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13 劉 近藤・・/劉 近藤

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中国における世界自然遺産のレクリエーション価値 213

中国における世界自然遺産の

レクリエーション価値

―武陵源風景区を対象として―

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2) 摘 要:本稿は地域旅行費用法(ZTCM)を用いて中国の四つの世界自然遺 産の一つ,武陵源風景区の2005年におけるレクリエーション価値を評価したも のである。ここでレクリエーション価値とは総旅行費用と消費者余剰額の合計 である。また,総旅行費用は旅行費用と時間価値の合計である。最初に,全国 を発地点を含む20個のゾーンに区分し,アンケート調査により発地点からの訪 問人数や訪問率などのデータを収集・計算した。次に,時間価値に関して四つ のケースを想定して訪問率と総旅行費用のデータを用いてレクリエーション需 要曲線を推定し,四つの消費者余剰額を計算した。その結果,これら四つの消 費者余剰推計値には大差がないことが判明したので,最終的には多くの先行研 究で採用された1/3時間価値を総旅行費用に算入することとした。その結果, 武陵源風景区のレクリエーション価値は2005年において少なくとも785,721万 元と推計された(78.6億元。現在の為替レート1元=14.5円で換算すると約 1,140億円)。従って,武陵源風景区は高いレクリエーション価値を持つことが 明らかとなった。また,消費者余剰推計値はレクリエーション価値の70%を占 めており,先行研究と同様に ZTCM の推計に於いて消費者余剰額の推計が重 要な役割を演じていることも明らかとなった。 キーワード:トラベルコスト法;武陵源風景区;レクリエーション需要曲線; レクリエーション価値 1)中国 中南林業科技大学(中国 410004 湖南省長沙市韶山南路498)。 2)日本 滋賀大学経済学部(日本 522―8522 彦根市馬場1丁目1番1号)。

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214 原田俊孝教授退職記念論文集(第364号) 平成19年(2007)年1月 ! はじめに 武陵源風景区は中国湖南省の張 家界市に位 置 す る。そ の 開 発 は 1979年に始まった。当時,張家界 国営営林場は年間1.3万人の観光 客を受け入れたが,その後,張家 界の年間観光客は持続的に上昇し てきている。2005年末には,その 人数は1,453万人(張家界統計局, 2005)に達した。張家界における 観光風景区は,武陵源風景区をそ の中核区とし,張家界国家森林公 園,索渓峪風景区,天子山風景区 をその緩衝区として構成され,総面積は39,080ha である。1992年に国際連合 教育科学文化機関(UNESCO)から「世界遺産」に登録され,中国の四つの「世 界自然遺産」(九陵溝風景区,黄龍風景区,三江並流)の一つとなった。近年, 他の中国の自然保護区と同様,人気のある生態観光地となっている。しかし, 数多くの観光客は当地にきわめて大きな便益をもたらすとともに,その保護区 の生態環境にかなり激しい自然破壊ももたらした。その結果,1998年,当地政 府は UNESCO からの最後の警告を受け入れざるをえなくなった。それ以降, 湖南省政府と張家界市両政府はこの問題の重大性を認識し,2000年4月には, 武陵源風景区内の建築物を取り壊し,立ち退かせるという大胆な計画を公表し た。その計画には少なくとも3.45億元が必要と見込まれており,「それは1990 年から2001年までの武陵源風景区のすべての入場料収入に等しい」と言われて いる(楊志勇,2001)。こうした事実は風景区の自然環境の保全が現在の中国 において如何に重要な課題となっているかを示している。従って,自然資産の 適切な利用と保全を実現するためには,その前提としてその自然資源の経済価 図1 張家界の地理位置(湖南省の地図)

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中国における世界自然遺産のレクリエーション価値 215 値を評価する必要がある。 ところが,環境財は非市場財であり,市場で取引される商品のように市場価 格によって直接にその経済価値を定量的に評価することはできない。こうした 非市場財の経済価値評価は経済学者,環境学者や生態学者などが取り組んでい る焦眉の課題である。1940年代以後,アメリカの学者達は旅行費用法(TCM:

