理 学 療 法学
第
27
巻 第27」』
27〜
33
貞 (2000
年 ) 27原 著
動 作 解析
指
標
を
用
い
た
脊
髄
損 傷 者
の
プ
ッ
シ
ュア
ップ
ス
ト
ラ テ ジ
の
分 類
*水
L
昌 文
* *要 旨
本
研 究
の 目的
は,
臨 床 的 に確 認 さ
れてい る損 傷 高位
で異
な る脊髄 損 傷 者
のプ ッ シュ ア ッ プス ト ラ テ ジを運 動 学 的 な 視 点
か ら 分 類 し,
その差 を明
ら か にす
る と と もに,
損 傷 高 位
との 関 係 を 検 討 する ことであ
る。
43
例の脊髄 完 全 損
傷 者 を 対象
に長 坐位
で の プッ シュ ア ッ プ動 作
を2
次 元
ビデ オ方
式 動作 解 析 装
i
に て解
析
し,
解 析 両 像
よ り ま ず 主観 的
に 三つ の ス トラ テ ジ に 分類
し たも
のを 目的 変 数 と
し,
各
ス トラ テ ジを
判 別す
る動 作 解 析 指 標 を
説 明 変 数 に判 別 分 析
を行
っ た。
その結 果 最 終 的にプッ シュ アッ プ ス トラ テ ジ は 垂直
型,
回転
型,
混 合 型
の 三つ に 分 類で き,
プッ シュ ア ッ プ最 大 高 は 垂直
型く混 合 型
く回転
型 で あっ た。
重直型
と 混 合 型間
の判 別
で は プッ シュ ア ッ プ開 始
か ら最 高点 ま
での ヒ肢屈
曲角
変位 及
び質 量 中心 前方
移 動 量が,
混
合 型 と 回転
型の判 別
で は.
Li
肢 屈 山角
変位 及
び体 幹 前傾 角 変 位
が そ れ ぞ れ有
意 な判
別指 標
で あっ た。
損 傷 高位
との関 係
で はC6
で は乖 直 型 が55
% と最
も多 く
,
損 傷 高
位 が ド位
とな
るに従
っ て 回転
型の比率
が増 加
し た。
以E
よ り脊 髄 損 傷 者
の プ ッ シュ ア ッ プス トラ テ ジ は動 作 解 析
指 標 に よ り一
.
i
つ に分 類
でき
,
損
傷 高位
の み で なく
.
身体 機 能
の影響 を 受
け ているこ と が示 唆 さ
れた
。
キー
ワー
ド脊髄 損 傷
,
プ ッ シュ ア ッ プ,
動 作 解 析
は じ め に脊 髄
・
頚 髄 損 傷に よる対 麻 痺
・
四 肢 麻痺 者
が移 動
・
移
乗
動作
を 行う際
に鍵 とな
る動 作
がプ ッ シュ ア ップ 動作
であ
る。ま
た車 椅
子 を使 用
し ない場 面
での移 動
は,
金
てプ ッ シュ ア ッ プ 動 作による臀 部
の移 動
に よ り行 わ ね ば な らず
,
プ ッ シュ ァ ッ プ能 力
は対 麻 痺
・
四肢 麻 痺 者
のADL
の獲 得
に大 き
く影
響 してい る1−
5】 。プ ッ シュ ア ッ プ 動 作に関 す る
先 行研 究
と しては,菊
谷 ら5} に よ るC7
以 下の 四肢 麻 痺 者 及
び対 麻 痺 者
の プッシ ュ ア ッ プ高
と上 肢筋
トル ク及
び下 肢 体幹
の柔 軟 性
に 関 す る報 告
や,
プ ッ シュ ア ップ 動 作 そのも
の に焦 点
を あてた物
で はな
い がBergstrom
ら6〕によ るC6
四肢 麻 痺 者
の車
椅 子
か らベ ッ ド等
へ の移 乗
の 可 否 を身体 計測 学 的 な視 点
か ら検 討
した報 告 等
が あ る。
これ らの報 告
より
,
プッ シ ュ ア ッ プや移 乗 動 作
に影
響 を 及 ぼ す身 体 機 能
や身 体 計
測学 的
な特 徴
は.
