Title
劇症肝炎における網内系機能に関する臨床的ならびに実験
的研究とくに貪食能を中心に( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
名倉, 一夫
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第935号
Issue Date
1995-01-18
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15334
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氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 名 倉 一 夫(愛知県)
博
士(医学) 乙第 935 号 平成 7年1月18
日学位規則第4条第2項該当
劇症肝炎における網内系機能に関する臨床的ならびに実験的研究
とくに貪食能を中心に
(主査)教授 武 藤 (副査)教授 佐 治 教授 高 見 敏豊 泰重 論 文内
容 の 要旨
近年,各種肝疾患において網内系機能の異常が注目されており,劇症肝炎(FH)においてもオブソニン活性 の低下を伴った網内系機能の低下の重要性が指摘されている0網内系機能を左右する因子のうち,Kupffer細胞 の異物会食作用に関係するオブソニン活性物質であるフィブロネクチン(FN)が重視されている。血祭FN濃 度の低下は貪食能の低下につながり・F=においてより高度の肝機能不全および多臓器不全へと進展することが 推測される。しかし,F=におけるFNの代謝動態ならびに臨床的意義についてはなお不明な点が多い。 そこで申請者は,現在臨動こおいて用いられている血祭交換療法をFNの補充という視点から,血祭交換施行 例において血紫FN濃度を測定し・その経時的推移よりFN濃度とF=の予後との関連を検討した。さらに血渠 FN濃度の維持が実際に網内系機能の維持に有用であるか否か,肝不全の改善に有効であるか否かなどを知る目 的で・急性肝不全動物モデルを用いてFN投与実験を行い検討した。 対象と方法 臨床的研究においてはt急性肝炎(A=)1帆劇症肝炎(F=)7例および対照として健常者12名,合計29例 を対象とし,血祭FN濃度はFN測定キットを用い免疫比商法によって測定した。.実験的研究においては,D-galactosamine塩酸塩(GalN)とSblmonellaenteritidis由来の1ipopolysaccharide(LPS)の併用投与によ りラット急性肝不全モデルを作製し,同モデルにラット血渠よりgelatin-Sapharoseaffinitychromatography により自製したFN標品をGalN・LPS投与30分前ならびに3時間後に静脈内投与し,FN濃度の経時的推移, 生存率,肝機能・血渠メチオニン濃度などを測定した○肝組織所見はt肝壊死の程度によりGradeIんⅤの5 段階に分類し判定した0会食能はコンドロイチン硫酸鉄負荷試験を用いて測定した。 結 果 1.臨床的研究 1)入院時血渠FN濃度はFH(n=7)では92・7±62・3〟g/ml(Mean±SD)で健常者(n=12)343.4±79.6 〃g/mlに比し有意に低値であり(P<0・01)・AH(n=10)196・2±60・6pg/mlに比しても有意に低値であっ た(P<0・05)。FHのうち死亡例は51・8±27・5pg/ml(n=4)と生存例の147・3±51.7〟g/ml(n=3)に比 し有意に低値を示した(P<0・05)。また血策メチオニン濃度と負の相関(r==-0.655,P<0.05)が,Fischer比 (分枝鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸モル比)とは正の相関(r=0・806・P<0・05)が認められた。その他GOT活 性とは有意な負の相関(r=-0・508,P<0・05),プロトロンビン時間とは有意な正の相関(r=0.783,P<0.01), へパブラスチンテストとも有意な正の相関(r=0・733,P<0・01)が認められた02)FHの臨床経過では,血焚 製剤の投与なしでFN濃度が正常域にまで回復した例は生存し,血祭交換によっても上昇しない例や,再度下降 する例は死亡した。 2.実験的研究 1)GalNとLPS併用投与により作製したラット急性肝不全モデルの生存率は,ラット精製FNの投与によって有意に改善された(P<0・05)。血祭FN濃度は投与4時間において・投与群380±105〝g/ml(n=10)と対照
87群257±96FLg/ml(n=10)に比し有意に高値を示し(P<0.05),投与12時間においても216±166FLg/ml(n= 15)と対照群57±35〟g/ml(n=15)に比し有意に高値であった(P<0.Ol)。また12時間後の総ビリルビン濃 度は投与群1.5±0.9mg/dl(n=16)と対照群2.2±0.8mg/dl(n=14)に比し有意に低値であった(P<0.05)。 GPT活性は投与群4111±32521U/l(n=16)と対照群6645±28161U/1(n=15)に比し有意に低値であり (P<0.05),血祭メチオニン濃度についても投与群134.3±43.6nmol/ml(n=8)と対照群224.8±77.7nmol/ ml(n=9)に比し有意に低値であった(P<0.05)。2)肝組織所見はFN投与群において対照群に比し有意に 改善していた(P<0.05)。さらに肝壊死の程度と血渠FN濃度との間には有意な負の相関が認められた(r=-0, 7321,P<0.01)。3)コンドロイチン硫酸鉄負荷試験におけるK値は,FN投与群0.0087±0.0029(n=6)と対 照群0.0054±0.0019(n=6)に比し有意な改善がみられた(P<0.05)。また肝壊死の程度とK値との間には有 意な負の相関が認められた(r=-0.5973,P<0.05)。 考 案 FHの予後を左右する因子の1つとしてオブソニン活性の低下を伴った網内系機能の低下を推定し,臨床例に おいて血焚FN濃度を測定した。その結果,FH診断時の血柴FN濃度は生死の判別に有用であり,経過中の血 祭FN濃度の推移は予後ならびに合併症の出現に関連することが判明した。この結果よりt 血祭FN濃度の低下 は網内系機能とりわけ貪食能の低下を招き,FH発症のごく早期にみられる肝血管内凝固やその後の肝壊死進展 の結果生じるdebrisの処理に十分な対応ができないため,さらに肝障害を増幅し,進展させる因子となりうる ものと推察された。そこでFH発症のごく早期の網内系機能の差異が肝壊死進展と,さらには生死をわける重要