▼全体の評価講評 ▼コメント 平成20 年度 児童養護施設 <<前の評価結果を見る 事 業 所 名 称 伊 豆 長 岡 学 園 評 価 機 関 名 称 特 定 非 営 利 活 動 法 人 福 祉 経 営 ネッ トワ ーク 評 価 者 修 了 者 No .H0401031 修 了 者 No .H0202089 修 了 者 No.H0303002 評 価 実 施 期 間 2008 年 5 月 13 日 ~2008 年 10 月 23 日 · 業務標準化委員会の発足 本年4月に業務標準化委員会がスタートし、毎月4名の委員が各々1件づつマニュアル案 を提示し、委員会で検討し策定している。本年度末には48件のマニュアルが策定される予 定である。業務標準化委員会は来年度以降も毎年メンバーを入れ替えて継続してマニュア ル策定を行っていくことになっている。当学園は前法人から共生会に移管した際2/3 の職員 が新規採用された。経験のなさを熱意と努力で克服するには限界があり、業務標準は不可 欠である。また、マニュアル策定に参画することは若い職員の能力開発としても効果があり 評価できる。 · 寮の職員全員が参画する支援計画作成プロセスの効果的取り組み 自立支援計画の作成にあたっては、主任、寮職員全員が参加する寮会議において、個々 の子どもが抱える課題、問題点や家族関係のアセスメントについて協議するなどして、その 場で個別に支援方針を明確にし目標設定を行い主任指導員が作成している。関係する職 員全員の参画による支援計画の作成は情報の共有・支援の明確化など効果的な取り組み であり、より適切な個別ケアが作成されている。 · 子どもの関心が高まる食育と取り組み 栄養士及び調理員が各寮に入って子どもと会食する機会をつくり、直接子どもの声をきいて
意向を献立に反映している他、子どもの状況に即した食事の提供に努めている。また、子ど もから誕生日に食べたいものを聞き、当日は誕生日メニューとして加え、寮内で誕生日を祝 い子どもにとって特別な日となるよう配慮している。さらに、栄養士及び調理職員による出 張調理や手作りおやつの提供により、子どもが食に関心を持ち自ら手伝える機会をつくって いる。その他、季節や行事のメニューを盛り込む等、食の知識や技術が日常的に習得でき るよう取り組んでいる。 · 急がれる中長期計画の策定 児童養護施設を取り巻く環境は大きく変化しつつあるが、法人内事業間連携や若い職員の 育成方針、老朽化した施設の更新、事業の多角化の可否、資金調達や利用者サービス提 供体制などの学園固有の課題も山積している。このような諸課題を整理した中長期計画を 策定が求められる。 · コミュニケーションの機会を捉えた職員育成の取り組み 職員への研修は、できるかぎり多くの機会がもてるよう配慮している他、研修後は報告書を 作成し知識の共有を図っている。職員の育成を取り組みとしたOJT 研修等内部研修を開催 し、サービス水準の確保をめざしているが、経験や個性の差異によるためか、さらなるレベ ルアップを必要とする状況を踏まえ、毎週、主任指導員が各寮会議に必要に応じて出席し ている。今後はOJT 研修等に管理者が現場へ足を運ぶ回数を増やすなどコミュニケーショ ンを図ることやリーダー層の育成強化及び専門研修など各種研修のさらなる充実が期待さ れる。 · 子どもの自立の基盤となる基本的生活習慣の支援体制を 子どもの自立を促すため、起床・身支度・排泄・食事等、基本的な生活習慣の習得を第一に 掲げ、声かけしながら行っている。しかし、職員の平均年齢が若く経験が少ないことや職員 自身の生活経験に因るところが強く、挨拶や衛生面等生活の場面毎に必要な声かけ及び 子どもの心身の状態への気づきに関しては課題が残る。日々の生活習慣は、子どもの人 間形成に大きく影響するという意識を持ち、経験のある職員によるOJT等、現場で習得して いけるような支援体制の整備が必要と思われる。 このページの一番上へ 利用者調査は、評価者3人が事業所を訪問し、アンケート方式で行った。なお、利用者の様 子を見ながら、聞き取り調査も実施した。
サービス情報の提供 講評 子どもにわかりやすい情報の提供 園の情報は、パンフレット・ホームページ・学園通信等で周知している。園のパンフレ ットは、子どもの視点にたってサービス内容が理解できるようわかりやすく作成してお り、日常生活や行事等紹介している。またホームページには、運営方針や財務内容 の情報公開、苦情解決やボランティア募集の紹介等、さらには子どもへの情報として、 園で暮らすための生活の内容(住まい、食事、衣服)・約束事がわかりやすく説明され ている。 学園だより・ホームページなどによる情報公開の充実 ホームページ上には、園長だよりがあり、子どもの様子や園の意向等記載されており、 かなりの頻度で掲載している。また、昨年新たにリニューアルされた学園だより「伊豆 長岡学園通信」は、通信の愛称を募集するなどし、地域との連携強化を図るため地 域の自治会・学校、行政や関係機関等に配布している。 子どもや保護者の希望に合わせた帰省時の配慮した工夫 子どもや保護者の問い合わせや見学の要望があった場合には、園長、主任が対応し 個別の状況に応じている。利用中の子どもの保護者などが来園した場合には、日勤 職員が対応し、他の子どもたちの心情に配慮して管理棟の面会室を使用している。 面会・来園の状況は、「面会・来園記録」に記載され、保護者の意向等情報収集して いる。子どもたちの夏休み・冬休み・ゴールデンウィーク中の帰省については、事前に 帰省期間の通知連絡を行いできる限り子どもの希望に添えるよう配慮するなど工夫 している。
