再考されつつあるイデオロギー : イギリスにおける多文化主義
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(2) こ の 否 め な い 事 実 の 背 景 に あ る、 イ ギ リス に 浸 透 して い る思 想 こ そ 多 文 化 主義 だ とい え る。 Kelly(2002,P.5)が. 指 摘 す る よ う に 、 多 文 化 主 義 は 一 つ の 理 論 で は な い し 、 「多 文 化 主 義 者 」. と 呼 ば れ る 人 が 必 ず し も 統 一 の 視 点 を 持 つ と は か ぎ ら な い が 、West,P(2005)は お け る 多 文 化 主 義 を 大 き く2つ. 、 イ ギ リス に. に 分 け る 。 そ れ は 穏 健softな 多 文 化 主 義 と 強 硬hardな. 多 文化 主義. であ る。 穏 健 な 多 文 化 主 義 は 、EMを. 差 別 の 対 象 に す る べ き で は な い し、 異 な っ た 人 の 慣 習 を 寛 容 に 扱. うべ き だ と 訴 え る 考 え 方 で あ る 。 一 方 、 強 硬 な 多 文 化 主 義 は. 「寛 容 に 扱 う べ き 」 と い う考 え を 越. え て 、 文 化 的 相 対 主 義 論 を 内 包 す る 。 要 す る に 、 あ る 一 つ の 文 化 は 他 の 文 化 よ り優 れ て い る こ と は 絶 対 に な い と 断 言 す る 。 す べ て の 文 化 は 平 等 で あ り、 同 様 の 価 値 を 持 つ 。 強 硬 な 多 文 化 主 義 者 は 、 相 違 を 尊 重 す べ き だ け で は な く 、 促 進 さ せ る 義 務 が あ る と 主 張 し て い る 。 現 代 イ ギ リス で は 、 強 硬 な 多 文 化 主 義 の 特 徴 が 自治 体 の 政 策 な どに 散 見 され る。. 2.イ. ギ リス に お け る 多 文 化 主 義 の 歴 史. ヨ ー ロ ッ パ 大 陸 か らや っ て 来 た ケ ル ト族 を 持 ち 出 す ま で も な く 、 イ ギ リ ス に は 古 く か ら い ろ い ろ な 民 族 が 入 っ て き た 。 し か し 、 現 在 の 多 文 化 主 義 国 家 へ の 道 の 起 点 は1948年6月21日 き る 。 西 イ ン ド諸 島 の 黒 人 移 住 者 約500人. を 乗 せ た 移 民 船SS. を 下 ろ し た こ の 日 は 、 イ ギ リ ス へ の 大 量 移 民mass 第 二 次 世 界 大 戦 後 は 、 英 帝 国 の 植 民 地 と 、1947年. Empire. immigrationの. Windrushが. と設 定 で. ロ ン ドン の 港 に 碇. 始 ま り だ と み な され て い る 。. に 独 立 し た イ ン ドな ど の 元 植 民 地 か ら 、 大 勢. の 移 民 が イ ギ リス に や っ て 来 て 、 戦 後 復 興 の 大 切 な 労 働 力 とな っ た。 ロ ン ドンの バ ス 運 転 手 や 、 1948年. に 誕 生 し た 国 民 健 康 保 険 制 度(NHS)の. 病 院 で 働 く看 護 師 が 、 ジ ャマ イ カ な どで 積 極 的 に. 募 集 され た 。 これ らの 移 民 は深 刻 な 人 手 不 足 を補 うた め に 招 待 され た が 、 住 み 慣 れ た 暖 か い 国 を離 れ 、 イ ギ リ ス に 渡 っ た 移 民 を 持 っ て い た の は 感 謝 を 込 め た 歓 迎 で は な く 、 露 骨 な 差 別 で あ っ た 。 イ ギ リス 式 の 教 育 を 受 け 、 英 帝 国 の た め に 戦 っ た 一 人 の バ ル バ ドス 島 人 は 、BBC(英. 国 放 送 協 会)ラ. ジオ. の イ ン タ ビ ュ ー で 移 民 した 当初 の 体 験 に つ い て こ う証 言 した 。. 1947年 に 復 員 兵 と して イ ギ リス に戻 っ た と き、 街 に は 「 貸 し部 屋:た. だ し黒 人 、 イ ン ド人 、 ア イ ル ラ ン. ド人 、 ま た は 犬 は 断 り」 と書 い た 張 紙 が 至 る 所 にみ られ た。 白人 に 最 初 に 聞 かれ るの は 「ア フ リカ の ど こ か ら来 た か?」. とい う質 問 だ。 私 が 「西 イ ン ド諸 島 」 と答 え る と、 白人 は 「 西 イ ン ド諸 島 」 の こ と を 聞 い. た こ と も な い し、 私 た ち の こ とに つ い て 何 も 知 ら な か っ た 。 そ して 、 好 奇 心 か ら 「英 語 を ど こ で 勉 強 した か 、 木 の 上 に 住 ん で い た か 、 ヨー ロ ッパ に 来 る た め に 尻 尾 を 切 っ た の か 」 と 質 問 攻 め に した(Coming home: home again.BBC. Radio 4,2005,May. 10). こ の よ うな 差 別 感 情 は 暴 力 と し て も 表 れ 、 反 黒 人 暴 動 が1950年. 代 に た び た び 起 き た。 大 量 移 民. に よ り 構 成 さ れ た イ ギ リ ス の 社 会 に は 、 偏 見 と 差 別 が 氾 濫 し て い た 。EM受 HC:host. communityと. け 入 れ 側(以. 降、. 略 称)、 要 す る に 白 人 と の 関 係 を も っ と 円 満 に す る た め に 、 政 府 は 移 民 の.
(3) 数 を 制 限 す る措 置 を1971年 に 取 っ た 。 これ は 、HCに. 「こ れ 以 上 は 移 民 が 流 入 す る こ と は な い 」. と安 心 させ る た め で あ っ た 。 1965年 と1968年 に 相 つ い で 人 種 差 別 に 関 す る 法 律 が で き 、1976年 に は 人 種 差 別 禁 止 法Race Relations Actが 成 立 した 。 同 法 律 は 、 人 種 を 理 由 に して 、 仕 事 や 住 宅 を拒 む こ とを 禁 止 す る法 律 で あ る。 差 別 的 な 行 動 を 制 限 す る こ とに よ っ て 、 人 種 間 の 摩 擦 を 減 ら し、 長 期 的 にHCの 意 識 変 化 を起 こす こ と も見 込 まれ て い た 。 多 文 化 主 義 の 土壌 作 りは この1976年 の 法 律 で 躍 進 した と言 え る。.
(4) 3.マ. イ ノ リテ ィ に配 慮 す る社 会. 筆 者 の 幼 児 時(1970年. 代 頃)は. 、 黒 人 や イ ン ド人 な ど のEMの. 話 し方 や 人 種 的 な 特 徴 を 笑 い も. の にす る コ メデ ィア ン が イ ギ リス の テ レ ビに よ く 出 て い た。 ま た 、 黒 人 に扮 した 白人 の バ ラ エ テ ィ シ ョ ーThe Black and White Minstrel Showが し か し 、1980年. テ レ ビで 放 映 され て い た こ と も は っ き り覚 え て い る。. 代 か ら 、 こ の よ うな 直 接 的 、 あ る い は 間 接 的 に 人 種 へ の 偏 見 を 示 唆 す る番 組 は 消. え て い っ た 。BBCは1978年. にThe Black and White Minstrel Showの. 放 送 を や め て い る。 これ は 、 イ. ギ リス が 差 別 を容 認 す る よ うな 社 会 で は な くな っ て い くひ とつ の 証 と い え る。 だ が 、 す べ て の 文 化 が 繁 栄 で き る よ うな 多 文 化 主 義 社 会 を 作 る た め に は 、 差 別 の 抑 制 は 第 一 歩 に す ぎ な い 。 次 に 大 切 な の は 、 受 け 入 れ 側 の 文 化 を 押 し 付 け る こ と な く 、EMの の 文 化 を 積 極 的 に 促 進 す る こ と で あ る 。 そ うす る こ と に よ り 、EMを にEMに この. 言語 、宗教 な ど. 優 先 して い る とい え る ほ ど. 配 慮 す る社 会 が 築 き上 が る。 「配 慮 」 が ど の よ う に 実 現 さ れ て い っ た か に つ い て は 後 述 す る が 、 筆 者 の 実 家 が あ る ロ ン. ド ン のCamden区. が 、 行 政 サ ー ビ ス と し て 行 っ て い る 「コ ミ ュ ニ テ ィ ー 講 座 」 を 見 る と マ イ ノ リ.
