Price Index) 185.73 183.14 Nasdaq 5398.92 + 77.41 + 1.45 Gold (CMX nearby futures) 1178.20 1208.50 Value Line (arith.) 5230.65 + 110.11 + 2.15
Russell 2000 1347.20 + 31.56 + 2.40 DJ US TSM Float 23048.15 + 356.99 + 1.57
Goldman Sachs Group Inc. (GS) Utilities Select Sector SPDR ETF
(XLU) iShares Nasdaq Biotechnology ETF (IBB)
チャートは3 年
By AVI SALZMAN (Source: Dow Jones)
5. Up and Down Wall Street 米 4 大主要株価指数が揃って高値更新
【コラム】
トランプ氏の税制改革、海外滞留資金 2000 億ドルの本国還流を促すか
■ ウォール街が次期大統領に示した期待感 米国を再び偉大にする人物を褒め 称えるのに、どうして来年の1 月 20 日の大統領就任式まで待たな ければならないのか。ドナルド・ J・トランプ次期大統領のような やり手のためなら、われわれはも っと盛大に祝えるはずだ。 万歳三唱では全く足りないとばか りに、米株式市場は先週の同じ日 に、4 大主要株価指数の全て―― S&P500 指数、ダウ工業株 30 種 平均(NY ダウ)、ナスダック総合 指数、ラッセル2000 指数――を 過去最高値に押し上げた。これは 決して簡単なことではない。前回 同じ事が起きたのは、われわれが中年太りになる前、ナップスターで音楽ファイルを共有していた1999 年 12 月 31 日のことだった。しかも米株式市場はダメ押しと言わんばかりに翌日にもその快挙を繰り返した。 2 営業日連続で 4 大主要株価指数の全てが過去最高値を更新したのは 1998 年以来である。買い手の殺到は 感謝祭の休日を挟んで11 月 25 日も続き、主要株価指数はまたしても最高値を更新した。 われわれはトランプ氏が米国を再び偉大にすることを望んでいたが、それがこれほど早く起きるとは誰も思 っていなかった。NY ダウは 1 万 9000 ドルの大台を突破した。30 年物米国債の利回りは 3%を上回った。 ナスダック総合指数は2016 年に入って 12 度目(2000 年以来で最多)の終値での過去最高値更新を記録し た。投資調査会社ビスポーク・インベストメント・グループによると、次期大統領への期待度が表れる大統 領選挙後2 週間の株価上昇率で、トランプ氏の 2.7%はドナルド・レーガン氏の 8.3%、リチャード・ニクソ ン氏の2.9%に次ぐ 1932 年以降で 3 番目の高さだったという。 これにより世界の株式市場の時価総額に占める米国市場の時価総額の割合は 37.8%以上に急拡大し、この 10 年以上での最高水準となった。パーティーに行き慣れている人たちはラストオーダーの声がかかる前に切り上げることの賢明さをよく理解 している。われわれの誰もが今回の株価上昇を大いに楽しんでいるが、4 大主要指数の高値更新は 7 年に及 んでいる強気相場が新たな上昇材料を見いだしたという証拠なのか、それともパーティーがピークに達した 兆候なのか。また、今年の上昇分のどれほどが 2017 年の先取り分なのか。おそらくは多くの投資家が考え ている以上だろう。 まず手始めに相関係数――株式が区別されていない一つの固まりとして動く傾向――を見てみると、それは 大統領選挙後から急激に低下しており、これは個別銘柄の選択がうまい人にとって有利な傾向である。とは いえ、大統領選挙翌日の11 月 9 日には調整するのではなく上昇して専門家たちを驚かせたばかりというこ ともあり、パフォーマンスへの不安や群集心理はなかなか消えるものではない。JP モルガンによると、ミュ ーチュアルファンドの運用マネジャーの53%がベンチマークのパフォーマンスを上回っているなど、アクテ ィブ運用のマネジャーはこのところ好調だが、インデックスファンドと比較して不調だった上期を含む年初 来のデータでは、その割合が33%に縮小するという。そうしたなか、上昇局面を見逃すことへの不安感も相 変わらず強い。 ■ 多国籍企業から小型株への乗り換え トランプ氏は、八面六臂の活動によほど自信があるのか、米国を治め、ツイートを発信しながら、自分の事 業を監督することも検討しているというが、米国の雇用を増やし、減税を実施し、デフレと戦い、規制を緩 和し、壁を建設し、道路、橋、トンネル、空港などの改修工事を行うと予想されている。デービッド・コス ティン氏が率いるゴールドマン・サックスのストラテジストのチームは、トランプ氏の税制改革に促された 米国企業が来年、海外滞留利益2000 億ドルを米国に還流させるだろうと見込んでいる。 