茨 城 県
に
お け る
産 学 官
デ
ザ
イ ン
・
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
Collaboration
Network
of Desi nin
tbarakiPrefecture
平松 茂 夫 茨 城 県工業 技術 センタ
ー
蓮見 孝 筑 波 大 学 芸 術 学 系 山 中敏正 筑 波 大 学 芸 術 学 系 HIRAMATSU ,Shigeo
lbaraki lndustrialTe⊂hnology Cen電er
HASUMI
, TakashiUnlversity ofTsukuba
,
ln5電itute ofArl and DesignYAMANAKA
, ToshimasaUniver5呼ofTsukuba
、
lnstitu電e of Art and Design1.
はじめ に茨城県の産 業イメ
ー
ジ を、
その“
強み”
とい う 観 点か らシ ンプ ル に 表 現 す る と、
第1
次 産 業の農・
水 産 業は (○ )、2
次 産 業の製 造業は (△)、3
次産 業 の商・
サー
ビス業は 未 知 数 (?)、
といっ たと こ ろだ ろ う か。 茨 城 県 (以降 「県」 と略す )は、
耕 地 面 積 割 合で全国1
位、
農 業 粗 生産 額で3
位というデー
タ が 示すよ う に、
も と も と 原材 料の生産 量が 極 めて豊 かだっ た。
工業も機 械 部 品の 受注 生産が 主 だっ たの で、
マー
ケッ ト・
イン の発 想 が切実に求 め ら れ るこ とが な く、
デ ザインに対 する意識も 決 して高いもの では な かっ た。
し か し、
1990
年代 に 入 りバブル経済 の崩 壊 や 地 域産業の空洞化が進む 中で、
大 き な変 化 の兆 し が 見 られる ようになっ てきた。
ネッ ト ワー
ク やコ ラ ボレー
ショ ンを 生 か し た地域資 産のブラ ンド 化 や中小製 造 業の 自立の動 き、
そし てIT
を と りこん だ新 産 業 創 出へ の挑戦 などが積 極 的に行わ れるよ う に なっ て きてい る。
それ に 伴ってデザ インも、
既 存 の 「デザ イン業」と 呼ばれ る よ うな 狭い括り を超 え た概 念と して注 目 さ れ る よ うになり、
デザイン のセ ンター
機 能の充実や多様 な イ ン キュ ベー
ショ ン・
プ ロ ジェ ク トも推 進さ れ る よ う に なっ て き た。
そ し て、
そ れ らの活 動の具 体的 成 果で も あ る新 しい ベ ン チャー
型の ビジネス も 生 ま れっ つ ある。
本 稿では、
県 下 にお けるデザインに 関 わ る諸 産 業 活 動の概 況 と、
地 域の産 業振 興にか か わ るデ ザイン の役 割と機 能を、
実例 を 通 し て紹 介 するe 2.
