ポジティブ行動支援(PBS)とは何か?
畿央大学 大久保賢一 株式会社 YEVIS 本友紀子 大阪教育大学 庭山和貴 ポジティブ行動支援(PBS)は、知的障害や発達障害のある者が示す行動問題に対するアプローチと して注目を集め、米国においては、その実施が法的要求事項に位置づけられ、社会において一定の影響 力を持つに至った。近年では米国を中心として海外における学校規模ポジティブ行動支援(SWPBS) の普及が進んでいることもあり、日本の行動分析家も PBS に関連する実践や研究を無視できない状況 にある。しかし、PBS が何であるのかということについて、ABA と関連づけて説明することは容易で はない。そこで本研究においては、「PBS とは何か?」を明らかにするために、PBS の起源、発展の経 緯、定義・特徴、そして ABA との関係性について文献的検討を行った。その結果、PBS は障害者に対 するノーマライゼーションや権利擁護が重視されるようになった社会的潮流の中で誕生したこと、そし て PBS には様々な定義と変遷があったことが明らかとなった。また、特に米国における PBS のコミュ ニティは、ABA のコミュニティから分かれて成立し、組織的に独立していった経緯があった。概念的 には、PBS を「ABA のサービス提供モデルの 1 つ」と捉える立場と、「ABA から進化した新しい応用 科学」と捉える立場があり、PBS の独自性を巡る論争があることが明らかとなった。日本において行動 分析家としてどのように PBS と向き合うべきであるのか、今後の課題も含め検討を行った。Key Words ポジティブ行動支援(PBS)、行動分析学、PBS の起源・定義・特徴、ABA と PBS の関係
目 的
ポジティブ行動支援(positive behavior support、 以下 PBS とする)(注 1)が誕生しておよそ 30 年が 経つ。日本においても PBS という言葉が使われ るようになって久しい。しかし、そもそも PBS とは一体何であるのか。これまでにも PBS が何 であるかを説明するため「罰を用いない非嫌悪的 なアプローチ」、「対象者の生活する場を重視する 生態学的妥当性の重視」、「問題行動の減少に限定 せずに適応行動の拡大を目指す」、「行動変容のみ ならず最終的には対象者や関係者の QOL の向上 を目指す」といった特徴があげられてきた(例え ば、平澤,2015)。しかし、このような特徴は、 現在に至るまで応用行動分析学(applied behavior analysis、以下 ABA とする)の中でも繰り返し検 討されてきたことであり、理論の節約性を重視す る科学的見地からは、なぜ ABA ではなく PBS と いう言葉をあえて用いる必要があるのかという理 由は理解しづらい。 日本において初めて PBS という用語が用いられ た学術論文は、養護学校(現在の特別支援教育の 制度における特別支援学校)に在籍する攻撃行動 を示す生徒を対象とした平澤・藤原(2000)であ る。その研究を皮切りとして、「PBS を実施した」 と明記されている数件の研究が報告されている (例えば、武蔵,2004; 関戸・田中,2010; 末永・ 小笠原,2015)。また、これまで国内誌において PBS に関するレビューも数件報告されており(例 えば、平澤,2003,2015; 平澤・藤原・山本・佐 囲東・織田,2003; 平澤・小笠原,2010)、日本語 で執筆された PBS の関連書籍も出版されてきてい る(例えば石黒・三田地,2015; 栗原,2018)。し かし、これらの文献において用いられている 「PBS」(あるいは「PBIS」)という言葉は、「ABA」 に置き替えることは不可能なのだろうか。もし、 ABA と PBS の両者に概念的な相違がなく、用語 に互換性があるのだとすれば、あえて PBS という 言葉を用いる行動の機能は何であるのか。 海外においては行動分析学に関する学術団体 (Association for Behavior Analysis International:
(Association for Positive Behavior Support: APBS) が 設 立 さ れ、 ま た 応 用 行 動 分 析 学 の 専 門 誌 (Journal of Applied Behavior Analysis: JABA など)
と は 別 に、PBS の 専 門 誌(Journal of Positive Behavior Interventions: JPBI)が刊行されている。 このような状況からは、少なくとも組織的、学術 的には ABA と PBS は別物であり、両者が独立し て併存しているようにみえる。一方、日本におい ては APBS Networks (詳細は後述する)に加盟す る「日 本 ポ ジ テ ィ ブ 行 動 支 援 ネ ッ ト ワ ー ク (Association for Positive Behavior Support Network
JAPAN)」が 2017 年に設立され、国内における研 修会の開催を中心とした活動が行われているもの の、現在のところ日本国内に PBS に特化した学 術団体や専門誌は見あたらない。 しかし、米国では、既に約 25,000 校以上の学 校に学校規模ポジティブ行動支援(school-wide positive behavior support、 以 下、SWPBS と す る) が導入されていること (OSEP Technical Assistance Center on Positive Behavioral Interventions and Supports, 2018)などからも、海外において PBS の普及が急速に進んでいるといえよう。日本国内 の実践や研究に対する影響を考えると、PBS は行 動分析家にとって既に無視できない存在になって いると考えられる。そこで本論文においては、 「PBS とは何か?」ということについて、特に ABA との関係性に着目しながら明らかにし、日 本国内において行動分析家や行動分析学に関わる コミュニティが、PBS とどのように向き合ってい くのが望ましいのか検討することを目的とする。