(5) テ ィ へ の 配 慮 の 細 か さが 伺 え る。. 4.多. 文 化 主 義 が 問 題 視 され て い る理 由. タ ブ ロ イ ド新 聞 は 、 多 文 化 主 義 が 浸 透 させ た とい わ れ るPC:Political Correctness、 す な わ ち差 別 的 な意 味 合 を持 つ 、 も し くは 、 そ の よ うに解 釈 で き る よ うな 言 動 を制 限 す べ き との 考 え 方 を含 むEMに 一方. 対する 「 過 剰 な配 慮 」 と、 さ らに そ れ に 関 連 す る政 策 を 非 難 す る こ とが 多 い 。 、 多 文 化 主 義 を攻 撃 す る政 党 は 、伝 統 的 に保 守 党 の政 治 家 で あ る。 例 え ば 、1990年 に サッ. チ ャ ーThatcher政 権 の 貿 易 産 業 大 臣Norman. Tebbitは 、 パ キ ス タ ン人 は パ キ ス タ ン の ク リケ ッ トチ. ー ム で は な く、 受 け 入 れ て くれ た 国 へ の 忠 誠 心 の 証 と して 、 イ ギ リス の チ ー ム を 応 援 す べ き だ と 述べ た。 イ ギ リス 市 民 で あ る 限 り、EMは. 母 国 で はな く 「 イ ギ リス の 習 慣 に従 い 、 言 語 を話 す べ き だ 」. と の 意 味 も含 有 した こ の ク リ ケ ッ トcricket test発言 は 、 当 時 、 特 に 進 歩 派 か ら反 発 を 買 っ た 。 と こ ろ が 、 最 近 、 以 前 、 多 文 化 主 義 の推 進 役 と考 え られ て き た 進 歩 自 由 主 義 か ら も、 多 文 化 主 義 へ の 疑 問 や 非 難 を 表 明 す る 人 が現 れ て き た。 以 下 で は 、 進 歩 自 由 主 義 の 見 解 を含 め な が ら、 多 文 化 主 義 が どの よ うに再 考 され て い る か を分 析 す る。. (1)文. 化的相 対 主義 と寛容 性へ の疑 問. 学 問 の 世 界 で 特 に 注 目 され た の は 政 治 学 者Brian Barryで あ る。Barryは 、 多 文 化 主 義 の 根 源 で ある 「 文 化 」 の 聖 な る位 置 を 正 面 か ら否 定 す る。 例 え ば 、 強 制 的 結 婚enforced marriagesや 女 性 割 礼FGMの. よ うに 女 性 を抑 圧 す る 慣 習 が 、 西 洋 に い る 、 あ るEMの. を取 り上 げ 、EMの. コ ミ ュ ニ テ ィで 続 い て い る こ と. 文 化 だ か ら見 守 るべ き だ と主 張 す る多 文 化 主 義 者 に 対 して 、 これ は 決 して 容. 認 す る よ うな 文 化 で は な い と述 べ る。 い く ら 「 文 化 」 だ と い っ て も 、 普 遍 的 に受 け 入 れ るべ き で は な い 慣 習 が あ る とい うの がBarryの 論 拠 で あ る。. そ こに住 んで い る人 々の宗教や規 範 が何 で あるかに関 わ らず 、すべ ての社会 に有効 で あ り、一般 的 な思.
(6) 考 の プ ロセ ス に よ っ て 到 達 し うる 、社 会 と政 治 体 制 を 判 断 す る こ との で き る普 遍 的 な 基 準 が あ る(Barry, 2002,. p.227)。. さ ら にBarly(2002,. p.266)は. 、 文 化 の 優 劣 を評 価 す る 基 準 が 存 在 す る こ と を否 定 して い る と. 同 時 に 、 全 て の 文 化 が 均 一 な 価 値 を持 つ との 多 文 化 主 義 の 考 え は 矛 盾 で あ る と指 摘 して い る。 多文化 主義者 が 奨励す る. 「寛 容tolerance」. も矛 盾 を 伴 う も の で あ る 。 た と え ば 、 同 性 愛 者 は マ. イ ノ リテ ィ で あ る た め 対 等 に 扱 うべ き で あ る 。 し か し 、 イ ス ラ ム 教 の 同 性 愛 者 は 自 分 の コ ミ ュ ニ テ ィ か ら の 差 別 と 迫 害 を 恐 れ 、 自 分 の 本 当 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 隠 さ な け れ ば な ら な い(Hoyle, 2006)。. イ ギ リ ス の イ ス ラ ム 教 徒 を 代 表 す る 団 体The. Muslim. Council. of Britainの 目 的 の 一 つ は. 「イ. ス ラ ム 教 徒 が 遭 遇 す る す べ て の 社 会 的 不 利 と差 別 を 根 絶 す る た め に 努 め る こ と 」 と ホ ー ム ぺ 一 ジ に 謳 っ て い る(MCB)。 BBCラ 2006)。. し か し な が ら 、 同 団 体 の 議 長 で あ るIqbal. ジオ の 番組 で 同性 愛 は. Sacranieは2006年. の1月6日. の. 「許 す べ き で は な い 」 「社 会 へ の 弊 害 だ 」 と 述 べ た(Sandeson,. こ の よ う に 他 の マ イ ノ リテ ィ を 差 別 す る マ イ ノ リテ ィ を 寛 容 に 扱 う と 実 質 的 に 差 別 を 容. 認 す る こ と に な りか ね な い 。. (2)不. 平 等 と対 立 を生 む 多 文 化 主 義. 先 のBarryは. 、 多 文 化 主 義 は 社 会 を 公 平 にす る た め に 普 及 が す す め られ た イ デ オ ロ ギ ー で あ る. は ず だ が 、 そ の 反 対 の 効 果 を も た ら した と 主 張 す る。 健 全 な 社 会 で は 、 文 化 的 な違 い を 考 慮 せ ず に 資 源resourcesを. 平 等 に 分 配 す る こ と が で き る が 、 多 文 化 主 義 が 浸 透 す る と 複 数 のEMは. 得 に 必 死 に な る と い う。 あ るEMの 支 配 す る よ う に な る の はBarryの. 資源 獲. 認 知 度 を 上 げ れ ば 、 よ り沢 山 が も ら え る 仕 組 み に な っ て お り、. い う認 知 の ポ リ テ ィ ク スpolitics of recognitionで あ り 、 正 義 に 基. づ い た 分 配distributive justiceで は な い 。 結 果 と し て 、 認 知 度 の 低 い 低 賃 金 層 の 状 況 改 善 が 進 ま な い の み な らず 、 資 源 を 巡 るEMの. 奪 い 合 い が 社 会 的 な 分 裂 を 引 き 起 こ す 。 実 は 、2005年11月. ギ リス 北 部 の 市BirminghamのLozells区 そ れ は 、 政 府 の 特 別 予 算Single. にイ. 域 で 黒 人 と ア ジ ア 人 との 間 に 衝 突 と暴 動 が 起 きた の だ が 、. Regeneration. Budgetを. 巡 る 獲 得 競 争 に も原 因 が あ っ た と報 道 され. た(John,2006)。 従 来 、 「ア ジ ア 人 Asian」. は 、 バ ン グ ラ デ シ ュ 、 パ キ ス タ ン 、 イ ン ド、 ス リ ラ ン カ な ど の 背 景. を 持 つ 人 が 利 用 し て い た 総 合 的 な 呼 び 方 で あ っ た 。 し か し 、 「ア ジ ア 人 」 と 自 称 す る よ り 、 自 分 の 出 身 地(Kashimiri, ど)に. Punjabi, Tamilな. ど)、 あ る い は 属 し て い る 宗 教(Hindu,. Muslim,. そ く し た 呼 び 方 が 一 般 に な り つ つ あ る 。 こ の 傾 向 の 背 景 に は 、 「9:11」. ム教の. Sikh, Jainな. 以降 、非 イ ス ラ. (2005)が. 「ア ジ ア 人 」 は 自 分 が イ ス ラ ム 教 と は 違 っ た 宗教 で あ る こ と を 強 調 し 、 さ ら にAhmed 指 摘 した よ うに 、 他 の ア ジア 人 との 区 別 を 明 確 にす る こ と に よ り、 自分 た ち の 訴 え に. 人 々 の 目 を 向 か せ て 、 限 られ た. 「資 源 の ケ ー キ 」 の よ り 大 き な ピー ス を も ら お う とす る た め で あ.
(7) る。 多 文 化 主 義 の 原 動 力 は 多 様 性 で あ る。 そ の た め 、 資 源 の 分 配 で 多 様 性 を 奨 励 す る と、 社 会 対 立 と 分 裂 に 繋 が る 可 能 性 が あ る 。 ま た 、Corona(2005)に. よ る とEMの. 認 知 度 合 い は 、 そ れ ら の集. 団 が 被 つ て い る 迫 害 度 合 い に 比 例 す る 。 迫 害 さ れ て い る こ と を 認 め て も ら う た め にEMは. 自分 の. 「メ ン バ ー 」 は い か に 不 利 な 状 況 に 置 か れ て 、 差 別 さ れ て い る の を 訴 え る 。 「 被 害者 」 は有利 な レ ッ テ ル で あ る た め に 、 イ ギ リス の 恥 ず ベ き 歴 史 、 例 え ば 、 英 帝 国 下 の 植 民 地 の 搾 取 、 奴 隷 制 度 な ど を 蒸 し 返 す こ と も あ る 。 必 然 的 にHCは. 加 害 者oppressor的. な 存 在 と な り 、EMとHCの. 間 に. 「憎 しみ と 恨 み の 悪 循 環 」 が 定 着 す る 。 結 局 、 こ の 被 害 者 化 過 程victimization processは 移 民 の 統 合 を 妨 げ る 。Coronaは. 以 下 の よ うに 書 い て い る。. 照 準 は 過 去 に 定 め られ 、(中 略)移. 民 は 悲 しみ と苦 しみ に は らん だ 過 去 を 強 調 す る よ うに促 され て い る。. 過 去 に 訴 え か け る こ とに よ っ て 権 利 は 与 え られ る が 、 受 入 れ 国 へ の 責 任 を課 せ られ る こ と は な い か らだ (Corona, 2005, P.2)。. (3)失. 敗 した 統 合. 政 治 雑 誌Prospect Magazineの を 壊 す と い う趣 旨 の 記 事. 編 集 長 で あ るGoodhart(2005)は. 「多 様 性 過 ぎ る?"Too . 、過 剰 な多 様性 は社会 的 な団結. diverse?"」 を2004年. に 執 筆 した 。 彼 に よ る と大. 量 移 民 は 経 済 的 ・社 会 的 な 活 性 化 を も た ら す が 、 多 様 性 だ け が 増 し 、 「We」 と い う共 通 の 市 民 性 を 同 様 に 強 化 し な い と 、 相 互 的 な 義 務 感mutual obligationが 崩 れ て い き か ね な い と 述 べ る 。 そ う な る と 「皆 の た め 」 の 病 院 や 学 校 な ど へ 、 税 金 を 通 し た 支 払 い を 渋 る よ う に な り、 福 祉 国 家 の 存 続 が 危 う く な る と 論 じ る 。 多 様 に 富 ん だ ア メ リカ は 希 薄 な 福 祉 制 度 を し か 持 っ て い な い が 、 比 較 的 に 多 様 性 が 低 い ス ェ ー デ ン で は 手 厚 い 福 祉 制 度 を 提 供 で き る と指 摘 し て い る 。 2001年. の 春 と 夏 に 、 イ ギ リ ス 北 部 の3つ. の 市 、Bradford、 Oldham、 Burnleyで. は 主 にイ ス ラ ム. 教 パ キ ス タ ン 系 住 民 が 白 人 との 間 に 暴 動 を 起 こ した 。 そ の 暴 動 の 原 因 を 追 求 す る た め に 委 員 会 the Community. Cohesion. Review. Teamが. 設 置 され た 。 同 委 員 会 が 明 らか に した の は 、 白人 とパ キ. ス タ ン 人 の コ ミ ュ ニ テ ィ の 間 に ほ と ん ど接 点 が な い こ と で あ る 。 学 校 、 職 場 、 慈 善 活 動 の 場 は 別 々 で 、 互 い の 文 化 に も 非 常 に 疎 い こ と が 浮 き 彫 り に なっ た 。 イ ギ リ ス の パ キ ス タ ン と バ ン グ ラ デ シ ュの コ ミ ュニ テ ィ は が 報 告 し た(Mcghee, . 「平 行 の 生 活 を 送 っ て い る operate on a series of parallel lives」 と委 員 会. 2005)。. 委員 会 は、 この事実上 の人種隔離 状態 を改善す るた めに cohesion」. 「コ ミ ュ ニ テ ィ 結 束 community. を 促 進 さ せ る 措 置 を 取 る の が 緊 急 課 題 で あ る と勧 告 し た 。 こ の. 「コ ミ ュ ニ テ ィ 結 束 」. を 弱 め た 最 大 な 要 因 は 、 「多 様 性 が 過 剰 に 強 調 さ れ て き た か ら 」 で あ る と 委 員 長 で あ るCantelが 述 べ て い る 。 多 文 化 主 義 の 草 分 け 的 存 在 で あ るCantelで. も 、 こ の40年 余 り は 社 会 的 な. 「接 着 剤 」. で あ る 共 通 の 市 民 性 と価 値 観 が な お ざ り に さ れ て き た と述 べ て い る 。 そ の た め 多 文 化 主 義 を. 「見.