茨城 県の現 況県の
1
次産品の 生産 量は依 然と して全 国 トップク ラス であるもの の、
農 産 品 も含めて輸入品との競 合 が年々厳し く な りつ つあ る。
その中で県 産 品の 生 産 量・
供給 量を引き続き維持し て い くため には、
品 質 の み ならず イメー
ジ や 付 加 価値 などにお ける差異 性 を効 果 的に訴求 して い く 必 要 がある。
2
次 産 業 で は、
高度 経済成長期 に 活 況 を 呈し ていた 歴史ある 工 業 集 積地 が、
バ ブ ル 崩 壊や空 洞化に よ る受 注の激 減 に悩ん で い る。
そ の危 機か ら脱 するた め に は、
受 注 頼りの体質を 改 め、
自社 製品開 発力 や 新 技 術 提案力 を高めて い く必 要 が あ る。結 城 紬や 石 材 加工などの 伝 統 産業 も 存 亡の危 機に瀕してお り、
新た な発想 力・
表 現 力が求め ら れ てい ると 言 え るだろう。3
次 産 業につ いて はも と も との基盤が脆弱であるた め、
情 報化 が進む現 代社会 を リー
ドしていく た め に は、
地 域の発 信 力やコ ミュ ニ ケー
ショ ンカ を 重 点 的 に強 化する た め の根 本 的 な施策が必 要であろう。
特 筆 すべ き 茨 城 県の 特徴の
一
つ と して、
県 南に位 置する筑 波 研 究 学園 都 市 (以降「つ く ば」と 略 す )と そのハ イ テク技術の集 積 が あ る。国策と して30
年ほ ど前につ く られ たっ く ばは、
県の産業 との結びつ き が弱い とい う運 命 的 な側 面を もっ てい た が、
地 域産 業の 自立 とい う 課 題の も とに、
両 者の融合 化 が急 速 に進みつ つ あ り、
研 究 者 と企 業を結び、
研究成 果を 製品 開発に結び付け る た めの コーデ
ィネー
ト機能 が 求 め られ て い る。
地 域の 住 環 境は
、
つ くばエ クスプ レ ス の開 通 (2005
年 開業予定 )に伴う 関連地域 開 発 等に よる活 性 化が期待 さ れ る もの の、
全体と し て は、
たとえ ば 過 疎 化や 中 心 市街 地の衰 退とい う よ う なか た ち で深 刻 化の度を 深 めて い る。
高 齢 化が 進 む中で 生活の質.
P
一
22 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vo[,
8 No.
3 2001 デザ イン学研究特纂号(
QOL
) を高めつ つ、
よ りレベ ル の高い環境的 調 和 や活 力 ある地 域コ ミュ ニ テ ィー
をつ くるため に は、
行 政・
企業・
住民の ニー
ズ を と り ま と めて総 合 的に コ トづ く り をプロデュー
ス できる新 たな機 能が 必 要 で ある。
こ こ に おいて も、 新し いデ ザイ ン領 域の拡 大 が 見ら れる。
県 に お けるデ ザイン業の 基 盤は
、
上 記の よ う な県 の産 業的 特 質と関わ り な が ら形 成 さ れてき た わけだ が、
近 年の社 会や産業 を と り ま く環 境の激 変は、
デ ザイ ンへ の よ り強い シフ ト を促 すと共に、
デ ザイン のは たらき その もの を 根 本 から変革 するダ イ ナミズ ムを有して い るよ う に 思 え る。
3.
デザイ ンへ の 期 待 と 可能 性県で は
、
県の行 政 施 策 展開の方 向を 明 らか に し、
総 合的、
計 画 的、
具体的 に 県 行 政 を 進め て い く た め の基本 方 針と して、
概ね5
ヶ 年 毎 に 長 期総合計 画を 策 定 してきてい る。 ここでは、
平 成7
年 度と12
年 度 の 基本 計画 に 示 さ れ た 「デ ザイ ン 」とい う語 句を含 む 表 現 を 比 較 し な がら、
県の 施策においてデ ザイ ン へ の期 待が どの よ う に変 化して い る か につ い て概 観 して み る。
○平成 7 年 茨城 県長期総 合 計 画・
新 市街地、
鉄 道沿線などの空 間デザイ ン の 推 進に よる個 性と魅 力あ る 地 域 づ く り・
デザ イン開発・
設 計 力 など商 品 開 発 機 能の強 化によ る産業の創造の戦略的プロ ジェ ク ト
