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逗子市池子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質

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Academic year: 2021

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(1)Sci・ Repts・. Yokohama. Natl・. Univ・,. I7, No.. Sec・. 31-51,. 40, pp.. October,. 1993. 逗子市池子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質 江藤哲人*. Geology. of. Cutting. Outcrops. Facilities. Area. in. in. Kanagawa. lkego. the. Zushi. U.S.. City,. Prefecture By. Tetsuto. (Received. Abstract・. Geologic?I. bathyal. which yield abundantly Nishiyama Hill in the. lkego. Prefecture・. represent. sliding. in the. The. data. Early. Pliocene. May,. described. are. notes. EでO 10,. for. bivalve. U・S・. Facilities important. upper. Miura. 1993). new. fossils Area. outcrops cutting Calyptogena. some. of at. n如onica,. in. Zushi. phenomena. such. City, as. Kanagawa. submarine. group.. 1.はじめに. 逗子市池子米軍提供用地内の米軍住宅建設計画に対して,自然保護の観点から地元逗 子市の反対運動が起こり,政治的に注目されてきた。地質学的にも,施設建設予定地の 西山丘陵に深海性二枚貝のシロウリガイ化石が産出することが知られて,それらの現地 保存の意見が出された。筆者は神奈川環境部の依頼により, 1986年にこの地域の上記化 石の産状調査を数日間行い,その報告書を提出し,学術上の意義と同丘陵の保存の重要 性を具申した(江藤, 1986 a)。その後, 1988年に神奈川県教育委員会文化財保護課の施 策により,上記化石とその産出層の地質構造について本格的な調査が行われることとな り専門調査団が組織された。その調査は1988年秋から翌年1月にかけて行われ,その報 告書が横浜防衛施設局から出版された。筆者は地質構造分野を担当・執筆し(江藤, 1989. a),同様の内容を公表した(江藤,. *横浜国立大学教育学部地学教室. National. University.. 1989b)。この報告書で全員の専門家が西山丘陵の. Geological. lnstitute,. Faculty. of. Education,. Yokohama.

(2) 江藤哲人. 32. 保存あるいは員化石密集部の現地保存をすべきことを述べた。しかし,国と県の二者合 「西山丘陵のシロウリガイ化 意の建設方針は揺るがず,その後の国・県二者協議の結果, 石露頭を含む化石産地については,切土工事の過程で更に調査を行い,記録保存および 標本移築保存で対応する+ことが決定された(1991年2月)0 調査団は不本意ながら上記の二者協議に従って,西山丘陵の地質・古生物学的精密調 査を行うことになり,同年(1991年). 4月に新たな調査団が組織され,調査・研究を開. 始した。筆者は当初と同じ地質構造の調査を担当し,報告書の執筆を分担した。調査の 結果,西山丘陵には予想通り,学術上重要な現象が多数含まれていた。それらの重要な 資料を報告書だけでなく広く公表する必要があると考え,それらの一部を本論文として 発表する次第である。 調査した法面は土木施工上設定されたもののほか,調査研究を目的としてつくられた 法面もある。この西山丘陵地の法面調査期間は1991年7月か1992年5月末にわたるo 本論文を作成するにあたり,専門調査団の長谷川善和教授(横浜国大),菅野三郎名誉 朝彦(東大海洋研)各教 教授(筑波大),堀越増興(千葉大),鎮西清高(京都大),平 撹,松島義章(神奈川県博),蟹江康光(横須賀市博)両博士の方がたには種々有益な議 論と御教示を頂いた。調査に際しては神奈川県文化財保護課,横浜防衛施設局,日本工 聡氏と野口一郎氏に法面調 営㈱の各担当者の協力を得た。また日本工営㈱の上加世田 査の一部を担当して頂いた。調査当時,横浜国大の大学院生であった高来祐司氏(現在, 創氏(現在,神奈川県立博物館)にいくつかの法面調査で協力 群馬県立博物館)と樽 周両氏にも調査および整図作成で多くの協力を得 して頂いた。学生の鈴井正和,井上 た。以上の方がたに感謝します。. 2.調査法面位置および調査方法 (1)法面位置 調査した法面露頭をアルファベットと数字で区別し,それらの位置を第1図に示し (A2aとA2b),A3,Bl,B2,Cl,C2,D,E,F,G, た。それらはAl,A2 H 1,. (Hl, Cl,. A G,HlおよびH2以外の法面はすベて西山丘陵内に属するo Hl, Al, H2は永久残 HlおよびH2は土木施工の目的でつくられ,. H2)である。 C2,. 存(菱形鉄枠と芝生で被覆),. Clは最下部のみ永久残存とされる法面であり,その他の. 法面,自然露頭は現在存在しない。 A2, にB・1,. B2は地質調査および標本採集を目的として掘削されたもので,特 D, E,Fは切 B2は丘陵頂部にシロウリガイ化石が見い出された箇所にあたる。 A3,. Bl,. 土工事の過程で露れた法面であり,面を平らに整形したものではない。. Gは考古学上の. 文化財調査で表面堆積物を剥ぎ取った箇所の平面露頭である。 法面の施工法でみると, D, E, F, G以外の法面はすベて段切り工法によるもので, 幅1.5-2mの犬走りをもつ数段の法面である。法面の勾配はClのみ2分, 2,. A3,. Bl,. B2,. C2,. Hl,. H2はR5分勾配である。. Al,. A.