・
部 明
らか に なっ て 来 たuしか し
脊 髄 損 傷 者
の プ ッ シュ ア ッ プス トラ テ ジは損 傷
*The Use of Biofiiechai
’
]i〔・
a 」¢haracteristics to Classify Leng Si匸tingPushup Strategies in l
コ
atien [s with Spinal Cord Injuries * *茨城 県 立 医 療 大 学 保健 医 療 学 部理 学 療 法 学 科
(〒 30C}〔〕394茨 城 県 稲敷郡阿 見田1「S
,
b∫見 4669−
2}
Mas証umi Mizuka[llL RPT
、
Ph.
D:DeparLmenr匸塵f Physical Therapy.
rbaraki Prefectur≡1[University 〔,f HealLh Sciences
い受で
/
1
日 19984二11月26口〆受i甲H 2000年 1 月 8H )高 位
な ど に よ り異
なる ことが臨床
的 に は 確 認 さ れてい る に も か か わ ら ず,
これにつ い て の報
告はほ と ん ど無
い。醤者
7)8} は,
C6
四 肢麻 痺
とT4
対 麻 痺
の プッ シュ ア ッ プ動 作
の ス トラ テジの違い につ い て,
動 作
解 析 お よ び 動 作筋 電
図に より得 られ た 知 見 と して報 告
し た。
ま た画
接プ ッ シュ ア ッ プ 動作
に着
目 し た研 究
では ないが,AIIison
ら9’
) は長 坐 位
に お け る 前 ノ∫移動
の ス トラテ ジと して,
体 幹
を大 き く前
傾 す る 方 法 と 垂直
に挙
E
す
る方 法
の.
二つ の スト
ラテジが存 在
す る こ と を報 告
しているcこ の よ
う
に脊髄 損 傷 者
が 損傷 高位 等
に よ り異 な るプ ッ シュ ア ッ プス トラテ ジを 採 るの であれば,
プ ッ シュ ア ッ プ動 作 能 力 を規 定 す
る身
体 機 能因子
や身体 計測 学 的
因 ∫・
も各
ス トラ テジに より異
な るこ とが予 想
され る。従
っ て プッシュ ア ッ プ動 作 能 力
の向
ヒをB
指 し た 理学 療 法 技 術
も各
ス トラ テ ジに合
わせ た方 法
が 必 要 に な る と思
わ れ,
これ ら に関
して検 討 を行
っ ていく
必 要 が ある。
その た め の第
一
段
階 と して,
複 数
の プ ッ シュ ア ッ プス トラ テジ を定
量 的 な指 標
を用
い て運 動 学 的 視 点
か ら 検討
す る 必要
があ
る。 そこで 本 研 究で は損 傷
レベ ル等
に より
異 な る と考
え られ
てい る プッ シュ ア ップス ト ラ テ ジがどの よ う な 動作 解 析 指 標
で判 別 さ れ るのか を明
らか にし,
判
別 さ れ た プ ッ シュ ア ッ プス トラテ ジと 損 傷 レベ ル との関 係
を検 討
す る こ と を 目的
と し た。
28 理” :匍寮法 学
第
27
巻 第2
号対 象
及び 方 法
対 象
は 誌1
立 身 体障 害 者
リハ ビ リテー
シ ョ ン セ ンター
炳院
に 入 院,
通 院 中の脊 髄
・
頚 髄 完 全 損 傷 者 男 性
42
例,
.
女’
鬥llf列,
言
1.
43
fSIJ
.
年 齢
1
ま18
−
49
菌と〔昌乏均
27
.
9
±8
.
4
1義 ),・
受 {易 後 経 過期
間 は5.
0 −
215
.
7
ケ ∫1
(
可
モttJ
30
.