・
デザイン業な どの振 興ビジ ョ ン策 定、
振 興 拠 点 整備 な ど
、
新 た な サー
ビス産 業の 育 成 に よ る 成 熟社会の 主 役 と なる ソ フ トな 産 業の育 成
・
デ ザインカ な どの強 化によ る創造 力 に 満 ち た 企業 の 育 成・
デザイン の研 究 開 発の促 進によ る 地 場 産 業の 振 興 と県 産 品の販路 拡 大・
デザ イン業な ど新 たな産 業分 野の振 興 拠点整備など
、
高 度 産 業 技術の集積 地 域 形 成 に よる県 北地域 振興のグラ ン ドデ ザイン ○平 成 12 年 茨 城 県長 期 総 合 計 画 (改 訂)・
バ リア フリー
やユ ニバー
サ ル デ ザインを導入 した 高齢 社 会に対 応 し た ま ち づ く り・
窯業、
酒 造 業 など新 技術、
新 製品、
デ ザイ ンを 開発 し
、
特 色 ある地場 産 業の育 成 と 特 産 品の 開発 に よ る 地域 資 源活 用 型産 業の 振興・
コ ンピュー
タ グ ラフ ィ ク ス を 活 用 した 産 業デ ザインや
CAD ・
光 造形技術 な どの普 及・
促 進を図った革 新 的モノ作り に よ る
IT
を 活用し たソ フ トテ ク ノロ ジー
型 産業の育成・
優れ たデザイン で 付加価 値を高め た新 製品の 開 発 ができ る よ う、
中小企業のデザイン活動を 総合的 に 支援す る ことに よ り、中小企 業の 経 営 革 新の 促 進と経 営 基 盤の強化こ のよ うに長期 計画に お ける 「デ ザイン 」 の概念 は
、
産 業 振興の一
手段と いうレ ベル か ら、
ソ シオ・
デザ イン と して のユ ニバー
サ ルデ ザイ ンへ の 注 目、
ま たIT
を 活 用 し た先 端 的ソフ トテ ク ノロジー
型 産 業 を 生 む キー
である と の認 識など、
よ り 広義に と ら え よ う と さ れている傾 向 が 見ら れ る。
4.
茨城 県 の デ ザ イン振 興施策 この基 本 計 画に記 述 さ れ た指 針が どの ように具体 化さ れて い る か とい うこと につ い て述べ る。
4−
1.
デザイン の セ ン ター
機 能の 構 築 県のデ ザ イン に おける顕 著な 成 果の一
つが、
デザ イン・
センター
機 能の構 築であ る。 か ねてか ら 県の デ ザイン施 策 実 行の中 枢的 機 能を果た し て き た茨 城 県工業 技術 センター
[注1
] に 加 え、
茨 城県 デ ザイ ン振 興 方 策の策 定 (1997
年) と と もに、
茨 城 県テ ク ノデザ イン セ ンター
の新設 [注2
]や、
(株 )ひた ち な か テ ク ノ セ ンター
の 建 設 [注3
] な ど、
デザ イン の基 盤 環 境 が 急 速に整備 さ れてきて い る。
ま た県 北 の 日立市で は、
活 性 化 法の地 域指 定を受 けた県 北 臨 海 地域8
市町 村の 中 核 的 支援センター
と して、
(財 ) 日立 地 区産業 支 援 センター
匚注4
]が設立 さ れ、
上 記3
セ ンター
と連 携を と りな がらデザ イン を基 軸に した支 援 機能の充 実 が 図 られて い る。
4−
2.
創造的産 業 を 支援す る機 関 連 携 県は、
つ く ば に集 積する研 究 機 関や大学 が 保 有 す る 先 端 科学技 術の研 究成果、
技 術シー
ズ、
人 材 な ど の地 域 資 源 を 最 大限に 生 かすため、
横 断的 な ネ ッ ト ワー
ク化を 図 り県 内産 業へ の技術 移 転を 積極的 に 促進してき た
。
その中核 的機能を 担っ ている (財 )茨 城県中小企 業 振 興 公 社を は じ め と し、
(財)茨城県 科 学技 術 振興 財団 [注5
]、
(株 )つ くば研究支援セン ター
[注6
]、
茨 城デ ザイン振 興協議 会 匸注7
]など11
の支援 機関、
さ ら に は 国立 研究 機 関、
大 学との産 学官 連携を 図 りな が ら企 業 支 援を展 開して い る。
こ の よ うな連 携体 制の充 実の も と に、
新 技術や新 分野 開 拓 をめざすベ ンチャー
企業が育成 さ れる環 境が整 いつ つ ある (図1)。4−3.
