文学的文章を「読む」学習指導 ─「清兵衛と瓢箪」を例にして─
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(2) 文学的文章を「読む」学習指導 ―「清 兵衛と瓢簞」を例にして ― . 長 谷 川 祥 子. そして、全国学力・学習状況調査の平成二十六年度は志賀直 哉の「かくれんぼう」 、平成二十七年度は阿部夏丸の「オオサ. 「物語の登場人物の相互関係を捉えることに、依然として課題. 一 はじめに 平成十四年度版中学校国語科教科書に夏目漱石、森鷗外の作 品は一編も掲載されず、「漱石・鷗外の消えた『国語』教科書」. がある。 」と指摘された。. ンショウウオの夏」が出題され、小学校国語A問題の結果では. (注1)といわれた。栗坪良樹は「読解するに難しく、文体も. 本稿では中学校国語科教科書に掲載されたことのある (注2) 志賀直哉の「清兵衛と瓢簞」の授業実践を踏まえ、中学校国語. に「最後の一句」二社・ 「高瀬舟」二社) 、平成二十八年度版で. 二十四年度版で五社全て(第一学年に「木精」一社、第三学年. 校国語科教科書では五社全てに掲載された。鷗外の作品は平成. で無類の力を持っている」 (注3)と述べている。. い観察者であること、またその観察を無駄のない文章に写す点. 冊『大津順吉』に収録された。伊藤整は志賀直哉について「鋭. 「清兵衛と瓢簞」は一九一三(大正二)年に「読売新聞」に 発表され、一九一七(大正六)年六月に「新進作家叢書」の一. 二 「清兵衛と瓢簞」の人物描写の特徴. 科の小説教材としての有効性を探ることを研究の目的とした。. 難しいとなれば文豪作品も消え去るのみか」と述べた。 ところが、平成二十年三月告示の中学校学習指導要領国語に 「我が国の言語文化に親しむことができるよう、近代以降の代 表的な作家の作品を、いずれかの学年で取り上げること。 」と 示され、これを受けた平成二十四年度版中学校国語科教科書は. は四社(第一学年に「木精」一社、第三学年に「最後の一句」. 「清兵衛と瓢簞」を小説教材として指導する際、特に作品の. 「坊っちゃん」の「一」の部分が三社、平成二十八年度版中学. 一社・「高瀬舟」二社)に掲載された。. - 77 -.
(3) 明、そして唐突に瓢簞を物色する場面が提示される。この導入. 瓢簞に入れ込む清兵衛をめぐるぶっきらぼうなほど簡潔な説. る。紅野謙介は作品の冒頭部について「語り手による前口上、. 表現がほとんどなく、淡々とした語りと描写から成り立ってい. 要がある。登場人物の清兵衛、父、母、教師等の説明的な心理. 構成や人物描写が優れている点に着目して、課題を設定する必. 実践を試みた。. このような特徴をもつ「清兵衛と瓢簞」は、近代文学の入門 期の学習にふさわしい小説教材と考え、中学校国語科での授業. を上げることができると思われる。. 実際の授業では清兵衛という人物の描写の部分を取り上げ て、生徒が自由に話し合う学習活動を設定した方が学習の成果. とになる。. 的に表現している。このような人物像の変化の表現方法を生徒. に確固として存在する、芸術的価値に対して無感覚な姿を批判. 描いていながら、世俗の人間(直哉の父を含めて)が金銭以外. メージが形成されていく。無邪気に瓢簞に熱中する少年の話を. 清兵衛という人物の変化は瓢簞の価値で示されている。瓢簞 の価値が高まっていくのと同時に清兵衛の人物像が変化し、イ. つながる学習が期待できる。. 目について、次の表のように整理した。. 「国語総合」三種の教科書の「清兵衛と瓢簞」の学習課題を 参考にして、「二」で述べた作品の構成、描写、人物という項. 東京書籍『現代文A』 (「附録」 )に載せられている。. 総合』 、筑摩書房『国語総合』の三種と、平成二十六年度版の. 平成二十五年度版の三省堂『精選国語総合』 、教育出版『国語. 「清兵衛と瓢簞」は高等学校国語科教科書(注6)に昭和三 十一年度、初めて掲載された。その後、中断があったが、昭和. 三 高等学校「国語総合」の学習課題等の検討. がすでにたくみな噺家の語りを聞いているようだ。 」(注4) と、 本作品の特徴を的確に指摘している。. に理解させたい。. の構成の指導をねらいとした課題であ 1 構成「○」…作品 る。. このように語りと描写の特性がよく示されている本作品の特 徴に気づく学習活動を置くことによって、志賀の文体の理解に. 高橋広満は「清兵衛と瓢箪」の「伝統的な研究のありよう」 に つ い て、 「志賀自身の、父との対立というモチーフが織り込. 五十七年度以降、 平成二十八年まで掲載されている教材である。. まれたもの」 (注5)としているが、この「伝統的な研究」に. 2 描写「○」…描写の指導をねらいとした課題である。 の描き方の指導をねらいとした課題で 3 人物「○」…人物 ある。. 基づいた読み方の指導は教室で必要がないと論じている。これ はそのとおりで、本作品を「志賀自身の、父との対立というモ チーフ」によって指導することは、生徒の読みを固定化するこ. - 78 -.
