地学雑誌 Journal of Geography 115 (5) 582-605 2006
バ ルセ ロナ におけ る居住地 の編成要 因 としての
出身地集 団に関す る考察
竹 中 克 行*Geographical Origin as a Cohesive Factor of Residential Areas in Barcelona
Katsuyuki TAKENAKA*
Abstract
In-migration to Barcelona in the twentieth century was not only a population influx from ru-ral Spain, but an incoming of people imbedded with a distinct culturu-ral and linguistic background from that of the local Catalan-speaking people. This article analyzes the impact of in-migration on the configuration of residential areas in Barcelona from 1970 to 1991; that is, twenty years from the decline of the migratory inflow until the arrival of a period of intensive urban renewal. Among the various steps of the analysis, geographical origin as a cohesive factor of the residing population is contrasted with two other factors: professional status and lifecycle.
A multivariate analysis applied to the population of census tracts draws quite a clear picture of four clusters defined by geographical origin, but none of them is composed of exclusive urban spaces occupied only by people of a specific origin. Furthermore, the distribution of the four groups shows considerable overlaps with that of professional clusters and that of lifecycle clus-ters, so segregation by geographical origin is, to a certain degree, due to different socioeconomic compositions found among the four groups. This interpretation is supported also by another analysis based on the index of dissimilarity, by which the effects of various socioeconomic vari-ables on residential patterns are statistically evaluated.
After clustering the dwellings of Barcelona by a similar method to that applied to the popu-lation, a cross-tabulating analysis reveals that the living conditions of the dwellers show a re-markable disparity by groups of different geographical origin-a disparity related not only to the qualitative aspects of the dwellings themselves, but to the situation and the accessibility of the neighborhood in which they are inserted. However, differences in socioeconomic composition mentioned above are also behind the unfavorable conditions of the newcomers, which in turn have been experiencing major changes through improvements in housing equipment and also in the surrounding infrastructure.
Key words : in-migration, geographical origin, residential area, multivariate analysis, Bar-celona
キ ー ワ ー ド:人 口 流 入,出 身 地,居 住 地 多 変 量 解 析,バ ル セ ロ ナ
*愛 知県 立大 学外 国語 学部
* Faculty of Foreign Studies
I . 序 論 1) 研 究 の 背 景 20世 紀 の スペ イ ンは,中 南 米 や ヨー ロ ッパ 諸 国 へ の移 民 ・出 稼 ぎ と と も に,大 規模 な 国 内 人 口移 動 を経験 した。 と くに,フ ラ ンコ体 制期(1939∼ 1975年)の 最 後 の15年 間 に は,年 平 均 実 質 成 長 率 に して 約6.8%の 高 度 経 済 成 長 の 下 で,活 発 な 雇 用 創 出 が み られ た カ タル ー ニ ャ,マ ド リー ド,バ ス ク な どの地 方 に 向 け て,大 量 の 人 口移 動 が発 生 した(竹 中,1996)。 ス ペ イ ンの 国 内 人 口移 動 は,低 開発 地 域 か らの 労 働 力 の 移動 で あ っ た だ け で な く,言 語 文 化 的 な 基 盤 を異 に す る 地 方 の 問 を 人 々 が移 動 し,多 様 な 出 身 地 集 団 が 共存 す る過 程 で もあ っ た。 人 口流 入 地 と して と りわ け 重 要 な北 東 部 カ タル ー ニ ャ地 方 は,国 内 最 大 の 工 業 地域,バ ル セ ロ ナ大 都 市 圏 を 擁 す る発 達 した 都 市 産 業 地域 で あ る 。 しか し同 時 に,カ ス テ ィ リ ャ語(ス ペ イ ン語)と は異 な る 固 有 の言 語,カ タル ー ニ ャ語 が 話 され,独 立 王 国 の 中心 だ っ た 中世 の 歴 史 的 記 憶 に支 え られ た ナ シ ョ ナ リズ ム 運 動 が展 開 す る言 語 文 化 地 域 で もあ る。 カ タル ー ニ ャ語 は,フ ラ ン コ体 制 下 で 公 的 な 場 で の 使 用 を禁 じ られ たが,カ タ ル ー ニ ャ生 ま れ に とっ て は,日 常 語 で あ る と同時 に仲 間 を区 別 す る 標 識 と し て の 意 味 を保 っ て きた(竹 中,2005)。 これ に対 して流 入 者 は,カ タ ル ー ニ ャ語 が 話 され て い る近 隣 地 域(図1中IIIの 一 部)の 出 身者 を 除 い て カス テ ィ リ ャ語 地 域 の生 ま れ で あ り,ス ペ イ ン北 西 部 出 身(図1中IVの 西 部)の ガ リ シ ア 語 話 者 も一 部含 まれ て い た 。 1970年 代 半 ば に な る と,エ ネ ル ギ ー危 機 に始 ま る長 期 的 な不 況 の 下 で カ タル ー ニ ャへ の 人 口流 入 は衰 微 し,以 後,流 入 者 の カ タル ー ニ ャへ の定 着 と世 代 交 代 が 進 んで い った 。 フ ラ ン コ体 制終 焉 後 の 民 主 政 下 で は,1979年 に カ タ ル ー ニ ャ 自治 州 が設 置 さ れ,カ ス テ ィ リ ャ語 と と も に 自治 州 の 公 用 語 の地 位 を獲 得 した カ タ ルー ニ ャ語 は,日 常 語 と して の み な らず,教 育 や 職 業 生 活 で 用 い られ る 言語 と して重 要 性 を さ らに高 め た。 バ ル セ ロ ナ を 中心 とす る カ タ ル ーニ ャへ の 人 口 流 入 に つ い て 論 じ た 既 往 の 文 献 で も,こ れ を 言 語 文 化 地 域 た る カ タ ル ー ニ ャ へ の 移 動 と捉 え る も の が 多 い 。1920年 代 の プ リ モ ・デ ・リ ベ ラ独 裁 期 の 人 口 流 入 を カ タ ル ー ニ ャ 民 族 の 存 立 基 盤 を 侵 食 す る 脅 威 と み な し たVandell6s(1935),フ ラ ン コ体 制 下 で 流 入 者 の カ タ ル ー ニ ャ 社 会 へ の 統 合 に つ い て 論 じ たCandel(1964)やPujol(1976), 流 入 者 コ ミ ュ ニ テ ィ の 実 態 を 内 側 か ら 明 ら か に し たMartin Diaz 1992)な ど が そ の 例 で あ る 。 ま た, Maluqueri Sostres(1963), Pinilla de las Heras (1979), So16(1981,1988)は,職 業 生 活 上,流 入 者 が 著 し く劣 位 に お か れ て い る と の 指 摘 で 一 致 し て お り,Sol6は,そ の 最 大 の 要 因 を 言 語 文 化 的 な 障 壁 に 求 め て い る 。 ま た 竹 中(2002, 2003)は,職 業 集 団 編 成 に 関 す る 分 析 に ラ イ フ サ イ ク ル の 観 点 を 織 り込 ん だ も の で あ る 。 し か し,こ う し た 研 究 の 蓄 積 に も か か わ ら ず, 言 語 文 化 的 ・基盤 を 異 に す る 出 身 地 集 団 の 存 在 が 中 心 都 市 バ ル セ ロ ナ に お け る 居 住 地 の 編 成 に 与 え た 影 響 に つ い て は,十 分 明 ら か に さ れ て い な い 。 た
し か に,Estevai Fabregat(1978)や BoteyVa-11bs(1997)な ど,閉 鎖 的 な 流 入 者 地 区 の 形 成 や 出 身 地 集 団 間 の 接 触 の 欠 如 を 指 摘 す る 文 献 は 少 な くな い が,い ず れ も経 験 に も とつ く問 題 提 起 の 域 を 出 て い な い 。 実 証 研 究 の 代 表 例 と 思 わ れ る Oy6n(2001)は,1930年 時 点 の バ ル セ ロ ナ に つ い て,市 住 民 調 査 か ら の 標 本 抽 出 に よ っ て131 街 区 を 単 位 と す る社 会 地 区 類 型 を 構 築 し た 。 し か し,類 似 の 試 み は,個 人 デ ー タ保 護 な ど に 関 す る 資 料 的 制 約 も あ っ て,よ り最 近 の 人 口 に つ い て は ほ と ん ど 行 わ れ て い な い 。 例 外 と し て,1990年 バ ル セ ロ ナ 広 域 都 市 圏 社 会 調 査 に 国 勢 調 査 デ ー タ を 組 み 合 わ せ たLozaresi Dominguez i Amor6s (1993,1996)の 試 み が あ る が,街 区 レ ベ ル に 関 し て は,実 験 的 に グ ラ シ ア 地 区(図2)の 社 会 地 区 類 型 を 例 示 し て い る だ け で あ る 。 他 方,居 住 地 の 編 成 を 理 解 す る に は,空 間 的 な 人 口 分 布 を 分 析 す る だ け で な く,そ れ を 居 住 環 境 の 差 異 と対 応 さ せ て 捉 え る の が 効 果 的 で あ る 。 と く に,い く つ も の 前 近 代 の 集 落 を 残 しつ つ,そ の 空 隙 を 埋 め な が ら 開 発 が 進 ん だ バ ル セ ロ ナ で は,
地 形 の起 伏 の激 しさ も相 侯 っ て,場 所 に よ る住 宅 の質,社 会 基 盤の 整 備状 況,交 通 ア クセ ス の 格 差 が 著 しい。 こ う した居 住 環 境 の 格 差 は住 宅 の 供 給 時 期 の違 いや 住 宅 価 格 と関係 し合 う と考 え られ る か ら,各 出 身地 集 団 の 居 住 地 は 居 住 環 境 の 面 で も大 き く異 な っ て い る は ず で あ る.し か し,先 行 研 究 は け っ して 十 分 で は な い。Bonali Costa (1978)は,1970年 頃 の バ ル セ ロ ナ を 対 象 に, 居 住 環 境 評 価 に よ って 設 定 され た 区 域 ご とに 居 住 人 口の 社 会 経 済 的 属 性 を検 討 して い るが,流 入 者 につ い て は ア ン ダル シ ア地 方 生 まれ 以 外 の 出 身 地 集 団 を区 別 せ ず,資 料 的 ・方 法 的 に も不 明 瞭 な 点
が 多 い 。 また Centre de Polfticade S6l i Valora-cions(1987)は,不 動 産 取 引 に 関 す る抽 出 調 査 に も とつ い て 街路 レベ ル で住 宅 の質 を評 価 して い るが,居 住 人 口 との 関連 付 け は行 っ て い な い。 2) 研 究 の 目的 以上 の よ うな先 行 研 究 の状 況 をふ ま えつ つ,本 稿 で は,バ ル セ ロ ナへ の 人 口流 入 の結 果 生 じた多 様 な 出 身 地集 団 の存 在 が 居 住 地 の編 成 に与 えた 影 響 に つ い て,居 住 環 境 の視 点 を取 り入 れ なが ら検 討 す る こ とを 目的 とす る。 手 順 と して は,ま ず バ ル セ ロ ナ に お け る 居 住 地 域 の 形 成 を概 観 し た の ち,居 住 地 の編 成 に介 在 す る要 因 と して,出 身 地 図 1 バ ル セ ロ ナ 人 口 の 年 齢 ・出 身 大 地 域 別 構 成(1970年/1991年). バ ル セ ロ ナ の 年 齢 別 総 人 口 を 淡 い 塗 り つ ぶ し で 示 し た .老 年 人 口 に 関 す る 年 齢 別 デ ー タ が 得 ら れ な い 1970年 に つ い て は,65歳 以 上 の 総 人 口 を 一 括 し,60∼64歳 と65歳 以 上 の 数 値 を も と に 構 成 比 の お お よ そ の 変 化 を 描 い た.出 身 大 地 域 の う ち,Hは カ タ ル ー ニ ャ 自 治 州 か ら バ ル セ ロ ナ 県 を 除 い た 部 分 で あ る, カ タ ル ー ニ ャ 語 が 話 さ れ て い る の は1,1,お よ びIIIの 一 部 で あ る.