5
±41
.
2
ヶ月)であ る,損 傷 高位
の判 定
はAmerican
Spinal
Injury
Assoclati
〔}n (以 下ASIA
)の運 動レ ベ ル の判定
101
,
を
JII
い た/
t内
訳 はC6
:27
例
,
C7
:5
例
,
C8
:4例.
T4
:3
例,
T5
:2
例
,
T8
:2
例
であ り,
損 傷 高位
が左
右 で 異 なる場合
は高 位 側
で判定
し た。
ま た全 症
例 とも不
全 麻 痺の度 合
いを 表 す
ASIA
impairment
scale はA
及 びB
であ
った
.
,
な お 全 対 象 者
に は研
究の趣旨
を [J
頭
で 十 分 説 明 し,
協力
に 理解
が得
ら れた 者の み を 対象
と した.
/
L
プッ シュ ア ッ プ最
大高
の計
測被 験 者
を幅
2m
,
長 さ2
,
4
m,
高
さ0
.
5m
の マ ッ トプラ ッ トホー
ム(
以下
プラッ トホー
ム } ヒで両上肢
を 大腿
ヒ に置
い た 長 坐位
と し,
被 験 者の前
額 面 中心 線
か ら側
ノ∫5
.
Om
,
レ ンズ 中 心 までの高
さ0
.
93m
の位 置
にビデ オ カ メ ラ及
び200w
ハ ロゲンランプ を 用い た ビデ オ ライ トを カメ ラ の光軸
に平
行 に な る よ う に設 置
した
、被 験 者
の体
表
の各 淑
こは直
径30mm
の球 形 反 射
マー
カー
似下
マー
カー
〕 を貼 付
し た。.
L
肢の支 持 位 揖は各被 験 者
の任
意 と し,
「
出 来 る だ け 高 く,
かつ,
な がい時 間
プッ シュ ア ッ プ を して下 さい一
1
と被験 者
に指 示
し,
3
回
〜
5
回 プッ シュ ア ッ プ動 作 を 行いVTR
に録 画
した、
.
撮 影
さ れ た 画像
は2
次 亢ビ デ オ方 式 動 作 解 析 装 置
Peak5
.
13
(米 国
Peak Performance Techn
〔}1
〔〕gy
社 製 )
をfU
い,
取
り込み
周
波 数 は3011z
と し た。
第
1
仙 椎
〔以 ドSD
E
に貼 付 し たマー
カー
の 1匠直 移 動 開始 時
を プッ シュ ア ッ プ開
始点
,
開 始点
か ら.
喉直 移 動 軌 跡
が最 高 点
に達 した 時 点 を 最高 点
,
最
高 点 に 達 した後
Sl
マー
カー
の1
・
.
降
が 停.
ILし た 時 点 を プッ シュ ア ッ プ終 了 点
と し,
開始 点
か ら最 高 点 ま で のSl
マー
カー
の垂 直 移 動 距 離
を プッ シュ ア ッ プ最大
高と し たt、
本 研
究で は こ のプッ シュ ア ッ プ最 大 高 をプ ッ シュ ア ッ プ能
ノ丿の指 標
と して用い た。
2
.
プッ シュ ア ップス トラ テ ジの計 測ブッ シュ ア ッ プ
動 作
の ス トラ テ ジを 明ら か にするため の指
標 と し て,
プ ッ シュ アッ プ
開 始 点
か ら最 高 点
に至 るまでの 手 関 節・
肩 峰・
大 転 子 間の な す角 度
の変位
(以 下 上 肢 屈 曲 角 変 位 ),
.
肩 峰
と 大転
.
子
を 結ぶ直 線 と垂 線 とのなす 角 度
の変 位 似 ド体 幹 前
傾角
変 位 ),.
:卸
ほ 甲 骨.
卜.
角
・
肩 峰
・
大転 子
の な す 角 度の 変 位 似.
