• 検索結果がありません。

ポリシベース電力制御のためのスマートタップの設計と実装

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ポリシベース電力制御のためのスマートタップの設計と実装"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)情報処理学会論文誌. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). コンシューマ・デバイス論文. ポリシベース電力制御のための スマートタップの設計と実装 森本 尚之1,a). 藤田 有1. 吉田 雅昭1. 吉水 宏幸1. 滝山田 昌文1. 明比 輝一1. 田中 真実1. 受付日 2013年4月25日, 採録日 2013年9月13日. 概要:ユーザにとって低負担かつ効果的な電力マネジメントのために,ポリシベース電力制御のためのス マートタップの設計と実装を行った.開発にあたっては正確な電力計測性能,様々な制御ポリシを実行可 能な計算能力,実生活環境での継続的な使用を考慮した安全性などを重視した.ポリシベース電力制御の 実用例として,ソフトウェアベースでの回路ブレーカ機能と,複数機器の突入電流の重なりを回避する機 能とを実装し評価を行った.また実生活環境においてスマートタップを継続的に設置して,待機電力削減 による省エネ機能や環境センサ情報を用いた家電の自動制御機能を実装した. キーワード:電力マネジメントシステム,スマートタップ,ポリシベース電力制御. The Design and Implementation of a Smart Outlet for Policy-based Power Management Naoyuki Morimoto1,a) Yuu Fujita1 Masaaki Yoshida1 Hiroyuki Yoshimizu1 Masafumi Takiyamada1 Terukazu Akehi1 Masami Tanaka1 Received: April 25, 2013, Accepted: September 13, 2013. Abstract: The design and implementation of a smart outlet for policy-based power management is described, which aims to reduce user’s handwork required for power-saving activities and to realize efficient power control. The smart outlet has been designed to have an accurate power-sensing function, to have enough computational resources to execute various policy-based power management, and to be used safely in a real-life situation. As applications of policy-based power management, the authors have implemented and evaluated a software-based circuit breaker, and a function of reducing overlaps of inrush current caused by multiple appliances. The authors also have deployed the smart outlet in a real-life situation, and have implemented a function of reducing stand-by power and have realized automated control of appliances utilizing environmental sensor information. Keywords: energy management system, smart outlet, policy-based power management. 1. はじめに. エネルギー消費量が 1973 年頃と比較し 2 倍以上に増加し ている [9].また 2011 年の東日本大震災から波及して全国. 地球温暖化対策や石油資源の枯渇問題といった観点か. 的に電力需給が逼迫したことにより,一般家庭における高. ら,CO2 排出量の削減,エネルギー消費の効率化,自然エ. 度な電力マネジメントの重要性があらためて浮き彫りに. ネルギーの有効活用などが求められている.わが国では,. なった.近年,ユーザの電力消費データを収集し可視化す. 生活の利便性・快適性を追求するライフスタイルの変化や. る「電力消費の見える化」によってユーザの電力マネジメ. 世帯数の増加などの社会構造変化の影響を受け,家庭での. ント活動を支援するシステムが実用化されており,一定の 効果が報告されている [20].一方で, 「見える化」により行. 1 a). 株式会社エネゲート Enegate Co., Ltd., Settsu, Osaka 566–8686, Japan [email protected]. c 2013 Information Processing Society of Japan . 動指針が示されたとしても,実際に電力マネジメントを行 うためには手作業での機器制御が必要であるため,ユーザ. 1.

(2) 情報処理学会論文誌. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). を用いた画面表示などといった付加的な機能を将来的に実 装可能なスペックを持つものとした.他の機器(ユーザの 情報端末や外部サーバ,他のスマートタップ)との通信や 連携を容易とするため,汎用的な通信メディアやプロトコ ルを採用した.スマートタップによるポリシベース電力制 御の実現例として,ソフトウェアベースでの回路ブレーカ 機能と,停電からの復電時などに発生しうる複数機器の突 入電流の重なりを回避する機能を実装し評価した.また, 図 1. スマートタップを用いたポリシベース電力制御. Fig. 1 Policy-based power management using smart outlets.. 開発したスマートタップを実生活環境で継続的に使用し, 電力消費データを収集しつつ,人感センサ情報を用いた待 機電力の削減機能や,環境センサ情報を用いた家電の自動. にとっては継続的な負担となる. ユーザにとって低負担かつ効果的な電力マネジメント. 制御機能を実装し,省エネの自動化と生活の利便性向上を 実現した.. のために,ユーザの電力消費データを詳細に収集し,機器. 本稿の構成は次のとおりである.2 章で関連研究を述べ. どうしが情報通信により自律的・協調的に動作し,ユーザ. る.次いで 3 章で,スマートタップの設計開発について. 各々の生活や電力消費パターンに適したポリシに基づいて. ハードウェアとソフトウェアの両面から述べる.4 章では. 電力をプロアクティブに自動制御するような家庭内電力. 計測機能の評価を示す.5 章では,ポリシベース電力制御. ネットワークが提案されている.たとえば「エネルギーの. 機能の応用例として,ソフトベースの回路ブレーカ機能と,. 情報化」[12] の考え方においては,デマンド・レスポンスや. 突入電流の重なり回避機能の実装と評価を述べる.また,. ピークカットのために消費可能な電力の総量が制限されて. 本スマートタップの実生活環境における継続的運用と各種. いる状況下で,たとえば「テレビは 200 W まで使用可,扇. センサ情報を用いた電力制御について述べる.6 章にまと. 風機は 30 W まで使用可」といったような各家電への電力. めと今後の課題を示す.. 割当てを,システムがユーザの Quality-of-Life(QoL)へ の影響を勘案しつつ最適化するという「供給電力の最適割 当て」が提唱されている.そして,総消費電力が制限値を. 2. 関連研究 電力制御を行わないタイプのスマートタップネットワー. 超過している場合には,ユーザに適したポリシに基づき,. クにより,いわゆる「電力消費の見える化」により電力. 家電への電力供給を自動的に制御することで総消費電力を. の無駄使いを見出す手法の研究はさかんに行われてい. 制限値以下に保つ.ここで,ユーザの QoL の減少を抑え. る [1], [3], [11].電力制御の自動化に関する研究としては,. るために,たとえばユーザの不在時には特定の家電への電. たとえば Han らの待機電力削減システム [4] がある.Song. 力割当て量を削減するなど,ユーザの生活パターンや行動. らのシステム [18] は,ZigBee 通信を行うスマートタップ. 情報,人感センサや環境センサ情報などといった電力以外. (ただし電力計測機能は持たない)と赤外線ノードの組合. の情報も活用する.これらの実現のためには,家電ごとに. せにより,人の在・不在に応じた機器の自動オン・オフ制. 電力消費情報を詳細に計測し,他機器と情報通信を行うと. 御を行う.電力制御ポリシの効率的な生成方法については. ともに,家電ごとに定められた割当て値に基づく制御や,. Yoshihisa らの提案がある [22].また,ポリシベースの電力. ユーザの行動や環境情報に基づく制御を行うための機器が. 制御システムとしては,システムの中央に位置するコント. 必要となる.. ローラが制御内容を決定しスマートタップはその決定に従. 本稿では,エネルギーの情報化の考え方に基づく研究. うという,いわゆる集中型のものも考えられる.集中型の. プロジェクト「情報通信・エネルギー統合技術の研究開. システムとしてはたとえば Kato らのオンデマンド型電力. 発」[17] において, 「供給電力の最適割当て」の実現を念頭. ネットワーク [7] や,Mrazovac らのシステム [15] があげら. に,主に上記のようなポリシベース電力制御を行うための. れる.特に前者は,優先度に基づく家電の制御により,生. 実証実験用機器として開発したスマートタップの設計と実. 活者の利便性を可能な限り損なわずに家庭全体の消費電力. 装,ならびにその評価について述べる.本研究開発で想定. 量を一定値以下に収めるシステムを実装している.また,. する,スマートタップを用いたポリシベース電力制御の概. NEC システムテクノロジーのグリーンタップ [16] は,ソ. 要を図 1 に示す.設計と実装においては,計測の正確性と,. ケットごとの電力計測とタップ単体でのポリシベースのリ. 様々なポリシベース電力制御機能を実装可能な計算資源,. レー制御が可能であり,集中型と分散型の両方のシステム. ハード・ソフト両面での拡張性,そして実生活環境での継. 構成ならびにタップ単体での制御に対応している.また,. 続的な利用のための実用性と安全性を重視した.また,実. 環境センサ情報に基づく制御も可能である.. 証実験の一環として電流波形からの家電認識機能や,液晶. c 2013 Information Processing Society of Japan . スマートタップに類する機能を持つ市販製品としては,. 2.