Fig. 1 Structure of the population of Barcelona by age and macro-region of origin (1970/1991) . (Source : Ajuntament de Barcelona, Estadistica Municipal : Tablas referentes alas caracteristicas de la pob-laciOn barcelonesa deducidas del padrOn municipal de habitantes de 1970. VolumenI; Institut d'Estadistica de Catalunya, Cens de poblaciO, 1991.)
の ほ か,職 業 お よび ライ フサ イ ク ル を取 り上 げて 分析 す る。 さ らに,住 宅 の質 を 中心 とす る居 住 環 境 の 地 域 差 を明 らか に した うえ で,人 口 と住 宅 に 関 す る分析 結 果 を組 み合 わせ て検 討 す る。 こ れ ら す べ て の 分析 は,カ タル ー ニ ャの外 か らの人 口流 入 が 最 盛 期 を 過 ぎた1970年 とそ の 約20年 後1) に当 た る1991年 の2時 点 に つ い て 行 い,流 入 者 の 定 着 と世代 交代 を通 じて居 住 地 の編 成 に起 きた 変 化 を検 討 す る。 本研 究 にお い て,居 住 地 の編 成 要 因 と して 出 身 地 と とも に職 業 と ラ イ フサ イ クル を取 り上 げ る の は,次 の 理 由 に よ る。 ま ず,KnoxandPinch 図 2 対 象 地 域 の 概 況.
(2000,100-124)や 林(2004,200-227)が 整 理 して い る よ う に,社 会 地 区 分 析,因 子 生 態 学 な ど の 方 法 で 都 市 の 居 住 地 分 化 を分 析 した 先 行研 究 の 多 くは,エ ス ニ シテ ィ,社 会 経 済 的 地 位,家 族 的 地 位 の3次 元 の 重 要 性 を 指 摘 し て い る の で,本 研 究 の 分析 枠 組 み を構 築 す る さい に も,そ う した 蓄積 を 土 台 に した 。他 方,カ タル ー ニ ャに お け る 出 身 地 集 団 と職業 集 団 の結 び付 きは先 行 研 究 が 強 調 す る とこ ろ で あ り,竹 中(2002,2003)で は ラ イ フ サ イ ク ル か らみ た流 入 人 口 の特 殊 性 を指 摘 し て い る。 した が っ て,居 住 地 の編 成 が 出 身地 要 因 の規 定 を受 け る と して も,そ れ は 出身 地 要 因 単 独 の帰 結 で は な く,職 業 ・ラ イ フサ イ ク ル要 因 と相 互 に絡 ま りあ った 作 用 の 結 果 で は ない か とい う想 定 が 成 り立 つ 。 本 稿 は,こ う した 仮 説 を実 証 的 に 検 討 す る こ と に よ って,エ ス ニ ッ クな 居 住 地 分化 に関 す る都 市 地 理 学 の 議 論 の積 み 上 げ に 貢献 す る こ と をね らい と して い る。 既 存 の都 市 地理 学 の研 究 に照 ら した と きの本 研 究 の も うひ とつ の特 徴 は,通 常,外 国 人 が対 象 と な る エ ス ニ ック な居 住 地 分 化 に 関す る分 析 を,国 内 の 出 身地 集 団 に着 目 して行 う点 に あ る。 よ り具 体 的 に い え ば,カ トリ ック教 徒 が 圧 倒 的 大 多 数 を 占 め,国 内 の宗 教 的 差 異 が 小 さ なス ペ イ ンの 都 市 にお い て,言 語 文 化 的 な基 盤 を異 にす る 出身 地 集 団の 存 在 が どこ まで 居 住 地 分 化 の 要 因 に な りう る の か とい う 問題 で あ る。 本 稿 の 対 象 時 期 を1991 年 まで と した の は,そ れ 以 後 にな る と国 内 か らの 流 入 者 が 高 齢化 す る一 方,開 発 途 上 国 か らの流 入 者 が 急 増 し,国 内 の 出 身 地 集 団 に 的 を当 て た分 析 が 難 し くな るた め で あ る 。 以 上 の 分析 を行 うに あ た っ て は,バ ル セ ロ ナ統 計 資 料 セ ン ター か ら1970年 人 口 ・住 宅 セ ンサ ス の 国 勢 調 査 区 別 デ ー タの 提 供 を受 け,ま た1991 年 人 口 ・住 宅 セ ンサ ス につ い て は,同 セ ンター の ほ か,ス ペ イ ン統 計 院 とカ タ ル ー ニ ャ統 計 院 の 計 3機 関 か ら 同様 の 集 計 デ ー タを入 手 して 基 礎 資 料 と した2)。 この う ち1970年 の調 査 区 別 デ ー タは, 統 計 処 理 の 電 算 化 が 進 んで い るバ ル セ ロナ 市 以 外 の 大 都 市 圏 の 郊 外 市 につ い て は入 手 不 能 だ っ た の で,分 析 対 象 をバ ル セ ロナ 市 に限 定 して 集 中 的 な 検 討 を加 え る こ と を本 研 究 の 方 針 と した 。 以 下, た ん にバ ル セ ロナ とい う と きに は,中 心 市 た るバ ル セ ロナ 市 の み を指 す もの とす る。 な お,居 住 地 の編 成 は都 市 内 人 口移 動 か ら も影 響 を受 け る と考 え られ る。 しか し,バ ル セ ロ ナ の 場 合,市 内 人 口移 動 統 計 が 区単 位 で しか 得 られ な い こ とに加 え,対 象 時 期 の人 口移 動 が 市 内の 転 居 で は な く郊 外 化 に よ る市 外 へ の 流 出 を最 大 の 特 徴 とす る こ とか ら,本 稿 で は都 市 内 人 口移 動 につ い てあ えて 検 討 しなか った こ と を断 って お きた い 。 II . バ ル セ ロナ に お け る居 住 地 域 の 発 展 過 程3) バ ル セ ロナ の 市 街 地 の うち,海 岸 か らア ラ ゴ 通 り付 近 まで は モ ンジ ュ イ ク山 を 除 い て比 較 的平 坦 で あ る が,そ れ よ り も陸側 は コ イ サ ロ ラ 山脈 に 向 け て 傾 斜 が 強 ま っ て い る(図2)。 バ ル セ ロ ナ の 人 口 は,1970年 代 に約175万 人 に達 した が,市 外 に 向 け た 郊 外 化 に よ っ て 減 少 に転 じ,1991年 に は 約168万 人 と な っ た 。 面 積100km2と 比 較 的 小 さ な市 域 の約 半 分 は産 業 用 地 や 山林 ・緑 地 で あ り,商 業 施 設 が 混 在 す る住 宅 地 は全 体 に高 密 度 の 居 住 空 間 を な して い る(図3)。 バ ルセ ロ ナ にお け る交 通 網 の 整 備 は,1863年 , 西 郊 の サ リ ア を都 心 と結 ぶ サ リア鉄 道 が 開通 した こ と を 皮 切 りに 始 ま っ た。1870年 代 に は路 面 電 車 が登 場 し,都 心 か ら放 射 状 に延 び る路 線 網 が 形 成 さ れ た。 プ リ モ ・デ ・ リ ベ ラ 独 裁 期 に は, 1929年 の 万 国博 覧 会 開 催 に先 立 っ て 地 下 鉄 が 開 業 した が,地 下 鉄 網 の 拡 大 は な か な か 進 ま ず, 1970年 時 点 で も,バ ル セ ロナ に合 併 さ れ た市 の 中心 集 落 が都 心 と結 ばれ た程 度 で あ っ た(図3)。 急 激 に市 街 化 した郊 外 で は,路 面 電 車 の 敷 設 す ら 追 いつ か な い こ と もあ った 。 そ の 後,自 動 車 交 通 の 発 達 と と もに 路 面 電 車 は1971年 に 全 廃 され, そ の 路 線 の 多 くが バ ス に継 承 され た 。 また,国 営 鉄 道 や サ リ ア鉄 道 の 後 身 で あ る 自治 州営 鉄 道 の近 郊 電 車 が,市 民 の 日常 の 足 と して 重 要 性 を 高 め た 。 バ ル セ ロ ナ の 都 市 空 間 は,19世 紀 半 ば まで に 形 成 さ れ た 旧市 街,19世 紀 半 ば以 降 に計 画 的 に 建 設 さ れ た 拡 張 地 区(Eixample),1900年 前 後
図 3 バ ル セ ロ ナ に お け る 市 街 地 の 形 成 過 程.
図 中 の 交 通 網 お よ び 非 住 宅 地 の 分 布 は,1990年 代 前 半 の 状 況 を 反 映 して い る.住 宅 地 の 分 類 は,現 存 す る 建 物 で は な く,市 街 地 と し て の 形 成 時 期 を 示 した もの で あ る,
Fig. 3 Historical evolution of Barcelona.