ド肩
甲骨
・
体
幹 角 変 位
),
矢 状 面にお け る 質 量 中 心の
前 方
移動 量
の4
指 標
を計 測
し た.
,
な お,
質 量 中 心位 置
は 阿 江 ら111/
により報 告
されてい る身 体各
分節
の質量
比 及 び質 皐
:中心
比の 係 数 を 用いて算 出
し た。次
に動 作解 析
装置
に よ り計
算 さ れ た身体 各部
のマー
カー
間 を直 線
で結
んだステ ィッ ク 画 像より.
持
ち.
i
.
:げの方
向
及び体 幹
の前 傾
の程 度
を指 標
にプ ッ シュ ア ッ プス ト ラ テ ジ を 埀三観 的
に分 類 し 目 的 変 数 と し た.
,
ま
た ヒ肢 屈 曲 角
変 位
,
体 幹 前
傾 角 変 位,
肩 甲 骨・
体 幹角 変 位
,
質
量中
心 の前 方 移 動
量の4
指 標
を 説 明 変数
と し て判 別 分 析
を 行 い,
プッ シュ ア ッ プス トラ テジ の カ テ ゴ リー
化 及
び各
プ ッ シュ ア ッ プス トラ テ ジ を 判 別 して い る指 標
を導
出 し た/
tま
た,
判 別
さ れ たス トラテ ジ間で プッ シュ ア ッ プ最 大高
を 比較検 討
し た。
3
,
プッ シュ アッ プス トラテ ジと損 傷 高 位
との関係
の検
討ASIA
のKey
Musc
[eに よ り全症 例 を
,
C
6
レベ ル27
例
,
C7
及 びC8
レベ ル9
例,
胸 髄 レベ ル7
例
の3
群に分
け.
各
群 に お け る各
プ ッ シュ ア ッ プス トラ テジの割 合,
ブ ッ シュ ア ッ プ 最大 高
の比 較 を行
っ た。
ま た 頚 髄 節 はZancolli
の分 類,
胸 髄節
は1
髄 節 甲
.
位
と して損 傷
高 位 を 通算
の 順 序 尺 度 〔C6Bl
:1
−
T8
:15
)で表 現 し 〔以 下 通算 損 傷 高
1
の
.
プッ シュ アッ プ最
大高
との相 関 を 検 討.
し たttt
な お, 統
計 処
理に はSPSS
8
.
OJ
for
Windows
を 使 用 し た/
t結
果
1
,
プ ッ シュ ア ッ プスト
ラ テ ジの判 別
動 作 解 析に より
得
ら れたス ティ ッ ク画 像 をi
凝
的 に 分 析 した結 果,
プ ッ シュ ア ッ プス トラ テ ジ は 体 幹の前 傾 が少
なく
ほ ぼ垂 直
に臀 部
を挙
ヒす る方
法 (以 下垂 直
型 ),
体.
幹
を 大き く前 傾
さ せなが ら 肩 関 節 を 軸に体 全 体
が前 方
に同転
する ようにして臀
部 を 後 方に引 き.
L
げ る 方 法 〔以 ド回転 型
),
両 者
の要 素
が混 合
し た.
方 法 (以 ド混 合 型
) の3
つ に 分 類出 来
た.
,
こ れ らの3
つ の ス トラ テジを
LI
的
変 数
に,
プッ シュ ア ッ プス トラ テ ジの判 別の た め に設定
し た’
t
つ の動 作 解 析 指 標
を説
明 変 数 と し て 判 別 分析 を
お こ な っ た結果
,
主 観 的 分 類 と 判 別 分析
の結 果
の.
.
・
致 率
(判
別率
) は86
%であっ た、
.
主観
的 分 類 と判
別分 析
に よ る分 類
が.・
致 し な かっ た 例 を 判 別分 析
の結 果
に従
っ て分
類 する と 最 終 的に垂 直 型
20
例
,
混 合 型
15
例
,
回転
型8
例の3
群に有 意 水 準 1%で判 別 され た (図
1
),
.