PBS の起源
Horner et al. (1990)は、1980 年代半ばから行動 問題を示す重度障害のある人々が、コミュニティ における他の全てのメンバーと同等の敬意と尊厳 を持って扱われるべきであるという気運が高まっ てきたこと、そして、望ましくない行動を示す 人々に対する非倫理的で利益をもたらさない人道 的でない介入方法に懸念が示されるようになった ことを背景に、「非嫌悪的な(nonaversive)」行動 マネジメント方法が求められるようになってきた と述べている。 その背景には、1950 年代にバンク・ミケルセ ンによって提唱され、米国においてはウェルフェ ンスバーガーによって理論化された「ノーマライ ゼーション」(村山,2006; 戸田,2019)の思想が ある。さらに米国においては、アフリカ系アメリ カ人や他の少数民族の機会均等などを求める「公 民権運動(civil rights movement)」が起こり、人 種、宗教、民族、出自、信条に基づく差別が禁止 されるとともに、障害者に対する差別禁止やサー ビス拡張についても議論されるようになり、「脱 施設化運動」の中で施設入所者の減少とともに障 害者の生活水準の向上や人権擁護が求められるよ うになった(吉利,2000)。 このような社会的潮流の中で、行動論的介入に おいても「非嫌悪的」なアプローチが求められる ようになった。しかし Horner et al. (1990)は、倫 理的な基準としての「嫌悪的」の定義が、例えば 「全ての罰的な手続き」、「肉体的苦痛を伴うも の」、あるいは「精神的苦痛も伴うもの」などと 統一化されておらず、混乱をきたしやすかったと いう問題を指摘している。そこで Horner et al. (1990)は、「嫌悪的なアプローチ」を厳密に定 義 し て、 そ れ を 避 け る よ う に 努 め る よ り も、 「positive behavioral support」 に つ い て 検 討 を 行うことを推奨したが、それが後の PBS の起源 に な っ た と 考 え ら れ て い る (Johnston, Foxx, Jacobson, Green, & Mulick, 2006)。
まとめると、ノーマライゼーション運動などの 社会的な潮流の影響を受け、Carr et al. (2002)が PBS の中核と位置づける PBS のフィロソフィー (ノーマライゼーション、インクルージョン、本 人中心の価値観)が体系化され、さらに行動分析 学のテクノロジーが土台となり PBS は誕生した と考えられる。そのようにみれば、PBS という言 葉が生まれ、概念化されていくプロセスの初期に おいて、PBS は障害のある個人を対象とした個別 的なものであったといえる。しかし、Kincaid (2018)は、JPBI に掲載された過去 18 年間の論 文の中で、1)群間比較デザインが用いられた研 究、2)行動面に関する困難性のリスクを持つ参 加者を対象とした研究、3)障害のない成人を対 象とした研究、4)通常教育場面において実施さ
れた研究、5)臨床の専門家によって実施された 研究、6)介入整合性や社会的妥当性に取り組ん だ研究、7)SWPBIS の枠組みで取り組まれた研 究が増加しており、一方で 1)自閉症スペクトラ ム障害のある者を対象とした研究、2)家庭場面 や施設場面で実施された研究、3)家族によって 実施された研究、4)データに基づくアセスメン ト手続きが用いられた研究が減少したことを報告 している。近年の SWPBS の隆盛も影響し、PBS は障害児者を対象とした個別的な行動支援の枠組 みに限定されないものへと変遷していったといえ る。
PBS の発展の経緯
Horner et al. (1990)以降、PBS は急速な発展と 普及を遂げることになるが、それを促進させる要 因の 1 つとなったのが、1987 年から 1992 年にか けての米国教育省の National Institute on Disability and Rehabilitation Research (NIDRR)から Rehabilitation Research and Training Center on Community-Referenced Technologies for Nonaversive Behavior Management に対する複数の大学研究機 関における研究プロジェクト推進を目的とした 670,000 ド ル の 助 成 金 で あ っ た(Johnston et al., 2006)。 こ の セ ン タ ー は、 後 に Rehabilitation Research and Training Center (RRTC) on Positive Behavior Support となり、現在はサウスフロリダ 大学の管理下に置かれている。さらに米国における「障害のある個人教育法」 (Individuals with Disabilities Education Act、以下
IDEA とする)の 1997 年の改訂において、深刻 な行動問題を示す障害のある児童生徒の支援計画 を立案する際に機能的アセスメントを実施するこ とが推奨されるようになり、また障害のある児童 生徒に対して、10 日間以上の停学処分や退学処 分を行う際、機能的アセスメントの実施が義務 づけられるようになった(Crone & Horner, 2003 野 呂・ 大 久 保・ 佐 藤・ 三 田 地 訳 2013)。 さ ら に IDEA の 2004 年の改訂においてもこの内容 は 基 本 的 に 引 き 継 が れ、「positive behavioral interventions and supports」の実施、及びその実施 のための研修が法的要求事項として明記され、