1-1.子どもや保護者等に対してサービスの情報を提供している
評点 子どもや保護者の特性を考慮し、提供する情報の表記や 内容をわかりやすいものにしている 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している 標準項目 子どもや保護者の問い合わせや見学の要望があった場合 には、個別の状況に応じて対応している A+の取り組みサービスの開始・終了時の対応 講評 子どもの不安軽減を図るための入所前面接の実施 園では、入所前における事前面接は子どもの不安を少しでも軽減する事、また意思 表示ができる高齢児においては、子どもの意向を聞くと共に今までの生活と園におけ る生活の違いを分かるよう丁寧に話し、理解・納得するために欠かせない面接と捉え ている。入所直後は、個別対応を行い、各寮の職員はその子どもの状態に注意を払 っている。愛着品の持ち込みを必要に応じて許可するなどして、子どもの不安を取り 除いている。 子どものより適切な支援のための「入所時の情報の整理」と入所時の丁寧な園生活 の説明 入所にあたっては、子どもの意向を把握し、支援に必要な個別事情など児童票や「入 所時の情報の整理」に詳細に記録されており、子どもの状況を多角的にとらえてアセ スメントし、より適切な支援が図れるよう努めている。一方、園生活のルールなど守る べき事や配慮すべき事など、また嫌なこと、困ったことの苦情の申し出などを記載した 「お願い文」を手渡し、分かるように口頭で丁寧に説明している。 リービングケア・アフターケアの実施 卒園児対応としてリービングケアを実施し、住民票の異動やアパートの借り方の指導 など行っている。職員全員が「リービングケアハンドブック」を持っており、高齢児の社 会参加に向けた自立のためのケアの実践を図っている。またアフターケアでは、就 職・大学進学・家庭引取り等、自活生活の状況把握に努めており、電話連絡、職場訪 問、家庭訪問を実施し相談・支援している。
2-1.サービスの開始にあたり子どもや保護者に説明し、理解を得ている
評点 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要な事項等を 子どもや保護者の状況に応じて説明している サービス内容について、子どもや保護者の理解を得るよう にしている 標準項目 サービスに関する説明の際に、子どもや保護者の意向を 確認し、記録化している A+の取り組み2-2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援して
いる
評点 サービス開始時に、子どもの支援に必要な個別事情や要 望を決められた書式に記録し、把握している 利用開始直後には、子どもの不安やストレスを軽減するよ う配慮している サービス利用前の生活をふまえた支援をしている 標準項目 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、 支援の継続性に配慮した支援をしている A+の取り組み
個別状況に応じた計画策定・記録 講評 寮の職員全員参画による支援計画作成プロセスの効果的取り組み 自立支援計画の作成にあたっては、主任、寮職員全員が参加する寮会議において、 個々の子どもが抱える課題、問題点や家族関係のアセスメントについて討議し、その 場で個別に支援方針を明確にし目標設定を行い主任指導員が作成している。関係す る職員全員参画による計画の作成は情報の共有・支援の明確化など、効果的な取り 組みであり、より適切な個別ケアが作成されている。 子どもの希望を尊重した支援計画の作成 支援計画作成にあたっては、子どもや保護者の意向を聞き取り、計画に反映させて いる。利用者調査でも中学生以上の75%は目標作成時に希望を聞いてくれたと答え ている。一方、自立が近い子どもには、将来についてよく話し合いを行い、退所前ケ アとして自立のための準備に取り組んでいる。計画の見直しは半年ごとに行われ、必 要な場合は緊急に変更している。 子どもの状況等に関する情報共有と育成記録への統一した記載方法の検討 日々の子どもの状況は、寮日誌や宿直日誌などに記録されており、引継ぎ時の申し 送り、朝礼、各寮舎間の連絡調整を図る調整会議、養護会議等で情報共有を図って いる。また、個々の育成記録は、毎日詳細に記録され、園内閲覧できる状態となって いる。一方、育成記録の記載の方法について客観的事実にもとづく記載を基本として いるが、職員による記録の仕方に職員間で多少のばらつきが見られており、今後の 検討課題としている。
3-1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもの課題を個別のサ
ービス場面ごとに明示している
評点 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一し た様式によって記録し把握している 子ども一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定 め、記録している 標準項目 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている A+の取り組み3-2.子どもや保護者の希望と関係者の意見を取り入れた自立支援計画を
作成している