(3) 情報処理学会論文誌. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). 表 1. Belkin 社製の WeMo [2] があげられる.Wi-Fi を用いた外. 計測の要件定義. Table 1 Requirements definition (measurement).. 部からのオン・オフ制御と,タイマ機能によるオン・オフ制 御が可能である.一方で電力計測機能は持たない.また,. 項目. 仕様. ユビキタス社製の iRemotap [23] は,Wi-Fi を用いた外部. 定格電圧・電流. 100 V,15 A. からのオン・オフ制御に加え,電力計測機能を持つ.計測. 定格周波数. 50 Hz/60 Hz. 交流用. したデータをクラウド上のサーバに収集し,ユーザに対す. 計測項目. 積算電力,瞬時電力,. 電流や電圧の過渡的な. 電圧,電流. 変化をとらえる. 分解能. 12 ビット. 電力量計と同等の計測. サンプリング. 20 kHz. る「見える化」サービスを提供する.ただしポリシベース の自動制御の機能は持たない. なお,一般にスマートタップならびにそれに類する機器 が持つ機能として,次のような項目があげられている [19]:. 備考. 性能 電流や電圧の過渡的な. 周波数. 変化などをとらえるた. • 計測機能:電力関連の様々な量を計測する機能.計測. め,高いレートでのサ ンプリングを行う. する値は瞬時電流,瞬時電圧,電流実効値,電圧実効 値,有効電力など.. ±2%以内. 計測誤差. 0.5 A∼15 A.レ ン ジ 切り替えによる全域で. • 制御機能:電力を制御する機能.制御の種類としては. の計測性能向上. オン・オフ,電流制御,電圧制御などが考えられる.. • 通信機能:計測データ収集や制御のための,家庭内の ホームサーバや外部のサーバなどへの通信,スマート. 表 2 制御・通信・拡張性の要件定義. Table 2 Requirements definition (power control, communica-. タップどうしの連携のための通信,さらに接続された 家電機器との通信を行う機能.. • その他の機能:インジケータなどのユーザインタフェー. tion media and extendibility). 項目. 仕様. 備考. 制御. リレーを内蔵. 外部からの制御だけでなく,. スやロギング,温度や湿度センサなどの電力以外の情. 負荷監視によるリレー開放. 報の獲得機能など.. など,ソフトウェアシーケ ンスによる監視制御機能を. 3. 設計と実装 本スマートタップは,製品としての開発ではなく,電力. 設ける 通信メディ. Wi-Fi. ア. 慮し,最も汎用的な通信方. マネジメントシステムの研究プロジェクト「情報通信・エ ネルギー統合技術の研究開発」[17] における実証実験用の. パソコンなどとの通信を考 式を採用. 拡張性. USB. 機器としての開発を行った.また,Yoshihisa らのスマー. 各種センサ類などの拡張の ために設ける. トタップ [21] を開発の参考とした.これは消費電力情報, 温度情報や人感センサ情報などを用いたポリシベース電力. した.前述のスマートタップのスペックをふまえ,本開発. 制御を念頭に設計されており,このスマートタップ実機を. では詳細な電流・電圧計測性能や,全ソケットにおける個. 用いたポリシベース電力制御のテスト用環境が実装され. 別の計測・制御機能,一般的なタップと同程度のソケット. ている [21].したがって,本研究開発で目的とするポリシ. 数や無線通信メディアへの対応などによる実用性向上,実. ベース電力制御を実装ならびに実行可能とするために必. 証実験において実生活環境で継続的に利用するための安全. 要なスペックの 1 つの基準になると考えられる.電力計. 性などに重点を置いた.. 測および制御用の市販ボード(ADE5169 搭載)と,Linux. 以上をふまえて,我々のスマートタップの計測に関する. ボード Armadillo-220(CPU ARM920T 200 MHz,メモリ. 要件定義を表 1 に,制御・通信・拡張性に関する要件定義. 32 MB)が用いられている.形状は壁挿しタイプである.. を表 2 に示す.一般的な家電の利用を想定し,定格電圧は. 2 個のソケットを持つが,そのうち 1 個のみに電力計測機. 100 V,定格電流は 15 A,対応周波数は 50/60 Hz とした.. 能およびリレーによるオン・オフ制御機能が実装されてい. A/D 変換においては,近年の家電はインバータやスイッ. る.通信メディアは Ethernet である.また,拡張のため. チング電源が組み込まれており比較的広帯域な電流波形が. の USB ポートを 2 つ持つ.. 現れるため,家電ごとの測定には 1∼2 kHz よりも高いサ. 当プロジェクトにおけるスマートタップにはポリシベー. ンプリング周波数が求められるとの指摘 [19] をふまえ,サ. ス電力制御機能に加え,実証実験の一環として,電流波形. ンプリング周波数は 20 kHz とした.また分解能は,電力. からの家電認識機能 [6], [8] や,液晶を用いた画面表示や音. 量計で標準的に採用される 12 bit とした.ただし一般に,. を用いたユーザへの通知機能などの様々なアプリケーショ. 電流計測において単一の計測レンジで A/D 変換を行うと. ンを搭載する可能性があったため,開発にあたってはコス. 負荷が小さい領域での誤差が大きくなる傾向があるため,. トやサイズよりも高機能性,高性能性や拡張性などを重視. 精度向上のための標準的技術である計測レンジの自動切替. c 2013 Information Processing Society of Japan . 3.

