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〈論文〉従業員成果を導き出す組織要因の特定化

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(1)/058M. 1. 2011* 7. 従業員成果 を導 き出す組織要 因の特定化 松 要旨. 山. 一. 紀. 本 稿 の 目的 は,戦 略 的 人 的 資 源 管 理 論 の 枠 組 を 用 いて,好. ま しい 従 業 員 成 果 を 導 き 出. す 組 織 変 数 を特 定 化 す る こ と に あ る。 東 証 一 部 上 場 製 造 業 企 業500社 を対 象 に質 問紙 調 査 を 実 施 した と こ ろ,分 析 の 結 果,攻 撃 的 文 化,ラ イ ン人 事,そ. して 戦 略 と組 織 行 動 の 適 合 性 が. 好 ま しい 成 果 に対 して 正 の 影 響 力 を 有 して い る こ とが 明 らか とな った 。 結 論 と して,人 材 マ ネ ジ メ ン トの 文 化 お よび 戦 略 に対 す る影 響 力 が 顕 現 的 で な い 方 が 好 ま し い とい う解 釈 が 導 か れた。. キ ー ワー ド. 戦 略 的 人 的 資 源 管 理,攻 撃 的 文 化,ラ イ ン人 事,適 合 性. 原 稿 受 理 日2011年4月27日. Abstract. The purpose. management, from. employees.. first. section. vealed. that. behaviors that. organizational. A survey. of the Tokyo an aggressive. for strategy. favorable. Key words. of this study is, by use of framework. to identify. HRM. SHRM,. was Stock. conducted. culture,. effects. HRM. field-oriented. being. outcome.. HRM,. resource. culture. outcome. listed. analysis,. and adequate. on organizational. human. a preferred. of their. on the employee. influences. culture,. derive. As a result. a field-oriented. has less salient. of strategic. which. on 500 manufactures. Exchange.. have positive. aggressive. variables. on the. it was re-. organizational This concludes and strategy.. adequateness.

(2) 第58巻. 1.は. 第1号. じ. め. に. 本稿 の 目的 は,戦 略 的人 的資 源管理(strategichumanresourcemanagement:SHRM) 論 の 枠 組 を用 いて,好. ま しい従 業 員 成 果 を 導 き 出す 組 織 変 数 を 特 定 化 す る こ と に あ る。 特. に今 回 は,組 織 に お け る戦 略 と文 化 に注 目 した い。1980年 代 後 半 頃 か ら,我 が 国 の 産 業 社 会 は大 き く変 化 して き た。 成 果 主 義 の 導 入 と軌 を 一 にす る よ う に,日 本 企 業 の 多 くが そ れ まで の 福 祉 主 義 的 人 事 管 理 を 見 直 し始 め た(松 山,2005)。. バ ブ ル経 済 の崩 壊 も手 伝 って,. 組 織 内部 の 人 間 関 係 管 理 や 教 育 関 連 予 算 は削 られ,従 業 員 は 自律 を 促 され る よ う にな った (松 山,2008)。. と 同時 に,労 働 組 合 の 影 響 力 が 衰 退 し始 め,人 事 管 理 の 戦 略 的 側 面 が 強 調. され る よ う にな って き た。 ま さ にUlrich(1997)の. 言 う,「 戦 略 的 パ ー トナー 」 へ と人 事. 部 門 が 変 質 して き たの で あ る。 戦 後 の 日本 企 業 は あ る意 味,企 業 共 同体 を 形 成 す る こ と に力 を 注 いで きた と いえ る。 日 本 企 業 は経 営 者 を父 親 とす る一 大 家 族 を 形 成 して き たわ けで あ る。 で は,母 親 は誰 だ った の か 。 恐 ら くそれ が,人 事 部 門 で あ り労 働 組 合 で あ っ たの で はな か ろ うか 。 欧 米 企 業 にお け る福 祉 主 義 はパ ター ナ リズ ム(父 権 主 義)の 表 現 と言 わ れ るが,日 本 企 業 にお け るそ れ は マ タ ー ナ リズ ム(母 親 的 包 容 主 義)の 現 れ だ っ たの で あ る。 それ が 今 や 日本 企 業 の 人 事 部 門 まで が 父 権 化 しつ つ あ る よ う に感 じ られ る。 従 来,日 本 企 業 の 人 事 部 は組 織 が 守 るべ き価 値 観 や 信 念,す な わ ち その 組 織 の 文 化 を 維 持 も し くは変 革 す る こ とを 大 きな 使 命 と し て き た。 だ とす れ ば,前 述 した よ う に,戦 略 化 す る現 在 の 人 事 部 門 は組 織 文 化 に対 す る関 与 を どの よ う に捉 え て い るの だ ろ うか 。 戦 略 に対 す る意 識 の 強 さが,文 化 に対 す る 自 らの 意 識 を希 薄 に して い る と い う こ と はな いの で あ ろ うか 。 本 稿 で は,こ の よ うな 問 題 意 識 に 基 づ き,従 業 員 の 好 ま しい態 度 を 成 果 変 数 とす る こ と に よ って,探 索 的 に探 って い きた い と思 う。. 題. 2.問. 1)SHRMと SHRMと. は は,1970年. 代 か ら1980年 代 に か け て 英 米 を 中 心 に 発 展 し,1980年. 代後半以降. は 我 が 国 に お い て も 一 般 化 し始 め た 人 材 マ ネ ジ メ ン トを 指 して い る 。Bratton&Gold (2003)に. よ れ ば,SHRMと. は 「業 績 を 改 善 す る た め に,組 一130(130)一. 織 の 戦 略 目標 と人 事 機 能 とを.

(3) 従業員成果を導 き出す組織要因の特定化(松 山) 連 結 す る過 程 の こ とで あ る」(邦 訳,p.61)。. ま た,SHRM研. 究 にお け る最 も初 期 の 優 れ. た レ ビュ ー論 文 で あ るWright&McMahan(1992)はSHRMを. 「組 織 が 目的 を 達 成 す. る こ と が で き る よ う に意 図 さ れ た,計 画 的 な 人 的 資 源 の配 置 お よび 活 動 のパ タ ー ン」(p. 298)と 定 義 づ け て い る。 これ らの定 義 か ら明 らか な こ とは,何 よ り もHRMに 略 的 側 面 が 強 調 され て い る と い う こ とで あ る。 そ して,そ る(松 山,2005)。. まず1点. 目は,戦 略 とHRMの. お け る戦. こ に は2つ の 点 が 内包 され て い. 融 合 で あ る。HRM活. 大 の 要 因 と して 戦 略 が 措 定 され る。 そ れ は,戦 略 がHRM活. 動 を 規 定 す る最. 動 の 目標 とな る こ とを 意 味 し. て い る。 さ らに,こ の こ と は,そ れ ま で あ ま り意 識 され て こな か ったHRMと. 業績の関係. を強 調 す る こ と に もな る。戦 略 が 目標 に な る以 上,そ の 結 果 と して の 業 績 にHRMが. 関与. を強 め るの は 当然 と も いえ る。 2点 目 はHRM活. 動 そ の もの に お け る戦 略 性 の強 調 で あ る。戦 略 実 行 も し くはそ の 補 完. を 目標 と して,計 画 的 な活 動 が意 識 され る よ うに な り,HRM活. 動 そ の もの が戦 略 的 にな っ. て きた とい うこ とで あ る。そ れ ま で,人 事 課 題 に対 して反 応 を して い た だ けで あ ったHRM 活 動 が,目 標 と計 画 の 下 に体 系 性 を 有 す る よ う にな って き たの で あ る。 以 上 か ら,こ こで はSHRMを. 「業 績 改 善 を 目標 と して 立 案 され た経 営 戦 略 と整 合 的 に体 系 化 され,計 画 的. に遂 行 され るHRM」 さて,経. 営 戦 略 と経 営 管 理,特. &Snow(1978)を 程 を,い. と定 義 付 け る。 に人 的 資 源 管 理 と の融 合 に貢 献 した論 考 と して,Miles. 指 摘 す る こ とが で き る。 彼 らは,環 境 の 変 化 と不 確 実 性 に適 応 す る過. くつ か の 組 織 階 層 にわ た って の 無 数 の 意 思 決 定 と行 動 を 包 含 した,き わ めて 複 雑. な 過 程 で あ る と して,環 境 との 効 果 的 な 整 合 を 維 持 しな が ら,内 部 の 相 互 依 存 関 係 を 効 率 的 に管 理 す る過 程 を 捉 え よ う と努 力 した。環 境 へ の組 織 適 応 と して は,「 防衛 型 」「探 索 型 」 「分 析 型 」 「受 身 型 」 と い っ た4つ の タ イ プを 構 想 して い る。 今 回 は特 に 「防 衛 型 」 と 「探 索 型 」 に焦 点 を絞 り,こ れ らの 戦 略 タ イ プを 戦 略 変 数 と して 扱 う こ と にす る。 こ こで 防 衛 型 の 組 織 と は,狭 い製 品 ・市 場 の 領 域 を 持 つ 組 織 を 指 して い る。 この タ イ プ の 組 織 は限 られ た事 業 分 野 で は高 い専 門 性 を 持 って い るが,新. しい機 会 を 求 めて 領 域 の 外. 側 を探 索 しよ う と は しな い。 この よ う に狭 く的 を 絞 って い る結 果 と して,こ れ らの 組 織 に は技 術,機 構,あ. る い は業 務 の 方 法 を 大 き く変 え る必 要 は め っ た にな い。 主 要 な 関 心 は,. 既 存 の 業 務 の 効 率 を 向 上 させ る こ と に あ る。 一 方 探 索 型 の 組 織 は,絶 え ず 市 場 機 会 を 探 索 して や まな い 組織 で あ り,新 しい環 境 にい つ で も対 応 で き る体 制 を整 え て い る。そ の た め, この 組 織 は しば しば変 化 と不 確 実 性 を 創 り出 し,こ れ に対 して 競 争 相 手 は対 応 を 余 儀 な く させ られ る。 しか しこの 組 織 は,製 品 と市 場 の 革 新 に対 して 関 心 を 持 ちす ぎ るた め に,通 一131(131)一.