S&P500 指数構成企業の純有利子負債/利払い・税引き・償却前利益(EBITDA)比率は 1.6 倍近くという 高水準になっているので、そうした還流利益の一部はこっそりと債務削減に回されるかもしれない。また企 業は生産能力の75%しか活用しておらず、長期平均の 80%を依然として下回っている。しかし、非金融企 業には1.6 兆ドルの手元資金(総資産の約 12%に相当し、長期平均の 7%を上回っている)がある。ゴール ドマン・サックスは米国企業が2017 年に 2.6 兆ドルの手元資金を支出し、そのうちの 52%は設備投資、研 究開発、買収合併などに費やされ、48%が自社株買いや配当に回るとみている。 第3 四半期の企業収益が 3%も増加し、2015 年初め以来の前年同期比増益となったのは明るい材料だが、そ れでもゴールドマン・サックスの予想はかなり強気に思える。 投資家は、海外滞留利益を還流するときにドル高の打撃を受ける多国籍企業の株式から、米国内のインフラ 投資の恩恵を受けるかもしれない小型株に素早く乗り換えてきた。ビスポークによると、11 月 8 日の大統領 選挙以来、S&P500 指数の時価総額上位 50 銘柄はわずか 1.9%しか上昇していないが、下位 50 銘柄は 8.8% の急騰を示したという。海外での売上高上位50 銘柄の上昇率は 1.6%だったが、海外での売上高下位 50 銘 柄は4.3%だった。それでもアナリストたちはまだ、ドル高や 10 年物米国債の利回りがこの 5 カ月以内で 1.36%から 2.36%に拡大したことなどを織り込んだ調整を予想に加えていない。 そうしたウォール街の見解に対して実体経済がいかに早期に同調するかという問題もある。トランプ氏は有 権者の 27%以上の票を獲得した一方で、クリントン氏は 28%以上の票を獲得し、投票しなかった有権者も 40%以上いた。選挙結果をどう捉えるかは別として、トランプ氏は大規模な財政支出に乗り出す前に国民の かなりの割合を説得する必要があるかもしれない。 By KOPIN TAN (Source: Dow Jones)
6. The Trump Rally Has Legs トランプ相場の持続性
【株式市場展望】
強気が強気を生む 減税・経済成長への期待 小売業者に恩恵
■ レーガン時代との類似性 共和党候補のドナルド・トランプ氏が予想外の勝 利を収めて以来、株式市場は3%超上昇している。 「米国を再び偉大な国に」というスローガンに至 るまで、遡ること1980 年の、ロナルド・レーガ ン氏による企業寄りのスタンスでの予期せぬ勝利 と比較する強気派も多い。 しかし、経済状況に関しては大きな違いがある。 1980 年のインフレ率は 14%で、低下に向かって いた。当時のドル相場は、それまでの 30 年で最 も低い水準にあった。現在のインフレ率は 1.6% で上昇に向かっており、一方でドルは10 年来の高値にある。1982 年には米国の失業率が 10%を超え(現在 の水準の倍)、米国の長期債利回りは11%を上回る水準(今の 5 倍に近い)だった。国内総生産(GDP)に 対する政府債務の割合は、当時約30%だったのに対し、現在はほぼ 100%だ。また、当時の S&P500 指数 は、株価収益率(PER)が 9 倍(現在の半分)という水準にあった。 それでも、相場の短期的なパフォーマンスに影響を与え得る一つの重要な類似点がある。キャンター・フィ ッツジェラルドのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ピーター・セッチーニ氏は、「当時と今のセンチメ ントは驚くほど似ている」と述べる。同氏によると、多くの場合、相場は主にセンチメントによって決まる という。 このような類推で、今後の相場の動きを十分に説明できるだろうか。目先は相場が上昇する可能性が高い。 検討されている共和党のさまざまな減税案は、成立した場合、特に資本規模の小さな企業を中心に利益を大 きく押し上げることになるだろう。株価の上昇が物語る楽観論が表しているのは、米国企業が減税による恩 恵の一部を、自社株の買い戻しだけに充てるのではなく、経済や利益が再び成長するよう設備や労働力に再 投資することへの市場の期待だ。 ■ 法人税率と企業の移転 大統領選の前は、M&A(合併・買収)に関する注目の話題は「インバージョン(買収などによる、米国か らの税率の低い国・地域への本社移転)」だった。35%という米国の法人税率は世界の多くの国よりはるか に高く、オバマ政権は課税回避の動きを止めようとしてきた。例えば、製薬大手のファイザー(PFE)とア イルランドの製薬大手のアラガン(AGN)との合併交渉は、米財務省による規制の強化で破談となった。 トランプ次期大統領の下では、課税回避の問題は、あまり議論の的にならない可能性がある。