Travel Cost Method)(Randall,1994)と仮想市場評価法(CVM:Contingent

Valu-ation Method)(Davis,1963)と呼ばれる二つの評価方法を考案した。これら

の方法は公共財,森林,水環境,生態環境,レクリエーションなどの経済価値 の評価に広く応用され,研究事例も日一日と増加し,また調査方法や統計的な 分析方法も改善されてきた。トラベルコスト法と CVM 法は既に非市場財の経 済価値を評価するもっとも一般的で有用な手段となっている。通常,トラベル コスト法は観光地域のレクリエーション価値(すなわち,利用価値3))の評価 に応用され,他方 CVM 法は非利用価値評価により多く応用されている。中国 では,1990年代から,トラベルコスト法と CVM 法が導入され,環境価値や自 然資源などの評価に応用されているが,現在までのところ,理論研究も事例研 究も少ない。本稿ではトラベルコスト法を用いて武陵源風景区のレクリエー ション価値を評価したい。その目的はこの評価を通じて,武陵源風景区が持つ 経済価値を明確化することである。そして同時に,中国におけるトラベルコス ト法の普及・促進に貢献するとともに,武陵源風景区の持続可能な発展のため の理論的根拠を提供することである。 ! 研究方法

トラベルコスト法(travel cost method)は,非市場財の利用価値をその代理 市場である観光旅行・交通の市場に着目し,その市場における消費者余剰を用

いて評価する手法である(栗山,1998,17―28)。それは顕示選好法(revealed

preference method)の一つであり,その手法は最初に1942年に Hotelling によっ

3)利用価値と非利用価値の各意味については栗山(1998,13―15)と大野(2000,4―5) を参照せよ。

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216 原田俊孝教授退職記念論文集(第364号) 平成19年(2007)年1月

て提案され,Trice and Wood(1958),Clawson(1959),Tisdell(1991)らによ る実証研究により,初めてレクリエーションの評価に応用された。その後も絶 えず改善され,発展し,現在では完備した理論と実践のための基礎を持ってい る。その手法は特にアメリカの国立公園整備の便益評価において広く使用され ている。

トラベルコスト法の理論的根拠は弱補完性(weak

complementarity)理論(Brad-ford and Hildebrandt,1977;Mäler,1974)と消費者余剰(consumer surplus)理

論である4)。「弱補完性」とは,「旅行に対する需要と環境の需要が補完財の関 係になっている」考えるものである(鷲田,1999,167)。弱補完性の仮定が満 たされる場合には,環境財の変化によって補償需要曲線がシフトした場合の面 積は,環境変化の補償余剰額と等しくなる5)。「消費者余剰」とは,マーシャ ルの需要関数に基づくものである。その推計方法は,まず,旅行費用と訪問回 数(または訪問率)からある環境財に対する同質的な個人のレクリエーション 需要関数(Clawson-Knetsch 曲線と呼ばれる)を推定する。次に,ある需要曲 線が与えられたとき,現在時点における訪問費用(アクセス価格)の水準から 需要がゼロになるような価格(禁止価格)までを積分した値が,マーシャルの 消費者余剰である(竹内,1999,49―62)。 トラベルコスト法の要点はこのレクリエーション需要曲線を推測することに ある。具体的にいえば,訪問回数(または訪問率)X を被説明変数とし,一 人一回あたりの旅行総費用 C ,その他の変数 S を説明変数とした統計的な回 帰モデルを構成する。すなわち調査データを用いて, X =f(C, S ) というような関数 f を近似的に求める。これを分析対象とする観光地に対する 人々の需要関数とみなす(鷲田,1999,167―172)。S は,都市人口,旅行時間, 4)マーシャルの消費者余剰を厚生変化の指標として採用するには,所得の限界効用および 経路独立性条件に一定の仮定が必要となる(Johansson,1987,26―30)。また,弱補完性理 論については大野(2000,30),トラベルコスト法の詳細については,Freeman(1993,443― 483),Johansson(1987,114―125),Bockstael et al.(1991)などを参照せよ。

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中国における世界自然遺産のレクリエーション価値 217 あるいはこの観光地へ訪問 する人々の個人属性,例え ば年齢,性別,年収などを 表す。次に,推定されたレ クリエーション需要曲線を 費用に関して積分する。こ うして得られた消費者余剰 額に総旅行費用を加えたも の が 推 測 す る レ ク リ エ ー ション価値である。すなわ ち, 一人当たりレクリエーション価値=一人当たり総旅行費用+一人当たり消費 者余剰額となる。(図2を参照)