(4) 三省堂『精選国語総合』. 「理解」 1 冒 頭 の 段 落 は ど の よ う な 効 果 を あ げ て い る か、考えなさい。. 学習課題. -. -. ○. -. -. -. -. ○. ○. ○. -. 構成 描写 人物. 筑摩書房『国語総合』. ○. 2 清兵衛の心情の変化を整理しなさい。. ○. 構成 描写 人物. ○. 3 清兵衛に対して「父」と「教員」が怒ったの はなぜか、それぞれ説明しなさい。. ○. ○. -. -. 学習課題 ○. ○. -. -. -. -. -. -. 4 清兵衛の瓢簞がどんどん高値で取引されると いうエピソードは何を物語っているか、考えな さい。. ○. -. 構成 描写 人物. -. -. -. 5 もし清兵衛、「父」「教員」のそれぞれが清兵 衛の瓢簞の引取値を知ったらどう思うか、考え なさい。. 1 「 全 く 清 兵 衛 の 凝 り よ う は 烈 し か っ た。」 と あるが、清兵衛の「凝りよう」が表れている箇 所を指摘してみよう。 2 次の部分に注目して、清兵衛の性格をまとめ てみよう。 ①「さすがに自分で驚いた」 ②「清兵衛は黙ってしまった」 3 清兵衛が仕舞屋で買った瓢簞に対して、次の 人物はそれぞれどのように関わっていたか、ま と め て み よ う。 ① 清 兵 衛 ② 受 け 持 ち の 教 員 ③清兵衛の父 ④学校の小使い ⑤骨董屋 4 冒頭と結びの三行は、どのような意味をもっ ○ ているだろうか。話し合ってみよう。. 学習課題. ○. ○. う」という学習に拡散してしまって、小説の生命というべき描. に着目しているのは的確だが、 「清兵衛の性格をまとめてみよ. ぶ課題がほとんど示されていない。 「清兵衛は黙ってしまった」. させる課題も含まれている。ところが、描写を読む楽しさを学. 簞の関係、「仕舞屋で買った瓢簞」との関わり方の違いを理解. 「国語総合」三種の教科書では作品の構成や人物について問 う課題は多数設定されている。このような課題には清兵衛と瓢. 「表現」 1 最後の段落からこのあとどのような出来事が 起こると考えられるか、話し合ってみよう。. 1 清兵衛が瓢簞に熱中していることを示すエピ ソードを、本文中からあげよ。. -. 教育出版『国語総合』. 2 父と教師はどのような人物として描かれてい - るか、彼らの瓢簞に対する考え方からまとめよ。. ○. ○ -. - ○. ○. 3 小使いの売った瓢簞の値段が高額であったこ とは、どのようなことを意味するか、考えよ。 4 清兵衛と周囲の大人たちとの違いから、この 小説のおもしろさについて考えてみよう。. - 79 -.
