回復者主導型の薬物依存症回復施設に向けた新 しい回復支援策の立案に関する研究
―あ る施設 の 日常活動調査 と顕在化 した課題 ー
増
井
麻依 子 1),河
野
由
理 2),森
雅
美 3)
要 約 本 研 究 は 、 回 復 者 主 導 型 の 薬 物 依 存 症 回 復 施 設(DARC:以 下 ダル ク)に お い て 、 新 し い回 復 支 援 策 の 立 案 を 目 的 と して い る。 そ の研 究 の 出発 点 と して 中部 地 方 のXダ ル クの 日常 活 動 を1年 に わ た っ て調 査 した。 調 査 か ら次 の5点 が 明 らか とな った。1.ダ ル ク利 用 者 の身 近 に、 モ デ ル と な る よ うな薬 物 乱 用 ・依 存 症 か らの 回 復 者 が い る環 境 が で きて い た。2.「 遊 び」 の要 素 を取 り入 れ た 自由 度 の高 い プ ロ グ ラム が 整 備 さ れ て い た 。3.回 復 過 程 に地 元 社 会 と の交 流 が取 り入 れ られ て い た。4.ダ ル ク利 用 者 の 回 復 を進 め る上 で これ らが 有 効 に機 能 し て い た。5.外 部 機 関 か らの支 援 ・協 力 が 少 な い。 今 回 の調 査 結 果 か ら、 ダ ル ク利 用 者 の回 復 を 推 進 して そ れ を確 実 化 す るため に は、 ダル ク と医 療 面 あ る い は法 的 支 援 な ど の た めの 各 種 の 専 門 機 関 と の連 携 の 構築 が必 要 で あ り、 さ らに 関 係 す る各 種 専 門 機 関 相 互 の 連 携 構 築 も必 要 と考 え た。 ま た、 薬 物 依 存症 か らの回 復 と アル コ ー ル依 存 症 か らの 回 復 につ い て比 較 ・考 察 した結 果 、 こ れ らは別 個 の問 題 と して 取 り組 む 必 要性 が 明 らか とな った 。 一 キ ー ワー ド: ダル ク、 自助 、 薬 物 依 存、 回復 、 連 携 は じ め に 薬 物 依 存 症 者 は、 医 療 現 場 に お い て処 遇 困 難 な症 例 と して忌 避 さ れ が ち な状 況 に あ る。 さ らにわ が国 の薬 物 問 題 へ の対 策 や 物 質 関 連 依 存 に対 す る医 療(シ ス テ ム)は 欧 米 に比 べ 相 当 の 遅 れ が あ り、 薬 物 乱 用 ・依 存 か らの 回 復 の ため の受 け皿 と な る社 会 資 源 が乏 しい と いわ れ る1)。 他方 、 欧米 を は じめ とす る世 界各 地 にお いて は薬 物乱 用 ・ 依 存 か らの 回 復 の 受 け 皿 と な っ て い る治 療 共 同 体 (Therapeutic Community)が 、 薬 物 依 存 症 の 回 復 の 主 役 とな って い る。 薬 物 の治 療共 同体 の原 型 は、1958年 に米 国 の カ リフ ォ ル ニ ア に お い て 、世 界 的 な ア ル コー ル 依 存 症 の 自 助 グ ル ー プ で あ るAA(Alcoholics Anonymous)の メ ンバ ー の 一人 に よ って創 設 され た 自 助 的 治 療 共 同 体 の 「シ ナ ノ ン」 で あ る2)。 そ の 後 、 「シ ナ ノ ン」 の影 響 を 受 け た 自助 的治 療 共 同 体 が 英 国 を は じ め とす る、 ス ウェー デ ン、 イ タ リア等 の欧州 、 さ らに は、 南 米 、 オ ー ス トラ リア、・東 南 ア ジ ア、 香 港 に設 立 され て い き2)、薬 物 乱 用 ・依 存 か らの回 復 に必 要 と され る全 人 的 な ア プ ロー チ が 行 わ れ て きて い る3)。 わが 国 に は治 療 共 同 体 鳳 無 いが 、 治 療共 同 体 の 思 想 あ る い は ス タイ ル を 取 り入 れ た もの と して民 間 の 回 復 者 主 導 型 薬 物 依 存 症 回 復 施 設 が あ る。 こ う した 施 設 は ダ ル ク.(DARC:Drug Addiction Rehabilitation Center)と 呼 ば れ、1985年の 創 設 以 来 す で に20年 に わ た っ て活 動 が 続 け ら れ て い る4-7)。活 動 内 容 や 機 能 の点 か ら見 て 、 ダ ル ク は 「治 療 共 同 体 」 で は な く 自助 グ ル ー プ と して の 施 設 と位 置 づ け られ る8)。 と は い え、 欧 米 に み られ る よ う な治 療 共 同 体 が 存 在 しな い わ が国 にお い て は 、薬 物 依 存 症 者 の 回復 に お いて ダ ル クの果 た す 役 割 は非 常 に 大 き い の が 現状 で あ る2)。 しか し、 「薬 物 乱 用 ・依 存=悪 」 と い う考 え の強 いわ が 国 に お い て は 、 ダル クが 薬 物 依 存 症 か らの回 復 者 に よ る施 設 で あ る が ゆ え に医 療 ・司 法 ・教 育 等 の専 門 機 関 や 一 般 市 民 か ら十 分 な理 解 を得 られ て いな い と い う現 実 もあ る9}。 そ こで 、 筆 者 らは、 薬 物 乱 用 ・依 存 の 問題 に 対 応 す る た め に ダル ク と専 門 機 関 が どの よ う な連 携 シス テ ム を構 . 築 すべ きか の検 討 を研 究 目的 と した。 そ の 第 一 歩 と して、 今 回 は あ る ダル ク施 設 に お け る1年 間 の 日常 生 活 を調 査 して、 回復 に 向 け た 活 動 内 容 の 整 理 と検 討 を行 い、 そ れ Ⅰ)名 古屋市立 大学大学 院看 護学研究科 2)名 古 屋市立 大学看護学部(精 神看護学) 3)名 古屋 市立大 学看護学部(生 化学)
らの 回 復 へ の貢 献 度 合 い の 考 察 を行 った。 1用 語 の 定 義 薬 物 依 存 症 薬 物 依 存 症(ア ル コ ー ル 含 む)は 、ICD-10(国 際疾 病 分 類)に お いて 「依 存 症 症 候 群 」 と して 診 断 基 準 が定 下 め られ て お り、 薬物 の 使 用 を コ ン トロ ール で き な い こ と で あ る と い うよ うな 内 容 で 記 され て い る10)。ま た、 米 国 精神 医 学 会 に よ って 作成 さ れ た 精 神 障 害 の 診 断 マ ニ ュ ア ル で あ るDSM-Ⅳ-TR11)で は 、 物 質 関 連 障 害 と して 幅 広 く記 さ れ て い る。 そ の 中 で は 「有 害 な こ とが 予 想 さ れ る に も関 らず 、 薬 物 の使 用 を や め る こ とが 出来 な い こ と を 示 す よ うな、 認 知 ・行 動 ・生 理 的 な症 状 」 で あ る と して い る。 ダ ル ク ス タ ッフ ダル ク は回復 者主 導 型薬 物 依 存 回 復施 設 で あ る。 ス タ ッ フ は ダル ク で回 復 した 薬 物 依 存 者 で あ る。X県 内 に あ る ダ ル ク(以 下Xダ ル ク)で は、 ス タ ッ フ に な る条 件 を 「薬 物 依 存 者 で あ り、 薬 物 依 存 者 の 回 復 の 手 助 け を した い と い う思 いの 有 る者 」 と して い る。 他 の ダ ル クに お い ては1年 以 上 の 断薬期 間 が あ る こ とを条 件 と して い る ケー ス もあ るが 、Xダ ル ク に お い て は断 薬 期 間等 につ い て 問 われ て い な い。 ス タ ッフ に は、 ダル ク内 に居 住 して い る もの と通 勤 して い る もの とが い る。 回 復 近 藤 は、薬 物 依 存 症 者 は 薬 物 を 使 い続 け る こ とで 自由、 創 造 性 、 個 人 成 長、 善 意 を 失 って い る と し、 この4つ を 取 り戻 す こ と が 出 来 れ ば 回 復 した と い え る と述 べ て い る甥)。依 存 症 は完 治 す る病 気 で はな い10-11)、本 研 究 で は 回 復 につ いて 、 薬 物 依 存 症 者 本 人 が 薬 を使 用 せ ず に 「回 復 して い る」 と感 じて生 活 して い る状 況 を 「回 復 」 と定 義 す る。" Ⅱ研 究 方 法 Xダ ル ク で参 加 観 察 お よ び イ ンタ ビュ ー に よ って デ ー タを 収 集 した。 