イ ンキュ ベー
ション・
プロジェク トの推 進 県 は 早期か ら産 業振 興におけるデザイン のは た ら き に 注 目 し、
中小企 業の自社 製 品 開発力 を 支援 する プロ ジェ ク トの推 進を行ってき た。その基 本的考 え 方 は、
新 技 術 開 発と新分 野 開拓の両面 か ら 自立化 を 支援 し、
多 様な インキュ ベー
ショ ン・
プロジェ ク ト を 企 画・
推 進しよ うとするもの である (図2
)。
以 下 にい くつかのプロ ジェ ク トの事 例を 紹介す る。
[茨城 県 地域 産 学 官 共同 研究事業 ]:1995
年 か ら1997 年の3
年 間にわ た り、
中小 企 業 庁 及び茨城県の助 成 を得て行わ れ た プロジェ ク トであ る。
県工業 技 術セ ンター
と研 究 組 合 (6
社)が 中 心 と な り、
筑 波 大 学、
筑 波 技 術 短 期大学、
茨 城大学、
県立医療 大 学、
生命 工学工業技 術研 究所 な どが参加し てコ ラボレー
ショ ン を行っ た。
本プロ ジェ ク トでは高 齢 者 支 援 機 器の 開発を移 動とコ ミュ ニ ケー
ショ ンの両面か ら行い、
電動 ス クー
ター
や 電 動 車 椅子 用の汎 用 動 力ユ ニ ッ ト、
コ ミュ ニ ケー
ショ ン機 器 「コ ムコム」な ど多く の 製 品を 開 発 し た。
電 動ス クー
ター
「ペ ル メ」は共 同 研 究に参画 し た企 業である (株 )コー
ヨー
に よっ て製 品 化さ れ、
1999
年 度 日立市 地 域産 業 創 造 賞大 賞 (後 述 )、20GO
年 度G
マー
ク を 受賞 する と ともに、
県 内 各地で運用実 験が行わ れている タ ウ ンモビ リ ティ で 活躍してい る (図3
)。
こ のプロ ジェ ク トか らは、
結果と し て2
社が自社 商 品 を 発展 的に開発し、
新た な分野へ 進 出して い る [注8
]。
[快眠ベッ ト開発 プロジェ ク ト]:1998
年か ら3
ヶ年 計 画 で行っ て い るプロ ジェ ク トで ある。
県工業技 術 セ ン ター
と企 業 研究会の 中核 企 業3
社が中心 と な り、
2
名の フ リー
ランス・
デ ザイ ナー、
筑 波 大 学、
茨 城 大 学、
茨城県立 医 療 大 学、
生命工学工業 技術研究 所、
福 祉 機器販 売 企 業 との 産 学 官 連 携による研究と して取り組み、
商 品 化の 段 階に至っ てい る。
畳 や布 図1 技 術力向上 支 援 の 概 念 図 24 sPEclAL IssuE oF JssD v。1.
8 N・・
32001 デザ イン掌 研 究特 集 号籤技 衛閣発
/
.
/
二廟簾
飆 繍 灘
1
欝
地域鬆薩業 劇造 趨 熟灘
暢繁}弘爨
聴
勲/
蕪 靆 靉
: ・…
離 濕
撫纏
雛
軍
零畳薫 r 咢押 図2 製 造 業 自立 化プログ ラ ムの概 念 図 団と いっ た 和 風 生 活 体 験で蓄 積し た睡眠の物理 的、
精 神 的快適 性の確 保 と、
日本の気 候 風土 や 居住環境 に合った 「快 眠」をコ ンセ プ トとする寝具の製品 化 を 目的として い る (図4
>。
[高 齢 者 支 援運搬 台車 開 発プロ ジェ ク ト]:1998 年か ら3
ヶ年に わた り、
工業 技 術 センター
の技 術シー
ズ と福 祉 機 器 研究会の製品 化 研 究 と を連携 する開発 事 業と して行 わ れて い る。
高 齢 者の 軽作 業な どへ の就 業を 支 援 す るパ ワー
ア シ ス ト装置の開 発 と商品 化 が、
工業技術 センター
と福 祉機 器 研 究 会に参加する 企業に よっ て進 め られてい る (図5
)。
4−
4.
