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ご挨拶
固体粒子の集合体である粉体は粉末および粉粒体とも呼ばれており,砂糖,小麦粉,薬剤,洗剤 など様々な形で身近に存在し,多くの産業において原料あるいは最終製品となっております.電気 自動車(EV)の電池材料,モータ材料などの原料にも多くの粉体が利用されており,固体原料を 砕いたり,分離したり,混合したりする粉体技術および装置の開発は,ますます高度化しておりま す.本財団は,故細川益男ホソカワミクロン株式会社社長(当時)が,粉体および粉体を構成する 粒子が関わる学問としての粉体工学の振興が企業に貢献するとの観点より,我が国および世界の粉 体工学の学問的発展を支援する財団として,1991 年 12 月に設立され,約 30 年に渡り事業を行っ ております. 本財団の活動のうち,財団設立以来進めております一般助成事業は,粉体工学に関する優れた研 究業績に対する褒賞(KONA 賞),粉体工学に関する研究のための研究費助成(研究助成),粉体工 学に関与する研究に従事する研究者の育成の援助(研究者育成援助),粉体工学に関する研究成果 公開の援助(シンポジウム等の開催援助)であります.KONA 賞は,粉体工学の分野において多大 な貢献をされた研究者の方に授与されるもので,財団設立当初より 2016 年度までは,日本人研究 者が推薦されて受賞されましたが,2017 年度に初めてグローバルベースで世界より推薦の応募を 受け,審査する体制作りが確立されました.2017 年度および 2018 年度は欧州,令和元年度の 2019 年度は日本の研究者が受賞されました.2020 年度は,米国フロリダ大学の Brij M. MOUDGIL 教授が, 機能向上のための粒子系システムの界面工学に関する研究により米国から初めて受賞され,名実と もに KONA 賞は,粉体工学の分野での国際賞の様相を呈してきました. 本年度も,研究助成,研究者育成援助およびシンポジウム等の開催援助に対しては,大学,高専, 民間の研究機関より,多くの推薦・申請を受けており,大変感謝しております.研究助成につきま しては,102 件の応募があり,厳正な審査の結果,その中から 12 件の研究申請が採択されました. 受賞されました先生方の研究課題を拝見しますと,粉体粒子システムおよび単一粉体粒子の力学的 特性,光学的特性の計測技術の開発,粉体の動的な流動性および噴流性の評価,粒子懸濁液の乾燥 過程の解明,ナノ粒子を含む薬物製剤の開発およびバイオ応用,ミストの加熱および燃焼法による ナノ粒子の合成など,粉体工学の基礎研究から応用研究に助成が行われています.近年材料に重点 を置いた研究が注目される傾向がありますが,粉体工学に焦点を当てた研究も多く含まれているの は,大変結構なことであります.研究者育成の援助につきましては,20 件の申請があり,審査の ホソカワ粉体工学振興財団年報 No.28 (2020) 公益財団法人 ホソカワ粉体工学振興財団 理事長細 川 悦 男
– 2 – 結果 10 名の大学院の学生の皆様に贈呈しました.これからの粉体工学の発展を担われる大学院の 学生の皆さんに勉学と研究のための支援ができますことは,理事長として大きな喜びです.なお, 今回は,アジアおよびアフリカの 4 名の留学生の方が受賞されましたが,毎年,助成者の中に留学 生の方々が含まれるようになったことは,世界の粉体工学の振興を図るという本財団の設立目的に 合致しており,大変うれしく思っております.シンポジウム等の開催援助につきましては,2 件の 申請より,2021 年 10 月 11 日から 14 日に日本で初めて開催されます大阪での第 8 回アジア粉体工 学シンポジウムを援助することになりました.
財団の自主事業として,粉体工学に関する講演討論会の開催および KONA 誌(KONA Powder and Particle Journal)の発行を行っておりますが,2020 年 9 月 15 日に東京での開催を予定していま した第 54 回粉体工学に関する講演討論会は,コロナ禍問題により 1 年程度延期することになりま した.KONA 誌は,当財団が年 1 回発行する粉体工学に関する英文の学術誌であり,世界中の優れ た研究者から粉体の科学および工学に関する研究およびレビュー論文を集め,これらを編集して発 行しており,2021 年 1 月に KONA Powder and Particle Journal の第 38 号を発行することができました. アジア,ヨーロッパおよびアメリカの 3 つの編集局が協力し,粉体プロセス技術,粉体シミュレー ション,粉体材料の合成と応用などの粉体工学に関する 12 報のレビュー論文の掲載を中心に,レ ベルの高い 6 報の研究論文も同時に掲載しておりますので,ぜひご覧ください.この KONA 誌は, 財団のホームページおよび J-STAGE により無料で閲覧できるオープン学術誌であり,Web での掲 載論文へのアクセス数が増加し,Impact Factor 値も向上しております. 2020 年度は,新型コロナウイルス感染症の流行により,財団の自主事業の粉体工学に関する講 演討論会の開催が延期になり,贈呈式の開催も中止になりましたが,今後とも,当財団はもとより, ホソカワミクロングループを挙げて,粉体工学における素晴らしい研究の発展,ならびに粉体工学 の国際的な振興・交流とそれを担う若い人材の育成に少しでも貢献できますよう活動を続けてまい りますので,皆様方のご支援,ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます.