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森林科学科総合実習の記録(平成21年度)

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Academic year: 2021

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1.はじめに  森林科学科では、3 年生を対象とした「森林科学総 合実習」(1単位)を実施しており、本報告は平成 21 年度の同実習の記録である。授業の到達目標は、森林 科学科に入学以来、講義、演習、実験、実習で培った 知識や技術を活用して、森林科学に関する実践的な課 題にグループで取り組み、デザイン能力、企画・調整 能力、報告書作成能力、プレゼンテーション能力を習 得することにある。  平成 21 年度は、「船生演習林(宇都宮大学農学部附 属船生演習林;以下、船生演習林と呼ぶ)を活用した 森林の多目的な機能の分析」をメインテーマとして、 平成 21 年度版林業白書(林野庁編)にある森林の持 つ 8 つの多面的機能、すなわち、①生物多様性保全機 能、②地球環境保全機能、③土砂災害防止/土壌保全 機能、④水源涵養機能、⑤快適環境形成機能、⑥保健・ レクリエーション機能、⑦文化機能および⑧物質生産 機能のうち、各班で①から⑦の機能から一つを選び、 この機能と物質生産機能との関わりの実態や程度につ いて、各班でサブテーマを設定し、調査・分析すると いう課題を設定した。  実施にあたり、学科教員全員が参加して指導・助言 を行い、それらを参考にして班員が協力して課題解決 を行うことができるように、実施計画発表会、中間発 表会、および成果発表会の 3 回の公開発表会を設けた。 平成 21 年度は小林幹夫、逢沢峰昭の2名が実施指導 を担当した。 2.実施日程  実習は以下の日程で実施した。   平 成 21 年 5 月 1 日( 金 )15:00-16:30: 趣 旨 説 明、 班編成、課題として担当する森林の機能の決定(於: 森林科学学生実習室)  平成 21 年 5 ∼ 6 月:サブテーマの決定と実施計画 の検討  平成 21 年 7 月 1 日(火)14:30-16:30:実施計画発 表会(於:森林科学学生実習室)  平成 21 年 7 ∼ 9 月:現地調査  平成 21 年 10 月:調査結果の分析、取りまとめ  平成 21 年 11 月 13 日(金)15:40-17:40:中間発表(於: 国際棟 E 棟 3 階 1351 教室)  平成 21 年 11 ∼ 12 月:調査結果の分析と成果報告 書の作成

森林科学科総合実習の記録(平成 21 年度)

A Record of Student Integrated Project in Forest Science Program (2010)

森林科学科

Department of Forest Science

 平成 22 年 1 月 8 日(金):成果報告書の提出  平成 22 年 1 月 26 日:成果発表(於:大学会館多目 的ホール) 3.実習への基本的指導事項 (実施上の条件)  実施上の条件として、次の 4 つをあげた。① 7 つに 班分けし、各班で森林の持つ 8 つの多面的機能のう ち、物質生産機能を除く 7 つの機能から 1 つを選び、 この機能と物質生産機能との関わりについて、各班で 具体的なサブテーマを設定し、調査・分析を行う。② 各班が選択した森林の持つ機能を担うと判断される任 意の林分を調査対象地として選定する。選定範囲は全 国どこでも良いが、班構成員全員による現地調査を必 要不可欠な条件とする。③船生演習林の林分を必ず比 較対照地として使用する。④各班はくじ引きにより ランダムに編成し、班ごとに班長と副班長(2 名)を おき、6 つの活動期間、すなわち、(i)各班のサブテ ーマと実施計画発表、(ii)船生演習林での現地調査、 (iii)船生演習林以外の場所での現地調査、(iv)分析・ 取りまとめ、中間発表、(v)分析と報告書作成、(vi) 成果発表会、ごとに順番に班長・副班長を交替し、全 員が必ず一度は班長を担当する。また、各班の構成員 の全員が、企画の具体化、現地調査、分析、報告書作 成 ・ 発表までの全ての過程に携わり、班長の管理の下 に班活動日誌をつけ、各人と班全体の活動記録を取る。 (実施計画発表・中間発表会の進め方)  班ごとに 10 分間の発表の後、5 分間の質疑を行う。 学科教員全員が参加して指導・助言を行い、それらを 参考にして班員が協力して課題解決を行う。中間発表 では各教員にコメント用紙を配布する。班員は記入さ れたコメントを成果報告書に生かす。 (成果報告書)  成果報告書は、中間発表における教員等のコメント を生かして、所定の要領(付録1)に従って作成する。 提出された各班の報告書要約は付録 2 に示した。 (最終成果発表)  班ごとに 10 分間の発表の後、5 分間の質疑を行い、 学科教員全員の評価を受ける。発表に当たっては、総 合実習のメインテーマ、各班テーマを明示するととも に、取り組んだ課題の意義・目的、方法、結果、考察 をわかりやすく説明するように工夫を凝らす。

