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地域医療ネットワークの認知度と患者情報共有への賛否との関連

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地域医療ネットワークの認知度と

患者情報共有への賛否との関連

伊藤 敦   奥村 貴史

北見工業大学工学部

キーワード: 地域医療ネットワーク、認知度、患者情報共有、住民調査、プロモーション戦略

Residents’ Recognition and Attitudes toward Clinical Information Sharing over

Regional Healthcare Networks

Atsushi Ito, Takashi Okumura Kitami Institute of Technology

Key words: Regional Healthcare Networks, Residents’ recognition, clinical information sharing, resident opinion survey, promotional strategy

Abstract:

To efficiently share clinical information, regional healthcare networks have been developed nationwide. As per a survey, only 1% of the population is registered in such networks. Unless residents in each region become aware of the service, they would not willingly register themselves to share their clinical data. Accordingly, this study administered an online questionnaire to measure their recognition on the networks and their attitude toward online-sharing of clinical information.

The surveillance showed that the recognition rate was 17.8% and the approval rate was 63.3%, as national average. The results indicated a positive correlation between the recognition and the approval rate, a weak correlation between the number of networks and the recognition in a prefecture, and no correlation between the number of networks and the approval rates. The results suggested that promotion campaigns of the networks might contribute to the online sharing of patient information.

たネットワークを国家レベルで構築し , 活用してい る2)-3). 米国でも , デラウェア州において患者情報 の交換に向けたネットワークが構築されている4). そ の一方 , わが国では主として二次医療圏 , 高度な医 療では三次医療圏で完結する提供体制を整備してい るため , 各地域の事情に応じた多様なネットワーク 形態の構築が , 多額の補助金を支出することによっ て試行的に進められてきた5),6). その結果 , 県によっ ては運営主体の異なる複数のネットワークが運用さ れている状態を招いている . 本来 , 情報ネットワー クは , 外部性を最大限に発揮するためにも全国レベ ルで統一した運用が効率的と考えられる . 一方で , 全国ネットワークには , データの漏洩が生じたとき の漏洩量が膨大になるというセキュリティ上のリス Ⅰ 背景と目的  医療圏における患者情報の効率的な共有を目指 し , わが国では2000 年代以降から地域の医療機関 同士を繋ぐ地域医療ネットワークが多数構築されて きた . 患者情報の共有には , 医療機関の間に連携と 分化を促進し , 重複診療や不要な投薬などの過剰医 療を抑制しながら医療の質と効率を向上させる効果 が期待される1). これらのネットワークには , 参加 する医療機関だけではなく , 患者や住民側にも利点 がある . 例えば , 診療や検査の重複を防止すること により , 患者の経済的負担を軽減させる可能性があ る .  英国やエストニア , 北欧諸国においては , こうし 伊藤 敦  北見工業大学工学部  TEL: 0157-26-9530  E-mail: [email protected]