デ ザイン の指 導・
教育 と 振 興 事 業県では
、
1982
年か ら工業デザイン の巡 回 指 導 を行 い、
40
社の指 導を進め て き た。
特 に 産業構 造の激 変 が 起っ た1990
年以降で は、
1993年 か ら毎 年 集 中 的 にデザ イン の技 術指 導を行う技 術 者研 修 事 業デザイ ン課 程 を 実 施 し、
7
課 程 161 名の受講を 数 えて いる。
1994
年 か ら は オンリー
ワ ン研究 会活 動 推 進 事 業 と し てデザイン研 究 会を継続的 に 実 施 し、
7
研 究 会51
回 の講 議・
演 習 等 を 開講し、
291 企業 が 参 加 してい る。
また 茨 城デザイン研 究 会を 1995〜1996
年 に か けて 行い、
デ ザイン振 興の方 策を 策 定 す る 他、
デザイン 開 発支 援 事 業や新ブ ラ ン ド創造 研 究 会、
ユ ニバー
サ ルデザ イン・
シ ンポジ ウム等を開 催してい る。県が行っ て いる開 発ア ドバ イザ
ー
派 遣事業である テクノエ キス パー
ト に は280
名 が指 名さ れて い る が、
その4,
3
%に あ たる12
名 は デ ザ イン の専門家で 図3 電 動ス クー
ター
「ペル メ」 図4 快 眠ベ ッド 図5 高齢 者 支 援 運 搬 台車ある (プロ ダク トデザイン
5
名、
グラフ ィ ッ クデザ イン3
名、
イン テリ アデ ザイ ン2
名、
人 間工学イン タフェー
ス2
名 )。
1996〜2000
年の5
年 間 で42
社の デ ザイン指 導を行っ て い る。
工業 技 術セ ンター
は広く県 内にデザインを振興す る 目 的で、
1989年よ り毎 年 「デ
ザ イン フェスタ1 を 実 施 してき た。
1993
年か らは県 内のデザイン団体で あ る茨 城 デ ザイ ン 振 興協 議 会 (「IDPC
」と略 す )と の共 催に よ り実施し、1998
年 以降 はIDPC
に業 務を 依託し て い る。 4−
5.