PBS の普及を後押しすることになった。IDEA で示された事項を実現するため、米国教育省の 一機関である Office of Special Education Programs (OSEP)は、IDEA によって求められたプログラ ムやプロジェクトを支援するための助成金事業、 人材育成、技術支援、普及などに関わる役割を 担っている(Office of Special Education Programs, 2019)。その OSEP の助成金によって設立された OSEP Technical Assistance Center for Positive Behavioral Interventions & Supports は、特に SWPBS の実施に関する情報提供や技術支援を 行っており、その普及に貢献した。 PBS の研究成果については、前述したように 1999 年に専門誌である JPBI が創刊され、2019 年 にかけて 21 巻まで刊行されているが、このこと も PBS の発展と普及に貢献したといえる。JPBI のサイトには創刊の目的として「学校、家庭、コ ミュニティにおいて行動的な課題のある人々を支 援するために用いられる PBS の適切で研究に基 づく原理を提供する」と示されている。また、 2003 年にフロリダ州オーランドで開催された 国 際 会 議「The World of PBS: Science, Values, & Vision」において、Association for Positive Behavior Support (APBS) の設立が承認され、APBS は PBS の発展と普及に重要な役割を果たすようになっ た。この国際会議は、そのまま APBS の年次大会 として位置づけられるようになり、2019 年に第 17 回大会が開催されており、会員数は 2017 年の 時点で 1,300 名を超えるまでに増加している。ま た、APBS は、その活動の一環として前述した APBS networks を組織化しており、現在 30 のネッ トワークが承認されている。APBS networks の内 訳は、アメリカ国内の地方ネットワークが 18、 国際ネットワーク(日本ポジティブ行動支援ネッ トワークも含む)が 7、その他特定領域(「home and community」や「high school」など)が 5 であ り、各ネットワークが PBS の啓発や普及を目的 とした組織的な活動に取り組んでいる。 以上のように PBS は、政府機関のニーズに適 合する形で公的な援助を受け、法律や制度に位置 づけられながら、短期間に驚くべき発展と普及を 遂げてきた(Johnston et al., 2006)。概念的に PBS
が ABA とどのような関係にあるのかについては 後述するが、少なくとも「組織としての PBS」あ るいは「運動としての PBS」は、ABA のそれと は 別 個 の も の と し て 確 立 さ れ て き た と い え る(注 2)。
PBS の定義・特徴
「PBS とは何か?」を説明するために、「アプリ ケーション」、「応用科学」、「テクノロジー」、「手 続きの集積」、「アセスメントと介入のプロセス」、 「アプローチ方法」、「枠組み」などという多様な 表現がなされており(Kincaid et al., 2016)、総括 することは容易ではない。しかし、容易ではない ものの PBS は様々に定義されている。 例えば、比較的初期のものとしては、Koegel, Koegel, & Dunlap (1996)が、「PBS とは、個人の 行動レパートリーを拡大するために教育的な方法 論を用い、個人の生活環境を再設計するためにシ ステム変更の方法論を用い、第 1 に個人の生活の 質を高め、第 2 に個人の問題行動を最少化するた めの応用科学である」と定義している。また、 Dunlap, Carr, Horner, Zarcone, & Schwartz (2008) は、「PBS とは、あらゆる年齢層のあらゆる能力 を持つ個人のための、問題行動を減少させ QOL を改善するための実践的アプローチである」と定 義し、「このアプローチには、データに基づくア セスメントプロセス、科学的裏づけのある介入方 略、利用と持続可能性を促進するためのシステム の変更、消費者の好みとコミュニティにおける妥 当性に対する応答性を高めるための手順が含まれ る」と PBS を説明している。さらに Anderson & Freeman (2000)は、「PBS は挑戦的行動を示す個 人に対する効果的な介入とプログラムを発展させ るための枠組みである」と定義しており、PBS で 用いられる様々な手続きや方略は、ABA のもの であると述べている。 また、様々な文献によって PBS の特徴が説明 されているが、その概要を表 1 に示す。Horner et al. (1990)であげられていた「罰の使用の最少化」 や「先行子操作を強調」といった内容は、その後 は PBS の特徴としてさほど強調されてはいない。 一方で、例えば「生態学的妥当性」、「社会的妥当 性」、「ライフスタイルの変更」、「複数要素から構 成される介入」、「予防の強調」、「本人中心の価値 観」などといった特徴は、共通してあげられるこ とが多かった。「複数の理論的観点」を PBS の特 徴としてあげているもの(例えば、Carr et al., 2002; Dunlap et al., 2008)もあり、これは PBS が ABA にのみ理論的に立脚しているわけではない ことを暗に示しているといえる。 また、Kincaid et al. (2016)は、必ずしも障害 のある個人を対象とはしなくなってきた近年の SWPBS などのシステムワイドな PBS が、従来の PBS の定義に当てはまらなくなってきているとい う問題を指摘し、1)表面的妥当性、2)PBS とそ うでないものとの識別性、3)PBS が適用される 全てのレベルへの関連性、4)消費者にとっての 有用性、5)節約性、の 5 点を考慮に入れながら、 新しい定義を考案した。それは、「PBS は行動を 支援するためのアプローチであり、研究に基づく アセスメント、介入、そしてデータに基づく意思 決定に関する継続的なプロセスを含む。そしてそ のアプローチは、社会的能力やその他の機能的な 能力を形成し、サポーティブな文脈を作り出し、 問題行動の発生の予防に焦点を当てる。PBS は、 主に行動科学、教育科学、社会科学に由来する個 人の尊厳と全般的なウェルビーイングを尊重する 方略を拠り所とするが、他のエビデンスに基づく 手続きを組み込むこともできる。PBS は、個人の レベルにおいても、より大きなシステムのレベル (例えば、家族、学級、学校、社会サービスプロ グラム、機関など)においても、多層的な枠組み の中で適用される」(Kincaid et al., 2016)という ものである。ABA と PBS の関係性