(3) 逗子市池子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質. 第1a図. 逗子市池子米軍提供用地内西山丘陵の調査法面位置図. 33.

(4) 江藤哲人. 34. /J′+、、J-,. 彪`L. t-ZL ---iI/ 二.て一-. llぷ. 妻叫⊆藍. ・-・▲■■■■. ■'.Aナ. I. 一汝1 lI ■LPll ll lJ. 室_. ・..瑠.、、交 Ill. .,//. ■t. ・召・-・15i/I. 誘,′・、き ヽ. -1. l. I I. l●. I ▲ I. ・・二._苛て顧・. ヽ. 1■■●. 義. \\・. 竜一L I. t▲. \J ̄.. _一rdl一i. 什”・1p、・-′.:_,:j4・-I-I. 3:.fli_. ∫. pI卜 ̄!.I I;ii ●l ●J, + やノ.--J._. ・払L.%・iShlt'-a:I:. ■. rlfih r l. ・≡≧:ち. .潤.箭1JILpIL.・ r.i. \. \. /. I. i -\ ヽヾ. 雷 ̄甘 ̄、\. 60 、丁-I_. -JIOOm ● ̄. /. r,'J. _・・-一 ̄ー. ヽヽ. 孤. ltdI/ /. 第1b図. /. /一-----=′一、-. 西山丘陵の法面位置・標高図. ●■ ●●.

(5) 35. 逗子市池子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質. (2)調査方法 すべての法面露頭について百分の1縮尺の観察スケッチを作成した。観察調査に際し ては,可能な限り正確,精密に表現するよう,次の調査法を取った。法面の最高部から 下ろす線(ピーク基準位置)を基準として水平間隔5mごとの印をつけ,この区分を示 した百分の1法面断面図(白図)を作成し(日本工営㈱担当),スケッチに使用した。水 平および垂直の位置をcm単位で正確に決めるために,横方向に巻尺,縦にスタッフを 用いた。. 上記の法面断面図(スケッチ)は垂直面として示されたものである。従って,法面上 の上下方向の境界線位置は垂直面に投影された状態で表現されている。その方法とし て,測定した法面上の上下距離に垂直距離と斜面距離との比率を乗じて求めた。この作 業は現場で観察時に行った。 Al,. A2,. Blの法面については,それぞれ,上段から下段へと1-2段ずつ順次施. 工され,下段(1-2段)の出現時すなわち観察時には上段(1-2段)は芝生施工(A 1)や切除で存在しない状態となり(A2,. Bl),期日上,非連続的な調査となった。. そのため,上記3つの法面については全段を一度に観察したものでなく,統一的な再点 検はできなかった。 Al,. A2a,. Bl,. B2,. Cl,. C2,. Fに露れた逗子層上部の整然層については,薄層. ではあるが特徴をもっ5枚の凝灰岩鍵層を識別し,符号(to-t4)を付して精密な対比を 行った。 B 1, B2では滑動帯混合層に取り込まれた逗子層由来の大小の傑状岩塊にち, それらの鍵層を含有するものがあり,同じ符号を記した。 岩相の観察・記録は単層の単位まで行って,法面スケッチに示した。単層の厚さが10 cmを越えるものについては,その上下の界線を入れて記入し, 上に記号を東せるか,または記号を線状に記して表現した。. 10cm未満の薄層は線 Cl法面だけは10cm以上. の単層を対象としてスケッチを作成し, 10cm未満のものもすべて記入した同縮尺の柱 状図(第9b図)を作成した。法面の岩相・地質構造などの紋様・記号については,全法 面に共通するものは同一凡例として第2図に示した。. 1つの法面だけに見られるもの. は,各図の題目に付してある。. 3.法面の地質. (1). Al法面(第3図参照) 全般に灰色シルト岩と灰色-褐色火砕岩の大小の岩塊が入り乱れた混合岩塊と,その 下位に癒着した面で接するシルト岩主体の地層(整然層)で構成される。 混合岩塊のうち,火砕岩塊は凝灰質細粒砂岩を主体として軽石凝灰岩・スコリア質砂 岩のそれぞれ薄層(単層の厚さ数cm-数10cm)からなる,層理の発達した互層(細粒 火砕岩互層)の岩塊,厚さ数mの単層をもつ凝灰質細粒砂岩主体の岩塊,淘汰の悪い凝 灰質粗粒砂岩を主体とする岩塊で構成される。砂岩は全般に砂粒大から数mm大の軽 石を混じえる。軽石質細粒砂岩と軽石凝灰岩の単層の一部には,堅固に腰結した層状の 珪質団塊が見られる。.