トラベルコスト法には個人旅行費用法(ITCM:individual TCM)(Gum and

Martin,1974,558―566;Brown and Nawas,1973,246―249)と地域旅行費用法

(ZTCM:zone TCM)の二種類がある(大野,2000,35―60)。これら二種類 の方法にはそれぞれ長所と短所がある。ZTCM はゾーン単位で人々のレクリ エーション行動を捉えた集計モデルであり,モデルに組み込める説明要因とし てゾーン属性のみを考慮するのに対し,ITCM はそれに加えて個人属性も考慮 することができる。また,ITCM は個人ベースでモデルを推定するので,人々 の価値観が変わらないと判断できる範囲内において,モデルの時間的・空間的 な移転が可能である。他方,ZTCM は時間的・空間的な移転可能性の面で劣 るので評価対象ごとに調査を必要とするわずらわしさがあるが,評価対象の「現 状評価」に限定するならば既存の統計データ(利用者数などの調査結果)を利 用できる(大野,2000,35―60)。それゆえ,ITCM の操作性は ZTCM より高い にもかかわらず,モデルの推定精度や安定性(わずかな社会情勢の変化に対し て敏感に反応しない)の面では ZTCM の方が優れている。そこで,本稿では モデルの推定精度や安定性の視点から考えて, ZTCM を採用することとする。 図2 消費者余剰とレクリエーション価値

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218 原田俊孝教授退職記念論文集(第364号) 平成19年(2007)年1月 ZTCMによる便益の具体的な推測の手順はまず,全体を幾つかのゾーンに 分割し6),各ゾーンにおける人口当たりの訪問回数(訪問者一人につき1回と 想定)や社会資本整備プロジェクトの有無,個人属性などを調査する。調査地 は着地点調査とする。 次に,各ゾーンからの訪問回数が全体(われわれの場合は877人)に占める 比率(以下,観光頻度と呼ぶ)に,武陵源風景区の観光客数(210万人,2005 年)を乗じて,各ゾーンからの訪問人数を推計する。こうして求めた各ゾーン からの推計訪問人数が各ゾーン人口に占める比率を訪問率$%と定義する。次 に,各地域からのアクセス費用(旅行費用)!%を計算する。レクリエーショ ン需要曲線の推計式としては通常は次式のような semi-log 型の関数がつかわれ る。 $""'(!!#"!!

&$&#&!% !

または,

'($""!!#"!!

&$&#&!%! "

ここで,P はアクセス費用(元/人)で,X は訪問率(‰/年)で,Q は 社会資本整備ダミー7)(整備有=1,無=0)で,R は訪問目的ダミー(水遊 び,釣り,散策など)で,",#,$&,%は未知のパラメーターである。 ! 調査データ アンケート調査は2005年5月23日から5月29まで張家界駅で実施された。配 布したアンケート調査票は1000票である。回収した調査票は893票で,回収率 は89.3%であった。回答者は全て武陵源風景区へ観光に訪れた中国人観光客(入 場券を買った者)であり,海外からの観光客は除外し,また18歳以上の成人に 限定した。彼/彼女らは全国31省,市,自治区から来た観光客であった8)。回 6)われわれの場合はゾーン数は20個となる。詳細はⅣの1を参照せよ。 7)例えば鉄道路線の新設は観光旅行・交通需要に影響を与えると考えられるから,新設有 =1,新設無=0となる。 8)中国大陸には31個の省がある(台湾省,香港,澳門は含まない)。

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中国における世界自然遺産のレクリエーション価値 219 収した893票のアンケート調査票は回答が不備な16票を除いて,877票の有効な 調査票が得られた。これらの有効な回答調査票の主な個人属性を整理したもの が表1である。 発地点から着地点までの距離9)や総費用,年収など,観光客数及び観光頻度 に影響する変数の相関関係を分析し,表2のような結果が得られた。なお,こ こでの総費用とは実際にかかった費用ではなく,発地点からの鉄道距離によっ て計算した仮想的な費用である。その詳細は表3の注を参照されたい。 表2からわかるように,武陵源風景区への観光客数は観光客の発地点からの 距離に非常に著しい負の相関関係がある。すなわち,着地点から遠ければ遠い 9)発地点との距離は www.jctrans.com から調べた鉄道距離である。 内 容 名 内容(サンプル数877) 性 別 男性 557人,女性 320人 年 齢 25歳以下 106人;25∼35歳 319人;35∼55歳 382人;55歳以上 70人。 職 業 ①公務員 227人;②教師 41人;③科学研究所研究者 14人;④自然・歴史的 な文化の保護に関連する各部門(自然保護区,風景名勝区,森林公園,動物 園,植物園,博物館)の職員 20人;⑤上記以外の企業・事業所の職員 413 人;⑥その他 162人。 学 歴 ①大学院とそれ以上の教育を受けた者 33人;②大学の教育を受けた者 555 人;③高校の教育を受けた者 265人;④中学校とそれ以下の教育を受けた者 24人。 職 名 ①高級職名者 111人;②中級職名者 272人;③初級職名者 83人;④無職名 者 184人;⑤その他の役職名者 227人。 訪問回数 一回 664人;二回 118人;三回以上 95人。 年 収 (単位:元) ①5000以下 36人;②5001∼1000057人;③10001∼15000118人;④15001∼ 20000149人;⑤20001∼30000246人;⑥30001∼40000145人;⑦40001∼ 5000055人;⑧50001以上 71人。 表1 有効な調査票の個人属性 注:回答者はすべて18歳以上で,入場券を買った観光客に限定される。職名とは専門的技術や技能経 験の程度に応じて公務部門・国有企業における職員を階層化したものであり,中国独特の分類法 である。概ね「高級職名者」とは教授・助教授・部長クラス,「中級職名者」とは講師・課長・ 係長クラス,「初級職名者」とは助手・主任クラスに相当する。「無職名者」とは一般公務員,一 般事務職員などに相当する。「その他の役職名者」とは民間企業経営者,一般労働者,商業者, 農業者,学生などに相当する。