(4) 第58巻. 第1号. 常 は 効 率 的 に は な っ て い な い と さ れ る(Miles&Snow,1978)。 Miles&Snow(1978)以 わ れ て き た が,研. 降,SHRMに. 関 す る 数 多 くの 実 証 研 究 な ら び に 事 例 研 究 が 行. 究 の ポ イ ン トと な る の は,戦. 略 タ イ プを どの よ う に措 定 す るか と い う こ. と で あ っ た 。 先 行 研 究 を レ ビ ュ ー して み る と,こ られ る の が,Porter(1980)と. う し た 戦 略 タ イ プ と して 頻 繁 に 取 り上 げ. こ のMiles&Snow(1978)で. ば,Akingbola,2006;Delery&Doty,1996)。. あ る こ と が わ か る(例. 今 回,Miles&Snow(1978)に. 理 由 は こ こ に も あ る 。 ま た,Porterの 対 して,Miles&SnowはHRMと. 関 心 が,競. 争 戦 略 とHRMの. 注 目 した 関 係 性 に はな いの に. の 整 合1生 に つ い て 関 心 を 持 っ て お り,カ. パ シ フ ィ ッ ク 社 を 例 に と っ て,先. ほ ど の 適 応 プ ロ セ ス が ど の よ う なHRMと. か を 明 らか に して い る 点 も 彼 らを 取 り上 げ る 理 由 の 一 つ で あ る 。 表1は (戦 略 タ イ プ)とHRMと. ナデ ィ ア ン ・ 整合的で ある. 組 織 適 応 プ ロセ ス. の整 合 性 に つ い て彼 らが ま とめ た もの で あ る。. 表1戦. 防. 戦 略 タイ プ. 基本の考え方. え. 衛. 略 タ イ プ とHRM. 型. 探. 索. 型. 人的資源の構築. 人的資源の獲得. 雇 用,選 抜,配 置. 「つ くる」 ・新 卒 以 上 は あ ま り採 用 しな い ・望 ま し くな い従 業 員 の 除 去 に よ る選. 「買 う」 ・あ らゆ る階 層 に つ い て 採 用 ・人 選 は 採 用 前 心 理 テ ス トを 含 む こ と. 配置計画 訓練及び人材開発. ・公 式 的 ,広 範 囲 ・技 能 構 築 ・広 範 囲 な 訓 練 プ ロ グ ラ ム. ・非 公 式 ,限 定 的 ・技 能 の 特 定 及 び 獲 得 ・限 定 的 な 訓 練 プ ロ グ ラ ム. ・プ ロセ ス指 向. ・結 果 指 向. (例:重 要 な 出来 事 や 生 産 目標) ・訓 練 が 必 要 か 否 か ・個 人/グ ル ー プ業 績 評 価 ・経 時 的 比 較. (例:目 標 や 利 益 目標 に よ る管 理) ・補 助 が 必 要 か 否 か ・事 業 部/本 社 業 績 評 価 ・横 の 比 較. があ る. 抜. 業績評価. (前年 業 績). 報. 酬. (同 時 期 の 他 企 業). ・組 織 ヒエ ラル キ ー に お け る地 位 指 向 ・組 織 内 の 一 貫 性 ・ トー タル の 報 酬 キ ャ ッシ ュ指 向 が 強 く,上 司/部 下 の 格 差 に よ って 成 立. 出 典:Miles&Snow(1984)を. 2)組. ・業 績 指 向 ・外 部 競 争 的 ・ トー タル の 報 酬 イ ンセ ンテ ィ ブ指 向 が強 く,採 用 ニ ー ズ に よ って 決 ま る. も とに筆 者 作 成. 織 文 化 とHRM. 冒 頭 で 述 べ た よ う に,本 と は,「 組 織 の 中 で,そ. 稿 で は 重 要 な 組 織 変 数 と して 組 織 文 化 に も 注 目 す る 。 組 織 文 化. れ を 構 成 す る人 々 の 間 で 共 有 さ れ た 価 値 や 信 念,あ. と な っ た 行 動 が 絡 み 合 っ て 醸 し 出 さ れ た シ ス テ ム(田 -132(132)一. 尾,1998,188頁)」. る い は,習. 慣. で あ る 。 ま た,.