オバマ政権が へたな方法で行ったことは、これから優遇税制によって達成されるかもしれない。 カギとなるのは、来年予定される税制改革だ。共和党の大統領が共和党過半数の議会と共に取り組むことに なる。FBN セキュリティーズのイベントドリブン・ストラテジスト、キース・ムーア氏が指摘するように、 法人税率の引き下げが課税回避の価値を失わせる可能性がある。 また、トランプ氏の考えは保守的な競争政策と一致しており、M&A に伴い反トラスト法に関わる問題が生 じた場合、次期トランプ政権は、企業の行動を長期的に規制するのではなく、重複する資産の分離を求める 圧力を強めるとの見方もある。今後起こり得る重要な変化の一つとしてムーア氏が指摘するのは、米国のテクノロジー・防衛関連企業の買 収に関心を持つ外国企業、とりわけ中国企業が、オバマ大統領時代よりもさらに厳しく監視されるというこ とだ。 ■ 消費者のセンチメントの変化 そのようなセンチメントの状況は、市場調査会社のシビックサイエンスが消費者を対象に行った最近の調査 からも見てとれる。シビックサイエンスでは、10 月 1 日から 11 月 8 日にかけて、支持する候補者を示した 約4700 人を対象に、今年のクリスマスシーズンに支出する金額についてアンケート調査を行った。投票日 前の調査では、クリントン氏の支持者のうちの18%が昨年よりも増やす予定だと答え、29%は昨年よりも減 らす予定だと答えた。クリントン氏の敗北が決まった後に当初の回答者の半数に同じ質問をしたところ、「増 やす」は16%、「減らす」は 34%となった。 一方、トランプ氏の支持者をみると、投票日前は「増やす」が13%にとどまり、「減らす」が 33%だったが、 選挙後には、「増やす」が18%、「減らす」が 27%に変化した。選挙結果が消費者の態度に影響を及ぼした ように見えるが、このような変化が支出の総額にどう影響するかは分からない。 選挙後の株価上昇の恩恵を最も受けているセクターの一つが小売りだ。百貨店銘柄の株価は19%、総合小売 店銘柄は17%上昇している。全米小売業協会(NRF)によると、今年の年末商戦の売上高は 3.6%増と予想 され、3.2%増だった昨年を上回る見通しだという。
Pfizer Inc. (PFE) Allergan PLC (AGN)
チャートは3 年
By VITO J. RACANELLI (Source: Dow Jones)
7. 4 Deal-Bait Stocks for Big Tech Names to Snap Up 老舗 IT 企業の処方箋 【ハイテク】
HP エンタープライズやシスコシステムズが新興 IT 企業を買収すべき理由とその候補
■ 買収標的の第一候補はストレージ分野の新興企業 小型株は11 月 3 日以降に 16%上昇した。潤沢な現金を抱え る大型有配銘柄が売られる中、より高い成長見通しを持つ比 較的規模の小さい企業が物色されたためだ。こうした高成長 企業に関心を持っているのは投資家だけではない。技術革新 に乗り遅れつつある大手 IT 企業の間でも再び関心が高まっ ている。 では、買収の標的となりそうな企業はどれか。第一のグルー プはこの2 年間で上場された新興の機器メーカーで、具体的 にはピュア・ストレージ(PSTG)、ニンブル・ストレージ(NMBL)、ニュータニックス(NTNX)の 3 社 だ。いずれも、データ・ストレージ市場で最も成長している製品分野、すなわちハードディスク装置の代わ りにフラッシュメモリーを使用したストレージの分野で事業を展開している。ニュータニックスの場合、ネ ットワーク機器やサーバーも手掛けており、これらとストレージを結び付けることで、データセンターの構 築に必要な部品をすべて販売できる。■ HP エンタープライズとシスコが新興企業を買収すべき理由は二つある 潜在的な買い手は、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE、ティッカーは HPE)とシスコ システムズ(CSCO)などだ。買収する理由は二つある。一つは、HPE とシスコがなかなか成長できないで いることだ。一般的には、M&A(合併・買収)がもたらすリスクとハイテク分野での企業買収の歴史が波 乱に満ちたものであることを考えると、他の企業を買収するより革新的な技術を開発する方がはるかにまし だ。だが、これらの企業のこれまでの内部努力は十分ではなかった。実績のある上場企業を追い求める方が 良いと思われる。 二つ目の理由は、これらの大手企業と新興企業は同じ苦境に立たされているからだ。クラウド・コンピュー ティングがIT 業界を席巻しつつあり、クラウド大手のアマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト (MSFT)、アルファベット(GOOGL)が IT 設備の独占的な買い手となる一方で、他の大手企業は IT 設備 の購入額を減らしている。