前述したように Horner et al. (1990)以降、PBS について様々な定義が示され、様々な PBS の特 徴があげられていることが確認できた。一方で ABA は「社会的に重要な行動を改善するために 行動の原理から導かれた戦術を系統的に適用し、 行動変化の原因となる変数を同定するために実験 を用いる科学である」(Cooper, Heron, & Heward, 2019)と定義され、Skinner (1978)は「行動機会表 1 先行研究であげられている PBS の特徴 Horner et al.
(1990) Koegel et al. (1996) (2002)Carr et al. Carr & Sidener (2002) Dunlap et al. (2008) ①生活スタイル の変更を強調 ①本人中心の価値観に基 づく実行 ①包括的なライ フスタイルの 変更と生活の 質 ①本人中心の 計画 ① 包括的なライフスタイルの変更および QOL の改善は、あらゆる 介入の目標であり、支援を受け る人々の価値に基づいてのみ定 義することができる。 ②機能分析 ②各個人の個 別性を認識 ②生涯を見据えた視点 ②機能的アセスメント ② 介入と支援は、長期的なライフサイクルの観点から見て実施さ れるべきである。 ③複数要素から 成る介入 ③有意義な成果 を 目 指 し、それを 達成する働 きかけ ③生態学的妥当 性 ③ポジティブな介入方略 ③ 介入は生態学的妥当性を有していなければならず、介入と支援 におけるそれぞれの方略は、現 実のセッティングと状況におい て実行可能で、妥当であり、効 果的でなければならない。 ④生態学的な操 作とセッティ ングイベント ④ステークホル ダーの参加 ④多面的な介入 ④ 主要なステークホルダー(親、教師、友人、雇用主、きょうだいな ど)は、介入計画や支援計画の 立案と実行において協働者およ びパートナーとして機能する。 ⑤先行子操作を 強調 ⑤社会的妥当性 ⑤環境要因へのフォーカ ス ⑤ 社会的妥当性は、効果的な手続 きと標的とされた成果の主要で 普遍的な基準である。 ⑥適応的な行動 の指導 ⑥システムの変容と複数要素 から構成され る介入 ⑥意義のある 成果 ⑥ 支援と持続可能性を着実にするためには、システムに関わる変 数に注意を払う必要があること を理解した上で、介入が立案さ れる。 ⑦効果的な結果 事象が随伴す る環境の構築 ⑦予防の強調 ⑦生態学的妥 当 性 へ の フォーカス ⑦ 支援計画は、全般的に予防を強 調して立案され、問題行動が起 きていない場合は、積極的で機 能的な介入が行われることが認 識されている。 ⑧罰の使用の最 少化 ⑧科学的実践に関する柔軟性 ⑧システムレベルの介入 ⑧ 支援計画は、医学的、行動的、教育的変数のアセスメントに基 づき、行動科学と生物医学から 引き出された原則によって導か れ、効果が直接測定され評価さ れる。 ⑨緊急時の対応 と プ ロ ア ク ティブな計画 の区別 ⑨複数の理論的 観点 ⑨ 最 適 な 効 果 を 得 る た め に は、様々な方法論的実践から得られ た知識を活用する必要があるこ とを理解している。 ⑩行動的支援に おける社会的 妥当性と尊厳 ⑩ 効果的な介入と支援を開発する ことへの貢献は、複数の理論的 観点があって可能になると実用 的に理解されている。
の保障」と「正の強化が随伴される環境の中で暮 らすことの保障」を重視し、望月(2001)は、行 動分析学の枠組みにおいて「行動的 QOL」とい う概念を提唱した。ABA の定義や ABA において 重視されてきたことのかなりの部分は、PBS の定 義や特徴と重複しているように思える。ABA と PBS は同じであるのか、それとも異なるものであ るのか。あるいは ABA と PBS は部分的に重なり 合う別のものであるのか、それともどちらか片方 がもう一方を完全に包括しているのか。実は PBS の定義と同様、ABA と PBS の関係性の捉え方に ついても複数の立場があり、統一された見解がな い。 例 え ば、Carr (1997) は PBS を「ABA か ら 進 化した新しい応用科学」と表現し、Carr & Sidener (2002)は「PBS は ABA の要素を取り入れただ けではなく、応用行動分析学の領域を超えて、独 自のアイデンティティを持つに至った」と PBS の独自性を主張している。また、Clarke & Dunlap (2008)は、1999 年から 2005 年までに刊行され
た JPBI、JABA、そして Education and Training on Mental Retardation and Developmental Disabilities (ETMRDD) に掲載された論文を比較し、JPBI に 掲載されている論文が JABA に掲載されている論 文よりも、1)日常生活における典型的な物理的 環境、活動、社会的文脈の中で実施されていると いう点で生態学的妥当性が示されている、2)ア セスメントに基づいた介入が多い、3)般化と維 持について示されている、4)社会的妥当性につ いて示されていると述べ、JPBI に掲載されてい る論文、すなわち PBS の研究や実践の独自性を アピールしている。これらの見解は PBS を ABA とは別の独立した分野・体系として捉える立場、 あるいは ABA は PBS の構成要素の 1 つに過ぎな いと見なす立場であるといえよう。 一方で、この「PBS は ABA から進化した新し い応用科学である」と捉える見解に対しては、 ABA の 立 場 か ら 様 々 な 批 判 が あ る。 