(5) 従業員成果を導 き出す組織要因の特定化(松 山) 河 野(1985)に. よれ ば,組 織 文 化 は公 表 され た経 営 理 念 や トップの 意 思 決 定 バ ター ンそ し. て 一 般 従 業 員 の 行 動 パ ター ンな どか ら創 出 され る。 こ こでHRMは. 経 営 理 念 や トップの 意. 思 決 定 の 影 響 を受 け る と 同時 に,従 業 員 の 行 動 パ ター ン に影 響 を 与 え る と考 え られ る。 石 井 ・奥 村 ・加 護 野 ・野 中(1985)も 能 を も って い るの はHRMの. 言 う よ う に,組 織 文 化 の 形 成 と伝 達 にお いて 重 要 な 機. 諸 制 度 で あ り,特 に新 入 社 員 の 選 抜,企 業 内 の 教 育 と訓 練,. な らび に報 酬 制 度 の 三 者 は組 織 それ ぞ れ に独 自の 文 化 を 形 作 って い くうえ で 直 接 の 影 響 を 有 す る。 な か で も教 育 訓 練 は組 織 文 化 を 浸 透 させ る うえ に お いて,最. も重 要 な ツー ル とな. るで あ ろ う。 例 え ば,家 電 メ ー カ ー大 手 のパ ナ ソニ ック社 で は,こ れ ま でHRMの. 指 針 とな る人 事 方. 針 が 二 度 制 定 され て い る。 最 初 の 人 事 方 針 は1957年 に制 定 され て お り,7つ. の大方針が掲. げ られ て い る。 その 筆 頭 に は 「松 下 電 器(現 パ ナ ソニ ック社)の 経 営 方 針 を 十 分 に徹 底 さ せ な けれ ばな らな い」 とあ る。 また,1988年. に は現 在 の人 事 方 針 が新 た に制 定 さ れ て い る。. そ の方 針 に は 求 め る社 員 像 が 明記 され て お り,「 自主 自立 の 挑 戦 者 」 や 「そ の道 を 究 め る 専 門 家 」 と い っ た5つ の 社 員 像 の 筆 頭 に 「経 営 基 本 方 針 の 実 践 者 」 が 掲 げ られ て い るの で あ る。 こ こで,経 営 方 針 や 経 営 基 本 方 針 とは,い. わ ゆ る経 営 理 念 を 指 して い る。 パ ナ ソ. ニ ック社 が新 入 社 員 教 育 で 用 い る テ キ ス トの1頁. 目 に は こ う書 か れ て い る。 「松 下 電 器 に. は事 業 を進 めて い く上 で,常. に堅 持 す べ き大 切 な 考 え 方 が あ ります 。 そ れ は,経 営 基 本 方. 針 と呼 ばれ て い ます 。 経 営 基 本 方 針 は,創 業 者 が 事 業 を 起 こ して 以 来 経 営 を 進 めて い く上 で 自 ら感 得 した真 理 で あ り,社 員 全 員 が 仕 事 を す る上 で 心 に留 めて お か な けれ ばな らな い 大 切 な もの で す 」 と。 新 入 社 員 教 育 は参 入 して き た新 人 た ちを 教 育 す る最 も重 要 なHRM 施 策 の 一 つ で あ る。 その 施 策 を 通 じて,真. っ先 に経 営 理 念 を 学 ばせ て い る こ とか ら も,い. か にパ ナ ソニ ック社 が 経 営 理 念 を 重 要 視 して い るか が 理 解 で き よ う。 この 点 につ いて は他 の 多 くの 企 業 で も 同様 で はな いか と思 わ れ る。 さて,経 営 理 念 を 中核 とす る組 織 文 化 を 維 持,強 化 す る方 策 は,教 育 以 外 に も あ る。 例 え ば,式 典 や 儀 式 の 開 催 で あ る(田 尾,1999)。. パ ナ ソニ ック社 で は か つ て,創. 業者で あ. る松 下 幸 之 助 氏 が 自 ら感 得 した松 下 電 器 の 真 の 使 命 を,当 時 の 従 業 員 に明 示 した5月5日 を創 業 記 念 日 と定 め,毎 年 その 日 に創 業 記 念 式 典 を 開 催 して い た。 式 典 で は松 下 幸 之 助 氏 が 当時 述 べ た告 辞 文 を,そ の 時 々の 経 営 者 が 代 読 す る こ と に よ って,全 従 業 員 と と も に改 めて 経 営 理 念 を深 く考 え る機 会 が 与 え られ た。 ま た,ス. トー リー も組 織 文 化 維 持 の ツー ル と して 忘 れ て は な らな い(田 尾,1999)。. ス. トー リー と は創 業 者 や 中興 の 祖 と され る人 物 の 半 生 を 神 話 化 した もの を 指 す 。 例 え ばパ ナ ー133(133)一.

(6) 第58巻. 第1号. ソニ ック社 で は,ま さ に松 下 幸 之 助 氏 の 伝 記 や 語 録 が その ま ま経 営 理 念 伝 達 の 手 段 とな る の で あ る。 この よ う に式 典 の 開 催 や 伝 記 の 発 行 な ど は,組 織 文 化 を 維 持 す る うえ で 重 要 な 施 策 とな り得 る。 今 回 は,こ う した組 織 文 化 に対 す る意 識 や 取 組 の 姿 勢 が,従 業 員 成 果 に対 して どの よ う な 影 響 を有 して い るか につ いて,探 索 的 に探 って み た い。. 3)適. 合性. さ て,近. 年 のSHRM論. に お い て は,普. て い る 。 普 遍 的 な 観 点 と は,あ. るHRM施. お い て も普 遍 的 で あ る と い う,非 1996)。. こ れ は あ る 特 定 のHRM施. こ と を も含 意 し て お り,ベ. 遍 的 な 観 点 と 適 合 的 な 観 点 が 依 然 と して 併 存 し 策 と組 織 成 果 との 間 の 関 係 が どの よ うな 状 況 に. 常 に シ ン プ ル な 視 点 を 有 し て い る(Delery&Doty, 策 が 他 の 施 策 よ り も,か. な らず 良 い 成 果 を 導 く と い う. ス ト ・プ ラ ク テ ィ ス ・ア プ ロ ー チ と も 呼 ば れ て い る(岩. 出,. 2002)。 ハ イ コ ミ ッ トメ ン ト ・モ デ ル やHPWP(HighPerformanceWorkPractice)と 呼 ば れ るHRM施. 策 群 が 代 表 的 な ベ ス ト ・プ ラ ク テ ィ ス で あ る 。. 適 合 的 な 観 点 と は,HRM施. 策 を 含 め た様 々な 変 数 間 の 適 合 が 組 織 成 果 に影 響 を 及 ぼ す. とす る 捉 え 方 で あ る 。変 数 間 の適 合 に は垂 直 適 合(verticalfit)も fit)と,水. 平 適 合(horizontalfit)も. 垂 直 適 合 は,競. 争 戦 略 をHRM施. こ れ ま で,こ. し く は 内 的 整 合 性(internalfit)の 策 の 上 位 概 念 と して 措 定 し,HRM施. よ っ て 左 右 さ れ る と し た うえ で,そ 水 平 適 合 は,HRM施. 二 つ が あ る。 策が競争戦略 に. の 結 び つ き の 強 さ な ど に 企 業 業 績 が 依 存 す る と考 え る 。. 策 群 内 に お け る 個 々 の 施 策 間 の 適 合 を 強 調 す る ア プ ロ ー チ で あ る。 れ ら二 つ の 観 点 の ど ち ら に よ り妥 当 性 が あ る の か と い っ た こ と が 争 点 と. な っ て き た が,近. 年 で は,両. 葉 を 換 え れ ば,ベ. ス ト ・プ ラ ク テ ィ ス はSHRM活. SHRM活. し くは外 的 整 合 性(external. 者 は 必 ず し も 排 他 的 で は な い と の 認 識 に 収 敏 しつ つ あ る 。 言 動 の 基 礎 を 提 供 す る も の で あ り,ど. 動 に も 含 ま れ て い る こ と が 望 ま し い と 考 え られ て い る 。 しか し,そ. 果 を 求 め る の で あ れ ば,ベ. の. れ以上の成. ス ト ・プ ラ ク テ ィ ス 以 外 の 施 策 を 適 合 的 な 観 点 の も と に 導 入 す. る こ と が 必 要 と な る の で あ る(Lengnick-Hall,Lengnick-Hall,Andradeetal,2009)。 そ こ で 本 研 究 で は,両. 方 の 観 点 を 踏 ま え て 調 査 分 析 を 行 う 。 す な わ ち,従. して 最 も 好 ま し い 効 果 を 有 して い るHRM施. 策 が 存 在 す る の か,も. 人 材 マ ネ ジ メ ン トと の 間 の 適 合 性 が 影 響 力 を 有 す る の か,と 検 討 し た い 。 ま た 今 回 は,組. 織 行 動 に も 注 目 し,戦. て も検 討 を加 え る。 -134(134)一. 業 員 成 果 に対. し くは,戦. 略や文化 と. い った こ と につ いて 探 索 的 に. 略 や 文 化 と組 織 行 動 との 適 合 性 につ い.