原  著

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ク等 , コストの増大も懸念される . 医療圏毎にネッ トワーク化を進める方式には , 漏洩やシステム障害 の影響を局所化できるという長所もあることから , 過渡的措置として地域毎のネットワーク整備が試行 されてきたと考えられる .  こうした経緯を経て , 最近では , 長崎県のあじさ いネットや島根県のまめネット等 , 県全体で統一し たネットワーク形態(以下 , 全県型ネットワーク) を構築することにより , 登録医療機関数と登録患者 数の増加に寄与している事例が選択されている7),8). ただし , これら一部の地域医療ネットワークを除い て患者情報の共有化は一般化しているとは言い難 く , 運用の形骸化が以前から指摘されてきた9).2016 年に日本医師会総合政策研究機構 ( 以下 , 日医総 研 ) が実施した調査では ,154 箇所のネットワーク のうち63 箇所が消失したことが報告されている10). また ,2019 年には , そもそもネットワークに参加す る医療機関自体が少なく , 利用登録する住民も人口 の1% に過ぎない点が明らかとなった11).  わが国全体として地域医療ネットワークの活用が 低調である背景には , 県内に運営主体の異なる複数 のネットワークが乱立している点 , システム構築・ 運用費用が高額である点 , 更新費の捻出が困難であ る点 , 運用に携わる専門家人材が不足している点 , 患者の同意取得に係わる負担が大きい点など , さま ざまな要因が指摘されている12). そこで , 従来事業 における無数の失敗への反省から , 政策改善に向け た取り組みが進められてきた . まず , 協議会等の運 営主体を設置し , 自主財源により運営することが目 指された . また , 公的な財源の下で社会インフラと して運営し , 全国レベルのネットワークへと展開し ていく議論も試みられてきた13),14). さらに , 各運 営主体による事業の評価に際して , ネットワーク運 営の効率性の観点から , 住民の参加率 ( ネットワー クでの情報共有に対する同意書取得率 ) が主要な評 価軸として設定されてきた .  本研究は , この「患者情報共有への賛否」に着目 した . この患者同意は , 住民の自由意志にゆだねら れているため , 同意率を増す前提として住民による 認知が必要となる . しかし , これまで行われてきた 政策評価は , 運営主体側の構築費用や運用費用を中 心とした現況調査と , 医療データの管理者や所有者 に係わる意識調査に留まっており , 住民によるネッ トワークの認知について検証した網羅的な研究は今 のところ存在しない15)16). 現在選択されている政 策モデルにおいては , 住民が地域医療ネットワーク の存在を認知したうえで , 自らの患者情報の登録に 同意しなければ , ネットワークへの患者登録は進展 しない . そこで , 本研究では , 住民の認知度と患者 情報共有の賛否状況について調査し , 両者の関係の 把握を目的とした . Ⅱ 方法 1.調査方法  本研究では , インターネット調査会社に登録する 全国のオンラインモニター2000 人を対象に , 地域 医療ネットワークに対する認知度と賛成率を調査し た . 以下に調査デザインを詳述する .  まず , 患者情報のネットワークによる共有は , 一 般的に高齢化が進んでいる地域ほど患者が複数の医 療機関を利用する傾向があることから , 人口密度の 高い都市圏よりも人口密度の低い地方都市を中心に 発展してきた経緯がある . よって , このネットワー クと住民属性との関連を把握するために , 属性に係 る質問項目として , 性別 , 年代 , 職業 , 居住地の人 口規模 , 通院頻度 , 加入保険 , 世帯年収を設けた .  次に , 地域医療ネットワークに対する認知度の聴 取のため ,「あなたが住んでいる地域 ( 都道府県 ) では , 医療機関同士が患者の診療情報を共有する ネットワークシステムの構築が進められています が , ご存知ですか . 該当する項目を一つ選んでくだ さい」という設問を提示した上で ,「知っている ( 認 知 )」「知らない ( 非認知 )」の二選択肢で回答を求 めた . オンラインでの患者情報共有に対する態度と しては ,「賛成」「どちらかと言えば賛成」「どちら でもない ( 中間 )」「どちらかと言えば反対」「反対」 の5 件法により , 回答を求めた . なお , 認知度と賛 成率に関しては , 認知度=県別認知の回答数÷県別 モニター総数 , 賛成率=(県別「賛成」+「どちら かと言えば賛成」の回答数)÷県別モニター総数よ り算出した .  また , モニターの個人情報保護の観点から , 各回 答者の詳細な居住地情報を収集することは困難で あるため , 各回答者の居住地域に存在する地域医療 ネットワークの情報は別データにより補う必要があ る . わが国における地域医療ネットワークの調査と しては , 日医総研による調査が知られているが , こ の調査は現況調査であるため , 本研究に際してはわ が国に存在したネットワークの網羅的なデータを用 いることが望ましい8). そこで , 筆者が編纂した「地 域医療情報ネットワーク台帳」を活用した14). 本 台帳には , 事業継続中のネットワークに加えて , 既 に事業が終了した全国420 箇所の地域医療情報ネッ トワークの基礎データが網羅されている . この台帳 と平成27 年国勢調査の人口統計を突き合わせるこ とにより , 各県における二次医療圏に存在する平均 ネットワーク数 (NW 数 ) と , 各県における地域医