(4) 情報処理学会論文誌. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). 表 3 開発したスマートタップのスペック. Table 3 Specifications of the developed smart outlet. 計測項目. 瞬時電力,積算電力 瞬時電流(実効値),瞬時電圧(実効値). サンプリング. 20 kHz. 周波数 分解能. 12 bit. 電力制御機能. リレーのオン・オフ制御. 計測誤差. 2%以下. ソケット数. 4. 定格電圧. AC 100 V. 定格電流. 15 A(全ソケットの合計値). OS. Debian Linux(アプリケーション基板). 図 2 開発したスマートタップの外観写真. CPU. ARM926 400 MHz(アプリケーション基板). Fig. 2 Outward appearance of the developed smart outlet.. TMS320F28035 60 MHz(計測・制御基板) メモリ. 128 MB RAM, 32 MB FLASH (アプリケーション基板). 拡張性. 2 つの USB 2.0 ポート (うち 1 つは Wi-Fi インタフェース用),. microSD スロット(内蔵ストレージ拡張用) 通信メディア. Wi-Fi(USB 接続),Ethernet. 通信プロトコル. TCP/IP ソケット通信,HTTP/CGI. 他機器との. 家庭内のホームサーバや. 通信機能. 外部のサーバなどへの通信, スマートタップどうしの連携のための通信. その他の機能. LED インジケータによる状態表示 (ソケットごとのリレー開閉状態などの表示用),. 図 3 スマートタップのハード構成図. タップ単体での情報ロギング. Fig. 3 Hardware block diagram of the smart outlet.. (内蔵 microSD スロットを利用), 人感センサ・環境センサ (USB ポートを利用し外付けで実装). 3.1 ハードウェア ミリ秒オーダでの正確なリアルタイム計測機能と,外部 機器との通信やポリシベース電力制御のようにより高度 なアプリケーションの実行能力とを両立させるため,計測. えを採用し,全域での計測性能向上をはかった.誤差は電. と制御を担当する基板と,アプリケーションの実行を担. 力量計と同等の計測性能(±2%以内)を要件とした.制御. 当する基板とを組み合わせて設計と実装を行った.以下,. については,図 1 に示したようなシステム構成を想定し,. 前者を計測・制御基板,後者をアプリケーション基板と呼. 外部機器(コントローラなど)からの制御だけでなく,た. ぶこととする.アプリケーション基板は Linux OS,USB,. とえば負荷監視によるリレー開放やソフトウェアシーケン. Wi-Fi など汎用的なソフトウェアやインタフェース,デバ. スによる監視制御機能などといったポリシに基づく制御を. イスが使えるものを採用した.また,一般的なタップに近. スマートタップ単体でも実行できるものとした.なお,現. い使用環境を想定し,テーブルタップ型のデザインを採用. 状では他機器からの電力制御が可能な家電(いわゆる「ス. した.ハード構成を図 3 に示す.アプリケーション基板,. マート家電」)が普及しておらず,またスマートタップで. 計測・制御基板,リレー基板,電源基板,ならびに CT か. 電流制限や電圧制限を行ったとしても一般に家電が正常動. らなる.以下,それぞれの基板の機能と実装,ならびに安. 作するとは限らないことから,制御機能はリレーのオン・. 全性の試験と評価について述べる.. オフにとどめるのが現実的と考えた.通信メディアの無線. 3.1.1 アプリケーション基板. 対応にあたっては,他機器との親和性や実証実験での利便. 計測・制御基板と通信し,計測データの取得やリレー. 性を考慮し最も汎用的と考えられる Wi-Fi を採用した.ま. の制御指令を行う.また,外部機器との通信機能やポリ. た,将来的な拡張のための USB ポートを要件とした.こ. シベースの電力制御機能を担う.前述の Yoshihisa らのス. の要件定義に基づき実装したスマートタップのスペックを. マートタップと比較すると,本スマートタップは,4 つの. 表 3 に,写真を図 2 にそれぞれ示す.以下,ハードウェ. ソケットの計測と制御を行うにあたり必要な処理や制御ポ. アとソフトウェアのそれぞれの実装について述べる.. リシが複雑になりうるため,実証実験用機器としてはより. c 2013 Information Processing Society of Japan . 4.