(Source: Elaboration based on Alberch i Fugueras ed., 1997-2000; Busquets, 2004; Guardia et al., 1994, 63-93; So-breques i CallicO ed., 1995, 1997, 2001; Transport Metropolita de Barcelona, 1998; Alemany y Mestre, 1986; Ferrer i Aixala, 1974, 1982, 1996; and cartographic material provided by Ajuntament de Barcelona.)
に合 併 さ れ た8つ の 市 の 中 心 集 落,20世 紀 半 ば 以 降 に形 成 さ れ た 郊 外 に大 き く分 か れ る。1950 年 に画 定 され た12の 区 は,フ ラ ンコ体 制 終 焉 後, 民 主 化 さ れ た市 政 に よ っ て1984年 に 再 編 され, 10の 区 の う ち3区 ∼10区 が か つ て合 併 され た市 の 名 称 や 領 域 を あ る 程 度 反 映 して い る(図2)。 現 在 の1区 に 相 当 す る 旧 市 街 は,古 代 ロ ー マ 都 市 を起 源 とす る歴 史 地 区 で あ る 。18∼19世 紀 に は,産 業化 に と もな う人 口増 加 を背 景 に建 物 の 上 層 や街 路 へ の建 て増 しが行 わ れ,居 住 環 境 が 著 し く悪 化 した。 そ の後 部 分 的改 善 は あ っ たが,多 数 の行 政 ・文化 施 設 の傍 らに衰 退 地 区が 横 た わ る 状 況 が大 き く変 化 した の は,都 市 再 生 事 業 が 本 格 化 した1980年 代 以 降 の こ とで あ る 。 約140m間 隔 の格 子 状 街 路 を 特 徴 とす る拡 張 地 区 は,お お む ね現 在 の2区 と10区 の範 囲 に相 当 し,旧 市 街 の 過 密 化 が 限界 に達 し た19世 紀 半 ば以 降 に建 設 され た 。2区 で は グ ラ シア 通 り周 辺 を 中心 に有 力 企 業 の オ フ ィス や 高 級 店 が 立 地 した の に 対 し,10区 は 工 場 が 建 ち並 ぶ 産 業 地 区 と し て 開 発 さ れ た。1950∼1960年 代 に は,10区 の 海 岸 沿 い に流 入 者 の ス ク オ ッ ター 集 落 が 形 成 さ れ,そ の 北 西 に位 置 す る コル ツ ・カ タ ラナ ス 通 り 周 辺 で は,公 的 開 発 ・補 助 に よ る 集 合 住 宅(以 下,「 公 的集 合 住 宅 」 と略 す)が 多 数 建 設 され た 。 合 併 市 を起 源 とす る市 街 地 の ほ とん どは,拡 張 地 区 の さ らに外 側 に位 置 す る 。 この う ち現 在 の5 区 で は,19世 紀 末 以 降,新 興 ブ ル ジ ョア ジー を 中心 とす る富裕 層 が 中心 集落 の外 側 に競 うよ うに 別 邸 を建 て,フ ラ ン コ体 制 期 に は,バ ル セ ロ ナ の 代 表 的 な高 級 住 宅 地 とな っ た 。 や や 遅 れ て,4区 の デ ィア グ ナ ル通 りの北 側 も高 級 住 宅 地 と して注 目 され る よ うに な っ た。 3区 ・4区 ・6区 ・9区 で は,中 心 集 落 周 辺 が 1930年 代 ま で に ほ ぼ市 街 化 さ れ た 。 広 大 な3区 の南 側 に位 置 す る ゾ ナ ・フ ラ ンカ は,保 税 地 区 の 指 定 を 受 けた 産 業 用 地 で あ り,多 数 の ス ポ ー ツ ・ 文 化 施 設 が 立 地 す るモ ンジ ュ イ ク 山 に は,か つ て 流 入 者 の ス ク オ ッ タ ー集 落 が み られ た 。 また,9 区 に は大 規 模 な鉄 道 操 車 場 が あ り,そ こか らバ ゾ ス 河 岸 ま でが 産 業 用 地 と して 開 発 され た 。 残 る7区 ・8区 は,両 者 の 境 界 に 位 置 す る 中 心 集 落 を 別 に す る と,市 内 で は も っ と も市 街 化 の 歴 史 が 浅 い 。1960年 代 前 後 の 人 口 急 増 期 に は,道 路 整 備 に 先 立 っ て,法 律 の 定 め る 建 築 基 準 を 無 視 し た コ レ ア(corea)と 通 称 さ れ る 家 屋 が 北 方 の 傾 斜 地 に 乱 立 し た 。 コ レ ア は,合 法 的 所 有 地 に建 設 さ れ て い る 点 で ス ク オ ッ タ ー 集 落 と は 異 な る 。 公 的 集 合 住 宅 が も っ と も 多 く建 設 さ れ た の も こ れ ら2つ の 区 で あ る 。 こ こ で,急 激 な 人 口 流 入 に よ る 住 宅 不 足 へ の 対 応 を 目 的 と した 公 的 集 合 住 宅 開 発 の 主 な 事 例 を 概 観 し て お き た い 。 こ の 種 の 住 宅 と し て 最 初 の も の は,プ リ モ ・デ ・リ ベ ラ独 裁 期 に バ ル セ ロ ナ 住 宅 公 団 が 市 街 地 周 縁 の4箇 所 に 造 成 し た 「廉 価 住 宅 」 (casesbarates)で あ る(図3中 の3,12,17, 35)4)。 フ ラ ン コ 体 制 初 期 に は,市 住 宅 院(2, 19, 24, 29, 31, 32),国 の 家 庭 事 業 組 合(OSH) (4, 5, 6, 16, 26, 27),バ ル セ ロ ナ 県 民 政 庁(7) が 団 地 造 成 を 手 が け た ほ か,1952年 国 際 聖 体 大 会 開 催 の 機 に は 「大 会 住 宅 」 が 建 設 さ れ た(25)。 ま た,1954年 の 低 価 格 住 宅 法 制 定 後 は,公 的 補 助 を 受 け た 民 間 業 者 に よ る 開 発 が 本 格 化 し た (13,23,33)。 大 部 分 の 公 的 集 合 住 宅 は ま だ 市 街 化 の 波 が 及 ん で い な か っ た 周 縁 部 の 傾 斜 地 や 産 業 地 区 の 近 傍 に 立 地 し,ス ク オ ッ タ ー の 収 容 を 目 的 に 掲 げ た も の も あ っ た(4,7)。 こ の 意 味 で, 多 様 な 層 の 入 居 者 を 募 っ た 「大 会 住 宅 」(25)は, 都 心 へ の 比 較 的 良 好 な ア ク セ ス と と も に,公 的 集 合 住 宅 開 発 の 中 で は 例 外 的 な 存 在 で あ る 。 1958年 に は,住 宅 問 題 へ の 対 処 を 目 的 と す る バ ル セ ロ ナ 社 会 緊 急 計 画 が 策 定 さ れ た 。 同 計 画 の 下 で は,市 住 宅 院 が 改 組 し た 市 住 宅 公 団 に よ る 団 地 造 成(14,22)の ほ か,バ ル セ ロ ナ 都 市 計 画 委 員 会 と 民 問 業 者 の 連 携 に よ る 住 宅 開 発 も行 わ れ た(9,18,20,28)。 人 口 流 入 が 頂 点 に 達 し た 1960年 代 に は,全 国 住 宅 計 画 の 枠 組 み を 利 用 し た 民 間 業 者 の 参 入 が 活 発 化 し(1,10,11,15, 30,34),開 発 規 模 の 拡 大 と と も に 建 物 の 高 層 化 が 進 ん だ 。 フ ラ ン コ 体 制 成 立 を 記 念 し てOSHが 造 成 し た 団 地(21)も 同 時 期 の も の で あ る 。 ま た, 社 会 緊 急 計 画 の 強 化 を ね ら っ た ス ク オ ッ タ ー 集 落
一掃 計 画 の 下 で は ,市 住 宅 公 団 が ス ク オ ッタ ー収 容 の た め の 団 地 造 成 を手 が け た(8)。 しか し,1960年 代 を 通 じて,バ ル セ ロ ナ 市 内 の 飽和 と と もに 主 た る人 口流 入 地 は郊 外 都 市 へ と シ フ トして い っ た 。 バ ル セ ロ ナ市 内 の公 的集 合 住 宅 建 設 は 人 口流 入 が 減 少 へ 向 か う1970年 頃 に は ほ ぼ終 了 し,そ の 後 は,衰 退 産業 地 区 や鉄 道 施 設 の 跡 地 の 再 利 用 へ と開 発 の重 心 が 移 っ た。 また, 過 去 の乱 開 発 の な か で 立 ち遅 れ て い た公 共 交 通, 学 校,公 園 な どの社 会基 盤 整備 と と もに,既 存 の 住 宅 の 設 備 改 善 も進 ん だ 。 そ の 結 果,か つ て な か ば孤 立 状 態 にあ った 公 的 集合 住 宅 の多 くは,居 住 環 境 の 著 し い 改 善 を み る こ と に な る 。 さ ら に 1980年 代 に入 る と,1992年 バ ル セ ロ ナ ・オ リ ン ピ ック 開催 を挺 子 す る交 通 イ ン フ ラの 整備 や 臨 海 地 区 の再 開発 が 本 格 化 した 。 以 上 か らわ か る よ う に,本 研 究 が 対 象 とす る20年 間 は,バ ル セ ロ ナ に とっ て市 街 地 の 面 的 拡 大 か ら質 的 向 上へ の転 換 期 だ っ た とい え る。 III . 居 住 地 編 成 の 諸 要 因 1) 分 析 方 法 本 章 で は,居 住 地 の 編 成 を 規 定 す る要 因 と し て,出 身地 の ほか,職 業 と ラ イ フサ イ クル を取 り 上 げ,多 変 量 解 析 に よ り個 別 に検 討 を加 えた う え で,要 因相 互 の 関係 につ い て 考 察 す る。 分析 の 手 順 は 次 の 通 りで あ る。 まず,1970年 と1991年 の 人 口 セ ンサ ス を比 較 し,上 記3要 因 に 関 す る 項 目 を2時 点 共 通 の 変 数 と し て 整 理 した 。 両 セ ンサ ス で は 出 身 地 や 職 業 の 分 類 法 に 違 い が あ る が,一 部 の分 類 を合 算 す る こ と で ほ ぼ 同一 内 容 の 変 数 に統 一 す る こ とが で きた。 