(7) 従業員成果を導 き出す組織要因の特定化(松 山) さて,適 合 的 な 観 点 に よれ ば,戦 略,HRMお. よ び組 織 行 動 間 の 整 合 性 は組 織 の 成 果 に. 好 ま しい影 響 を及 ぼ す。 しか し,こ う した整 合 性 は誰 に よ って 認 知 され るべ きで あ ろ うか。 それ は,組 織 の 戦 略 お よ び施 策 を 立 案 し遂 行 す る主 体 者 に よ って で あ ろ う。 そ こ に一 貫 性 が な けれ ば,施 策 の 影 響 を 受 け る従 業 員 に も混 乱 が 生 じて しま う。 こ こで,社 会 心 理 学 に お け る認 知 的 バ ラ ン ス理 論 や 認 知 的 不 協 和 の 理 論 が 参 考 にな る。 認 知 的 バ ラ ンス理 論 と は,事 象 の 生 成 ・変 化 の 認 知 過 程 を,認 知 者 の 認 知 的 体 制 にお け る 動 的 均 衡 の 維 持 へ と向 か わ せ る力 を 仮 定 して 捉 え よ う とす る理 論 を 指 す 。 一 つ の ま と ま り を もつ 事 象 の それ ぞ れ,ま. た は各 側 面 につ いて 正(よ. り好 ま しい,な ど)ま た は負 の 一 貫. 性 の あ る認 知 が 成 り立 つ と き均 衡 状 態 に あ り,そ の 均 衡 が 崩 れ る と認 知 者 の 内部 に緊 張 が 生 じ均 衡 状 態 に復 す る よ う認 知 的 再 体 制 化 を 促 す 力 が 働 くと され る。 つ ま り,認 知 者 に と って 最 適 な 状 態 と は こ う した再 体 制 化 が 必 要 の な い状 態,す な わ ち 認 知 的 な 一 貫 性 が 維 持 され て い る状 態 と い う こ と にな る。 組 織 に と って 戦 略 と はそ の 全 体 的 方 向性 を指 し示 す 概 念 で あ る。 ま た,組 織 が 組 織 で あ る以 上,そ が な くて はな らな い。従 って,戦 略 とHRMお. こ に は一 つ の ま と ま り. よ び組 織 行 動 との 間 に整 合 性 が 認 知 で きな. けれ ば,組 織 の メ ンバ ー は緊 張 状 態 に陥 る こ と にな ろ う。 この 点 につ いて は ダ ブル バ イ ン ド概 念 を用 いてBowen&Ostroff(2004)も. 指 摘 して い る と こ ろで あ る。 そ こで 本 研 究. で は,人 事 管 理 主 体 者 に お け る 「組 織 概 念 間 の 整 合 性 に対 す る認 知 」 を 手 が か りに調 査 を 進 め る こ と に した。. 査. 3.調. 1)調. 査概要. 本 研 究 で は,調 査 対 象 企 業 と して,2010年5月. 現 在 に お いて 東 証 一 部 に上 場 して い る,. 研 究 開 発 に注 力 して い る製 造 業 企 業 を 取 り上 げ る。 会 社 四 季 報,有 価 証 券 報 告 書,IR情 報 な ど を も と に,過 去3年 間 にわ た る売 上 高 お よ び研 究 開 発 費 を 調 査 し,ま ず,3年. 間の. 合 計 売 上 高 に 占 め る合 計 研 究 開 発 費 の 比 率 を 算 出 し順 位 付 けを 行 った 。 次 に 同様 に,合 計 研 究 開 発 費 で も順 位 付 けを 行 っ た うえ で,前 者 の 順 位 と後 者 の 順 位 を 加 算 し,数 値 の 低 い もの か ら順 に並 べ,上 位500社 を抽 出 した。 ま た,今 回 は特 に組 織 文 化 とHRMの. 関係 に. 注 目 して い る た め,人 事 担 当者 に対 して 質 問 紙 調 査 を 行 う こ と に した 。 2010年11月 か ら12月 に か け て,前. 述 の手 続 き に よ って 抽 出 さ れ た500社 を 対 象 に質 問 紙. 調 査 を実 施 した。 人 事 担 当責 任 者 宛 に質 問 紙 を 直 接 郵 送 し,折 り返 し返 送 して も ら った 。 -135(135)一.

(8) 第58巻 有 効 回答 数 は30社(6%)で. あ っ た 。業 種 別 の 内 訳 は,医 薬 品1社(3.3%),化. 機 械10社(33.3%),電. 気 機 器2社(6.7%),輸. 石 油 ・石 炭 ・ゴ ム1社(3.3%),繊 品1社(3.3%)で. 以 上1社(3.3%)で. あ っ た 。 資 本 金(単. 社(23.3%),50億. 円 以 上100億. た 。 正 社 員 の 平 均 年 齢(単. 独 べ 一 ス)に. 年 数 に つ い て は,5年. (3.3%),30年. 独 ベ ー ス)に. つ い て は,10億. 未 満3社. 未 満13社(43.3%),. 円 以 上50億. 円 未 満7. 円 以 上16社(53.3%)で. つ い て は,30歳. あっ. 以 上35歳 未 満1社(3.3%),35歳 あ った 。 同様 に平 均 勤 続. 以 上15年 未 満7社(23.3%),15年. あ っ た 。 な お,有. 以 上30年. 未 満1社. 効 回 答 者 の 平 均 年 齢 は42.2歳(標. 準 偏 差:11.2)で. な も の だ け を 取 り上 げ る と,部. 以 上500人. の他製. 未 満4社(13.3%),10,000人. 以 上25年 未 満4社(13.3%),25年. 均 勤 続 年 数 は17.7年(標. 係 長 ク ラ ス3名(10.0%)な. 2)分. 以 上10,000人. 以 上10年 未 満1社(3.3%),10年. 以 上2社(6.7%)で. で い る た め,主. 以 上3,000人. 以 上45歳 未 満8社(26.7%)で. 未 満15社(50.0%),20年. 料 品1社(3.3%),. つ い て は,300人. 円 未 満7社(23.3%),100億. 以 上40歳 未 満21社(70.0%),40歳. 差:9.5),平. 独 べ 一 ス)に. 未 満5社(16.7%),5,000人. 学6社(20.0%),. 鉄 金 属1社(3.3%),そ. 以 上1,000人 未 満4社(13.3%),1,000人. 3,000人 以 上5,000人. 以 上20年. 送 用 機 器5社(16.7%),食. 維 製 品2社(6.7%),非. あ っ た 。 正 社 員 数(単. (10.0%),500人. 第1号. 準偏. あ っ た。 回 答 者 の 役 職 は多 岐 に及 ん. 長1名(3.3%),課. 長 ク ラ ス13名(43.3%),. どで あ っ た。. 析指標. (1)環 境 適 応 戦 略 従 業 員 成 果 に対 して 好 ま しい影 響 を 有 す る環 境 適 応 戦 略 を 特 定 化 す るた め に,Miles& Snow(1978)を. 参 考 に7つ の 質 問 項 目 を考 案 した。 ま た,研 究 開発 に対 す る考 え 方 を 問. う項 目 を1問 追 加 した。回 答 は5点=「. 非 常 にそ う思 う」 か ら1点=「. 全 くそ う思 わ な い」. まで の5点 尺 度 に よ って 点 数 化 され た。 これ らの 質 問 項 目 は いわ ゆ る環 境 適 応 戦 略 セ ッ ト を測 定 す る項 目群 で あ り,こ れ らは さ らにセ ッ トを 構 成 して い る個 別 の 戦 略 を 示 す 項 目群 に分 解 され る可 能 性 が あ る。 そ こで これ らの 項 目を 対 象 に主 因 子 法 に よ る因 子 分 析 を 行 っ た と こ ろ,2つ. の 因子 が 抽 出 され た(表2)。. が.40以上 の項 目を 取 り上 げ た と こ ろ,第1因. バ リマ ッ クス 回 転 後 の 因子 負 荷 量 の 絶 対 値 子 は4項. 1因 子 は質 問 項 目の 内容 か ら,Miles&Snow(1978)に 「探 索 型 戦 略」 と命 名 した。 残 る4項. 目,第2因. 目 とな った。 第. お け る探 索 型 適 応 戦 略 と判 断 し. 目は,Miles&Snow(1978)に. 略 を想 定 して 考 案 され た質 問 項 目で あ っ たが,4項. 子 は2項. お け る防 衛 型 適 応 戦. 目 中2項 目 は負 荷 量 が 小 さ く除 外 され. た。 そ こで 残 っ た2項 目を 見 た と こ ろ,防 衛 型 戦 略 を 表 して い る と も言 い きれ な いた め, -136(136)一.