(8) 直 す 時 期 が や っ て き た 」 と ラ ジ オ で 発 言 し た(BBC 多 文 化 主 義 の 下 でEMの. 統 合 が 失 敗 し た と い う仮 説 failed integration hypothesisは. 民 政 策 に 強 い 影 響 を 与 え た とMcGheeが Cante1の 報 告 書 を 受 け. Radio 4, You and Yours, October. 指 摘 す る(McGhee、2005)。. 「多 様 性 の な か の 統 合Integration. 想 的 な 状 況 と 述 べ た 。EMは. 10, 2005)。 、 国 の 移 民 ・難. 労 働 党 の 元 内 相Blunkettは. with diversity」 は イ ギ リ ス が 目指 す べ き 理. 独 自の ア イ デ ン テ ィテ ィ を 失 わ な くて も社 会 的 統 合 は 構 築 で き る。. しか し 、 ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 表 現 よ り も 上 位 に 、 共 通 の 権 利 と 義 務 と い う枠 が あ る べ き で あ る と Blunkettは 説 明 し て い る. 〈"What does citizenship mean. today?". 2002>。. 「文 化 的 な ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 達 成 す る の は 人 間 に と っ て も っ と も 重 要 な こ と な の で 、 多 文 化 社 会 で は 互 い の 慣 習 を 尊 敬 し 合 い 、 一 つ の 文 化 的 な 規 範social normを. 他 の 社 会 的 集 団 に 押 し付 け. る べ き で は な い 」 と い う の は 多 文 化 主 義 者 が 主 張 す る も の で あ る 。 こ れ に 対 し て 、Blunkettは 化 で あ っ て も 容 認 に は 限 度 が あ る と 強 く訴 え た 。2001年. 文. の イ ン タ ビ ュ ー 記 事 で 次 の よ うに 述 べ て. い る。. 強 制 結 婚(中. 略)、 女 性 性 器 切 除 な どア フ リカ で は 容 認 され る慣 習 は 、 イ ギ リス で は容 認 で き な い。 『文. 化 の 違 い』 と見 せ か け て も、 我 々 は 寛 大 に扱 うべ き で は な い も の を 容 認 す る こ と で き な い と明 言 す る必 要 が あ る。 我 々 に は 容 認 可 能 の 規 範noms べ きだ と考 え る(Brown. of acceptabilityがあ り、 我 々 の 家 に入 る人 が そ の 規 範 を 受 け入 れ る. ,2001)。. 「ロ ー マ に 入 れ ば ロ ー マ の や り方 に 従 え(日. 本語では. 「郷 に 入 れ ば 郷 に 従 え 」)と い う こ と わ. ざが あ る。 お そ ら く、 こ の こ とわ ざに 多 文 化 主 義 者 は 抵 抗 を感 じ るで あ ろ うが 、 現 在 の イ ギ リス に と っ て 、 必 要 な 概 念 で あ る とBlunkettは れ て くれ た 2002年. 考 え て い た 。 移 民 の 統 合 を 促 す の に 少 な く て も受 け 入. 「ロ ー マ 」 の 習 慣 を 知 る こ と と 「ロ ー マ 言 」 を 話 せ る こ と は 不 可 欠 で あ る 。 そ し て 、. の 新 法 律The. Nationality, Immigration. and Asylum. Actに よ り 、Blunkettの. 哲 学 が形 と な っ た。. とい うの は 、 同 法 律 で は イ ギ リス 国 籍 を取 得 す るた め に英 語 能 力 試 験 とイ ギ リス の 生 活 に つ い て の テ ス トに 合 格 し な け れ ば な ら な い こ と に な つ た た め で あ る 。 さ ら に 、 試 験 に 合 格 し た 人 は 役 場 な ど で 開 催 され る 筆 者 は 、2005年 Ceremonyを. 「新 市 民 式 Citizenship Ceremony」. に も 参 加 す る こ と が 義 務 づ け られ た(注3)。. に ロ ン ド ン の 区 役 場 の 一 つ のCamden. 傍 聴 し た 。 市 長 の 挨 拶 の 後 、 約60人. の. Town. Hallで90分. の 新 市 民 式Citizenship. 「新 市 民 」 が 国 旗 と エ リ ザ ベ ス 女 王 の 写 真 の. 前 で 英 国 歌 を 斉 唱 し、 一 人 ず つ 君 主 と 国 家 へ の 忠 誠 を 誓 う言 葉 を 読 み 上 げ た 。 以 前 は 官 僚 的 な 手 続 き を 済 ま す だ け で 国 籍 取 得 が 出 来 た が 、 「イ ギ リ ス の 市 民 に な る こ と は 意 義 の あ る 、 め で た い "人 生 の 節 目"で (Home. あ る 」 こ と に 変 え る た め に 式 を 導 入 し た とBl. unkett(2004,p.11)は. 述 べ た。. Office,2004)。. イ ギ リ ス 育 ち の 筆 者 に と っ て も 、 国 の 象 徴 が 一 つ の 行 事 に そ れ ほ ど 凝 縮 され て い る の を 実 際 に 見 た の は 初 め て で あ る 。 そ し て 、 筆 者 は 移 民 た ち が 国 旗 の 前 で 国 歌 を 歌 う光 景 に 違 和 感 を 覚 え た 。.
