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広帯域強震動評価のための震源・伝播経路・深部地下構造の解明

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 広帯域強震動評価のための 震源・伝播経路・深部地下構造の解明 背 景 原子力発電所など、エネルギー施設の耐震設計の高度化には、対象地点における地震動を適切に予測する必 要がある。構造物に影響を及ぼす地震動の周期はその種別に応じて異なるため、周期 10 秒程度の長周期領域 から 0.1 秒以下の短周期(高周波数)領域に至る広帯域の強震動を評価することが重要となり、それを実現す る地震の震源および伝播経路特性の定量的なモデル化手法の開発、ならびに深部地下構造モデルの構築が求め られている。. 目 的 広帯域強震動評価手法の確立に向け、近年発生した被害地震の震源特性ならびに特定地域の地震波伝播特性 の解明、および深部地下構造の解明とそれに基づく長周期地震動評価を行う。. 主な成果 1.インバージョン手法による大規模被害地震の面的な震源過程の解明 大地震の震源断層面上におけるすべり量や応力変化の分布特性は特に震源近傍で観測される強震動特性に 大きく影響するため、このような震源破壊過程の解明は近地地震の強震動評価において重要である。ここで は、強震記録から詳細な震源破壊過程を推定する震源インバージョン手法を 2007 年新潟県中越沖地震 (M6.8)に適用し、断層面上ですべりが相対的に大きいアスペリティ領域の分布を定量的に明らかにした (図 1、図 2)。 2.プレート内部地震を対象とした観測強震記録からの地震波伝播特性と震源特性の分離解析 フィリピン海プレートではプレート内部で発生する大地震の事例がほとんどなく、入力地震動作成時のパ ラメータ設定が困難となっている。ここでは 2004 年に発生したプレート内部地震である紀伊半島沖地震群 の震源特性を明らかにするために、観測記録から震源特性と地震波伝播特性を分離するスペクトルインバー ジョン解析を実施した。その結果、紀伊半島地域の地震波伝播特性としては、日本国内の平均に比べて地震 波の減衰効果が小さく(図 3)、また 2004 年紀伊半島沖地震群の高周波地震動励起特性は、内陸地震やプ レート境界地震を対象とした既往の経験式と調和的であることがわかった(図 4)。 3.長周期地震動特性評価のための深部地下構造の解明 堆積層が厚く、過去にも長周期地震動による被害を受けている新潟平野を対象として、微動アレイ観測に よる深部 S 波速度構造の探査を実施した。新潟平野の特徴としては、地震基盤(S 波速度 3km/s)の深度は 新潟市付近で約 5km、海岸線に沿う南北断面で盆地的な形状を示すことが分かった(図 5)。また、新潟県 中越沖地震の長周期地震動のスペクトルレベルを正規モード解による簡易評価法により事後評価した結果、 観測とほぼ同等のレベルが得られ、推定した深部 S 波速度構造を用いることにより評価法の適用性が向上す ることがわかった(図 6)。. 今後の展開 本検討で得られた広帯域地震動特性に関する各種知見を反映した強震動予測手法を確立するとともに、別途 実施している確率論的な強震動予測手法との連携により、総合的な強震動評価システムを構築する。 主担当者 関連報告書. 地球工学研究所 地震工学領域 主任研究員 芝 良昭、佐藤 浩章 「長周期地震動評価のための微動アレイ観測による深部 S 波速度構造探査」電力中央研究所 報告: N07004(2007年 9 月) 「紀伊半島沖で発生する地震群の震源特性及び伝播経路特性の解明」電力中央研究所報告: N07007(2007年 10月). 124.

(2) 9.電力施設建設・保全. 図2 新潟県中越沖地震の震源モデル。コンターは 断層面上のすべり量の分布を表す。 図1 2007年新潟県中越沖地震の想定断層面と解析 に用いた強震観測点(△)、および微動アレイ 観測点(◎、図5参照)の分布. 壇・他(2001)による. 図4 地震規模を表す地震モーメントと、高周波励 起特性を表す加速度震源スペクトルレベルの 関係。実線は経験的な関係式、白の○はプ レート内部地震である紀伊半島沖地震群、● は同地域のプレート境界地震を表す。 加藤(2004)による 2007 Off Chuetsu eq. (M6.8, Depth12km). 2. 図3 紀伊半島地域のQs値(○および赤点線)と日 本国内のQs値分布(黄色のハッチ領域)の比 較。紀伊半島はQsが大きく、地震波が減衰し にくい地域であることがわかる。. 0 Depth (km). 1. TRD 0.4km/s 1.0km/s 1.9km/s 2.3km/s. 2 3. 3.0km/s. MAK. NIG. SEI. MRA. 0.8km/s. 0.7km/s. 0.4km/s 0.8km/s. 1.0km/s 2.0km/s 2.3km/s. 1.4km/s. 1.5km/s. 0.3km/s. 1.4km/s. Fourier amplitude(gal*s). 10. スペクトルの評価結果. 1. 10. NIGH05における観測結果 NS. 10. 2.1km/s. EW. 0. 10. 3.0km/s. 0. Period (s). 10. 1. 2.1km/s. 4 5. 1.9km/s. 3.0km/s 3.0km/s. 図5 新潟平野の深部S波速度構造の分布。新潟平野の日本海 側では地震基盤面(S波速度3km/s)が南北に盆地形状 を示すことがわかる。. 125. 図6 KiK-netのNIGH05における新潟県 中越沖地震の観測スペクトルと SEI(聖籠)での深部S波速度構 造に基づくスペクトルの事後評価 結果の比較。正規モード解による スペクトルの評価結果が観測レベ ルを概ね説明できている。. 9.

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参照

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