<研究ノート>減価償却における現在価値モデルについて
5
0
0
全文
(2) 96 (96). 横浜経営研究. 第Ⅶ 巻. 第 1 号 (1986). 益は内部収益率と 資本財価値との 積 としても示すこと. 期間を通じて 一定で,かつ内部収益率に 等しくなると. ができる㈹ 0 すなわち,. いうことであ る 0 この点は, (5)式をⅠについて 解く. (5). 正㌔ⅠⅠBi. ことによって 赤 きれる 0 すなわち,. (6). 3. 現在価位 油価 R 却の特打. PV 減価償却を適用する 場合には, 正味キャッシュア 却. 以上の簡単なモデルから ,現在価値に基づく減価 償. ロ ケ の系列がどのようなものであ. (PV 減価償却 ) の重要ないくつかの 特質を導くこと. は常に一定で ,内部収益率に 等しくなるのであ. ができる㈲。 第 1 は,この減価償却法を 適用した場合. (く 表 1 ノ およびく表 2. っても,会計収益率 る. ノを 参照 ) 。. には,減価償却費 が資本財の耐用期間を 通じて増加す る 傾向にあ るという点であ る 0 このような特徴は ,. 4.. (3)式の アガi が一般に期間の 経過とともに 減少し C 。 からこの値を 差し引いて Di を得るということから 理. 上述したよ. 解できよう. o. PV 減価償却のもつこの 特性を数値 何 で. 示したのがく 表. Ⅰ. ノ であ. る。 しかし,このように 減価. 償却 費 が徐々に減少するのはあ くまで一般的な 傾向で. 実施上の間 題点 う. に,予想キャッシュフ ロ 一に対する 害. Ⅰ. 引率が投資決定を 規定する内部収益率に 等しい場合に. は,投資時点での 資本財の現在価値はその 初期投資額 (資本支出 ). に等しい。 そして,キャッシュフローは 常. 存在する。 (3)式をみれば明らかなよ. に内部収益率で 割り引かれ,その現在価値は初期投資. うに,正味キャッシュフローが 耐用期間の後期になっ. 額からゼロへと 徐々に減少していくことになる D こう. て 増大する場合には , B 。 もそれに応じて 増加するこ とがあ りさるのであ る。 この例は ,く表 2 ノの 一部に. して, PV 減価償却のもとでは ,資本財の初期価値 (亡 取得原価 ) が,その耐用期間を 通じて合理的に 費用. 示されている。 極端なケースであ るが, (3)式の Bf.,. 配分されることになる。 また,投資決定の選択基準で. が Bt よりも大きいときには. より大きい ), Di はマイナスの 値をとることになる 0 これを「負の 減価償却」という。 pv 減価償却の第 2 の特質は, 営業利益を各期の 始 めにおける資本財の 価値で割った 値として会計収益率. (DCF) 法 と会計計算との 間の不一致を 解消することを 通じて,投資決定に関す る 業績評価の手段としての 財務諸表の役割を 大きく 高 めることが期待されることになる。 PV 減価償却には , こうした理論上の 利点が認めら. (ARR) を定義すると , この収益率は 資本財の全耐用. れる反面,これを具体的に実施に 移す際には,種々の. あ って,例外も. ( この場合は , r ぢⅠが C 。. あ る割引キャッシュフロー. PV 減価 佐 却の計算㈲ 初期投資額 7,㏄ 0 ,正味キャッシュフロー 1,210(一定 ), ( 内部収益率 ) 5%, 耐用年数 7 年 く表 l ノ. 1,150. 8,469. 7,000. 1,469. 1,098. 350. 7.0 ㏄. 5. 307. 6,140. 5. 5,237. 5. 4,289. 5. 3,293. 5. 2,248. 5. 1,150. 5. ㎝ の. 1,045. ㈲率パ. 1,210 Ⅰ, 210 1,209. 益 ㈹ 収. 996. 格. 1,210. 262 214 165 112 59. の価. 1234567. 1,210. 860 903 948. ︵ 簿 帳. 益 ︶. 費 却 ㈹ 償 価 減. ツ一 ヤロ ㈲ キフ. 正シ. 味ユ. 期. 計. 1,210. 1,210.
