このように、スポーツフェスティバルという形 で児童の運動への取り組みの機会を設定すること によって、スポーツの魅力を感じ、より運動に対 しての意欲を高めるとともに【目標 2】、市内小 学校において、体育や運動に関する学校の行事・ 取り組みを促進させ、児童が記録の向上を目指し て練習することによって体力や能力の向上を図ろ うとしている【目標 1】。 具体的なプログラムとしては、①全員参加の長 縄 8 の字跳び、②学校対抗の 4 × 100m リレー、 ③立命館大学所属の団体を中心とした多様なス ポーツの参観や体験(チア・リーディング、サッ カー、アルティメット、陸上競技、ダブルダッチ など)、の 3 つが軸として設定されている。 なかでも、①長縄 8 の字跳び、②学校対抗リレー については、小学校によっては全校の体育的活動 の取り組みのなかに位置付けられていたり、朝や 休み時間を利用して、継続的に練習を行っていた りするところもある。また、②の学校対抗リレー は各学校の選抜メンバーが出場するが、①の長縄 Ⅰ はじめに 近年、児童生徒の運動能力の低下に加え、運動 に対する意欲そのものの低下が問題となってい る。中央教育審議会答申(2008)では,「運動す る子どもとそうでない子どもの二極化」が生じて いるという現状や、「運動への関心や自ら運動す る意欲, 各種の運動の楽しさや喜び, その基礎と なる運動の技能や知識など、生涯にわたって運動 に親しむ資質や能力の育成が十分に図られていな い例も見られること」等が、体育科・ 保健体育科 における課題として挙げられている。こうした現 状を改善するため、2008(平成 20)年改訂小学 校学習指導要領(第 2 章各教科、第 9 節体育)に おいては、「生涯にわたって運動に親しむ資質や 能力の基礎を育てる」ことが目標として重視され、 学校現場での実践の方向性を形作っている。 しかしながら、生涯にわたって運動に親しむ資 質や能力の基礎を育てるためには、身体的能力を 高めることはもちろんのこと、児童生徒の情緒面・ 心理面において内発的動機づけを高め、かつ運動 に対して「自分はできるんだ」と感じる「有能感」 を育てていく必要がある。 このような背景において、滋賀県草津市教育委 員会では、2011 年度より特色ある取り組みが行わ れている。それは、市内全 13 校の小学 6 年生全 員を対象としたスポーツ大会「ジュニア・スポー ツ・フェスティバル KUSATSU」(以下、JSF と 略す)の開催である。JSF は、草津市小学校体育 連盟の主管で、10 月中旬の 1 日で行われ、2011 年、 2012 年、2013 年と毎年約 1200 名の児童が参加した。 目標としては次の 2 点が掲げられている(資料 1)。
草津市におけるスポーツフェスティバルが
児童の運動有能感にもたらす効果の検討
The Effects of the Junior Sport Festival in Kusatsu City
on Physical Competence of Elementary Students
赤沢 真世・小沢 道紀・大友 智
AKAZAWA Masayo・OZAWA Michinori・OTOMO Satoshi【目標 1】 市内小学校児童が日頃の練習の成果を発 揮して記録の向上を目指し、他校の児童 と競い合う経験を通して、体力の向上お よび運動に親しむ資質や能力の育成を図 る。 【目標 2】 市内小学校児童が、鍛え上げられた技と 力の素晴らしさや、スポーツの魅力に触 れる中で、様々なスポーツに関心を持ち、 進んで運動しようとする態度を育てる。 (「平成 23 年度ジュニア・スポーツ・フェスティ バル KUSATSU(JSF)実施概要」) 資料1 JSF の 2 つの目標
発的に動機づける方法を検討することは困難であ る」1)という観点から作成されたものであり、 単元前後における児童の有能感向上の効果などの 測定において、広く活用されている調査票である。 ここで岡沢らが定義した「運動有能感」とは,「運 動技術に対する自信」である「身体的有能さの認 知」だけではなく、「努力すればできるようになる」 という自信である「統制感」、「まわりから受け入 れられている」という自信である「受容感」の 3 因子からなっているのが特徴的である。身体的有 能さのみならず、運動に対する自信を総合的に捉 えた「運動有能感」を児童の内に高めることで、 児童の運動に対する内発的動機づけを高めること ができる。実際、自らの運動能力や運動技能が低 い児童でも、体育授業を通して「統制感」「受容感」 が高められることで、運動に対して内発的に動機 づけられること(岡沢・三上、1998)2)や、児 童自身の運動有能感が体育の授業への積極性に大 きな影響を与えていること(橋本・川越・谷山、 2012)3)が示されている。運動する児童とそう でない児童の二極化が指摘される現在、現段階で は運動能力や技能が高くない児童においても運動 に対する自信や意欲を育てるためには、こうした 「統制感」「受容感」をも重視した総合的な「運動 有能感」を育てていくことが必要である。 