イ ン タ ビ ュ 一 は個 別 に ダル ク内 の 個 室 に お い て メ モ に忠 実 に記 録 し行 な った。 そ れ らの デ ー タ に つ い て調 査 該 当 の ダル クス タ ッ フ との意 見 交換 に よ る確 認 検 討 作 業 を行 った。 さ ら に これ らの デ ー タを ダル ク ・ 治 療 共 同 体 ・薬 物 問題 に 関 す る先 行 研 究 あ る い は 薬 物 依 存 症 治 療 法 ・薬 物 問 題 に 関 す る国 内 外 の状 況 との比 較 検 討 を行 っ た。 (対 象 施 設) 中部 地 方 のXダ ル ク (調 査 期 間) 2004年8月 ∼2005年7月 鴨 (デ ー タ収 集 法) 1年 間 週1回Xダ ル ク を 直 接 訪 問 し,情 報 提 供 者 で あ る ダル ク ス タ ッ フか ら情 報 収 集 を行 った。 情報 提 供 者 に は,研 究 者 の ま とめ た デ ー タにつ い て は、 情報 提 供 者 か らそ の 内 容 の確 認 を行 な って い る。 (倫 理 的 配 慮) 2004年9月 の 名 古 屋 市 立 大 学 看 護 学 部 倫 理 委 員 会 に 申 請 し、後 日研 究 の承 認 を 得 て い る。 情 報提 供 者 へ は、 研 究 の 目的 、 方 法 、 匿 名 性 の保 持、 自 由意 志 で の 参 加 で あ る 旨 につ いて 説 明 し、 書 面 に て 同 意 を得 て い る。 また 、 対 象 者 の 匿 名 性 を厳 重 に保 持 す る た め に、 ダル ク ス タ ッフが 利 用 者 個 人 を特 定 で き な い よ う倫 理 的 処 理 を行 った デ 一 タの み を 収 集 して い る。 本 研 究 の結 果 は論 文 と して 公表 す る こ とにつ い て 同 意 を得 て い る。 Ⅲ研 究 結 果 1 X県 ダ ル クの 特 徴 1)運 営 方 針 と所 在 上 の特 徴 利 用 者 は、 全 て 利 用 者 本 人 が 自分 で決 め て行 動 す る こ とに な って い る。 ス タ ッフ と利 用者 の関 わ りを重 視 して、 常 に仲 間 と して共 に行 動 す る こ と を原 則 と して い る。 プ ログ ラム や ミー テ ィ ングな どの 実 施 時 間 を取 り決 め る こ と は あ るが 、 他 の ダル クで は取 り決 め られ て い る こ との 多 い就 寝 時 間 な どの 日常 生 活 の 部 分 で は決 ま り は作 られ' て な い。 2)調 査 期 間 中 の利 用者 の状 況 (調査 期 間 2004.8.1∼2005.7.31) 調 査 期 間 中 にXダ ル ク を利 用 した薬 物 依 存 症 者 は9名 で あ る。 利 用 者 の詳細 につ いて は表1の 通 りで あ る。 尚、 入 寮 回 数 は他 ダル ク へ の入 寮 もカ ウ ン トして い る。 ① 利 用 者 の 年 齢 ・性 別 ・婚 姻 歴 Xダ ル ク は 入寮 に 関 して は男 性 の み で あ り、 調 査 期 間 中 の通 所 者 も男 性 の み で あっ た。 利 用 者 の 年 齢 は,23歳 か ら39歳 で あ っ た。 利用 者 の3分 の2は20歳 代 後 半 か ら 30歳 代 前 半 だ った.独 身 者が 大 半 で あ り、 う ち1名 は離 婚 経 験 者 で あ る。 ② 出 身 地 表1で 示 す ダ ル ク利 用 者 の 出身 地 は、 最 終 学 歴 の 時 に
い た 県 を 出身 地 と して い る。 ダル クの あ るX県 内の 出身 者 は 、9名 中4名 で あ り、 他 は北 海 道1名 、 東 京2名 、 静 岡1名 、 沖縄1名 と広 く全 国 か らの 入 寮 が あ っ た。 う ち5名 は、 ダル ク間 の移 動 だ った が 、 そ の他 は 「別 の 地 域 の ダ ル ク に い る方 が プ ロ グ ラ ム に集 中 で き る」 「知 っ て い る土 地 だ と薬 を 売 って い る場 所 な どが わ か って い る の で、 再 使 用 して しま い そ うで不 安 に な る」 と い う理 由 か らXダ ル クに 入 寮 した。 ③ 入 寮 ま で の経 緯 と生 活 費 調 査 した9名 中4名 は他 の ダル クか らあ る い は ダル ク 以 外 の依 存 症 施 設 か らの 入 寮 で あ った。 そ の うち3名 は 期 限 付 きの 入 寮 で あ った 。他 施 設 か らの 入 寮 の動 機 は、 「Xダ ル ク の よ う に ス タ ッ フ と利 用 者 の 間 に 垣 根 の な い ダル ク を経 験 させ る た め 」 な どの 動 機 で あ った。 こ の よ うに依 存 症者 は、 個 々 の 回復 に適 した 環 境 を有 して い る 施 設 を選 択 して利 用 して い る ケ ー ス が あ っ た。 自 らの 入 寮 ケ ー ス で は 「イ ン タ ー ネ ッ トで ダル ク を調 べ た」 「拘 置 所 内 で ダル ク の 情 報 を得 た」 な ど で あ った。 寮 に収 め る寮 費 の 負 担 につ い て、 家 族 負 担 が9名 中7 名 で あ り、他 は 自分 で稼 い だ収 入 か ら(1名)で あ った。 ス タ ッ フ の話 で は、 「今 回 の 調 査 期 間 中 は生 活 保 護 受 給 者 が 少 なか っ たが 、 以 前 に は利 用 者 の ほ と ん ど が受 給 者 で あ った時 期 もあ った」 との こ とで あ る。 ④ 入 寮 回 数 とダ ル ク 間 の 移 動 状 況 ダル ク入 寮 回 数 に は他 の ダル クの 入 寮 回 数 を カ ウ ン ト して い る。5名 が2回 取 上 の入 寮 回数 が あ ったが 、5名 と もが 回 復 の過 程 に お い て複 数 の ダル ク間 を 移 動 して い た。 移 動状 況 に つ い て は、 図 の通 りで あ る。 回復 の過 程 に お い て利 用 者 が 自身 の方 向 性 を見 失 う と きな ど行 き詰 ま りが生 じた際 に、 違 う特 色 を持 つ ダル ク に移 動 し環 境 を変 え て い くこ と もあ る。 こ の こと が 回 復 に有 効 な面 を 持つ 一 方 、 ス タ ッ フ か ら は、 「ダル ク問 を 巡 り ダル クか ら抜 け 出 せ な い 、 ダ ル クに 依 存 した よ うな 状 況 に陥 る こ と もあ る」 とい う可 能 性 も指 摘 さ れ て い る。 ⑤ 使 用 薬 物 状 況 表1に 示 す よ うに 利 用 者9名 の 使 用 薬 物 歴 で は、 覚 せ い剤 は6名 で うち1名 は多 剤 乱用 者 だ った。 他 に も大 麻 使 用 歴 の者2名 、 ア ル コ ー ル依 存 症 者1名 、 市 販 の 鎮 咳 剤(ブ ロ ン液)に よ る者1名 だ っ た。 ま た、 有 機 溶 剤 (シ ン ナ ー)の 使 用 経 験 者 は、 多 剤 乱 用 の1名 で あ った が 、 「過 去 に シ ンナ ー を使 用 して い た こ と を話 す 利 用 者 も多 い」 との こ と で実 際 は薬 物 依 存 症 に陥 る過 程 で有 機 溶 剤(シ ンナ ー)使 用 歴 は、 大 半 の利 用 者 に あ う た と思 われ る。 2薬 物 依 存 症 者 の 回 復 に関 す る活 動 や リハ ビリテー シ ョ ンプログラムにつ いて(調 査 期 間:2004.8.1∼2005.7.31) 1)リ ハ ビ リテ ー シ ョン プ ロ グ ラ ム に つ い て 薬 物 依 存 症 の治 療 に は、 生 活 の場 に お い て薬 物 摂 取 と の 関 係 を絶 った 生 活 の 繰 り返 しが 必 要 とな る13)。ダル ク の建 物 内 や 、 建 物 の周 辺 半 径10㎞ 以 内 で 行 わ れ るプ ロ グ ラ ムが プ ログ ラ ム全 体 の8割 以 上 を 占 めて い る。X県 の ダ ル クで は,少 人 数 の 利用 者 と同 じ依 存 症 者 で あ る ス タ ッ フ が、 仲 間 同士 で 常 に行 動 を 共 にす る と い う。 利 用 者 と ス タ ッ フの 間 に距 離 の な い 、 仲 間 と のつ な が りを 重 視 し た生 活 を送 る とい う方 針 が あ る。