(6) 江藤哲人. 36. 混合岩塊中のシルト岩塊には,もともとこの地層(三浦層群逗子層)の構成層の均質 細粒砂岩・軽石凝灰岩の薄層が多数の小断層によって寸断された産状で含まれるはか, 上記の火砕岩の中・小の岩塊を取り込んでいる。これらの火砕岩塊にシロウリガイ化石 を含むところもある。また,火砕物質とシルト物質が互いに基質状に混じり合う部分 (砂泥混合部)があり,それらはシルト岩との境界不明な不規則形態を示すものが多い が,火砕岩塊から続いて境界鮮明な,幅10cmほどの貴人形態を示すものもある。 法面3段目(上段から。以下同様に扱う)で,ピーク基準位置から図の左方,. 21. -23.3. m付近のシルト岩には面の開いた網目状の亀裂が発達し,それらのはとんどに厚さ2 cm以下の石膏脈が充填する。石膏脈が見られるのは,この法面の上記部分のみである。 4段目,ピーク基準位置から左方30m付近の凝灰質砂岩塊中には,数cm-数10cm大 の楕円球状の珪質団塊密集部が挟まれる。 火砕宕の岩塊はシルト岩塊に比較して地質構造が内部まで乱されてないものが多く, その大きいものは幅25mを越す。それらの層理面は緩傾斜から垂直に傾斜したものま 3段から5段目にわたる細粒火砕 であって,岩塊ごとにさまざまな走向・傾斜を示す。 岩互層(厚さ5m弱)は,分級構造から逆転・転倒した岩塊と判断される。 シルト岩と火砕岩,火砕岩と火砕宕の各岩塊はすべて癒着面で接し,いくつかの接触 部は流動・分解した混合層(幅数10cm-2cm)となっている(4, 6段目に顕著に見 られる)。 混合岩塊を構成するシ).レト岩と火砕宕の宕塊は,いずれもナンノ化石年代でCNIO11の範囲を示す(岡田,. 1993)。. 6段目左方一帯には,正常の積み重なりを示すシルト岩主体の地層が露出し,この上 に細粒火砕岩の地層が高角ないし低角に斜交して,乱れた状態で重なる。両者の接触面 は癒着し,下位層の層理面にほぼ平行する直線部と,下位層を切り込む部分がある。直 E, loo Nの走向・傾斜を示す。接触面右端の切り込み部分の直上 線部の接触面はN80o では,シルト分と火砕物質とが混じり合う岩質となり,乱堆積状を示す。さらに,その 混合物質の上に,層状で折れ曲がったものや傑状化した珪質団塊の部分を含む凝灰質細 粒砂岩の宕塊が重なる(5,. 6段)0 最下位のシルト岩主体の地層は厚さ数cm-. N45o. -55o. Wの走向,. 10. cmの細粒砂岩・軽石凝灰岩を挟み, t2, 20o前後の北東傾斜となっている。軽石凝灰岩の鍵層tl,. t3,. (岡田, 1993)に限定されること t4が確認される。この岩相とナンノ化石年代がCNIOc から,この地層は三浦層群下部の逗子層とみなして間違いない。さらに詳しくいえば, tlの層準は鍵層Nt主部(Nt-up.)の上面から約36m上位に位置することがC l法面か らわかるので,逗子層最上部にあたるといえる。この地層は小断層による小規模の変位 のほかには,大きな構造的な乱れは見られず,これより層位的下位には,同様の岩相と B2, Cl, 単斜構造が続いている(Bl, C2法面の資料に基づく。後述)0 ・擾乱′した混合岩塊を構成するシルト岩塊と火砕岩塊は,岩相と微化石年代から判断し て,シルト岩塊は逗子層に,火砕岩塊は拍子層鷹取山火砕岩部層(江藤, 1986b)にそれ ぞれ由来する二次的異地性岩塊であるとみなすことができる。このことと,既述したよ うな混合岩塊の産状から,混合宕塊は逗子層(上部-最上部)および池子層下部の火砕.