そこで本研究では、この調査を JSF 前後で実 施・比較することによって、運動に対する児童の 自信の向上に変化があるのか、どのような因子・ 項目で変化が生じたのかを検討する。それにより、 JSFが児童の運動に対する意欲を高める影響力 を持っていたのかを分析することが可能であると 考える。 なお、ここで注目すべき点が一点ある。それは、 この「運動有能感調査」にもとづいた研究では、 その前後比較を見る場合、比較的時間をかけた 1 単元4)での前後比較が行われている。しかしな がら、JSF というたった一日のイベントの前後 における、極めて短時間の比較調査を行った研究 は管見の限り見当たらない。したがって本研究で は、JSF の一日のイベントの前後において変化 が生じるのかどうかという点がまず重要である。 8 の字跳びについては、草津市の各小学校各クラ スの全員が参加し、学級ごとにその回数を競う形 となるため、児童全員が関わるプログラムである。 さらに、JSF が開催され始めた 2011 年度より、 立命館大学スポーツ健康科学部の科目「サービス ラーニング」の受講生が、学びの一環として草津 市の各小学校に出向き、朝練習や体育の時間で長 縄 8 の字跳びの活動の指導・支援を行う取り組み も行われている(「長縄オリエンテーション」と 称している)。したがって、この①長縄 8 の字跳 びは、JSF にとって極めて重要な位置づけである。 なお、上記のような大学生との直接的なかかわ りは、この JSF のもう一つの重要な側面である といえる。長縄オリエンテーションで各小学校を 訪れ指導にあたるだけではなく、学生は JSF 当 日においても重要な役割を果たしている。それは、 各小学校の担当として各ブースを回る役割、各 ブースでそれぞれの種目について説明し、児童た ちを参加、体験させる役割、そして優れたスポー ツパフォーマンスを見せるという役割がある。 そこで、本研究では、こうした複層的な取り組 みの集大成としての体育的イベント「ジュニア・ スポーツ・フェスティバル(JSF)」に着目し、 このイベントが、児童の運動に対する意欲や資質 を高める効果をもたらしているのかどうかを明ら かにすることを目的とする。その際には、体育科 教育で活用されている「運動有能感調査」を用い て、児童の運動に対する「有能感」が JSF に参 加することによって変化しているのかどうかを軸 として分析する。そして、こうした体育的イベン トが児童の運動に対する意欲や資質を高めるため のさらなる工夫について示唆を得たいと考える。 なお、本稿は 2012 年度の JSF の取り組みに焦 点 を あ て る も の で あ り、 用 い た デ ー タ も 全 て 2012 年度のものである。 Ⅱ 調査内容 1 運動有能感について−本調査における「運動 有能感調査」の位置づけ− 今回調査に用いた「運動有能感調査」(岡沢ら、 1996)は、「身体的有能感のみを運動有能感と捉 えた場合、運動能力や技能の低い児童を運動に内
事後すぐ、調査項目は表 2 に示されている)5)。 この調査分析は紙面の都合上別稿に譲るが、本稿 の分析においては、この調査項目のうち、長縄 8 の字跳びの満足度を合わせて検討している。 Ⅲ 草津市全体の特徴と変化について 草津市全体(一校を除く)の JSF 実施前後に おける運動有能感比較の結果は表 3 のとおりで ある。また右側に示したものは、岡沢ら(1996) によって示された、発達段階別に見た運動有能 感の因子別得点のうち、小学生と中学生のもの である。岡沢らによれば、小学生から大学生に おいて、発達段階が上がるにつれて有能感は低 下する傾向があり、統計学的には小学生が他の 発達段階よりも有意に高い数値を示していると いう。とりわけ身体的有能さの認知については、 2 調査概要 (1)調査対象 草津市内の小学校全 13 校 6 年生。 (なお、前後比較については、1 校が前期に実 施しなかったため除き、前後のどちらかに回答し ていない欠席者を除いた。N=1027。) (2)調査時期 JSF前の 2012 年 10 月初旬に第一回目の調査を、 JSF当日(10 月 19 日)あるいは直後に第二回目 の調査を行い、計 2 回の調査を行った。 (3)調査方法 岡沢ら(1996)によって作成された 3 因子各 4 項目からなる「運動有能感測定尺度」(表 1)に したがい、各項目について 5 段階(5:よくあて はまる、4:ややあてはまる、3:どちらともいえ ない、2:あまりあてはまらない、1:まったくあ てはまらない)の尺度を設けた。(各因子を 20 点 満点とし、合計 60 点満点で集計し、分析。) なお、この結果については、2013 年 4 月上旬に、 各小学校の体育担当教員(研究主任等)に向けて 返却、説明を行った。その後、各学校の担当教員 より、調査結果について各小学校の取り組みや児 童の様子などの点で関連すると思われることを記 述式にて回答してもらい、フィードバックを得た。 