(5) 情報処理学会論文誌. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). 図 4 左:計測・制御基板,右:リレー基板. Fig. 4 Left: measurement/control board, Right: relay board. 図 5 アプリケーション基板のプロセス間通信. 高い CPU 性能が望ましいこと,前述のとおり液晶を用い. Fig. 5 Interprocess communications on the application board.. た画面表示などのユーザインタフェースを搭載する可能 性があったこと,内部ストレージが拡張可能であればタッ. 3.2 ソフトウェア. プ単体での情報ロギングが容易となることなどから,これ. ソフトウェア面では,Linux OS 上に様々な制御ポリシ. らの機能を有する基板として,Armadillo-220 の上位互換. を実装可能とした.データフォーマットは XML ライクな. 機である Armadillo-440(CPU:ARM926 400 MHz,メモ. ものとし,拡張性と人間に対する可読性を持たせた.他機. リ:128 MB RAM/32 MB FLASH)を採用した.拡張性. 器との通信プロトコルは汎用的な TCP/IP ソケット通信な. として 2 個の USB 2.0 ポートを持つ.そのうち 1 ポートは. らびに HTTP/CGI を用いた.. Wi-Fi インタフェースに利用し,残り 1 ポートは環境セン. まず計測・制御基板でのソフト処理について述べる.CT. サなどを用いた機能拡張を想定している.. により得た各ソケットごとの電流値と AC100 V の電圧値. 3.1.2 計測・制御基板. を,サンプリング周波数 20 kHz,分解能 12 bit で A/D 変. 電流値と電圧値の計測と,瞬時電力ならびに積算電力値. 換し,その結果を基に電流実効値,電圧実効値,瞬時電力値. の算出を行う.また,リレー基板に対して開閉制御の信号. ならびに積算電力値を計算する.アプリケーション基板内. を送信する.電流値の A/D 変換においては,全域での計. の電力センサインタフェースプロセス(後述)からのデー. 測精度の向上のために 2 段階のレンジ(1 A,15 A)を用い. タ要求に応じて,計測ならびに計算により得たデータ(電. る.瞬時電力の正確な計算のために,2 つの A/D 変換器. 流値,電圧値,瞬時電力,積算電力)を 50 ミリ秒間隔で送. (それぞれ電流用と電圧用)を用いて電流と電圧のサンプ. 信する.また,電力センサインタフェースプロセスからの. リングを同時に行う.4 つのソケットの合計 8 個の電流値. リレー制御メッセージを受信し,リレー基板へ制御信号を. 信号,ならびに各電流値に対する電圧値信号(8 個)を処. 出力する.. 理するために必要な 16 個の入力を備える DSP マイコンと. 次いでアプリケーション基板上のソフトウェアについて. して TMS320F28035 60 MHz(TI 社製)を採用した.写真. 述べる.OS として組込み向け Debian Linux が動作する.. を図 4 の左側に示す.. そのうえで,主に電力センサインタフェースプロセス,通. 3.1.3 リレー基板. 信クライアントプロセス,Web サーバ/CGI,ポリシベー. 各ソケットをオン・オフ制御するための機械式リレーを. ス電力制御プロセスの 4 つの主要なソフトウェアが動作す. 持つ.計測・制御基板からの制御信号によりリレーの開閉. る.これらは名前付きパイプを介しテキストベースでプロ. を行う.写真を図 4 の右側に示す.. セス間通信を行う.. 3.1.4 電源基板 AC100 V の入力を DC5 V に変換し,アプリケーション. プロセス間通信の構成は,本スマートタップを集中型シ ステムの一要素として利用する際の中央コントローラから. 基板と計測・制御基板に電力を供給する.. の制御と,分散型システムの一要素または単体で利用する. 3.1.5 安全性. 際の自律的なポリシ制御の両方に対応するべく設計し,シ. 電力量計規格 JIS C 1271-1 を参考として,特に絶縁抵 抗,商用周波耐電圧の項目について試験し基準を満たして いることを確認した.また,電気用品安全法(PSE)を参. ステム構成の柔軟性を向上させている.計測・制御基板や 外部機器との通信を含めた全体構成を図 5 に示す. 以下,それぞれのソフトウェアの機能とデータフォー. 考として,特に空間距離,沿面距離について試験し基準を. マットを述べる.. 満たしていることを確認した.筐体は UL94-V0 等級の難. 3.2.1 電力センサインタフェースプロセス. 燃性を持つ素材を用いている.. 計測・制御基板とシリアル通信(UART)を行う.50 ミ リ秒間隔で計測・制御基板から送られてくる計測データを 受信し,後述するデータフォーマットに変換し,名前付き. c 2013 Information Processing Society of Japan . 5.