(5) 写の役割を考える学習に至っていない。文学作品の核心を外し. れれば十分ということになるのではないか。実践を終えた現在、. ている。作品の読みでは「清兵衛への肯定的な評価が導き出さ. 説の描写に対する認識が不十分である。. の意図」を追うことに終始した学習指導であると理解した。小. この見解は的を得ていると感じている。」としている。「語り手. た学習指導というほかはない。. 四 「清兵衛と瓢簞」の実際の指導 1 これまでの高等学校国語科における「清兵衛と瓢簞」の 実践研究. 高等専門学校三年の三クラス、九時間扱いの授業実践につい て、次のように述べている。. 衛の日記』 」 (注7)を書かせる指導を実践している。六つの場. 石田誠は高等学校の国語Ⅰ(現代文を中心とする三単位)の 授業で「清兵衛と瓢簞」の「読解を進めながら場面毎に『清兵. 作品を“清兵衛贔屓”の語り手による語りであると意味. いじりを行うことを彼への批判材料として、学習者の本. と交流を持とうとしていないことと、授業中にまで瓢簞. 示 す る こ と に し た。 (中略)清兵衛が周囲の子どもたち. (前略)語りの考察をまず行い、その後に志賀に関わる 情報(執筆時期や場所「暗夜行路草稿」等の存在)を提. 面で書いた日記のうち、一つを清書し、最後に短歌を添えてい. 付け、その観点によって学習者の「読み」を揺さぶろう. 中学校国語科での「清兵衛と瓢簞」の授業実践を提案する前 に、これまでの高等学校の実践研究を考察していく。. る。ミニ文集として配付したことから、 「学習者相互に表現と. やすい形式によって授業を提案したい。. 右の諸例に示された清兵衛という人物像の理解や、描写に対 する認識という課題を補った上で、以下、実際の様子を把握し. されていたかもしれないが、論文での記述は不十分である。. 論文であるとしており、発表では具体的な指導計画等が資料化. てこない。「付記」で第六九回日本文学協会の発表を基にした. 右の引用では、山下航正が「清兵衛と瓢簞」の学習の概要を 説明している。しかしながら、 実際の授業の様子が十分に伝わっ. と試みたのである。. 理解」が確認できるとしている。 石田誠は生徒が手直しした日記と歌について、次のように述 べている。 (前略)全体として清兵衛が挑戦的なものになっている ことは、読解としては疑問だと確認しつつ、創作として は許容していきたい。 右の授業者自身の説明から、生徒が清兵衛という人物像の理 解が不十分だったことがわかる。 山下航正は先行研究を踏まえ、 「清兵衛を肯定しその才能を 認めるという一貫した姿勢で語られている本作品は、 『近代小 説』ではなく『物語』であると意味付け」 (注8)られるとし. - 80 -.
(6) 4*第1場面は「小説の説明(語り) 」と名付けます。〔以下、. 構成). 5*第5場面に名前を付け、ノートに書きなさい。(数名に黒. 2 中学校国語科での「清兵衛と瓢簞」の授業提案 中学二年で実践する「清兵衛と瓢簞」の指導計画(全四時間) を次のように設定した。 (注9). 答えをノートに書きなさい。 (作品の構成). 板 に 書 か せ る。 )黒板に書いてある名付けのうち、理想的な. 第4場面まで名付けをする。 〕(作品の構成). 小説の構成(語りと描写)を知る。 第一時 全体を通読し、 七つの場面分け、呼び名を付ける。. の清兵衛の行動や心情を作者は書いていません。清兵衛の行. 5*「清兵衛は黙ってしまった」に傍線を引きなさい。この後. 線を引きなさい。(人物描写). の瓢簞に対する父・客の評価と、清兵衛の評価にそれぞれ傍. 4*大人と清兵衛で異なる評価をしている瓢箪があります。そ. 所見つけ、傍線を引きなさい。(人物描写). 3 清兵衛が瓢簞に熱中している様子がよく分かる行動を三か. り・描写). 語り、「手入れが……いった。 」は人物描写と書きなさい。(語. 物描写と書きなさい。「清兵衛は十二歳で……していた。」は. 場面の「清兵衛が……じっと見た。 」を四角い枠で囲み、人. 1 「清兵衛と瓢簞」 の前半を学習します。 (学習内容を知る。) 2*第1場面は全て語りの文章です。語りと書きなさい。第2. 【第二時】. 7*第7場面と対応している場面はどこですか。 (作品の構成). 答えをノートに書きなさい。 (作品の構成). 板 に 書 か せ る。 )黒板に書いてある名付けのうち、理想的な. 6*第6場面に名前を付け、ノートに書きなさい。(数名に黒. 」 第1場面「小説の説明(語り) 第2場面「瓢簞に熱中する清兵衛」 第3場面「清兵衛と大人の瓢簞に対する見方の違い」 第4場面「新しい瓢簞との出会い」 第5場面「大切な瓢簞を失う清兵衛」 第6場面「取り上げられた瓢簞の行方」 」 第7場面「現在の清兵衛(語り) 第二時 前半部のいくつかの課題を考え、話し合う。 半部のいくつかの課題を考え、話し合う。 第三時 後. 第四時 全体を通読して、小説の感想を発表する。 次に、主な学習活動の発問・指示・説明をセリフによって示 す。発問・指示・説明をセリフで表記すると、生徒の理解が安 定し、授業全体が明確になる。丸括弧内は学習内容である。 【第一時】※「*」印は実際の授業で行った発問等である。 1*志賀直哉が書いた小説「清兵衛と瓢簞」を学習します。 (学 習内容を知る。 ) ……」ハイ。 (一斉音読). 2*声をそろえて第1場面を読みます。 「これは清兵衛という 3 「熱中している。 」の下に第1場面と書きなさい。 (作品の. - 81 -.