(9) 従 業 員 成 果 を 導 き出 す 組 織 要 因 の 特 定 化(松 「ニ ッ チ 型 戦 略 」 と命 名 す る こ と に し た 。2因 表2個. 山). 子 に よ る 累 積 寄 与 率 は35.82%で. あ っ た。. 別 戦 略 を 明 らか にす る た め の 因 子 分 析 結 果. 質問項 目. 第1因 子. 自社 は新 しい 環 境 にい つ で も対 応 で き る体 制 を 整 え て い る. .77. 自社 で は絶 え ず 新 しい 市 場 機 会 を 探 索 して い る. .66. 自社 で は特 に研 究 開 発 に力 点 を 置 いて い る. .66. 自社 で は組 織 効 率 を 高 め る こ と よ り も,製 品 と市 場 の 革 新 に対 して 関 心 を も って い る. .50. 第2因 子. 團. 自社 が 対 象 と して い る市 場 領 域 は 比 較 的 狭 い 自社 は限 られ た 事 業 分 野 にお いて 高 い 専 門 性 を 有 して い る 因子の解釈. 探索型. ニ ッチ 型. 累積寄与率. 22.64%. 35.82%. 尾,1999)を. 参 考 に,8つ. の質問項. (2)組 織 文 化 組 織 文 化 に関 す る先 行 研 究(例 え ば加 護 野,1983;田 目か らな る尺 度 を 考 案 し回 答 を 求 め た。 回 答 は5点=「. 非 常 に そ う思 う」 か ら1点=「. 全. くそ う思 わ な い」 まで の5点 尺 度 に よ って 点 数 化 され た。 前 述 した 方 法 で,こ れ らの 項 目 に対 して 因子 分 析 を 施 した と こ ろ,2つ. の 因子 が 抽 出 され た(表3)。. 後 の 因 子 負 荷 量 の 絶 対 値 が.40以上 の項 目を取 り上 げ た と こ ろ,第1因. バ リマ ッ ク ス回 転 子 は4項. 目,第2因. 子 は3項 目 とな っ た。 第1因 子 の 内容 を み た と こ ろ,興 味 深 い結 果 とな った 。 自社 にお い て 組 織 文 化 が 重 視 され て い る こ とが 伺 え る よ うな 項 目の な か に,自 社 の 組 織 文 化 を 攻 撃 的 で あ る と捉 え る項 目が 含 まれ て い た。 そ こで,こ の 因 子 を 「攻 撃 的 文 化 」 と命 名 した 。 第 2因 子 は,組 織 文 化 を 維 持 す る た めの 手 段 に関 す る項 目で は あ るが,特. に人 事 部 門 が どの. 程 度 ま で そ の 役 割 を 担 って い る か を測 定 して い る と考 え,「 人 事 の 役 割 」 と命 名 して お い た。2因 子 に よ る累 積 寄 与 率 は45.59%で あ った。 表3組. 織文化に関する因子分析結果. 質問項 目. 第1因 子. 第2因 子. .85. 自社 で は経 営 理 念 を 重 視 して い る. .85. 自社 に は従 業 員 に よ って 大 切 に され て い る信 念 や 価 値 観 が あ る 一. 組 織 文 化 の 変 革 が 必 要 で あ る と感 じて い る. .47. .45. 自社 は防 衛 的 とい う よ り は ど ち らか とい う と攻 撃 的 で あ る 自社 で は創 業 者 の 自伝 や 半 生 記 と い った 物 語 を 大 切 に して い る. 。72. 自社 で は創 業 記 念 式 典 を 大 切 に して い る. .66. 自社 で は組 織 文 化 を 維 持 す るた め の 人 事 の 役 割 が 大 きい. .66. 因子の解釈 累積寄与率 一137(137)一. 攻撃的文化 25.23%. 人事の役割 45.59%.

(10) 第58巻 (3)人. 第1号. 材 マネ ジ メ ン ト. Miles&Snow(1978),Ulrich(1997)お. よ び,人. 事 実 務 家 へ の ヒ ア リン グ結 果 な どを. 参 考 に18の 質 問 項 目 か ら な る尺 度 を 考 案 し 回 答 を 求 め た 。 回 答 は5点 か ら1点=「. 全 く そ う思 わ な い 」 ま で の5点. 一 「非 常 に そ う思 う」. 尺 度 に よ っ て 点 数 化 さ れ た 。前 述 し た 方 法 で,. こ れ ら の 項 目 に 対 し て 因 子 分 析 を 施 し た と こ ろ,5つ. の 因 子 が 抽 出 さ れ た(表4)。. マ ッ ク ス 回 転 後 の 因 子 負 荷 量 の 絶 対 値 が.40以 上 の 項 目 を 取 り上 げ た と こ ろ,第1因 2因 子 は4項. 目,残. り の 因 子 は す べ て2項. 目 で あ っ た 。 ま ず 第1因. 評 価 賃 金 制 度 が 機 能 して い る と 自 負 して い る な ど,人. バ リ 子 と第. 子 に つ い て み た と こ ろ,. 事 の 影 響 力 が 強 い と い う認 識 を 測 定. して い る と 思 わ れ る こ と か ら,「 強 い 人 事 」 と命 名 し た 。 第2因. 子 に つ い て は,ス. ホ ル ダ ー と して 従 業 員 よ り も 株 主 が 重 視 さ れ て い る と と も に,人. 事 機 能 よ りも財 務 機 能 が. 表4人. テー ク. 材 マ ネ ジメ ン トに 関 す る 因 子 分 析 結 果. 質問項 目. 因子の解釈. 第1因 子. 第2因 子. 第3因 子. 第4因 子. 第5因 子. 強い人事. 財務重視. 粗 い人 事. ライン人事. トップダウン型. 累積寄 与率14.36%27.83%37.99%46.95%54.52%. 一138(138)一.

(11) 従業員成果を導 き出す組織要因の特定化(松 山) 重 視 さ れ て い る とい う認 識 が 測 定 さ れ て い る こ とか ら,「 財 務 重 視 」 と命 名 した 。 第3因 子 につ いて は,そ の 項 目 内容 か ら木 目細 か い人 材 管 理 が 現 時 点 で 十 分 で きて いな い と い う 認 識 を測 定 して い る と判 断 し,「 粗 い人 事 」 と命 名 した。 第4因 子 に つ い て は,本. 来の人. 事 機 能 は ラ イ ンに あ る と い う認 識 が 測 定 され て い る と判 断 し,「 ラ イ ン人 事 」 と命 名 した。 最 後 に第5因 子 につ いて は,人 事 機 能 が 本 社 に集 中 して い る と い う認 識 を 測 定 して い る こ とか ら,「 トップ ダ ウ ン型 人 事 」 と命 名 した。 従 来 の 日本 的 ボ トム ア ップ 型 で あ れ ば,人 事 機 能 は現 場 に あ る と考 え るで あ ろ うが,こ の 因 子 は逆 の 傾 向 を 有 して い る。 この 点 は, 企 業 特 殊 ス キル を 否 定 して い る も う一 つ の 質 問 項 目 と も整 合 的 で あ る よ う に思 わ れ る。5 因 子 に よ る累 積 寄 与 率 は54.52%で あ った。. (4)適 合 性 HRMと. 組 織 文 化 の適 合 性 を測 定 す る た め に,「 自社 の 人事 ポ リシー は 自社 の組 織 文 化 と. 適 合 的 で あ る」 と い う質 問 を 設 定 した。 次 にHRMと. 戦 略 の 適 合 性 を 測 定 す るた め に,. 「こ こ数 年 の 間 に導 入 され た 人 事 施 策 は 自社 の 戦 略 に適 合 的 で あ る」 と い う質 問 を設 定 し た。 また,組. 織 文 化 と従 業 員 の組 織 行 動 との 適 合 性 を 測 定 す る た め に,「 自社 の従 業 員 は. 自社 の 組 織 文 化 に適 合 的 な 行 動 を と って い る」 と い う質 問 を 設 定 した 。 さ ら に,戦 略 と従 業 員 の組 織 行 動 との 適 合 性 を測 定 す るた め に,「 自社 の従 業 員 は 自社 の戦 略 に適 合 的 な 行 動 を と って い る」 と い う質 問 を 設 定 した。 回 答 は5点=「. 非 常 に そ う思 う」 か ら1点=. 「全 くそ う思 わ な い」 ま で の5点 尺 度 に よ って点 数 化 され た。. (5)従 業 員 成 果 組 織 の 成 果 に と って 好 ま しい従 業 員 の 態 度 や 行 動 を 従 業 員 成 果 と して 測 定 す る 目的 で, 「従 業 員 の 働 く意 欲 は高 い」,「従 業 員 の 自社 に対 す る帰 属 意 識 は高 い」,「従 業 員 は 役 割 以 外 の 行 動 に も熱 心 で あ る」,「従 業 員 は組 織 に貢 献 して い る」,「従 業 員 は戦 略 実 現 に向 けて 努 力 して い る」 と い う5つ の 質 問 を 用 意 した。 これ らを 一 つ の 尺 度 と した 場 合 の 信 頼 性 係 数 α は.87で あ った。. (6)統 制 変 数 本 研 究 で は,こ れ まで 取 り上 げ て き た様 々な 変 数 の 純 粋 な影 響 力 を明 らか にす るた め に, い くつ か の 属 性 変 数 を 統 制 す る こ と に した。 具 体 的 に は,従 業 員 数,資 本 金,正 社 員 の 平 均 年 齢,同. じ く平 均 勤 続 年 数 で あ る。 これ らにつ いて は間 隔 尺 度 の 数 値 を 用 いた 。 -139(139)一.