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220 原田俊孝教授退職記念論文集(第364号) 平成19年(2007)年1月 ほど観光客数は少なくなる。また,観光客数は観光に用いられる総費用と著し い負の相関関係がある。すなわち,総費用が高ければ,観光客は少なくなる。 他方,観光客数は観光客の年収と強い相関関係はない。つまり,観光客の観光 行動は彼らの年収の影響を受けないのである。この傾向は観光頻度についても 同様である。 ! レクリエーション価値の推計 1 発地点の区分 レクリエーション価値を推定する際に,まず発地点をいくつかの適当な地域 に分ける必要がある。発地点の区分の原則は観光地からの距離に従って,地理 的位置が接近する省あるいは着地点からの距離が大差がない省,及びアクセス 手段の共通性(バスまたは鉄道)等を考慮して19個の発地点に統合した。そし て,張家界市を湖南省と区別し,観光地域の当地都市としたので,発地点は全 体で20個となった。本稿では,20個の発地点における各地域の訪問者は同質的 である,すなわち同一ゾーン内の観光客の旅行費用や旅行時間及び交通手段(バ スまたは鉄道)は完全に同一であると想定している。表3は区分された20個の 各発地点における訪問率や総旅行費用などの情報を示している。 2 レクリエーション需要曲線(Clawson-Knetsch 曲線)の推計 式!"のレクリエーション需要関数のうち,先行研究において一般的に使わ れている式"の形を想定することとする。さらに,各発地点の都市人口数,年 所得は2005年において一定と考えられる。また,各発地点からの距離,旅行時 距 離 総費用 年 収 観光客数 −.482(** −.9( 観光頻度 (%) −.484( ** −.1( 表2 観光客数に影響する変数の相関分析の結果 **5%水準で有意;1%水準で有意。 注:観光頻度(%)=各ゾーン別のサンプル数/877人。