これは、HPE やシスコの伝統的な収益源を枯渇させているだけでなく、一握り の大手企業にのみ製品を売り込まなければならない新興企業の価格決定力を危険にさらしている。 HPE が先週発表した 8-10 月期の売上高は前年同期比 7%減だった。同社は法人サービス部門とソフトウエ ア部門のスピンオフ計画を発表済みで、モルガン・スタンレーは、スピンオフ対象外の部門の2017 年 10 月 期売上高を 1.8%減と予想している。だが、この予想さえ楽観的過ぎるかもしれない。ストレージ、サーバ ー、ネットワーク機器という三つの主力製品を含む中核事業の売上高は2 四半期連続で減少している。しか も、以前は好調だったネットワーク機器の売上高が前四半期は34%減となった。 シスコも問題を抱えている。ネットワーク・スイッチとルーターという、合わせて総売上高の47%を占める 主力製品の成長が止まっているからだ。前四半期は、年間売上高が150 億ドルのネットワーク・スイッチが 前年同期比7%の減収となった。ルーターの売上高は同 6%増だったが、2 年前の水準からは減少している。 HPE とシスコの場合、これまでの企業買収や研究開発が正真正銘の最先端と言えるハイテク製品に結実し ていない。こうした内部努力に期待するよりも、成長を確立した新興企業の1 社を買収してはどうだろうか。 2017 年度の予想売上高は、ニンブルが 5 億ドルで、ピュアとニュータニックスはそれぞれ 10 億ドル以上だ。 いずれも増益率は2 桁台である。 ■ 他の魅力的な標的は? 他にも、時価総額が 80 億ドル以下で勢いがあり、魅力的と思われる企業は幾つかある。例えば、企業によ る大量データの収集・検索・分析を支援するスプランク(SPLK)。年間売上高は 10 億ドルに近づいており、 増収率はほぼ40%だ。IBM(IBM)やセールスフォース・ドットコム(CRM)による買収提案が簡単にイ メージできる。また、時価総額 63 億ドルのビーバ・システムズ(VEEV)は世界の生命科学企業に焦点を 当てたクラウド・コンピューティング企業で、ドキュメント管理やビジネス・プロセスをサポートしている。 年間売上高はほぼ5 億ドルで、増収率は 30%を超え、 収益性は堅調だ。しかも売上高は6 四半期連続で予 想を大幅に上回っている。セールスフォースやオラ クル(ORCL)、あるいは SAP(SAP)が同社を魅 力的と判断する可能性がある。 堅実な製品を持つ魅力的な新興企業としては、IT 企 業のヘルプデスク業務支援ツールを販売するアトラ シアン(TEAM)がある。だが、より興味深いのは、 IT 企業のヘルプデスクをクラウド・コンピューティ ングに移行させるサービスナウ(NOW)だ。 ここ数年で上場した新興企業の中には、売上高が 1
億~3 億ドルと自らの能力をまだ証明するに至っていないものの、いつか注目に値するようになる可能性を 秘めた企業もある。例えば、企業向けのコラボレーション・ツールを開発するボックス(BOX)、セキュリ ティー製品を開発するラピッド7(RPD)、ウーバーなどの配車アプリを開発するトゥイリオ(TWLO)、金 融アプリを開発するブラックライン(BL)、モノのインターネット(IoT)向けのセンサーとソフトウエアを 開発するインピンジ(PI)などだ。 最後に付け加えると、大手 IT 企業がこうした新興企業を買収しても、成長という目的にはあまり寄与しな いかもしれない。こうした企業の買収は、買い手の基本的なイノベーションの欠如を補完するだけだ。健全 な研究開発こそがより良い道である。
Pure Storage Inc. Cl A (PSTG) Nimble Storage Inc. (NMBL) Nutanix Inc. Cl A (NTNX)
Hewlett Packard Enterprise Co. (HPE)
Cisco Systems Inc. (CSCO) Amazon.com Inc. (AMZN)
Microsoft Corp. (MSFT) Alphabet Inc. Cl A (GOOGL) Splunk Inc. (SPLK)
International Business Machines Corp. (IBM)
Oracle Corp. (ORCL) SAP SE ADR (SAP) Atlassian Corp. PLC Cl A (TEAM)
ServiceNow Inc. (NOW) Box Inc. Cl A (BOX) Rapid7 Inc. (RPD)
Twilio Inc. Cl A (TWLO) BlackLine Inc. (BL) Impinj Inc. (PI)
チャートは3 年、PSTG、HPE、RPD は 2 年、NTNX、TEAM、TWLO、BL、PI は 1 年
By TIERNAN RAY (Source: Dow Jones)