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4.成績評価について  評価に当たっては、総合実習での作業内容を、報告 書と成果発表会に大別し、それぞれについて評価項目 を設定し、以下の評語により評価した。 評価基準 A+ (10 点) A(9点):優 B+ (8点) B(7点):良 C (6点):可 D(4点):やや劣る E (1点):劣る F(0点):不合格  この際に、評価基準の標準点は 7 点とし、実習担当 教員は、各項目について項目数により重みをつけて、 成果報告書(6 項目 60 点満点)、成果発表(3 項目 30 点満点)、合計 90 点満点で評価点を与え、最終的に 100 点満点に換算した。そして、優は 80 点以上、良 は 70 点以上 80 点未満、可は 60 点以上 70 点未満、不 可は 60 点未満とし、可以上をもって合格とした。  成果報告書については、以下の 6 項目について評価 した。 A.メインテーマ、サブテーマの意義、位置づけが把 握され、掘り下げられている。 B.調査実施計画が練り上げられ、立案されている。 C.結果が的確に図表データとしてまとめられ、説明 が加えられている。 D.得られた結果に対して、必要に応じて参考文献を 引用しながら考察されている。 E.「報告書の構成概要」に従って、全体が適正にま とめられている。 F.班活動が自覚的に全員の協力分担のもとに進めら れている。  成果発表については、以下の 3 項目について評価し た。 (1)意義・目的、方法、結果、考察の 4 項目がわか りやすく説明されている。 (2)質問に対して、的確に受け答えしている。 (3)わかりやすく発表するための工夫が凝らされて いる。 5.おわりに  平成 21 年度は、1 班 6 名で7班からなる班編成を 基本とし、「船生演習林を活用した森林の多目的な機 能の分析」をメインテーマとして、森林の持つ 8 つの 多面的機能に注目し、ベースに置いた物質生産機能と これ以外の機能との関わりの実態や程度について分析 させた。実習を行うにあたり、実施計画をいくつかの 期間に分け、順番に班長・副班長を交替し、全員が必 ず一度は班長を担当することで、各班の構成員の全員 が、企画の具体化、現地調査、分析、報告書作成 ・ 発 表までの全ての過程に携われるように工夫した。さら に、グループ研究の評価のため、作業日誌、各人の自 己評価を報告書に書かせ、活動の経緯や過程を評価し やすいように工夫した。今回の実習は、学生にとって これらの機能について考えるよい機会となったと思わ れる。一方、今後の課題として、保健・レクリエーシ ョン機能や文化機能といった定量的に評価しにくいテ ーマを担当した班から苦戦の声が聞こえるなど、課題 の難易度に差があったと思われることから、課題のレ ベル調整が必要であったかもしれない。また、具体的 な調査にはいる前に、2 ∼ 3 回教員のチェックがはい る発表機会を設けてもよいように思えた。  森林科学総合実習は、各研究室での卒論活動の準備 段階として位置づけられる。参加した学生がこの実習 の中で習得した知識、技術などを卒論作成へ向けて活 用することを願っている。  最後に、本実習の調査許可等の便宜をはかっていた だいた、関東森林管理局日光森林管理署ならびに塩那 森林管理署、栃木県県民の森管理事務所、矢板市役所、 森林総合研究所、演習林教職員の関係者の方々に、厚 くお礼申し上げます。