① ミ ー テ ィ ン グ に つ い て ダ ル ク は1日2∼3回 行 わ れ る ミー テ ィ ング参 加 が プ ロ グ ラム の 主 た る部 分 を 占 め て い る。Xダ ル クで は1日 2回 の ミー テ ィ ングが あ り、 うち1回 は ダル ク内 で 行 わ れ る朝 の ミー テ ィ ング で あ る。 朝 の ミー テ ィ ン グ は午 前 10時 か ら始 ま り(都 合 に よ って は 時 間 の 変 更 もあ る)1 時 間程 で 終 わ る.ミ ー テ ィ ング の 内 容 は 、 世 界 的 な薬 物 依 存 症 者 の 自 助 グ ル ー プ のNA(Narcotics Anonymous)で の 取 り決 め と同 様 に外 部 に漏 ら して は い け な い こ と に な って い る。 朝 の ミー テ ィ ン グの 司 会 は ダ ル ク ス タ ッ フが 行 う こ とが 多 く、 ス タ ッ フ以 外 で は ダ ル ク のOBが 行 う場 合 もあ る。 ミー テ ィ ング の テ 一 マ を 何 にす るか は、 司 会 者 に一 任 され て い る。 テ ー マ の 内 容 は 「ハ イ ヤ ーパ ワ ー に頼 る こ と」 「棚 卸 」 「お 任 せ す る」 な ど 自助 グ ル ー プ で あ るNAの12ス テ ップ に 由 来 す る も の や14)、「友情 」 「人 間 関係 」 「他 人 へ の 期 待 」 の よ う に、 そ の 時 の 利 用 者 の状 態 に 合 わせ た 内容 を テ ー マ にす る こ と も あ る.一 方 、 夜 の ミー テ ィ ング は 自助 グ ル ー プ の NAミ ー テ ィ ング に 参 加 す る。NAの ミー テ ィ ン グ は 、 曜 日 に よ って ミー テ ィ ング会 場 が 決 ま って い る。 会 場 は 電 車 で2時 間 以 上 か か る会 場 で行 わ れ て い る所 もあ る。 そ こ ま で の 交 通 費 は 、1日 分 と して 支 給 さ れ る生 活 費 2000円 の 中か ら支 出 す る こ と に な って い る。 ② 就 労 。ボ ラ ン テ ィア な どの 社 会 参 加 調 査 期 間 に ダル ク を利 用 した9名 の うち、 就 労 ・ボ ラ ンテ ィア活 動 を 行 って い た もの は3名 で あ り、 う ち2名 は予 め ア ルバ イ ト先 や ボ ラ ンテ ィ アの対 象者 に 自分 が薬 物 依 存 症 者 で あ る 旨 を話 して理 解 を 得 て い る。 就 労 プ ロ グ ラ ム は、 一 定 の断 薬 期 間 が あ る もの で ス タ ッ フ と面 談 し検 討 した上 で 就 労 が 可 能 で あ る と判 断 され た もの に限 られ て い る。 従 って 、 仮 に就 労 を希 望 す る利 用 者 が いて もス タ ッフの判 断 で 、 「ま だ就 労 に適 した状 態 で は な い」 と判 断 され る場 合 も少 な くな い。 就 労 が 可 能 か ど うか は, 「日常 プ ロ グ ラム へ の 参 加 が 良 好 で、 一 般 的 な 日常 生 活 を 送 って い て、 自 己責 任 が取 れ る状 況 に あ るか ど うか 」 で 判 断 され る。 就 労 等 の 社 会 参 加 は 、 「利 用 者 が ダル ク を終 了 後 、 生 活 して い くた め に必 要 な こ と」 と考 え られ て い る。 社 会 参 加 に関 す る 内訳 は表2に 示 して あ る。 利 用 者AとBは ア ル バ イ トとボ ラ ンティ ア を並 行 して 行 っ て い た。 ③ そ の 他 の リハ ビ リテ 一 シ ョンプ ログ ラム Xダ ル ク で 行 わ れ た リハ ビ リテ ー シ ョ ン プ ロ グ ラ ム (ミ ー テ ィ ン グ ・就 労 プ ロ グ ラ ム以 外 の もの)の 内 訳 を
表3の よ うに ま と め た。 i)運 動 プロ グ ラム 表3に 示 す よ う に、 リハ ビ リテ ー シ ョンプ ロ グ ラ ム に お い て最 も件 数 が 多 い の は、 運 動 プ ロ グ ラム で あ った。 運 動 場 所 は近 隣 の海 ・山 な ど の 自然 の場 を活 用 した、 ラ ンニ ング や サ ー フ ィ ンが 多 くを 占 め た。 運 動 プ ログ ラ ム 外 の時 間 に も、 筋 肉 トレ ー ニ ング は毎 日の よ うに ダル ク の施 設 内 で 自主 的 に行 わ れ て い る。 リハ ビ リテ ー シ ョン プ ロ グ ラ ム に著 者 自身 が 参 加 して 感 じた こ と は、 「同 じ 依 存 症 の 問 題 を持つ 仲 間 と と もに 活 動 す る事 」 「遊 び を 取 り入 れ た よ うな 内容 の プ ロ グ ラムが 多 い」 こと で あ っ た。 特 に遊 びを 取 り'入れ た 内 容 の もの は、 外 部 か ら見 て ただ 遊 ん で い る よ うに しか見 て 取 れ な い内 容 の もの もあ る。 そ れ に対 して ス タ ッフ は 「薬 物 依 存 症 者 は ダル ク に つ な が る前 は、生 き る か死 ぬ か の ど う に もな らな い どん 底 の状 態 にあ り、 遊 ぶ こ と も人 生 を 楽 しむ こ と さえ もで きな い状 態 に な って い る」 と語 った。 ダル ク で の 生 活 に お い て ス タ ッ フ は、 「薬 物 を 使 わ ず に仲 間 と遊 ぷ と い う、 練 習 は 回復 に と って 大 変 重 要 」 と して い る。 運 動 プ ロ グ ラム 中 で は289件 中238件 は ラ ンニ ング で あ り、 全 体 的 に も単 独 で で きる 内容 が ほ とん ど を 占 め て い る。 テ ニ ス や 野 球 な ど の複 数 で 行 う運 動 は、 外 部 か らめ参 加 者 が あ っ た と き に行 わ れ て い た。 動 して い るXダ ル ク に お い て やむ を得 な い こ と だ が 、 参 加 す る こ と によ って 利 用 者 が 同 じ薬 物 依 存 症 の 仲 間 で あ る ス タ ッ フの活 動 業 務 の内 容 を知 り得 る こ と か ら、 献 金 活 動 な ど に お い て 、 自分 達 の 回復 を 支 え て くれ て い る外 部 の人 た ち へ の感 謝 の 気 持 ち を持つ よ う に な って い る。 活 動 は他 県 に及 ぶ こ と も あ り、 ス タ ッ フ は 「狭 い世 界 か ら抜 け出 し、社 会 の 中 の 違 う世 界 に 触 れ る ことが で きる。 時 に は気 持 ち の切 り替 え に もな る」 と語 って い た。 iii)社 会 性 を身 に つ け る 活 動 ダル ク を利 用 す る薬 物 依 存 症 者 の 多 くは、 小 ・中 学 生 の 早 い 時 期 か ら人 間 関 係 や社 会 性 が 破 綻 して い る ケ ー ス が 多 い14)。そ の た め 、 日頃 か ら支 援 者 ・関 係 者 へ 挨 拶 に 出か け る こ とで 他 者 へ の感 謝 の 気 持 ち を表 す習 慣 を 持 た せ る よ う に努 め て い た。 ま た、 家族 との 関 係 も早 くか ら 破 綻 して い るケ ース も少 な くな い の で 、 テ ー ブル マ ナ ー な ど の作 法 の 習得 を 通 して 、 親 か ら得 られ な か った 社 会 常 識 を身 に 付 け る機 会 を 持 つ プ ロ グ ラ ム も用 意 され て い た。 iv)調 理 実 習 と工 作 作 業 工 作 な ど の作 業 と と もに 料 理 を作 る こ とを 通 して 、 自 立 した際 の栄 養 面 で の 自己管 理 の 知 識 を身 に付 け る こ と を 目的 と して、 調 理 実 習 も今 年 度 か ら始 ま っ た 。 ii)ス タ ッ フの 活 動 業 務 へ の 同 行 (調査 の 期 間2004.8.1∼2005.7.31) ス タ ッフが 多忙 な とき に は 、 ス タ ッ フの 活動 業 務 に利 用 者 を 同 行 し、 ダル クや 薬 物 依 存 の 問題 の活 動 へ の利 用 者 本 人 の 理解 を深 め て も ら うよ うに して い る。 ス タ ッフ の業 務 に利 用 者 を 同 行 させ る事 は、 少 な い ス タ ッ フで活 3ダ ル ク スタ ッ フの 活 動 内容 に つ いて (調査 期 間2004.8.1∼2005.7.31) ダ ル ク ス タ ッフ は、 調 査 期 間 の間 、 計3名 が 専 従 で い る の み で途 中退 職 等 で入 れ 替 わ りが あ っ たた め 、 主 に1 ∼2名 の 専 従 ス タ ッ フが 準 ス タ ッ フ的 な ダ ル クOBや 、 ボ ラ ン テ ィア の外 部 の支 援者 の 協力 を得 て 活 動 して い た。