8. Trump Era: A Good Change for Hedge Funds 好転か
【ヘッジファンド】
トランプ政権の財政刺激策によってアクティブ運用のマネジャーの機会が拡大する可能性
■ 株価はヘッジファンド業界への期待を反映 トランプ政権下でヘッジファンドが健闘するとの見通しに基づく関 連企業のこれまでの株価上昇は、ヘッジファンドの成績にかなり期 待が持てることを示している。 例えば、ヘッジファンドに世界最大規模の投資を行っていると強調 するブラックストーン・グループ(BX)の株価の上昇率は大統領選 前日の11 月 7 日から 9.1%と、S&P500 指数の 3.4%を大きく上回 った。ブラックストーンは他にも多様な資産を運用しているが、株価がヘッジファンド業界に対する強気の 見方を反映していることは確かだ。 経済成長を後押しする政権は、ヘッジファンドの低迷するパフォーマンスを好転させる基盤を提供するだろ う。ニューヨークを拠点とするヘッジファンド運用会社、ペンデュラム・キャピタル・マネジメントのジョ ナソン・トラグマン氏は、「よく考えた投資への見返りが増えるだろう。債券や高配当株式を購入して目を閉 じているだけではすまなくなる」と述べる。 成功報酬の課税上の扱いの変更が、一部のヘッジファンドに影響を及ぼす可能性はある。現在の税制では、ヘッジファンドやプライベート・エクイティ・ファンドの長期投資利益はキャピタルゲインとされ、高額所 得者層の所属税率よりも低い税率が適用される。 しかし、このルールは多くのヘッジファンドには適用されない。税制の専門家であるロバート・ウィレンス 氏は、その理由として多くのファンドの納税区分がトレーダーであることと、長期的に相当規模のキャピタ ルゲインを得るファンドがごく一部にすぎないことを挙げる。一方でプライベート・エクイティ・ファンド は7~10年先を見込んで投資する傾向があり、ルール変更の影響をより強く受けるだろうと同氏は指摘する。 市場はこの税制優遇措置の廃止可能性を懸念していない。11 月 7 日以来、プライベート・エクイティ大手の アポロ・グローバル・マネジメント(APO)の株価は 10%、KKR(KKR)の株価は 11.4%上昇している。 成功報酬の扱いにも不確実性が残る。法律事務所スワード・アンド・キッセルのスティーブン・ナデル氏は、 「トランプ氏は成功報酬の措置廃止を支持すると述べているが、それ以外の税制計画が非常にビジネス寄り であることと矛盾しているように見える」と指摘する。 ■ アクティブ運用に有利な環境に さらに重要なのは、ヘッジファンドの投資パフォーマンスである。市場分析会社ストラテガス・リサーチ・ パートナーズのジェイソン・デセナ・トレンナート氏は「経済の循環性が高まって金融政策への依存が減れ ば、アクティブ運用には良い環境となる」と述べる。 トランプ氏が1 月に大統領に就任すると、議会の上院と下院双方における過半数支持を背景に多大な権力を 行使できる立場となる。ただトランプ氏といえども、ヘッジファンドの成績を左右する世界経済をコントロ ールすることはできない。 しかし、トラグマン氏は、量的緩和が終了して連邦準備制度理事会(FRB)による再度の利上げが 12 月に 行われる可能性が高い中、市場環境は正常化し、それには減税とインフラ投資を含む財政刺激策が寄与する と予想する。「ヘッジファンドの成績は向上するだろう。密かに指数に追随しているのでもない限り、あらゆ るアクティブ運用のマネジャーについて同じことが言える」と同氏は述べる。 しかし、ボラティリティの増した市場は万能薬ではない。ヘッジファンドを運用するシーブリーズ・パート ナーズ・マネジメントのダグ・カス氏は「ヘッジファンドに流入した資金の大半は最も大型のファンドに向 かっている。大型船舶が方向を変えづらいのと同様、ボラティリティが高まれば大型ファンドが投資環境の 動向に機敏に対応することはますます難しくなる」と指摘する。
Blackstone Group L.P. (BX) Apollo Global Management LLC Cl A
(APO) KKR & Co. L.P. (KKR)
チャートは3 年
By LAWRENCE C. STRAUSS (Source: Dow Jones)
9. Global Dividend Growth Takes a Few Steps Back 世界の配当トレンド
【配当投資】
第 3 四半期に世界の配当額は減少し、米国では配当の伸びが金融危機以降で最低に