標 準
化 判 別 係 数 は,
垂 直
型 と混 合型 問
で は.
L
肢 屈 曲 角変 位
0
.
89
,
質
量Ilr心 移 動 量
0
.
79であ り
,
体 幹 前
傾角
変 位 , 肩 甲 骨・
体 幹角
変位
は そ れ ぞ れ0
.
02
,−
0
.
Ol
と小 値であっ た.
、
混 合 型
とlnl
転 型 間
で は.
や は り上 肢 屈 曲 角 変 位 が一
〇.
78
と最
大であ り,
体 幹 前
傾 角 変 位 は0.
69,
肩
甲骨
・
体 幹 角
変位
0
.
24
,
質 量 中 心 移 動 量0
.
15
の順
であ
っ た (表
D
。
各
ス トラ テ ジに お ける プッ シュ ア ップ最
大高
及 び 動 作解
析 指 標の’
ド均値
は表
2
に示 す
とお りであ り,
プッ シ ュ動 作 解 析 指 標 を用い た 脊 髄 損 傷 者のプッ シュ アップストラ テジの分 類
29
垂直
型
n =20
混合型
n ニ15
回転型
n
=8
図1
判 別 され たブッシュ アップス トラ テジ表
1
各動作解
析指標
の標準化
判 別係数
垂 直 型一
混 合 型混 合 型
一
回転
型 上 肢 屈曲 角 変 位 質 量 中 心 前 方 移 動 量 体 幹 前 傾 角 変 位 肩 甲 骨・
体 幹 角 変 位0
.
89
0
.
79
0
,
02
−
0
.
01
0
,
78
−
O.
15−
0
.
69
−
O
.
24
表2
各
プッ シュ アッ プス ト ラ テ ジ に お け る プッ シュ アップ最 大高
及び動作解 析
指標 最大高 (
mm)
上肢 屈
曲角変位
体 幹前
傾角変
位肩 甲骨
・
体 幹 角 変位質量 中心 移動 量 {皿 m ) 垂 直型 (n
=
20)混
合 型 (n=
15)
回転
型 (n=
8)
騾
:
1
:
1
凱
:
1
:
:
1
凱
241、 、。3,1
:
」
」
1、、 ,. ,
r
,」
」
6
.
3
(±5
.
3
) * * 21.
7(土5
.
6)
29.
9 (±9.
9) *1
]
1921.
.
7
4 ( (±±8ll
,
4.
9
)) 18.
5
(±5
,
0
)25
・
O
(±15
・
2
)1
、。.
, (。i5
驚
」
96
.
9
(±48
.
6
) * *ー
* *P:<0
,
01,
ア ッ プ最大 高
は,垂
直
型 は平 均
77
±36mm
,
混 合
型145
±37mm
, 回 転型
241
±35
mm で あ り,3
群間
の分
散 分 析
及 び ポス トホ ッ クテス トの 結 果有
意水
準
0
.
01
% 以下
で 差 を認
め た。2
.
各
プッシュ ア ップス トラ テジの特 徴
判 別
さ れ た3
つ の プッシュ ア ップス トラテ ジか
ら,
代
表
的 な ケー
ス のプッシュ ア ップ開 始 点
か ら最 高 点
に至
るま
で の各 動 作 解 析 指 標
の推
移 を 図2
・
3
・
4
に示 し た。
垂 直 型
の ケー
ス で は肩
甲 骨・
体幹 角
変位
の 増 加 が 先行
す る と共
に,
他
の指 標
に 比 し て大 幅
な増 加 を
認 め た。
他
の3
指 標
の変 化
は非 常
に少 なか
った
。
混 合 型
のケー
ス で は質 量 中心
の前 方 移 動
が先 行
し て起
こ り, 次いで体
幹
前 傾
角 変 位
,肩 甲骨
・
体
幹
角変位
の順
に増
加
を始
め,
この3
指 標
は ほ ぼ同様
の増 加
傾向 を
示 し た。
圓 転 型のケー
スで は全
て の指 標
で初 期
の増加
が著
明 で あっ た。
垂 直
型・
混
合 型
に比 し
て上肢 屈 曲 角 変位
の増 加
が著 明
で あ り,体 幹
前
傾角 変 位
と ほ ぼ同
じ増 加 傾 向
を示
し た。
3
.