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療ネットワークの人口カバー率を算出した .  ネットワークへの患者登録数の拡大を目指すので あれば , ネットワークの利用機会を全ての住民に保 障することが合理的である . 県全体で統一したネッ トワークを提供する方が , 医療圏毎にネットワーク 化を推進するよりも , 広報上のメリットが大きいと 考えられる . そこで , 全県型ネットワークとそれ以 外のネットワークに分け , 住民側の認知度と患者情 報の登録への賛否状況についても検証を試みた . そ のため , 各県において , 全県型ネットワークの有無 ( 以下 ,「全県ダミー」) についても説明変数とし て必要なデータ整備を行うと共に , 認知度に影響を 与えると考えられる各県における最初のネットワー ク構築後の経過年 (2020 年基準 ) を用意した .  実際の調査は ,2018 年 12 月 15 日から 22 日まで の8 日間 , インターネット調査会社に登録する全 国のオンラインモニター2000 人を対象に執り行っ た . サンプリングに際しては , 平成27 年国勢調査 で集計した男女別都道府県人口を活用して地域毎の 人口分布に沿ったモニターを , 二段階層化抽出法に より割付けした . 本アンケート調査は , 所属機関の 研究倫理委員会より承認を得たうえで実施した ( 北 見工業大学・人を対象とする研究倫理審査委員会 , 承認番号1015). 2.分析方法  広報における経済的な合理性から , 全県型ネット ワークを構築した方がネットワークの認知度と患 者情報共有の賛否を高める可能性があると考えられ る . そこで , 関連性がある要因として全県ダミー ( 全県型=1, それ以外= 0), 県内におけるネット ワーク開設後の経過年 (2020 年基準 ) を説明変数に 用いることを基本的条件とし , さらには都道府県別 に NW 数 , 県毎のネットワークの人口カバー率 , こ のネットワーク数との関連が想定される1 人当たり の年齢調整後医療費 ,1 人当たりの急性期医療密度 指数 ,65 歳以上人口比 ,1 人当たりの県民所得から 構成される合計12 の指標を整備した上で記述統計量を 求めた* 1 . ただし , 認知度と賛成率は都道府県間に よるサンプルサイズの格差が大きいことから , サン プルサイズによる重み付を行うことで補正した*2 .  次に , これらの指標について相関行列を算出し , 認知度と賛成率に対して相関係数が0.1 以上を満た す指標を抽出した . これに加えて , 説明変数に用い る全県ダミーと経過年に対して高い相関が認められ る場合はあらかじめ除外した上で , 認知度並びに 賛成率を被説明変数 , 相関係数が0.1 以上を満たす 指標を説明変数とした重回帰分析を試行した . さ らに , 認知度と賛否に関連する要因を検証するため に , ロジスティック回帰分析を実施した . 認知度は 認知=1, 非認知= 0, 賛否は「賛成」「どちらかと 言えば賛成」を「賛成」,「どちらでもない」を「中 間」,「どちらかと言えば反対」「反対」を「反対」 の3 つに分類した上で , 賛否 ( 賛成= 1, 賛成以外(中 間・反対)=0) に変換したデータを被説明変数と した . 説明変数にはNW 数 , 人口カバー率 , 全県 ダミー , 経過年を利用した . また , 属性に関しては , 説明変数に用いる項目を個別に強制投入し , 他の変 数を固定した状態で分析した . オッズ比及び95% 信頼区間を算出することで有意に関連する要因につ いて検討した . なお , オッズ比の信頼区間の下限値 が1 よりも大きいことを判断基準としている . Ⅲ 結果 1.記述統計量と相関行列から見た認知度と賛成率 との関連  都道府県別に収集した 12 指標のデータに関する 基述統計量を表1 に示す . まず二次医療圏毎の NW 数を見ると平均が0.770, 変動係数が 0.390, 認知度 は平均が17.8% , 変動係数が 0.524, 賛成率は平均63.3% , 変動係数が 0.175 であることから , 認知 度の変動係数が最も大きい . そこで , 認知度基準で 並べ替えた都道府県別順位を表2 に示した . 最大値 に該当する県は島根県で58.1% , 最小値に該当する 県は香川県と高知県で0.0%であるため , 変動幅の 大きいデータであることが判明した .  次に , 認知度との相関係数が 0.1 以上を満たす 指標について分析したものを表3 に示す . その結 果 ,NW 数 0.127, 県民所得 -0.263, 全県ダミー 0.325, 人口カバー率0.130, 賛成率 0.388 であった . また , 同じく賛成率との相関係数が0.1 以上を満たす指 標は ,1 人当たり急性期医療密度0.170, 県民所得 -0.215, 経過年 0.197 であった . 2.認知度と賛成率に関する重回帰分析結果  続いて , 認知度並びに賛成率を被説明変数 , 認知 度と賛成率に正の相関がある指標を説明変数とした 以下の定式を用いて重回帰分析を試行したものを表 4 に示す . ここで , 表 3 の相関分析の中で NW 数と 人口カバー率は全県ダミーに対して高い相関が見ら れたため , あらかじめ除外している .  認知度=定数項+全県ダミー+経過年+誤差項       (1)  賛成率=定数項+全県ダミー+経過年+認知度+ 誤差項  (2)  分析の結果 , まず (1) については , 説明変数とし て全県ダミーは偏回帰係数が6.230 と特段に大きい

