褥瘡の管理
看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師 山本由利子
皮膚・排泄ケア認定看護師って何?
• 日本看護協会 認定看護師の一分野
• WOC領域の専門家です
– Wound(創傷)
• 褥瘡・瘻孔・縫合創など– Ostomy(ストーマ)
• 術前ケア・社会復帰ケア・継続ケア • 合併症– Continence(失禁)
• 尿失禁ケア • 便失禁ケア創傷管理における看護の専門性
• 創傷の予防ケア
– 皮膚の健康を阻害する局所的・全身的因子
を取り除き、皮膚の健康を促すトータルケア
• 創傷の治癒環境を整える
– 創傷治癒を阻害する局所的・全身的因子を
取り除き、自然治癒を促すトータルケア
看護師特定能力認証制度
創傷分野
• 医師の包括的指示のもとに医行為を実施
– 検査の決定・実施
– 皮膚表面の局所麻酔
– 慢性創傷のデブリードマン
– 慢性創傷の治療に必要な外用薬・創傷被覆材の選択
– 皮下組織までの皮下膿瘍の切開排膿
– 慢性創傷の局所陰圧閉鎖療法の実施
– 慢性創傷のデブリードマン時の電気メスによる止血
– 非感染創皮膚表面の縫合および抜糸
当院はいませんオストミーケアにおける
看護の専門性
• ストーマ造設前後のセルフケア確立への援助
– ストーマ受容の援助
– 装具の選択
– ケア指導
– サポート体制の整備
• 退院後の継続ケア
– 社会的環境の変化へのサポート
– 長期的身体変化への指導
対象者が比較的少ない上に、 専門性の高い領域のため、 認定看護師が主導権を持って 行っていることが多い ストーマ造設後の退院決定は WOCへ確認してください失禁ケアにおける看護の専門性
• 便・尿失禁の改善と予防ケア
– 排泄障害のアセスメント
• 生活指導
– 自己導尿や排尿誘導など
– 食事、飲水指導
• 失禁に伴う皮膚障害の改善と予防
対象者は多いが、 まだまだみんなの興味が少ないので 少し行っている程度当院の褥瘡対策
当院の褥瘡対策の柱
• 褥瘡発生リスクアセスメント
• 褥瘡の評価
• 褥瘡ハイリスク患者管理
• 褥瘡対策チームによる協働
• 褥瘡対策の知識レベルの向上
• 褥瘡対策用品の整備
褥瘡発生リスクアセスメント
入院時 褥瘡の有無・部位 日常生活自立度 日常生活自立度が低い BC 褥瘡発生危険スケール OH(大浦・堀田)スケール等 発生危険がある 自立度が高いJA 何もなし! 発生危険がない 1週間ごと 褥瘡発生リスクのアセスメント 1週間ごと:褥瘡カンファレンスをして計画書の見直し 褥瘡対策に関する診療計画書:専任医師・専任看護師必要時主治医障害老人の日常生活の自立度
(J、A)
J1:交通機関を利用して外出
J2:隣近所に外出
A1:
屋内での生活は自立
しているが、介助で
外出、日中はベッドから離れて過ごす
A2:
屋内での生活は自立
しているが、外出が
少なく日中は寝たきりの生活
障害老人日常生活の自立度
(B、C)
B1
:ベッドの生活が主だが、車椅子に移乗し、
食事・排泄はベッドから離れて行う
B2:
ベッドの生活が主だが、介助で車椅子に移
乗する
C1
:1日中ベッドで排泄・食事・着替えに
介助を要し、自力で体位変換はする
C2
:上記+自力で体位変換はしない
OH(大浦・堀田)スケール
評価項目 月 日 大 浦/ 堀 田 ス ケ ー ル 自力能力 □昏睡 3点 どちらでも ない 1.5点 □明瞭 □自力体変不能3点 □可能 □絶対安静 3 点 □なし □両側麻痺 3 点 □なし 病的骨突出 □強度 3点 □中、軽度 1.5点 □なし 関節拘縮 □あり 1点 □なし 浮腫 □あり 3点 □なし 合計点 □高度 □中度 □軽度 □なし 点 高度:10~7 中度:6~4 軽度:3~1 危険なし0褥瘡がある!
皮膚科紹介 *褥瘡対策として紹介 主治医に依頼 褥瘡の評価(DESIGN-R)記録 *PDAで写真を撮影してカルテ保存 院内発生の場合:褥瘡発生報告書記録 褥瘡管理者に報告 1週間ごとに記録 第1・第3金曜日 褥瘡回診褥瘡ハイリスク患者
(診療報酬上)
ベッド上で以下の場合
ショック状態 重度の末梢循環不全 麻薬等の鎮痛・鎮静の持続 6時間以上の全身麻酔後 特殊体位による手術後 強度の下痢の持続 極度が皮膚の脆弱(超高齢・低出生体重児・黄疸等) 褥瘡の多発と再発褥瘡があり、発生危険がある場合
入院中に1回500点算定当院の褥瘡対策チーム
• 褥瘡対策委員会
– 皮膚科医師、看護師、理学療法士、 薬剤師、管理栄養士、事務(管財課) – 病院全体の褥瘡対策管理• 看護部褥瘡対策委員会
– 各病棟から1名 – 褥瘡調査 – 褥瘡勉強会• 褥瘡担当者会(各病棟)
体圧分散の基本
• 身体にかかる
圧力を低く
する
– 体圧分散マットレスの使用
– クッションの使用
– レストンスポンジの使用・・・
• 身体に圧力がかかる
時間を短く
する
– 体位変換
– 体圧分散マットレス(圧切替型)の使用
圧分散のポイント
体圧分散マットレスの効果
• 沈みこみ(接触面積を増やす)
– 圧縮特性
– 厚み
• 包みこみ(接触面積を増やす)
– マットの変形能
• 接触部位を変える
– 圧切り替え機能
– ローリング機能
超Aランク
圧切り替え型高機能タイプ
アドバン 交換マットレス 箱あり スポンジを あてたらダメ! 通常「超低圧」「厚手切替」 Cランク設定「低圧」「薄手静止」 OH高度Aランク
静止型厚ウレタンタイプ
厚さ15cmの上敷きマットレス 箱なし マキシフロート 柔らかい! OH高度・中度Cランク
静止型中厚ウレタンタイプ
厚さ8cmくらいの交換マットレス サーモコントア レストンZ1 安定感がある! 運搬用袋あり OH中度・軽度Eランク:
病棟管理
静止型薄ウレタンタイプ
ハード面はEランクではない 夢柔力: ソフト面 OH軽度体圧分散マットレスの選択
• 褥瘡発生危険度からの目安
– 高度 Aランク以上 – 中等度 Cランク以上 – 軽度 Eランク以上• 寝返りできない場合:柔らかいもの
– 選択するランク:超A、A、C、• 座位になれる:少し硬めのもの
– 選択するランク:C,E• ギャッチアップする:厚みのあるもの
– 選択するランク:超A、A30度側臥位