読者
の
皆
さ
ん
は
ヒ
ッ
チ
ハ
イ
ク
を
したり
、ヒ
ッ
チ
ハ
イカーを
車に
乗
せ
たりした
こ
と
があり
ま
す
か
。
私
は
経験あ
り
ま
せ
ん
が
、
三
〇数年
以
上
も昔
、父
が仕
事
帰
り
に
、オ
ラ
ン
ダか
ら新
婚
旅
行
で
世界
一
周
中
の
ヒ
ッ
チ
ハイ
カ
ー
に
呼
び
止
め
ら
れ
、
狭
い
家
に彼
らを泊
め
た
こ
とがあります
。
翌朝、
そのオランダ人カップル、
彼らが抱える幼児
︵私︶
、そして
英語が話せるわけでもなかった若
い父母とで撮った写真を手に取れ
ば、たった一晩ですが、どうやっ
て彼らはコミュニケーションを
図ったのかと、不思議な思いが消
えません。
●多様な本との出会い
﹁どうしたら人間は自らの生ま
れた文化の束縛を超えて、他者を
理解できるか
*
﹂という問題に対
して読書が手助けになると考え
、
この特集を企画しました。
今回、アジア経済研究所に在籍
する研究者と
OB
を含めた二三名
の方々に、自分の研究に役立った
本、印象に残っている本を三冊前
後選んで頂きました。外国理解の
ための現地語と国語、コンピュー
タを動かすためのプログラミング
言語、そして分析手法について激
しい訓練を自らに課してきた方々
です。あまりにも専門性の高い学
術書から
、安価で読みやすいが
、
しかし毒が含まれるものまで、数
多くの本が集まりました。
示し合わせたわけではありませ
んが
、一冊も重複はありません
。
これほどまで多様な本が紹介され
るとは思いませんでしたし、我々
がもっとお近づきになるべき格調
高い、古典、正典ばかりが選ばれ
たということもありません。むし
ろ、立派な本がひとつも紹介され
ていない、立派なブックガイドも
あります。
●ヒッチハイクしませんか
ばりばりと駆動力のあるブック
ガイドもあれば、自転車の荷台に
乗らされパンクを気にしながらノ
ロノロ、でも心地良い風を感じる
ブックガイドもあります。読者の
みなさんが願った通りの場所に連
れて行ってくれる車もあれば、全
く思い通りにならない車もあるで
しょう。しかし、楽しい道草にな
ること間違いありません。
読後に背筋がピッと伸びるブッ
クガイドや
、﹁この紹介文を読ん
でおけば、案内された重厚な三冊
は別に読まなくても良いかな﹂と
思わせる記念碑的なガイドもあり
ます。また、優雅さに乏しいブッ
クガイドからは、もがき、苦しん
できた研究者たちの絶唱とユーモ
アの炸裂音を聴き取ることができ
るでしょう。本との取っ組みあい
から、高い志が維持し続けられて
いる様子を楽しんでください。
そして、全く脈絡がなく、支離
滅裂なブック
・
チョイスを見れば、
不安をかき立てられること必至で
しょう
。﹁役に立たないからこの
車を降りて他の人の文章を読も
う﹂
と思われるかもしれませんが、
どうか、後で戻って来て下さい。
長いヒッチハイクの旅を経た後
では、複雑であること、多様であ
ることそれ自体が価値あるものに
思えます。曖昧さを受け止めて許
容すること自体が他者と社会への
深い理解につながり、楽しみにつ
ながるのかもしれません。
もう時間です。それでは、出発
しましょう。
︵まちきた
ともひろ/アジア経済
研究所
経済統合研究グループ
[労
働経済学]
︶
︽注︾
*
﹃ガラスの宮殿﹄
︵訳者あとが
き︶
、アミタヴ
・ゴーシュ著
、
小沢自然・小野正嗣訳、新潮ク
レスト・ブックス、新潮社、二
〇〇七年
アジ研流読書案内
―研究者が薦める3冊
特集
に
あ
た
っ
て
町
北
朋
洋
特 集
2
アジ研ワールド・トレンド No.199 (2012. 4)