経 済 的 に ゆ と りが な い場 合 に は無 償 の こ と もあ る とい う。 活 動 の 内 容 は表4の よ うに分 類 した。 1)外 部 へ の 活 動 ・運 営 に対 す る 協 力 支 援 Xダ ル ク に お い て活 動 に最 も時 間 を割 い て い るの は、 献 金 活動 等 の 外 部 へ の 支 援 協 力 の依 頼 活 動 と、 支 援 協 力 (献 金 等)を して 頂 い た機 関 や 個 人 へ の謝 礼 業 務(お 礼 ま わ り、 お 礼 文 の作 成 発 送)に 費 や す 時 間 で あ った 。 こ の種 の業 務 に追 わ れ て 、 休 暇 は数 ヶ月 に 一度 程 度 の 状 況 で あ った。 ' 2)医 療 機 関 と の 関 係(連 携 等 につ いて) X県 内 にあ る民 間 精 神 病 院 の 入 院 患 者 に対 し、 定 期 的 に メ ッセ ー ジ ミー テ ィ ング を 行 って い る。 他 の精 神 病 院 に対 して も、 要 請 が あれ ば入 院患 者 へ の メ ッセ ー ジ ミー テ ィ ング や面 会 を 行 って い る。 平 成16年 か らは,ダ ル ク の無 い関 西 方 面 の 県 に あ る精 神 病 院 か らの依 頼 もあ った。 X県 内 に は ア ル コ 一 ル 依 存 に関 す る専 門 医 は い るが 、 薬 物 依 存 症 の 治 療 に 関 す る専 門 医 は殆 どい な い 。 薬 物 依 存 症 に 関 す る専 門 医 は 中 部 地 方 に も殆 ど い な い。 しか し、 「専 門 医 と い う資 源 が な く不 自 由す る事 が あ る反 面 、 専 門 的 な機 関 か らの 干 渉 を受 け な い ので 自分 達 な りの活 動 が で き た」 とい う側 面 もあ っ た。 「従 来 の ア ル コ ー ル依 存 者 と薬 物 依 存 者 とで は年 齢構 成 や タ イ プが 違 う」 こ と か らス タ ッフ は 、 「薬 物 依 存 の 問 題 とア ル コ ー ル 依 存 の 問 題 は同 じ依 存 症 で も別 の もの と考 え た 方 が 良 い」 と し て い る。 3)行 政 との 関 係 主 に 市 役 所 の 援 護 課 と福 祉 課 と の打 ち合 わ せ や手 続 き に 関 す る こ と と、 県 の精 神 保 健 福 祉 セ ン ター の 医 師 に入 寮 者 の意 見 書 を も ら う内 容 の業 務 が 多 くを 占 め て い た。 X県 は ダル ク開 設 に 関 して、 県 側 が ダ ル ク を 誘 致 す る よ うに 働 きか け て きた 経 緯 もあ り、 「県 の精 神 保 健 福 祉 セ ンタ ー等 は ダ ル ク の活 動 に対 して か な り理 解 を 示 して い る」 「ダル クの あ る市 の 行 政 の援 護 課 、 福 祉 課 も必 要 時 話 し合 い の場 を持つ な ど理 解 が あ る」 と言 うよ う に、 行 政 と の関 係 は比 較 的 良 好 で あ り、 ダ ル クの 活 動 へ の 行 政 の 理 解 もあ って 連 携 もス ム ー ズ に進 ん で い る。 4)教 育 機 関 との 関 係 (中 学 ・高 校 へ の 働 きか け等 に つ い て) Xダ ル クの ス タ ッ フの 一 部 は学 生 時 代 に 薬 物 を使 用 し た経 験 を持つ 。 そ こで 、 中学 校 ・高等 学 校 で 薬 物 か らの 回 復 過 程 の経 験 を伝 え るた め に、 教育 機 関 へ 働 き か け を 行 って い る。 以 前 は生 活 指 導 担 当 の教 員 に対 して 働 きか け る ことが 多 か った が、 最 近 で は養 護 教諭 に対 す る働 き か け が 多 くな った 。 「学 校 に お い て は養 護 教 諭 が最 も薬 物 の問 題 に直 接 関 って お り、 対 応 に関 して も困 難 を感 じ て い る事 か ら必 要 と され て い る」 こ と も活 動 に影 響 して い る。 ダル クが 県 や 教 育 委 員 会 な ど との共 催 ・後 援 で 、 年 に1回 行 って い る フ ォ ー ラム につ い て も、 平 成16年 、 17年 は主 に教育 機 関 の関 係者 を対 象 と した 内 容 で あ った。 5)矯 正 機 関 と の 関係 矯 正 機 関 で ダ ル ク へ の認 知 が 高 ま って きて お り、 入 所 者 か らの手 紙 な ど で面 会 の要 請 が あ る。 そ の た め ダル ク に関 す るパ ンフ レ ッ トな ど の資 料 を渡 し、 回 復 に関 す る メ ッセ ー ジ を伝 え る た め に拘 置 所 ・刑 務 所 の 入 所 者 との 面 会 の場 を持 つ こ と もあ る。 法 務 省 の方 針 と して 、 今 後 刑 務 所 等 の矯 正 施 設 の教 育 プ ロ グ ラム に ダ ル クやNAの 協 力 を得 て い く こ と に な って い る が15)、「ア メ リカ の ド ラ ッ グ コ ー トの よ う に,刑 務 所 に入 る前 に裁 判 の 段 階 で 治 療 へつ な げ る 必 要 が あ る」 と しな が ら も、 「ドラ ッ グ コー トの よ うな シス テ ムを 導 入 す る こ と は難 しい、 な ぜ な らば 日本 に薬 物 依 存者 の 回 復 を 請 け負 え る と こ ろが ダ ル ク く らい しか な い か らだ。 そ の た め 現 在 の 日本 で は受 け皿 と な る施 設 が な く、 ドラ ッ グ コー トを 導 入 す る には 無 理 が あ る」 と現 実 の難 しさを ス タ ッ フは指 摘 して い る。 県 内 の弁 護 士 に対 す る働 きか け も行 っ て お り、 「ダル ク の 活 動 に理 解 を 示 して くれ る弁 護 士 さ ん もい る」 と言 う よ うに 少 しず つ 認知 も得 られ て い る。 6)ダ ル ク ス タ ッフ の教 育 ・研 修 社 会 人 と して必 要 な常 識 や接 遇 等 を 身 に 付 け て い く こ と につ いて は、 「ダ ル ク の業 務 活 動 の実 践 を 通 して 学 ん で い く こ とを 大 切 に して い る」 「ダル ク の仕 事 に つ い て は 、 問 題 に直 面 し解 決 す る こ とで 身 に付 け て い く こ と し か な い」 と して い る。 「依 存 症 と さ ら に精 神 障 害 を持 っ
た、DUAL DIAGNOSIS(重 複 診 断)な ど に 対 応 す る た めの 統 合 失 調 症 等 の精 神 障 害 に関 して は、 県 内 の専 門 機 関 が 開 催 して い る勉 強 会 に 出席 す る な ど して 知 識 を得 て い る」 と あ る反 面、 薬 物依 存 症 に 関 す る こ と につ い て は 「自分 の経 験 以 上 の薬 物 依存 に 関 す る知識 、 技 術 を身 に付 け る に は 日本 は薬物 依 存 の治 療 ・対 策 が 遅 れて お り、 国 内 の み で は無 理 が あ る。 そ の た め 海 外 に 行 き知 識 を得 る必 要 が あ るが 、 な か な か世 間 に は理 解 さ れ な い と ころ が あ る」 と ス タ ッフ は述 べ て い る。 7)外 部 か らの 相 談 へ の 対 応 ①相 談 手 段 と 相談 者 の 背 景 ダ ル クは相 談 機 関 で は な いが 、 外 部 か らの薬 物 ・依 存 関 連 の問 題 に 関 す る相 談 に対 して もか な りの時 間 を割 い て い る。 相談 は調 査 期間 に72件 あ り、 その 手 段 は、72件 中61件 が 電 話 で、 そ れ以 外 の11件 は直 接 相談 で あ った。 相 談 者 は 県 内者50件 、 関西 地 方16件 、 中 国 四国 地 方4件 、 関 東 地 方2件 で あ り,県 内 の み な らず,関 東 地 方 か ら中 国 ・四 国 地 方 まで 広 域 にわ た って い た。 ② 相 談 者 の 内 訳 と相 談 内 容. 相 談 者 は家 族 が28名 と最 も多 く、 続 い て当 事 者 本 人16 名 、 医療 関係 者6名 、 行 政5名 の順 で あ った。 