こ の う ち 出身 地 に つ い て は,1970年 セ ンサ ス の 分 類 に 従 っ て7つ の 出 身 大 地 域 を設 定 し(図1),1991年 セ ンサ ス に 記 載 され て い る17自 治 州 別 の デ ー タを 出 身 大 地域 単 位 に合 算 した。 次 に,3要 因 の各 々 につ い て,調 査 区別 デ ー タを用 い た 因子 分 析(バ リマ ッ ク ス 直交 回転)を 行 い,各 要 因 に かか わ る変 数 を よ り少 数 の 因子 に要 約 した。 さ らに,因 子 分 析 で 得 ら れ た 因 子 得 点 に ク ラ ス ター 分 析5)を 適 用 し, 調 査 区 を各 要 因 に 関す る ク ラ ス ター に 類 別 した。 以 上 の 分析 で は,両 セ ンサ ス の デ ー タを 同 時 に投 入 す る こ とで,2時 点 共 通 の ク ラス タ ー化 を行 っ た。 上 述 の よ う に,出 身 地 集 団 の構成 に よっ て調 査 区 を ク ラス ター 化 す る方 法 を と った こ との ひ とつ の理 由 は,7つ の 出 身 大 地 域 を個 別 に扱 う と分 析 が 煩 項 に な る とい う点 にあ る。 しか し よ り根 本 的 に は,個 人 レベ ルで の 複 数 変 数 の 交差 集 計 を可 能 にす る よ う な統 計 デ ー タが 得 られ ない 以 上,各 要 因 につ い て調 査 区 を色 分 け した 上 で な け れ ば,次 章 で試 み る よ う な多 様 な要 因 に また が る交 差 分析 を行 い え ない とい う理 由 に よ る。 た だ し,出 身 地 集 団 に 関す る よ り直 接 的 な分 析 を補 う意 味 で,本 章 の最 後 で は,各 出 身地 集 団 につ い て 非類 似 指 数 (index of dissimilarity)を 用 い た検 討 を行 う。 多 変 量 解 析 に あ た っ て の い ま ひ とつ の 留 意 点 は,1970年 セ ンサ ス は1059調 査 区,1991年 セ ンサ ス は1812調 査 区 と,異 な る 区割 りを用 い て い る とい うこ とで あ る。 単 位 地 区の 数 が 相 当 に異 な る2時 点 の デ ー タ セ ッ トを一 括 す る と,単 位 地 区 が 多 い1991年 の 方 に 軸 足 をお く因子 の 抽 出 お よび ク ラ ス タ ー化 が行 わ れ る可 能 性 が 高 い 。 そ れ に もか か わ らず あ え て両 セ ンサ ス を一 本 の 分 析 と した の は,分 析 結 果 の解 釈 を もっ ぱ ら抽 出 され た ク ラス ター の分 布 に も とつ い て行 わ ざ る を え な い 以 上,2時 点 を別 々 に ク ラス ター化 した の で は, 比 較 が きわ め て 困 難 に な る た め で あ る。 2) 多変 量解 析 の 結果 さて,因 子 分 析 を行 っ た結 果,出 身地 と職 業 に か か わ る変 数 は 各3因 子,ラ イ フ サ イ ク ル につ い て は6因 子(い ず れ も 固有 値1以 上)に 要 約 さ れ,累 積 変 動 説 明 量 は3要 因 と も に 約80∼ 83%と な っ た(表1)。 さ ら に ク ラス タ ー分 析 に よ り,2時 点 の調 査 区 が4つ の 出 身 地 ク ラス ター, 9つ の 職 業 ク ラス ター,7つ の ラ イ フ サ イ ク ル ・ ク ラス ター に 分類 され た の で,そ れ らを地 図化 し た(図4)6)。 先 述 の よ うに1984年 に 区 制 の 再 編 が あ っ た が,比 較 を容 易 に す る た め に,1970年 の 地 図 に も再 編 後 の 区界 を示 して あ る。 まず,1970年 の 出 身 地 ク ラス ター を み る と(図 4:01),バ ル セ ロ ナ 県 出 身 者 が7割 弱 を 占 め る
バ ル セ ロ ナ 型 は,主 と し て グ ラ シ ア,サ ン ツ,サ ン ・ア ン ド-レウ ・ダ ル ・パ ル マ な ど の 合 併 市 の 中 心 集 落 に 分 布 し,バ ル セ ロ ナ の い わ ば 旧 住 民 と し て の 特 徴 を 明 確 に 示 し て い る 。 カ タ ル ー ニ ャ 型 の 場 合 も,バ ル セ ロ ナ 県 出 身 者 が6割 強 を 占 め る が,カ タ ル ー ニ ャ の 他 県 か ら の 流 入 者 が7%ほ ど と や や 多 い.ま た,他 の ク ラ ス タ ー で は1∼2% を 占 め る に す ぎ な い 外 国 生 ま れ は,カ タ ル ー ニ ャ 型 で は5%近 くに の ぼ り,反 対 に カ タ ル ー ニ ャ 外 の 国 内 出 身 者 は 約25%と,全 ク ラ ス タ ー 中 も っ と も 少 な い 。 カ タ ル ー ニ ャ型 は,グ ラ シ ア 通 り周 辺 か ら 西 方 向 に セ ク タ ー 状 に 分 布 し て い る 。 表 1 バ ル セ ロ ナ の 国 勢 調 査 区 別 人 口 に 関 す る 多 変 量 解 析 の 結 果(1970年/1991年).
Table 1 Results of multivariate analysis on the population of Barcelona disaggregated to census tracts (1970/1991) . 1 . 出 身 地 (Geographical origin) 【因 子 分 析 】 Factor analysis 2 . 職 業 (Profession) 【因 子 分 析 】 Factor analysis 3 . ライ フサ イクル (Life cycle) 【因 子 分 析 】 Factor analysis 【ク ラ ス タ ー 分 析 】 Cluster analysis
(Source: Elaboration based on the Population Census of 1970 and 1991, data for census tracts provided by Instituto Nacional de Estadistica, Institut d'Estadistica de Catalunya and Centre de DocumentaciO Estadistica de Barcelona)
図 4 バ ル セ ロ ナ の 国 勢 調 査 区 別 人 口 に 関 す る ク ラ ス タ ー の 分 布(1970年/1991年).
両 年 次 と も,1984年 の 再 編 後 の 区 界 を 示 し て あ る.海 岸 線 は1990年 頃 の も の で あ る.白 抜 き は ク ラ ス タ ー 分 析 で 外 れ 値 と し て 除 外 さ れ た 国 勢 調 査 区,破 線 は 公 的 開 発 ・援 助 に よ る 集 合 住 宅(本 文 中 の 番 号 と 対 応)を 表 す.
Fig. 4 Distribution of the clusters for the population of Barcelona disaggregated to census tracts (1970/1991) . (Source : See Table 1.)
旧流 入 者 型 は,バ ル セ ロ ナ県 出 身者 の ほか,カ タ ル ー ニ ャ外 か らの流 入 者 を4割 弱 含 み,そ の 半 分 以 上 を東 部 ・北 部 出 身者 が 占め る。 これ ら大 地 域 か らの 人 口 流 入 が 活 発 化 した の は プ リモ ・デ ・ リベ ラ独 裁 期 の1920年 代 だ っ た の で,相 対 的 に 古 い時 期 の流 入 者 を多 く含 む ク ラス ター とい う意 味 で 旧流 入 者 型 と名 付 け た。 これ に対 して 新 流 入 者 型 の場 合 に は,5割 弱 を 占 め る カ タル ー ニ ャ外 か らの 流 入 者 の う ち,約4分 の3は フ ラ ン コ体 制 期 に増 加 した 内 陸 部 ・南 部 か ら の 流 入 者 で あ り,バ ル セ ロ ナ 県 出 身 者 は5割 弱 と,全 ク ラ ス タ ー 中 も っ と も少 ない 。 これ ら2つ の ク ラス ター の 分 布 をみ る と,旧 流 入 者 型 が 海 に面 した 旧市 街 お よび3区 ・10区,合 併 市 の 中 心 集 落 の 外 側 な ど に広 が っ て い る の に対 し,新 流 入 者 型 は7区 ・ 8区 ・9区 を 中心 とす る周 縁 部 に偏 って い る。 20年 後 の1991年 時 点 で も,新 流 入 者 型 の 分 布 に大 き な変 化 は な い(図4:02)。 しか し,旧 流 入 者 型 の 分 布域 は劇 的 に縮小 し,大 部 分 がバ ル セ ロナ 型 ま た は カ タル ー ニ ャ型 に転 じて い る 。 こ れ は,1970年 時 点 で す で に高 齢 化 して い た 東 部 ・ 北 部 か らの 流 入 者 が 減 少 し,バ ル セ ロナ で生 まれ た 子 の 世 代 が 比 率 を高 め た 結 果 と考 え られ る(図 1)。 カ タル ー ニ ャ型 の 分 布 は,4区 ・5区 で は さ ほ ど変 化 して い な い が,旧 流 入 者 型 に代 わ っ て 旧 市 街 の 大 部 分 を占 め る と と もに,拡 張地 区 で は広 く分 散 す る傾 向 を示 して い る。 この よ うな変 化 に は,カ タル ー ニ ャ型 を特 徴 付 け る 出 身地 集 団 の ひ とつ で あ る30代 中心 の外 国 生 ま れ の動 向 が 関係 して い る と考 え られ る。 外 国 生 まれ の 絶 対 数 は, 1991年 時 点 で も4万 人 弱 にす ぎ な い。 しか し, そ の 大 部 分 を占 め る外 国籍 人 口が,ヨ ー ロ ッパ 系 は4区 ・5区,ア フ リカ系 とア ジア系 は1区 とい う よ うに 一 部 の地 区 に集 中 して い る た め,ク ラ ス ター化 に 無視 で きな い影 響 を与 え て い る7)。 次 に,職 業 ク ラ ス ター の分 布 を み る と,両 年 次 で ク ラ ス タ ー が 大 き く入 れ 替 わ っ て い る。