(7) 逗子市拍子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質. 37. 岩部層とが海底地すべりによって崩壊・滑勤し,傑状に寄り合った二次的堆積物であ り,下位の逗子層整然層との接触面は,その性状から海底地すべりのすべり面(一部で 滑動帯)であると結論される。 (2). A2法面. 1) A2a法面(第4図) 基本的な地質構成は,シルト岩・火砕岩の混合岩塊,巨大な火砕岩塊,逗子層上部の 整然層の3つに大分することができる。 混合岩塊は法面の左端部を1. -4段にわたって占める。この岩塊を構成する火砕岩塊 は大きさ5m以下のものがほとんどで,成層した細粒火砕岩互層や軽石混じりの淘汰の 悪い粗粒-中粒砂岩,厚さ17 cmの軽石凝灰岩を挟む凝灰質中粒砂岩の岩塊が4段目に 目立っ。. 2,. 3段目には幅3m以下のスコリア質細粒-中粒砂岩の岩塊が目立ち,二枚. 員化石ツキガイモドキ類(Lucinoma. sp.)を密集して含むもの(3段最左端)がある。 厚さ数10cmのレンズ状岩塊(火山疎凝灰岩・凝灰質細粒砂岩からなる)にシロウリガ イ化石が散在する。 混合岩塊のシルト岩主体の地層は上記の火砕岩塊を傑状に取り込む形で,. ``基質”状. の様相を示す。 Al法面(1-4段)と同様に,シルト岩主体の地層に挟在する軽石凝灰 岩の薄層は寸断されて,レンズ状や折れ曲がった産状を示す。シルト岩主体の岩塊は逗 子層に,火砕岩塊は池子層下部層にそれぞれ由来するとみなされる。また,火砕物質と シルト物質が混じり合う部分をところどころに含む。混合岩塊は南東(図の右)側の火 砕岩層の岩塊と癒着した境界面で接する。この接触関係は1段目で入り組み, 2-3段 目ではほぼ垂直に切り立った状態,. 4段目では火砕岩塊が混合岩塊を低角に覆う形で接. する。. 火砕岩塊は1段目で長さ52mにおよぶ。この岩塊は全体的に淘汰の悪い凝灰質砂岩 を主体とし,スコリア質および軽石質の粗粒-火山磯凝灰岩などの薄層を挟む。. 2段目. の左側にはシロウリガイ化石密集層を数枚挟む。この化石層は片殻のものがはとんど 2段. で,層理にほぼ平行して配列する産状を示すので,他生群集とみなされる。また, 目には平行葉理および斜交葉理の発達した砂岩層や石灰質団塊の単層が見られる。 火砕岩塊の層理面ははぼ南北の走向を示し,傾斜は東側-, 3. ・. 1. ・. 2段目で40o-50o,. 4段目で30o前後の傾斜値へと,上部から下部へ次第に緩やかに変わるが,層序的. に連続する一連の地層である。 火砕岩塊の下位には,シルト岩を主体として,軽石凝灰岩鍵層tl, (整然層)が露出する。逗子層の走向・傾斜はN70oW,. 14o. t2,. t3を挟む逗子層. Nである。火砕岩塊を構成. する一連の地層は逗子層を斜交して覆う形を示す。両者の接触面は摩着し,接触面直上 の火砕岩塊の粗粒砂岩が接触面に沿ちて細粒化や硬化しているところが多い。法面3 4段目右端では,その境界は北側に切り込む形を示し,接触面直下の逗子層の構造が乱 されており,数mmの厚さの滑動粘土が接触面に平行に多数形成されている。これらの 事実から,この接触面はAl法面におけるものと同じ海底地すべり面とみなすことがで きる。すべり面の直線部での走向・傾斜はN58oW,. 20oNを示し,. Alの資料とも合わ. ・.

(8) 江藤哲人. 38. せて考えると,海底地すべりのすべり方向は北北東(NIOo-28o. E)ないし北北西(N. IOoW)であると推定される。この法面北側(図の左)のすべり面境界,すなわち逗子層 整然層と混合岩塊との境界は,薄い土被りがあったため確認し得てないが,ピーク基準 位置の左方30数mの位置,シルト岩に砂岩小塊や砂泥混合部を含む岩相部の下に,低 角で延びると推定される。 既述のように,火砕岩塊は下位の逗子層岩体を斜交して覆う形で,そして左側の混合 岩塊とは垂直に切り立った壁に接する形で配置している。堆積形態としてみると,この 現象は,やや起伏をもった緩斜面の海底と切り立っ岩体の壁との間の凹地を,火砕物質 が充填していく形で,この場所に一次的に堆積したものに一見思われる。しかし,この 解釈は上述の事実から適切でない。つまり,逗子層整然層との境界はすべり面であり, 混合岩塊は無論,火砕岩塊も海底地すべりの崩壊物であると結論される。 2). A2b法面(第5図). この法面はAla法面の北(左)端部の断面であり,擾乱したシルト岩主体層と火砕 岩塊の混合岩塊がA2aの左端部と同じ産状を呈して露出する。 2段目の火砕岩塊(5× 3段目中央部の凝 7m)はスコリア火山疎の単層や火山疎混じりの砂岩で構成される。 灰質砂岩塊には, Alの4段目に見られるものと同様の楕円球状の珪質団塊が含まれ る。. 3段右端下部にはツキガイモドキ類を含むスコリア質砂岩塊がA2aから続く。. (3). A3法面(第6図) 混合岩塊である。シルト岩主体層(逗子層由来)には均質細粒砂岩・軽石凝灰岩の薄 層を挟在するはか,拍子層下部層由来の火砕岩塊,砂泥混合部を含む。また,小断層, 節理が多数発達している。図の中央部の水平幅約20mの凝灰質砂岩塊とシルト岩主体 層との境界は,互いに入り組んで中・小の疎状に混合したものとなっている。この混令 部は砂岩部が基質状でシルト岩疎が浮かんだ形の産状を示す。中央部の砂岩にはシロウ リガイ密集部が数箇所に見られる。また,図の右端部の小断層面に沿って,殻の溶けた ッキガイモドキ類が密集して産した。右端部付近のシルト岩塊に含まれる軽石凝灰岩の レンズ状岩塊(厚さ15cm,長さ30cm)は強いイオウ臭を発し,これは池子層下部層に 由来するとみなされる。 (4). Bl法面(第7図). この法面は丘陵頂部にシロウリガイ化石の密集部が拍子米軍提供用地域で最初に見い 出された箇所にあたり,標本採集・移築,化石の産状および地質構造などの調査研究上 最も重要な法面といえる。最下段は長さ126mの露頭であった。 基本的な地質構成は上位から含化石層などの火砕岩塊,滑動帯混合層,逗子層整然層 の3つに大分される。 火砕岩塊は主として3つの巨大な火砕岩塊で構成されるが,シルト岩主体層またはシ 1段目から3段ないし4段目にかけて,走向 ルト岩・火砕岩混合岩塊を数箇所に含む。 N 60o 70o Eで南傾斜60o前後の層理面を示す一連の火砕岩層が水平距離約45 mに -. わたって占める。この火砕岩塊は砂粒大-数mmの軽石混じりの凝灰質粗粒砂岩を主.

