Title
Adenoviral gene transfer of hepatocyte growth factor prevents
death of injured adult motoneurons after peripheral nerve
avulsion( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
林, 祐一
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第682号
Issue Date
2006-09-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/23066
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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 林 祐 一(石川県) 博 士(医学) 甲第 682 号 平成18 年 9 月13 日 学位規則第4条第1項該当
Adenovira[gene transfer of hepatocYte grOWth factor prevents death
OfinJured adult motoneurons after peripheralnerve avulsion
(主査)教授 犬 塚 貴 (副査)教授 中 川 敏 幸 教授 岩 間 号 論文内容の要旨 筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophiclateralsclerosis,ALS)は,運動ニューロンの系統的で進行性の疾患で あり,いまだ治療法は確立されていない。成体ラット顔面神経引き抜き損傷ならびに第7頚髄引き抜き損傷では, ALSに類似した運動神経細胞の進行性細胞脱落が生じるのでALSの実験モデルとして有用であるといわれてい る。
一方,肝細胞増殖因子(Hepatocyte growth factor,HGF)は,1980年代に中村らにより発見された多機能
蛋白で,中枢神経系に対する作用では,運動ニューロンに対する強力な神経栄養因子活性をもっていることが報 告されている。そこで組み換えと卜HGFアデノウイルスを作成し,損傷モデルラットの茎乳突孔ならびに椎間 孔より接種し神経細胞死抑制効果の有感について検討した。 [対象と方法] 1)ヒトHGF遺伝子およびコントロールとしてβ-galactosidase遺伝子をクローニングし,斉藤らの方法によ り,組み換えヒトHGFアデノウイルス(AxhHGF)とβ-galactosidaseアデノウイルス(AxLacZ)を作成 した。AxhHGFをCOSl細胞に感染させ3日間培養した。HGF抗体を用いた蛍光抗体法でCOSl細胞への感 染を確かめた。培養細胞の上清を用いてウエスタンプロットならびにMDCK scatter assayを行ない, HGF蛋白の発現ならびに生理活性を確認した。 2)成体ラット顔面神経引き抜き損傷実験については,12週齢のF344オスのラットを左側臥位にし,右耳介後 部よりアプローチし,実体顕微鏡下で右顔面神経末梢枝を露出させる。茎乳突孔より遠位端で切除したのち, 止血紺子で顔面神経断端をはさみ,茎乳突孔より緩徐に引き抜く。茎乳突孔よりAxhHGFを接種し,1,2, 4,6,8過後に潜流固定した。コントロールとして,茎乳突孔よりPBSおよびAxLacZを接種し比較した。
1過後にAxLacZ,AxhHGF接種群それぞれにおいてβ-Gal染色,rat and human HGF抗体で染色し細
胞体および軸索に目的遺伝子が導入されているかを確認した。 引き抜きと同時にAxLacZまたはAxhHGFを接種し,1,2,4,6,8週後に顔面神経核の連続切片を作成 し,Nissl染色で右側顔面神経核細胞数および左側顔面神経核細胞数を算定し,右/左顔面神経核細胞数から 細胞生存率を算出した。 3)成体ラット第7頚髄前根引き抜き損傷実験については,同様に12週齢のF344オスのラットを背臥位にし, 頚部前方右側よりアプローチし,実体顕微鏡下で右第7頚髄前根を露出させる。椎間孔より遠位端で切除し たのち,止血相子で断端をはさみ,椎間孔より緩徐に引き抜く。椎間孔より同様にAxLacZ,AxhHGFを接
種し1週間後,それぞれβ一Gal染色,rat and human HGF抗体で染色し細胞体および軸索に目的遺伝子
が導入されているかを確認した。引き抜きと同時にAxLacZまたはAxhHGFを接種し,1,2,4,6,8過後 に濯流固定し,C7前角神経核の連続切片を作成し,Nissl染色で右側C7前角細胞数および左側C7前角細胞数
ー9-を算定し,右/左C7前角細胞数から細胞生存率を算出した。
[結果]AxhHGFのCOSl細胞へのほぼ100%の感染性を確認し,ウエスタンプロット法では,不活性型および
活性型HGFの産生を確認した。またMDCK scatter assayで,生理活性を確かめた上で接種した。引き抜きと
同時にAxLacZまたはAxhHGFを接種した後,1週後の時点でそれぞれβ-Gal染色,rat and human HGF抗体
で細胞体および軸索が陽性となり,目的遺伝子が導入されたことを確認した。 顔面神経引き抜き損傷と同時に接種した場合の4過後の生存細胞率の検討では,PBS,AxLacZ,AxhHGF接 種群においてはそれぞれ30.2±6.7%,32.4±4.3%,58.8±5.9%であり,AxhHGF接種群ではMann-Whitney U検 定するとP<0.01の有意差をもって改善を認めた。 また,第7頚髄前根引き抜き損傷と同時に接種した場合については,PBS,AxLacZ,AxhHGF接種群の4週 後生存細胞率はそれぞれ44.6±9.3%,46.0±5.3%,75.4±4.4%でAxhHGF接種群ではP<0.01の有意差をもって改 善を認めた。 ChAT活性については,コントロール群ではChAT免疫染色性が低下していたが,AxhHGF接種群では, ChAT免疫反応性が改善した。 [考察]AxhHGF接種により引き抜き損傷にともなう進行性の神経細胞脱落の抑制効果を認めた。HGFがニュー ロンに存在するHGF受容体であるc-METと結合しBcl-2などの遺伝子に働きかけ,アポトーシスを阻害している のではないかと推定されている。またHGFには,直接的作用のみならず,障害運動ニューロン付近に存在する 活性化したグリア足突起に働きかけ,間接的にグルタミン酸毒性を回避させているのではないか推定されており, 直接,間接作用両者により抗アポトーシス効果が得られたため引き抜き損傷にともなう進行性神経細胞脱落を抑 制したのではないかと推察した。 [結論]運動神経引き抜き損傷後,組み換えヒトHGFアデノウイルスを接種すると,ウイルスは逆行輸送され, 運動ニューロンに外来遺伝子を発現することが可能である。HGFには,神経栄養因子効果があり,本研究にお いて外傷後神経細胞の進行性脱落を抑制することが証明された。治療法のいまだ確立していない筋萎縮性側索硬 化症や末梢神経外傷の治療に応用できる可能性が示唆された。 論文審査の結果の要旨 申請者林祐一は,HGF遺伝子を組み込んだアデノウイルスを接種することによって運動神経引き抜き後に おこる進行性運動神経脱落を抑制できることを明らかにした。本研究の成果は,治療法が確立されていない筋萎 縮性側索硬化症や末梢神経外傷の治療に応用できる可能性があり,神経内科学の発展に寄与するものと認められ る。 [主論文公表誌]
Adenoviralgene transfer of hepatocyte growth factor prevents death ofinJured adult motoneurons
after peripheral-nerVe aVulsion Brain Researchllll,187-195(2006).