例 え ば Johnston et al. (2006)は「PBS が新しい科学であ ると主張する根拠はない」、「PBS は新しい現象や 主題を扱っておらず、既に確立されていることの 範囲を超えて、行動を研究し、変化させるための 新しい方法を開発していない」、「障害のある人々 の QOL を向上させ、個人の尊厳を重視するとい う PBS の『価値』は、行動分析家や他の専門家 によっても長年にわたって取り組まれ十分に検 証された課題であり、新しいものでも独自のも のでもない」と批判を重ねている。また、Carr & Sidener (2002) や Mulick & Butter (2005) は、 PBS によって主張されている行動変容の方法論 は、古くから ABA の文献の中で示されてきたも のであることを容易に立証することができると指 摘している。さらに、PBS の実証研究のメタ分析 として刊行された論文 (Carr et al., 1999; Marquis et al., 2000)でレビューされている研究のほとん どが ABA の実践であった(Carr & Sidener, 2002) という批判もある。
その他、PBS の独自性に対する否定的な見解と して Mulick & Butter (2005)は、「PBS は社会運 動、もしくはマーケティング戦略である」と述べ ており、Wacker & Berg (2002)は「PBS の立場を 取る者たちは、関連領域から哲学、科学的発見、 実践を統合しようとしたが、これは必ずしも応用 科学の進化といえるものではなく、むしろサービ ス提供システムの進化であると思われる」と指摘 している。また、Horner (2000)は「PBS は新し いアプローチではなく、社会の問題に対する行動 分析学の応用である」と述べ、また Turnbull et al. (2001)は、「PBS は応用行動分析学を拡張させた もの」と表現している。これらの見解は、PBS を ABA と本質的な違いがないものと捉える立場、 あるいは PBS を「行動分析学の応用モデルの 1 つ」として捉える立場であるといえよう。 このように ABA と PBS の関係性については、 様々な見解があるものの、PBS の誕生や発展の経 緯、そして PBS の定義や特徴としてあげられて いることを概観すると、大きくは図 1 のような 2 つの捉え方に集約できる。一方は図上側のよう に、PBS の独自性を積極的には認めず、PBS を 社会的問題に対する ABA の知見の提供を目的と したモデルや枠組みであると捉える立場である。 もう一方は、図下側のように、PBS を ABA とは 別の独立した応用科学とみなし、ABA を PBS の 構成要素の 1 つと捉える立場である。
Anderson & Freeman (2000) が 述 べ る よ う に 「PBS の枠組みは ABA と一致している」という 見解はあるものの、少なくとも米国におけるそれ までの経緯を考慮に入れると、「ABA と PBS は 全く同じものである」と主張することは困難であ るといえる。それでは、ABA と PBS はどのよう に違うのか。双方の立場から、互いを批判してい るその内容を詳細に検討することによって、双方 が強調していることや重視している点を対比させ ることができるかもしれない。 例えば、PBS の立場からの ABA に対する批判 として Carr et al. (2002)は、1)対象者の行動に 関して短期間のデータしか示していない、2)ア ナログ状況における因果関係の微視的分析に終始 している、3)行動分析家は「専門家」として、 問題を定義して介入を選択・計画し、コンシュー マー(親や教師など)を方略実施のための援助者 として位置づける、4)特定の研究方法に限定さ れている、5)単一の手続きを導入するやり方は 科学的ではあるが、実践的ではない、6)予防の 視点に欠けている、と指摘している。批判の内容 は主に ABA の研究方法や ABA に基づく実践に 関するものである。これらの批判からは、PBS が 生態学的妥当性、複数の要素を含んだ包括的支 援、多様で柔軟な研究方法、問題の予防を重視し ていることがうかがえ、前述した PBS の定義や 特徴とほぼ重なると考えられる。また、「専門家」 のパターナリズムに対する批判は、「本人中心の 価値観」を重視することを反映しているといえよ う。 一方で、ABA から PBS に対する批判として Johnston et al. (2006)は、1)行動の結果事象を軽 視している、2)実践者に包括的なスキルが必要 であるにも関わらず養成モデルが確立されていな い、3)価値観を優先することで科学的知見に フィルターをかぶせてしまい、科学的知見よりも 価値観に基づいて臨床的判断が行われてしまう、 4)研究手法が「柔軟」であるので、エビデンス の信頼性に問題がある、5)ABA を「古いやり方」 などと むことで PBS の独自性をアピールして いる、と指摘している。PBS の「普及重視」や 「ABA 軽視」というスタンスそのものに対する批 判も含まれているが、ABA がエビデンス、ある いはエビデンスに基づく意思決定、そして研究成 果の再現性を重視していることがうかがえる。山 本・澁谷(2009)は、「エビデンス」の根拠とな る科学的研究の条件として、1)独立変数として の支援方法がマニュアル化され再現できること、 2)従属変数としての変化が客観的な指標によっ て計測されていること、3)独立変数と従属変数 との関係を分析するための妥当な研究方法が用い られていることが必要不可欠であると述べてい る。PBS も「科学的裏づけ」を重視する立場を取 るが(Dunlap et al., 2008)、Johnston et al. (2006) の批判の内容からは、ABA の立場を取る研究や 実践の方が、PBS のそれよりも独立変数の再現可 能性、従属変数の客観性、そして独立変数と従属 変数の機能的関係を明らかにするための研究デザ インの厳密性を重視しているといえる。
日本における PBS との向き合い方と
今後の課題