(9) 逗子市池子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質. 39. 体とし,粗粒軽石凝灰岩,スコリア火山傑凝灰岩などの薄層(厚さ数10cm)を挟在する 火砕岩で構成され,全体に褐色-赤褐色の風化色を呈する。ピーク基準位置付近にはシ ロウリガイ化石が密集した塊状部が含まれる。この化石密集岩塊は数mm-2cm大の スコリアおよび軽石を混じえる淘汰の悪い凝灰質砂岩からなり,石灰質成分による腰結 化作用を受けている。全体として黄灰色を呈する。 2段目の化石密集部は層厚約6mに および,暗灰色のスコリア質砂岩のレンズ(厚さ5-10cm)を3箇所に含む。このレン ズは曲がりくねる形態や分岐した状態を示すが,全体として周囲の層理に高角に斜交す る形で入っており,注入物質の一種と考えられる。 この化石岩塊は周囲の非石灰質の成層した火砕岩層とは層位的にばば挟まれる形で, そして側方的には斜交して接し,同時異相の形態を示す。 化石岩塊内のシロウリガイは両殻と片殻の両方があり,両殻のものが多い。それらは いずれも殻の長軸が周囲の層理にはぼ平行するものが多いが,層理に高角に立っものも 少しある。それ故,この化石岩塊はシロウリガイの自棲群集が死後,生棲場所近辺に堆 積して形成されたものと推定される。すなわち,準コロニーの群集とみなすことができ よう。化石岩塊以外の成層火砕岩層内に含まれるシロウリガイ化石は,片殻のものがは とんどであり,層理に平行配列するので他生群集とみなされる。 3段目犬走りにおける,ピークから左方25m-55mにかけて,同一の地質構造を示 す長さ30,mの火砕岩塊が識別される。これはおもに凝灰質粗粒砂岩からなり,数枚の 軽石凝灰岩薄層を挟む地層で,走向N12o. E,東傾斜17o -25oを示す。この岩塊 内には逗子層由来のシルト岩主体層の岩塊(幅3-4m)が含まれ,凝灰岩鍵層t3の挟 -21o. 在部をもっ(ピークから左方45m付近)。上記の急傾斜する大岩塊との間には,下位の 滑動帯混合層から続くとみなされるシルト岩主体岩塊(これにもt3を含む)や砂泥混合 部からなる混合岩塊(幅1.5m弱)が挟まれる(ピーク左方25-29m)。また,この火 砕岩塊の左端境界部(4段目,ピーク左方48-56m)にも,転倒したt3凝灰岩片を含 むシルト岩主体の混合岩塊(幅2m以内)が挟在する。この混合岩塊と3段目ピーク左 方25-29mの混合岩塊は,それらの細長い形態と存在位置から見て,下位の滑動帯混 合層から注入して形成されたものと推定される。その注入時期は海底地すべり岩体の滑 動・定置とはぼ同時とみなされる。 3,. 4段目の左側一帯には一連の層序をなす火砕岩塊が露出する(4段目ピーク左方. 42-89.4m)。この岩塊は層位的下半部ではおもに凝灰質細粒砂岩からなり,層理面の 走向・傾斜はN15oW, 7oEないしN57o-77oW, 20oNと,振れる走向で緩傾斜を 示す。上半部は軽石混じりの淘汰の悪い凝灰質粗粒砂岩を主体として,. 10-25cmの厚. さの軽石およびスコリア火山疎凝灰岩をかなり挟む岩相で,走向・傾斜はN38oW, 48o. NEと,下半部から徐々に急傾斜化している。 この火砕岩塊に見られる興味深い現象として,凝灰質砂混じり泥岩の高角貴人岩があ. る。これはピーク左方73-83mにかけて,幅3-10cmのものが3本,シルト岩疎で 構成される幅30cm弱のものが1本,且られ,はぼ東西走向,垂直近い急傾斜を示す。 1つの泥岩買入岩に沿って,左右の火砕岩に30cmの変位が見られることから,これら の泥岩貴人岩は,小断層による割れ目に沿って質入したものとみなされる。一方,層厚.

