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複数案の設定 本事業では 秋田県公募によって指定された海域内 ( 図.1) での事業実施が要件であり 配慮書における位 置の複数案を設定することは現実的に難しいため 位置 配置に係る複数案は配慮書では設定されておら ず 構造 ( 基礎構造 風車機種 ) と規模 ( 出力 ) の複数案を設定している

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(1)

■環境影響評価法に基づく洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書の事例

基本情報

事業名称

(仮称)能代港洋上風力発電事業

事業種類

発電所(風力発電)

根拠法令等

環境影響評価法

計画策定者

丸紅株式会社、株式会社大林組、エコ・パワー株式会社

関係自治体

秋田県能代市

事業規模

風力発電所総出力(最大):100MW(10 万 kW)

事業の実施経緯

秋田県では 2011 年 3 月に「秋田県新エネルギー導入ビジョン」、2011 年 5 月に「秋田県新エネルギー産業

戦略」が策定され、再生可能エネルギーの導入が積極的に進められてきた。特に風力発電は全国 4 位の導入

量となっており、2015 年 4 月 1 日の県内風力導入量は、設置基数 143 基、設備容量 208,590kW(全て陸上風

量)である。

このようななか、秋田県は県内での再生可能エネルギーの導入拡大及び県内産業の振興を図るため、2012

年 6 月に国土交通省と環境省によって策定された「港湾における風力発電について」(港湾の管理運営との共

生とのマニュアル)の手順に従って、2014 年 1 月~3 月にかけて「秋田港・能代港再生可能エネルギー導入検

討協議会」を開催し、秋田港・能代港での洋上風力発電に適したエリアの選定、事業化検討の際の必要調整

項目などを決定した。

本協議会の協議結果に従って、秋田港及び能代港において洋上風力発電を行う事業者の公募・選定が

2014 年 12 月に実施され、2015 年 2 月に丸紅株式会社を代表とするコンソーシアムが実施事業者として選定さ

れた。

本事業は、風況条件の良好な日本海側の能代港湾区域内で大規模な着床式風車を設置し、純国産の再

生可能エネルギーである風力による電気を供給することにより、我が国のエネルギー自給率の向上、地球温暖

化防止への寄与、風力発電を通じて地域の活性化への貢献および地域との共存を目指して取り組むもとして

いる。

事業実施想定区域

事業実施想定区域は、2014 年 12 月に実施された「秋田港

及び能代港における洋上風力発電事業者公募」の能代港の

選定海域を含む能代港湾区域内とされている。

近隣には能代火力発電所、港湾施設、保安林などがあり、

事業実施想定区域に近く最も海側に位置する集落は、米代

川河口付近の能代町日和山下地区となっている。

図.1 事業実施想定区域の位置およびその周辺の状況 出典:(仮称)能代港洋上風力発電事業計画段階環境配慮書.H27.8. 丸紅株式会社.株式会社大林組.エコ・パワー株式会社

(2)