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ものの経過年と併せてt 値は有意ではなかった . た だし , 定数項のt 値は 3.539 で絶対値で 2 を超えて いた . 自由度調整済決定係数は0.059,F 検定の結果 は0.098 であったことから , 説明変数との相関はな いと判断できる . 次に (2) については , 説明変数と して全県ダミー , 経過年は有意ではなかったが , 認 知度のt 値は 3.939 で絶対値で 2 を超えていた . 自 由度調整済決定係数は0.266,F 検定の結果は 0.001 であった . 3.都道府県別認知度と賛成率との関連  認知度と賛否との関連を明確化するために ,47 都 道府県で回帰分析を実施した結果を図1 に示す . 図 1 におけるバブルの直径は , 都道府県間のサンプ ル数の大きさを示す . 都道府県の人口比に応じて 2000 名を各県に割り付けたため , 人口の多い東京 都 (228 名 ) や神奈川県 (147 名 ) にはある程度のサ ンプル数が割り当てられているものの , 人口の少な い鳥取県(11 名)や高知県(12 名)はサンプル数 が少なく , プロット上の認知度や賛成率に統計的に 大きな誤差が見られる . また , 回答者の3 割は 60 代以上であるが , 医療機関への通院頻度が年数回と 未利用と回答した者の割合が全体で6 割を占めるこ とから分析の際に注意を要する(表5).  分析の結果 , 自由度調整済決定係数は0.215 であ り両者に相関があることが示唆されたが , 全ての ネットワーク形態を合わせて推定しているため , 全 県型ネットワークとそれ以外のネットワークに分け

