7セグメント表示器
1-(1)
.7セグメントLED表示器とは
7セグメントLEDとは数字表示のための7個のLEDと小数点(D
P)表示のためのLEDが1つの部品にまとめられたLEDで、1つで
1桁分の数字を表示できる。
内部接続の方法によりアノード・コモンとカソード・コモンの2種類
ある。
1-(2)
.7セグメントLEDのスタティック駆動
図3の回路はマイコンの出力ポートからドライバ(電流増幅回路)ICを利用して7セグメントLE
Dを駆動する回路である。マイコンから0~9に相当する点灯パターンデータを与えるとセグメントが
点灯し、パターンデータに対応した数字が表示される。
この回路では各セグメントが入力データに応じて常時点灯している。このような表示方式を「スタテ
ィック駆動」という。
スタティック駆動は、使用するポートが桁ごとに必要になるため、表示桁数が多くなるとその分だけ
ポートを浪費することになる。また、常時LEDを点灯しているため消費電力も多くなるなどの欠点が
ある。そこで複数桁を使用する場合は後述するダイナミック駆動を利用する。
図1.アノード・コモン 図2.カソード・コモン
問題.
図の回路において、「3」と
いう数字を表示したい場合、
マイコンポートからどのよう
なデータを出力すべきか?
図3.スタティック駆動回路
D C B A
0
0 0 0 0
1
0 0 0 1
2
0 0 1 0
3
0 0 1 1
4
0 1 0 0
5
0 1 0 1
6
0 1 1 0
7
0 1 1 1
8
1 0 0 0
9
1 0 0 1
表示 入力コード
1-(3)
.デコーダICによるスタティック駆動回路
マイコンからデコーダICの入力A、B、C、Dに0~9に相当するBCDコードを与えると数字に
対応したセグメントが点灯する。1桁あたり4本の線が必要なので8ビットのポートならば2桁を表示
することができる。
1-(4)
.7セグメントLEDのダイナミック駆動
1桁ごとに有効な桁数を切り替え、順番にセグメントLEDを点灯させる方法をダイナミック駆動と
呼ぶ。表示桁数が多い場合は桁ごとのセグメントデータ信号線が必要になり配線数や回路規模が大きく
なる。そこで、1桁ずつ表示させこれを高速に切り替えることで視覚の残像を利用し、全桁が同時に点
灯しているように見せている。この方法によると桁有効信号と1桁分のセグメントデータ信号線により
複数のセグメントLEDを駆動することができるため桁数分の出力ポートを省略することができる。
ただし、配線数が減るかわりに、桁数分のドライブ回路が必要になることとプログラムも複雑になる。
また、桁数を増やしていくと1桁当たりの点灯時間が減り輝度が低下するため8桁以上は実用的でない。
図4.デコーダICによるスタティック駆動回路
図5.ダイナミック駆動回路のタイムチャート
表1.入力コードと表示数字
1-(5)
.ダイナミック駆動回路
7SegLEDを点灯させるには桁信号とセグメントデータ信号を出力する必要がある。4桁分の7
SegLEDがあれば、それぞれの桁信号を有効にし、セグメントデータを出力することで1桁分のL
EDが点灯することになる。これを順次数ms程度の周期で繰り返すことにより全桁を表示させること
ができる。
スタティック駆動の場合、LEDには10~20mAの電流を流して点灯させるが、ダイナミック駆
動の場合は輝度を確保するために40mA程度のパルス電流を流す必要がある。
そのため、デバックの際にLEDが常時点灯状態になるとLEDを傷めてしまうので注意が必要であ
る。また、1桁分の7SegLEDの駆動には最大で320mA(40mA×8)の電流が必要になる
ため、ポートから7SegLED駆動するには大電流ドライブ回路が必要になる。
図7.ドライバ回路によるダイナミック駆動回路(4桁分)
図6.ドライバ回路によるダイナミック駆動回路(1桁分)
c
a b
e
g
f
d
dp
a
b
c
d
e
f
g
dp
10 9 8 7 6
1 2 3 4 5
com
com
7セグメントLED TLR306(東芝)
アノードコモンタイプ
●ダーリントン・ソース・ドライバ TD62783(東芝)
TD62783は8回路入りの非反転型のトランジスタアレイで、誘導性負荷駆動時に発生する逆起
電力をクランプする出力クランプダイオード、ベース電流を制限する入力抵抗が内蔵されている。
(1)TD620783(東芝)の基本回路とピン配置