■ 企業は来年の見通しを踏まえ、配当に慎重な姿勢を強めている 世界の配当成長率は、第3 四半期に大幅に鈍化した。ただし、米国では、特別配当は大きく減少したものの、 多くの企業がまずまずの配当実績を示した。 第3 四半期の世界の配当額は現地通貨ベースで、前年同期比 0.3%減少した。新興国は同 7.7%減で、3 四半 期連続での減少となり、英国も同2.9%減と低迷した。一方、日本は同 1.4%増、大陸欧州は平均で同 1.1% 増だった。 世界の配当額は、特別配当などを調整したドル換算ベースでは、同4%減の 2820 億ドル弱と、過去 5 四半 期で最低の実績だ。前年同期は同2.5%増だった。 以上の数字は、ヘンダーソン・グローバル・インベスターズの最新の「四半期配当調査」に基づく。同調査は世界の時価総額上位1200 社の配当の動向を追跡し、現地通貨ベースと、特別配当を含めたドル換算の調 整後ベースの二つの方法で結果を公表している。 同社のグローバル・エクイティ・インカム責任者であるアレックス・クルーク氏は、「配当成長の鈍化は、第 2 四半期に始まった。企業は来年の見通しにやや慎重な姿勢を強め、財布のひもを引き締めている」と指摘 する。 ■ 投資家は、期待リターンで米国企業の配当成長の鈍化を考慮する必要がある 米国の第3 四半期の配当実績はまずまずだったが、配当成長率は特別配当などを調整する前のベースで前年 同期比 3%増と、金融危機以降で最低に落ち込んでいる。配当成長の鈍化は昨年から続いており、調査では 「ドル高などによる利益成長の一段の低迷が要因となっているが、企業債務の増加も反映しており、企業は キャッシュフロー保持のために慎重な姿勢を強めている」と指摘する。 ただし、エネルギーなどのコモディティー企業が業績悪化に苦しむ中でも、多くの企業が増配を継続してい る。米国の総配当額上位は引き続き、エクソンモービル(XOM)、AT&T(T)、マイクロソフト(MSFT)、 アップル(AAPL)が占めたが、4 社の合計配当額は約 120 億ドルと、前年同期から約 10 億ドル増加してい る。エクソンモービルは原油価格安による圧力の中、4 月末に四半期配当の 75 セントへの 3%の増配を行っ ている。 調査は米国企業の配当成長の鈍化は大きな懸念材料ではないとし、「配当の伸びは、数年間の2 桁台の後で、 より持続的なペースに戻らざるを得なかった」と指摘している。過去数年間、企業は大量の手元資金を背景 に増配に非常に寛容な姿勢をとってきたが、投資家は今後の期待リターンにこの点を考慮する必要がある。 ヘンダーソンは、2016 年の世界の配当成長率予想を現地通貨ベースで、従来の平均 1.4%増から 1%増に引 き下げている。 第3 四半期の国別の実績を現地通貨ベースでみ ると、カナダは同 0.7%増で、金融企業による 増配がエネルギー・鉱業企業による減配を相殺 した。中国は同10.8%減で、調査では、配当額 の 80%を占める銀行で配当性向の引き下げが 減配につながった点が理由として指摘されてい る。ロシアとブラジルはほぼ横ばいだった。四 半期配当が一般的ではない欧州は、フランスの 同7.1%増、オランダの同 6.2%増など、一部の 国で好調だった。 最近の配当関連のニュースとしては、食肉加工 大手のホーメル・フーズ(HRL)、医療器具製 造大手のベクトン・ディッキンソン(BDX)、 製薬大手のメルク(MRK)、計測機器製造のロ ーパー・テクノロジーズ(ROP)が四半期配当 の増配を発表している。
Exxon Mobil Corp. (XOM) AT&T Inc. (T) Microsoft Corp. (MSFT)
Apple Inc. (AAPL) Hormel Foods Corp. (HRL) Becton Dickinson & Co. (BDX)
Merck & Co. Inc. (MRK) Roper Technologies Inc. (ROP)
チャートは3 年
By LAWRENCE C. STRAUSS (Source: Dow Jones)
10. Preview 今週の予定
【経済関連スケジュール】
ホリデーシーズンの小売売上高が過去最高に近づく
■ 2012 年以来で最高の 4.1%増に達するとの予想も 繰り延べ需要について語ろう。 小売りコンサルタントのカスタ マー・グロース・パートナーズ の会長兼最高経営責任者 (CEO)のクレイグ・ジョンソ ン氏は、選挙戦が終わったこと で、選挙にうんざりしていた買 い物客がお金を使い始めたとみ る。同氏のホリデーシーズンの 予想売上高は4.1%増で、コン センサス予想を上回る。4%超 の増加ならば、2012 年以来となる。 選挙後の売上高の急増について、同氏は「誰が勝つかは重要ではなかった。いまいましい選挙が終わりさえ すれば良かったのだ」と述べる。 同氏は11、12 月の買い物シーズンの小売売上高が、過去最高の 6320 億ドルに達すると予想する。その理由 は、家計のバランスシートと実質個人所得が、過去数年に比べて良好な状態にあることだ。売り上げの伸びが目立つセクターの一つが、ボマージャケット、ラップスカート、ポンチョなどのアパレル だ。さまざまな長さのブーツも買い物客に大人気である。ハイテク製品では大型テレビのほか、アルファベ ット(GOOGL)のネストやアマゾン・ドット・コム(AMZN)のエコーのような家庭用音声コントロール 機器を求める消費者も多い。ティファニー(TIF)の宝石などの宝飾品や高級時計も売れている。オンライ ン・ショッピングの存在も忘れてはならない。こちらの売上高は14%増と予想されている。 ■ 今週の国債入札 曜日 Yields (%)