合わせて、JSF についての好意度(満足度)調 査も行った(調査時期:2012 年 JSF 当日および 身体的 有能さ の認知 1 運動能力がすぐれていると思います。 2 たいていの運動はじょうずにできます。 8 運動のじょうずな見本として、よく選ばれます。 10 運動について自信をもっているほうです。 統制感 3 運動をすれば、かならず技術はのびると 思います。 4 努力さえすれば、たいていの運動はじょ うずにできると思います。 11 少しむずかしい運動でも、努力すればで きると思います。 12 できない運動でも、あきらめないで練習 すればできるようになります。 受容感 5 運動をしているとき、先生がはげまして くれたり応援してくれます。 6 運動をしているとき、友だちがはげまし てくれたり応援してくれます。 7 いっしょに運動しようと誘ってくれる友 だちがいます。 9 いっしょに運動する友だちがいます。 出典:岡沢ら (1996), p.153 より図表化。 表 1 運動有能感調査における因子・項目一覧 1 J S F の 好意度調査 1 深く心に残ることや、感動するこ とがありましたか。 3 段階評価 ( はい:3 どちらで もない:2 いいえ:1) 2 今までできなかったこと(挑戦す る、体験する、応援する等)がで きるようになりましたか。 3 「あっ、わかった!」とか「あっ、そ うか」と思ったことがありましたか。 4 精一杯、全力をつくして挑戦した り、体験したり、応援することが できましたか。 5 楽しかったですか。 6 自分から進んで運動に挑戦・体験 したり、友達を応援することがで きましたか。 7 自分のめあて(挑戦する、体験す る、友だちを応援するなど)にむ かって取り組めましたか 8 友だちと協力して、なかよく取り 組めましたか。 9 友だちとお互いに教えたり、助け たりしましたか。 2 各プログラム満足度 1 長縄八の字跳び 3 段階評価 ( はい:3 どちらで もない:2 いいえ:1) 2 4 × 100m リレー 3 陸上 4 チア・リーディング 5 アルティメット 6 ラクロス 7 サッカー 8 ダブルダッチ 9 とくに印象に残ったことはありま すか?あれば書いてください。 自由記述 3 学生 JSF全体について質問します。 大学生のお兄さんやお姉さんをみて、印 象深かったことがあれば書いてください。 表 2 JSF の好意度調査 調査項目
2 因子ごとにみる特徴 それでは、より詳細に因子や項目に注目して結 果を見ていきたい。はじめに、因子 1「身体的有 能さの認知」についてである。 因子 1 では、前後の双方とも、岡沢ら(1996) の小学生よりも下回るものの、中学生の数値より も数値は高い。そして、JSF 前は 11.41 だった数 値が 11.57 に有意に高まっている。とりわけ、項 目 8 の「運動の上手な見本としてよく選ばれます」 が有意に高まっている。 ここからは、JSF で取り組まれる長縄やリレー などの練習・活動のなかで、集団の前でパフォー マンスを見せる機会が増え、教師や仲間から認め られる機会が増えたことや、JSF のイベントの際 に、各ブースを周り様々なスポーツを体験する際 に、パフォーマンスを体験する代表者として選ば れたり、パフォーマンスに対して褒め言葉をかけ てもらったりした経験が増えたのだと思われる7)。 次に、第 2 の因子「統制感」について見ていき たい。岡沢ら(1996)との比較からは、草津市の 小学 6 年生は、小学校平均を下回り、JSF の実 施前においては、中学校平均よりも下回る状況で ある数値であったことが特徴点として指摘でき 小学 4 年生から 5 年生への段階で顕著な低下が 検出されるという6)。そこで、今回の調査対象 は小学校 6 年生であることから、岡沢らにおけ る小学生および中学生の双方の数値を参考値と して示している。 1 全体の数値の特徴、変化 まず、全体的な数値(運動有能感合計点)につ いてである。JSF 前では、合計点が 41.83 点であ り、岡沢ら(1996)における小学生の平均点には 及ばないものの、中学生の平均点を超えるもので ある。そして注目すべきは、JSF 後には 42.25 点 と有意に得点が上昇していることである。 先述のとおり、これまでの運動有能感調査にお いては、複数時間をかけた一つの単元の中での教 師らによる積極的働きかけや指導改善を経て有能 感が向上する例で示され、わずか一日の体育的イ ベントによる変化を明らかにした研究は見られな い。つまり、JSF というイベント、あるいはイ ベント前を含む短時間の期間において、運動有能 感が有意に高まっているという結果自体が極めて 重要である。JSF の取り組みが、児童の運動に 対する自信や意欲を高めたといえる。 今回の結果(n = 1027) 岡沢(1996)の結果 項目 JSF前 JSF後 t 前後 比較 小学生 中学生
MEAN (S.D.) MEAN (S.D.) MEAN (S.D.) MEAN (S.D.)