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中国における世界自然遺産のレクリエーション価値 221 間と旅行費用の三者の間には密接な関係があると考えられるから,距離と旅行 時間を旅行費用で代表させれば,訪問率は旅行費用だけの関数と考えることが できる。また,本稿では,2005年において旅行需要に大きな影響を与える程の 鉄道の整備があったとは考えられないため,式!に含まれる社会資本整備ダ 発 地 点 ゾーン 人 口 (万人) サン プル 数(人) 訪問人 数* (万人) 訪問 率** (‰) 旅行 時間 (日) 旅行費 用*** (元/人) 平均年収 入(元/人) **** 発地点の 旅行費用 額(万元) ***** 新疆―西蔵 888.53 9 2.1 2.36 10 1825.5 8255.5 3833.55 黒龍江―吉林―遼 5565 70 16.59 2.98 8 1491.67 8710.54 24746.81 青海―内蒙古 1339.61 11 2.73 2.04 8 1409 8597.425 3846.57 夏―甘粛 1047.12 21 5.04 4.81 7 1375.5 8090.21 6932.52 四四―重慶 4153.45 25 6.09 1.47 7 1241 9315 7557.69 北京―天津 2100.4 72 17.22 8.20 7 1247 15146 21473.34 山東 4624 36 8.61 1.86 6 1219 10744 10495.59 山西―陜西 2797.81 61 14.7 5.25 6 1185 8592.95 17419.5 雲南 1312.9 8 1.89 1.44 6 1219 9265.9 2303.91 河北 3425.4 60 14.28 4.17 6 1137 9107.1 16236.36 海南 356.04 4 1.05 2.95 6 1137 8124 1193.85 福建―安微 3985.18 28 6.72 1.69 6 1084 10395.85 7284.48 上海―江蘇―浙江 7791.41 100 23.94 3.07 6 1103.67 15737.67 26421.86 広西 1656 36 8.61 5.20 6 1043 8916.8 8980.23 貴陽 1055.9 6 1.47 1.39 5 1043 8147.13 1533.21 河南 2994 54 13.02 4.35 5 1027 8667.97 13371.54 広東 5516.4 51 12.18 2.21 5 963 14769.9 11729.34 江西―湖北 4192.83 89 21.21 5.06 5 839 8703 17795.19 湖南 2942.61 117 27.93 9.49 5 701 9523.97 19578.93 張家界 51.39 19 4.62 89.90 3 20 7667 92.4 表3 各発地点の訪問率や旅行費用 注:* 訪問人数 =(サンプル数/87)×20万人(25年の武陵源風景区の観光客数である) ** 訪問率(‰)=[(発地点)訪問人数/(発地点)都市人口数]×1 *** 表3における旅行費用は時間価値を含まない。旅行費用は往復電車費用,バス費用,二 泊料金(訪問者は一般的に張家界で二泊滞在する)と入場券料金を含むものであり,全 て計算したものである。 **** 平均年収は中国における各省の統計局による25年の統計公告から調べたデータであ る。 ***** 各発地点の旅行費用額(万元)=各発地点の訪問人数(万人)×各発地点の旅行費用 (元/人)

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222 原田俊孝教授退職記念論文集(第364号) 平成19年(2007)年1月 ミー変数の影響はないと考える。よって,推計式は式!の代わりに,次式 &'""#!!&'$(あるいは ""$%#! " と想定する。ここで,X は発地点から着地点までのゾーン別の訪問率で,a と b はパラメーター,P は訪問者のゾーン別の総旅行費用(元/人)である。

表3の旅行費用(元/人)には時間価値が含まれていない。先行研究(Cesa-rio,1976,32―41;McConnell and Strand,1981,153―156)によれば,総旅行費 用の算定に伴う時間価値の扱いは結果に大きな影響を与えるとされている。こ 発地点 総旅行費用 (元/人)0 時間価値 総旅行費用 (元/人)1/3 時間価値* 総旅行費用 (元/人)1/2 時間価値* 総旅行費用 (元/人)3/4 時間価値* 新疆―西蔵 1825.5 1901 1939 1995 黒龍江―吉林―遼 1491.67 1555 1587 1635 青海―内蒙古 1409 1472 1503 1550 夏―甘粛 1375.5 1427 1453 1492 四四―重慶 1241 1301 1330 1375 北京―天津 1247 1344 1392 1465 山東 1219 1278 1307 1351 山西―陜西 1185 1232 1256 1290 雲南 1219 1270 1307 1333 河北 1137 1187 1212 1249 海南 1137 1182 1204 1237 福建―安微 1084 1141 1169 1212 上海―江蘇―浙江 1103.67 1189 1233 1298 広西 1043 1092 1116 1153 貴陽 1043 1080 1099 1127 河南 1027 1067 1086 1116 広東 963 1030 1064 1115 江西―湖北 839 879 899 928 湖南 701 744 766 799 張家界 20 41 52 67 表4 四つの異なる時間価値をもつ総旅行費用 注:*1/3時間価値=(各発地点の平均年収入/35)×1/3×各出発地から着地点までの旅行日。 1/2時間価値=(各発地点の平均年収入/365)×1/2×各出発地から着地点までの旅行日。 3/4時間価値=(各発地点の平均年収入/365)×3/4×各出発地から着地点までの旅行日。 これらに,0時間価値の場合の総旅行費用のケースを加えて,四つのケースが得られる。