When Issued* Yields (%) Last Auction 月曜日 360 億ドル 3 カ月 0.508 0.480 300 億ドル 6 カ月 0.631 0.605 (* 金曜日午後現在) ■ 今週の予定 11 月 28 日(月) ・ 中国の医薬品メーカーのシノバック・バイオテック(北京科興生物製品、SVA)が決算発表。 ・ オンライン・ショッピングの売り上げが急増する「サイバーマンデー」。 11 月 29 日(火) ・ 第3 四半期米国内総生産(GDP)の改定値発表。 ・ コンピューター利用設計システム(CAD)ソフトの開発・販売を手掛けるオートデスク(ADSK)、貴金 属・宝飾品大手のティファニー(TIF)が決算発表。 ・ ニューヨーク連銀のダドリー総裁が、プエルトリコで同地域の経済成長の機会について講演。 ・ 米証券取引委員会(SEC)の株式市場構造諮問委員会が会合を開催。 ・ 格安航空会社アレジアント・トラベル(ALGT)、医療保険・管理医療サービス大手のユナイテッドヘル ス・グループ(UNH)、放射線治療装置メーカーのバリアン・メディカル・システムズ(VAR)がアナ リスト・投資家向け説明会を開催。 11 月 30 日(水) ・ 石油輸出国機構(OPEC)がウィーンで会合を開催。原油の減産で合意するとみられる。 ・ カジュアル衣料小売り大手のアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(AEO)と同業のゲス(GES) が四半期決算発表。 ・ 書体・画像ソリューションを提供するモノタイプイメージング・ホールディングス(TYPE)がアナリス ト向け説明会を開催。 ・ 銀行持ち株会社のファースト・ミッドウエスト・バンコープ(FMBI)が、他社の吸収合併に関する株主 総会を開催。 ・ ダラス連銀のカプラン総裁がニューヨークのエコノミック・クラブで講演。クリーブランド連銀のメスタ ー総裁が金融政策と経済見通しについて講演。 ・ 米地区連銀景況報告(ベージュブック)発表。 12 月 1 日(木) ・ 人材サービスのチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが11 月人員削減予定数を発表。 ・ ディスカウントストア運営大手のダラー・ジェネラル(DG)、若者向け衣料品大手のエクスプレス(EXPR)、 格安雑貨チェーンのファイブ・ビロウ(FIVE)、食品スーパー大手のクローガー(KR)が四半期決算発 表。 ・ 特殊医薬品メーカーのアセル Rx ファーマシューティカルズ(ACRX)、バイオ医薬品メーカーのエイミ ューン・セラピューティクス(AIMT)、建設・エンジニアリングサービスを提供するジェイコブズ・エ
ンジニアリング・グループ(JEC)、建設・産業機械レンタル会社のユナイテッド・レンタルズ(URI) がアナリスト・投資家向け説明会を開催。 ・ 米下院エネルギー・商業委員会の監視・調査小委員会が、独自動車メーカーのフォルクスワーゲン(VW、 ティッカーはVOW3.フランクフルト)の排ガス不正問題に関して、同社と規制当局との和解について審 査。 ・ 超党派の非営利団体の「責任ある連邦予算委員会」がイベントを開催。同委員会の共同委員長のレオン・ パネッタ氏、ミッチ・ダニエルズ氏、ティム・ペニー氏の3 氏が、次期大統領が力強い経済の基礎を築く ために実施すべき政策について議論する。 12 月 2 日(金) ・ 11 月雇用統計発表。 ・ 工業製品・包装用品大手のイリノイ・ツール・ワークス(ITW)、梱包(こんぽう)材メーカーのソノコ・ プロダクツ(SON)がアナリスト・投資家向け説明会を開催。 ・ 米連邦準備制度理事会(FRB)のタルーロ理事が、「イノベーション、市場構造、金融の安定性」と題し たコンファレンスで講演。前日には同コンファレンスでクリーブランド連銀のメスター総裁が開会あいさ つを述べる。
Alphabet Inc. Cl A (GOOGL) Amazon.com Inc. (AMZN) Tiffany & Co. (TIF)
チャートは3 年
By ROBIN GOLDWYN BLUMENTHAL (Source: Dow Jones)
2016 年 特集記事年間予定表
Special News Reports
January