家 族 か ら の 相 談 に つ い て は 、 最終 的 に は本 来 の相 談 窓 口 で あ り、 家 族 会 を持 って い る精神 保 健 福 祉 セ ンタ ーを 紹 介 す る場 合 と、 薬 物 依 存 に お け る家 族 の 国 際 的 な 自助 グ ル ー プ で あ る ナ ラノ ンの連 絡 先 を紹 介 す る場 合 とが あ る。 当 事 者 か ら は ダ ル クへ の入 寮 ・見 学 の 希望 が最 も多 く、 表5に あ る ダル ク に関 す る相 談 内容 の72件 中11件 は覚 せ い剤 使 用 に関 す る こ とで あっ た。 医 療 機 関 か らは、 入 院 して い る薬 物 依 存 症者 へ の 面 会 の要 請 が5件 だ った。 行 政 か ら は、 公 的 助 成 に関 す る相 談 が3件 だ った。 ギ ャ ンブル 依 存 な ど、・物 質 関連 依 存 以 外 の依 存 症 者 か らの相 談 も3件 あ っ た。 調 査 期 間 中 は外 国 人 の薬 物 依 存 症 者 か らの相 談 もあ り、 外 国 人 に関 して も対 応 して い る。 4自 助 グ ル ー プNAと の 関 係 「NAに 来 る新 しい メ ンバ ー は ダ ル クか ら の メ ンバ ー が 圧 倒 的 で あ り、 そ の た め ダル ク と の線 引 きが は っき り して い な い。 そ の 結 果 、 活 動 を ダ ル ク に依 存 して い る嫌 い が あ る。 そ の ためNAが,ア ル コ ー ル依 存 症の 自助 グ ル ー プ で あ るAAと 比 べ 育 ち に く い状 況 に あ る 」 「国 内 のAAは 、 国 際 的 なAAの 活 動 に準 じて 活 動 も行 え て い るが 、NAは 必 要 な文 献 の 翻 訳 の遅 れ が 原 因 で 、 本 来 の NAサ ー ビス活 動 につ い て か な り遅 れ て しま っ た。 そ の た め脱 落 せ ず に残 る メ ンバ ー の多 くは、 ダル ク関 係 者 と な って い る」 「断 酒 会 等 の ア ル コー ル依 存 の 自 助 グ ル ー プ は アル コー ル を や めれ ば何 とか な る こ と もあ るが 、 薬 物 依 存 の 場 合 は早 くか ら依 存 症 に な って い る ため 、 薬 を や め るだ けで は ど う に もな らな い 」 と言 った薬 物 依 存 の 回 復 上 の 難 しい現 状 が あ るが 、 「NAも 少 しずつ 自立 し 育 って きて い る の で 、今 後 は変 わ って い く と思 う」 とス タ ッフ は言 って い る。NAの12ス テ ップ14)につ い て ス タ ッ フ は、 「12ステ ップ を きち ん と理 解 して い るNAメ ンバ ー は ほ とん ど い ない し、 逆 に 医 者 や研 究 者 な どが12ス テ ッ プ につ い て説 明'し語 って い る姿 を見 る と、 本 当 にわ か っ て い て や っ て い るの か と気 持 ちが 悪 い感 じが す る と き も あ る」 とNAメ ンバ ー 全 て がNAの12ス テ ップ 全 て につ い て 深 く理 解 して 参 加 して い るわ け で は な い こ とを 語 っ て い る 。12ス テ ッ プ に お け るspiritualityやspiritualに つ い て は、 「例 え ば 、 新 しい仲 間 に回 復 の メ ッ セ ー ジを 伝 え る た め に活 動 す る こ と、 新 しい ミー テ ィ ング の 会場 を 開 く た め に行 動 す る こ とな ど がspiritualityやspiri-tualで あ る」 ス タ ッ フ は言 っ て い る。 5ダ ル ク に お け る薬 物 依 存 者 の 回 復 ダル ク に お け る 回 復 と して ス タ ッ フ は 、 入 寮 直 後 は 「皆 の ペ ー ス に あ わ せ て 同 じ こ と をす る こ と か ら、 思 う よ うに 行 か な い こ とを経 験 し,共 同 生 活 に慣 れ て い くな か で 自分 の こ と を認 め て い く」 こ とが大 切 だ と して い る。 「早 くか ら生 き方 が 破 綻 して しま っ た薬 物 依 存 者 に と っ て 、 薬 を や め る こ と や就 業 等 で社 会 復 帰 す る こ と は回 復 'で は な く 、 回 復 の 通 過 点 で あ り本 来 の 回復 は別 の と こ ろ にあ る」 とス タ ッフ は言 って い る。 薬 物 を使 用 して い た 時期 にお い て薬 物 は 「生 きづ らい 自分 を守 って くれ る も の」 で あ った た め、 薬 を 断 った状 態 は 「例 え る な ら、 車 椅 子 で生 活 して い る人 か ら車 椅 子 が 奪 わ れ た よ うな状 態 。 車 椅 子(=薬 物)の な い 状 況 で 生 きて い くに は ど う した らよ いの か?」 「薬 物 依 存 者 は普 通 の 当 た り前 の生 活 を 続 け る こ と に大 変 苦 痛 を感 じる と こ ろ が あ る」 と薬 物 依
存 者 の 回 復 の 困 難 さ を あ げ て い る。 ス タ ッ フ は、 「世 間 で は薬 物 を使 用 し た人 間 の 人 格 を否 定 す る考 えが あ る、 そ の た め 薬 物 依 存 者 と して 活 動 す るな か で 、 様 々 なつ ら い思 い を して 、 自分 に 自信 が 持 て な くな る こ と もあ る」 と 回 復 して か らの 苦 しみ を 語 って い る。 「回 復 の過 程 で は、 ダ ル ク、NAにつ な が っ た ば か りの 頃 は、NAの ス ポ ンサ ー や 先 に 回 復 して い る 仲 間 め存 在 その もの がspir itualityで あ り、 時 間 が 経 過 す る につ れ て困 難 な こ と に ぶ ち当 た った こ と、 自分 で何 か を 成 し遂 げ られ た こ と、 新 し く回 復 して い く仲 間 に メ ッ セ ー ジを伝 え る行 動 を し た こ と全 て が 回 復 に と って 大 切 なspiritualityだ と考 え て い る」 と ス タ ッ フ は薬 物 か ら の 回 復 とspiritualityに つ い て も語 って い る。 Ⅳ考 察 1 Xダ ル ク に お け る 回 復 の 特 徴 1)ダ ル ク にお け る ス タ ッ フ と利 用 者 間 の つ な が り Xダ ル ク は、 ス タ ッ フ と利 用 者 が 常 に行 動 を共 に して お り、 ス タ ッ フ利 用 者 間 に距 離 が な い こ とが 特 徴 の1つ に あ っ た。 ダル ク に お い て は 、 精 神 病 院 で の 治療 や 刑 務 所 等 の矯 正 施 設 の 教 育 とは異 な り、 自 ら薬 物 依 存 か らの 回 復 を望 む依 存 症 者 に対 し、 既 に 薬 物 を断 った先 を行 く 仲 間 で もあ る依 存 症 者 本 人 に よ り回 復 へ の援 助 が な され て い る。 ま た、 ダル ク は医 療 機 関 、 矯 正 施 設 とは異 な り、 地 域 の 中 に お け るプ ロ グ ラ ム の実 践 や 活 動 、 そ して薬 を 断 った 生 活 を送 って い る仲 間 と の生 活 を 通 じて 、 薬 の な い状 態 で 様 々 な 困 難 を 乗 り越 え て生 きて い く方 法 を学 ん で い く場 所 で あ る14)。薬 物 乱 用 ・依 存 者 が 薬 物 を 断 ち 自 立 した社 会 生 活 を送 るた め に は,薬 物 か ら回 復 した モ デ ル の存 在 が 必 須 で あ り、 同 じ問 題 を抱 え た 者達 が 共 に生 活 を送 る ダ ル ク の存 在 意 義 は大 き い も の で あ り16)、X県 内 の ダ ル クの様 に常 に モ デ ル とな る人 物 が 身 近 に い る こ と は、 利 用 者 の 回 復 に と って も有 効 で あ る と い え る。 2)回 復 と一 般 社 会 との 交 流 に つ い て 1960年 代 よ り欧米 で は、 治 療 共 同体 が 薬 物 乱 用 ・依 存 か らの 回 復 の主 流 を担 って い る3)。治 療 共 同 体 で は,施 設 内 で社 会 訓 練 な どの プ ロ グ ラムが あ り、 利 用 者 は 自立 に向 け て 訓 練 を 受 け る17)。