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中国における世界自然遺産のレクリエーション価値 223 こで時間価値とは旅行に伴う損失時間を労働稼得の機会費用と考えるものであ り,発地点別の一日あたりの平均賃金の1/3,1/2あるいは3/4の金額を 時間価値(単位は日であることに注意)として総旅行費用に算入する議論が一 般的である。本稿では以下のように四つのケースを想定し,回帰分析を行った。 四つのケースの時間価値を含む総旅行費用は表4のようになった。 表4と式!によって,回帰分析を行うと,表5のような結果が得られる。 表5より,四つのケースの総旅行費用に対応する需要曲線はそれぞれ次式と なる。 #!#$"!#%"!#" !!!$ !!"*"%"% " #""$#$#!!#"!#" !!!$ !!")%&"% # #""##$#!$$"!#" !!!$ !!")"""% $ #$"%#$#!')"!#" !!!$ !!"(&*"% % ここで,X と P の意味は式!と同じである。 推計結果から見れば,先行研究の示すように,総旅行費用(P )の係数が負 であるので,旅行費用が訪問率に対する影響は負の効果があることが分かる。 つまり,発地点から武陵源風景区までの旅行費用が高ければ,その発地点から の訪問者数は少なくなる。(逆は逆) 3 消費者余剰とレクリエーション価値の計算 発地点当たりの観光・交通市場の総消費者余剰(CS)は次式 0時間価値の総費用 1/3時間価値の 総費用 1/2時間価値の 総費用 3/4時間価値の 総費用 b 31.24(1.937)* 2.(1.4)2.(1.4)2.(1.6)a −0.001914 (−4.326)* −0.001845 (−4.273)* −0.001811 (−4.244)* −0.001759 (−4.198)* R2 0. 0. 0. 0. Ad・R2 0. 0. 0. 0. F-value[P] 18.71[0.0004] 18.26[0.0005] 18.01[0.0005] 17.62[0.0005] 表5 レクリエーション需要曲線の推計結果 注:* )内は t 値である。

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224 原田俊孝教授退職記念論文集(第364号) 平成19年(2007)年1月 !"!!$ $# "%"#!% " で与えられる。ここで,CS は消費者余剰,p はある発地点から武陵源風景区 までの総旅行費用(時間価値を含む),pm は発地点からの訪問者数をゼロに する総旅行費用(禁止価格)で,f(x)は発地点から武陵源風景区までのレクリ エーション需要曲線である。 pm については,訪問率を0.001以下とする価格(総旅行費用)を選ぶこと とし,具体的には需要曲線!の場合は pm=5407.2元となった10)。pm が決ま ると,式"によってすべての発地点の一人当たり消費者余剰が得られる11)。 従って,武陵源風景区のレクリエーション価値はすべての発地点の一人当たり 消費者余剰と一人当たり総旅行費用の合計に訪問者数を乗じた各ゾーンのレク リエーション額の集計額となる。発地点ごとの一人当たり消費者余剰及び消費 発 地 点 0時間価値の CS 1/3時間価値 の CS 1/2時間価値 の CS 3/4時間価値 の CS 新疆―西蔵 491.74 515.98 528.56 551.41 黒龍江―吉林―遼 934.93 980.41 1003.39 1042.29 青海―内蒙古 1095.88 1143.33 1168.94 1211.07 夏―甘粛 1168.72 1242.67 1280.13 1341.62 四四―重慶 1513.06 1569.00 1600.63 1649.22 北京―天津 1495.74 1449.01 1430.16 1407.09 山東 1578.32 1637.21 1668.89 1720.53 山西―陜西 1684.72 1782.61 1830.81 1915.93 雲南 1578.32 1661.61 1668.89 1776.03 河北 1847.24 1937.31 1983.04 2059.56 海南 1847.24 1955.31 2012.04 2103.59 福建―安微 2044.93 2109.30 2144.00 2198.37 上海―江蘇―浙江 1969.21 1930.16 1908.87 1889.09 広西 2212.22 2309.31 2360.45 2439.30 貴陽 2212.22 2361.11 2434.40 2553.67 河南 2281.15 2418.53 2492.50 2603.66 広東 2578.99 2589.72 2594.00 2608.25 江西―湖北 3271.02 3423.23 3499.04 3626.02 湖南 4261.26 4392.81 4453.33 4550.92 張家界 15702.94 16084.50 16241.35 16506.87 表6 各発地点の異なる時間価値の一人当たり消費者余剰(元/人)

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中国における世界自然遺産のレクリエーション価値 225 者余剰額は表6,表7のとおりとなった。 表7における分析の結果から,四つのケースの総消費者余剰額について大差 がないことがわかる。(総消費者余剰額は535,291.8∼571,444.5元に収まって いる。また,全発地点の旅行費用額合計222,826.9万元(表3参照。時間価値 を含まない)に対する総消費者余剰額の比率を見ると,2.40∼2.56倍の範囲に 10)需要曲線"の場合の禁止価格 pm は5622.8元,#の場合は5733.7元,$の場合は5909.3 となる。 11)消費者余剰の具体的な計算は以下のように説明される。"!$%#!と禁止価格の定義より,