(10) 江藤哲人. 40. 落差1.3mの癒着面をもつ逆断層が見られ,. N25o-28oE,. 75o-87oNWの走向・. 傾斜を示す。この火砕岩塊の左端はシルト岩主体の岩塊と接している0 上記火砕岩塊の下位に滑動帯混合層が位置する。これは火砕岩塊などの海底地すべり 岩体との境界をなす上部すべり面と,逗子層整然層との境界である下部すべり面とで仕 切られる擾乱した帯状の地層で,その間の厚さは数10cm-3mはどである。両すべり 面ともに癒着した面をもっが,上部すべり面は凸凹した形状を示し,下部すべり面は下 位の逗子層の層理面にほぼ平行しており,. N53o. W,. 25o. Nの走向・傾斜を示す。. 滑動帯混合層は流動破壊を示すシルト岩の中に細粒砂岩・軽石凝灰岩の薄層が寸断さ れたレンズ状片やシルト岩および火砕岩の大・小の傑状岩塊を不規則に含み,擾乱した 産状を呈する。また,砂泥混合部も多い。傑状岩塊は周囲の基質部シルト岩とは,すべ て癒着した境界面となっている。シルト岩礁にはやや疎状化した境界(形態)不明瞭な ものから,完全に傑化したものまであり,後者の大きな岩塊(最大長3m)中に既述の凝 灰岩鍵層(t。, tl, t2, t3, t。)のいずれかを挟在するものもある。それら鍵層の上下が逆 転(転倒)している疎状岩塊も見られる。. 4段目ピーク左方23m付近から滑動帯先端部. にかけては,傑状化が明瞭な大-巨傑状岩塊が目立っはか,砂泥混合基質部が多量を占 める。また,ピーク左方23-27mの上方突出部は3段目のシルト岩主体の混合岩塊に 続くとみなされ,. 4段目ピーク左方48-56mの同様の混合岩塊も,この滑動帯混合層. からの注入物と推定されることから,ピーク左方23m付近以北の滑動帯は間隙圧の高 い部分であったこと,すなわち海底地すべりの末端部を示すと考えられる。滑動帯混合 層を構成するシルト岩主体部およびその疎状岩塊は岩相と含まれる凝灰岩鍵層によっ て,下位の逗子層整然層から削り取られたものであり,火砕岩礁は岩相から見て拍子層 下部に由来すると結論される。 法面の下部右半部には逗子層の整然層が重なる。灰色シルト岩を主体とし,鍵層とし たt。-t4やその他の軽石凝灰岩薄層,細粒砂岩薄盾を挟在する。層理面はN w,. 17o -20o. 55o. -. Nの走向・傾斜を示す。上記の下部すべり面はt4鍵層の数10cm上に位. 置する。この地層内にはAl法面などと同様に多数の小断層が見られる。小断層には少 数の逆断層と多数の正断層とがあり,逆断層は断層面が癒着した性質をもち,そのはと んどが逗子層整然層内だけに見られる。滑動帯混合層を切る逆断層は1例のみ観察され る(ピーク左方3-7m)。正断層は面が発達した性質(開離型)ないしやや発達した性 質(中間型)のものであり,比較的に変位量の大きい正断層は逗子層のほかに上位の滑 動帯混合層および火砕岩塊下部まで切っているのが確認される。火砕岩塊上部では正断 層は消滅して上に続いていない。ピーク左方23.5m-33m付近にある断層群は見かけ 上. 逆断層に見えるが,それらはいずれも上述のような正断層の例である。その他の正. 断層は滑動帯混合層内では不鮮明となって,その連続を確定できないものが多い。正断 層は全般に北北東-南南西の走向を示すことから,同じ系統のものとみなされ,海底地 すべり岩塊が現位置に定置した後に形成されたと推定される。 (5). B2法面(第8図). この法面はBl法面のピーク右側付近の2段目下部から3段目および4段目にかけ. 65o.