社 会 的 な生 産 性 と 当 た り前 の 生 活 様 式 を 入 寮 に お い て初 め て 獲 得 。開 発 す る と言 う意 味 で 、 治 療 共 同 体 に お け る治 療 はrehabilitationで はな く、habilitationと と らえ られ て い る18)。わ が 国 に治 療 共 同 体 は無 い が 、 治 療 共 同体 の考 え を取 り入 れ た ダ ル ク が 唯 一一存 在 して い る状 況 で あ る。 そ の た め ダ ル ク に お け る就 労(ア ル バ イ ト)等 の社 会 参 加 は、 治 療 共 同 体 に お け るhabilitationの 役 割 を して い る と筆 者 は 考 え る。 社 会 参 加 で き た こ とは 回 復 と は別 の もの で あ る と して い る が 、 社 会 で生 きて い くた め の 重 要 な 通 過 点 で あ る と考 え られ る。 ま た、X県 内 に あ る ダル ク は街 の 商店 街 の一 角 に あ り、 生 活 す る 中 で常 に地 域住 民 との 関 わ りが あ る。 そ の こ とか ら も地 域 住 民 との 交流 の場 は 、 自立 した社 会 生 活 を 送 る ため に大 切 な 資源 の1つ とな って い る。 薬 物 依 存 と は 「治 す 」 と い う区 切 りの あ る 「病 気 」 で は な い19)とあ る よ う に、 薬 物 の 治 療 に は薬 物 を使 用 しな い 生 活 の繰 り返 し こ そが 必 要 な の で あ り、 精 神 病 院 等 の 医 療 機 関 に お け る治療 で は、 日 々の生 活 の繰 り返 しの な か で、 様 々 な 困難 を乗 り越 え る生 き方 を先 に 回復 した仲 間 の 姿 か ら学 ん で い く環 境 は無 く、 薬 物 依 存 者 の 回復 環 境 の場 と して は限 界 が あ る。 そ う い っ た現 状 か ら も、 わ が 国 の 薬 物 依 存 者 の回 復 に お いて 、 一 般 社 会 と の交 流 を回 復 に と って 重 要 な もの と して い る ダル クの 存 在 意 義 は大 き い もので あ る とい え る。 2 他 の ダ ル ク と の 関係 ダル ク間 の移 動 は、他 の ダル ク にお い て も同 様 で あ り、 そ れ ぞれ の ダル クの特 色 を依 存 者 の 回復 に生 か して い る。 ダル ク は現在 も全 国 に広 が り続 け て い る状 況 で あ り、 そ れ ぞ れ の ダル クの 方 針 や 形 態 は全 く異 な る。 そ の た め, ダ ル ク全 体 は か な り多 様 化 し、 把 握 しに く くな って い る が、 この多 様 性 こそ が ダル クの 優 れ た特 徴 で あ り、 今 後 の課 題 で もあ る2。)とも言 わ れ て い る。 ダル クの 全 国 へ の 広 が りは、 組 織 的 に 広 が って い るの で は な く、 そ れ ぞ れ の ダ ル ク が 自発 的 に新 しい ダル クを 開 設 して い る た め、 個 々 の ダ ル ク の状 況 が 把握 しが た い 現 状 が あ る。 そ の こ と は、 そ れぞ れ の ダ ル クの質 を考 え る上 で 、 現 状 を検 討 す る必 要 が 出 て くる可 能 性 が あ る が 、 個 々 の ダル クが そ れ ぞ れ 独 自の 特 色 を持 つて い る こ とは、 利 用 者 側 が 自分 の 回復 に あ っ た環 境 を選 択 で き る とい う利点 で あ る と考 え られ る。 過 去 の 調 査 にお いて,出 身 地 域 に あ る ダル ク で 回 復 して い る利 用 者 の割 合 は わ ずか に8%ほ どで あ り, 違 う土 地 で回 復 を して い る利 用 者 が 多 くを 占 め て い る こ とが わ か って い る21)。Xダ ル ク の今 回 の 調 査 結 果 に お い て も、 利 用 者 の半 数 以上 は他 地 域 出身 者 で あ り、 半 数 以 上 が 回 復 の 過 程 に お い て ダル ク間 を移 動 して い た。 わが 国 にお いて 、 薬 物 乱 用 ・依 存 か らの回 復 を 主 に ダ ル ク に 頼 って い る現 状 で は、 ダル ク側 が 様 々 な 問題 を 抱 え た依 存 症 者 に 対応 して い こ うと して も、 周 辺 の協 力 が得 られ る専 門機 関 が 周辺 に 少 な い状 況 で あ る。 そ の た め、 他 の 地 域 の ダル ク との 連 携 は大 変 重 要 で あ る とい え る。 3 薬 物 関連 問題 と ア ル コー ル 関 連 問 題 を 比 較 して 1)薬 物 依 存 者 と ア ル コー ル依 存者 の タ イ プ の 違 いか ら ア ル コ ー ル依 存 症 は依 存 形 成 ま で に 時 間 を要 す が 、 薬
物 依 存 は乱 用 を始 め依 存 を形 成 す る まで の期 間 が短 く22)、 人格 形 成 に 大 切 な思 春 期 に乱 用 し依 存 形 成 に至 るパ ター ンが 多 い た め4,23)、人 間 と して の成 長 もス ト ップ して し ま う。 アル コー ル 依 存 者 は依 存 形 成 ま で の期 間 に就 業 、 結 婚 を 経験 し、 一 般 社 会 の 中で 社 会 性 を身 に 付 けて い る の に対 し、 薬 物 依存 は早 期 か ら社 会 性 を 失 った 状 況 にあ る。 家 族 間 の 問 題 に つ い て も、 アル コ ー ル依 存 症 が 主 に 依 存 症 者 と そ の配 偶 者(妻)と の 関 係 で あ るの に対 し、 薬 物 依 存 は依 存 者 で あ る子 供 と親 との 間 の 問題 で あ る こ とが 多 い。 ま た、 わ が 国 は 国際 的 に見 て も飲 酒 に 寛 容 な 文 化 で あ る24)。さ らに ア ル コー ル摂 取 そ の もの は、 一 般 的 に違 法 、 脱 法 行 為 で は な い た め 、 ア ル コー ル 問題 は市 民 的 価 値 観 の 枠 内 で扱 わ れ 理 解 さ れ る が23)薬物 問 題 に 関 して は、 薬 物 使 用 が 合 法 の薬 物 で あ って も、 市 民 的価 値 観 の 枠 か ら外 れ た問 題 と して考 え られ る傾 向 に あ る。 そ の た め、Xダ ル ク ス タ ップが 考 え て い る よ う に、 同 じ依 存症 で あ って も、 ア ル コ 一 ル依 存 と薬 物 依 存 は、 別 の タ イ プ の 問題 で あ る と考 え る方 が 良 い と いえ る。 2)薬 物 依 存 症 とアル コ一ル依 存 症 の 自助 グル 一プの比 較 ア ル コ 一ル 依 存 者 の 自助 グル ー プ と して は 、AAや 断 酒 会 が あ り、 宿 泊 施 設 で あ るMAC(メ リノ ール ア ル コ ー ル セ ンタ 一)は 、AAの 活 動 が全 国 に広 が って い く後 を 追 う形 で開 設 さ れ て い る。 一 方 薬 物依 存 者 の 自助 グル ー プ に は、NAが 施 設 で あ る ダル ク の後 を 追 う形 で活 動 を 広 げ て い る圏)。ア ル コ ー ル 依 存 症 に 関 す る社 会 資 源 は 1960年 代 か ら整 備 され 、 社 会 的 認 知 を得 て活 動 が で きて いる。 アル コー ル に関 す る 自助 グル ー プが 自立 して広 が っ て い っ たの に 対 し、 薬 物 使 用=悪 とい う考 え に 強 い わ が 国 で は、 「薬 物 使 用 は個 人 の 問 題 で あ る」 と み な さ れ る 欧米 等 の 諸外 国 とは 薬 物 使 用 に対 す る考 え が 異 な り、 薬 物 の 自助 グ ル ー プ が な か な か育 ち に くい環 境 に あ る垢)。 ダル クは 治療 共 同 体 の 考 え を取り 入 れ た リハ ビ リ施 設 で あ る が、 活 動 内 容 か ら見 る と 自助 グル 一プ で も あ る。 ア ル コ ール 依 存 症 はAAや 断 酒 会 と い う 自助 グ ル ー プ のみ 職 で回 復 を す る こ とが可 能 で あ るが 、 薬 物 依 存 症 者 に とっ て はNAと い う 自助 グ ル ー プ が 十 分 に 育 って い な い た め に、NAの 参 加 の み で は回 復 は困 難 な部 分 も あ る とい わ れ る25)。