運動に対する自信の種類 身体的有能さの認知 1 2.99 (1.05) 3.01 (1.07) -0.78 2 3.26 (1.08) 3.28 (1.08) -0.85 8 2.16 (1.10) 2.24 (1.12) -2.75 ** ↑ 10 3.00 (1.19) 3.04 (1.22) -1.15 【因子 1】身体的有能さ の認知 [ 合計 ] 11.41 (3.87) 11.57 (3.96) -2.13 * ↑ 12.10 (4.28) 10.80 (3.68) 統制感 3 3.85 (1.01) 3.93 (1.03) -2.50 ** ↑ 4 3.92 (0.98) 3.96 (1.02) -1.52 11 3.79 (1.08) 3.84 (1.11) -1.65 * ↑ 12 3.89 (1.06) 3.96 (1.07) -2.47 ** ↑ 【因子 2】統制感 [ 合計 ] 15.45 (3.53) 15.69 (3.78) -2.78 ** ↑ 16.17 (3.53) 15.48 (3.30) 受容感 5 3.40 (1.16) 3.39 (1.14) 0..342 6 3.79 (1.09) 3.77 (1.10) 0.58 7 3.73 (1.20) 3.82 (1.20) -2.78 ** ↑ 9 4.04 (1.17) 4.00 (1.22) 1.16 【因子 3】受容感 [ 合計 ] 14.96 (3.48) 14.98 (3.68) -0.27 14.78 (3.68) 14.51 (3.08) 運動有能感 合計点 41.83 (8.89) 42.25 (9.37) -2.28 * ↑ 43.05 40.79 (** p<0.01, *p<0.05) 表 3 草津市全体における JSF 前後の運動有能感(各項目・因子別)得点比較
能さの認知」「統制感」という運動有能感の二つ の因子が有意に高まり、もともと高い数値を示し ていた「受容感」においても一緒に運動を楽しも うとする傾向が強まっていることが明らかとなっ た。このことから、当日までの様々な取り組みを 含めて、JSF という体育的イベントの実施によっ て児童の運動に対する意欲や自信が全体として高 められたといえる。 Ⅳ 学校ごとにみた運動有能感調査の特徴および 変化 草津市全体の JSF 前後比較においては、JSF が児童の運動に対する意欲や自信を高められた結 果となった。一方で、個別に各学校の調査結果を 分析すると、学校によってばらつきがあることも 同時に明らかとなった。そこで本章では、JSF の取り組みと児童の運動への意欲・自信の関係を、 各学校の特徴と関連づけて検討してみたい。 なお、各学校においては、児童の日常的な様子 も異なり、独自の行事や取り組みがある。今回の 調査ではそうした日々の様子や取り組みを詳細に 把握できていない。そのため、以降の分析による 検討は推察レベルであることを予め断っておく必 要がある。しかしながら、共通した特徴があれば、 次年度以降の JSF の取り組み、各学校での位置 付けについて、有益な情報が得られると考える。 1 変化における 3 つのパターン 各小学校の結果をもとに、有意に高まったとい える項目が多い小学校、有意に下がったといえる 項目が多い小学校に振り分け、以下の 3 つのパ ターンに配置した。 ① JSF 後に有意に高まった項目・因子が多い ② 上昇、下降の両方があり、全体として変化あ まりなし ③ JSF 後に有意に下回った項目が多い 全 12 校(市内 13 校のうち E 小学校は JSF 前 の調査結果が無いため、除外している)のうち、 ①∼③の内訳や変化は表 4 のとおりである。A 小 学校、B 小学校等において変化した項目・因子を すべて抽出したものが「項目・因子」欄にある数 字である(単数字は項目番号、因子の場合は「因 る。しかしながら、JSF の取り組みによって、 この統制感の因子においても、実施前が 15.45 で あったのに対して、実施後は 15.69 を示しており、 有意に高まっているといえる。 さらに、この因子においては、因子を構成する 4 つの項目のうち、「項目 3:運動をすれば、かな らず技術はのびると思います」、「項目 11:少し 難しい運動でも、努力すればできると思います」 「項目 12:できない運動でも、あきらめないで練 習すればできるようになります」の 3 つの項目に おいて有意差が見られる。 この結果は、JSF に向けた長縄やリレーでの 児童一人ひとりの努力や練習が、児童自身に肯定 的に受け止められていること、あるいは大学生等 のパフォーマンスに触れることで、鍛え上げられ た技の背景に、運動に対する努力や練習があるこ とが意識されたことが原因でないかと推察する。 最後に、因子 3「受容感」について見ていきたい。 今 回 の 調 査 で は、JSF 前 が 14.96、JSF 後 が 14.98 と、JSF 前後において平均点としては上昇 しているものの、統計的に有意な差は検出されな かった。しかしながら、岡沢ら(1996)が示した 小中学生の平均と比較したところ、数値の低かっ た JSF 前においても、草津市の小学 6 年生全体 の平均は、中学生平均はもちろんのこと、小学生 平均をも上回っている。