(9) と い うの は 、 サ ツ カ ー フ ー リ ガ ン と 右 翼 の イ メ ー ジ が 思 い 浮 か ん だ か ら だ 。Blunkettは. 「我 々 は. 長 す ぎ る 期 間 、 愛 国 主 義patriotismを 極 端 主 義 者 に 譲 っ て い た 」 と 述 ベ て い る(Blunkett, . 2005)。. 統 合 を 図 る ツ ー ル と し て 国 旗 ・国 歌 な ど の 国 の 象 徴 を 浄 化 さ せ 、 活 用 す る ね ら い がCitizenship Ceremonyに. 5.多. あ る と も言 え る。. 様 性 への過敏 症. 「多 様 性 ト レ ー ニ ン グ Diversity Training」 は 、 異 な る 文 化 を 深 く 理 解 し 、 人 種 を は じ め とす る ベ て の 差 別 を 無 くす た め の 教 育 で あ る 。 白 人 が 必 ず し も 気 づ い て な い 内 在 的 な 偏 見 に 気 づ か せ る た め に ロ ー ル プ レ ー イ ン グ な ど が 行 わ れ る 。 一 方 、EMの. 人 は 白人 の 差 別 的 な 言 動 に敏 感 に な る. よ うに 指 導 さ れ る 。 イ ギ リ ス で は 、 中 央 政 府 と 自治 体 の す べ て の 職 員 は2000年 に. か ら法 律 で 定 期 的. 「多 様 性 トレ ー ニ ン グ 」 に 参 加 し な け れ ば な ら な い こ と に なっ た 。 差 別 を 排 除 し た 調 和 の 取 れ. た 職 場 に す る た め の 教 育 で あ る が 、 か え っ て 、EMと. 白 人 の 間 で 不 信 感 が 生 まれ 、 トレー ニ ン グ. 前 に は な か つ た 人 種 的 な 違 い に よ る 亀 裂 も で き る こ と が 多 い と 報 道 さ れ て い る(BBC . Radio 4.. The Business of Race, 12 December, 2005)。 市規模 で. 「多 様 性 ト レー ニ ン グ 」 と 同 様 な 目 的 を も つ 施 策 を 導 入 す る と ど う な る の か 。 イ ギ リ. ス 北 部 のOldham市 motivated. で は 、1990年. 代 半 ば か ら 、 警 察 は 人 種 差 別 的 な 動 機 に よ る 犯 罪racially. crimeに 対 す る 意 識 を 高 め る た め の 取 り組 み に 乗 り 出 し た 。 差 別 を 根 絶 す る 姿 勢 を 示 そ. う とす る 警 察 官 は 、 そ の 根 拠 の 有 無 に 関 係 な く 白人 と ア ジ ア 人 の 間 に お き た す べ て の 犯 罪 を "raciall y motivated. crime"と. して 処 理 した。 ま た 、 市 の学 校 や 図 書 館 で は 白人 の 子 供 は い か に ア. ジ ア 人 の 文 化 が 異 な っ て い る か に つ い て 学 ん だ。 Mirza(2004)はOldham市. の 多 様 政 策diversity. policiesは 結 果 的 に ア ジ ア 人 と 白 人 の コ ミ ュ ニ テ. ィ の 人 種 的 ・文 化 的 な 違 い ば か り を 強 調 し 、 対 立 を 悪 化 さ せ た と 論 じ る 。2001年. にOldham市. で. 起 き た 白 人 と ア ジ ア 人 の 間 の 暴 動 は 、 多 様 政 策 の 失 敗 の た め と い う よ り、 当 た り前 の 産 物 か も し れ な い。. 6.悔. 恨 と恐 怖 に満 ち た 沈 黙 の 文 化. 多 文 化 主 義 の 定 着 に 欠 せ さ な い の がPC:political 別 的 な 言 動 を や め さ せ る た め に 、1970年. correctnessで あ る 。 マ イ ノ リテ ィ に 対 す る 差. 代 頃 か ら推 進 さ れ て き た こ の イ デ オ ロ ギ ー は 、 確 か に 表. 向 き の 差 別 を 無 く す こ と に 成 功 し た 。 し か し 、 著 し い 社 会 進 出 を 遂 げ たPCは 意 見 を 抑 制 し て い る 鉄 の 帯 に 進 化 した 」 とCorona(2005)に. 「イ ギ リ ス 国 民 の. よ り称 され て い る 。. PCが 行 き 過 ぎ た 社 会 で は 、 「人 種 差 別 主 義 」 と い う烙 印 を 押 さ れ る の を 恐 れ る た め に 、 他 文 化 につ い て 否 定 的 な発 言 を 避 け 、 建 設 的 な 議 論 が 交 わ せ な くな る。 具 体 的 に 次 の 例 が あ る。.
(10) 1)パ. キ ス タ ン コ ミュ ニ テ ィ で は 、 実 の い と こ と結 婚 す る 習 慣 が あ る。 これ は 、 イ ギ リス 系 パ キ. ス タ ン 人 の 間 で 生 ま れ た 子 供 が 高 い 確 率 で 劣 性 遺 伝 疾 患 を も つ 要 因 だ と証 明 され て い る 。 す な わ ち 、 劣 性 遺 伝 疾 患 を も つ 全 国 の 子 ど も の う ち 、30%は. パ キ ス タ ン 系 イ ギ リス 人 で あ る。 パ キ. ス タ ン 文 化 と み ら れ る こ の 結 婚 習 慣 の 是 非 に つ い てPCの こ な か っ た と 労 働 党 の 議 員Ann Cryerは 述 ベ て い る(Butt, 2)政. 府 のHIV対. 策 に お い て も 、 真 実 よ りPCの. し て い る 。 増 加 し て い るHIVは. た め に議 論 す べ き 問 題 が 議 論 さ れ て 2005)。. ほ う が 優 先 さ れ て い る とBrowne(2006)が. 「 若 者 の 無 防 備 な セ ッ ク ス 」 に よ る も の だ と 公 表 され て い る が 、. 増 加 の 主 な 原 因 で あ る 感 染 し た ア フ リ カ の 移 民 の 問 題 に 触 れ ら れ て い な い("PC harming 3)さ. 指摘. thinking is. society",2006)。. き に2005年. の 二 つ のEMは. にBirmingham市. で 黒 人 と ア ジ ア 人 の 間 で 起 き た 暴 動 に つ い て 紹 介 した が 、 こ. 以 前 か ら 互 い に 憎 し み と 偏 見 を 持 ち 合 っ て い た 。BBCラ. ジ オ 番 組 が 報 道 した と. こ ろ に よ る と 、 日 常 的 に 差 別 が 蔓 延 し て い た と い う。 例 え ば 、 パ キ ス タ ン 人 の 店 に 入 っ て い る 黒 人 は 必 要 以 上 に 監 視 さ れ 、 お 釣 を 渡 す 時 に 直 接 手 に 渡 し て く れ な い(BBC Battle of Lozells. 2005 うな. December. 12)。 同 番 組 に 出 たMarian. とい う。 イ ギ リス で は. 4.The. Fitzgeraldに よ る と市 の 職 員 が こ の よ. 「白 人 に よ ら な い 差 別 」 を 管 理 職 に 報 告 し よ う と し た が 、EM同. で 差 別 主 義 者racistと 呼 ば れ か ね な い 。 だ か ら2005年. Radio. 土の 差別 に言 及す るだ け. の 暴 動 ま で 問 題 視 され る こ と は な か っ た. 「多 様 性 ト レ ー ニ ン グ 」 な ど 、 人 種 問 題 の 解 決 の た め の プ ロ グ ラ ム を 提. 供 す る こ と で 収 益 を 上 げ る 人 種 関 係 産 業 race-relations industryが 興 っ て い る 。 人 種 関 係 産 業 の 通 説 で は 、 差 別 主 義Racismは EMに. は 権 力powerが. 偏 見Predjudiceと. 権 力Powerを. 足 し合 わ せ た も の で あ る 。 そ して 、. 所 在 しな い と 見 られ るた め 、 実 情 に 目を 向 け よ う と しな い の だ 。. Fitzgeraldに よ る と 「偏 見 を 抜 き 出 す こ と の で き る 」 多 様 性 ト レ ー ニ ン グ は 、 こ の 通 説 を 柱 に して い る 。 そ の た め 、EM同. 土 の 差 別 が 認 め られ る と 、 「利 益 の あ が る 」 多 様 性 ト レ ー ニ ン グ が. 疑 わ れ る よ う に な る 。 通 説 を 継 続 し た い 既 得 権 益 者 に とっ てPCは. 便 利 な口 封 じ の よ う だ 。. 多 文 化 社 会 に は 多 様 な 生 き 方 や 信 念 が 存 在 す る 。 そ れ ら を 比 較 し議 論 す る こ と に よ っ て さ ら に 普 遍 的 な 価 値 観 と 信 念 が 生 み 出 せ る 可 能 性 が あ る に も か か わ ら ず 、PCの. 名 の 下 で こ う した 議 論. が 抑 え 付 け ら れ て い る 。 せ っ か く の 多 様 性 が 新 文 化 を 作 り 出 す こ と に 活 用 され て い な い 。. 7,多. 文 化 主 義 を 逆 手 に 取 る 「愛 国 主 義 者 」. 多 文 化 主 義 は 寛 容 で 包 括 的inclusiveな 社 会 を 構 築 す る た め に 導 入 さ れ て き た と 一 般 に 考 え ら れ て い る 。 差 別 を 違 法 化 し 、PCが 人 種 とエ ス ニ ッ ク な 違 い を. 定 着 す る こ と に よ り、 露 骨 な 差 別 は 確 か に 減 っ て き た 。 しか し、. 「寛 大 に 見 よ う 」 と い う こ と に と ど ま ら ず 、McKinstry(2005)が. 摘 す る よ うに 、 実 際 に 多 文 化 主 義 の も とで は そ の 違 い に. 指. 「執 拗 な ほ ど に こ だ わ り 」、 「行 政 体 制 」.