特定 地 域 活性 化の た めのデザイン振 興施 策構 造 的 問題を か か える産 業地 域 に 対 し て は 特 に集 中的 な支 援を行 う事 業が進め ら れてお り
、
デ ザイ ン も その一
翼を担っ て い る。 [県 北地域 産 業の活性 化 ]:茨 城 県の北部 に 位 置 す る 日立市は、
大 手 企業の企業城 下 町 と してその発 展基 盤を築き 上 げてき た が、
近 年の企 業 間 構 造の急 激な 変 革に よ る受 注先・
受 注量の減少 な ど に よ り、
関 係 中小製 造 業は厳しい経営環 境に 直 面し て い る。
活性 化法の地 域 指 定 を 受 け た 県 北臨海 地 域8 市町村の 中 核 的 支 援 センター
と して、
(財 )日立 地区産 業 支援セ ンター
(前 述 ) が 設立さ れ、
地域の 中核 業 種の高 付 加 価 値 化 や 成 長 産 業 分 野へ の展 開を支 援 する各 種の 施 策をデザイン も含め て展 開し てい る。
ま た、
県工 業 技 術セ ンター、
(株 )ひた ち な かテ クノセンター
等 と連 携しな がら、
新 機 能 性 材 料応 用 技 術、
高 齢 者 用 福 祉 技 術、
環 境に優しい 工業シ ス テムの三 つ の成 長 分 野で の産 学 官に よ る共同研 究に取 り組 んでい る。
さ らに、
市 内に おい て事業活 動 を 営 む あ ら ゆ る産 業 分野の中小企業の自立化や 新分野 進 出、
活 性 化 を 促 進するための顕彰 事 業「日立 市 地 域 産 業 創 造賞」匚注9
ユを実 施し、
中小企 業の開発の動 機 付ける役割を 担 いつ つ 多く の成果を 上げて い る。
これ まで、
「介 護 支 援ナ ビシ ステム 」、
「家 庭 用生 ゴミ処理 機」、
「電 動 三 輪 車」、
「目視 検 査シ ステム 」が大 賞に選 定さ れ た。
[県 西 地域産 業の活 性 化 ]:県の西 部 中央に位 置す る 笠間市な ど 1市2
町 ユ.
村に は 良質 な 花崗岩の産地と して、
石 灯籠や 建 築 石材、
墓石等の 石工品等 製 造 業 が集 積し、
地 域 経 済 の 中核を なしてき た。
し か し1980
年 代 以 降の安価な 外 国 製 品の流 入急 増は、
人件 費の格 差が その ま ま 大 幅 な 価格 格 差となり、
産地 全 体の国 際 的 競 争力 を 低 下 さ せ て き ている。 こ のた め、
県は独 自 製 品の開 発や 高 度 な 加 工技 術開発、
コ ッパ・
ス ラッ ジの有 効 活 用な ど に よ る 産 業の 活性 化を 図 る た め、
活性化法の地域 指定 を 受 け 各種の活 性化事 業を展開してい る。 事 業 内 容と しては、
工業 技 術 センター
及び (株 )つ く ば研 究 支 援センター
等 の支援 機 関に よ る研 究開 発、
技 術、
人材 育 成、
交 流・
連 携、 販 路 開 拓な どの 支援を 柱 と する各種の事 業、
企業グルー
プ三社が 取 り組 む技 術・
製品 開発で ある 墓石の製 造工程 自動 化と墓 石 イ メー
ジデー
タ検 索シ ステ ムの構 築、
端 材を 活用し たス テー
ショナ リー
等 の製品 開発、
そ ばコネ 鉢な どの凹面状 加工技 術 と製 品の 開 発 などに取 り組んでい る。
特に 墓 石の イ メー
ジデー
タ検 索シ ス テ ム の構築に 関 して は、
工 業 技術 セン ター、
筑 波 大 学、
開発事 業 者3
者 に よ り県単 事 業 「つ く ば産 学 官共 同研究」を 実 施 す る など、
産 地 企 業、
支 援 機 関を含め た産 学官 連 携による研究 協力 体 制で強力に取 り組 ま れて い る (図6)。
図6 墓 石のイメー
ジデー
タ検 索シ ス テ ム 4−
6.
地 域アメニ ティとデザイ ン県はこれ まで
、
工業技 術 センター
や テ ク ノデ ザイ ン セ ンター
を拠 点と して、
産 学官 連携の も と にデザ イン に関する啓発事業や 人 材 育 成事 業、
開発 事 業を 実 施してきており、
デザインを 経 営 資 源 とす る 中 小 企業の ニー
ズは顕 著に現れつ つ ある。一
方、
高 齢社 会、
環 境 問 題、
国際化対 応、 情 報 社会 な ど、
今 日 的 社会問 題に係わ るデ ザイ ン 課題は、単に企業の製 品化ニ
ー
ズの解 決ば か りでな く、
快 適な 生 活 環境の 整 備や産 業界の活 性化 など、
よ り広 範 な 役割が 求 め ら れ ている。 こ のよ う な観点 か ら、1999
年よ り県及び 茨 城デ ザイ ン振興 協 議 会 と連 携しつ つ、
ユ ニ バー
サ ル・
デ ザインへ の 取り組み を始め、
普及啓発 を目的 とした 展 示会、
シ ンポジ ウム、
講 演会、
、
技 術 者 研 修 な ど一
連の 事 業 展開に取り組んできて い る。
さら に、
2001
年 度に は技 術 的 手法の研 究 や 具体 的な事例 展 開を 目的とする 研究 会を 計 画 して お り、
産 と 官 を 繋ぐデザ イン団体の ク リエー
ター
と しての役割が求 め られて い る。
4
ヲ.