すなわち草津市の小学 6 年生においては、運動有能感のうち、「みんなに 受け入れられている」と感じて自信となる「受容 感」がもともと高い傾向であるのが一つの特徴で ある。さらに項目別に見てみると、「項目 7:いっ しょに運動しようと誘ってくれる友だちがいま す」が有意に高まっている。 これは、草津市全体の特徴として、日々の(体 育の)授業実践において、教師と児童の関係、あ るいは児童同士の関係づくりが丁寧に行われてい ること、そしてさらに長縄 8 の字跳びの練習など の JSF の取り組みにおいて、児童同士の関係が より強まり、一緒に運動を楽しもうとする傾向が 高まったからではないかと考えられる。 3 草津市全体の特徴と変化のまとめ 以上のように、JSF 前後において、「身体的有
2 高まった項目が多かった小学校(パターン①) の例 まずパターン①に配置された学校のうち、特徴 的な G 小学校の結果を見てみたい(表 5)。 G小学校は、JSF 前においても、運動有能感 全体的な数値が高い状態であった。とりわけ、因 子 3 においては、岡沢ら(1996)の平均、あるい はそれより高い数値であった草津市平均をも上回 り、極めて高い数値であった。 さらに、今回 JSF の前後比較において注目す べきは、因子 1「身体的有能さの認知」、因子 2「統 制感」の高まりである。とりわけ因子 2「統制感 においては、4 つ全ての下位項目において有意差 が検出され、数値の上昇も大きい。 実は、パターン①に配置された小学校の共通点 が、この因子 1,2 の上昇である。とりわけ因子 2 の変化がポイントになっているように思われ る。表 4 において太字で示した部分が、因子 2 と その下位項目であるが、パターン①に配置された 6 小学校のうち、4 小学校に上昇が見られている。 では、「統制感」(やればできる自信)の上昇の 背景にはどのような取り組みや児童の様子があっ たのだろうか。ここで、教員からのフィードバッ ク(自由記述)を検討してみたい。パターン①の 子 1」等と記載。②の「変化あまりなし」のパター ンについては、高まったといえる項目・因子は↑ で記載し、下がったといえる項目には▼をつけて いる。) 表 4 からは、まず、「①高まった」「②変化あま りなし」「③下がった」に配置される小学校がそ れぞれ 6 校、3 校、3 校とあり、高まった小学校 が半数を占めるものの、全小学校において高まっ ているわけではないことがわかる。 しかも興味深いことに、「①高まった」に配置 された小学校では、変化が見られた項目・因子は 「すべて」有意に高まっている。一方、「③下がっ た」に配置された小学校では、変化した項目・因 子は「すべて」有意に下がっている。 では、有能感の変化のそうした違いはどこから くるのだろうか。その点を探るために、以下では、 パターン①とパターン③における特徴的な小学校 を個別に検討し、その理由を推察していく。その 際には、各小学校の担当教員からのフィードバッ ク(調査結果を返却・説明し、各小学校での JSF の取り組みや児童の様子などの点から、調査結果 に関連すると思われる事柄を自由記述にて回答し ていただいた内容)も合わせて検討していく。 ①高まった ②変化あまりなし ③下がった 学校 高まった項目、 因子 学校 項目、因子 (下がった▼) 学校 下がった項目、 因子 A 3, 7 I 2、↑ 5 ↑,因子 3 ▼ B 3,4,11,12, 因子 2 【全体】 D 2, 4,11、因子 2 J 2 ▼、8 ↑, 10 ↑ 4 ▼ C 2,因子 1, 6, 【全体】 F 8, 10,因子 1、 7 【全体】 M 1 ▼ H 1,2,因子 1, 5,6、9、因子 3、 【全体】 G 1,因子 1、 3,4,11,12,因 子 2、 【全体】 ※ E小学校は JSF 前の調査結果が 無いため、除外。 K 8,因子 1、 4,12,因子 2、 6,7,因子 3、 【全体】 L 1, 因子 1 4,因子 2、 6、 【全体】 表 4 変化の 3 つのパターンと変化した項目・因子 項目 G小学校の JSF 前後の比較 JSF前の得点 JSF 後の得点 MEAN (S.D.) MEAN (S.D.) 運動に対する自信の種類 身体的有能 さの認知 1 3.02 (1.04) 3.17 (1.04) * 2 3.28 (1.05) 3.36 (1.08) 8 2.23 (1.11) 2.39 (1.11) ** 10 3.03 (1.09) 3.23 (1.18) ** 身体的有能さの 認知 [ 合計点 ] 11.56 (3.84) 12.15 (3.89) ** 統制感 3 3.77 (0.99) 4.09 (0.96) ** 4 3.83 (1.04) 4.14 (0.91) ** 11 3.76 (1.07) 4.03 (1.06) ** 12 3.88 (1.08) 4.20 (0.96) ** 統制感 [ 合計点 ] 15.23 (3.72) 16.47 (3.52) ** 受容感 5 3.27 (1.03) 3.34 (1.06) 6 4.00 (1.10) 4.04 (0.96) 7 3.90 (1.04) 3.98 (1.06) 9 4.12 (1.06) 4.20 (1.06) 受容感 [ 合計点 ] 15.28 (2.77) 15.55 (3.14) 運動有能感 [ 合計点 ] 42.08 (8.40) 44.16 (8.64) ** (** p<0.01, *p<0.05) 表 5 高まった項目が多い例(G小学校、N=128)