CS=(b/a)・{EXP(a・pm)−EXP(a・p0)}−0.001・(pm−p0)が成り立つ。需要曲線!の新疆― 西蔵の場合には a=−0.001914,b=31.24,pm=5407.2,p0=1825.5であるから,新疆― 西蔵の時間価値を考慮しない(0時間価値)消費者余剰は491.74(元/人)と計算される。 発 地 点 0時間価値 CS 1/3時間価値 の CS 1/2時間価値 の CS 3/4時間価値 の CS 新疆―西蔵 1032.64 1083.55 1109.97 1157.95 黒龍江―吉林―遼 15510.42 16265 16646.29 17291.54 青海―内蒙古 2991.76 3121.29 3191.22 3306.23 夏―甘粛 5890.34 6263.05 6451.88 6761.78 四四―重慶 9214.55 9555.24 9747.81 10043.76 北京―天津 25756.62 24951.94 24627.4 24230.16 山東 13589.29 14096.34 14369.17 14813.78 山西―陜西 24765.44 26204.35 26912.86 28164.19 雲南 2983.02 3140.45 3154.21 3356.69 河北 26378.65 27664.78 28317.75 29410.48 海南 1939.61 2053.07 2112.64 2208.77 福建―安微 13741.9 14174.52 14407.69 14773.06 上海―江蘇―浙江 47142.86 46207.98 45698.27 45224.92 広西 19047.19 19883.13 20323.48 21002.35 貴陽 3251.96 3470.83 3578.56 3753.90 河南 29700.56 31489.29 32452.35 33899.6 広東 31412.1 31542.82 31594.93 31768.46 江西―湖北 69378.41 72606.63 74214.67 76907.94 湖南 119016.9 122691.1 124381.5 127107.2 張家界 72547.57 74310.37 75035.05 76261.73 集計額 535291.8 550775.7 558327.7 571444.5 表7 各発地点の異なる時間価値の消費者余剰額(万元)

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226 原田俊孝教授退職記念論文集(第364号) 平成19年(2007)年1月 収まっている。)そこで,本稿では先行研究で多く採用されてきた1/3時間価 値を総旅行費用に算入することとした。また,1/3の時間価値を含む総旅行 費用額は表4の総旅行費用と表3の訪問者数を用いて計算することができ,そ の総額は234,945.3万元となった。よって最終的には, レクリエーション価値=! $"" #! #!$!! $"" #! !"$=234945.3+550775.7=785721 (万元) を得た。ここで,#!$は第 i 発地点の総旅行費用(旅行費用と1/3時間価値の 合計),!"$は第 i 発地点の消費者余剰額,i は発地点である。 以上により,われわれは2005年における武陵源風景区のレクリエーション価 値を少なくとも785,721万元と推計する。(78.6億元。現在の為替レート1元= 14.5円で換算すると約1,140億円) ! 結 論 本稿は地域旅行費用法(ZTCM)を利用して,武陵源風景区のレクリエーショ ン価値を評価した。まず,全国を20個のゾーンに区分し,アンケート調査によっ て発地点の訪問者数や訪問率などの情報を収集した。次に,時間価値に関して 四つのケースを想定して訪問率と総旅行費用に関するレクリエーション需要曲 線を推定し,消費者余剰額を計算した。これらの消費者余剰額は大差がなく, 旅行費用合計(時間価値を含まない)の2.40∼2.56倍を占めることとなった。 そこで最終的には,多くの先行研究で採用されてきた1/3時間価値を総旅行 費用に算入することとした。このようにして推定された各発地点の消費者余剰 額と総旅行費用を集計すると,武陵源風景区のレクリエーション価値は2005年 に少なくとも785,721万元となった。それゆえ,武陵源風景区は高いレクリエー ション価値を持つことは今や明らかである。さらに,消費者余剰額がレクリエー ション価値全体に占める比重は70%となり,先行研究と同様に,消費者余剰額 の推計がレクリエーション価値の推計に重要な関りをもつことも明らかとなっ た。 同時に本稿の推測結果は過小評価の可能性があると考えられる。その理由は