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付録 1 森林科学総合実習報告書の構成概要 Ⅰ.報告書の形式  表紙には、① 2009 年度森林科学総合実習、②サブ タイトル、③班構成員全員の氏名を記載すること。本 文は以下の項目を立てて作成すること。  要約(A4用紙1ページ以内で、報告書のすべての 内容を集約して記述すること) 1.はじめに (1)実習調査研究の背景 (2)目的 (3)班活動の経緯  1)活動日誌の概要  2)班構成員の役割分担と各人による自己評価を 具体的に記述すること。 2.方法 (1)調査地  1)調査地概況(地理的な位置および立地環境)  2)調査地の選定理由 (2)方法 3.結果 4.考察 5.結論 6.森林科学総合実習の意義(自分たちの実践を踏ま え、今後に活かしたいと思う内容を記述すること) 7.謝辞 8.参考文献 9.付表・付図 Ⅱ.報告書作成上の留意事項 (1)報告書の本文は明朝体 11 ポイント、上下・右 の余白は 20mm、左は 30mm で作成する。印刷は A4サイズ、裏表印刷とする。また、左端をホッ チキスで綴じたうえ、バインダーで表装すること。 (2)報告書に使用する図表は、本文中の最初に引 用したパラグラフの直近に穴埋め式に配置する。 図表作成に使用した細かなデータ、アンケート調 査票などは、必要に応じ、付表もしくは付図とし て末尾に配置すること。 (3)報告書とともに「班活動ノート」も提出する こと。 (4)報告書の提出期限を 1 月 8 日午後 5 時、森林 科学科事務室とする。 付録 2 報告書要約 1班:森林の多面的機能の分析−物質生産と快適環境 形成の相互関係− 上 町 祐 矢(073512K)・ 澁 谷 七 穂(073517M)・ 千 本 木 洋 介(073520M)・ 牧 野 和 子(073533X)・ 丸 山典紘(073534M)・大貫祥明(073540A)  近年、自然志向やアウトドアがブームとなり、森林 内で余暇時間を過ごす人たちが増えてきた。この理由 として、森林の快適さに触れることで、心身の癒しを 求め、リフレッシュを図ろうとすることが考えられる。 真夏の暑い時期に、森林内の木陰に入ると涼しく快適 に感じる。また、森林は大気中のガス汚染物質を葉内 に吸収したり、樹体表面に付着・分解して大気中から 除去したりして、大気を浄化する働きをする。さらに は騒音を軽減する働きを持つ。このように森林は人間 生活に快適な環境を提供している。森林に対する人々 のニーズは、従来の木材生産機能からこうした快適環 境形成機能や保健休養機能へのシフトしている。この ため今後は、このようなニーズにあった森林整備を進 めていく必要があると考えられる。そのためには、快 適性の高い森林の姿を明らかにすることが大切であ る。本研究では森林の持つ物質生産機能と快適環境 形成機能が共存しえるのか、すなわち、その相関関係 の有無を分析し、検討することを目的とし、4 種類の 森林において実験・調査を行った。調査地として、レ クリエーションや森林浴等が可能で快適環境形成を担 う、栃木県県民の森内の広葉樹林(12 林班イ− 8 小 班)と、船生演習林において主に木材生産を目的とし た人工林から、施業や林分材積の異なる 3 つの林分、 すなわち 1 林班い 1 小班のヒノキ未間伐林、2 林班を 3 小班のヒノキ長伐期林、3 林班ち小班のヒノキ列状 間伐林を選定した。当該林分において 10m × 10m の プロットを設定し、その中で照度測定や毎木調査、植 生調査等を行った。また、林分内に入る前後に POMS (気分プロフィール調査)を行った。各林分における POMSの結果とプロット内の調査結果を照らし合わせ て分析した結果、森林内と森林外とでは快適さにおい て有意差がみられ、森林内で過ごすことは心身に好影 響を与えることがわかった。しかし、各林分間におい ては有意な差はみられず、材積と快適さとの間には相 関関係が認められないことがわかった。 2 班:間伐の違いによる針葉樹林間の材積・植物種多 様性の比較と針葉樹林・広葉樹林の植物種多様性の比 較 阿久津瞳(073501Z)・佐藤佑太(073516X)・千葉 利朗(073524Y)・中山ちさ(073525U)・畑中佑介 (073527C)・和田尚久(073539U)  森林の物質生産機能と生物多様性保全機能との関わ りを見出し、その実態を明らかにする上で、針葉樹人 工林も間伐などの手入れを行えば、広葉樹林に匹敵す る植物種の多様性がみられるのではないかとわれわれ は考えた。なぜなら、間伐を行うことによって光環境 が改善され、植物種多様性が発達すると考えられるた めである。そこで本研究では、間伐有無による針葉樹 林間の材積・植物種多様性の比較と、針葉樹林と広葉 樹林間の植物種多様性の比較を行なった。具体的に は、①同じ樹種(ヒノキおよびカラマツ)の針葉樹人 工林でも間伐の有無によって植物種多様性に違いはあ るのか、②針葉樹人工林が広葉樹林よりも植物種多様 性が低いといえるか、③気候や針葉樹種の違いによっ て、間伐が植物種多様性や材積に及ぼす影響に違いは