(7) 動を自分で解釈し、書きなさい。 (数名に黒板に書かせる。 ) (人物描写) るいは普通の形でしたか。その瓢簞を見つけた清兵衛の喜び. 6*「震いつきたいほどにいい」瓢簞は奇抜な形でしたか。あ がよく分かるところを四角い枠で囲みなさい。 (人物描写) 7 清兵衛が教師に大切な瓢簞を取り上げられ、呆然としてい る様子に傍線を引きなさい。 (人物描写) 8 全ての瓢簞を父に玄能で割られた清兵衛の行動に傍線を引 きなさい。この部分を説明しなさい。 (数名に黒板に書かせ る。)(人物描写). 習内容を知る。) します。 (感想の記述). 2*「清兵衛と瓢簞」の感想を二~三行、ノートに書き、発表. 3*Aさんから席順に感想を発表しましょう。一人三十秒くら いです。 (感想の話し合い). 4 皆さんがいろいろな感想をもっていることが分かって、と ても興味深かったです。これで「清兵衛と瓢簞」の学習を終 わります。(学習のまとめ). 五 生徒の感想. 平成二十七年三月四日に北海道教育大学附属札幌中学校で 「清兵衛と瓢簞」の授業を二年の一学級(四十名)を対象に、. 一時間扱いで実施した。この授業では四時間計画のうち、主要. な発問等(「四2」で「*」印がついた項目)で授業を組み直 した。. 実際の授業では、作品の構成を理解するための課題として第 一時の「3~7」 、第二時の「2」を、人物描写を読む課題と. して第二時の「4・5・6」を設定した。第二時の「8」、第. 三時の「4・5・6」が実践できなかったが、これらの発問等. は人物像を理解するための課題である。今後、機会を見つけ、. - 82 -. 【第三時】 1 「清兵衛と瓢簞」 の後半を学習します。 (学習内容を知る。 ). 場します。二つの瓢簞をそれぞれ書きなさい。 (瓢簞の価値). 2 登場した順に人物をノートに書きなさい。(登場人物の確認) 3 「清兵衛と瓢簞」には、対照的に描かれた二つの瓢簞が登. トに書きなさい。 (瓢簞の価値). 4 二つの瓢簞について、清兵衛と大人の評価をそれぞれノー 5 「普通な形をした瓢簞」の価値はどのように変化していき ますか。また、瓢簞の見方が変化したのはなぜですか。 (人 物像). 実践していきたい。. 生徒の感想を作品の構成・描写・人物に分類すると、次のよ うな傾向を示す。. 6 「普通な形をした瓢簞」の価値を清兵衛は知っていました か。(人物像) 【第四時】. ①作品の構成に着目した感想……六名 (. %). 1 この時間は「清兵衛と瓢簞」の感想を話し合います。 (学 . 15.