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中国における世界自然遺産のレクリエーション価値 227 以下のとおりである。中国は国土が広大であるので,たとえ同じゾーンからの 訪問者であっても実際の旅行距離は異なり,彼/彼女らの旅行費用も大きく異 なるものと考えられる。しかし,総旅行費用を推測する際,各ゾーンの中心都 市までの彼/彼女らの旅行費用を無視したからである。ここに総旅行費用を過 小評価する可能性がある。なお,本稿では旅行費用に関し実際の費用ではなく, 計算上の費用を用いているため,「観光行動の周遊特性」(大野,2000,58)の 問題や複数目的による旅行費用の按分問題(鷲田,1999,169)を考慮する必 要はない。また滞在時間(レクリエーション期間中の時間)については当然な がら旅行費用として計上していない。 類似の先行研究としては,中国では九寨溝のレクリエーション価値が160,740 万元と評価されたものがある(陳浮・張捷,2001,296―302)。九寨溝の面積や 訪問率は武陵源風景区より小さいことから,当然の結果として,そのレクリエー ション価値は武陵源風景区よりも小さくなった。他方,九寨溝の推計では総消 費者余剰は129,694万元であり,そのレクリエーション価値全体に占める比率 は80.7%と,われわれの推計よりもやや高くなった。 九寨溝風景区のレクリエーション価値に占める総消費者余剰の比率がわれわ れの場合よりもやや高くなった理由は,九寨溝の推計では総旅行費用の中に 様々な費用を算入している点がある。例えば,交通費用と宿泊料金と入場券費 用のほかに,写真代,記念品代,食事料金やほかのサービス費用などを加えて いる。また,推計の基本式も本稿のモデルとは違っている。しかし,レクリエー ション価値が代理市場である観光旅行・交通市場によって計測されると考える 限り,写真代や記念品代,食事代,その他のサービス費用を含めることには問 題がある。他方,レクリエーションが派生的な所得を生み出し,地域経済に対 し一定の波及・活性化効果を持つことも確かである。したがって,ここにはこ れまで問題にされてこなかった新たな二つの問題が伏在していると考えられ る。一つは代理市場を暗黙のうちに唯一と考えてきたが,もし複数の代理市場 がある場合,レクリエーション価値はどのように推計すればよいのか,という 問題である。第二は,レクリエーションが何らかの派生所得を生み出すことを

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228 原田俊孝教授退職記念論文集(第364号) 平成19年(2007)年1月 認めた場合,その波及効果をレクリエーション価値に含めるべきかどうかとい う問題である。 われわれは前者の問題については,観光旅行・交通市場以外の「代理市場」 が環境財と密接な補完関係にあるのかどうか,さらには同質的な旅行者の仮定 の妥当性が実態に即して検討されるべきであると考える。後者の問題について は,原理的には環境財のリクリエーション価値それ自体と,それがもつ地域活 性化効果とは一応区別して論じるべきであると考える。だが,その詳細は今後 に残された課題としたい。 謝 辞 本論文作成にあたり,中南林業科学技術大学の博士生鐘秋平と滋賀大学の博 士生李 にはデータ整理作業等に協力を頂いた。また,本研究のアンケート調 査は張家界航空工業職業技術学院の金建湘助教授などの支援により実施したも のである。この場を借りて感謝の意を表します。 参考文献

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230 原田俊孝教授退職記念論文集(第364号) 平成19年(2007)年1月

The Recreational Value of

Wulingyuan Resort Spot as One of

the World Natural Heritage Sites in China

: A Value Estimated by Applying the Travel Cost Method

Liu Ya-ping

,Manabu Kondo

Abstract: In this paper, Zone Travel Cost Method(ZTCM)is applied to estimate the

recreational value of Wulingyuan Resort Spot as one of four World Natural Heritage Sites in China. In this context the recreational value consists of total travel cost and consumer surplus. And total travel cost consists of travel cost and time opportunity cost. Firstly, the whole country is divided into20origin zones including origin points,

and the population of visitors and the rate of visitors from the origin points are col-lected and calculated by using the data from a questionnaire survey. Secondly, the Clawson-Knetsch curves are reckoned by assuming four cases of time opportunity cost using total travel cost data and the rate of visitors’ data, and four consumer surplus val-ues are computed. These four calculations of consumer surplus show that there are no large differences among them. Therefore, finally1/3time opportunity cost often used

in many literatures is added into the total travel cost to estimate the consumer surplus. Consequently, the recreational value of Wulingyuan Resort Spot changed to7.85721

billion yuan at least in2005. This result obviously indicates that Wulingyuan Resort

Spot has a high recreation value. Moreover, it was shown that the ratio to recreational value of a consumer surplus reached70%, and that the estimation of consumer surplus

was also playing an important role in estimation of ZTCM like researches of prece-dence.

Keywords: travel cost method; Wulingyuan Resort Spot; Clawson-Knetsch curve;

参照

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