評点 標準項目 計画は、子どもや保護者の希望を尊重して作成、見直しをしている 計画を子どもにわかりやすく説明し、同意を得るようにして いる 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必 要に応じて見直している 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している A+の取り組み
3-3.子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している
評点 子ども一人ひとりに関する情報を過不足なく記載するしく みがある 標準項目 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもの状 態がどのように推移したのかについて具体的に記録してい る A+の取り組み3-4.子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している
評点 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべて が共有し、活用している 標準項目 申し送り・引継ぎ等により、子どもに変化があった場合の情 報を職員間で共有化している A+の取り組みプライバシーの保護等個人の尊厳の尊重 講評 子どもの権利を守り、個人の意思を尊重した支援の実践 園の方針として子どもの利益を守ると同時に子どもの権利・個人の権利を擁護し、個 人のプライバシーを守ること、また体罰を含め、子どもに対する人権侵害の言動や行 為全てを否定することが記載されている。入所時「子どもの権利ノート」を渡して自分 の権利を守り、他人の権利を尊重することを伝えている。また、子ども一人ひとりの価 値観や生活習慣に配慮し子どもの個人所有物の自己管理、居室への入室許可を得 るなど行っている。子どもに関する情報を外部とやりとりする必要が生じた場合には、 できる限り本人の同意を得るようにしている。 苦情解決制度の設置と子ども会議の実施による苦情・問題の吸い上げ 入所時、子どもには、嫌な事、困った事があったら我慢せずに園長や寮職員、苦情解 決委員でも苦情ポストでも良いから伝えてほしい旨分かり易く説明しており、苦情解 決制度を設け苦情解決委員3名が毎月交代で来園し、子ども達と接する機会があり 夕食を共にしている。数年前と比較して、子ども達の明るく楽しそうな生活ぶりが委員 から評価されているとの説明があった。日常的には、子ども会議を実施し問題点はそ こでも話合って解決するようにしている。
5-1.子どものプライバシー保護を徹底している
評点 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生 じた場合には、子どもや保護者の同意を得るようにしてい る 個人の所有物や郵便物の扱い、居室への職員の出入り 等、日常の支援の中で、子どものプライバシーに配慮して いる 標準項目 子どもの羞恥心に配慮した支援を行っている A+の取り組み5-2.サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、個人の意思を尊重し
ている
評点 「子どもの権利ノート」などにより、子どもの基本的人権に ついて、日常生活の中でわかりやすく説明している 子ども一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を 行っている 子どもの気持ちを傷つけるような職員の言動、放任、虐 待、無視等が行われることのないよう、職員が相互に日常 の言動を振り返り、組織的に対策を検討し、対応している 標準項目 虐待被害にあった子どもがいる場合には、関係機関と連 携しながら対応する体制を整えている A+の取り組み
事業所業務の標準化 講評 各種マニュアル類の整備 今年度より業務標準化委員会を立ち上げ、業務マニュアルを作成している。職員の 過半数が若い新人職員で占められており、日常業務の手順など各種マニュアル類を 整備し、業務の一定水準を確保している。「児童登校後業務マニュアル」などは実践 的な手順書となっており、統一した支援方法が分かり易く説明されている。一方、子ど もの成長段階に合わせ学校との情報交換を密にして協力・連携していくため、「学校 での児童問題行動対応マニュアル」なども作成されている。 ヒヤリハット事故報告書の周知徹底 子どもの安全性への配慮としては、危機管理マニュアル、緊急マニュアル、安全管理 マニュアル等が整備されており、各寮で安全確保に取り組んでいる。子どもの特性は 多様化しており、個々の子どもによって配慮すべき点が異なるため寮内、園全体で把 握する必要がある場合など毎月の養護会議でヒヤリハット・事故報告の検証作業を 実施し周知徹底を図っている。 コミュニケーションの機会を捉えた職員育成の取り組みを 職員への研修は、できるかぎり多くの機会がもてるよう配慮している他、研修後は報 告書を作成し知識の共有を図っている。職員の育成を取り組みとしたOJT 研修等内 部研修を開催し、サービス水準の確保をめざしているが、経験や個性の差異による ためか、さらなるレベルアップを必要とする状況を踏まえ、毎週、主任指導員が各寮 会議に必要に応じて出席している。今後はOJT 研修等に管理者が現場へ足を運ぶ 回数を増やすなどコミュニケーションを図ることやリーダー層の育成強化及び専門研 修など各種研修のさらなる充実が期待される。