(6) 情報処理学会論文誌. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). パイプを経由して通信クライアントプロセスへと送信する. また,Web サーバ/CGI から送られてくる制御メッセージ を XML 解析し,リレーに対する制御命令に変換して計測・ 制御基板に送信する.. 3.2.2 通信クライアントプロセス 電力センサインタフェースから受信した電力計測データ を 0.5 秒間隔で外部の機器へと送信する.通信プロトコル は汎用的な TCP/IP ソケット通信を用いている.. 3.2.3 Web サーバ/CGI 外部機器(スマートフォンやサーバ,他のスマートタッ プなど)からの制御メッセージを受信する.受信した制御 メッセージを,名前付きパイプを介して電力センサインタ フェースプロセスへと送る.. 3.2.4 ポリシベース電力制御プロセス. </info> <data> <socket1><wh>20954</wh><volt>102.070</volt> <current>1.551</current><watt>84.6</watt ><state>ON</state></socket1> <socket2><wh>2536</wh><volt>102.085</volt>< current>0.013</current><watt>4.1</watt>< state>ON</state></socket2> <socket3><wh>2499</wh><volt>102.073</volt>< current>0.242</current><watt>14.2</watt> <state>ON</state></socket3> <socket4><wh>1219</wh><volt>102.080</volt>< current>0.081</current><watt>5.1</watt>< state>ON</state></socket4> </data> </root>. スマートタップ単体での自律的な制御を行う.制御ポリ シとしては,電力情報に基づく制御や環境センサ情報を用. 4. 計測性能の評価. いた制御が考えられる.その実装例は 5 章で示す. 計測性能の評価として,電力計測誤差,電圧計測誤差,. 3.3 データフォーマット リレー制御のためのメッセージと,電力計測データ通知 のためのメッセージのフォーマットは XML ライクなもの を定義した.これは,将来的なタグの追加(環境センサ情 報など)に備えた拡張性と,人間にとっての可読性向上を 意図している.. 3.3.1 リレー制御メッセージ リレーを制御するためのメッセージ command socket の 例を示す.下記の例では,リレー 1 をオン,リレー 3 をオ フ制御する.. 電流計測誤差を測定した.電力については JIS C 1271-1: 電力量計(単独計器)で規定される 100%から 3.3%の範囲 で誤差を測定した.電圧については 80 V から 120 V まで 変化させて測定した.また,電流については 100%(15 A) から 0.033%(5 mA)の領域で測定した.それらの結果,電 力計測誤差は 2%未満,電圧計測誤差は 0.1%未満,電流計 測誤差は 0.2%未満であった.定格(100 V,15 A)に対す る 0.033%の電流は約 5 mA であるため,0.5 W 程度の待機 電力であっても正確に測定できることを示している. 図 6 にスマートタップで計測したインバータ蛍光灯の電 圧波形と電流波形を示すが,インバータ機器独特の波形の. <root> <info> <kind>command_socket</kind> </info> <data> <socket1><state>ON</state></socket1> <socket3><state>OFF</state></socket3> </data> </root>. ひずみが取得できており,電流・電圧の過渡的な変化を明 確にとらえている.この例では電流と電圧のピークのタイ ミングが重なっており,瞬間的に大きな電力となることが 把握できている.これより,電流波形からの家電認識など が可能な性能を持っていると考えられる.. 3.3.2 計測データ通知メッセージ 計 測 し た 電 力 デ ー タ を 通 知 す る メ ッ セ ー ジ no-. tice wattmeter の例を示す.これは 2012 年 9 月 9 日 10 時 48 分 54 秒 039 ミリ秒において,たとえばソケット 1 は積算電力が 20954 Wh,瞬時電圧が 102.070 V,電流が. 1.551 A,瞬時電力が 84.6 W であり,リレー状態がオンで あったことを意味する.他のソケットも同様である.. <root> <info> <kind>notice_wattmeter</kind> <time>20120909104854039</time> c 2013 Information Processing Society of Japan . 図 6 インバータ蛍光灯の電圧波形と電流波形. Fig. 6 Voltage and current waveforms of a fluorescent lamp with an inverter.. 6.

(7) 情報処理学会論文誌. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). 5. ポリシベース電力制御の実装と実用例 本章では,開発したスマートタップを用いたポリシベー ス電力制御機能の例として, 「供給電力の最適割当て」の値 に基づき自律的な制御を行うソフトウェアベースでの回路 ブレーカ機能と,複数機器の突入電流の重なりを回避する 機能の実装と評価,ならびに実生活環境でのスマートタッ プの運用と各種センサ情報を用いた家電制御を示す.. 5.1 ソフトウェアベースでの回路ブレーカ機能 現在家庭の分電盤に設置されているブレーカや市販のブ レーカ機能付きタップは,ソケット単位での電流制限はで きないため,過電流発生による遮断時には必要以上に広い 範囲で電力供給が停止する.またそれらは一般に熱動式あ るいは電磁式であり,遮断条件は物理特性に基づく固定の. 図 7 ソフトウェアベースの回路ブレーカ機能. Fig. 7 Software-based circuit breaker function.. ものであり柔軟に変更することができないため,家電ごと に動的に定められる「供給電力の最適割当て」の値を基に. る.一方,全ソケットの電流値の合計に基づく回路ブレー. 家電ごとに制御を行うという目的には向かない.. カ機能は,閾値からの超過が設定時間以上にわたり継続し. そこで,スマートタップ上にソフトウェアベースの回路. た場合にすべての回路が遮断される.デフォルトの基準値. ブレーカ機能を実装した.本機能は家電ごとに割り当てら. はスマートタップの定格電流値である 15 A であり,閾値. れた電流値を基準として,消費電流値が基準値に対して超. 監視パーセントは 120%としている.基準電流値などのパ. 過している場合に,超過の割合と経過時間の条件に基づき. ラメータは Web サーバ/CGI 経由で外部から設定すること. リレーのオフ制御を行う.ソフトウェアベース実装の利点. ができる.また,遮断が行われる前のユーザに対する警告. は,遮断が働く電流の閾値と遮断までの時間とをソケット. として,閾値超過時には本体の LED インジケータが赤点. ごとに柔軟に設定可能であり,かつ条件の変更が可能なこ. 滅する.. とである.また,ソケット単位での制御が可能である.. 5.1.2 実験と評価. ここで,基準値からの大幅な超過は割当て違反または過. 以下の条件設定での動作確認を行った.. 電流と見なしてすぐに遮断する一方で,一時的な大電流が. • ソケット単位での制限超過:「単一のソケットについ. 流れうる家電(エアコン起動時や冷蔵庫のコンプレッサ動. て,3 A を基準として 120%の電流値で 10 秒経過,ま. 作時など)については遮断までに一定の猶予を持たせる,. たは 150%の電流値で 3 秒経過すると回路遮断」とい. といった段階的な設定が可能であれば実用性が向上すると. う設定下で 4 A の電流を通電した結果,10 秒後に回路. 考えられる.そこで,たとえば「ソケット 1 は 3 A を基準. 遮断が正しく実行された.また 5 A の電流を通電した. として 120%の電流値で 10 秒経過,または 150%の電流値. 結果,3 秒後に回路遮断が正しく実行された.. で 3 秒経過すると回路遮断」といった 2 段階での設定を可. • 複数ソケットの合計値での制限超過:「4 つのソケット. 能とした.さらに,4 つのソケットの電流値の合計に基づ. の合計値として,15 A を基準として 120%の電流が 1. く回路遮断機能も実装した.この機能を用いると,電流の. 秒間流れた時点で回路遮断」という設定下で合計 18 A. 合計値が閾値を設定時間以上にわたり継続した場合にすべ. の電流を通電した結果,1 秒後に回路遮断が正しく実. てのリレーがオフ制御される.本機能の概要を図 7 に示. 行された.. す.以下,実装と評価を示す.. 5.1.1 実装 ソケットごとの電流値に基づく回路ブレーカ機能は,各. 以上より,ソケットごとに定めた遮断条件に基づき正し く遮断が行われることから, 「供給電力の最適割当て」の監 視および制御を行うための性能を備えていると評価する.. ソケットの電流値を監視し,閾値からの電流超過が設定時 間以上にわたり継続した場合に当該ソケットに対してリ. 5.2 突入電流の重なりを回避する機能. レーのオフ制御を行う.閾値は,各ソケットごとに定めた. 電気機器の中には,電源投入の直後に一時的に,機器の. 基準電流値および閾値監視パーセントから算出する.たと. 定格電流をはるかに超える大きな電流(いわゆる突入電. えば基準電流値が 5 A,閾値監視パーセントが 120%のと. 流)が発生するものがある.停電からの復電時などにおい. き,閾値は 5 A × 1.2 = 6 A となる.閾値監視パーセント. て,突入電流の大きな機器が複数個同時に電源投入された. および遮断までの時間はソケットごとに 2 つまで登録でき. 場合,突入電流が複数重なってきわめて大きな電流となる.. c 2013 Information Processing Society of Japan . 7.