そ の た め 、 仲 間 との 繋 が りが しっか り して い る ダル ク の利 用 に よ る回 復 が 期 待 され て い る】の。 4専 門 機 関 との 連 携 現 在 わ が 国 に は薬 物 依 存 症 の専 門 治 療 施 設 は10施 設 に も満 た な い226)、さ らに 中 部 地 方 に薬 物 依 存 症 専 門 施 設 は 無 い。 そ の よ うな 状 況 下 の中 部 地 方 の全 て の 県 に ダ ル ク が あ る。 薬 物 医療 体 制 の 整 って い る米 国 にお いて は、 重 複 診 断 例 や有 機 溶 剤 の長 期 的 な乱 用 に よ る精 神 障 害 な ど 通 常 の プ ロ グ ラム で の 回 復 が 困 難 と され る精 神 医 学 的 問 題 を持 っ 依 存 症 者 に対 して は、 回 復 施設 と専 門 家 の連 携 が 不 可 欠 と され て い る27)。薬 物 専 門 の 医 療 機 関 が 近 くに 無 く様 々 な 問 題 を専 門 的 に連 携 して い け る専 門 家 が い な い。 そ の ため 、 精 神 的 ・身 体 的 な問 題 を抱 え る利 用 者 を 受 け て い る ダル ク に と って、 大 変 困 難 な状 況 で あ る と い え る。 そ の 一 方 で 、 仲 間 同士 の 関 わ りを重 視 す る本 来 の 当 事 者 活 動 の 長 所 が 、 専 門 性 の 介 入 に よ って 損 な わ れ る こ とが な か っ た こ とは 、Xダ ル ク の 活 動 に と って 意 味 が あ っ た とい う側 面 もあ る。 そ の た め 、 専 門機 関 との 連 携 の バ ラ ンス は、 ダル ク ら しさ を 維持 して い くた あ の 重 要 な 課題 で あ る と考 え られ る。 Xダ ル クが 教 育 機 関 へ の 働 き か けを して い る こ とは 、 薬 物 の 乱 用 ・依 存 が思 春 期 か ら始 ま る こ とが 多 い こ とか ら も21)重要 な 活動 で あ る とい え る。 過 去 の 調 査 にお いて 、 小 中 高 の 学 校 に勤 務 す る養 護 教 諭 の多 くが 、 日頃 か ら薬 物 問 題 に 接 して い る こ とか ら、 薬 物 問題 へ の 十 分 な対 応 シス テ ム が 必 要 で あ る と考 え て い た こ と が 示 さ れ て い る28)。学 校 側 が ダル クへ 講 演 を 依 頼 を す る こ とは 、 従 来 の予 防 教育 だ けで な く、 学 生 へ 向 けて の 当事 者 か らの 語 りか け を教 員 が 必 要 と して い るた めだ と考 え られ る。 矯 正 施 設 に 関 して は、 法 務 省 の 方 針 と して将 来 的 に矯 正 施 設 の教 育 プ ロ グ ラ ム に ダ ル クス タ ッフ や 自助 グル ー プ の参 加 を 得 て い く方 向 に な って い る が15)、調 査 期 間 中 はXダ ル クへ は施 設 か らの プ ロ グ ラム へ の 協 力 な ど の 依 頼 はな か った。 そ の 一 方 で 、 矯 正 施 設 へ 入 所 中 の 当 事者 か ら ダル ク に宛 て た手 紙 や 面 会 希 望 は 何 度 もあ り、 矯 正 施 設 内 で の ダ ル ク の認 知度 が 高 くな って い る こ と を窺 わ せ た。 海 外 で は,わ が 国 で 違 法 とな って い る薬 物 の一 部 を容 認 して い る国 もあ る。 しか しわ 炉 国 に お いて は、 乱 用 薬 物 が覚 せ い剤 や 有 機 溶 剤 の よ う に精 神 症 状 を 呈 しや す く、 逸 脱 グ ル ー プ と の 結 び つ き も強 い 状 況 が あ る た め29)、海 外 と 同様 に は考 え る こ と は 出来 な い 。 ま た 、 思 春 期 よ り薬 物 を乱 用 し依 存 して生 活 を して きた もの に と っ て、 薬 物 を や め る こ と だ け で生 きて い く こ とは 困難 で あ る し、 生 きて ゆ く こ とが 困 難 な た め に 再 び薬 物 を使 用 す る と い う悪 循 環 に陥 りや す い鋤。 当 然 、 矯 正施 設 に入 っ て い る間 は薬 を使 え な い 環 境 に あ る が 、 薬 を 使 わ な い こ とが 依 存 症 か ら回復 す る こ とで は な い以 上 、 再 犯 は繰 り 返 され 現 状 の よ うな薬 物 使 用 の 再 犯 者 に よ る矯 正 施 設 の 過 剰 収 容 を もた ら して い る と い え る3隅)。 効 果 的 な 社 会 復 帰 を 目指 す こ と は社 会 コス トの 軽 減 に もつ な が る重 要 な こ とだ が 、 回 復 の 受 け皿 と な る施 設 が 主 に ダル ク しか な い現 状 を 考 え る と、 わ が 国 の薬 物 回 復 の た め の資 源 の 乏 しさ を痛 感 す る。 薬 物 問題 を抱 え る専 門 機 関 と ダル ク間 の 連 携 は今 後 も 重 要 で あ る が、 問題 の 内 容如 何 で は、 各 種専 門機 関 の間
で の十 分 な連 携 も必 要 と さ れ る。 そ の ため に は、 個 々 の 機 関 が薬 物 問 題 にお いて 必 要 と され る こ と を十 分 に検 討 し、 整 理 して い く必 要 が あ る と思 わ れ る。 V結 論 ダル クへ の調 査 研 究 を 通 し、 薬 物 乱 用 ・依 存 の 問 題 へ の対 応 と連 携 に関 して 多 くの 示 唆 が 与 え られ た。 得 られ た デ ー タ につ い て検 討 し考 察 した結 果 、 以 下 の こ とが 見 出 され た 。 A.ダ ル ク の 実 態 ① 薬 物 依 存 者 の 回復 過 程 に お い て 、 常 に モ デ ル と な る 薬 物 乱用 ・依 存 か らの 回復 者 が 身 近 に い る環 境 は有 効 で あ る。 ② ダル クの 回 復 に と って遊 び を 取 り入 れ た 自 由度 の高 い プ ロ グ ラ ム の繰 り返 しは 回復 に有 効 で あ り、 薬 物 依 存 者 の 回復 に際 し公 的助 成 金 を 受 け る場 合 に は, 利 用 者 の 自由 度 が 制 限 され な い よ うな 配 慮 が で き る よ うに行 政 側 が 検 討 して い く必 要 が あ る。 B 専 門 機 関 と ダ ル ク との連 携 ① ダル クの 利 用 者 の 回 復 にお い て、 地 域 社会 との 連 携 が 有 効 と考 え る。 ② 専 門機 関 は,ダ ル ク との 連 携 の み な らず、 各 種 専 門 機 関 の 間 で の連 携 シス テ ム を検 討 して い く必 要 が あ る とい え る 。 そ の 際 に、 ダ ル ク の活 動 へ の十 分 な理 解 も必 要 で あ る。 ③ 薬 物 問 題 と ア ル コー ル の 問 題 と は、 当 事 者 の タイ プ や 、 当 事 者 を 取 り巻 くわ が 国 の 環 境 、 文 化 や一 般 市 民 の認 識 の違 いか ら、 同 じ物 質 関 連 問題 で あ って も、 一部 の タイ プ を除 いて 別 々 の 問 題 と して 考 え る必 要 が あ る。 謝 辞 もレ 本 研 究 を ま と め るに あ た り、 お 忙 しい なか 長 期 間協 力 して くだ さ い ま したXダ ル ク の皆 様 に 深 く感 謝 申 し上 げ ます 。 文 献 1)William,F.H.:MD:ハ ワ イ州 に お け る薬 物 依 存 援 助 シス テ ムか ら一 日本 に対 す る提 言 ー外 国 人 研 究 者 招聘 事 業 報 告,厚 生 科 学 研 究 費 補 助 金(医 薬安 全総 合 研 究 事 業) 中 毒 患 者 の ア フ タ ーケ ア に関 す る研 究 平 成11年 度 報 告 書,101ー103,2000. 2)永 野 潔:治 療 共 同体 の歴 史 と薬 物 依 存 症 治 療 施 設, DARCの 現 状 と そ の 役 割,ダ ル ク 編 集 委 員 会 編,な ぜ,私 た ち は ダ ル ク に い る の か,東 京 ダ ルク,8-15, 東 京,1991. 3)Maxwell,J.:Therapeutic communities,old