以上の文献的検討から PBS の誕生は、障害の ある人々を含む社会的マイノリティの権利擁護に 関連する当時の社会情勢の上に、行動分析学のテ クノロジーの発展が重なった結果であり、PBS は 法的そして予算的なバックボーンを着実に形成し ながら、驚くほどの速さで一定の発展と普及を遂 げてきたことが明らかとなった。 しかし、米国における PBS の急速な発展と普 及は、バックボーンの 1 つであるはずの ABA と の分断に繋がるリスクを生んだといえる。例え 図 1 ABA と PBS の関係性に関する 2 つの立場(注 3)ば、PBS に特化した専門誌である JPBI が JABA とは別に創刊され、PBS に特化した組織である APBS が ABAI とは別に新たに設立されたことは、 両者の分断に拍車をかけるかもしれないし、既に 分断が進んでいることの証左であるといえるの かもしれない。また Behavior Analyst Certification Board (BACB) が認定した資格保有者の中で、 「自分の仕事は PBS である」と回答した者はわず
か 7%しかおらず(Shook, Johnston, & Mellichamp, 2004)、PBS について解説した Carr et al. (2002) の 10 名 の 著 者 の 中 で、Board Certified Behavior Analyst (BCBA)の有資格者は 1 名しかいなかっ たことが指摘されている(Johnston et al., 2006)。 組織的な分断だけでなく、研究者や実践家のアイ デンティティにおいても、ABA と PBS の分断が 存在する可能性を示唆していると考えられる。 日本においても、前述した APBS の関連組織で ある APBS ネットワークの日本ブランチが設立さ れたが、理事メンバー 16 名(設立時は 17 名)(注 4) は全員が日本行動分析学会の会員である。現在の ところこの日本ポジティブ行動支援ネットワーク 以外に、国内では PBS に特化した組織や団体は 設立されておらず、また、PBS に関する研究に特 化した商業誌や学術雑誌も刊行されていない。し たがって、日本国内においては、少なくとも 2019 年の段階においては、客観的に確認できる 形としては ABA と PBS の分断を示唆する動きは 起きていないように思える。 日本においては、今後も両者の分断を避け続け るよう努めることが賢明であろう。学校教育の領 域を例にあげると、日本の幼稚園、小学校、中学 校、高等学校、特別支援学校の数を合わせると、 およそ 47,000 校になる。この中の何校において 行動分析学の知見が適切に応用されているかと問 われれば、現実を知る行動分析家は、首を傾げる はずである。しかし大久保他(2020)や松山・三 田地(2020)の SWPBS の実践研究のように、確 実に芽は出つつある。そのようないわば「萌芽 期」に ABA と PBS の組織的な分断を生むことは、 必ずしも多くはない実践や研究に携わる人的リ ソースを分散させ、実践や研究に関するこれまで の発展や普及の流れを弱めてしまうことになるだ ろう。 組織的な分断を防ぐためには、同時に「学術的 な分断」についても検討を重ねる必要がある。例 えば『行動分析学研究』の「論文種別とその特徴 ならびに査読評価基準」では、関数関係の検証が 重視されることは示されているものの、研究方法 は限定されていない。しかし、JPBI には掲載さ れている群間比較デザインが用いられた研究(例 えば、Horner et al., 2009)やインタビューデータ を分析する質的研究法が用いられた研究(例え ば、McIntosh, Kelm, & Canizal Delabra, 2016)を、 『行動分析学研究』において同様にアクセプトす るのか否かについては議論が必要となるであろ う。もし、『行動分析学研究』がそのような研究 論文をアクセプトせず、他のジャーナルがそのよ うな研究論文を積極的に掲載するようになれば、 PBS に関する研究知見が、日本行動分析学会以外 のコミュニティに蓄積されていくようになる。 さらに今後検討が必要な事項と関連づけなが ら、本論文の主題である「PBS とは何か?」とい う問いに対する回答を模索する。この問いに対し て意味論的に答えるとすれば、これまで述べてき たように PBS を独自の応用科学として認めるか 否かを巡って「多様な答えがある」という、あま り示唆が得られない結論に行き着いてしまう。し かし、語用論的に「PBS という言葉はどのような 文脈で用いられているのか?」、あるいは「PBS という言葉をどのような文脈で用いるべきなの か?」と問いを立て直すと、具体的に戦略的な検 討を行う余地が生まれる。その戦略的検討は日本 独自の文脈に依存するため、米国におけるこれま での経緯に倣う必要はない。 日本において PBS という言葉を使う行動は、 どのような機能を果たし得るのか。その 1 つとし て、海外の「PBS コミュニティ」とのコミュニ ケーションを促進させる機能が考えられる。日本 ポジティブ行動支援ネットワークの設立により、 APBS の国際会議において、国際ネットワーク間 でコミュニケーションを重ねる機会が生まれ、諸 外国の研究者や実践家と情報交換を行う機会が増 加した。それらのコミュニケーションは日本にお ける実践や研究の発展に必須ではないかもしれな
いが、何らかの形で発展に寄与する可能性があ る。逆に、日本から発信される知見が、国際的な 貢献に繋がる可能性もあるだろう。 次に「最初に PBS に関心を持った層」に対す る注目獲得機能があると考えられる。PBS は前述 した通り、障害児・者支援の領域で発展してきた という経緯があるが、近年では国内においてそれ 以外にも、例えば生徒指導の実践として PBS が 実施され(例えば、古市・西山,2015)、学校カ ウンセリング関連のジャーナルにも PBS の実践 が報告されている(例えば、松山,2018)。つま り、これまで日本においては ABA を専門とする 研究者や実践家があまり進出してこなかった領域 において、PBS に関心が向けられているのであ る。前述した Johnston et al. (2006)の指摘の通り、 これらの領域において「ABA に基づかない PBS」 が普及してしまうリスクに対しては、十分に注意 を払う必要がある。