(12) 第58巻. 4.分. 表5主 ・・. 平均 雛1. 業 員数420.   . 2資. 本 金430. 3年. 齢323. 4勤. 続 年 数410. 5探. 索 型381. 6ニ. ッ チ型343. 7攻. 撃 的文 化339. 8人. 事 の役 割313. 9強. い人 事318. ll 11 :1 11. 10財. 務 重 視316. 11粗. い人 事292. 12ラ. イ ン人 事343. 13ト. ッ プ ダ ウ ン型328. ll-;:. 14従. 業 員 成 果376. 8457**. N=30,従. 業 員 数(300人. 勤 続 年 数(5年. 結. 果. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 910111213. 57**.   ア. 13 28. lIl. 17 30 21. l:. 09 ヨ . 未 満=1∼10,000人. 22 02. ll. 11.  . 05. 04. 25. 39*. 20. 20. 21. 15.   . 01. 56**. 31 09-. 16. ll-1 以 上=7),資. 09. 08. ;1擁l. llI覆. 未 満=1∼30年. 析. 要 変 数 の 平 均 値,標 準 偏 差 お よ び 相 関 係 数 2. 1従. 第1号. 26 本 金(1億. ユ . 蛤* 1に. 10. 35. 19. ill. 41*. 13.39*. 13. 02. 鋸 一06. 48**一. 15. 円 未 満=1∼100億.  . 25. 07,07.03. ll. 76** 円以 上=5),年. 齢(25歳. 10.03-.15-.05 44*一.35-.42*.20-.02. 以 上30歳 未 満=1∼50歳. 以 上=6). 以 上=7),**;p〈.01*;p<.05. 表5に 今 回 の 調 査 で 用 い た主 要 な 変 数 の 記 述 統 計 量 お よ び変 数 間 の 相 関 係 数 を 示 して い る。 まず,探 索 型 戦 略 と攻 撃 的 文 化,強. い人 事,従 業 員 成 果 それ ぞ れ との 間 に比 較 的 強 い. 正 の 相 関 が 認 め られ た。 次 にニ ッチ型 戦 略 と強 い人 事 の 間 に も比 較 的 強 い正 の 相 関 が 認 め られ た。 ま た攻 撃 的 文 化 と粗 い人 事 との 間 に は比 較 的 強 い負 の 相 関 が 認 め られ た もの の, 従 業 員 成 果 との 間 に は,か な り強 い正 の 相 関 が 認 め られ た。 さ らに強 い人 事 と従 業 員 成 果 との 間 に も比 較 的 強 い正 の 相 関 が み られ た。 財 務 重 視 の 態 度 は粗 い人 事 との 間 に正 の 相 関 が み られ た。最 後 に,粗 い人 事 と従 業 員 成 果 と の 間 に は比 較 的 強 い負 の 相 関 が認 め られ た。. 表6従. 業員成果を従属変数 とした重回帰分析の結果 β 従業員数 資本金. .20 .09. 年齢 勤続年数. -. 探索型 ニ ッチ 型. 一. .02 .35** .13 .05. 攻撃的文化 人事の役割. .77** 一. 強い人事 財務重視. .05 .07 .02. 粗い人事 ライ ン人 事 トッ プ ダ ウ ン型. -. .09 .26* .07. R N. .89** 30. **;p<. .01*;p<.05. -140(140)一.

(13) 従業員成果を導 き出す組織要因の特定化(松 山) 次 に従 業 員 成 果 に対 して 正 の 影 響 力 を 有 す る環 境 適 応 戦 略,組 織 文 化,そ. して 人 材 マ ネ. ジ メ ン トを特 定 化 す る た め に,従 業 員 成 果 を 従 属 変 数 とす る重 回 帰 分 析 を 行 った(表6)。 決 定 係 数 は.89で あ った。 ま た,F値. に よ る検 定 を行 った と こ ろ,1%水. た。 な お,統 制 変 数 と して 従 業 員 数,資 本 金,正 社 員 の 平 均 年 齢,同. 準 で有 意 で あ っ じ く平 均 勤 続 年 数 を. 投 入 して い る。 分 析 の 結 果,環 境 適 応 戦 略 につ いて は,ど ち らの 変 数 も正 の 影 響 力 を 有 し て いな か っ た。 組 織 文 化 につ いて は攻 撃 的 文 化 が,人 材 マネ ジ メ ン トにつ いて は ラ イ ン人 事 が それ ぞれ 統 計 的 に有 意 な 正 の 影 響 力 を 有 して い た。. 表7従. 業員成果を従属変数 と した階層的重回帰分析の結果 モ デ ル1. モ デ ル2. β. β. 従業員数. .16. .12. 資本金 年齢. .18*. .30***. .00. .00. 勤続年数 攻撃的文化 ライ ン重 視. ,28***. .24***. .72***. .53***. .22**. .19**. 人 事 と文 化. 一. 人 事 と戦 略 文 化 と行 動. 一 -. 戦 略 と行 動 R2. .07 .06 .41***. .86***. .92***. ∠R2. .07**. N ***;p<. .18*. 30. 30. .01**;p<.05*;p〈.10. さ らに,人 材 マネ ジ メ ン トと組 織 文 化 お よ び人 材 マネ ジ メ ン トと戦 略,ま た,組 織 文 化 と従 業 員 の 組 織 行 動 お よ び戦 略 と従 業 員 の 組 織 行 動 それ ぞ れ の 適 合 性 が 従 業 員 成 果 に及 ぼ す 影 響 を明 らか にす る た め に,表7の. よ うな 階 層 的 重 回 帰 分 析 を 行 った 。 モ デ ル1で. 統 制 変 数 で あ る従 業 員 数,資 本 金,正 社 員 の 平 均 年 齢,同 らに攻 撃 的 文 化 と ラ イ ン重 視 を 投 入 した。 モデ ル2で. は,. じ く平 均 勤 続 年 数 を 投 入 し,さ. は,モ デ ル1に 加 え て 人 事. 文化適. 合 度,人 事 一 戦 略 適 合 度,文 化 一 行 動 適 合 度 そ して 戦 略 一 行 動 適 合 度 を 追 加 投 入 して 分 析 を行 っ た。 モ デル1の 決 定 係 数 は.86,モ. デ ル2の 決 定 係 数 は.92で あ った 。 また,F値. よ る検 定 を行 っ た と こ ろ,そ れ ぞ れ1%水. 準 で 有 意 で あ っ た。 分 析 の 結 果 モ デ ル1で. に は,. 資 本 金,勤 続 年 数,攻 撃 的 文 化 そ して ラ イ ン重 視 それ ぞ れ の 変 数 にお け る正 の 影 響 力 が 認 め られ た。 モ デル2で. は,資 本 金,勤 続 年 数,攻 撃 的 文 化,ラ. イ ン重 視 そ して 追 加 投 入 し. た戦 略 一 行 動 適 合 度 それ ぞ れ の 変 数 に お いて 正 の 影 響 力 が,人 事 一 文 化 適 合 度 にお いて は 一141(141)一.