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た場合 , 認知度と患者情報共有の賛否に差異が生じ る可能性がある . そこで , さらにこの都道府県デー タを「全県型」と「それ以外」に分離し回帰分析を 試みた結果を図2 に示す . その結果 , 自由度調整 済決定係数は全県型が0.325 に対して , それ以外が 0.152 であることから , 全県型のネットワークを構 築している県の方が説明力も高いことが判明した . 4.NW数 , 人口カバー率 , 経過年 , 全県ダミー と認知度及び賛否との関連  さらに ,NW 数 , 人口カバー率 , 経過年 , 全県ダ ミーと認知度及び賛否との関連を明確化するため に , ロジスティック回帰分析した結果を表6 に示 す . まず , 認知度のオッズ比(95%信頼区間)の結 果を見ると ,NW 数は 1.11(0.71-1.74), 人口カバー 率 は1.00(0.99-1.01), 経 過 年(2020 年 基 準 ) は 0.99(0.97-1.01) と有意ではなかったが , 全県ダミー に関しては1.31(1.01-1.70)で有意に高かった . 続 いて , 賛否のオッズ比(95%信頼区間)について は ,NW 数は 1.11(0.79-1.56), 人口カバー率は 1.00 (1.00-1.00), 経過年(2020 年基準)は 1.01(0.99-1.02), 全県ダミーは0.95(0.77-1.18)と有意ではなかった が , 認知度に関しては4.34(3.15-5.99)と有意に高 かった . 5.属性別に見た認知度と賛否との関連  最後に , このネットワークの認知度と賛成率との 関連を属性別に検証するためにロジスティック回帰 分析した結果を表7 に示す . これと併せて , 認知度 と賛成率との関連を属性毎と都道府県別に整理した クロス集計を表5 と表 8 に示している .  まず , 属性と認知度との関連を概観すると性別 , 年代 , 職業 , 通院頻度 , 加入保険 , 世帯年収の6 項 目で統計学的な有意差が認められた . 性別では「男 性」のオッズ比が1.45(1.14-1.93) で有意に高かっ た . 職業では「年金受給者」が2.13(1.33-3.41)に 続 い て「 会 社 員 」 が1.57(1.04-2.36), の 順 で 有 意に高かった . 通院頻度は「週1 回以上」が 2.82 (1.69-4.72),「月 2,3 回くらい」が 2.53(1.61-3.98),「月 1 回くらい」が 1.75(1.19-2.56)の順で有意に高かっ た . 世帯年収は ,「1000 万円以上」が 2.63(1.59-4.34), 「800 万円〜 1000 万円未満」が 2.09(1.24-3.53),「500 万円〜700 万円未満」が 2.05(1.30-3.23),「300 万 円〜500 万円以上」が 1.79(1.16-2.78)と , 年収の 高さに応じて有意に高かった .  次に , 属性と賛否との関連を見ると , 主な医療 機関を除く7 項目で統計学的な有意差が認められ た . 性別では , 男性のオッズ比が1.13(1.09-1.57) で 有意に高かった . 年代は70 代に対して「20 代」が 0.68

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0.48-0.97),50 代が 0.62(0.45-0.86),「30 代」が 0.59 (0.42-0.82),40 代が 0.56(0.41-0.76)の順で有意に 低かった . 職業は「その他・無職」と比べて「年金 受給者」が1.84(1.29-2.64) が最も高く ,「会社員」1.36(1.03-1.79),「専業主婦」が 1.44(1.05-1.98), の順で有意に高かった . 居住地の人口規模では「中 都市 ( >人口30 万人 )」が 1.83(1.27-2.66) で有意 に高かった . 通院頻度は「未利用」に対して「月1 回くらい」が2.82(2.14-3.72),「週 1 回以上」が 2.45(1.57-3.81),「年数回」が 1.90(1.49-2.42),「月 2,3 回くらい」が 1.82(1.27-2.58), の順で有意に 高かった . 加入保険は「分からない」に対して「後