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あるのか、これら 3 点について検証を行った。調査地 は、ヒノキ人工林として船生演習林 3 林班ち小班(間 伐有)と 1 林班ろ 31 小班(間伐無)に、カラマツ人 工林として日光演習林 1 林班い小班(間伐無)と日光 国有林 1102 林班(間伐有)に、広葉樹林として日光 国有林 1105 林班に 1 小班にそれぞれ設定し、プロッ ト内の毎木調査と植生調査を行った。調査の結果、立 木 1 本当たりの材積は間伐回数が多いほうが大きくな った。船生演習林では間伐有の林分のほうが、植物種 多様性が高くなった。日光演習林では間伐有の林分と 無し林分で植物種多様性は同程度であった。これらの 結果から、ヒノキ人工林は間伐を行わないと林内の光 環境が悪化し、植物の侵入が困難になるため、植物種 多様性が低下すると考えられた。すなわち、カラマツ 林よりもヒノキ林のほうが、間伐をしないことによる 林内の光環境に与える悪影響が大きいと考えられた。 間伐が材積に与える影響については、カラマツ林でも ヒノキ林でも間伐によって立木 1 本当たりの材積が大 きくなることがわかった。 3 班:土層厚調査による土壌流出防止機能の検証 阿部亮(073502X)・荒川知加子(073504H)・関菜 穂 子(073519B)・ 高 橋 孝 知(073521H)・ 福 田 翔 (073531A)・土屋慧(073541Y)  今日、日本の林業は就業人口の減少、就業者の高齢 化など多くの問題を抱えている。また、これに起因す る二次的な問題も浮かび上がってきている。手入れ不 足による森林の衰退や土砂災害は、まさに林業従事者 不足による労働力欠如が大きな原因となっているであ ろう。実際には、土砂災害の発生には多くの要因が複 雑に重なっている。その 1 つの要因として考えられる のが、森林の手入れ不足による土壌の劣化である。本 研究では森林施業と土壌の関係に的を絞った。既往の 文献より、森林施業が行われていないと林内照度が低 下し、下層植生が失われ、森林土壌が流出することが 示唆されている。このことから、間伐や枝打ちなどの 適切な施業が行われていない林分では、土壌が流出し ており、表土が薄いのではないかと予想された。した がって、本研究は森林施業が行われていない森林では 表土が薄いとの仮説を立て、これを検証することを目 的として調査を行った。調査地は、栃木県塩谷郡塩谷 町の船生演習林の 4 林班そ小班および 5 林班い 6 小班、 栃木県日光市足尾町湖南国有林 265 林班ハ 1 小班であ る。これらの調査地で簡易土壌貫入計を用いた土壌厚 の推定と、毎木調査による材積算出を行った。調査の 結果、足尾においては、植生のある場所と、ほとんど 植生がない場所で調査を行ったが、植生のない場所で は森林土壌の流出が起きており、予想通り土壌層が薄 かった。船生演習林の斜面上部においては、手入れの 有無により、土壌厚に違いがみられたものの、斜面下 部では土壌厚に大きな違いはみられなかった。