1970 年 に は,工 場 で 働 く生 産 工 程 作 業 職 が5割 以 上 を占 め る 生 産工 程 特 化 型 が市 域 の周 縁 部 を取 り巻 き,事 務 販 売 職 な どが 加 味 さ れ たや や 複 合 的 な職 業 構 成 を有 す る生 産工 程 中心 型 を合 わせ る と,全 市 の お よ そ3分 の2を 覆 っ て い た(図4:Pl)。 しか し,1991年 に は両 者 と も ほぼ 完 全 に消 滅 し, 生 産 工 程 作 業 職 運 輸 通 信 職,サ ー ビス職 が 合 わ せ て6割 強 を 占 め る 現 業 職 型,あ る い は複 合 的 な 職 業 構 成 な が ら も事 務 販 売 職 が 約3分 の1と, 全 ク ラス ター 中 もっ と も高 い比 率 を 占 め る事 務 販 売 職 型へ 転 じて い る(図4:P2)。 ま た,1970年 に は 現 業 職 型 が 旧 市 街 付 近 に 分 布 して い た が, 20年 後 に は,事 務 販 売 職 や 生 産 工 程 作 業 者 に加 え て,サ ー ビス 職 を2割 以 上 含 む サ ー ビス 職 型 が港 湾 地 区 に 広 く分 布 して い る。 他 方,1970年 に は,自 由 職 を 中心 とす る サ ー ビス 職 や 上 級 管 理 職 上 級 専 門技 術 職 が6割 弱 を 占 め る 自由 職型 が グ ラ シ ア通 り周 辺 か ら西 方 向 に分 布 し,そ の外 側 を取 り囲 む よ う に,上 級 ・一 般 専 門技 術 職 を 中心 とす る幅 広 い ホ ワ イ トカ ラー 層 を含 む 専 門 技 術 職 型 が 広 が っ て い た 。 しか し 1991年 に は,上 級 管 理 職 と上 級 専 門 技 術 職 の み で4割 以 上 を 占め る上 級 管 理 職 型 が4区 ・5区 で 卓 越 す る よ う に な っ た 。 ま た2区 で は,か つ て 自由職 型 が み られ た グ ラ シ ア通 り付 近 に専 門技 術 職 型 が 現 れ る一 方 で,そ の周 辺 に は 中 間管 理 職 な どの ホ ワ イ トカ ラ ー 層 が 約75%を 占 め る 中 間 管 理 職 型 が 分 布 して い る。 職 業 ク ラ ス ター の 入 れ 替 わ りが 居 住 者 の 年 齢 上 昇 や 世 代 交 代 と関 係 す る こ と は,改 め て い う まで もな か ろ う。 しか し,1970年 代 の エ ネ ル ギ ー・危 機 に始 ま る従 来 型 工 業 の 衰 退 の なか で,バ ル セ ロ ナ を は じめ とす る商 工 業 都 市 で 生 じた 職 業構造 の 転 換(竹 中,2002,2003)に も注 目 し な け れ ば な らな い。 オ ー トメー シ ョン化 の い っ そ うの進 展 と と も に資 本 集 約 的 な性 格 を強 め た 製 造 業 で は,製 造 工 程 に直 接 従 事 す る労 働 者 が 減 少 の 一・途 を辿 る 一 方,間 接 部 門 の ホ ワ イ トカ ラー 層 が 拡 大 した 。 ま た,小 売 業 や 消 費 者 サ ー ビ ス の 多 様 化 の 傍 ら で,OA機 器 の保 守,運 輸 ・通 信,広 告 ・販 売 な どの 事 業 所 サ ー ビス に携 わ る専 門技 術 職 や サ ー ビ ス 職 も著 しい 増 加 をみ た 。 職 業 ク ラス ター の一 新 に は,こ う した 職 業構 造 の 変動 が深 くか か わ っ て い る と考 え られ る。 ラ イ フサ イ クル ・ク ラス ター も大 幅 な入 れ替 わ
りを 示 して い る。 まず1970年 に つ い て み る と, ほ と ん どす べ て の 調 査 区 が30代 家 族 型,準 高 齢 型,若 年 男 子 型,若 年女 子 型 の い ず れ か に分 類 さ れ て い る(図4:L1)。 この うち 相 対 的 に 高 齢 化 してい る準 高 齢 型 は,旧 市 街,グ ラシ ア通 り付 近 を除 く拡 張 地 区 とそ の 周 辺,合 併 市 の 中心 集 落 付 近 に広 が って い る。 グ ラ シア 通 り周 辺 か ら西 方 向 に分 布 す る若 年 女 子 型 は,準 高 齢 型 と似 通 っ た年 齢 構 成 を 有 す る。 しか し,独 身 女 子 が 全 人 口 の 約3割 を 占 め る 点 で 特 異 で あ り,Guardia et al.(1994,80-81)の 指 摘 に もあ る よ う に,こ の ク ラ ス タ ーが 分 布 す る高 級 住 宅 地 には 住 み 込 み 女 中 が多 くみ られ た こ との 反 映 と考 え られ る。残 り の 地 域 で は,30代 男 女 とそ の 子 の 世 代 に相 当 す る10歳 未 満 児 が4割 弱 を 占 め る30代 家 族 型 が 卓越 して い る。 ま た,旧 市 街 の一 部,3区 ・9区 ・ 10区 の産 業 地 区周 辺,市 街 地 周 縁 部 の 傾 斜 地 に 分 散 して み られ る若 年 男 子 型 は,独 身 男 子 が 全 人 口 の3割 弱 を 占め る若 い 年 齢構 成 を特 徴 とす る 。 しか し,1991年 に な る と,若 年 女 子 型 は 一 戸 建 て の 多 い 山裾 の 一部 区域 に極 限 さ れ,か つ ての 準 高 齢 型 区域 お よ び グ ラ シ ア 通 り周 辺 は,60歳 以 上 人 口 が 約35%を 占 め る高 齢 化 型 に変 化 し て い る(図4:L2)。 産 業 地 区 の 近 傍 や 市 街 地 周 縁 部 に若 年 男 子 型 が 分 布 す る傾 向 は 変 わ らな い が, 以 前 の30代 家 族 型 は40代 家 族 型 また は50代 家 族 型 に転 じて い る。 この うち50代 家 族 型 は,50 代 男 女 とそ の 子 の世 代 に相 当 す る20代 男 女 が 約 35%を 占 め る が,40代 家 族 型 につ い て は,30∼ 40代 の 夫婦 を特 徴 とす る もの の,1970年 代 末 以 降 の少 子 化(竹 中,2001)の た め か,子 ど も世 代 の 人 口が 比 較 的 少 な い 。 ま た,1970年 に は準 高 齢 型 に分 類 され て い た 区 域 の 一 部 で も,1991年 に な る と40代 家 族 型 が 出現 して お り,世 代 交 代 に よる世 帯 の入 れ 替 わ りを示 唆 す る。 3要 因 に関 す る ク ラス タ ー の分 布 を相 互 に 見 比 べ る と,1970年 時 点 で は,カ タ ル ー ニ ャ型 と 自 由 職型 ・専 門技 術 職 型 お よ び若 年 女 子 型,バ ル セ ロ ナ型 と生 産 工 程 中心 型,旧 流 入 者 型 と現 業 職 型 ・生産 工 程 中心 型 お よ び準 高 齢 型,新 流 入 者 型 と生 産 工 程 特 化 型 お よ び30代 家 族 型 ・若 年 男 子 型 とい う よ う に,各 種 ク ラス ター の 問 に比 較 的 明 瞭 な対 応 関 係 が 見 出 され る 。 しか し,人 口流 入 の 衰 微 か ら20年 が 経 過 し た1991年 時 点 に な る と, ク ラス ター の 大 幅 な入 れ 替 わ りと と もに,各 種 ク ラ ス ター の 対 応 関係 に も著 しい 変 化 が み られ る。 職 業 ク ラス ター につ い て は,カ タル ー ニ ャ型 と管 理 職 層,バ ルセ ロナ 型 と中 間 層,新 流 入 者 型 と労 働 者 層 とい う対 応 関 係 が お お む ね 認 め られ るが, いず れ の 出 身地 ク ラス ター で も職 業 ク ラス ター の 構 成 が 複 雑 化 してお り,単 純 な見 取 り図 は 描 け な い。 ま た,ラ イ フサ イ ク ル ・ク ラス ター につ い て は,高 齢 化 が 著 しいバ ル セ ロ ナ型 と相 対 的 に若 い 新 流 入 者 型 とい っ た 対 比 が 見 出 さ れ る程 度 で あ る 。 3) 出 身地 集 団 の非 類 似 指 数 に よ る分 析 これ ま で の検 討 結 果 か ら,出 身地 ク ラス タ ー に よ っ て居 住 域 が 明確 に異 な る と は い え,1970年 時 点 に つ い て は,そ う した相 違 の少 なか らぬ 部 分 が 職 業 ・ライ フサ イ ク ル面 か らみ た 出 身地 ク ラス ター の 内 部構成 の 違 い に起 因 して い る こ とが 示 唆 され た。 しか し,1991年 時 点 に つ い て も同 様 の 解 釈 が 成 り立 つ か 否 か は不 明 で あ る。 そ こ で,ク ラ ス タ ー を媒 介 とす る こ れ ま で の 分 析 を補 い つ つ,1991年 時 点 につ い て よ り踏 み 込 ん だ 検 討 を 加 え るた め に,い った ん ク ラス ター化 さ れ る前 の 個 々の 出 身 地 集 団 に遡 っ て,非 類 似 指 数 を用 い た 分 析 を行 って お きた い 。 分 析 の 手 順 は次 の 通 りで あ る。 まず,各 大 地域 出 身者 につ い て,調 査 区 を単 位 地 区 とす る 非類 似 指 数 を1991年 人 口 セ ンサ ス デ ー タ を も とに算 出 した。 人 口集 団の 空 間的 凝 集 度 を測 定 す る 目的 で 頻 用 され る非 類 似 指 数(以 下,Dと 略 す)は,小 地 域 の集 合 か らな る あ る全 体 地 域 に住 む 特 定 の 人 [集 団 の うち,ど れ だ けの 割 合 が 自 らの 小 地 域 を 出 て移 動 す れ ば全 体 地 域 内で 完 全 に均 一 な分 布 に な るか を 表 し,0(完 全 均 一 分 布)か ら1(完 全 凝 集状 態)ま で の値 を とる8)。 さ らに,さ ま ざ ま な社 会 経 済 的 要 因 が 居 住 地 分 化 に与 え る影 響 を測 定 す る た め に,Dを 各 要 因 に か か わ る変 数 で 標 準 化 し,標 準 化 の 前 後 のDの 値 を比較 した 。 そ の さ い に注 目 したの は,調 査 区