地 域 資源のブラ ン ド化 茨 城 県は、
気 候風 土 や首都 圏 に 近 接する な どの地 理 的 特 性か ら、
有 数の一
次生 鮮 食 料 品の供 給 地であ る。一
方、
レ ンコ ン や栗、
サツマ イモ、
ハ マ グ リ、
納 豆、
干しイモな ど、
全国1 、2
位を誇る優れ た 原 材 料を産して いな が ら、地 域の魅 力やユ ニー
ク さ を 全 国に誇れる 2 次加工産品 が少なく、
年間2,
700
万 入 に及 ぶ観光 客の欲 求に応 えて い な い こ とが指 摘さ れ て き た。
新 ブランド創造 研究会 は、
茨城 ブラ ンドの 高付加価 値型 商 品 づ く りの課 題 に 対 応 するた め、
関 係業 界、
支援 機関、
有 識 者 及 び工業 技 術 センター
と で フォー
ラ ム を 構 成 し、
土産品と し て の社 会 的ニー
ズ や 食品の基本ニー
ズ、
消 費者の選 択 的ニー
ズに合 致 し た商 品 開 発 指 針づ く り を 目的として、
1999 年か ら2
年 間にわ た り取 り組ん でいる (図7
)。
こ の事業 に おいて は、
市場 や 消 費 者ニー
ズの認識 あ るいは 仮 説提 案に も とつく企画 力 な ど、
生 産 と需 要との 間を 統 合 的に コー
ディネー
トできるデザイ ナー
の 役割が 期 待さ れ ている。
5.
ベ ンチャー
企 業の活 動 上記の よ うに多 様なデザ イン施 策を集 中的に行う 中 か ら、
デ ザインを 基軸に し たいくつ かの成 功 事 例 が 生 ま れ始めて い る。 そ の 中か ら、
2
つ の ベ ン チャー
企業の事 例を紹 介 する。 {シ ステム・
プロダク ト株 式会 社 ]:技 術 オリエ ン テ ッ ドであっ た 会社が デ ザ イン機能を と り こ む こ と で、
新 た な ビ ジ ネスを開 拓し、
ベ ンチャー
企業と し て活 躍 し始 め た 事 例である。
シ ス テ ム・
プロダ ク ト 社は 1973年に設 立 さ れ た 会社で、
日立製 作所の関連 企業の下 請 け企 業とし てコ ンピュー
タの ソ フトウェ ア開発を中心に事 業を 展 開して き た。
1994
年に実 施 され た技 術 者研 修 事 業 デ ザイ ン 課 程 (上述 )の茨城園
繭
蠡
●
§
§
§
●
⇒
図7 新 ブラ ンド創 造 研 究 会の活 動の概 念図県テク ノ 大学校 セ ミ ナ
ー
に参加したス タッ フが、
自 社 製 品 開 発 に よ る自立とデザ イン の重要性 に めざめ たこと に よ り、
1995
年 か ら行わ れ た県地域 産 学 官共 同研 究 事 業の研究組 合 に参 加。一
連の開発 プロセス を踏んで、
手書きで コ ミュ ニ ケー
ショ ン を行う装置 「Comcom
(コム コム)」 (前 述) を 生 み 出した。
その 経 験をもと に、
1996 年に社内に 「デ ザインセ ンター
」 を 設立し、
音 声 認 識 装 置 など新製 品の企画・
研究を 行って いる。
その 成 果 として メー
ル ソ フ ト「Comcom
め〜
る1
」、
日本の家 紋の デー
タ集である 「か も ん か も ん」、