(14) 第58巻. 第1号. 負 の 影 響 力 が 確 認 され た。. 察. 5.考. 1)好. ま しい従 業 員 成 果 を 導 く組 織 変 数. これ まで 本 研 究 で は,組 織 に お け る好 ま しい従 業 員 成 果 を 導 き 出す 組 織 変 数 を 明 らか に す る た め に,SHRM論. の 枠 組 み を 用 いて 分 析 を 行 って き た。 変 数 を 特 定 化 す る作 業 を 通. じて,興 味 深 い結 果 が い くつ か 見 受 け られ た。 まず,戦 略 に関 す る変 数 を 抽 出す るた め に Miles&Snowに. よ る定 義 を 参 考 に質 問 項 目を 考 案 し,因 子 分 析 にか けて み た 。 探 索 型 戦. 略 タ イ プ につ い て は,因. 子 分 析 の結 果,彼. ら の定 義 どお りに 抽 出 さ れ た こ とが 明 らか に. な っ たが,防 衛 型 につ いて は不 完 全 な 結 果 とな っ た。 次 に組 織 文 化 につ いて は,と て も興 味 深 い結 果 が 得 られ た。 攻 撃 的 文 化 が 抽 出 され た こ と で あ る。 この 因 子 は 従 業 員 成 果 に 対 して極 め て 強 い 正 の 影 響 力 を 有 して い る こ とか ら (表6),今. 回 抽 出 され た様 々な 変 数 の な か で も最 も重 要 な 変 数 で あ る こ とが 考 え られ る。. この 因 子 の 内容 を 吟 味 す る と,ま ず 言 え る こ と は,こ の 因 子 得 点 が 高 い組 織 ほ ど,組 織 が 有 して い る文 化 を 明確 に認 識 して お り,か つ 変 革 す る必 要 が な い と考 え て い る こ とで あ る。 そ して さ ら には,こ れ らの組 織 は攻 撃 的 な 文化 を有 して い る こ とが うか が え る。果 た して, 攻 撃 的 文 化 と は具 体 的 に どの よ うな 文 化 な の で あ ろ うか 。 相 関 分 析 の 結 果 を 見 る と,粗 い 人 事 との 間 に比 較 的 強 い負 の 相 関 関 係 を 有 して い る こ とが わ か る。 す な わ ち,攻 撃 的 文 化 を強 く有 す る組織 ほ ど,き め細 か な 人 事 管理 を実 践 して い る とい う こ とに な る。そ もそ も, 経 営 理 念 や 共 有 され た価 値 観 を 重 視 して い る組 織 が 従 業 員 を な いが しろ に して い る と は考 え に くい。 しか し,攻 撃 的 文 化 と い う言 葉 の ニ ュ ア ン スか ら,ど う して も,そ の 両 者 間 の 親 和 性 に は違 和 感 を 抱 いて しま う。 この 点 につ いて は今 後 の 課 題 と して お きた い。 次 に人 材 マ ネ ジ メ ン トにつ いて で あ る。 今 回 はMiles&Snow(1984)を. 参 考 に考 案 し. た質 問 項 目以 外 に,人 事 部 の 影 響 力 を 問 う項 目や ス テー ク ホル ダー に対 す る意 識 な ど も 同 時 に問 う こ と に した。 そ う い っ た趣 の 異 な る質 問 項 目が 混 在 したた めか,Miles&Snow (1984)で 整 理 され た よ う な整 合 性 は 見 られ な か った。 興 味 深 か った の は,強. い人 事 と財. 務 重 視 で あ ろ う。 強 い人 事 は4つ の 質 問 項 目 に よ って 構 成 され て い る。 これ らの 項 目を 見 る と,強 い人 事 と は,行 き届 い た訓 練 が 従 業 員 に対 して 施 され,評 価 賃 金 制 度 が 従 業 員 を 動 機 付 け る ツ ール と して 機 能 し,人 事 部 門 が 職 場 の 生 産 性 向 上 に寄 与 して い る と い う 自信 か ら成 り立 って い る とい う こ とが 理 解 で き る。 ま た,組 ー142(142)一. 織 に よ る財 務 重 視 の姿 勢 は,ス.

(15) 従業員成果を導 き出す組織要因の特定化(松 山) テ ー ク ホル ダ ー と して 従 業 員 よ りも株 主 を 重 視 して お り,人 事 部 門 はUlrich(1997)の. 言. う,従 業 員 チ ャ ン ピオ ンで はな く経 営 者 の 補 佐 で あ る と い う認 識 との 間 に親 和 性 を 有 して い る。 興 味 深 いの は,こ う した株 主 お よ び財 務 重 視 の 姿 勢 は,成 果 主 義 との 間 に高 い親 和 性 を有 す る と い う点 で あ ろ う。 相 関 分 析 の 結 果 を み る と,強 い人 事 は粗 い人 事 との 間 に比 較 的 強 い負 の 相 関 関 係 を 有 して い る こ とが わ か る。 や は り強 い人 事 と は き め細 か い人 事 な の で あ る。 当然 で は あ るが,強. い人 事 は従 業 員 成 果 との 間 に比 較 的 強 い正 の 相 関 関 係 を 有. して い る。 最 後 に財 務 重 視 の 姿 勢 が 粗 い人 事 との 間 に比 較 的 強 い正 の 相 関 を 有 して い る こ とか ら,財 務 重 視 の 姿 勢 は人 事 軽 視 を 意 味 す る こ とが 伺 え る。 財 務 と人 事 を バ ラ ン ス させ る こ と は不 可 能 な の で あ ろ うか 。 重 回 帰 分 析 の 結 果 を み る と,従 業 員 成 果 に対 して 正 の 影 響 を 有 して い る変 数 と して,ラ イ ン人 事 が あ る。 攻 撃 的 文 化 ほ ど大 き くはな いが,人 材 マネ ジ メ ン ト関 連 の 因 子 と して 唯 一 正 の 影 響 力 を有 して い た。 強 い人 事 や き め細 か い人 事 も大 切 で は あ ろ うが,そ れ よ りも 人 事 部 門 が 出過 ぎ る こ とな く黒 子 に徹 し,あ くまで も現 場 の 管 理 者 に人 事 管 理 を 委 ね る姿 勢 が 好 ま しい従 業 員 成 果 に結 びつ いて い る こ とが 伺 え る。. 2)適. 合性. 本 研 究 で は,SHRM論. に お け る フ ィ ッ ト ・パ ー スペ ク テ ィ ブ に基 づ いて,人 材 マ ネ ジ. メ ン トと文 化 お よ び戦 略,さ. らに は組 織 行 動 と文 化 お よ び戦 略 それ ぞ れ の 適 合 性 が 好 ま し. い従 業 員 成 果 を導 き 出す か 否 か につ いて 分 析 を 試 み た。 表7か. らわ か る よ う に,戦 略 と組. 織 行 動 と の適 合 性 が 比 較 的 強 い正 の影 響 力 を有 して い た(モ デル2)。. 今 回,戦. 略 につ い. て は影 響 力 を有 す る因 子 を 明 らか にす る こ とが で きな か っ たが,こ の 結 果 を 見 る と,組 織 が 戦 略 を実 行 す るだ けで は好 ま しい成 果 が 得 られ る と い うわ けで はな い こ とが わ か る。 や は り実 行 され る戦 略 と従 業 員 の 組 織 行 動 が 適 合 的 で あ る こ とが 重 要 な の で あ る。 この 点 に つ いて は,松 山(2010)の. 結 果 と符 合 す る。 ま た,10%水. 準 で は あ るが,人 事 一 文 化 適 合. の 効 果 が 負 で あ っ た。 これ は どの よ う に解 釈 され るべ きで あ ろ うか 。 人 事. 戦略適合が効. 果 を有 して いな か っ た こ と,お よ び ラ イ ン人 事 が 正 の 効 果 を 有 して いた こ とを 併 せ て 考 え る と,HRM施. 策 や 人 事 部 門 が 突 出 して い る状 況 は望 ま し くな い と い う こ とを 表 して い る. の で は な か ろ うか。 あ くまで も重 要 な の は戦 略 と従 業 員 の 行 動 とが 適 合 的 で あ る こ とで あ って,人 材 マネ ジ メ ン トが 意 識 化 され て い る状 況 は あ ま り好 ま し くな い と い う こ とな の で あ る。 比 較 的 認 識 され や す い戦 略 との 適 合 性 で さえ も,効 果 を 有 して いな か った わ けで あ るか ら,文 化 とHRM間. の適 合 性 が認 知 され て い る状 況 は そ れ だ けHRMが 一143(143)一. 表面化 し.