単位 で は 非 公 開 の 出 身 地 と社 会 経 済 的要 因 の交 差 集 計 表 が,バ ル セ ロ ナ の全 人 口 につ い て は入 手 で きる とい う こ とで あ っ た 。 そ こ で,こ の交 差 集 計 表 を利 用 して,ま ず社 会 経 済 的要 因 に よ っ て分 類 され た 各 人 口 集 団 の 出 身 地 別 構 成 比 を算 出 した 。 次 に,各 調 査 区 人 口 を 同 じ社 会 経 済 的要 因 に よ っ て分 類 し,各 分 類 に対 して全 バ ル セ ロ ナ につ い て 割 り出 した 出 身地 別 構 成 比 を乗 じ,得 られ た値 を 出 身地 集 団 ご とに全 分 類 に わ た っ て加 算 す る こ と で仮 想 的 な 出 身 地 別 人 口 を算 出 した9)。 この 人 口 を も とに 計 算 され る のが 標 準 化 され たDで あ る。 出 身地 集 団 に よ る居 住 地 分 化 は,調 査 区 に よ る社 会 経 済 的 な 人 口構 成 の違 い を考 慮 す るだ けで あ る 程 度 説 明 で きる と い う仮 定 に た ち,こ れ を検 証 す る のが 標 準 化 のね ら いで あ る。 上 述 の 交 差 集 計 表 が 得 られ た の は1991年 人 口 セ ンサ ス の み で,性 別,年 齢(5歳 階 級),婚 姻(未 婚 既 婚,離 婚, 死 別),教 育 水 準(学 歴15分 類),就 業 状 態(就 業, 失 業,退 職,主 婦,学 生 な ど10分 類),産 業 部 門 (10分 類),職 業(15分 類)の7つ の社 会 経 済 的 要 因 に 関 す る デ ー タが 利 用 可 能 で あ っ た。 そ こ で,こ れ ら7要 因 に つ い て 標 準 化 後 のDを 算 出 す る と と もに,標 準 化 効 果 を測 る 目安 と して 標 準 化 前 のDに 対 す る比 率 を百 分 率 で 示 した(表2). 上 記 の 方 法 で算 出 さ れ た 標 準 化 前 のDの 値 を み る と,南 部 出 身 者 が0.29と も っ と も高 い凝 集 性 を 示 して お り,0.26の 外 国 生 ま れ が そ れ に 続 く。 反 対 に もっ と も均 一 に分 布 して い る の は,D の 値 が0.12の 北 部 出 身 者 で あ る。 南 部 出 身者 の 場 合 で も3割 程 度 の 移 動 で 均 一 分 布 に な る点 を 考 應 す る と,ク ラス ター 分 布 には 出 身 地 集 団 に よる 居 住 地 分 化 の 傾 向 が 歴 然 と表 れ る もの の,出 身 地 集 団 相 互 の 居 住 地 の 重 な りも多 い こ とが わ か る。 次 に,標 準 化 後 のDと 標 準 化 効 果 を み る と, そ もそ も出 身 地 集 団 に よる 差 が ほ とん どな い性 別 の よ うな 変 数 は い うに 及 ば ず,就 業 人 口 の 産業 部 門 別構 成 も居 住 地 の編 成 に ご く小 さな 影響 しか与 えて い な い こ とが わ か る。 こ れ に 対 して年 齢 は, 表 2 バ ル セ ロ ナ に お け る 出 身 地 集 団 非 類 似 指 数(1991年).
Table 2 Index of dissimilarity by geographical origin in Barcelona (1991) .
(Source: Elaboration based on the Population Census of 1991, data for census tracts provided by Instituto Nacional de EstadIstica, Institut d'Estadistica de Catalunya and Centre de DocumentaciO EstadIstica de Barcelona.)
バ ル セ ロナ 県,東 部,北 部 の 出 身者 を 中心 に大 き な標 準 化 効 果 を有 す る 。 この うち バ ル セ ロ ナ県 出 身 者 は20代 以 下 に偏 っ た若 い 年 齢 構 成 を有 し, 反 対 に旧 流 入 者 型 の 中心 で あ る東 部 と北 部 の 出 身 者 は 高 齢 化 に よ り減 少 の 一 途 を辿 っ て い る(図 1)。 年 齢 構 成 と密 接 に 関 連 す る婚 姻 と就 業 の2 変 数 の 標 準 化 効 果 が 大 きい の も 同 じ3つ の 出 身 地 集 団で あ る点 を勘 案 す る と,こ れ ら出 身 地 集 団 の 居 住 地 は,年 齢 を中 心 とす る ライ フサ イ ク ル 要 因 に よ る規 定 を強 く受 けて い る と考 え られ る 。 対 照 的 に,新 流 入 者 型 の 中 心 を なす 内 陸 部 と南 部 の 出身 者 で は,教 育 水 準 と職 業 の標 準化 効 果 が 相 対 的 に大 き く,産 業 労働 者 が 就 業 人 口 の3∼4 割 を 占 め る こ れ ら出 身 地 集 団 の 居 住 地 の 編 成 に, 学 歴 や 職 業 的 地 位 が 大 き な影 響 を与 えて い る こ と が わ か る。 も っ と も,教 育 水 準 と職 業 の 規 定 力 が 強 い の は,多 くの 出 身地 集 団 に共 通 す る傾 向 で あ る。 そ の なか で,高 齢 化 に よ る就 業 人 口の 減 少 が もっ と も著 しい東 部 出身 者 で は職 業 の 影 響 が 例外 的 に小 さ い こ と,ま た学 歴 水 準 が 全 体 に高 い カ タ ル ー ニ ャ型 で は教 育 水 準 の規 定 力 が 弱 い こ とが 注 目さ れ る。 カ タ ル ー ニ ャ 出 身者 の場 合 に は,年 齢 や就 業 の標 準 化 効 果 に高 齢 化 の進 行 が 反 映 され る 一 方 で,就 業 人 口 の4割 弱 を 占 め る 専 門 技 術 職 や管 理 職 の居 住 パ タ ー ンの影 響 も認 め られ る。 以 上 の 分 析 結 果 は,1991年 時 点 で も,年 齢, 学 歴,職 業 とい っ た社 会 経 済 的要 因が 出身 地 集 団 に よる居 住 地 分 化 を少 な か らず 規 定 してい る こ と を示 す 。換 言 す れ ば,出 身地 ク ラ ス タ ーの 分 布 域 が 明確 に異 な る か ら とい っ て,言 語 文 化 的 な要 因 が居 住 地分 化 を もた ら して い る とい う解 釈 を安 易 に 導 き出 すべ きで は な い と もい え よ う。 IV . 居 住 地 編 成 と居 住 環 境 1) 分 析 方 法 本 章 で は,住 宅 の 質 を 中心 とす る居 住 環 境 の地 域 差 を明 らか に した の ち,人 口 と住 宅 に 関す る分 析 結 果 を総合 的 な検 討 に付 す 。 そ の た め に,ま ず 1970年 と1991年 の 住 宅 セ ンサ ス の 調 査 項 目 を 建 物 の 規模,築 年 数,建 物 の状 態,住 宅 面 積,住 宅 設 備,住 宅 所 有 に 関す る計22変 数 に統 ・合 し た 上 で,前 章 と 同様,調 査 区 別 デ ー タ を用 い た 因 子 分 析 を行 っ た。 ま た,得 られ た 因 子得 点 に ク ラス タ ー分 析 を適 用 し,調 査 区 を ク ラス ター化 した 。 次 に,人 口 ク ラス ター と住 宅 ク ラス ター を相 互 に 関連 付 け る た め に,以 下 の 手 順 に従 っ て 交 差 集 計 を 行 っ た 。 まず,バ ル セ ロ ナ市 が 定 め る38統 計 区 の 人 口 を4つ の 出 身 地 ク ラス タ ー に 類 別 し, かつ 各 出 身地 ク ラス ター を8つ の 住 宅 ク ラス ター に 分 け た 。 さ ら に,得 られ た 分 類 を9つ の 職 業 ク ラ ス タ ー お よ び7つ の ラ イ フ サ イ ク ル ・ク ラ ス ター と別 々 に掛 け 合 わせ て4×8×9な い し 4×8×7の 小 分 類 と し,各 小 分 類 に該 当 す る 調 査 区 の 人 口 を集 計 した。 一 見 彩 しい 数 の 小 分類 が生 じる よ うに み え るが,卓 越 す る ク ラス ター は 年 次 に よっ て異 な る し,出 身地 ク ラス ター ご と に 残 りの ク ラ ス タ ー の組 合 せ も あ る程 度 限 られ る。 上 記 の集 計 作 業 に あ た っ て は,1970年 の 調 査 区 に統 計 区 の境 界 を越 え る も のが 数 多 く含 まれ て い る こ とが 問題 とな っ た。 こ の た め,複 数 の 統 計 区 に また が る調 査 区 につ い て は,そ の 人 口 を 関係 す る統 計 区 の数 で 除 して各 統 計 区 に加 算 す る とい う調 整 を行 っ た。 こ う した煩 雑 さ はあ るが,統 計 区 とい う調 査 区 よ り も上 の レベ ル の 区分 を採 用 す る こ とで,各 調 査 区 の人 口が ク ラ ス ター と して 一 括 され る とは い え,多 様 な要 因 問 の交 差 集 計 が 可 能 に な る。 また,各 統 計 区 の 内部 で は,地 形,交 通 ア クセ ス,周 辺 環 境 な どの条 件 が 比 較 的 共 通 し て い る とい う こ と も,統 計 区 の もう ひ とつ の利 点 で あ る。 2) 多 変 量解 析 の 結 果 さて,住 宅 に 関 す る調 査 区別 デ ー タ に 因子 分 析 を適 用 し た結 果,22の 変 数 か ら6因 子(固 有 値 1以 上)が 抽 出 され,累 積 変 動 説 明量 は約66% と な っ た(表3)。 さ ら に,ク ラス ター 分 析 に よ り,2時 点 の 調 査 区が8つ の ク ラス ター に分 類 さ れ た の で,そ れ ら を地 図化 した(図5)。 まず,1970年 につ い て み る と,19世 紀 以 前 に 建 て ら れ た 住 宅 が 約7割 を 占 め る老 朽 型 が 主 と して 旧 市 街 お よび合 併市 の 中心 集 落 に分 布 して い る(図5:V1)。 そ こで は,建 物 の 上 層 へ の 建 て 増 しや フ ロア 分 割 に よっ て狭 小 で 設備 劣 悪 な住 宅