(11) に ま で 反 映 させ よ う と試 み ら れ て い る 。 人 種 的 な 違 い に こ だ わ る と 次 の よ う な 政 策 が 導 入 さ れ る こ とに な る。. 1.イ. ギ リ ス の 政 府 に 定 め られ た 目 標 で は 、 ロ ン ドン 警 察 は2009年. 在 の7%か. ら25%に. ま で にEMの. 警 官 の割 合 を現. 増 や さ な け れ ば な ら な い 。 こ れ は ロ ン ドン の 人 口 構 成 を も っ と 正 確 に 反 映. す る た め の 目標 で あ る 。 そ の た め 、EMの 男 性 は ロ ン ドン 警 察 に 入 る ま で に3年. 応 募 は 優 先 的 に 処 理 され て い る の に 対 し て 、 白 人 の. も 待 つ こ と に な る("White . men `waiting list' for met".. 2005)。 2.イ. ギ リ ス の 芸 術 委 員 会Arts Councilが. と な っ て い る 。 「黒 人 」 か. 「マ イ ノ リテ ィ 」 と 自 称 す る 美 術 団 体 は 、 全 体 の 美 術 団 体 の10%に. も の ぼ っ て い る 。(McKinstry, 3.140以. 2005)。. 上 の 黒 人 と マ イ ノ リテ ィ の た め の 住 宅 建 築 購 入 組 合 が あ る 。 事 実 上 、 人 種 を 基 準 に 住. 宅 を 提 供 して い る(McKinstry, 4.一. 公 的 資 金 を美 術 団 体 に支 給 す る際 、 人 種 が 重 要 な 条 件. 2005)。. つ だ け の マ イ ノ リ テ ィ に 提 供 す る 福 祉 サ ー ビ ス が 増 え つ つ あ る 。 例 え ば 、 「ソ マ リ ア の 若. 者 の 麻 薬 常 習 者 に 取 り 組 む 相 談 員 」 が ロ ン ド ン の 自 治 体 に よ り 募 集 さ れ 、 そ の 広 告 がThe Voiceと い う黒 人 向 き の 新 聞 に 掲 載 さ れ た(The. McKinstryに. voice. 2005, December. 19)。. よ る と こ の よ うな 文 化 と人 種 を 中 心 に位 置 づ け る政 策 は 、 共 通 の 帰 属 感 を妨 害 す. る だ け で は な く 、 「EMの 特 別 扱 い 」 と し て 解 釈 さ れ る と 不 満 と 怒 りresentmentが. 生 ま れ る と い う。. 社 会 的 ・経 済 的 に 比 較 的 に よ く 統 合 さ れ て い る と 見 ら れ て い る 、 さ き に 紹 介 し たLeicester市 え も 、 同 市 局 が 実 施 し た 調 査 に よ る と 、 低 賃 金 労 働 階 級 の 白 人 コ ミ ュ ニ テ ィ で は 、EMの. でさ. 隣人 に. 対 し て 、 「懸 念 す べ き 程 の 敵 対 心 が 存 在 す る 」 と い う。 こ の 敵 対 心 は 、 ア ジ ア 人 の コ ミ ュ ニ テ ィ ば か り に 公 的 な 資 源 が 投 入 さ れ て い る と感 じ られ て い る こ と に よっ て い る(Bowley,2005)。 2002年 "N. の 地 方 選 挙 で 、1970年. ationalist"が. Cohen(2005)が. 代 以 来 、BNP:British . National Partyと い う愛 国 主 義 的 右 翼 政 党. 高 い 得 票 を 得 た。 同 党 の 人 気 上 昇 は 、 こ の 白人 の 不 平 に 付 け込 ん で 得 た も の と 指 摘 す る 。BNPの. 主 な 目 標 は 、EMを. 「任 意 的 に 祖 国 へ 送 還 さ せ 、1948年. の イ ギ リ ス 人 口 構 成 に 戻 す こ と 」 と い う。 し か し 、 イ ギ リ ス を と 希 望 し て い るBNPに (2003)が BNPが. 以前. 「白 人 族 」 だ け の 土 地 に す る よ う. と っ て も 、 多 文 化 主 義 の 理 論 は 彼 ら の 弁 解 と し て 利 用 で き る とMalik. 論 じ る。 以 前 は露 骨 な人 種 差 別 的 な ス ロー ガ ン の も とで 活 動 す る党 で あ っ た が 、 今 は. イ ギ リス の. 「文 化 」 と 「白 人 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ 」 を 守 りた い と い う不 満 を 持 つ 白 人 に も. つ と も受 け 入 れ や す い 組 織 に 変 身 した の で あ る。 BNPの. ホ ー ム ぺ 一 ジ で 勧 め ら れ て い る 書 籍 の 一 つ に 、Tony Linsell著"An . が あ る 。 こ の 本 の 論 旨 はBNPの. 哲 学 と 一 致 す る と こ ろ が 多 い 。Linsellに. English Nationalism". よる と多文 化 主義社 会 で.
(12) は 、EMの "Th. 存 在 が 認 め ら れ 、 そ の 文 化 と マ イ ノ リテ ィ と し て の 権 利 が 擁 護 さ れ て い る 。Linse11は. e English"つ. ま り古 く か,ら イ ギ リ ス に 居 住 す る 白 人 は 独 自 の 歴 史 と 文 化 と 人 種 的 背 景 を 持 つ. エ ス ニ ッ ク 集 団 で あ る と述 べ る 。 し た が っ て 、"The English"と. い う エ ス ニ ッ ク ・マ ジ ョ リテ ィ. の 文 化 と ア イ デ ン テ ィ テ ィ は 、 パ キ ス タ ン や ナ イ ジ ェ リ ア の コ ミ ュ ニ テ ィ と 同 様 に 認 め られ 、 守 ら れ る べ き と い う。 と こ ろ が 、"The English"の ". 文 化 は 、 流 入 し て く るEM、. す な わ ち 開拓 者. settlers"の 数 の 多 さ で 消 滅 さ れ つ つ あ る と 論 じ ら れ て い る 。 文 化 的 な ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 持 つ こ と は 大 切 だ と 多 文 化 主 義 者 は 強 調 す る が 、"The English. Community"の. 存 在 を 認 め て く れ な い 。 「エ ス ニ ッ ク ・ア イ デ ン テ ィ テ ィ に 値 し て な い の は 白 人. だ け 」 とい うの は ま さ に. 「差 別 」 で は な い か と い う よ う な 議 論 を こ の 本 は 展 開 す る 。 こ の よ う に 、. こ の 本 は 多 文 化 主 義 を 排 他 的 な 思 想 の 盾 と して利 用 して い る。 多 文 化 主 義 は 理 論 的 に 差 別 を 正 当 化 で き る 例 も あ る こ と をBarry(2002)も. 説 明 す る 。Banyに. よ る と平 等 の 権 利 の授 与 は 西 洋 文 化 的 な伝 統 で は な く、 近 代 国家 の 樹 立 が も た ら した も の だ とい う。19世. 紀 以 前 の 西 洋 文 化 は 、 タ リバ ンTalibanの. 教 え の 根 源 で あ る 南 ア フ ガ ニ ス タ ン のPashtun. 文 化 と それ ほ ど変 わ ら な い 程 度 の 人 生 管 理 しか 女 性 に 与 え て い な か っ た。 つ ま り、 男 女 平 等 権 利 を 含 む 平 等 権equal normsで. rightsは 西 洋 文 化 の 恵 み で は な く 、 近 代 国 家 が 普 及 さ せ た 普 遍 的 規 範universal. あ る と い う。 こ の 普 遍 的 規 範 は 文 化 を 超 越 す る べ き と 考 え ら れ る 。. 普 遍 的 規 範 の 普 及 は 、 民 族 ・人 種 差 別 に も 対 抗 し て き た 。 し か し 、Barry(2001)が で 詳 し く 例 証 し て い る よ う に 、 多 文 化 主 義 者 はEMが 利 の 免 除exemptions. from. 文化 的習慣 を継続 す るため に男 女平等 の権. equal rightsを 求 め て き た 。 こ の 平 等 権 利 の 免 除 は 民 族 ・人 種 差 別 へ の 戦. い を も 脅 か し か ね な い と い う。 と い う の は 、 差 別 は 古 く か ら 続 い て い る"イ As American. そ の著 書. as apple pie and as British as Bovril"で. も し 、 伝 統 的 な 文 化 の 追 求 の た め 、EMが. あ る か ら だ(Barry. ギ リス ら しい 伝 統. 2002, p.,229>。. した が っ て 、. 女 性 平 等 権 利 の 免 除 を 求 め る な ら 、 白 人The. majority. も 民 族 ・人 種 差 別 と い う 「伝 統 的 な 文 化 」 へ 退 化 した い と 決 心 す る こ と に 対 し 、 マ イ ノ リテ ィ は 反 論 す る 筋 合 を も た な い こ と に な る で あ ろ う。 しか しな が ら 、 前 出 のBNPは. こ の 論 理 を 利 用 し よ う とす る と理 に 叶 わ な い 点 も あ る 。 民 族 ・人. 種 差 別 は イ ギ リ ス の 伝 統 で あ る と 主 張 す れ ば 、 当 然 、 昔 か ら差 別 す る 対 象 が あ っ た こ と に な る 。 よ っ て 、他 民 族 の 存 在 も イ ギ リス の伝 統 文 化 とな る た め で あ る。. 8.空. 白 を 埋 め られ な い 多 文 化 主 義. 多 文 化 主 義 は 多 様 性 を 強 調 しす ぎ た た め 、 国 を ま と め る 要 素 が 犠 牲 に さ れ 、 人 種 と エ ス ニ ッ ク に よ る 分 裂 が 生 じ る と い う 論 点 を 紹 介 し た 。 し か し 、 こ れ と 違 う見 方 が あ る 。 す な わ ち 、 多 文 化 主 義 は 社 会 の ま と ま りの 欠 如 の 原 因 と い う よ り 、 一 つ の カ ム フ ラ ー ジ ュ で あ る と す る 見 方 で あ る 。 Bristow(2004)やHume(2004)が. そ の 論 者 で あ る。.