(16) 第58巻. 第1号. て い る こ と を 示 して お り好 ま し くな い と い う こ と な の で あ ろ う 。 や は り人 事 は 黒 子 で あ る べ き だ と認 識 され て い るの で あ る。. 3)ま. とめ と課 題. これ までSHRM論. の 枠 組 み に沿 って,好. ま しい組 織 成 果 を 導 き 出す 組 織 変 数 につ いて. 考 え て き た。 有 効 な 戦 略 は抽 出で きな か っ た もの の,有 効 な 組 織 文 化 お よ び有 効 な 人 材 マ ネ ジ メ ン トは抽 出 され た。 さ らに,戦 略 と組 織 行 動 の 適 合 性 が 好 ま しい成 果 を 導 き 出す こ と も明 らか にな っ た。 これ らの 結 果 は,ベ ス ト ・プ ラ ク テ ィ ス論 とベ ス ト ・フ ィ ッ ト論 の 双 方 を支 持 す る もの と いえ る。Lengnick-Halletal.(2009)も. 言 う よ う に,攻 撃 的 文 化. や 現 場 重 視 の 人 材 マネ ジ メ ン トは組 織 に と って 極 めて フ ァ ン ダ メ ン タル な 組 織 要 素 な の か も しれ な い 。 そ う い う意 味 に お い て,戦. 略 と組 織 行 動 の 適 合 性 は追 加 的 な 要 素 で あ る と. 言 って い いの で あ ろ う。 その 時 々の 戦 略 実 行 を 成 功 させ,成 果 を 上 げ る こ と に よ って 組 織 有 効 性 を高 め た いの で あれ ば,よ. り適 合 的 な 観 点 が 必 要 にな るの で あ る。. ま た本 研 究 で は,組 織 変 数 の な か で も特 に戦 略 と文 化 に注 目 し,我 が 国 産 業 社 会 にお け る近 年 の 傾 向か ら,人 事 部 門 が 父 権 化 して お り,戦 略 に対 す る意 識 の 強 さが,文 化 に対 す る意 識 を希 薄 に して い るの で はな いか と考 え た。 調 査 分 析 の 結 果,戦 略 と組 織 行 動 の 適 合 性 が 重 要 で あ る こ とが 明 らか にな っ た一 方 で,同 時 に,文 化 の 重 要 性 も明 らか とな った 。 さ らに は,そ れ らに 対 す るHRMの. 関 与 は顕 現 的 で な い ほ ど好 ま しい こ と も明 らか とな っ. た こ とか ら,当 初 の 想 定 は必 ず しも適 切 で はな か っ た と いえ る。 た だ,こ の 点 につ いて は さ らな る研 究 が 必 要 で あ ろ う。 最 後 に本 研 究 の 課 題 につ いて 述 べ て お く。 まず 何 よ りも回 収 率 の 低 さを あ げな くて はな らな い。 今 回,人 事 責 任 者 に対 して 回 答 を 求 め る た め に,す べ て の 質 問 紙 を そ れ ぞ れ の 企 業 の 本 社 宛 に郵 送 した。 昨 今 は,こ う した ア ン ケー トが 様 々な 機 関 か ら届 け られ るた め, 各 企 業 の 本 社 は こ う した質 問 紙 の 山 とな って い る よ うで あ る。 人 事 責 任 者 の 手 元 に届 くま で に もか な りの 時 間 が 必 要 な の で あ ろ う。 有 効 回 答 数30と い う数 字 は あ ま りに低 す ぎ る。 しか し,予 算 の 都 合 上,配 布 す る数 に も限 りが あ る た め,な ん とか して 回 収 率 を 上 げ る し か な い。 どの 研 究 者 も 同 じ悩 み を 抱 え て い る と思 う。 悩 み を 同 じ くす る者 で 打 開 策 を 考 え る必 要 が あ る だ ろ う。 今 回 の 研 究 で は,ベ ス ト ・プ ラ ク テ ィ ス とベ ス ト ・フ ィ ッ ト双 方 を 支 持 す る結 果 とな っ た。 ベ ス ト ・プ ラ ク テ ィ スが 組 織 の 基 礎 的 か つ 普 遍 的 要 素 を 提 供 して い る と い う見 解 に は 魅 力 が あ る もの の,ま だ 理 論 的 説 明 が 不 足 して い る よ う に も思 わ れ る。 今 後 はベ ス ト ・プ ー144(144)一.

(17) 従業員成果を導 き出す組織要因の特定化(松 山) ラ ク テ ィ ス と ベ ス ト ・フ ィ ッ トの 関 係 性 な ど,さ. らな る 研 究 が 望 ま れ る 。 ま た,今. 回明 ら. か にな っ た攻 撃 的 文 化 は,質 問 項 目の 内容 か らみ て もわ か る よ う に極 めて 脆 弱 な 概 念 で あ る。 この 意 味 す る と こ ろが 何 な の か 。 詳 細 な 説 明 を 試 み る必 要 あ るだ ろ う。. 参. 考. 文. 献. Akingbola,K,,(2006)"StrategyandHRMinnonprofitorganizations:evidencefromCanada," 1η'8rアτ α"oη01/o配rア. τ α」ρプ↑H配〃1αη 、Rθ50z4rcθ ル1αηα9θητθア τ',17(10),1707-1725.. BowenDE&OstroffC(2004)"UnderstandingHRM-FIRMperformancelinkages:Therole ofthe`strength'oftheHRMsystem,"Acα4ε BrattonJ&GoldJ(2003)H配 (上 林 憲 雄. 〃3yσM侃 配 朋R830麗rc8Mα. ・原 口 恭 彦. ・三 崎 秀 央. αgε〃3翻. ηαgα ηθ砿'舵oryα. ・ 森 田 雅 也 訳(2009)『. ノo麗rη01,29(2):203-221.. η吻rαc'∫cθ,PalgraveMacmillan.. 人 的 資 源 管 理:理. 論 と 実 践 』 文 眞 堂 。). DeleryJE&DotyDH(1996)"Modesoftheorizinginstrategichumanresourcemanagement: testsofuniversalistic,contingency,andconfigurationalperformancepredictions,"Acα4. 6〃り2(ゾ ルノαηα86〃36η'ノo麗rη α1,39(4):802-835. 石 井 淳 蔵 岩 出. ・奥 村 昭 博. 博(2002)『. 加 護 野 忠 男(1983)「 河 野 豊 弘(1985)『. ・加 護 野 忠 男. ・ 野 中 郁 次 郎(1985)『. 戦 略 的 人 的 資 源 管 理 論 の 実 相:ア. 経 営 戦 略 論 」 有 斐 閣 。 メ リ カSHRM論. 研 究 ノ ー. ト」 泉 文 堂 。. 経 営 戦 略 と 組 織 文 化 」 『ビ ジ ネ ス レ ビ ュ ー 』31(1),50-61。 現 代 の 経 営 戦 略:企. 業 文 化 と 戦 略 の 適 合 」 ダ イ ヤ モ ン ド社 。. Lengnick-HallML,Lengnick-HallCA,AndradeLS&DrakeB(2009)"Strategichumanresource management:theevolutionofthefield,"H配. 配 αηR650麗. κ6ル1α ηαg6膨. η'R副. 蹴19:64-85.. 松 山 一 紀(2005)『. 経 営 戦 略 と 人 的 資 源 管 理 」 白 桃 書 房 。. 松 山 一 紀(2008)「. 自 己 選 択 型 の 人 事 施 策 が 組 織 コ ミ ッ ト メ ン ト に 及 ぼ す 影 響 」 『組 織 科 学 」 第42巻. 第. 2号,61-74。 松 山 一 紀(2010)「. 医 薬 品 産 業 に お け る 研 究 開 発 に 適 合 的 な 組 織 行 動 とHRM」. 『医 療 と 社 会 』 第20巻. 第3号,223-237。 Miles,R.E.&Snow,C.C.,(1978)Orgα Inc.(土. 屋 守 章. 蔵. ・内 野 崇. α'loηα15'離68第5伽c鰍6,α. ・ 中 野 工,訳(1983)『. 戦 略 型 経 営:戦. η4Proc6∬,McGraw-Hill, 略 選 択 の 実 践 シ ナ リオ 」 ダ イ ヤ モ. ン ド 社 。) Miles,R.E.&Snow,C.C.,(1984)Designingstrategichumanresourcessystems,0㎎. αη如. 加 ηα1. Dyη α〃診'c3,Summer84,13(1),36-52. PorterME(1980)Co即6''"y68'rα'68y,TheFreePress.(土. 岐 坤. 『競 争 の 戦 略 」 ダ イ ヤ モ ン ド 社 。) 田 尾 雅 夫(1998)『. 会 社 人 間 は ど こ へ い. 田 尾 雅 夫(1999)『. 組 織 の 心 理 学. Ulrich,D.(1997)H配. 配 αηR650那. く』 中 公 新 書 。. 〔新 版 〕』 有 斐 閣 。 κ6C肋. 配μoη5,HarvardBusinessSchoolPress.. WrightPM&McMahanGC(1992)"TheoreticalPerspectivesforStrategicHumanResource Management,"Jo配rη. α」げMα. ηα86〃3傭,18(2):295-320。. 一145(145)一. ・中 辻 萬 治. ・服 部 照 夫 訳(1982).

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