しかし、これらの「新たに PBS に関心を持った層」は、ABA を普及させる ための重要なキーパーソンであると位置づけるべ きである。また、何らかの学習履歴によって 「ABA」という言語刺激に対して拒否的な反応を 示すようになってしまった人々にとって、「PBS」 というラベルは ABA に適切な関心を向けるきっ かけとなるかもしれない。 したがって、日本において PBS という言葉を 用いることには一定の意義や効果があると考えら れる。また前述した通り ABA であれ PBS であれ、 米国と比較してその普及が未だ発展途上である日 本の文脈を考慮すると、ABA と PBS の分断を生 むような戦略を選択することは明らかに得策では ない。そのような文脈から、「PBS とは何か?」 という問いに戦略的に答えるとすれば、日本にお いては「PBS は ABA のサービス提供モデルであ る」と主張する Wacker & Berg (2002)の見解を 採用することが理にかなっていると考えられる。 行動分析学の立場からは、PBS に多様な専門分 野(組織マネジメント、コミュニティ心理学、生 態学的心理学、文化心理学、生物医科学、ポジ ティブ心理学など)を包括することを推奨する Carr (2007) の主張に対しては慎重にならざるを 得ない。問題や状況が複雑であるからといって、 基盤となる理論体系までもいたずらに複雑化して しまうことは、ABA と PBS の分断を生むだけで なく、現在に至るまでに蓄積された研究知見との 分断をも生んでしまう可能性がある。仮にそれま で不可能であった行動の制御を可能にするために 理論の更新が必要になった場合も、その更新は十 分に統制された実験から得られた知見に基づくべ きであり、過去の知見の連続線上に位置づけられ るべきであろう。そのように適切な手続きを経れ ば、他分野で提唱される新しい理論や研究知見も 行動分析学の枠組みの中で再構築できる可能性が ある。複雑な実社会における問題を解決するため には「柔軟性」が必要になるが、柔軟であること は必ずしも複数の理論的基盤を持つことと同義で はない。また、問題の解決困難性は、理論体系の 不備や不足ではなく、単純にリソース(人的資 源、時間、予算など)の不足に起因する可能性も あるため、原因を混同しないことも重要である。 「PBS という言葉を用いる行動」の機能と併せ て検討する必要があるのは、「ABA という言葉を 用いる行動」の機能である。行動分析家が自らを そのように称する行動、あるいは自らの実践を ABA であるとタクトする行動は、専門家として の養成プロセスやその時点における社会的な随伴 性によって形成・維持され、そして自らの研究や 実践に関する行動を制御する。その機能として、 ABA に関する知見にアクセスし、適切にそれら を応用することを可能にする点はもちろん重要で ある。しかし本質的に重要であるのは、二人称の 科学(武藤,2017)として、三項随伴性の枠組み の中でラディカルに実際の問題を分析し解決を図 ろうとする徹底的行動主義のフィロソフィーに基 づくことであろう。 日本において効果的な行動支援の開発と普及を 進めていくために、前述したように PBS という 言葉を機能的に用いていくことは有効であるとい える。しかし、PBS と称されるアプローチが非嫌 悪的で効果的であればあるほど、武藤(2007)が 指摘するように、社会的逸脱行動に対する対症療 法に終始してしまい、当事者の QOL が顧みられ ないという問題に繋がりやすくなる。その際、単 に対象者の行動変容を促すことを最終ゴールと捉
えるのではなく、行動随伴性という枠組みから対 象者の適応や QOL について検討することができ る行動分析家が果たすべき役割は大きい。 注
1) 「PBS」について、Horner et al. (1990)においては 「positive behavioral support」と表記されていたが、
そ の 他 の 文 献 に お い て は「positive behavioral supports」と複数形になったり、「behavioral」の部 分が「behavior」になったり、あるいは特に学校教 育の領域では「positive behavioral interventions and supports: PBIS」と表記されるなど、「PBS」に関わ る名称が混在しており混乱の原因となっている (Dunlap, Kincaid, Horner, Knoster, & Bradshaw,
2014)。Dunlap et al. (2014)は「『ポジティブな行 動を』支援する」(標的行動がポジティブであると いうこと)と「『ポジティブに』行動支援をする」 (支援方法がポジティブであるということ)とい う二通りの解釈が可能である「positive behavior support」が、PBS の価値観や内容に最も適合して いるという点からその使用を推奨している。また、 Dunlap et al. (2014)は、学校教育において、PBS の実施が法的要求事項として明文化された際、
public broadcasting service(PBS)という放送局の名 称との混同を避けるため、「PBIS」という名称が用 いられるようになった経緯について述べ、学校教 育の領域に限定された用語として「PBIS」を用い ることの妥当性を認めている。