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期高齢者医療制度」が3.81(1.86-7.78),「共済組合」 が3.10(1.89-5.11),「組合健保」が 2.04(1.38-3.02), 「協会けんぽ」が2.20(1.45-3.34),「国民健康保険」1.87(1.29-2.73)の順に有意で高かった . 世帯年 収は「分からない」と比べて「1000 万円以上」が 4.65(3.08-7.02),「800 万円〜 1000 万円未満」が 4.35 (2.88-6.55),「700 万円〜 800 万円」が 3.39(2.22-5.18),500 万円〜 700 万円未満」が 3.36(2.42-4.66),「300 万円〜500 万円未満」が 3.64(2.68-4.95),「200 万 円〜300 万円未満」が 1.99(1.40-2.81),「200 万円 未満」が1.68(1.16-2.42)の順で有意に高かった . Ⅳ 考察  地域医療ネットワークの住民の認知度と患者情報 共有の賛否との関連を把握するためにアンケート調 査を試みた結果 , ネットワークの認知度は全国平均 で17.8% , 賛成率は 63.3%であった(表 1). そこで , ネットワークの形態に着目して認知度と賛否との関 連を検証するために回帰分析を試行したところ , 全 県型に対してそれ以外のネットワークの方が偏回帰 係数と定数項が若干高かった . これは , 全県型の ネットワークとその他のネットワークが対象とする 住民の認知度が同じ水準にあれば , その他のネット ワークの方が , そもそも人口が少ないので患者情報 共有の賛成率が向上しやすい状況にあること , すな わち同意コストが低いことを意味する . しかし , 医 療圏毎にネットワークを提供する限り , 外部性や ネットワークの効果が十分に発揮できないので多く の住民の理解は得られにくい . むしろ全県型でネッ トワークを構築した方が住民から理解が得られる可 能性があるため , 自由度調整済決定係数は全体が (R2′=0.215), それ以外が (R2′=0.152) に対して全 県型が (R2′=0.325) と , 全県型のネットワークを 保有している県が最も説明力が高くなっている . そ の事実として , 表6 の結果を見ると各県が全県型の ネットワークを構築しているか否かによって認知度 が左右され , さらには認知の有無によって賛成率が 大きく影響される可能性が示唆される .  また , 属性と認知度及び賛否との関連を明確化す るためにロジスティック回帰分析を試行したとこ ろ , 職業との関連では年金受給者に続いて会社員 (職員)が , 居住地の人口規模では中都市(>30 万人) が , 加入保険との関連では共済組合加入者において 認知度のオッズ比が有意に高く , 賛否に関しては 後期高齢者医療制度加入者のオッズ比が最も高かっ た . これらの結果は , 高齢化が進んでいる地域ほど 患者が複数の医療機関を利用する傾向があるため , 高齢化率の進んだ地方都市を中心にこのネットワー クが発展してきた事実を裏付けている . さらに , 医 療機関への通院頻度が多い者ほど認知度のオッズ比 が高く , 賛否に関しては月1 回くらいが最もオッズ 比も高い . これは月1 回程度の定期通院している者 にとってはオンラインで患者情報を共有した方が患 者側の経済的負担が軽減できることから , 賛成する 意欲が高いことを示唆するものと解釈できる . 一方 で ,20 代と 40 代の認知度のオッズ比が低く ,20 代 から50 代にかけて賛成率のオッズ比も低い傾向に あることを勘案すると , 認知度を高めるだけで全て の住民に賛意を促すことには限界があることが示唆 される . 実際に表5 を見ると , そもそも回答者の 6 割は医療機関への通院頻度が年数回と未利用である ことから , 同意そのものに具体的なメリットがない 可能性もある .  以上の各分析を整理すると , 認知度と賛成率がと もに有意に高い属性として , 性別が男性 , 職業が会 社員(職員)と年金受給者 , 通院頻度が多くて , 世 帯年収が300 万円〜 700 万円未満と 800 万円から 1000 万円以上の世帯層という点で共通していた . こ こで世帯年収の幅が大きいのは , 現役世代かリタイ ヤ世代を問わず , 通院頻度の多い者ほど , ネット ワークによる患者情報の共有化を認知しており , 賛 成する傾向が高いことを示唆している . よって , こ れらの属性に近似する住民であれば , 患者情報の ネットワークによる共有について受容可能性が高い のではないかと考えられる . Ⅴ 結論  本アンケート調査を通じて , 国全体の人口に占め る患者登録数が1%に留まっている背景として , そ もそも地域医療ネットワークを認知している者が 全国平均で17.8%に過ぎないことが明らかとなっ た . また , 患者情報のオンライン共有に対する住民 の賛成率は全国平均で63.3%であることに加えて , 認知度と賛成率に一定の相関があることが示唆され た . これまでの地域医療ネットワーク政策において は , ネットワーク事業の認知についての体系的な政 策がなく , また , 実際に認知も低いことから , 今後 , 地域医療ネットワークに関する認知向上に向けたプ ロモーション戦略の強化が , 登録患者数の増加を通 じたネットワークの活用に資する可能性がある . ま た , 今後地域医療ネットワークの活用を目指すので あれば , 県レベル等の広域なネットワークを構築す ることにより , オンラインでの患者情報共有への理 解促進に対する相乗効果が得られる可能性がある .  一方 , 本研究で利用したデータの制約上 , 本分析 の限界として下記に留意されたい . まず , サンプ