「か お か おぱれっ と」な どのパ ソコ ン・
ソ フ トを 次々 と 開 発 し、
マ スコ ミ か ら も注目 を集めて い る (図8
)。
シ ス テム・
プロ ダク ト社は、
デザイン の 機 能を取 込むことで自 立 型企 業に転 換しつ つ あり、
若 手 社 員の積極参加 (委 員会型の 開 発)や大 学生 を 含む外 部デ ザイナー
との積 極 的コ ラ ボレー
ショ ンな ど、
その 企 業マ ネー
ジ メン トも大き く変 革さ せて い る。
図8 シ ス テ ム・
プロダクト社の製品事例 [(有 )ま ちづく りカ ンパニー
]:総 合 広 告制 作会社を 経 営 しIDPC
(前述)のメン バー
でも あるデザイナー
が、
土 浦 商工会 議 所 が 主宰 する 「異 業 種 交 流 会」に 参加し、
そのデ
ザ インカ を生 か し て参加者の出資を 募り、
ま ち づ く りの有 限会 社を 設立 (1995 年 )し た。
遊 休の蔵を利用して店 鋪のニ ュー
ア ル・
デ ザインを 行い和 菓子店を誘致 (1996
年) し た り、
空 き店 舗を 有 効 活用し商 店 街に賑いを 生み出 そ う と す る 取 り組 みを支 援 するなど、
町の景 観 づ く り や 活性化に大き く 貢献し ている。
ま た、
カメ ラマ ンや 翻 訳家などの 人 材 ネッ トワー
ク を発 足さ せ、
仕事の共 同 受 注 や 自 治体な ど とのパイブづ く り も進めてい る。
ま ちづく りセンター
の設 置やコ ミュ ニ ティ・
ビ ジ ネスな ど が 注目さ れる中で、
その 先端 的 な取り組み と して注 目 に値 する。
(図9
)。
図9 蔵 を 利 用 し た 和 菓 子店 6.
産業 支 援に お け る 今 後 の 課 題ま と め に か えて
、
県の産業振興に対 象 を 絞 り、
デ ザインの 今 後の課題につ い て述べ る。
茨 城 県 に お け る 産業とデ ザインを取り巻く状 況 は、
大 き な 変革 期 を 迎 え てい る。 し か し地域 産 業の 状 況は一
向に改 善 する兆しを 見せず、
高 度 経済成 長時 代の いわゆる“
護 送船 団 方式”
に 替 わ る 新 しい産 業の フ ォー
メー
シ ョ ンも はっ き り と は 見 え ていない。 ベ ンチャー
企 業と い う概 念もイメー
ジ が一
人 歩 きし、
明 日の可 能 性を提示するよ うな輝く成 功 事 例は未 だに見られ な い状況である。
それで もな お、
既 存の産 業構 造に安 住せ ず新た な 可 能 性 を 求 め る多 様 な 萌芽 的活動に期 待し支 援を強 化す る 取 り組 み を行うべ きと考える。
アジ ア諸 国を中心とする後発の 生産 諸国の追い上げ に対し、
我が 国の、
そ して地 域の産 業の強み を維持・
拡 大 するた め に は、
創造 的 チャ レン ジを継 続 的に進 め 開発 力を高める以外の道は ないと考え る か らであ る。
そのた め に は、
1990
年代に行わ れ た多様 な 活 動を 更に効果的に進 め る 必 要 があ るだろう。
センター
機 能の 充実は、
単に施設 や組 織を 立 ち 上げただけ で は不 十 分であ る