は、一方で因子 2「統制感」の落ち込みが大きかっ た例(B 小学校)、他方では因子 3「受容感」の 項目で低下が見られた例(H 小学校)というよ うに、パターン③のなかでも各学校によってばら つきが見られている。そこで、B 小学校、H 小 学校を具体的に検討してみたい。 まず、一つ目の例として B 小学校を取り上げる。 パターン①と同様に、調査結果を示した(表 6)。 変化した項目・因子を見れば、B 小学校は因子 2、 および因子 2 の下位項目すべての項目のみが落ち 込みを示している。因子 1 や 3 の項目については 変化が見られない。実は B 小学校は、先ほど見 たパターン①の事例と大きく関連しているのでは ないかと思われる。 B小の担当教員からのフィードバックでは、そ の低下の原因として、「B 小は独自に長縄の取り 組みをしているが、良い結果が出なかったこと」 と考察されている8)。たしかに児童の意識として、 継続的取り組みの中で高められた自信や意欲が、 当日の満足できない結果によって極めて低下する ことは考えられる。因子 1 や 3 の落ち込みが見ら れず、「やればできる」と思っていたのにうまく 結果が出せなかったとして、因子 2 の低下に集約 したことも考えられる9)。 学校における自由記述をいくつか抜粋したものが 資料 2 である。 各校のフィードバックに共通しているのは、 JSFを一日だけのイベントとして位置づけるの ではなく、運動会やその他の体育的イベントの新 たに設定することを含めて、小学校それぞれのな かで一貫した、目的を持った体育的活動の流れを 作り出しているということである。そうした一貫 した取り組みを行うことで、身体的有能さを誇る 児童だけではなく、運動が苦手な児童や運動に対 する意欲が低い児童においても、継続的な取り組 みのなかで苦手を克服し、できるようになる経験 を積ませることができる。つまり、見通しのある 継続的な取り組みを行っていくことで、やればで きる自信(統制感:因子 2)を軸とし、実際に運 動ができるようになる(身体的有能さの認知:因 子 1)。そして結果として運動に対する自信(運 動有能感)を高めていくことができるのではない か。 やはり、目的・目標を明確にした上で、各学校 において継続的な取り組みを位置づけていくこと が改めて重要であることが浮き彫りになる。 3 下がった項目が多かった小学校(パターン③) の例 表 4 においてパターン③に配置された小学校で 項目 B小学校の JSF 前後の比較 JSF前の得点 JSF 後の得点 MEAN (S.D.) MEAN (S.D.) 運動に対する自信の種類 身体的有能 さの認知 1 2.66 (1.02) 2.66 (0.95) 2 2.96 (0.87) 2.94 (0.93) 8 1.83 (0.95) 1.87 (0.96) 10 2.72 (1.11) 2.53 (1.15) 身体的有能さの 認知[合計点] 10.17 (3.43) 10.00 (3.43) 統制感 3 3.98 (1.14) 3.62 (1.12) ** 4 3.89 (1.06) 3.66 (1.08) * 11 3.66 (1.23) 3.43 (1.09) * 12 3.74 (1.18) 3.57 (1.01) 統制感[合計点] 15.28 (4.25) 14.28 (3.93) ** 受容感 5 2.77 (1.02) 2.81 (1.06) 6 3.62 (0.94) 3.49 (1.18) 7 3.49 (1.13) 3.51 (1.11) 9 3.81 (1.28) 3.79 (1.32) 受容感 [ 合計点 ] 13.68 (3.36) 13.60 (3.79) 運動有能感[合計] 39.13 (8.84) 37.87 (9.47) * (** p<0.01, *p<0.05) 表 6 下がったといえる項目が多い例その 1(B 小、N=47) 「5 月に全校をあげて長縄大会に取り組んでいる。そ の延長として JSF は、積み上げの結果がともなうこ とで、やればできるという自信がもてたと思う。(A)」 「JSF 実行委員を立ち上げ、8 の字跳びのコツを紹 介したり、各クラスの練習の音頭とりをさせたり した。休み時間や朝休みを使って自主的に練習を くりかえし、記録も飛躍的に伸び、運動が苦手な 子どもも跳べるようになった。(D)」 「長縄跳びが苦手な子・跳べない子が多かった事前 から、JSF の取り組みを通して出来るようになっ た子が多かった。(G)」 「1 学期に長縄フェスティバル(リレー、各学年に 応じた長縄跳び)を行い、6 年生においては運動 会の種目としても、長縄(8 の字)、リレーを行っ た。JSF まで継続的に取り組み、できるようになっ た子どもたちが多かったと思います。(K)」 資料 2 パターン①の学校における教員からのフィー ドバック