(13) 多 文 化 主 義 の 到 来 の 背 景 に は 、 イ ギ リス を統 合 す る要 素 の 枯 渇 が あ る。 戦 後 、 イ ギ リス の 植 民 地 が 、 次 々 と独 立 し て き た 。 そ の た め 、 イ ギ リ ス が 誇 り と し て き た 時 に 、 キ リ ス ト教 の 影 響 も 弱 化 が 進 ん だ 。 王 室 やBBCな. 「英 帝 国 」 が 消 え 去 っ た 。 同. ど、 イ ギ リス を構 築 す る 制 度 へ の 信 頼 と. 尊 敬 も 薄 れ て き た。 さ ら に 、 社 会 流 動 性 が 増 し、 階 級 意 識 さ え もイ ギ リス 人 の ア イ デ ン テ ィテ ィ を 形 成 す る 要 素 と して は 弱 ま っ て き た 。 こ の よ うな 傾 向 の た め 、 社 会 の 中 心 か ら は 統 合 性 が 失 わ れ た と い え る。 そ こ で 、 大 量 移 民 を 契 機 に 、 す で に 開 い て し ま っ た 分 裂divisionを 社 会的. 「分 散 atomization」. 「多 様 性 」 と し て 祝 福 し 、. を ア イ デ ン テ ィ テ ィ と し て 美 辞 麗 句 を 飾 り つ け 、 「社 会 統 合 性 の 喪. 失 」 を 良 い こ と の よ う に に 塗 り 替 え よ う と し て き た 。Hume(2004)の. 言葉 で 、多 文 化 主 義 は. 「空 白 を 美 化 す る 」 戦 略 で あ る 。 明 確 な 社 会 的 価 値 を 新 た に 築 く こ と に 苦 労 し て い た. 「エ リ ー. ト」 に と っ て ヽ こ の よ う に 多 文 化 主 義 を 利 用 す る の は 都 合 の よ い こ と で あ っ た(Bristow、2004)。 こ の 中 で 、 イ ギ リ ス の ア イ デ ン テ ィ テ ィBridshness自 (2005)は. 体 が 攻 撃 の 対 象 と な っ て き た とBrowne. 言 う。 例 え ば 、 学 校 で は 、 歴 史 の 授 業 は 国 に 誇 り を 持 た せ る た め よ り 、 罪 の 意 識. a liberal guiltを 植 え 付 け る 手 段 と し て 利 用 さ れ て き た(Browne,2005)。 こ の よ う な 過 程 で 多 文 化 主 義 社 が も た ら し た の は 、 「自 国 を 嫌 う こ と 自 体 が 自慢 に な る 、 世 界 に 珍 しい 国 」 の 到 来 で あ る(Browne,2005)。 2005年. の7・7事. 件 の4人. の 自爆 テ ロ犯 は 、 イ ギ リス 生 まれ イ ギ リス 育 ち で あ っ た 。 先 進 国 の. 中 、 「国 内 生 産 」 の 自 爆 テ ロ 犯 を 作 り 出 し た の は イ ギ リ ス だ け で あ る とBrowneは 4)。. この. 「自 国 嫌 悪self-loathing」. は7・7事. 指 摘 す る(注. 件 の 一 つ の 原 因 とな っ て い る と 主 張 す る。 個 人. の レベ ル で 自 己 嫌 悪 を す る 人 は 、 疎 外 され が ち で あ る と と も に 、 移 民 に 己 を 嫌 う国 に 対 す る 帰 属 感 を 鼓 舞 さ せ よ う に も そ れ は 期 待 で き な い だ ろ う。 Mohammad ス 人British. Sidique. Khanを. 始 め7・7事. 件 の 実 行 犯 の4人. Pakistanisで あ っ た 。 な ぜ 二 世 のBritish. る た め に 取 材 を 行 っ たTaseer(2005)に. の う ち3人. はパ キス タ ン系のイ ギ リ. Pakistanisが テ ロ に 走 っ た の か 、 そ の 理 由 を 探. よ る と 、Browneの. 主 張 と同 様 に 、 そ こ に は イ ギ リス へ の. 帰 属 感 の 欠 如 が あ る と い う。 Taseer自 身 は イ ン ド とパ キ ス タ ン 人 の 両 親 を も つ ア ジ ア 系 イ ギ リ ス 人 で あ る た め 、 イ ン ド系 イ ギ リ ス 人British-Indianと. パ キ ス タ ン 系 イ ギ リ ス 人British-Pakistaniの. を 身 を も っ て 知 っ て い る 。Taseerは. 間 に 意 識 の 違 い が 著 しい こ と. こ う述 べ る 。. イ ン ドの 背 景 を もつ とい うの は 、 安 全 で 古 代 文 明 を もつ 、 最 近 経 済 大 国 に な りつ つ あ る 国 の 出 身 で あ る こ と を意 味 す る。 しか しな が らパ キ ス タ ン 人 で あ る こ とは 、 祖 国 に 対 して 不 完 全 な 国 家 イ メ ー ジ しか 持 つ こ と が で き な い 。55年 の 建 設 以 来 、 危 な い 、 暴 力 的(中 (Taseer, 2005)。. 略)と. い うイ メ ー ジ が 一 般 的 で あ る た め だ.
(14) 一 世 の パ キ ス タ ン移 民 に と って は 、 異 国 で の 生 活 を 築 く こ とは 冒 険 で あ る。 この こ と 自体 、 人 生 に 意 味 を 与 え て く れ る 。 一 方 、 イ ギ リス 生 ま れ の 二 世 に と っ て は 、 イ ギ リ ス は 異 国 で は な い 。 しか し、 異 国 で は な い と っ て も 、 帰 属 感 を 喚 起 させ る よ うな 国 で は な い 。 沢 山 の パ キ ス タ ン系 イ ギ リ ス 人 に と っ て"Britishness"は. 単 な る 名 目 上 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ に 過 ぎ な い 。Taseerが. 次の. よ うに そ の理 由 を 述 べ る。. 地 下 鉄 自爆 犯 が成 長 して い た 時 代 に は 「 イ ギ リス 人 で あ る べ き概 念an idea of Britishness」を マ イ ノ リテ ィに 押 し付 け る の は侮 辱 的 と見 な され て い た 。(中 略)し. か し、 自国 の 文 化 を け な す と 、 新 し く入 っ て く. る 人 は よ そ で 文 化 を 探 し求 め る危 険 性 が あ る(Taseer, 2005)。. パ キ ス タ ン 系 イ ギ リ ス 人 は 祖 国 も 魅 力 の 薄 い 所 で あ り 、 「よ そ 」 の 文 化 に な ら な い 。 そ こ で 「ア ラ ブ の 砂 漠 の 文 化 」 が 創 っ た 原 理 主 義 的 な イ ス ラ ム 教 が 誘 惑 的 な ア イ デ ン テ ィ テ ィ と し て 現 れ る の で あ る。 も し 、 学 校 で イ ギ リス の 過 去 を 美 化 す る 歴 史 を 学 ん だ り、 毎 朝 、 ユ ニ オ ン ・ジ ャ ッ ク(英 旗)の. 前 で 国 を 忠 誠 す る 言 葉 を 唱 え て い た り と し て も 、7・7事. 国. 件 が起 きなか った保 証 は もちろ. ん な い。 とい うの は 、 宗 教 は 洗 脳 力 が 強 く、 既 存 の 帰 属 感 が あ つ て も そ れ を 溶 解 す る 能 力 を 持 っ て い る か ら で あ る 。 し か し 、Phillips(2004)が (注5)に. 述 べ る 、 イ ギ リ ス の 中 心 と な る 価 値core values. 触 れ る 機 会 を 学 校 で 提 供 し て い た ら 、Taseerが. 記 事 に描 い た 疎 外 感 を抱 い て い るパ キ. ス タ ン 系 イ ギ リス 人 は 社 会 現 象 に な らな か っ た か も しれ な い 。. 9.イ. ス ラム と多文 化主義. イ ス ラ ム 原 理 主 義 と い う 「ウ イ ル ス 」 は ィ 」 が 欠 如 し て い た4人. 「免 疫 」 と な る. の イ ス ラ ム 教 徒 の 若 者 に 感 染 し 、 邪 の 道 を 歩 ま せ て7・7事. こ した 。 そ して 、 多 文 化 主 義 の 下 で 希 薄 に な っ た 増 して 、 中庸 で 健 全 な. 「イ ギ リ ス 人 と し て の ア イ デ ン テ ィ テ 件 を 引 き起. 「Britishness」 を 復 活 し さ え す れ ば 国 の 団 結 が. 「イ ス ラ ム 系 イ ギ リ ス 人British-Muslim」. ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 作 り上 げ ら. れ る は ず で あ る と 前 出 し たTaseerは 述 べ る 。 と こ ろ が 、 イ ス ラ ム 原 理 主 義 は 、 社 会 か ら 疎 外 さ れ て い る 人 だ け に た ま た ま 感 染 す る 感 染 症 で あ る と い う見 方 に 対 し て 、 イ ス ラ ム 教 の 影 響 は も っ と 広 く 、 西 洋 社 会 を 脅 か す 存 在 で あ る と 論 じ る 人 が9:11の. 同 時 多 発 テ ロ 以 来 、 特 に顕 著 に な っ て. きた。 イ ン タ ー ネ ッ トの 検 索 エ ン ジ ンGoogleで し た と こ ろ 約969,000の. 検 索 結 果 が 出 た(検. 「多 文 化 主 義multiculturalism+イ 索 日 は2006年2月3日)。. ス ラ ムIslam」. を検索. 最 初 の数 十 ぺ 一 ジ を 見 る限. り、 半 分 以 上 はイ ス ラ ム 教 と多 文 化 主 義 双 方 につ い て否 定 的 な論 調 が 目立 つ 。 中 に は イ ス ラム 教 に 対 す る 偏 見 に 満 ち た 文 章 を 羅 列 し て い る サ イ トも あ る 。 イ ス ラ ム 教 に 対 す る 過 剰 な 恐 怖 、 い わ ゆ る"イ. ス ラ ム 嫌 いIslamaphobia"が. い か に 広 が つ て い る か を 知 る こ と が で き る 。 しか し 、 多 文.