(3) 減価償却における 現在価値モデルについて. (97) 97. (浜本道正 ). PV 涯 価位封の計算 (2) 初期投資額 2,025, 正味キャッシュフロー (変動 ) ( 内部収益率 15%, 耐用年数 5 年 ) く表 2 ノ. (2). (3). (4). 営業利益. 期首簿価. (3)@/@(4). (1)一 (2). Ⅰー. 500 600. 2 4 5. ', Ⅸ ん 400. 計. 3,000. ム. 3. 304 274 225 109 63. 2,025. 975. 5㏄. Hendriksen,. 出所. 196 326 775 291 437. E. S., ACcou. れ. ttnnS T た名 oTy. (5) 収益率 (%). 2,025 1,829. l5 15. Ⅰ, 503. l5. 627 437. Ⅰ5. 15. (3rd ed. 1977), p.397 の Table 2 を. 一部修正.. 困難がっきまと. う. のもまた事実であ る。 実施面での 主. たる問題点としては ,. 々の資産に対して 適用されている 場合には,複数の資. ㈹会計慣行として 発生主義を. 産を集計した 企業全体の収益率は 期間ごとに変動する. 採用することから 生ずる問題,および, (2) 複数の資 産 が存在する場合のキャッ シ ,フロ一の結合性をあ げ 発生主義に基づく 会計処理が pV 減価償却に対し. ということであ る。 PV 減価償却を 2 つの個別資本財 に適用し,それぞれの 数値を集計することによって こ 0 間題を示したのがく 表 3 ノ であ る。 PV 減価償却は 既述した単一資産のケースでは 正当化されえたとして. てどのような 影響を及ぼすかを ,売掛金を例にとって. も,この例にみるような 複数資産のケースでは 必ずし. 簡単にみてみよう。8)。 いま,製品の販売はすべて 掛で. も妥当するとは 限らないのであ る。. ることができる. (7)。. 行われており ,冬期の キャッシュフローはそれ 以前の. 期間の売上の 回収部分から 構成されているものと 仮定 する。 こうした条件のもとでは , i 期に期待される 会 計 収益率は次のように 表わされる。. (7) ここで,烏は f 期の売上収益, A ぬ は i 期 始めの 売. 掛金残高を示す 式,. (蔑 ,. Di は焼山のもの ) 。 焼山 の (4). (6)式と (7)式を比べてみると , このケースでは ,. 5.. むすびに代えて. 減価償却会計の 特質は,その計算要素の多くが 不確 実性のもとでの 見積りに大きく 依存していることであ るといわれている。 耐用年数しかり ,残存価額の決定 またしかりであ る。 しかし,仮にこれらの 計算要素が. 客観的に決定されたとしても ,取得原価と 残存価額と 0 差額 (要償却 額 ) を耐用年数にわたって 配分するた. ARR と IRR との同一性はもはや 保証されていない ことがわかる。 (7)式の分子の変化と 分母の変化とが. おいては,定額法をはじめとする 各種の慣習的な 方法. 相殺し合. が用いられているが , その多くはこれといった 理論的. う. という稀なケースを. 除け ぼ, 2 つの収益率. は一致しないのであ る。 PV 減価償却を実施する 上での第 2 の障害は「多重 資産問題」 (Multi.AssetProblem) と呼ばれるもの で, PV 償却を個々の 資本財に適用して 得られた企業 レペル の ARR. は , ・企業全体のキャッシュフ. 用して得られた ARR. ロ 一に適. とは必ずしも 一致するとは 限ら ないという問題であ る (9) 。 い い かえれば, IRR が 個. めの唯一合理的な 方法は存在していない。 会計実践に. 根拠も与えられず ,一般には経済的実態とは 無関係に 考え出された 便宜の所産であ る。 本稿では,慣習的に用いられ,また新たに提案され ている各種の 減価償却方法の 理論的根拠を 分析するた めの視座を,経済学上の 減価償却概俳に 求め,その適 用形態であ る現在価値モデルの 基本的構造と 実施上の 問題点 は ついて基礎的な 考察を行っだ。 このモデル.