損 傷 高 位
と プ ッ シュ ア ッ プス ト ラ テ ジ, 及 び最
大高
との
関係
C6
レベ ル で は27
例 中 垂 直 型
が15
例(
55
%)
と最 も多 く
,
次
い で混 合 型
ll
例
(
41
% )
,
回 転 型
1
例 (
4
%)
で あっ た。
C7
,
C8
レベ ル で は9
例 中 垂 直 型 が
4
例
(
45
% ),
混 合
型2
例 (
22
% )
,
回転 型
3
例(
33
%〉
と垂
直型
の割 合 が低 下 し混 合 型
,
回転 型
が増 加
し た。
胸 髄 損
傷
レベル で は7
例 中 垂 直 型
が1
例
(
14
%)
,
混 合
型2
例(
29
%)
,
回転
型4
例 (
57
%)
であ
っ た(
表
3
)
。
全 症 例
にお け
る通 算損 傷 高位 と
プッシュ アップ最
大高
との問
の ス ピアマ ン の順 位 相 関 係 数
は,
r=
0
,
508
(
p <O
.
Ol
)
の有 意 な相
関が認
め ら れ た。 し か し各
プッ シュ ァ ップス トラ テ ジ内
で通 算 損 傷 高 位
と プッシュ ア ッ プ最 大
高
との間
の相 関
を検 討
した とこ ろ,
蕪 直 型
,
混 合型
,
回転
型のいず
れにおい て も有 意
な相 関
は認
められな
か っ た。考
察
本 研 究
に おいて プ ッ シュ ア ッ プス ト ラ テジは垂
直 型,
混 合 型
,
回転 型
に判 別
できた
。 こ の 三 つ の ス トラ テ ジ は, その判 別
処 理 を行 う
過程
で最 初
は 主観 的 な分 類
であ
っ た が,
四つ の動 作 解 析 指
標 を用いた判 別 分析
を行
っ たこと で,
矢 状 面
か ら 二次tt’
的 に捉 え た分
類 という条 件
下で は客 観 的 な分 類
が行 え
た と考 え
る。C6
四肢 麻 痺
の よう
に 上腕
三頭 筋 が 有 効
に機 能 しな
い 例 で は,
垂 直 型 あ るいは混 合
型の ス ト ラ テジを
とり
,
主30 理 学 療 法 学 第27巻 第2号 変 位 角(度)
50
4030
20 100
一
10 変位 量 (mm )0
.
OO
0.
33 0.
671
.
00
1.
331
,
67
経 過 時 間 (sec > 図2 プッ シュ アッ プ開 始 点 か ら 最高 点まで の動 作 解 析 指標ワ)推 移 唾 直型代表 例) 100 go80 7060
50
403020
100
一
10 変 位 角 (度)50
40
30
20
100
一
10
0
.
00
変位量()
100
0
.
33
0
.
67
1.
00
1
.
33
時 間 (sec ) 図 3 プ ッ シュ ア ップ開 始 点 か ら 最高 点まで の動 作 解 析 指 標の推 移 (混 合型代 表伊IDgo
80
70
60
5040
30
20
10
0
一
10
に肩 甲 帝の前 方
突出
(上肢
全体
の押
し出し ) に よ る反作
用
と して前 鋸 筋
の働 き
により胸 郭
が肩 甲骨
に引 き付
け ら れる ことによ り臀 部
が挙
上 さ れ る とい うメカニ ズムで プ ッ シュ ア ッ プ が 行 わ れ る。
垂 直
型の ス トラ テジで は他
の動 作 解 析 指 標
に先 行
して肩 甲骨
・
体 幹 角
変 位の 増 加 が 著 明であ る が,
これ は 肩 甲 骨 を床
面 に 平行
と な る状 態
に し た 上で 舸 釧 筋の活 動によ り胸 郭 を 肩 甲 骨に引 き付
け よう
と す る動
き を 形 成 す る ものであ ると考 える。
また肩 甲帯
の前
方 突 出 に よ る「
押 し出
し」のみで は.