(15) 化 主 義 へ の 再 考 を論 じる 上 で 、 イ ス ラ ム教 と多 文 化 主 義 との 関 係 は 、 無 視 の で き な い 課 題 で あ る。 イ ギ リス 社 会 へ の 統 合 の. 「成 功 度 合 」 を 語 る と き 、 バ ン グ ラ デ シ ュ や パ キ ス タ ン な ど か ら 来 た. イ ス ラ ム 教 の 移 民 は 他 の 移 民 と 比 較 さ れ る こ と が 多 い 。 例 え ば 、1950年. 代 か ら1960年. カ リ ブ 海 の 島 々 か らや っ て き た 黒 人 は 、 イ ギ リ ス に 渡 る 前 に す で に Britishness」 を 染 み 込 ま せ ら れ て い た と O'Sullivan(2005)が ド島 で は 英 帝 国 の 教 育 を うけ て い た の で. 代 にか けて. 「イ ギ リ ス 人 ら し さ. 指 摘 す る。 ジ ャ マ イ カ や トリニ ダ ー. 「母国」 へ の 尊 重 が 吹 き 込 ま れ た と い う。 母 国 語 は 英 語. で あ り 、 宗 教 は キ リ ス ト教 で あ る 。 イ ギ リ ス 人 と 共 通 す る 言 語 と価 値 観 が 既 に 内 在 化 さ れ て い た た め 、 こ の よ う な 移 民 を 受 け 入 れ る こ と に 関 し て は そ れ ほ ど社 会 的 な 変 化 は 必 要 で は な か っ た と 'Sullivanが 述 べ て い る 一方. O. 。. 、 イ ス ラ ム 教 に 基 づ い た 信 仰 と価 値 観 は 、 イ ギ リ ス を 含 む. 「西 洋 文 化 」 と 一 致 し が た い と. こ ろ が あ る と 論 じ る 人 も い る 。 イ ス ラ ム 教 と 「西 洋 文 化 」 が 相 反 す る も の で あ る と い う よ う な 論 旨 が 、 特 に9:11の. 同 時 多 発 テ ロ以 来 特 に 顕 著 に な っ て き た 。 例 え ば 、 ソマ リア 生 ま れ で 、 現 在. は オ ラ ン ダ の 国 会 議 員 で あ るHirsi Aliは. 「女 性 は 男 性 よ り 下 の 存 在 で あ り 、 無 信 仰 者 は 死 ぬ べ き. で あ り、 イ ス ラ ム を 棄 教 す る者 は 死 ぬ べ き とい うイ ス ラ ム 教 の基 礎 は 自由 民 主 主 義 と合 わ な い 」 と 断 言 し た(Moynahan,. 2005)。. 新 保 守 主 義 派 と 呼 ば れ る 政 治 評 論 家Steyn(2005)は. 「複 数 の 文 化 が 共 存 す る 社 会 自 体 は 問 題. で は な い が 、 問 題 な の は イ ス ラ ム 教 の 見 解 で は 二 つ の 文 化 しか 存 在 しな い と ころ に あ る。 す な わ ち イ ス ラ ム と非 イ ス ラ ム で あ る 」 と い う。 イ ス ラ ム 教 の 世 界 観 で は 、 非 イ ス ラ ム 教 と の 平 等 な 共 存 が あ り 得 な い と述 べ る 。 パ キ ス タ ン と バ ン グ ラ デ シ ュ 系 の イ ス ラ ム 教 徒 は 、 社 会 統 合 よ り も 、 長 期 的 な 目標 と し て イ ギ リス を シ ャ リー ア(イ る とSookhdeo(2005)は. ス ラ ム 法)に. 基づ い た国家 にす るこ とに置 いて い. 警 告 す る。. も ち ろ ん 、 イ ギ リ ス を 含 む ヨ ー ロ ッ パ に い る す べ て の イ ス ラ ム 教 徒 が 、 シ ャ リー ア を 民 主 主 義 と 入 れ 替 え る こ と を 望 ん で い る と い う こ と は な い 。 ア メ リ カ に 拠 点 が あ る 自 由 イ ス ラ ム 連 合Free Muslim. Coalition(www.freemuslims.org)の. よ うな 団 体 は 、 進 歩 的 で 民 主 主 義 を尊 重 す る よ うな イ. ス ラ ム を 推 進 しよ う と して い る。 しか し、 原 理 主 義 的 な イ ス ラ ム 教 が 広 が っ て い る こ と は 事 実 で あ る 。 こ の よ うな イ ス ラ ム 教 徒 に と っ て. 「宗 教 と 私 」 と 「宗 教 と 政 治 」 を 区 分 す る こ と は な い 。. イ ギ リ ス で は イ ス ラ ム 教 徒 の 若 者 を 中 心 に 支 持 層 が 増 加 し て い るHizb. ut-Tahrirと い う イ ス ラ ム 教. 政 治 団 体 の 目的 は 以 下 の 通 りで あ る。. 平 和 的 な 集 団 で 現 社 会 の既 存 思 想 をイ ス ラ ム の 思 想 に 変 え る こ と。 そ して 、 そ の 思 想 は全 社 会 の 世 論 に な り、 そ れ に従 っ 下 行 動 す る(http://hizb-ut-tahrir.area51.ipupdater.com)。. イ ギ リス を含 む 西 ヨー ロ ッパ の 国 々 で は 少 子 高 齢 化 が 進 ん で い る な か 、 イ ス ラ ム 教 徒 は若 年 層 人口 が 多 く 、 出 生 率 が 高 い た め 、 イ ス ラ ム 教 徒 の 人口 が 加 速 的 に 増 加 し て い る 。 イ ギ リ ス の 総 人.
(16) 口 の う ち 、 イ ス ラ ム 人 口 は160万. 人 か ら300万 人 と推 定 さ れ て い る 。2015年. ま で に イ ン グ ラ ン ドの. 数 多 く の 市 は 、 実 質 的 に イ ス ラ ム 教 徒 が 過 半 数 を 超 す と い う予 測 が あ る(Sookhdeo, ス ラ ム 教 が 繁 栄 し て い る な か 、Ferguson(2005)が. 2005)。. イ. 指 摘 す る よ う に ヨ ー ロ ッ パ の キ リ ス ト教 が 衰. 退 し て い る 。 そ れ ほ ど遠 く な い 将 来 に ヨ ー ロ ッ パ は イ ス ラ ム 圏 に 入 る 意 見 も あ る 。 イ ス ラ ム 教 が 主 流 な 宗 教 と な っ た ヨ ー ロ ッ パ 、 い わ ゆ る ヨ ー ロ ッパ と ア ラ ビ ア の 造 語 で あ る ユ ー ラ ビ アEurabiaが. 実 現 す る と い う の は 極 論 か も しれ な い が 、 イ ス ラ ム 教 の 増 加 を 恐 れ る 人 に と. っ て 多 文 化 主 義 は 敵 で あ る。 全 て の 文 化 を 平 等 に位 置 づ け、 寛 容 に扱 うイ デ オ ロ ギ ー で あ る多 文 化 主 義 は 、 イ ス ラ ム 教 を 手 助 け し 、 西 洋 文 明 を 無 防 備 に さ ら し て い る と い う議 論 が あ る 。 例 え ば 、 West,D.(2005)は. イ ス ラム教 に対す る多文 化 主義 者 の. と 強 調 す る 。 ま た 、Tracinski(2005)は. 「マ ゾ ヒ ス ト的 な 寛 容 」 は. 「自 殺 行 為 」. 多 文 化 主 義 が ナ チ ズ ム と 同 じ よ うに 自 己 犠 牲 を奨 励 し て. い る と述 べ る 。 し か し 、 ナ チ ズ ム は 個 人 を ア ー リ ヤ 人 種 の た め に 犠 牲 に す る こ と を 求 め る の に 対 し て 、 多 文 化 主 義 は 自 分 の 人 種 ・文 化 を 、 他 の 人 種 ・文 化 の た め に 犠 牲 に す る こ と を 要 求 す る 利 他 主 義 精 神 な も の で あ る。 多 文 化 主 義 に根 底 に は. 「暗 黙 の 想 定 」 が あ る と 考 え られ る。 入 っ て く る 文 化 は 平 等 に 位 置 づ け. ら れ 、 寛 容 に 扱 わ れ て い る 過 程 で 、 あ る 程 度 中 和 され. 「無 力 化 」 さ れ る と い う想 定 で あ る 。 し か. し 、 ヨ ー ロ ッ パ の 多 文 化 主 義 社 会 の 下 地 で あ る 自 由 民 主 主 義 は キ リ ス ト教 を 基 盤 と し て お り、 西 洋 を 墜 落 に 導 か せ た も の で あ る と み な し て い る イ ス ラ ム 原 理 主 義 は こ の よ うな 中 和 を 許 さ な い と 0'Sullivan(2005)が. 言 う。 「言 語 の 自 由 」、 「女 性 開 放 」、 「民 主 主 義 」 な ど 、 西 洋 文 化 が 掲 げ て き. た 思 想 自 体 は 、 イ ス ラ ム 教 徒 に と っ て 必 ず し も 好 ま しい 社 会 的 目標 で は な い 。 多 文 化 主 義 社 会 の 継 続 に か か せ な い 思 想 はtoleranceす な わ ち 寛 容 で あ る 。 実 は 、 イ ギ リ ス の 内 務 省 の モ ッ トー は. 「安 全 で 正 義 の あ る 寛 容 社 会 を 建 設 し よ うBuilding. a Safe, Just and. Tolerant. Society」 で あ る 。 イ ギ リ ス を は じ め い く つ か の ヨ ー ロ ッ パ の 国 で は 、 扇 動 的 な 外 国 人 の イ マ ー ム の 入 国 を 規 制 せ ず 、 ま た イ ス ラ ム 教 の 宗 教 学 校faith schools(注6)を. 支 援 して き た とい う よ う. な 寛 容 さ を イ ス ラ ム 教 に 施 して き た 。 と こ ろ が 、 イ ス ラ ム教 徒 との 軋 轢 が 増 して い る な か 、 長 年 の 寛 容 の 正 し さ が 疑 わ れ る よ う に な る 。 「非 寛 容 の 人 た ち を 寛 容 に 扱 い 、 そ し て も ら っ た の は 非 寛 容 さ で あ る 」 と 右 翼 派 の オ ラ ン ダ 議 員Geert 国 で は 、 「名 誉 殺 人"honor. killings"」(注7)を. Wildersが. 語 る(Moynahan,2005)。. 犯 した 、 主 に イ ス ラ ム 教 徒 の 殺 人 犯 が 裁 判 で 寛. 容 に 扱 わ れ て き た こ と に 対 し て 、 あ る トル コ 系 の ドイ ツ 弁 護 士 は. 「 軋轢 を 避 け た い 人 々 に と っ て. 多 文 化 主 義 は 単 な る ご ま か し の 手 段 で あ る 」 と コ メ ン ト し た(Theil, 英 語 の 言 葉toleranceに. は. ヨー ロ ッパ 各. 2005)。. 「我 慢 」 と い う意 味 が 含 ま れ て お り 、toleranceを 執 行 す る た め に 二 重. の否 定 が 必 要 とな る。 要 す る に 、他 人 の 特 徴 や 慣 習 な ど に対 して あ る程 度 の否 定 判 断 を した うえ で 、 そ れ に介 入 し ない こ とを 決 め る こ とで あ る。 イ ギ リス で は 人 種 差 別 が根 絶 した とい え な い 。 しか し、 多 文 化 主 義 の も とで 露 骨 な 差 別 は 寛 容.