複数案の設定

本事業では、秋田県公募によって指定された海域内(図.1)での事業実施が要件であり、配慮書における位

置の複数案を設定することは現実的に難しいため、位置、配置に係る複数案は配慮書では設定されておら

ず、構造(基礎構造、風車機種)と規模(出力)の複数案を設定している。

●風車機種

限られた区域内で最大限に風カエネルギーを活用するため発電能力のある風車を選択する必要があり、

現在、陸上風車で主流の2,000~3,000kWクラスの風車よりも規模の大きな3,450kW~7,000kWクラスの風車

を使用することを想定している(表.2)。

鳥類の飛翔高度を避けるように風車タワーの高さを設定することや景観に配慮してローター直径、タワー

高、塗装色、基数を選択することが考えられている。

表.2 発電機の出力及び基数案

項目 仕様 単機出力 3,450kW 3,600kW 5,000kW 6,000kW 7,000kW 基数 最大20基 総発電出力 最大100,000kW

●基礎構造

基礎構造として、モノパイル式基礎とジャケット式基礎が想定されている。モノパイル式基礎は水深30mよ

りも浅い砂質の海底面に適しているといわれており、杭打ちの際には騒音、振動の影響が考えられている。

ジャケット式基礎は水深50mまでの海域に適しており、底質についてはモノパイル式よりも応用性がある。ジ

ャケット式の杭打ちではモノパイル式より静かであるが、杭本数が多くなり、モノパイル式と同様に騒音、振動

の影響があるとされている。

海底面の占有面積についてはジャケット式の方が広い面積を占有するが、ジャケット式は杭と杭の間に隙

間があるため、環境への影響は一概にどちらが大きいとはいえないとしている。

表.3 風車基礎構造の種類

基礎構造の種類 モノパイル式 ジャケット式 適した海底面 砂質 砂質、泥質、岩質 適した水深 30m 以浅 50m 以浅 施工の容易性 パイル径 5m 程度まで タワー口径によらない 撤去の容易性 完全撤去は極めて困難 杭の撤去は困難 周辺への影響度 設置時に振動 設置時やや振動、海底面占有大 コスト、経済性 比較的安価 モノパイルよりは高価

なお、具体的な風力発電施設の配置や送電ルール、搬入方法、工事方法、基礎構造等については、配

慮書段階で得られた意見等を踏まえ、今後実施する海底調査等の結果も合わせて検討する予定とされてい

る。

(3)

計画段階配慮事項の選定

発電所アセス省令の第21条第1項第5号に定められた「5風力発電所 別表第5」の風力発電事業に係る参考

項目について、事業の目的や事業実施想定区域及びその周辺の概況を整理した結果を勘案し、計画段階配

慮事項を選定している(表.4)。

工事中の項目については、現段階では工事計画の熟度が低く、また、工事による環境影響は一時的であり

重大な影響は予想されないため、方法書以降で取り扱うものとしている。

表.4 計画段階配慮項目の選定

影響要因の区分 環境要素の区分 工事の実施 土地又は工作物 の存在及び供用 工 事 用 資 材 等 の 搬 出 入 建 設 機 械 の 稼 働 造 成 等 の 施 工 に よ る 一 時 的 な 影 響 地 形 改 変 及 び 施 設 の 存 在 施 設 の 稼 働 環境の自然的構成要素の 良好な状態の保持を旨とし て調査、予測及び評価され るべ環境要素 大気環境 大気質 窒素酸化物 粉じん等 騒音及び超低 周披音 騒音及び超低周波音 ◯ 振動 振動 水環境 水質 水の濁り 底質 有害物質 そ の 他 の 環境 地形及び地質 重要な地形及び地質 その他 風車の影 ◯ 生物の多様性の確保及び 自然環境の体系的保全を旨 として調査、予測及び評価さ れるべき環境要素 動物 重更な種及び注目すべき 生息地(海域に生息するも のを除く) ◯ 海域に生息する動物 ◯ 植物 重要な種及び重要な群落 (海域に生育するものを除 く) 海域に生育する植物 ◯ 生想系 地域を特徴づける生態系 人と自然との豊かな触れ合 いの確保を旨として調査、予 測及び評価されるべき環境 要素 景観 主要な眺望景観及び景観 資源並びに主要な眺望景 観 ◯ 人と自然との触れ合いの活 動の場 主要な人と自然との触れ合 いの活動の場 環境への負荷の量の程度に より予測及び評価されるべき 環境要素 廃棄物等 産業廃棄物 残土 一般環境中の放射性物質 について調査、予測及び評 価されるべき環境要素 放射線の量 放射線の量 注1:網かけは主務省令(発電所アセス省令)における風力発電所に係る参考項目。

(4)