(8) 情報処理学会論文誌. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). 図 8 2 個の白熱電球の電流波形(突入電流重なり回避なし). Fig. 8 Current waveform of two light bulbs (without avoiding overlaps between inrush currents).. 図 9. 2 個の白熱電球の電流波形(突入電流重なり回避あり). Fig. 9 Current waveform of two light bulbs (with avoiding overlaps between inrush currents).. これにより分電盤に備えられているブレーカが動作して回 路遮断が発生したり,電源電圧の不安定化やそれにともな う他機器への悪影響が起こったりする.特に太陽光などの 分散電源を単独で運転するなどの場合,電源容量が限られ ているため,突入電流による電圧低下が発生しやすい.こ うした問題に対しては,大きな突入電流に耐えうる電源容 量や回路を備えることが考えられるものの,コストの面で 問題がある. そこで,スマートタップを用いた解決方法として,複数 機器へのリレーのオン制御のタイミングをずらすことで突 入電流の重なりを回避する機能を実装した.以下ではその. 図 10 実生活環境におけるスマートタップの運用. Fig. 10 Deployment of the smart outlets in a real-life environment.. 実装,実験と評価を述べる.. 5.2.1 実装. に示す.この例では 2 つの突入電流が重なった結果,ピー. 複数のソケットを同時にオン制御する際に,計測・制御. ク時の電流値は 18.10 A となっている.一方,突入電流重. 基板に対して複数の制御メッセージを同時に送るのではな. なり回避機能を用いて,2 つのリレーのオン制御メッセー. く,1 つのソケットに対する制御メッセージを送り,次い. ジのタイミングを 50 ms ずらした際の電流のピーク値は. で実用上支障がない程度の遅延時間後に次のソケットに対. 13.238 A(10 回の測定の平均値)となった.これは本機能. する制御メッセージを送信することで,突入電流の重なり. を用いない場合に比べて約 31%のピークカットとなる.そ. を回避する.遅延時間は,オン制御するソケットから電力. の電流波形の一例を図 9 に示す.この例ではピーク時の. 供給される家電が持つ突入電流の特性(突入電流が発生す. 電流値は 11.26 A である(なお,通信処理,ソフト処理,. る時間幅)に合わせて設定する.. リレー制御に十数ミリ秒を要したため,実際に 2 個目のリ. 5.2.2 実験と評価. レーがオンとなったのは 63 ms 付近である) .. 家電機器として 2 個の白熱電球(同一機種)を用いた実 験を行った.白熱電球は,電源投入の瞬間からフィラメン トの温度が安定するまで突入電流が発生することが知られ. 5.3 実環境での運用と各種センサ情報を用いた家電制御 開発したスマートタップを実生活環境や実証実験用住宅. ている.用いた白熱電球の定格は 100 W であり,単体で. において 2012 年 9 月より継続的に運用している [14].た. の突入電流は 9.528 A(10 回の計測の平均値)であった.. とえば図 10 に示すように,一人暮らしのワンルームマン. 突入電流は電源投入後 20 ms 程度に発生していたため,遅. ションにスマートタップを 4 台配置し, (住居備え付けの. 延の間隔は電球として実用上支障をきたさず,かつ若干の. 照明などを除く)ほぼすべての家電機器の 0.5 秒ごとの電. マージンをとった値として 50 ms と設定した.. 力消費情報をサーバへと収集している.ある 1 時間におけ. 突入電流重なり回避機能を用いない場合における,2 個. る家電機器の消費電力データを図 11 に示す.電力消費の. の白熱電球の同時投入時の電流のピーク値は 19.296 A(10. 大きな変動からコーヒーメーカやドライヤの利用が分か. 回の測定の平均値)であった.その電流波形の一例を図 8. る.さらに冷蔵庫の消費電力の微小な変動が記録されてい. c 2013 Information Processing Society of Japan . 8.