の次の記述は、一つの重要な情報を与えてくれる。 「みんなに受け入れられている自信(が低下し た原因)は、記録へのこだわりが強くなった結果、 苦手な児童への励ましが減ったからだと思いま す。(I 小)」(括弧内筆者補足) すなわち、とりわけ長縄 8 の字跳びにおいて、 各学校・学級の記録の「競争」に意識が向きすぎ ることで、仲間を受け入れる、失敗した仲間を励 ます、といった姿が減り、仲間との関係がうまく 構築できなくなってしまった、という解釈である。 確かに、はじめに紹介した JSF の【目標 1】に おいては、「日頃の練習の成果を発揮して記録の 向上を目指し、他校の児童と競い合う経験を通し て…」というように、記録の向上や「競い合う」 という面が述べられている。けれども、とりわけ 全員参加の 8 の字跳びの記録向上には、運動の苦 手な児童をも励まし参加させることが必要であ り、そうして初めて全体としての成果を高めるこ とができる。だからこそ全員参加なのである。こ の目標 1 には、そうした思いが込められているは ずであり、学生による長縄オリエンテーションに おいても意識されている点である。 しかしながら、因子 3 の下降や教員のフィード 表 7 に示したのは、JSF についてのアンケー ト(好意度調査)において、B 小学校と有能感の 高まりを示した G 小学校が当日の長縄の取り組 みに対してどのような満足度を示しているのかを 比較したものである。平均においては、B 小学校 よりも G 小学校の方が有意に高い数値を示して いる。満足度の内訳では、B 小学校では「3:満 足している」ではなく「2:どちらでもない」と 回答した児童の割合が多い。このように、児童自 身にとっては当日に思っていたよりも記録が伸び なかったことなどがこうした結果に反映されてい ると推察される。 以上のように、各学校における見通しを持った 継続的な取り組みは、児童の運動有能感を変化さ せる大きな影響力を持っているといえる。ただ、 それが上記のように運動有能感を逆に低下させる 負のベクトルを生み出す可能性もあるということ は、留意すべきである。 つぎに、パターン③のもう一つの例(H 小学校) を見てみたい(表 8)。H 小学校では、身体的有 能感の認知(因子 1)および受容感(因子 3)の において低下が見られた。とりわけ因子 3 は、他 の小学校のうち、I 小学校と H 小学校に落ち込み が見られるが、多くの小学校では高まっている項 目である。I 小学校および H 小学校の特徴から読 み取れることはあるだろうか。 この点について、教員からのフィードバックで 長縄満足度(3 段階評価) B小 G小 n 86 86 MEAN 2.72 2.88 * (S.D) (0.57) (0.35) (** p<0.01, *p<0.05) 表 7 B 小学校と G 小学校の JSF 当日における長縄 8 の字跳びに対する満足度 項目 H小学校の JSF 前後の比較 JSF前の得点 JSF 後の得点 MEAN (S.D.) MEAN (S.D.) 運動に対する自信の種類 身体的有能 さの認知 1 3.04 (1.21) 2.83 (1.08) ** 2 3.25 (1.20) 3.10 (1.06) ** 8 2.33 (1.24) 2.24 (1.01) 10 2.96 (1.30) 2.82 (1.14) 身体的有能さの 認知 [ 合計 ] 11.73 (3.91) 10.99 (3.66) ** 統制感 3 3.77 (1.16) 3.70 (1.04) 4 3.83 (1.10) 3.78 (1.04) 11 3.70 (1.19) 3.58 (1.12) 12 3.86 (1.20) 3.78 (1.16) 統制感 [ 合計 ] 15.10 (3.45) 14.85 (4.02) 受容感 5 3.41 (1.39) 3.28 (1.31) * 6 3.88 (1.24) 3.74 (1.16) * 7 3.83 (1.31) 3.79 (1.23) 9 4.12 (1.31) 3.97 (1.30) * 受容感 [ 合計 ] 15.31 (3.91) 14.78 (4.14) * 運動有能感 [ 合計」 42.14 (9.20) 40.62 (9.47) * (** p<0.01, *p<0.05) 表 8 下がったといえる項目が多い例その 2(H 小、N=118)
らは、JSF という体育的イベントを各学校の運 動会やその他の行事と結び付け、明確で一貫した 目的・目標を持ちながら、児童が運動に対する自 信や意欲を高められるように効果的に組織してい く重要性が明らかとなった。同時に、継続的な活 動や指導のなかで、競争や記録の向上ばかりでは なく、運動が苦手な児童や意欲の低い児童に対し て、「受容感」を高められるような働きかけを積 極的に行っていく必要性も導き出された。今後は、 JSFを軸として、体育の時間やその他の体育的 取り組みが有機的な連関を持ち、児童の運動に対 する自信や意欲がさらに高められることを期待し たい。 以上の検討を踏まえて、今後の課題として次の 点が挙げられる。第一に、各学校における取り組 みや児童への働きかけの充実について詳細に検討 することが必要である。第二に、今回の結果では、 学習意欲を含めた児童の日常的な意欲の実態につ いては掴めていない。