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Substance Abuse Treatment, 2nded. American
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D.C.,447-462(Ch.39),1999. 18)宮 永 耕:物 質 依 存 症 治 療 の た め の 治 療 共 同 体 一 ア メ リ カ モ デ ル に つ い て ー, 精 神 科 治 療 学,19(12),1411一418,2004. 19)和 田 清:薬 物 乱 用 ・依 存 の 現 状 と 鍵 の 概 念,こ こ ろ の 科 学,111,14-21,2003. 20)西 村 直 之:ダ ル ク(DARC)の 活 動 に つ い て.精 神 科 治 療 学,19(12),1405一1410,2004 21)森 田 展 彰,岡 崎 昌 子,末 次 幸 子:自 助 グ ル ー プ の 実 態 に 関 す る 研 究,平 成15年 度 厚 生 労 働 科 学 研 究 補 助 金 (医 薬 安 全 総 合 研 究 事 業)分 担 研 究 報 告 書,121-133, 2004. 22)永 野 潔:薬 物 ・ア ル コ 一 ル 問 題 自助 活 動 の 比 較 検 討 ー ダ ル ク の 位 置 づ け 一,平 成10年 度 厚 生 科 学 研 究 費 補 助 金(医 薬 安 全 総 合 研 究 事 業)薬 物 乱 用 ・依 存 等 の 疫 学 的 研 究 及 び 中 毒 性 精 神 病 患 者 等 に 対 す る 適 切 な 医 療 の あ り方 に つ い て の 研 究,157ー165,199駄 23)村 上 優,比 江 島 誠 一,杠 岳 文 他:薬 物 依 存 に 関 す る 病 院 プ ロ グ ラ ム と 入 院 患 者 の 転 帰 調 査,厚 生 科 学 研 究 費 補 助 金(医 薬 安 全 総 合 研 究 事 業)中 毒 患 者 の ア フ タ 一 ケ ア に 関 す る 研 究,11年 度 報 告 書,5下15, 2000. 24)清 水 新 二: 酒 の み の 社 会 学,新 潮 文 庫,東 京,2002. 25)近 藤 恒 夫:薬 物 依 存 症 当 事 者 の 活 動 の 実 際 と 課 題, 公 衆 衛 生,62(2),93-97,1999一 26)村 上 優,杠 岳 文,比 江 島 誠 一 他:薬 物 依 存 専 門 治 療 施 設 の モ デ ル 化 に 関 す る 研 究,平 成13年 度 厚 生 労 働 科 学 研 究 補 助 金 薬 物 依 存 ・中 毒 者 の 予 防 、 医 療 お よ び ア フ タ ー ケ ア の モ デ ル 化 に 関 す る 研 究,63一 筏2001. 2の 森 田 展 彰,根 元 透,和 田 清 他:サ ン フ ラ ン シ ス コ に お け る 薬 物 依 存 者 に対 す る 治 療 共 同 体 の 研 究(1)一 プ ロ グ ラ ム の 概 要 お よ び 日 本 の 医 療 ・自 助 グ ル ー プ と の 相 違 につ い て ー,日 本 ア ル コ ー ル ・薬 物 医 学 会 雑 誌, 38(5),440一453,2003. 28)鈴 木 健 二,武 田 綾,村 上 優 他:薬 物 乱 用 の ハ イ リ ス ク グ ル ー プ の 介 入 に 関 す る研 究,平 成14年 度 厚 生 労 働 科 学 研 究 補 助 金(医 薬 安 全 総 合 研 究 事 業)薬 物 依 存 ・ 中 毒 者 の 予 防 、 医 療 お よ び ア フ タ ー ケ ア の モ デ ル 化 に 関 す る 研 究,177-181,2003. 29)和 田 清:薬 物 乱 用 の 現 状 と 歴 史,精 神 神 経 薬 理,19, 913-923,199牝 30)近 藤 恒 夫,宮 永 耕,村 上 優:ダ ル ク利 用 経 験 者 の 回 復 に 関 す る調 査 研 究,厚 生 科 学 研 究 費 補 助 金(医 薬 安 全 総 合 研 究 事 業)中 毒 者 の ア フ ター ケ ア に関 す る研 究 11年 度 報 告 書,41-49、2000. 31)浜 井 浩 一:過 剰 収 容 の本 当 の 原 因,矯 正 講 座,23, 79-137,2002. 32)石 塚 伸 一,金 尚 均,大 藪 志 保 子 他:薬 物 依 存 ・中 毒 者 の処 遇 に 関 す る法 律 モ デ ル,平 成14年 度 厚 生 労 働 科学 研 究 費補 助 金(医 薬 安 全総 合 研 究 事業)薬 物 依 存 ・ 中 毒 者 の予 防,医 療 お よ び ア フ タ ー ケ ア の モ デ ル 化 に 関 す る研 究41-47,2003. (受 稿 平 成17年10月12日) (受 理 平 成17年12月20日)
A New Self-Help
Support
System
for the Recovery
Process
at Drug
Addiction
Rehabilitation
Centers:
A Survey of Daily Activities at an Institution and Problems to be Solved
MASUI Maiko, KAWANO Yuri and MORI Masami
1) Nagoya City University Graduate School of Nursing
2) Nagoya City University School of Nursing (Psychiatric Nursing) 3) Nagoya City University School of Nursing (Biochemistry)
Abstract
The aim of this study was to establish a new self-help recovery support system for drug addiction rehabilitation centers (DARCs). The study is based on a one-year survey of daily activities at a cer-tain DARC in the central region of Japan. The survey revealed five points: 1.DARC users have an en-vironment where they lead their lives with a model recovering from drug abuse and dependence. 2. Programs are provided in which they act at their own discretion and even some elements of "play" are incorporated. 3. Relations with the local community are forged in the recovery process. 4. The above function properly in promoting the recovery of DARC users. And 5. there is little support or coopera-tion from external organizations.
The results of this study indicate the need to build cooperative ties with various specialist organi-zations for the purpose of giving medical, legal, or other professional support, and to assist drug ad-dicts to steadily and remarkably recover from their ailment. It will also be necessary, to create a system for mutual cooperation between these various external organizations. In addition, comparison and consideration of recovery from drug dependence and alcohol dependence show that it is essential to adopt 'a separate approach for an effective solution to these problems.