(17) toleranceの. 名 の も と に影 を 潜 め た 。 人 間 に と っ て 肌 の 色 や 服 装 とい っ た 表 面 的 な 相 違 を 受 け入 れ. る こ とは 比 較 的 容 易 だ か らだ。 しか しな が ら 自分 の 世 界 観 や 価 値 観 に 変 更 を くわ え な けれ ば な ら な い. 「寛 容 」 に 対 し て は 、 ど の よ う な バッ. ク グ ラ ウ ン ドを も つ 人 に と っ て も 、 か な り 困 難 を 極 め. る も の で あ る 。 イ ギ リ ス は 世 界 観 や 価 値 観 の 再 構 築 を も 必 要 とす る. 「寛 容 」 に 今 後 ど の よ う に 取. り組 む か 、 難 しい 課 題 に 直 面 して い る 。. 注 1.. Cantelは 多 文 化 社 会 に 対 し て イ ギ リス が 取 っ て い る 姿 勢 は 、 フ ラ ン ス と ア メ リ カ の 中 間 型 で あ る と 述 べ た(BBC . Radio 4, You and Yours, October 10, 2005)。. フ ラ ン ス は 全 国 民 の 統 合 を 強 く 求 め る。 移 民 とそ の フ. ラ ン ス 生 ま れ の 子 孫 は 完 全 な フ ラ ン ス 市 民 で あ り 、 「何 々 系 フ ラ ン ス 人 」 と い う言 い 方 を 国 家 は 奨 励 し な い 。 国 勢 調 査 を行 う時 に 、 人 種 的 背 景 を 尋 ね る 質 問 を す る こ とは 法 律 で 禁 じ られ て い る。 一 方 、 ア メ リカ で は 移 民 が 自 分 の 文 化 を 保 持 す る こ と は 好 ま し い と 見 な さ れ て い る 。 「Italian-American」 America」. な どハ イ フ ン で繋 い だ 自称 が 一 般 的 で あ る 。 し か し、 同 時 に. と. 「African-. 「ア メ リ カ 人 」 と い う強 い 意 識 と. 誇 りが 植 え 付 け られ て い る とい うの は 特 徴 的 で あ る。 イ ギ リス は フ ラ ン ス と違 っ て 多 様 に 対 して 寛 容 で あ る が 、 ア メ リ カ ほ ど ハ イ フ ン の 両 側 に 均 等 な 比 重 が 保 た れ て い な い 。2005年11月. に フ ラ ン ス で 起 きた ア フ. リカ と ア ラ ブ 系 に よ る 暴 動 と、 災 害 に 見 舞 わ れ て い た ニ ュ ー オ リン ズ の 貧 困 層 の 黒 人 へ の 対 応 が 物 語 っ て い る よ うに 、 両 国 の 多 文 化 社 会 に は 問 題 が な い わ け で は な い 。. 2.. 9:11直 Equalityと. 後 に イ ス ラ ム 教 徒 へ の 反 発 を 防 ぎ 、 団 結 を 促 す た め に 、 人 種 平 等 委 員 会Commission ロ ン ド ン の 自 治 体Greater. London. Authodtyが. 共 同 制 作 し た ポ ス タ ー の ス ロ ー ガ ン は 、 「700万 人 の. 人 々 、300の 言 語 、14の 宗 教 、ひ と つ の ロ ン ド ン 」"7million. 3.. 「イ ギ リ ス で の 生 活 」 試 験"Life に34ポ. ン ド、75%以. in the UK"examは. for Racial. people, 300 1anguages,. 14 faiths,l London."で. 、 マ ー ク シ ー ト式 の24問 か ら な る 。 試 験 を 受 け る た め. 上 正 答 しな けれ ば 、 イ ギ リス に 帰 化 す る こ とは で き な い 。 落 ちて も何 度 で も再 試 験 に. トラ イ で き る 。 イ ギ リ ス 人 の 同 僚 が い う に は 、 こ の テ ス トは 驚 く ほ ど 難 し い と い う。 政 府 出 版 の ス に お け る 生 活:市. あ る。. 民 性 へ の 道 程"Life. in the United. Kingdom:. A journey. 「 イ ギ リ. to citizenship"」 の 本 か ら 出 題 さ れ. る。 この 本 の 最 初 の 章 は 、 イ ギ リス の歴 史 で あ る が 、 試 験 に は 歴 史 問 題 は 出 な い 。 ち な み に 、 市 民 性 の 強 調 は 新 し く 市 民 に な る 移 民 に 向 け た も の だ け で は な い 。2002年. にCitizenshipと. い う新 し い 必 修 科 目 が イ ギ. リ ス の 学 校 に 導 入 され た 。. 4.. 自爆 テ ロが 頻 繁 に 起 き て い るイ ス ラ エ ル で も 、 イ ス ラエ ル 内 で 自爆 テ ロ を行 っ た イ ス ラ エ ル 国 籍 を 持 つ ア ラ ブ 人 は 一 人 しか な か っ た。. 5.. Trevor. Philipsは 人 種 平 等 委 員 会Commission. 場 の 人 で あ る と考 え られ て き た が. for Racial. Equalityの 委 員 長 で あ る 。 多 文 化 主 義 を 促 進 す る 立. 「多 文 化 主 義 は 死 ん だ 」 と 発 言 し た 。 そ の か わ り イ ギ リ ス の. 「コ ア 」 と. な る も の を 再 構 築 す べ き だ と提 言 し た 。 自 分 自 身 が マ イ ノ リ テ ィ で あ る 黒 人 のPhilipsが こ の よ う な 発 言 を した た め 、 マ イ ノ リテ ィ か らの 非 難 を うけ た 。. 6.. 現 在 、 イ ギ リ ス で は 約300の 教 と50ユ. 私 立 宗 教 学 校faith schoolが. ダ ヤ 教 学 校 で あ る 。 一 方 、 公 立 学 校 は7000校. あ る 。100の. イ ス ラ ム 教 学 校 と100の 福 音 キ リ ス ト. あ り 、 そ の ほ と ん ど が キ リ ス ト教 で あ る 。.
(18) 7.「 名 誉 殺 人 」 とは 、 多 く の イス ラ ム 文 化 圏 で残 って い る 習 慣 で あ り、 婚 前 恋 愛 な ど家 族 に 負 い 目を負 わ せ る女 性 を 、 多 くは そ の家 族 が 殺 す もの で あ る。. 参 考文献. Ahmed,R. (2005, Januaryll). Hey, Don't call me Asian! The Times of India. (http://timesofindiaindiatimes.com/articleshow/987415.cms).. 2006. 1. 191E041.. Barry,B. (2001). Culture and Equality. Cambridge: Polity. Barry,B. (2002). Second thoughts; some first thoughts revised. In Kelly, P.(Eds.). Multiculturalism Reconsidered. (pp.204-238). Cambridge: Polity. Blunkett,D. (2005, March 19). For far too long, we have left patriotism to the extremists. Guardian Unlimited. (http://www.guardian.co.u1c/britain/article/0,2763,1441452,00.html). 2006. 1. 19lft Bowley,G. (2005, October 31). Multiculturalism in an Old English town. International Herald Tribune.p.2. Bristow,J. (2004, April). Facing up to the M-word. Spiked Culture. (http://www.spiked-online.co.uk/Articles/0000000CA4C5.htm).. 2006. 1. 19 iv"f14.. Browne.A. (2005, July 23). The Left's war on Britishness. The Spectator. (http://www.spectator.co.uldarticle_archive.php?id=6392&issue=2005-07-23).. 2005. 7. 2516t1141 .. Brown,C. (2001, December 9). If we want social cohesion we need a sense of identity. The Independent on Sunday. (http://www.findarticles.com/p/articles/mi_qn4158/is_20011209/ai_n14426443).. 2006. 2. 5124.. Butt,R. (2005, November 16). British Pakistanis should stop marrying cousins, says MP. Guardian Unlimited. (http://politics.guardian.co.uk/homeaffairs/story/0,11026,1643683,00.html).. 2006. 1. 19KR44.. Cohen,N. (2005, October 30). Politics of the ghetto. The Observer. (http://observer.guardian.co.uk/comment/story/0,6903,1604791,00.html).. 2006. 2. 5 tig. Corona,S. UK New Citizen. (2005, March). The voluntary sector and some unexpected outcomes from the adoption of anti-discrimination policies in the UK. (WM. :/. u. *V-. *) 6) .. Ferguson,N. (2004, April 11).Decline and fall of the Christian empire, The Sunday Times. (http://www.timesonline.co.uk/printFriendly/0„2-525-1069672,00.html).. 2006. 1. 10;04.. Goodhart,D. (2005, September 24). Fear and loathing on the Left. The Spectator. pp.22-24. Home Office. (2004). Life in the United Kingdom: Ajourney to citizenship. Published on behalf of the Life in the United Kingdom Advisory Group. Norwich: ISO. Hoyle,B. (2006, January 7). Gay, Muslim and trying to come out of the closet. The Times. (http://www.timesonline.co.u1c/article/0„2-1974216,00.html). 2006. 2. 511714. Hume,M. (2004, April 13). Making a virtue of a vacuum. Spiked Politics. (http://www.spiked-online.co.u1c/Articles/0000000CA4CE.htm). 2006. 1. 19 iv 14. John,G. (October 26, 2005). This conflict has been 30 years in the making. Guardian. (http://www.guardian.co.u1c/crime/article/0„1600705,00.html). 2006. 2. 51604. Kelly,P. (2002). Introduction: between culture and equality. In Kelly,P. Multiculturalism Reconsidered (pp.1-18). Cambridge: Polity. Linsell,T. (2001). An English Nationalism. Norfolk: Athelney. Malik,K.(2003). The dirty D-word. (http://www.kenanmalik.com/essays/diversity_guardian.html).. 2006. 1. 191114.. McGhee.D (2005). Patriots of the future? A critical examination of community cohesion strategies in contemporary Britain. Sociological research online. Vol.10(3)..
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