が 生 み 出 さ れ,面 積30m2未 満 の もの も約1割 あ る。 ま た,借 家 が 約7割 と,全 ク ラ ス タ ー 中 も っ と も高 い 比 率 を 占め るの も老 朽 型 の大 きな特 徴 で あ る。 な お,5区 ・7区 ・8区 の 山 沿 い の 一 部 に も老朽 型 が み られ る が,の ち に低 級 型 との 関 連 で ふ れ る コ レア の うち,傷 みが 激 し く設 備 劣 悪 な 家屋 が 多 い 区域 が老 朽 型 に分 類 さ れ た と考 え ら れ る 。 老朽 型 の周 辺 に は 旧弊 化 の度 合 いが や や 穏 や か な準 老 朽 型 が位 置 し,と も に1930年 代 まで に 市 街 化 し た 区 域 に 分 布 して い る(図3)。 プ リ モ ・デ ・リベ ラ 独 裁 期 の 「廉 価 住 宅 」(3,12, 17,35)は,こ れ らク ラ ス ター の い ず れ か に 分 類 さ れ て い る。 グ ラ シ ア通 り周 辺 か ら4区 ・5区 に か け て は, 格 式 の高 い住 宅 が 建 ち並 ぶ 高 級 型 と準 高 級 型 が 分 布 して い る。 と くに 高級 型 に あ っ て は,面 積120 m2以 上 の 住 宅 が お よ そ 半 数 を 占 め,約3割 は 150m2を 超 え る。 住 宅 設 備 が 整 っ た住 宅 が もっ と も多 い の もこの ク ラス ター で あ る。 た だ し建 築 年 代 か らみ る と,グ ラ シ ア通 り付 近 の格 調 あ る古 い 建 物 か ら,5区 の 北 方 にみ られ る新 築 一一戸 建 て まで,さ ま ざ まな もの が あ る。 残 りの 市 街 地 の 大 部 分 は,フ ラ ン コ体 制期 以 降 に市 街 化 が 進 ん だ 区域 に あ た り,若 干 の例 外 を 除 く と,1950∼1960年 代 に 建 設 さ れ た 比 較 的 新 しい 住 宅 を中 心 とす る低 級 型 ま た は大 規 模 型 に分 類 され る。 この うち北 部 の傾 斜 地 な ど,市 街 地 の 周 縁 部 に 広 が る 低 級 型 に お い て は,面 積60m2 未 満 の 狭 小 な住 宅 が7割 弱 を 占 め,水 道,浴 室, 都 市 ガ ス な どの基 本 的 な 設備 を 欠 く もの も少 な く な い 。低 級 型 を もっ と も特 徴 付 け る の は社 会 基 盤 が 未 整備 の 土 地 に たつ コ レア で あ るが,公 的 集 合 住 宅 の 中 に も,開 発 当初 は社 会 基 盤 整 備 が 追 い つ か ず,低 級 型 に分 類 さ れ て い る も のが あ る(1,4, 5,9,18,22,31)。 これ に対 して 大 規 模 型 の 最 大 の 特 徴 は,建 物 当 た りの住 宅 戸 数 が 平 均 約24 戸 と,他 の ク ラ ス タ ー に比 べ て 格 段 に多 い こ と に あ る 。 また,面 積60∼90m2の 住 宅 が7割 弱 を 占 め,1960年 代 を 中 心 とす る 大 規 模 開 発 が 生 み 出 した 集 合 住 宅 の 特 徴 を よ く示 して い る(10, 11,20,21,33)。 表 3 バ ル セ ロ ナ の 国 勢 調 査 区 別 住 宅 に 関 す る 多 変 量 解 析 の 結 果(1970年/1991年).
Table 3 Results of multivariate analysis on the dwellings of Barcelona disaggregated to census tracts (1970/1991) . 【因 子 分 析 】 Factor analysis 【ク ラ ス タ ー 分 析 】 Cluster analysis 表 1 と同 様,因 子 分 析 に つ い て は 各 変 数 の 因 子 負 荷 量, クラス ター 分 析 に つ い て は 各 クラス ター の 平 均 因 子 得 点 を示 して あ る.住 宅 設 備 に 関 す る3変 数 は,水 道(冷 水 ・ 温 水),浴 室 ・トイレ,都 市 ガ ス の 各 設 備 の 充 足 度 を指 数 化 した もの で あ る.
(Source: Elaboration based on the Housing Census of 1970 and 1991, data for census tracts provided by Instituto Nacional de Estadistica, Institut d'Estadistica de Catalunya and Centre de DocumentaciO Estadistica de Barcelona.)
次 に,1991年 に つ い て み る と,老 朽 型 と準 老 朽 型 が大 幅 に縮 小 し,低 級 型 は ほ とん ど消 滅 して い る(図5:V2)。 両 年 次 と もに老 朽 型 が 広 く分 布 す る の は 旧市 街 に ほ ぼ 限 られ,衰 退 産 業 地 区 を な す10区 の都 心 寄 り区域 は準 老 朽 型 か ら老朽 型 に 変化 した 。 また,多 数 の ス ク オ ッタ ーが み られ た モ ン ジュ イ ク 山 で は,ス ポ ー ツ ・文 化 地 区 と し て の 再 開発 の 結 果,低 級 型 は消 滅 し,残 さ れ た住 宅 が 老 朽 型 とな っ て い る。 準 老 朽 型 は,2区 の拡 張 地 区縁 辺 部 や合 併 市 の 中心 集 落 周 辺 に虫 食 い 状 に 残 存 して お り,「 大 会 住 宅 」(25)な ど,開 発 時 期 の 古 い 一 部 の公 的集 合 住 宅 が そ れ に加 わ っ て い る。 また,北 部 の 山沿 い で も,低 級 型 に分 類 さ れ て い た 一 部 の 区域 が準 老 朽 型 に転 じた。 対 照 的 に,高 級 型 は分 布 域 を拡 大 させ て お り, 1970年 時 点 で 準 高 級 型 に分 類 され た 区域 の 一 部 が 住 宅 設 備 の 改 善 な ど に よ り高 級 型 に シ フ ト し た 。 ま た,2区 や6区 の 一 部 は,準 老 朽 型 か ら準 図 5 バ ル セ ロ ナ の 国 勢 調 査 区 別 住 宅 に 関 す る ク ラ ス タ ー の 分 布(1970年/1991年). 両 年 次 と も,1984年 の 再 編 後 の 区 界 を 示 し て あ る.海 岸 線 は1990年 頃 の も の で あ る.白 抜 き は ク ラ ス タ ー 分 析 で 外 れ 値 と し て 除 外 さ れ た 国 勢 調 査 区 を 表 す,
Fig. 5 Distribution of the clusters for the dwellings of Barcelona disaggregated to census tracts (1970/1991) . (Source : See Table 3.)
高 級 型 に転 じてお り,こ の 間の 建 替 えや 改 築 に よ る建 造 環 境 の変 化 を反 映 してい る。 建 替型 と改 善 型 は20年 間 で飛 躍 的 に拡 大 した。 こ の う ち建 替 型 は,1970年 時 点 で老 朽 型 ま た は 準 老 朽 型 に分 類 され て い た合 併 市 の 中 心 集 落 周 辺 に多 くみ られ る。 建 替 型 の 住 宅 の6割 弱 は60∼ 90m2の 面 積 を有 し,基 本 的 な住 宅 設 備 の 面 で は 高 級 型 に近 い水 準 に あ る こ とか ら,1930年 代 以 前 に建 設 され た 古 い 市 街 地 にお い て,狭 い 道 が 入 り組 む 従 来 の 街 路構 造 を残 した ま ま住 宅 ス トック の 刷 新 が 進 んだ こ と を物 語 る。 た だ し,建 替 型 の 住 宅 の 建 築 年 次 に は 相 当 の ば ら つ き が あ り, 1970年 代 以 降 に 突 然 変 化 が 生 じた の で は な い 。 また 改 善 型 は,建 築 時 期 の 点 で は建 替 型 に類 似 す る が,そ の6割 強 は 面 積 が60m2以 下 の 狭 小 な 住 宅 で あ る。 か つ て低 級 型 に分 類 され て い た コ レ ア が 乱 立 す る区域 の相 当 部 分 が 改 善型 に転 じて い る こ とか ら,小 規 模 で粗 末 な 造 りの 住 宅 な が ら も,道 路 や水 道 とい っ た社 会基 盤 の整 備 や建 物 の 改 修 を 通 じて,居 住 環 境 の 改善 を み た こ とが わか る 。 ま た,1970年 時 点 で 低 級 型 に 分 類 され た 公 的 集合 住 宅 の大 部分 も改 善型 に変 化 して い る。 大 規模 型 の分 布 域 も拡 大 して い る。 と くに,か つ て の 老 朽 型 区 域 で 集 合 住 宅 の造 成 が行 わ れ た1 区 の 海 岸 沿 い と3区 南 西 部,鉄 道 操 車 場 付 近 の 再 開 発 が 進 ん だ9区,広 大 な 衰 退 産 業 地 区 を 抱 え る10区 で は,ま と ま っ た大 き さの 大 規 模 型 区 域 が 新 た に生 まれ た。 な お,8区 や10区 の 公 的 集 合 住 宅 の 中 に大 規 模 型 か ら建 替 型 に転 じた もの が あ るが,両 ク ラ ス タ ー は住 宅 の 規 模 や 設 備 の 点 で類 似 して い る た め,開 発 後 ま も な い住 宅 を中 心 とす る大 規 模 型 の一 部 が 年 数 経 過 に と も な って 逆 に建 替 型 に分 類 され た も の と考 え られ る。 3) 人 口 ・住 宅 の 交 差 分 析 さ て,こ れ まで に 検 討 した2時 点 の 人 口 ク ラ ス タ ー と住 宅 ク ラ ス ター を38統 計 区 につ い て 交 差 集 計 す る と,出 身 地 ク ラス ター に よ って 居 住 地 の分 布 域 のみ な らず 住 宅 ク ラス ター の構 成 も著 し く異 な る こ とが わ か る。 