(2)最大定格
製作課題
次の回路をブレッドボード上に製作せよ。
プログラミング実習3
プログラム課題3-1
ボリューム抵抗の電圧をAD変換し、そのデジタル値を4桁の7セグメントLEDに表示せよ。
プログラム課題3-2
ボリューム抵抗の電圧をAD変換し、その電圧値を4桁の7セグメントLEDに表示せよ。
プログラム課題3-3
スタート、ストップ、リセット機能つきのストップウォッチを製作せよ。
00.01秒から59.99秒まで表示、計測できるようにすること。
シリアル―パラレル変換インターフェース
マイコンの出力ポートには限りがある。最近のマイコンは
ワンチップマイコンのため容易にポートを増設することはで
きない。ポート数を増やすにはもうひとつのマイコンを使用
するなど考えられるが、マイコン間の接続とプログラム処理
を行う必要があるため現実的ではない。そこで手軽な方法の
1つとしてシフトレジスタの利用がある。
シフトレジスタとはクロック信号ごとに入力データを取り込むと同時に、データを1ビットずつシフ
トさせ、データを出力する機能をもったデジタルICである。これを利用することにより、1 ビットの
データ入力と8回のクロック信号で8ビットのデータを出力することができる。
しかし、単純にデータを送るとシフトレジスタ出力が逐次変化してしまうので、シフトレジスタの出
力側にラッチ機能を用意し、シフト完了後にパラレルデータをラッチさせ、8ビット同時に出力を変化
させる必要がある。ラッチ機能とはデータを記憶する機能である。(図1)
出力データのラッチ機能をもったシフトレジスタとして、74HC595がある。
このICを利用することでシリアルデータをパラレルデータに変換することが可能となる。また、後
段にシフトレジスタを追加することで出力ポートを増設することも可能である。(図2)
図1.ラッチ機能付きシフトレジスタの動作
●ラッチ機能付きシフトレジスタ 74HC595
TC74HC595A は、シリコンゲート、高速CMOS、8ビットシフトレジスタ/ラッチ。C
MOSの特長である低い消費電力で、高速動作を実現できる。
SCKの立ち上がりでシフトレジスタに読み込まれたデータは、RCKの立ち上がりによりストレー
ジレジスタに取り込むことができる。このため、データ転送モードでは、出力をホールドすることがで
きるようになる。また、並列出力はスリーステート構造のため、8ビットのバスラインと直結できる。
データ直並列変換、データレシーバなどに適する。
(1)絶対最大定格
(2)真理値表
74HC595のピン配置
製作課題1
次の回路を製作し、シフトレジスタの動作とラッチ機能について確認せよ。
製作課題2
上記の回路を利用してシフトレジスタを利用した7セグメントLED駆動回路を製作せよ。
プログラミング実習4
プログラム課題4-1
スタート、ストップ、リセット機能つきのストップウォッチを製作せよ。
ドットマトリクスLED表示器
1-(1)ドットマトリクスLEDとは
縦、横に複数のLEDを配置して点灯させるLEDのパターンにより
文字や数字、模様などを表現することができるデバイスである。内部の
LEDはマトリクス状に接続されており、7セグメントLEDと同じようにダイナミック駆動により駆
動する。ドットマトリクスでは縦(列)、横(行)をそれぞれ「カラム」(column)、「ロウ」(r
ow)と呼ぶ。
図1に8×8ドットマトリクスの内部構造を示す。
図2にドットマトリクスの基本駆動回路を示す。LEDに順方向電流を流すようにソースドライバ
(PNPトランジスタ)とシンクドライバ(NPNトランジスタ)を組み合わせた回路構成になってい
る。
図1.ドットマトリクスの内部構造
1-(2)ドットマトリクスのダイナミック駆動回路
ドットマトリクスLED全体を表示するにはダイナミック駆動を行う必要がある。図3にドットマト
リクスのダイナミック駆動回路を示す。
ROW側の行を有効にした後、その行に対応した点灯パターンデータをCOL側から出力する。これ
を8行分順番に繰り返し、視覚の残像を利用することでマトリクス全体にパターンが表示されるように
見える。図4にそのダイナミック駆動回路のタイムチャートを示す。
また、COL側の列を有効にし、その列に対応した点灯パターンをROW側から出力する方法もある。
図2.ドットマトリクスの基本駆動回路
図3.ダイナミック駆動回路