(11) 41. 逗子市池子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質 て,. Bl法面に直角に切断したものである。その位置はBlの3段目犬走りのピーク右 方10mから上方へ5分勾配で標高37.5m付近までと,同3段目ピ-ク右方12m(犬走 り幅2m)から下方4段目の標高24mまで切り下げたものである。. Bl法面の側方断面. における性状を観察することを目的とした調査法面である。 基本的な地質構成はB l法面の各岩塊および逗子層整然層のはか,右端部(東側)に 節理の発達したシルト岩主体の岩塊および崖錐堆積物が存在する。 最上部の火砕岩塊はシロウリガイ化石密集層が大部分を占め,基底部などに無化石な いし化石散在部の凝灰質砂岩塊が部分的に含まれる状態となっている。化石密集層は軽 石およびスコリア火山傑混じりの淘汰の悪い凝灰質砂岩からなり,全体の色調は黄褐色 を呈する。シロウリガイ化石は片殻がはとんどを占め,やや配列の規則性が認められる。 ところどころに,. Blの化石密集岩塊に含まれるものと同質の注入物質が見られる。そ. れは,ここでは厚さ20cm以下で,粗粒砂大の軽石片を散在的に含む暗灰色スコリア質 砂泥で構成され,イオウ臭を発する。基底部などの無化石部は粗粒軽石混じりの暗灰色 凝灰質細粒-中粒砂岩からなり,これもイオウ臭を発する。 滑動帯混合層はBlと全く同じ産状のものである。上部すべり面は中央部左寄り付近 で窪んだ起伏に富む形態,下部すべり面はなだらかな起伏で,全体として下部の逗子層 整然層の層理に沿って東(右)側に傾斜した形状を示す。下部すべり面直上には厚さ20 -90cmの砂泥混合基質が全体にわたって形成されている。滑動帯混合層の厚さは2.3 -6.2mである。. 法面右端の崖錐堆積物は数cm-20cm大の著しく風化した,逗子層由来のシルト岩 角傑で構成される。. 1段目右肩のものは,シルト岩角楳が風化した赤褐色土壌である。. 逗子層整然層の岩相・層位はBlと全く同じ性質である。ここでも多数の小断層が見 られ,開離型の正断層は下部すべり面に変位を生じさせている。 (6). Cl法面(第9a,b図). 西山丘陵南端部に位置する,通称「三角山+と呼ばれてし十た崖の北側近くを切断した 法面で,現在,標高15m面以下がグランド末端部(調整地面境界)として残る。 1段目)に この法面の大部分は逗子層上部にあた魯整然層で,そのはか法面最上部( ``準滑動帯”(厚さ1.5m強),その上に海底地すべり岩塊(最厚部5.5m)が重なり,義 上部東端から東側斜面上に古期崖錐堆積物(厚さ1. -3m)が覆う。 整然層の逗子層は厚さ数10cm-2mはどの灰色シルト宕を主体として,凝灰質およ. び非凝灰質細粒砂岩・軽石凝灰岩薄層などを互層状に挟在する地層である。まれにスコ リア質砂岩薄層,スコリア火山傑を散在するシルト岩も挟まれる(第9b図)。 法面最下段(5段目)西(左)側には,軽石凝灰宕鍵層Ntが見られる。この鍵層は厚 さ10mの地層中に3層準の軽石凝灰岩類の組み合わせとして識別される(江藤, 1981)。その最上部の凝灰岩(Nt-up.)は粗粒軽石凝灰岩を主体として,徐々に上方へ細 粒化し,最上部は細粒(シルト大)軽石凝灰岩に変わる。 Nt-up.の厚さは1.5m弱であ る。中部のもの(Nt-mid.)は細粒軽石凝灰岩で厚さ30cm弱,最下部のもの(Nt-low.) は厚さ数cm-10cmのシルト岩・細粒砂岩・細粒軽石凝灰岩の細互層(厚さ1.5m前.

(12) 42. 江藤哲人. A. p.. slip pJane. OOOO. ら. q. t⊃. Q. 一ow.. 00OO. pl&ne tl. #-・ズーX-A-ズー′. --■■■-…ヽ′ヽ′ヽ′ヽ′ヽ ノヽJヽJヽ/ヽ′ヽ. Nt  ̄uP. 尊重誉JiX重要事. ▲. ▲ ▲. 盲重曹尊重董卓. to A. 4. A. A'A4. ∈ ⊂〉 ▼ ̄. ▲一-I. -Jt1-. ●. ●. ●. ●. ー▲TAIAL4JJ▼JILIAIA.. J.tく)(3く)(i ・:・:・:・:・:・-_・:・:.:・. Nt -mid.. ▲. ▲. ▲. ▲. ▲. 4. A. A. くフ. 0. ▲ ▲. A▲. 0. ▲. ⊂> ▲. ▲. ヽ′ヽ′▲ヽ′▲ヽ′ヽ′▲. Nt -一ow.. く⊃ 亡I. <⊃. (コ. ○. くI. O. ⊂>. メ-・X. ・・・ポー -J(-. X. ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲. …-…. ■⊂l O. 第9b図. O. O. Cl法面地質柱状図(楕円は数cm大のスコリア核団塊を示す. 各法面共通の凡例は第2図参照). s一ip.