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ル数の制約から , 県レベルでの認知度 , 賛成率に誤 差が想定される . また , 医療における地域性を考慮 すると , 県レベルでの分析に限界があるかも知れな い . 今後 , より細かな二次医療圏単位で分析した場 合 , 結果が異なる可能性がある . また , 地域医療 ネットワークの賛否において ,「どちらでもない」 を回答した中間群が31.8%存在した(表 5). 仮に , この中間群が現状維持を望んでいるならば , 中間と 反対を合わせた4 割は賛成していないことを意味す る . 今後 , この4 割に対してプロモーションを強化 した場合にどの程度まで賛成 ( 同意 ) に転じるのか を明確化する必要がある .  住民への啓蒙 , 教育 , 広報に際しては , プライマ リ・ケアに焦点を当てたマーケティング戦略が得策 であると言われている17). その点 , わが国の多く の地域医療ネットワークは地域の中核病院や医師会 等が補助金や利用料を活用した自主運営を志向して いる点は有利に働きうる . しかしながら , 医療機関 の垣根を超えた患者情報の共有を実現するために は , 個人情報保護の点 , 患者の同意取得に係わる負 担の点 , このネットワークの運営財源の捻出の点な ど解決すべき多くの課題が山積している18). この ことから , これらの課題を乗り越えるためには , 諸 外国に倣って準公共財として運用することが合理的 である可能性が高い19)20). また , ネットワークへ の登録機関数と登録患者数を増やすためには , 登録 に対するインセンティブ設計を設ける議論がなされ るべきである . 地域医療ネットワークが公共的なイ ンフラと位置づけられれば , 患者同意手法の改善を 通じた利用率の大幅な向上も実現する可能性があ る . もっとも , そうした根本的な政策転換を実現す る上でも , 政策に対する国民の理解と支持は欠かせ ない . 今後 , 本研究が端緒をつけた患者認知と同意 の心理的な背景を明らかにすることを通じて , 政策 分野の発展に貢献することを願っている . <謝辞>  本稿を執筆するにあたり,査読者より大変有益な ご意見並びにご指導を賜りました.この場を借りて 深く御礼申し上げます.なお , 本研究は ,JSPS 科研 費18K12831 と横浜市医療局共同研究費による助成 を受けた研究成果の一部である. <脚注> *1 *2 <参考文献> 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 二次医療圏平均NW数、全県ダミー、開設年、 経過年 (2020年基準 )、人口カバー率は本台帳を 用いて著者作成.1人当たり年齢調整後医療費は 厚生労働省「平成27年度医療費の地域差分析」、 1人当たり急性期医療密度は日医総研「地域の医 療提供体制の現状と将来 都道府県別・二次医療 圏別データ集 (2014年度版 )」、65歳人口比と人 口密度は総務省統計局「平成27年国勢調査」、1 人当たり県民所得は内閣府「平成28年度県民経 済計算」より収集. データ補正:認知度× {1+ ( 県別サンプル数 /2000)}, 賛成率× {1+ ( 県別サンプル数 /2000)}.

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参照

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