(9) 情報処理学会論文誌. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). た.これらより,実生活環境での行動情報や環境情報を活 用したポリシベース電力制御に足る性能を備えていると評 価する. 以下,今後の課題と方向性について述べる.現状のス マートタップは通常のタップに比べサイズが大きい.これ は 4 つのソケットにリレーを搭載していること,そして安 全のためにリレー間に十分な距離を確保していることに起 因する.しかし実環境での運用においては特にサイズに関 する要望が強いため,現在小型化を検討している. 図 11 ある一時間における消費電力の変動. 現状では,スマートタップ単体で行える電力制御はリ. Fig. 11 Variations of power consumption in one hour.. レーによるオン・オフに限られている.なお小山らは,本. るが,この変動は居住者の冷蔵庫の開閉により発生したも. 動作モード変更などのより細かな家電の制御を試験的に. のである.このように収集した電力消費データから居住者. 行っている [10].将来的には,いわゆるスマート家電が外. の生活行動を見出すことができる.この行動把握を生かし. 部から制御可能となれば,スマートタップから家電をコン. た応用として,電力消費情報を用いた単身者の「見守り」. トロールすることで,より高度な電力制御が可能となる.. スマートタップに赤外線送信器を USB 接続し,ヒータの. サービスがあげられる.家庭の総消費電力の変動から人間. ソフトウェアベースの回路ブレーカ機能は,家電ごとに. 活動を見出すには機械的な抽出の処理が必要との指摘があ. 定められた「供給電力の最適割当て」の値を基準として制. る [5] が,家電ごとの電力消費情報を収集することでその. 御を行うものであるが,割当て値自体を決定する機能は含. ような処理を軽減できると考えられる.. まれていない.割当て値の決定はユーザの QoL への影響. また,居住者の生活行動パターンに適した家電の制御ポ. を勘案しつつ動的に行う必要があると考えられ,現在その. リシをスマートタップに実装した.たとえば,スマート. 手法の検討を行っている.また,制御アルゴリズムの拡張. タップの OS が持つ標準的なスケジューリング機能(Cron). を検討し,実装と評価を行っている [13].なお,遮断が働. を用いて,たとえば平日の指定した時刻にコーヒーメーカ. く前には LED ライトの赤点滅による警告機能があるが,. を起動させるといった自動制御を行っている.さらに,ス. 実運用において遮断が働いた際にはユーザは警告に気づか. マートタップの拡張性を生かして,人感センサや環境セン. なかった.したがって,警告音を用いるなどのより能動的. サ(温度,湿度,照度)を USB ポートを用いてインストー. な通知手段が望ましい.. ルし,居住者の不在時にオーディオ機器の待機電力をカッ. 突入電流重なり回避機能については,今回の実験は単一. トする省エネ機能や,湿度情報に基づく除湿器の自動制御. 種類の白熱電球が 2 個というシンプルな状況で行ったが,. などの機能を実装することで利便性を向上させている.. 実環境では異なる突入電流のパターンを持つ様々な家電が. なお,実生活環境でスマートタップを利用する中で回路. 混在するため,遅延時間の最適化は複雑になる.. ブレーカ機能が実際に働くことがあった.これは,居住者. 謝辞 様々なご助言を賜った京都大学教授岡部寿男先. が意図せず電子レンジとドライヤを同時に利用し,消費電. 生,有意義なご指摘を賜った査読者の皆様,そしてご助力. 流の合計値が定格 15 A を超えていたためである.これに. を賜った関係各位に深謝する.なお本研究は NICT 高度通. より,実生活環境においても,過電流による発熱などを回. 信・放送開発委託研究「情報通信・エネルギー統合技術の. 路ブレーカ機能により緩和できていると考えられる.. 研究開発」による.ここに深謝する.. 6. まとめと今後の課題 電力マネジメントを自動化しユーザの負担を軽減するこ. 参考文献 [1]. とを目的として,ポリシベース電力制御を可能とするス マートタップの設計と実装を行った.ポリシベース電力制 御機能の実用例として,エネルギーの情報化の考えに基づ く「供給電力の最適割当て」の監視と制御を自律的に行う. [2]. ソフトウェアベースでの回路ブレーカ機能と,複数機器の. [3]. 突入電流の重なりを回避する機能を実装し評価した.開発 したスマートタップを実生活環境で継続的に利用し,人感 センサや環境センサを活用して,自動的な待機電力削減に よる省エネや家電の自動制御による利便性向上を実現し. c 2013 Information Processing Society of Japan . [4]. Abe, K., Mineno, H. and Mizuno, T.: Development and evaluation of smart tap type Home Energy Management System using sensor networks, Proc. IEEE Consumer Communications and Networking Conference (CCNC 2011 ), pp.1050–1054 (2011). Belkin: WeMo, Belkin (online), available from http: //www.belkin.com/us/wemo (accessed 2013-04-24). Choi, C.-S., Park, W.-K., Han, J.-S. and Lee, I.-W.: The architecture and implementation of proactive Green Home Energy Management System, Proc. International Conference on Information and Communication Technology Convergence (ICTC 2010 ), pp.457–458 (2010). Han, J., Choi, C.-S. and Lee, I.: More efficient home. 9.