JSF というイベントが与 えた効果をより正確に掴むためにも、JSF 前後 という短い期間の変化だけではなく、長期間の継 続的な調査を行い、変化を見ていきたい。 謝辞 本研究は、立命館大学社会システム研究所によ る 2012 年度 BKC 社系研究機構研究所重点研究 プログラムの助成を受けました。また、調査およ び分析に関わり、草津市教育委員会および各小学 校のご協力を賜りました。心より感謝申し上げま す。 【註】 1)岡沢祥訓・北真佐美・諏訪祐一郎「運動有能感の構造と その発達及び性差に関する研究」『スポーツ教育学研究』 第 16 巻 2 号、1996 年、pp.145-155。 2)すでに「内発的動機づけ」と「運動有能感」との関係に は正の相関関係があることが示されている。岡沢祥訓・ 三上憲孝「体育・スポーツにおける『内発的動機づけ』 と『運動有能感』との関係」『体育科教育』第 46 巻第 10 号、1998 年、pp.47-49。 3)橋本健夫・川越明日香・谷山麻香「児童の学習意欲の喚 起と授業実践」『長崎大学教育学部紀要:教科教育学』 第 52 号、2012 年、pp.11-19。 バックからは、児童の意識において、記録の向上 をめざすことと、運動の苦手な児童も積極的に参 加し児童同士の関係を築いていくこととの両立 は、そう簡単なことではないことが推察される。 この点からは、とくに運動の苦手な児童に対し て、「受容感」を高める指導や活動の在り方につ いて吟味する必要性が明らかとなる。具体的には、 教師、そして長縄オリエンテーションや JSF 当 日における大学生からの具体的な働きかけはどう あるべきか、あるいは児童同士が受け入れる気持 ちを育て、関係構築をしていくことが可能となる 活動や場面をどう設定するか(例えば長縄であれ ば小グループでの活動を増やし、失敗する機会= 周りの児童が励まし受け入れる機会を積極的に作 り出すような場面設定)ということである。 以上のように、各学校の分析からは、目的・目 標を明確にした上で JSF に向けた取り組みを各 学校の取り組みとして位置づけ、継続的な活動・ 指導を展開していくことが、運動有能感の変化に 大きな影響を与えることが見えてきた。また、記 録向上へのこだわりが逆に児童同士の関係の構築 に負の働きを見せることもある。指導場面や活動 においては、受容感を高める働きかけや場面設定 の工夫が求められることも明らかとなった。 Ⅴ おわりに 本稿では、草津市の「ジュニア・スポーツ・フェ スティバル(JSF)」に着目し、児童の運動に対 する意欲や資質を高めているかについて、児童の 運動有能感の変化を軸として明らかにすること、 さらに今後の JSF の取り組みや各学校での指導 の在り方に示唆を得ることを目的とした。 その結果、児童全体における運動有能感は全体 として有意に高まったという結果となった。一日 だけのイベントである JSF の前後において、因 子 1「身体的有能さの認知」、因子 2「統制感」が 高まり、有能感全体としても高まっていた。「統 制感」が高められたこと、そして実際に「身体的 有能さの認知」が高められたことは、現状の体育 嫌いの児童が増えている状況において、非常に意 味のあることだといえる。 さらに、ばらつきの見られた各学校別の分析か
したが、そこで「大学生に声をかけてもらえてうれしかっ た」、チア・リーディングなどで「実際にやらせてもらっ てほめてもらってうれしかった」という記述も見られた。 8)なお当日の記録では、B 小学校は学級数の半分が 8 位入 賞に入るという結果であった。結果の比較においては、 パターン①に配置された学校・学級が多くの入賞を得て、 パターン③に配置された学校・学級がそうではない、と いう関連は読み取れない。継続的な取り組みのなかでの 記録と、当日の記録の差までは情報を得られていないか らである。今後の課題として、JSF 当日の児童の意識(例 えば長縄に対する満足度等)を詳しく調査し、当日の満 足度(その理由も含む)と運動有能感の変化の相関も分 析したいと考える。 9)他の複数の小学校の教員からも、「当日の記録が思うよう に伸びなかったため」であるとのフィードバックをも らっている。 4)例えば仲井・平野(2011)では、運動有能感の高揚、パフォー マンスの向上および人間関係の構築を意図してゴール・ ゲーム型の単元設計をし、成果を明らかにしている。こ こでは一単元として 9 時間が配当されている。仲井順・ 平野智之「運動有能感と戦術学習に着目したゴール型 ゲーム授業の実践研究」『宇都宮大学教育学部教育実践 総合センター紀要』第 34 号、2011 年、pp.215-222。 5)高橋健夫・長谷川悦示・刈谷三郎「体育授業の『形成的 評価法』作成の試み:子どもの授業評価の構造に着目し て」『体育学研究』第 39 号、1994 年、pp.29-37、または 長谷川悦示・高橋健夫・浦井孝夫・松本富子「小学校体 育授業の形成的評価票及び診断基準作成の試み」『スポー ツ教育学研究』第 14 号第 2 号、1995 年、pp.91-101 の調 査票にもとづき、JSF の内容に即して文言を変更した。 6)岡沢ら、前掲論文、1996 年、pp. 150-151。 7)JSF 終了後、JSF についてのアンケートを合わせて実施