調査、予測及び評価手法の設定など

計画段階配慮事項に係る調査、予測及び評価の手法は表.5のおりでとなっている。

表.5 調査、予測及び評価の手法一覧

環境要素 調査方法 予測手法 評価手法 大気環境 騒 音 及 び 超 低 周 波 音 ①事業実施想定区域周辺にお ける、学校、病院、その他環境 保全について配慮が特に必要 な施設及び住宅の分布状況に ついて、既存資料調査により整 理する。 ②事業実施想定区域周辺にお ける、騒音に係る環境基準の類 型指定の状況について、既存資 料調査により整理する。 事業実施想定区城と配 慮が特に必要な施設等 と の 位 置 関 係 ( 最 短 距 離)を整理する。 予測結果をもとに、配慮が特に 必要な施設等への重大な影響 が、事業者の実行可能な範囲で 回避又は低減されているか検 討する。 そ の 他 の 環境 風車の影 事業実施想定区域周辺におけ る、学校、病院、その他環境保 全について配慮が特に必要な 施設及び住宅の分布状況につ いて、既存資料調査により整理 する。 事業実施想定区城と配 慮が特に必要な施設等 と の 位 置 関 係 ( 最 短 距 離)を整理する。 予測結果をもとに、配慮が特に 必要な施設等への重大な影響 が、事業者の実行可能な範囲で 回避又は低減されているか検 討する。 動物 重 要 な 種 及 び 注 目 す べ き 生 息地 事業実施想定区域上空を飛翔 する鳥類等の生息状況につい て、既存資料調査により整理す る。 空域における鳥類等へ の影響として、事業実施 想定区域上空における 改変空域の容積比率を 算出する。 予測結果をもとに、事業実施想 定区城上空を飛翔する鳥類等 への重大な影響が、事業者の実 行可能な範囲で回避又は低減 されているか検討する。 海 域 に 生 息 す る 動 物 事業実施想定区域及びその周 辺海域に生息する動物の状況 について、既存資料調査により 整理する。 海域に生息する動物へ の影響として、事業実施 想定区域における改変 区域の面積比率を算出 する。 予測結果をもとに、事業実施想 定区域及びその周辺海域に生 息する動物への重大な影響が、 事業者の実行可能な範囲で回 避又は低減されているか検討 する。 植物 海 域 に 生 育 す る 植 物 事業実施想定区域及びその周 辺海域に生育する植物の状況 について、既存資料調査により 整理する。 海域に生育する植物へ の影響として、事業実施 想定区域における改変 区域の面積比率を算出 する。 予測結果をもとに、事業実施想 定区域及びその周辺海域に生 育する植物への重大な影響が、 事業者の実行可能な範囲で回 避又は低減されているか検討 する。 景観 主 要 な 眺 望 点 及 び 景 観 資 源 並 び に 主 要 な 眺 望 景観 事業実施想定区城周辺におけ る、主要な眺望点及び主要な景 観資源の状況について、既存資 料調査により整理する。 ①施設の存在に伴う主 要な眺望点及び主要な 景観資源への影響につ いて、事業実施想定区域 との位置関係より直接 改変の有無を整理する。 ②主要な眺望点から風 車を見た際の最大垂直 視角を算出する。 ①予測結果をもとに、主要な眺 望点及び主要な景観資源への 重大な影響が、事業者の実行可 能な範囲で回避又は低減され ているか検討する。 ②予測結果をもとに、主要な眺 望景観への重大な影響が、事業 者の実行可能な範囲で回避又 は低減されているか検討する。

(5)