2) し か し、 2018 年 に は Association for Behavior Analysis International と Association for Positive Behavior Support に加え、Association for Contextual Behavior Science、Evolution Institute、National Prevention Science Coalition、Society of Behavioral Medicine の 合 計 5 つ の 団 体 か ら 構 成 さ れ る Coalition of Behavioral Science Organizations が設立 され、社会における様々な問題の解決が目指され ている。PBS は ABA から組織的に独立し、独自の 発展と普及を遂げながら、再び ABA との距離を縮 めていると捉えることができるのかもしれない。 3) PBS に 含 ま れ る も の と し て、 例 え ば Carr et al. (2002)は、ABA 以外に、ノーマライゼーション、 インクルージョン、本人中心の価値観をあげてい る。また Carr (2007) は、PBS に組織マネジメン ト、コミュニティ心理学、生態学的心理学、文化 心理学、生物医科学、ポジティブ心理学といった 多様な専門分野を包括することを推奨している。 4) 設立時には 2019 年 4 月に逝去した小笠原恵氏が理 事メンバーであった。 引用文献
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――2019.7.20 受稿、2019.10.22 受理――
REVIEW
What is Positive Behavior Support?
K
ENICHIO
HKUBOKio University
Y
UKIKOT
SUJIMOTOYEVIS Co., Ltd.
K
AZUKIN
IWAYAMAOsaka Kyoiku University
Abstract
Positive behavior support (PBS) has attracted attention as an approach to behavioral problems of persons with intellectual disabilities and/or developmental disabilities. In the United States, positive behavior support became a legal requirement, which led to its having some influence on society. In recent years, school-wide positive behavior support (SWPBS) has become increasingly well known outside of Japan, mainly in the United States, and Japanese behavior analysts should not ignore the practice and research related to positive behavior support. However, it is not easy to explain what positive behavior support is in relation to applied behavior analysis (ABA). In the present article, in order to be able to explain what positive behavior support is, a bibliographical investigation was done on the origin of positive behavior support, the history of its development, its definition and features, and its relationship to applied behavior analysis. The results confirmed that the positive behavior support that was created in a social climate in which normalization and protection of the rights of people with disabilities came to be emphasized has various definitions, and those definitions have changed over time. The positive behavior support community in the United States formed separately from the applied behavior analysis community, and associated professionals established an independent organization. In addition, there has been controversy over the uniqueness of positive behavior support, as some view it conceptually as one of applied behavior analysis’s service delivery models, and others view it as a new applied science evolved from applied behavior analysis. The present paper concludes with an examination of how to present positive behavior support in Japan and of future problems that may arise in relation to it.
Key Words positive behavior support (PBS), behavior analysis, origin of positive behavior support, definitions of positive behavior support, features of positive behavior support, relationship between applied behavior analysis and positive behavior support