(4) ㏄ (98). 横浜経営研究 く表 3 ノ. 産. PV 減価. 伯却と多. A. ユ 23. 00. 30 20 10. 360. 300. 60. 1㏄ Ⅰ. 6. 1㏄. 6. 1㏄. 6. エ. O0. 6. 100. Ⅰ8. O70. 988. 432. ㏄㏄㏄. 収益 (3). 価 ︶ 簿. は首. 期. 3. 666 321. 2. 2. Ⅰ. B. 益︶. ⅠⅠ. ㏄㏄㏄. 666. と資産. 単純集計した 場合 ). 費 却. ツ一. は償. G資産ごとの計算結果を. 0市資産を結合して. 正味キャッ. (2) 減価償却 費. 78. 単一資産とみなした 場合 ) (3) 営業利益. 36 126 216. 100 . 34. 198. 97. 34.40 25.66 17.03. 478. 4㏄. 77. ㏄. Ⅰ. 出所 : Brief, R . P. and. (4) 期首簿価. (1) 一 (2). シュフロー. ⅠⅠ. 10. 1㏄. 4㏄. (1). 2. 10. 100. 6. Ⅰ32ー. 478. 期. 2㏄. 6. 価 減. ヤロ ㈲ キフ. 正シ. 2 3. A. 10. 価 ︶ 簿. 18. 味ユ. 期 Ⅰ. 資産. 3㏄. は首. Ⅰ. 期. 益︶. 営︵. 費 却 ㈲ 償 価 減. ツ一 マロ ㈲ キフ. 味ユ 正シ. 期 l. (3) 資産 A プラス資産 B. (4). 巨. B. 理. 資. 一 ㏄. 1㏄. 京間. 収. 益︶. 費 却. 減. 期. 130 120 110. 6. 計. Ⅰ 化. 価 ︶簿 は首 期. 資. ツ一セロ ㈹キフ 味ユ 正シ. ㈹. 葉 1 号 (1986). 第 Ⅶ巻. 101. ㏄. J. owWen, "Pre ㏄ nt Value. (5) 収益率 (%) (3)/(4). 400 298.40 98.06. 8 6 ●. 8.6 8.6. Ⅰ. Models. md. the Multi.. ぬt Pro.. blem," Thル Accounting Reviewo (October l973), p.694 の表を一部佳 正. ㏄. ・.
(5) 減価償却における 現在価値モデルについて. (5). の 価値増分としての 第 1 期の企業利益は ,九二 (B2+Cl) 一 Bl ⅠⅠ政二 rfC となる o Cl のうち, 第 1 期の減価償却 費 として控除された 現金 悔 1 一五 ). がⅠに等しい 収益率で再 投 賢されるものと 仮定 すれば,第 2 期の企業利益は ,あ二 CC2 一 (五一 茂 ) +r(Bl 一 B2)= Ⅰム2 千 ㎡81 一B2)= Ⅰ 31 となっ て ,第1 期の利益に等しい。 内部収益率による 減 コ. る。. 注. 価償却資金の 再投資という 仮定が成立するかぎ り, 冬 期を通して,当初の資本価値 (K) が維持さ. たとえば, Bonbright は減価償却の 基礎概俳 を,①価値の減少,②配分費用,③鑑定評価概 念,および,④サービス 能力の減損に 分類してい る。 このうち,①の 概念が最も一般的に 受けいれ られており,②は 発生主義会計に 固有の概念であ るとしている。 BonbrjCht,J.. C 。 The. れることになるのであ る。 より詳細な説明が , H Ⅲ, T. P., Prr ㎡ ts 囲イ 穴 a 化ドが ル切 rnn(1979), 仁科一彦訳『企業利潤 と 収益率 J (有 斐閣, 1983 年 ) 第 2 章で与えられて いる。 (7) PV 減価償却に内在する 他の間頭点としては ,. (6). ①資産の耐用期間全体にわたって 収益率を一定と 仮定することの 当否,②静態論的性格,③正味キ ャッシュフローが 営業利益を下回ると 減価償却 費. Va ぬ atio れ. 0/Property(1937), Ch. X. (2) 現在価値モデルそのものの 考え方が会計に 導入. が マイナスになること ,④正味キャッシュフロー がマイナスになると ,複数の収益率が成立してし まうことなどがあ げられる。 