計画段階配慮事項に係る調査、予測及び評価の結果

表.6の通り評価結果を総括している。なお、いずれの環境要素についても、「配慮書段階では事業計画が

検討中であり、調査も既存資料などに基づくものであるため、予測・評価が簡易なものとなっている」とされてい

る。

表.6 評価の総括

環境要素 評価結果 方法書以降の手続きにおいて留意する事項 騒音及 び超低 周波音 調査・予測の結果、1km から 2km 範囲で、住宅 560 件、学 校 4 件、福祉施設 10 件、医療機関 2 件が抽出されており、 騒音及び超低周波音に係る影響を受ける可能性が想定さ れる。しかしながら、1km 未満の範囲には配慮が必要な施 設などは存在しておらず、適地内における風車の機種(音 響パワーレベル)、配置及び基数を事業者が実行可能な範 囲で考慮することにより、重大な環境影響を回避又は低減 することが可能と評価する。 また事業想定区域周辺には騒音に係る環境基準の類型指 定地域が存在しており、基準との整合性を図る必要がある。 なお、超低周波音については、環境基準は定められていな い。 平日・休日による暗騒音の違い、風雑音による影響 (とくに超低周波音)等を考慮して現地調査を実施 し、事業実施想定区域周辺の騒音及び超低周波音 の状況を適切に把握する。 また、選定した風車の機種及び工事計画から音響パ ワーレベルを設定し、既設風車との複合影響につい ても考慮しながら定量的な予測を実施した上で、必 要に応じて事業者が実行可能な範囲で環境保全措 置の検討を行う。 風車の 影 本件では事業実施想定区域の東側 1.0km の位置に最寄り の住宅が存在している。8 機種すべての影響範囲が 1.0km 以上となっている。したがって、全ての機種について西日の 差す夕方に風車の影による影響が予想される。しかしなが ら、適地内における風車の機種及び配置を事業者が実行 可能な範囲で考慮することにより、重大な環境影響を回避 又は低減することが可能と評価する。 事業実施想定区域周辺における配慮が特に必要な 施設などの窓の向きを現地踏査により把握する。選 定した風車の機種(ローター直径、ハブ高さ)及び配 置から日影図を作成し、これらを重ね合わせることに より影響の範囲及び程度を予測し、必要に応じて事 業者が実行可能な範囲で環境保全措置の検討を行 う。 動物 ①事業実施想定区域上空を飛翔する鳥類については、風 車の存在・稼働による移動経路の阻害およびブレード・タワ ーへの接触が考えられる。予測結果によると、複数案(風車 規模最大案・最小案)の改変空域の容積比率は 3.9~1.7% であり、96.1~98.3%の空域が残存することになる。さらに鳥 類等の移動経路を考慮した風車の配置等を事業者が実行 可能な範囲で考慮することにより、両案ともに重大な環境影 響を回避又は低減することが可能と評価する。 ②事業実施想定区域及びその周辺海域に生息する動物に ついては、風車の基礎構造部による生息域の改変等が考 えられる。予測結果によると、複数案(モノパイル式・ジャケ ット式)の改変区域の面積比率は、0.0090%または 0.0040% であり、ほとんどの区域が残存することになる。さらに鳥類な どの移動経路を考慮した風車の配置などを事業者が実行 可能な範囲で考慮することにより、両案とも重大な環境影響 を回避又は低減することが可能と評価する。 地元における鳥類・魚類・海棲哺乳類等の専門家へ のヒアリングを適宜行いながら現地調査を実施し、事 業実施想定区域及びその周辺に生息する動物の状 況(渡り鳥の移動経路を含む)を適切に把握する。工 事中における水の濁りや水中音による影響、既設風 車との複合影響についても考慮しながら調査・予測・ 評価を行い、必要に応じて事業者が実行可能な範 囲で環境保全措置の検討を行う。 植物 事業実施想定区域及びその周辺の海域に生育する植物に ついては、風車の基礎構造部による生息地の改変などが 考えられる。予測結果によると、複数案(モノパイル式・ジャ ケ ッ ト 式 ) の 改 変 区 域 の 面 積 比 率 は 、 0.0090% ま た は 0.0040%と、ほとんどの区域が残存することになり、重大な環 境影響を回避又は低減することが可能と評価する。 地元における水生生物の専門家などへのヒアリング を適宜行いながら現地調査を実施し、事業実施想定 区域及びその周辺に生育する植物の状況を適切に 把握する。工事中における水の濁りによる影響等に ついても考慮しながら調査・予測・評価を行い、必要 に応じて事業者が実行可能な範囲で環境保全措置 の検討を行う。

(6)

表.6 評価の総括(つづき)

環境要素 評価結果 方法書以降の手続きにおいて留意する事項 景観 ①主要な眺望点及び主要な景観資源については、いずれ も直接的な改変は生じないことから眺望点及び景観資源に 係る重大な影響を回避していると評価する。 ②主要な眺望点 6 箇所のうち、はまなす画廊、はまなす展 望台の最大案・最小案、及び能代エナジアムパークの最大 案に関して、最大垂直視角が 10~12 度(圧迫感を受けるよ うになる)以上となっており眺望景観への影響が予測され る。しかしながら、適地内における風車の機種(風車高さ)、 色彩及び配置を事業者が実行可能な範囲で考慮すること により、重大な環境影響を回避又は低減することが可能と 評価する。 選定した風車の機種(風車高さ)及び配置から可視 領域図を作成し、地元における景観の専門家などへ のヒアリングを適宜行いながら現地調査を実施する。 また、フォトモンタージュや視角による予測・評価を行 い、必要に応じて事業者が実行可能な範囲で環境 保全措置の検討を行う。

市民参加の機会、情報公開

【環境配慮書の公表について】

■配慮書縦覧期間

2015年8月24日~2015年9月24日

■縦覧場所:能代市役所第一庁舎(1階)行政情報コーナー

能代山本広域交流センター

■意見提出期限 2015年9月24日

出典情報

出典:(仮称)能代港洋上風力発電事業計画段階環境配慮書.平成27年8月.丸紅株式会社、株式会社大林組、エ コ・パワー株式会社 出典:丸紅株式会社ホームページ http://www.marubeni.co.jp/news/2015/info/00010.html 株式会社大林組ホームページ http://www.obayashi.co.jp/company/news_20160301_1 エコ・パワー株式会社 http://www.eco-power.co.jp/assess/akitakou.html

参照

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