したが って、今回の調査だけでは一概に手入れのされている ところは土壌層が厚いとは言い切れず、仮説の検証は 不十分と考えられた。 4 班:林齢 40 年のヒノキ人工林における斜面土壌物 理性と材積の関係 漆 田 静 香(073508U)・ 戎 隆 徳(073509K)・ 倉 持 海 音(073513C)・ 鈴 木 祐 輔(073518H)・ 林 千 果 (073528A)・原貴弘(073529Z)  本研究は、林齢 40 年のヒノキ人工林斜面における 土壌の物理性と材積の関係を明らかにすることを目的 として調査を行った。調査地として材積の異なる 4 つ の調査(船生演習林 3 林班ち小班および 4 林班を小班、 栃木県県民の森 16 林班ア− 2B 小班および 22 林班ア − 3B)で行った。これらの場所において、林分材積、 土壌の透水性・保水性および土壌硬度を調べた。調査 の結果、船生演習林よりも県民の森のほうが、材積が 大きく、土壌中の礫と根が多く、しっかり根を広げて いることがわかった。一方、船生演習林のほうが県民 の森よりも透水性が高い傾向にあった。両調査地間で この他に特に違いはみられず、斜面の土壌の物理性と 材積との間に明瞭な関係を見出すことはできなかっ た。 5 班:ヒノキ天然林と物質生産を目的としたヒノキ人 工林の炭素固定能力調査 天 田 優 美(073503M)・ 石 田 泰 成(073505B)・ 大 貫智耶(073510Y)・毛塚沙織(073514A)・成松翔 太(073526K)・藤巻将司(073532Z)  本研究では、森林の公益的機能の一環として栃木県 塩谷郡塩谷町のヒノキ林において、植栽の有無(天然 林か人工林か)や地位による樹幹部分の炭素固定能 力の評価を目的とした。気候、林齢、地形の条件が類 似している、ヒノキ天然林(寺島入国有林 329 林班ほ 小班、林齢 100 年以上)と高齢級のヒノキ人工林(船 生演習林 2 小班を 4 小班、林齢約 100 年)において毎 木調査を行った。ヒノキ天然林は(調査地 1、地位 3) 急な斜面上部から尾根筋に成立し、礫が多く、ヒノキ、 ツガなどが優占していた。斜面中腹の高齢級人工林 (調査地 2 のプロット 1、地位 1)では成長が良く、斜 面上部の人工林(調査地 2 のプロット 2、地位 2)で はヒノキに加えてアカマツが見られた。炭素現存量算 出法を用いて計算した結果、地位が各プロット間で異 なっていて正確な比較はできないが、ヒノキ個体群で 比較してみると、プロット 1 が最も炭素現存量が高い 結果となった。天然林ではヒノキの炭素固定量は著し く低く、ヒノキ以外の樹種が炭素固定量に大きく関わ っていることが示唆された。これらの結果から、施業 により幹材積の肥大化を行ったほうが、炭素固定の機 能は高まることが示唆された。また、林分全体で評価 した結果においても、ヒノキ天然林で炭素固定量が低 くなった。尾根筋のプロット 2 においても同様に固定 量が低い結果が得られ、尾根筋や礫の多い地形は樹木 の成長にとって阻害要因となり、不成績人工林等にな る可能性がある。炭素固定機能の観点からみると、地 位(地形)や土壌状態を把握して、施業を行うことに