Hendriksen, E. S., A ㏄㎝ 舵肋 g Th,o り (3,d., 1977), pp. 396 イを. されたのはきわめて 古く, 1 世紀近く昔に 遡るこ. とができるといわれている。 その後, この考え方 は,減価償却はもとより ,. リース会計, 税 効果会. 計,物価水準変動会計などの 領域に適用されて 今 日 に至っている。. (3). ここでは,減価償却と 資本維持との 関係に注意. しておく必要があ る。 第 1 期末 (第 2 期の始め ) における企業資本の 価値は,その時点での資本財 の価値と第 1 期の正味キャッシュフローとから 構 成されているじ , +C,) 。 したがって,企業資本. すと,複数資産の相互作用や発生主義の 会計処理が及 ぼす影響から ,実施面でさまざまの 障害が派生してく ることが明らかにされている。 以上の考察から ,現在 価値モデルは ,まず現実の会計というものの 枠を取り はもって, もっぱら概念的なレベルで 会計上の減価償 却の特性を分析するための 準拠枠を提供しているとこ ろに,その基本的意義を 見出すことができるのであ. (1). (99) 99. とに完結し,在庫等の 繰り越しも存在しないと 仮 走 する。. は ,単一資産の状況やキャッシュフ ロ 一の期間的完結. 性 といった仮定のもとでは ,経済的実態に照応した理 論的合理性をもっている。 しかし, これらの仮定を 外. (浜本道正 ). 現在価値モデルに 基づく減価償却の 諸問題を扱 った文献は莫大な 数にのぼっている。 包括的な文 献リストが, Thomas, A, L" The 且H 。㏄ tim Ero&Zem. ㎝ AA,. 肋. R. ビ. non. 。ioZ. ,4, 。0 ぴ屋肪 g. Studies in Accounting. Resea,ch. Th. N0. 。0 り ・. 3,. 1969), Chapte, 4 に与えられている。 (4) また,資本財を用いて行う生産過程,およびこ れに伴う種々のキャッシュフローはすべて. 期間 ご. 参照。 (8). この問題点をより 詳細に論じたものに , Mc. Intyre,E .V 。 "Present VaIue Dep,eciation and the D 汝ggregation Problem," T ん e A ㏄㎝ ん肋 9 R ㏄ わW (Janua ワ 1977) があ る。 (9) 「多重資産問題」を 包括的に論究した 文献とし て, Brief, R . P. and J. Owen, "Present Value Models and the Mu ㎡・ Asset Problem ," T レ Acc.ouぬ 初耳 R 印わ W(October l973) を参照。 ( はまもとな. ち まさ. 横浜国立大学経営学部助教授. コ.
(6)
関連したドキュメント
した標準値を表示しておりますが、食材・調理状況より誤差が生じる場合が
我が国においては、まだ食べることができる食品が、生産、製造、販売、消費 等の各段階において日常的に廃棄され、大量の食品ロス 1 が発生している。食品
(2011)
本プログラム受講生が新しい価値観を持つことができ、自身の今後進むべき道の一助になることを心から願って
父親が入会されることも多くなっています。月に 1 回の頻度で、交流会を SEED テラスに
さらに, 会計監査人が独立の立場を保持し, かつ, 適正な監査を実施してい るかを監視及び検証するとともに,
○安井会長 ありがとうございました。.
次に、 (4)の既設の施設に対する考え方でございますが、大きく2つに分かれておりま