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日本語の文法理論から見たモンゴル語助詞の記述的研究

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Academic year: 2021

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(1)日本語の文法理論から見たモンゴル語助詞の記述的研究 教科・領域教育学専攻 言語系(国語)コース. M09123H 蘇楽音璃  本論文は、日本語の格助詞に関する研究成. は、文法的な機能によって認定する立場が主. 果を踏まえ、現代モンゴル語の格助詞ならび. 流となっていることを見る。その上で、本論. に人称所属助詞の実態を記述することを目的. 文では、(1)名詞に付くことと、(2)連用関. とする基礎研究である。. 係を示すことに大きな特徴を認め、文法理論.  本論文の全体の構成は次の通りである。第. に立脚することとする。第3節では、格助詞. 1章では、理論的枠組みとして、日本語の格. の認定に関して扱いが難しいと思われる助詞. 助詞の認定に関する諸説を検討する。第2」章. 「まで」を取り上げ、[iコ名詞に付く、[iコ. では、日本語の格助詞における意味役割を調. 連用関係を示す、[血]他の助詞で代用できな. 査し、どのような形態格がどのような意味殺. い、[iV]文法化の度合いに程度さを認める、. 害1」を担っているかを記述する。一策3章では、. という4つの観点から助詞「まで」を格助詞. 第2章における日本語の意味役割をモデルに. と扱うものとする。第4節は、分析上の方法. して、モンゴル語における格と意味役割の関. 論に言及し、文構造に4つのレベルとして、. 係を明らかにする。第4章では、日本語研究. ①意味殺害1」、②格関係、③文法関係ないし統. における「所有傾斜」という知見を援用して、. 語機能、④情報構造を区別した上で、本論文. モンゴル語の人称所属助詞に見られる所有傾. では、①意味役割と②格の間で議論を進め、. 斜について分析する。以下に、各章の概要を. ③文法関係や④情報構造には触れないことで、. 示す。. 用語法の混乱を避ける意図を確認する。. 第1章:理論的枠組み. 第2章:日本語文法における意味殺害11.  この章では、格について一般言語学的な観.  第2章は、日本語研究の成果をべ一スに、. 点から表層格と深層格を記述することで、理. 日本語における格(形態格)と意味役割(深層. 論的基盤を整える。第1節で格という概念に. 格)の関係を具体的に記述する。r意味役割」. ついて、表層格(形態格)と深層格(意味役割). は、名詞句が文中で担う意味的な関係を表す. の下位区分に基づいて、両者の基本的性質を. 概念であり、第1節で、意味役割に関する一. 確認する。第2節では、日本語研究における. 般的な特性を振り返った上で、第2節におい. 格助詞の認定に関する諸説を概観し、学説史. て日本語の格に認められる意味役割を先行研. に様々な立場がある中で、現在の文法研究で. 究から記述的に整理する。第2節では、現代. 一238皿.

(2) 日本語の形態格のうち、rガ格」rラ格」r二格」. 知られている。本章では、現代モンゴル語の. 「カラ格」「デ格」については言語学における. 「人称所属助詞」が、多くの部分においてオ. 先行研究が蓄積されているため、これを援用. リジナルの「所有傾斜」に従いつつ、一部に. して意味役割を記述し、それ以外の「ト格」. オリジナルの順列と異なる振る舞いを示すこ. 「へ格」rマテ格」rヨリ格」については、専. とを例証した。. 門論文がないため、国語辞典・文法事典等を 利用して意味役割の記述に努めた。これを、. 第5章:結論. モンゴル語の格助詞の意味記述に対する対照.  本論文での成果は、大きく2つの点が挙げ. 資料とし、次章で再び取り上げることとした。. られる。1つ目は、日本語の格に関する研究 成果を踏まえて、モンゴル語の格助詞を理論. 第3章:モンゴル語の格と意味役割. 的・記述的に分析したことである。本論文で.  第3章では、第2章で見た日本語研究の知. は、格助詞に関して多くの先行研究が蓄積さ. 見を踏まえ、モンゴル語の格と意味役割を記. れた日本語研究の知見を踏まえ、一般言語学. 述する。第1節でモンゴル語の格助詞(格標. 的に汎用性のある意味役割(深層格)という概. 識)を概観した上で、第2節から第10節にか. 念を中心に、格助詞(形態格)を記述すること. けて9個の格について、格助詞ごとに意味役. であり、これにより、文法関係と形態格の混. 割を記述した。これにより、モンゴル語の格. 同を避けるとともに、用語法に関して一貫性. 助詞に対して意味役割レベルでの包括的な記. を保つことができたものと思われる。. 述ができ、日本語の格助詞との異同が分かる.  2つ目は、モンゴル語に特徴的な人称所属. ようにした。第11節で、モンゴル語における. 助詞に一関して、その用法上の制約を所有傾斜. 格助詞と意味役割の分布を整理した。. という観点から分析したことである。モンゴ. ル語の人称所属助詞について、日本語研究か. 第4章 モンゴル語の所有傾斜. ら生み出された所有傾斜という概念を適用し、.  第4章では、現代モンゴル語において「人. 人称所属助詞の使用条件に(所有傾斜という). 称所属助詞」と呼ばれる助詞の用法が「所有. 明示的なガイドラインを示すことで、人称所. 傾斜」の階層とどのように関連するかを検討. 属助詞を使える範囲と使えない範囲を(連続. し、オリジナルの「所有傾斜」と異なる序列. 性を持ちながら)モンゴル語学習者が理解す. が見られることを示すものである。現代モン. るのを支援するものになったと思われる。. ゴル語の「人称所属助詞」は、名詞の後ろに 膠着する不変化詞で、一min(私の),rChin(貴 方の),一ni(彼の/彼女の)3つがあり、この助. 主任指導教員  菅井三実. 詞によって、名詞が表わす対象の「所有者」. 指導教員 菅井三実. が標示される。一方、「所有傾斜」とは、所有. 者と所有物の間の心理的距離を階層化したも ので、日本語の尊敬語化に反映されることが. 一239一.

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