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よって炭素固定機能を高めることができると考えられ た。 6 班:船生演習林の木材生産機能と保健・レクリエー ション機能の関係−栃木県県民の森を比較対照として − 今井陽一郎(073506A)・岩崎泰子(073507Y)・田 口典裕(073522B)・平野和隆(073530C)・森喜朗 (073535H)・渡辺みゆき(073538Y)  近年、森林の多機能化が求められている。本研究の 目的は、船生演習林と栃木県県民の森の林分を対象と し、森林の持つ多面的な機能のうち、物質生産機能を 軸として、保健・レクリエーション機能との関わりの 実態や程度について分析することである。そこで、6 班は、保健・レクリエーション機能として考えられる 機能のうち、森林景観に着目して森林の持つ物質生産 機能との関わりを調べることにした。調査地として船 生演習林と、この比較対照地として、レクリエーショ ン目的に管理されている栃木県県民の森を選定した。 比較方法として、事前に選定した現地の散策コースを 実際に歩き、歩道周囲の景観、歩道の状態、ベンチや 案内板等の設備の有無について調査を行い、散策ルー トの整備状況や林内環境の比較を行った。調査の結果、 船生演習林と県民の森いずれも案内看板や設備の増設 等について改善の余地はあるものの、保健・レクリエ ーション機能のための森林としては、まずまずのもの を持っていると判断された。また、森林景観において 重要な要因である下層植生は、林床まで光が入らない と成長しないため、枝打ちや間伐は、保健・レクリエ ーション機能と物質生産機能のいずれにおいても重要 な施業であると考えられた。しかし、下層植生はチェ ーンソー伐倒時の作業の阻害要因となるため、下層植 生の豊富さとチェーンソー伐倒時の生産性はトレード オフの関係にあると考えられる。そのため、伝統行事 等に関わる伐出といったコストを度外視できるものを 除いて、長伐期施業で 1 本当たりの価格を上げるか、 ハーベスタで下層植生を無視して伐倒できるようにす る等のコスト低減のための何らかの対策をとらない限 り、保健・レクリエーション機能と物質生産機能は両 立できないという結論に達した。 7 班:森林における学習教育の効果 勝 村 覚(073511U)・ 佐 藤 博 紀(073515Z)・ 竹 田 祐 子(073523A)・ 山 路 貴 大(073536B)・ 山 本 咲 (073537A)  7 班は、景観、風致、学習教育、芸術、宗教、伝統 文化などが含まれる森林の持つ「文化機能」について 担当した。現在の日本では、森林施業の必要性などの 正しい知識を学ぶ機会が少ないこと、人口が集中する 都市部において森林がほとんど残っておらず、森林と 接する機会が少ないことなどから、国民が森林に期待 する機能は、生物多様性保全や水源涵養機能などに偏 り、物質生産機能への関心は薄くなってきている。そ こで、森林に関わる詳しい知識を持っていない人に対 して、学習教育を行える森林環境を整えることが大切 であると考え、森林の現状について調査することにし た。調査地は、船生演習林と、その対照地として、学 習目的を兼ねていると考えた栃木県県民の森に設定し た。文献調査の結果から、森林での学習教育を最も効 果的に行うことができる対象者は、自然・地理的学習 を含めた社会科目が導入されている小学校 4 年生であ ることがわかった。そこで、小学校 4 年生程度の生徒 に有効である季節変化や五感(主に視覚、味覚、嗅覚、 触覚)を中心に調査した。そして、船生演習林の散策 コース、および県民の森のキャンプ場周囲コース、展 望コース、宮川渓谷コース、体験の森コースにおいて 踏査を行い、コースごと見られた樹種とその割合を記 録した。さらに、樹種ごとに花や実、葉などの季節変 化や多様性について、視覚、味覚、嗅覚、触覚という 項目に分け、図鑑を基に調べた。得られたデータを整 理・分析した結果、特徴ある触覚をもつ種数などを合 わせると、船生演習林の散策コースと県民の森のキャ ンプ場周囲コースは優れた学習効果をもつという結果 となった。結果を総合すると、春に学習教育目的で散 策する場合はキャンプ場周囲コース、体験の森コース、 展望コースが優れていた。夏以降は、宮川渓谷歩道コ ース以外の 4 つのコースで学習効果があると考えられ た。当初、船生演習林では、視覚、嗅覚、味覚のどれ もが県民の森と比較して劣るのではないかと予想され たが、結果としてあまり違いがないことがわかった。 元々、県民の森も学習教育目的につくられたわけでは ないが、学習教育を目的に活用することは可能である ことがわかった。一方、船生演習林では、木材生産と 学習教育の両面について学べることができると推察さ れた。

参照

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入館者については、有料入館者 146,192 人(個人 112,199 人、団体 33,993 人)、無料入館者(学 生団体の教職員、招待券等)7,546

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