体 幹
は後 傾
し重 心 も後 方
に移 動
して しま う
、
,
これ を防
い で臀 部
を 上方
に挙 ヒする た め に,
「
押
し出
し」
に連 動
し て 重 心が後 方
に移 動
しな
い よう
にコ ン トロー
ルす
るこ とが 重要
と な る動 作解 析 指 標を用いた脊髄 損 傷 者のプッ シュ アップ ス トラ テ ジの 分 類
31
変 位 角 (度 )50
40
30
20 100
一
100
.
00
変 位 量 (mm )100
0
.
67 1.
33 2.
002
.
67
3
.
33
4
.
00
4
.
67
経 過 時 間 (sec ) 図 4ブ ッ シ
ュ
ア ップ開 始 点 から最 高 点 までの動 作 解 析 指 標の推 移 1同 転 型代 表例)9080
70
6050
4030
20
100
一
10
表
3
損 傷 高 位 群 別の各プッ シュ アッ プストラ テジの 例 数 及び割 合 n 垂[自:型 混 合 型 回転 型C6
27 15 〔55%} ll (41% )1
〔4
% 〕C7
・
C8
9 4 〔45% > 2 (22% )3
(33
% 〕Tl
〜
T8
7 1 (14% 〕 2 (29% ) 4 〔57%〕.
言
口 43 20 158
と考 え
る、
,
垂 直
型の ス トラ テ ジで は肩 甲帯
の前 方 突 出
と重
心の 前 方 移 動 との 平 衡 が 保 た れ た 状 態で臀 部
が 垂直
に挙
.
L
さ れ る。
この方 法
で は プッシュ ア ッ プ最
大高
は小 値
であ
る が,
体 幹
の前
傾 が 増 加 し 重 心の前 方移 動
が増
大す
る混 合
型の ス トラテ ジに な る と,
肩 甲 帯の 前 方 突 出 が より有 効
に発揮
さ れ る た め,
プッシュ ア ップ最
大高
も増 加
す
るも
の と考 え
る。 四肢 麻 痺 者
で こ の ス トラ テ ジ が 可 能 と なる た め に は,
体 幹
を前
傾 位 に 保つ 能 力 と しての 肩 関節 屈 筋 群
や大 胸 筋
な どの筋
力 が 大 き く影 響
す る と摎
え る。
質 量 中心
の前 方 移 動 量
により垂 直
型 と混 合
型に判 別 さ れ た結 果 も
こ れ を裏付
けるもの であ る。
プッシュ ア ッ プ
動 作 能 力
そのも
のを
目的
と した 研 究 で はな
いが,
Allis
〔}n ら9〕 は四肢 麻 痺 者
の長
坐位
に お け る 前 方 移乗 動 作 方法
とし て,
体 幹
を大
き く前
傾 しな が ら行 う方法
と,
ほ ぼ 垂直
に持
ち ヒげ
て行 う方 法
の :つ のパ ター
ンが存 在
し, 後 者 は 体 幹 前屈
の遠 心性
の コ ン トロー
ルが 困難 な例
が行 う方 法
で あ り,
ヒ腕
三 頭筋
の機
能 は 必 妛 であ
る が必須
で はない とし ている。
今
囘の研 究
に お け る垂 直型
の ス トラ テジはこの方 法
を 示 し て お り,体
幹 前屈
の遠 心性
の コ ン トロー
ルがあ
る程 度 可 能
とな
るのが混 合
型 で あ る と考
え ら れ る。
C7
以 下の四 肢 麻輝
や対
麻痺
で は混 合
型 乂は回転
型の プ ッ シュ ア ッ プス トラ テ ジ を とる よう
にな
る。 回転 型
で は体 幹
を前
傾 さ せ な が ら 肩関 節
を軸
に前 方
に回 転 さ
せる こ と で 臀 部 を 後 方 に 引 きE
げ る様式
を とる。
従
っ て プッ シュ ア ッ プ動作 時
に体 幹
が ど れ だけ 前 傾 す
るか,
臀 部 を
ど れ だ け後 方
に 引 き ヒげ ら れ る か という点
が プッ シュ ア ッ プ最 大 高 に 大 き く 影 響 す る。
臀 部 を 後方
に引
き上 げる こ とで.