(10) 情報処理学会論文誌. [5]. [6]. [7]. [8]. [9]. [10]. [11]. [12]. [13]. [14]. [15]. [16]. [17]. [18]. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). energy management system based on ZigBee communication and infrared remote controls, IEEE Trans. Consumer Electronics, Vol.57, No.1, pp.85–89 (2011). 石山文彦,井上洋思,山本昌樹,渡辺敏雄,香西将樹,鈴木 康直,高谷和宏:1 千万世帯の独居を見守る,情報処理 学会研究報告コンシューマ・デバイス&システム(CDS) 2013-CDS-6 (2013). Ito, M., Uda, R., Ichimura, S., Tago, K., Hoshi, T. and Matsushita, Y.: A method of appliance detection based on features of power waveform, Proc. IEEE/IPSJ International Symposium on Applications and the Internet (SAINT 2004 ), pp.291–294 (2004). Kato, T., Yuasa, K. and Matsuyama, T.: Energy on demand: Efficient and versatile energy control system for home energy management, Proc. IEEE International Conference on Smart Grid Communications (SmartGridComm 2011 ), pp.392–397 (2011). Kato, T., Cho, H.S., Lee, D., Toyomura, T. and Yamazaki, T.: Appliance Recognition from Electric Current Signals for Information-Energy Integrated Network in Home Environments, International Journal of Assistive Robotics and Systems, Vol.10, No.4, pp.51–60 (2009). 経済産業省・資源エネルギー庁:エネルギー白書 2012, 経済産業省・資源エネルギー庁(オンライン) ,入手先 http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/ 2012energyhtml/ (参照 2013-07-05). 小山洋一,岡本暁広,中野博樹:家庭内電力網における 電力管理技術の階層化設計,電子情報通信学会総合大会 講演論文集 BS-7-4 (2012). Lifton, J., Feldmeier, M., Ono, Y., Lewis, C. and Paradiso, J.: A Platform for Ubiquitous Sensor Deployment in Occupational and Domestic Environments, Proc. International Symposium on Information Processing in Sensor Networks (IPSN 2007 ), pp.119–127 (2007). 松山隆司:エネルギーの情報化とは—背景,目的,基本ア イディア,実現手法,情報処理,Vol.51, No.8, pp.926–933 (2010). Morimoto, N., Fujita, Y., Yoshida, M., Yoshimizu, H., Takiyamada, M., Akehi, T. and Tanaka, M.: Optimizing power allocation to electrical appliances with an algorithm for the knapsack problem, Proc. IEEE International Symposium on Consumer Electronics (ISCE 2013 ), pp.155–156 (2013). Morimoto, N., Fujita, Y., Yoshida, M., Yoshimizu, H., Takiyamada, M., Akehi, T. and Tanaka, M.: Smart Outlet Network for Energy-Aware Services Utilizing Various Sensor Information, Proc. IEEE International Conference on Advanced Information Networking and Applications Workshops (WAINA 2013 ), pp.1630–1635 (2013). Mrazovac, B., Bjelica, M., Teslic, N. and Papp, I.: Towards ubiquitous smart outlets for safety and energetic efficiency of home electric appliances, Proc. IEEE International Conference on Consumer Electronics - Berlin (ICCE-Berlin 2011 ), pp.322–326 (2011). NEC システムテクノロジー株式会社:オフィスや家庭の 電力を節約する電力制御システム「グリーンタップ」の開 , 発,NEC システムテクノロジー株式会社(オンライン) 入手先 http://www.nec.co.jp/press/ja/0911/0405.html (参照 2013-04-24) . 岡部寿男:情報通信・エネルギー統合技術の研究開発, システム/制御/情報:システム制御情報学会誌,Vol.55, No.6, pp.221–226 (2011). Song, G., Ding, F., Zhang, W. and Song, A.: A wireless. c 2013 Information Processing Society of Japan . [19] [20]. [21]. [22]. [23]. power outlet system for smart homes, IEEE Trans. Consumer Electronics, Vol.54, No.4, pp.1688–1691 (2008). 塚本昌彦,加藤丈和:スマートタップの共通仕様化に向 けて,情報処理,Vol.51, No.8, pp.934–942 (2010). Ueno, T., Inada, R., Saeki, O. and Tsuji, K.: Effectiveness of an energy-consumption information system for residential buildings, Applied Energy, Vol.83, No.8, pp.868–883 (2006). Yoshihisa, T., Fujita, N. and Tsukamoto, M.: HEMS toolkit: A toolkit for constructing a home energy management system, Proc. IEEE Consumer Communications and Networking Conference (CCNC 2011 ), pp.822–823 (2011). Yoshihisa, T., Fujita, N. and Tsukamoto, M.: A rule generation method for electrical appliances management systems with home EoD, Proc. IEEE Global Conference on Consumer Electronics (GCCE 2012 ), pp.248– 250 (2012). 株式会社ユビキタス:iRemotap, 株式会社ユビキタス ( オ ン ラ イ ン ),入 手 先 http://www.ubiquitous.co.jp/ products/conceptlaboratory/iremotap/ (参照 2013-0424).. 森本 尚之 平成 18 年 3 月京都大学理学部卒業. 平成 23 年 3 月京都大学大学院情報学 研究科博士後期課程単位取得認定退 学.同年 4 月株式会社エネゲート入 社. 「情報通信・エネルギー統合技術 の研究開発」に従事.. 藤田 有 平成 22 年 4 月株式会社エネゲート入 社.エネルギーマネジメント用電力計 測センサの開発,同システム関連機器 の試作・開発,電力会社向け電子式電 力量計(スマートメータ)の開発,市 販向け電子式電力量計の開発に従事.. 吉田 雅昭 平成 7 年 4 月東光精機株式会社(現, エネゲート)入社.配電系統の運用・ メンテナンスを行うための業務支援シ ステム(配電自動化システム),事務 所・工場・家庭の電気使用量を測定し, 電気使用量の見える化を目的としたエ ネルギーマネジメントシステムの開発に従事.. 10.

(11) 情報処理学会論文誌. コンシューマ・デバイス & システム. Vol.3 No.4 1–11 (Dec. 2013). 吉水 宏幸 平成 7 年 4 月東光精機株式会社(現, エネゲート)入社.エネルギーマネジ メント用電力計測センサの開発,同シ ステム関連機器の試作・開発,電力会 社向け電子式電力量計(スマートメー タ)の開発,市販向け電子式電力量計 の開発に従事.. 滝山田 昌文 昭和 63 年 4 月東光精機株式会社(現, エネゲート)入社.家庭内の電気使用 量を測定し消費目標値との比較や金額 等を表示するシステム(省エネナビ) の開発や,事務所・工場・家庭の電気 使用量を測定し,電気使用量の見える 化を目的としたエネルギーマネジメントシステムの開発に 従事.. 明比 輝一 昭和 59 年 4 月東光精機株式会社(現, エネゲート)入社.家庭内の電気使用 量を測定し消費目標値との比較や金額 等を表示するシステム(省エネナビ) の開発や,事務所・工場・家庭の電気 使用量を測定し,電気使用量の見える 化を目的としたエネルギーマネジメントシステムの開発に 従事.. 田中 真実 平成 13 年 4 月東光精機株式会社(現, エネゲート)入社.エネルギーマネジ メント用電力計測センサの開発,同シ ステム関連機器の試作・開発,電力会 社向け電子式電力量計(スマートメー タ)の開発,市販向け電子式電力量計 の開発に従事.. c 2013 Information Processing Society of Japan . 11.

(12)

図 1 スマートタップを用いたポリシベース電力制御 Fig. 1 Policy-based power management using smart outlets.
Table 1 Requirements definition (measurement).
図 3 スマートタップのハード構成図
図 4 左:計測・制御基板,右:リレー基板
+4

参照

関連したドキュメント

We consider a parametric Neumann problem driven by a nonlinear nonhomogeneous differential operator plus an indefinite potential term.. The reaction term is superlinear but does

This implies that a real function is realized by a stable map if and only if it is continuous, thus further leads to an admissible representation of the space of continuous

Finally, we give an example to show how the generalized zeta function can be applied to graphs to distinguish non-isomorphic graphs with the same Ihara-Selberg zeta

As with subword order, the M¨obius function for compositions is given by a signed sum over normal embeddings, although here the sign of a normal embedding depends on the

Although the fractional differential equation boundary-value problems have been studied by several authors, very little is known in the literature on the existence and nonexistence

This approach is not limited to classical solutions of the characteristic system of ordinary differential equations, but can be extended to more general solution concepts in ODE

A., Some application of sample Analogue to the probability integral transformation and coverages property, American statiscien 30 (1976), 78–85.. Mendenhall W., Introduction

We believe it will prove to be useful both for the user of critical point theorems and for further development of the theory, namely for quick proofs (and in some cases improvement)