た と え ば1970年 に は, カ タル ー ニ ャ型 の う ち7割 弱 が 高 級 型 ・準 高 級 型 区域 に住 んで い るの に対 し,新 流 入 者 型 の7割 弱 は低 級 型 に分 類 され る。 旧 流 入 者 型 の 場 合 に は,老 朽 型 ・準 老 朽 型 の み で 約8割 に達 し,合 併 市 の 中心 集 落 に多 いバ ル セ ロ ナ型 の場 合 も,こ れ ら2つ の住 宅 ク ラス ター が 約65%を 占め る(図 6:a)。1991年 に な る と,カ タ ル ー ニ ャ型 に 占 め る 高級 型 ・準 高 級 型 の比 率 は新 しい住 宅 ク ラス ター の 出現 と と もに低 下 す るが,他 の 出身 地 ク ラ ス タ ー を大 幅 に 上 回 る5割 弱 の水 準 に あ る 。 ま た,新 流 入 者 型 の9割 以 上 が建 替 型 ・大 規 模 型 ・ 改 善 型 区域 に住 んで お り,出 身 地 ク ラス ター に よ る違 い は依 然 明 らか で あ る(図6:b)。 しか し,同 じ出身 地 ク ラス ター で も,職 業 や ラ イ フサ イ ク ル に よ っ て住 宅 や そ の 立 地 条 件 が 大 き く異 な り,反 対 に職 業 や ラ イ フサ イ クル が 同 じで あ れ ば 出 身地 ク ラス タ ー を超 えた 共 通 性 が あ る こ と もま た事 実 で あ る。 以 下,こ の 点 をや や 詳 し く 検 討 してみ る(図3∼ 図5も 適 宜 参 照 の こ と)。 ま ず1970年 の 状 況 を み る と(図6:a),カ タ ル ー ニ ャ型 で も,グ ラ シ ア通 り周 辺 か ら5区 に か けて の 高 級 型 区 域 に住 む の は 自由 職 型 に ほ ぼ 限 られ る。 ま た,フ ラ ン コ体 制 期 に 中 高 級 住 宅 地 と な っ た4区 の準 高 級 型 ・大 規 模 型 区 域 に は,上 級 管 理 職 型 が 分 布 す る.こ れ に対 して,専 門技 術 職 型 の 大 部 分 は 準 高 級 型 また は準 老朽 型 に分 類 さ れ る。 この うち 前 者 は 旧 市 街 に もみ られ,後 者 は 2区 の周 辺 部 や グ ラ シ ア な ど に多 い。 ま た,ラ イ フサ イ ク ル面 で は,30代 家 族 型 の 多 くが新 規 開 発 され た 大 規模 型 区域 に 住 ん で い る 点 が注 目さ れ る。 以 上 が 示 す よ うに,グ ラシ ア通 り周 辺 や サ リ ア 鉄 道 で 早 くか ら都 心 との 連絡 を保 証 さ れ た テ ィ ビ ダボ 山 南 麓 の緩 傾斜 地 とい っ た特 権 的 区域 へ の 集 中 は,カ タル ー ニ ャ型 共 通 の傾 向 とい う よ り, そ れ が 内 包 す る 自由職 型 の特 徴 で あ る。 バ ル セ ロナ型 の最 大 の特 徴 は,老 朽 型 ・準 老 朽 型 区域 に 住 む生 産工 程 中心 型 に あ る。 しか し,専 門技 術職 型 の一 部 は カ タル ー ニ ャ型 の場 合 と 同様1 の準 高級 型 区域 に住 ん で い る し,そ の多 くは住 み 込 み女 中 の存 在 を特 徴 とす る若 年 女 子 型 に含 まれ る。 対 照 的 に,建 造 環 境 の劣 化 が 著ーしい 旧市 街 の ラ ・バ ル サ ル ネ タや 都 心 か ら離 れ たサ ン ・ア ン ド レウ ・ダ ル ・パ ル マ の住 人 の ほ と ん ど は,生 産 工
程 特 化 型 ・生 産 工程 中心 型 で あ る。 ラ イ フサ イ ク ル 面 か らみ る と,準 高齢 化 型 の卓 越 とい う全 体 の 趨 勢 に反 して,大 規 模 型 の 区域 で は カ タ ル ー ニ ャ 型 の 場 合 と同 様 に30代 家 族 型 が 多 い 。 また,大 規模 型 に は公 的集 合 住 宅 の うち 唯一 バ ル セ ロ ナ型 が 住 む 「大 会 住 宅 」(25)が 含 まれ て お り,事 務 販 売 職 型 や若 年男 子 型 の若 い人 口が み られ る。 い ず れ にせ よ,バ ル セ ロ ナ型 が 多 く分 布 す る合 併 市 の 中心 集 落 は,1970年 ま で に地 下 鉄 が 開通 した 区域 に属 し,老 朽 化 した住 宅 が多 い とは い え,交 通 ア クセ ス や周 辺 環 境 の面 で は比 較 的 良 好 な条 件 にあ る。 旧 流 入 者 型 の8割 弱 は,生 産 工 程 中 心 型 ・生 産 工 程 特 化 型 で 占 め られ る。 バ ル セ ロ ナ 型 に 似 て,大 多 数 が老 朽 型 ・準 老 朽 型 区域 に住 んで い る が,主 た る分 布 域 は 旧市 街 の ほ か,産 業 地 区 を擁 す る3区-0区 に あ る。1920年 代 に建 設 され た 「廉 価 住 宅 」 の ほ と ん どは,生 産 工 程 特 化 型 に分 類 さ れ る 旧 流 入 者 型 の 居 住 地 に な っ て い る(3, 12,17).少 数 派 を な す 専 門 技 術職 型 が所 属 す る 住 宅 ク ラス ター とそ の分 布 域 は,バ ル セ ロ ナ型 の 場合 とほ ぼ 同様 で あ る。 現 業 職 型 が 旧市 街 の 老 朽 型 に集 中 して現 れ て い る の は,サ ー ビス 職 の 職 場 が 旧市 街 に偏 在 して い る た め と思 わ れ る。 ま た, 大 規 模 型 区域 に お け る30代 家 族 型 や 若 年 男 子 型 の 卓越 はバ ル セ ロ ナ型 で もみ られ たが,旧 流 入 者 型 の場 合 に は,同 様 の傾 向が 市 街 地 の よ り縁 辺 に 位 置 す る低 級 型 に も認 め られ る。 旧流 入 者 型 は, 旧 市 街 を中心 とす る比 較 的多 様な 地 域 に分 布 して い るが,圧 倒 的 多 数 の 住 宅 は老 朽 化 して い る か, 造 りが粗 悪 で あ る。 ま た,10区 の よ う に,地 下 鉄 な どの 交通 網 の発 展 か ら取 り残 され,工 場 に隣 接 す る環 境 劣 悪 な 区域 に住 む人 も少 な くない 。 新 流 入 者 型 の場 合 に は,生 産 工 程 特 化 型 ・生 産 工程 中心 型 が約97%を 占 め る一 方,30代 家 族 型 ・ 若 年 男 子 型 が95%以 上 と きわ め て 若 い 年 齢 構i成 を示 す 。 低 級 型 区 域 に住 む 人 が 圧 倒 的 に多 い が, 他 の 職 業 集 団 が 合 わ さ っ た 生 産 工 程 中 心 型 で は, 準 老朽 型 や大 規 模 型 の比 率 が 高 くな る。 また,旧 市街 を中心 とす る老 朽 型 区域 の住 人 の 中で は,若 年 男 子 型 が 多 数 を 占 め る。 新 流 入 者 型 の 居 住 地 は,市 街 地 周縁 部 の低 級 型 ・大 規 模 型 区域 に著 し く偏 って お り,そ こ には社 会 緊急 計画 や ス ク オ ッ タ ー 集 落 一 掃 計 画 の 下 で 開 発 され た住 宅 を は じ め,フ ラ ン コ体 制 期 の公 的 集合 住 宅 の ほ とん どが 含 ま れ る。 大 部 分 の 住 宅 は,1970年 に は 地 下 鉄 が 未 開 通 だ っ た ア クセ ス 困 難 な場 所 に あ り,と く に7区 ・8区 北 方 の急 傾 斜 地 に建 設 され た コ レァ や 公 的 集合 住 宅 で の 生活 は,貧 弱 な住 宅 設 備 と相 侯 って,相 当 の 苦渋 を と もな っ た と考 え られ る。 次 に1991年 に つ い て み る と(図6二b),出 身 地 ク ラス ター の 分布 の移 り変 わ り と と もに,住 宅 ク ラ ス ター の 構戒 に も大 き な変 化 が 認 め られ る。 す で にみ た よ う に,こ の 間 に 低 級 型 は ほ ぼ 消 滅 し,代 わ りに建 替 型 と改 善型 が 出現 した。 カ タ ル ー ニ ャ型 に含 ま れ る区 域 の人 口 は29万 人 か ら41万 人 に増 加 した が,住 宅 ク ラ ス ター で 目立 って拡 大 した の は老 朽 型 と建 替 型 で あ る。 こ の う ち老朽 型 区域 の 人 口 の ほ とん どは 旧市 街 に住 む サ ー ビス 職型 で あ り,高 齢 化 す る 旧市 街 にお い て,依 然 と して外 国 人 を含 む新 規 流 入 者 が サ ー ビ ス 職 の 求 人 な ど を 目当 て に住 み着 い て い る こ とを 反 映 して い る。 これ に対 して,準 老 朽 型 の刷 新 を 通 じて 生 まれ た建 替 型 の 区域 で は,20年 間 に もっ と も拡 大 した職 業集 団 で あ る事 務 販 売 職 型 と中 間 管 理 職 型 が 卓越 して い る。 また,高 齢 化 の進 行 の な か で も,大 規 模 型 区域 で は40代 家 族 型 が 圧 倒 的 な多 数派 と な っ て い る。 た だ しそ の 分 布 域 は, 2区 の 周 辺 部 や 新 た に地 下 鉄 が 開通 した4区 の よ う に,従 来 か らの 高級 住 宅 地 の近 辺 に あ り,そ れ ら区域 の 設備 良好 な大 規 模 集 合 住 宅 が 管 理 職 を 中 心 とす る 中 間 層 を引 き寄 せ て い る こ と を示 唆 す る。 高 級型 ・準 高級 型 の分 布 パ ター ンに大 きな変 化 は ない が,高 級 住 宅地 か ら中心 業 務 地 区へ 性 格 が 変 っ た グ ラ シ ア 通 り周 辺 で は縮 小 の 方 向 に あ る。 バ ル ゼ ロナ型 は,旧 流 入 者 型 の世 代 交 代 を通 じ た 縮小 に よ り,28万 人 か ら73万 人 へ と大 幅 に拡 大 した.そ の 分 布 域 は,1970年 時 点 の バ ル セ ロ ナ 型 と旧流 入 者 型 を合 わせ た もの に近 いが,旧 市 街な ど,か つ て の 旧流 入 者 型 の分 布 域 の一 部 は カ タル ー ニ ャ型 に転 じて い る。 以 前 の 旧流 入 者 型 も