上肢
屈曲角
は増 大 し,この 際体 幹
の前方 回転
の軸
の固
定
のため に肩 関 節
屈筋 群
の 働 き が 重 要 に な る と考
え ら れ,
こ の点
に関 して は菊 谷 ら5〕に よっ て も報 告 さ れてい る。
全 症
例
を.
.
群
とし た際の プ ッ シュ ァ ッ プ最
大高
と 通算
損 傷 高位
との問
には r;0.
508
(
p
〈0,
01
)の相 関 が 認 め ら れたが,
こ れ は決 定 係
数 に 換算
す る と0
.
258
で あ り,
プッ シュ ア ッ プ最 大高
は損 傷 高位
とは有
意 な相 関
を示 す
も
の の,
そ
の説 明 率
は26
%程 度 と
いう
こ と に な る。
す な わ ち プッ シュ ア ッ プ最 大 高
は損 傷 高
位 に 大 き く影 響 を 受 け ること は間
違い ないが,
それだ けで は説 明率
は低
く,同
じ損 傷 高位
でも筋 力
,
可 動 性 等
の個
々 の身体 能 力
が大
きく影 響
してく
る ことが予想
され る。
特
にプ ッ シュ ア ッ プ動 作 が.
叮 能 と なる ヒ限の レベ ル であるC6
四肢 麻 痺
で は,
有
効 な 肩甲
帯の押
し 出 し を目∫能
とす
る た めの肩 甲骨
の ri∫動 性
が重 要
であ
る と考 え
る。
ま た 体 幹 前 屈の遠 心 性 コ ン トロー
ルを 可能
とす
る に は,
座 位 に お け る 良 好 な 脊柱 後 弯 姿 勢 を獲 得 す
ること が体 幹 前
屈の モー
メン トを 軽減 す
る ヒでも重 要
であ
ると考 え
る。 これ ら は急 性 期
や褥
32
理’
予:療法 学 第27
巻 第2号瘡 な
ど に よる長 期
の安 静 臥 床
に よ る背 筋
群 や 肩甲
骨 挙上
・
内 転 筋 群
の短縮
,
胸 郭
の可動性
の低
ドに よ り制
限 さ れ ている ことが少 なく
な く,
実 際の 起 居 移 動 動 作 訓 練 を スムー
ス に行
える よう
にす
る た め に も 臥 床 期 間の 早期
より可 動性
を確 保
す るアプロー
チ を 彳.
∫う
こと が 必須
であ
る と考
える。
稿
を終
え る に あ た り,
ご協 力
頂 き ま した 国立 身 体 障 害
.
者
リハ ビ リテー
シ ョ ンセ ンター
病 院 理 学療 法 室
ス タッ フ各 位
,
並 びに終
始 適 切 な 御 助 言 を 賜 り まし た筑 波
大学
心身 障 害 学 系 福
犀 靖 子 教 授 に 深謝
し・
た します
。本
稿の要 旨の.
一
部 は 第33
同 凵 本 理 学 療法
士 学会
(京
都
)に て発表
したt.
、
文
献
1
>安 藤 徳 彦 :頚 髄 損 傷四肢 麻 痺の ADL.
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fullc
・
tionat
tevels
and [novementin
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33
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ti〔>n to anthl
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