4 Top Ten Income Ideas for 2016 11 Mutual Funds/ETFs Quarterly 18 Davos World Economic Forum 18 The Barron's Roundtable, Part 1 25 Davos World Economic Forum 25 The Barron's Roundtable, Part 2 25 Alternative Investments Monthly Report
February
1 The Barron's Roundtable, Part 3 8 Fund Families Special Report 15 Retirement Quarterly 22 Review of Online Brokers
29 Alternative Investments Monthly Report
March
7 America's Top 1,200 Advisors: State-by-State 14 ETFs Roundtable
21 World's Best CEOs
28 Barron's Penta: Where the Wealthy Are Investing Now 28 Alternative Investments Monthly Report
April
4 Energy Investing Roundtable 11 Mutual Funds/ETFs Quarterly 18 America's Top 100 Financial Advisors
25 Big Money Poll: Barron's Survey of U.S. Money Managers 25 Alternative Investments Monthly Report
May
2 Barron's 500: Best-Performing Companies 9 ETFs Roundtable
30 Alternative Investments Monthly Report
June
6 Most-Respected Big Companies
6 America's Top 100 Women Financial Advisors 13 The Barron's Roundtable, Mid-Year Recap 13 Barron's Penta: 100 Best-Performing Hedge Funds 27 Retirement Quarterly: America's Top 50 Annuities 27 Alternative Investments Monthly Report
July
4 America's Top Advisory Teams 11 Mutual Funds/ETFs Quarterly 25 Alternative Investments Monthly Report
August
1 ETFs Special Report 8 Income Investing Roundtable
22 America's Top 100 Independent Financial Advisors 29 Alternative Investments Monthly Report
September
5 Equity Strategists' Fall Outlook
12 Retirement Quarterly: Health and Wealth Roundtable 19 Barron's PENTA: Ranking Elite Wealth Management Firms 26 Alternative Investments Monthly Report
October
3 Barron's Asia Roundtable 10 Mutual Funds/ETFs Quarterly
17 Big Money Poll: Barron's Survey of U.S. Money Managers 24 Technology Outlook
24 Art of Successful Investing: Picks and Insights 31 Alternative Investments Monthly Report
November
7 Emerging Markets Roundtable 14 Retirement Quarterly 21 ETFs Roundtable
28 Alternative Investments Monthly Report
December
5 Barron's Favorite Stocks for 2017 12 Barron's Penta: Rating Philanthropies
19 Outlook 2017: What's Ahead for Stocks, Bonds & Mutual Funds 26 Alternative Investments Monthly Report