(8) ②描写に着目した感想 ……十三名 ( ③人物に着目した感想 ……二十一名(. %). 想像しやすかった。 (生徒G). 楽しかったなどの表現がなくても、清兵衛の気持ちや顔が. ②十二才の清兵衛の瓢簞への思いの強さが表れていて、大. ⑥私は清兵衛がかわいそうだと思った。なぜなら、大切に. 言えずに黙っていたからだ。大人と子どもとの差を感じる. していた瓢簞を教員に取り上げられていて、清兵衛は何も. . わいた。(生徒N). ⑤第3場面の大人と清兵衛の瓢簞への思いのぶつかりは私 達の日常に近く、昔の話であるにもかかわらず、親近感が. さというのが表れている。(生徒M). ④清兵衛の才能と、それに気付けない周囲の人間がその清 兵衛の才能をつぶしていることで、大人の力の理不尽な強. で、新しく感じたし、おもしろいなと思った。(生徒L). ③この話からは大人と子どもの格差や意見の違いが考えら れていた。清兵衛の心情にあまり触れないような小説なの. 人の理解のなさも表れていた。(生徒K). . ①子どもの視点から見た大人は、理解が浅い上に小言ばか り言う存在だと思った。 (生徒J). 3 人物に着目した感想. ⑥この小説は描写と、語りばかりなので、その人その人で 解釈の仕方が全然違うものになりそうだと感じた。(生徒I). 要があるなと思った。(生徒H). 表情の描写が少なく、 ⑤語りや描写が上手いと思ったけど、 人物の気持ちが伝わりにくく、自分の考えを持って読む必. %). (文中の丸括弧は稿者 生徒の主な感想は次のとおりである。 が補った。 ) 1 作品の構成に着目した感想 (この作者の文章 ①私は心情の表現が好きでよく読むが、 は)あまり読んだことのないタイプなので新鮮だった。行 動で人物の心情を考えるのは楽しい。 (生徒A) ②父は主人公の言う瓢簞の良さがわからなかったが、その 後骨董屋が高価な額で買い取っていて、それが本人たちの 知らないところで行われているというのがおもしろいと 思った。第三者の語りで語られているのに、心情が伝わっ てきた。 (生徒B) ③最初と最後の段落が話をおもしろくしていると思う。(生 徒C) 2 描写に着目した感想 ①人物描写は見えない心を書いているにも関わらず、自分 の頭の中には見えたように浮かんでくる。すごいと素直に 思ったし、分かりやすいとも思った。 (生徒D) ②清兵衛がどのようなふうに感じているかというのを直接 的ではないけれど、伝わってきた。 (生徒E) ③この小説は読んだだけで、その状態をイメージすること ができた。表現の仕方が分かりやすいと思った。 (生徒F) ④情景などを読むと心情がよく理解でき、うれしかった。. - 83 -. 52.5 32.5.
(9) ことができた。 (生徒O) ⑦大人と子どもの差を感じて、でも大人だけがいつもすご いわけではなく、子どもが強いときもあり、その違いがお もしろいと思った。 (生徒P). 六 まとめ 「清兵衛と瓢簞」の授業を作品の構成と人物描写を読む楽し みという事項を中心に設定し、生徒の感想を具体的な表現に転 換していくことの重要性を述べてきた。 文章を細かく調べすぎたり、時代背景を詳しく説明しすぎた りすると、生徒が作品を嫌いになることが多かった。一教材に かける時間を短く切り上げる方が、生徒は自分の文章に、小説 で学んだ表現を応用するというように作品を立体的に身につけ ようとすることを指導経験から学んだ。 授業者が作品への自分の研究成果を語らず、生徒により多く 語らせる文学的文章の読みの授業に改革することが必要であ る。このような学習指導を「言語活動の充実」というのではあ るまいか。. 「注」 1 栗坪良樹「小説は『国語』を救う」 『文學界』第五十六巻 第五号、一一〇頁 文・藝春秋 二 ・〇〇二年五月 2 中学校国語科教科書には「清兵衛とひょうたん」 「清兵衛 とヒョウタン」という題名で示され、昭和二十八年度から二. 十数年掲載された。 (『読んでおきたい名著案内 教科書掲載 作品小・中学校編』二五〇頁 紀 ・伊國屋書店(六九〇頁)二 〇〇八年十二月)平成二十四・二十八年度版中学校国語教科 書には載せられていない。. 河出書房新社(二六三頁)一九七六年九月、初出、一九六一. 3 伊藤整「志賀直也の方法」『文芸読本 志賀直哉』二九頁 年十二月. 刊国語教育』第十巻第十号、八〇~八三頁・東京法令出版・. 4 紅野謙介「 『心境』と語り芸―志賀直哉の短篇を読む」 『月 一九九〇年十二月. 大学国語教育研究』第二十三集、三一~四二頁・早稲田大学. 『早稲田 5 高橋広満「つながりの発見、要約をこばむ細部」. 国語教育学会・二〇〇三年三月. 山下航正「教室で〈語り〉を読むということ―『清兵衛と 瓢簞』の授業から―」 『日本文学』第六十四巻第三号、二~. 五号、六〇~六七頁・東京法令出版・二〇〇三年七月. 韻文と散文の融合を試みる」 『月刊国語教育』第二十三巻第. 6 阿 武 泉 監 修『 読 ん で お き た い 名 著 案 内 教 科 書 掲 載 作 品 』三〇四頁 紀・伊國屋書店(九〇六頁)二〇〇八年四月 13000 7 石田誠「『清兵衛と瓢簞』歌日記・連句DE『羅生門』―. 8. 十三頁・日本文学協会・二〇一五年三月 学校教諭河原未佳氏による。. 9 「清兵衛と瓢簞」の指導計画の素案は北海道遠軽町立東小. ・. - 84 -.
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