(13) 逗子市池子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質. 43. 後)で構成される。図の最下段にはNt-up.とNトmid.が露出し,さらに,その下側の調 整地面への緩斜面上にNt-low.の露出が観察される(第9. b図)。 最上段(1段目)の左下側には,既述した軽石凝灰岩鍵層toおよびtlがシルト岩に挟. 在する。これら逗子層は北西一南東ないし西北西一束南東の走向で,北東に20o前後傾斜 する。. 整然層の最上部は厚さ約1.5mの,やや擾乱した構造となっている。その下面は整然 層の層理面にはぼ平行し,下面直上にところどころ厚さ10cm以下の軟弱粘土が存在す る。上面と下面の間の左半部には,開いた性状を示す数本の亀列面が上・下面に緩やか に斜交して走る。亀列面の間のシルト岩は数10cmの長さの長方体状に角疎化してい る。右半部の角傑化していないシルト岩中には,粗粒軽石凝灰岩の薄層(厚さ10cm)が レンズ状に寸断された産状で挟在する。上面の上には急傾斜の構造の地層岩塊が重なっ 18oNで逗 ており,この上面が地すべり面とみなされる。その走向・傾斜はN60oW, 子層(整然層)の層理面に平行しているといえる。地すべり面の下位にある厚さ1.5m. の上述の地層は,海底地すべり運動をいくぶん受けた部分であると推定される。すなわ ち,この地層部は準滑動帯に相当し,その上面が主たる地すべり面であり,下面は下部 すべり面にあたると考えられる。 法面最上部の急傾斜構造の岩塊はシルト岩を主体として,厚さ30cm. (見かけ60cm). の細粒砂岩および粗粒軽石凝灰岩を挟むはか,それらの薄層を数枚挟む地層で構成され る。それらの走向はN15o-60oWと振れるが,西ないし南側に80oで急傾斜する。シ ルト岩はところどころ長方体状に角硬化している。特に右端部は著しく角磯化および崩 壊化しており,東側斜面を覆う崖錐堆積物のシルト岩角傑に漸移する状態を示して,両 者の境界は定め難くなっている。この岩塊は逗子層に由来する海底地すべり岩塊とみな される。. 法面東側斜面上には上述のように崖錐堆積物が1-3mの厚さで覆う。この堆積物 は,数10cm大のシルト岩の角傑-亜円傑と,それらが分解した砂泥基質とで構成され る。この法面上では,疎構成物は逗子層に由来するシルト岩のみである。 崖錐堆積物は全体として逗子層の層理面に接して覆うが,ところどころで逗子層に切 り込む階段状の断面形態を示す。また,この法面東端の側面などで,逗子層を高角で大 きく切り込んで接し,厚さ6m以上に達するところもある。このような接触関係や産状 から,この崖錐堆積物は陸上地すべり性の堆積物と判断される。この堆積物のシルト岩 疎は,法面最上部に分布するシルト岩主体の海底地すべり岩塊に由来すると考えられ る。. 法面東側の標高35 m前後の斜面上に横たわる火砕岩塊(南北幅約6 m)は,地理的に は法面の北側付近に位置するが,図に表現してある。この岩塊はおもに凝灰質粗粒砂岩 からなり,. N80oE,. 82o. Sの走向・傾斜を示す。その岩相から池子層下部に由来するも. のとみなされる。他の地層・岩塊との関係は見られないが,海底地すべり岩塊と考えら れる。. 法面の中央部には,やや規模の大きい高角断層が逗子層を切っている。断層面は幅数 cm-2.5mの努断帯を伴い,. N30o-40o. Eの走向,. 80oW-90oの傾斜を示す。断層面.

(14) 江藤哲人. 44. (帯)の性質は開離型である。西盤落ちを示し,層厚落差は2-2.7mである。全体とし て断層面(帯)の西盤が上盤とみなされ,正断層と考えられる。この断層は上端部で崖 錐堆積物を切っているように見える。しかし,崖錐堆積物と逗子層との境界のずれは東 側落ちであり,逗子層中の断層の落ちのセンスと逆であるので,この断層は崖錐堆積物 まで切って続くと考えることはできない。つまり,崖錐堆積物の東落ちのずれは,上述 した陸上地すべりの発成時に断層面に沿って形成された段差とみなされる。 逗子層中には北北東一南南西走向の開離型の面を示す高角正断層に属する小断層も多 数見られる。これらは上記の正断層と同系統のものとみなされる。その他の小断層とし て,癒着した面をもつ逆断層が少数見られ,それらは上部層準の地層に全く変位を生じ させずに覆われることから,逗子層の堆積中に形成されたものであることを示してい る。. (7). C2法面(第10図). l法面の逗子層のほぼ上 この法面には逗子層の整然層のみが露出する。層準的にはC 半部にあたる。 1段目には軽石凝灰岩鍵層のto, tl, t3が挟在する。全体の岩相および基 本的な地質構造はAl,. Bl,. B2,. Cl各法面に見られる逗子層整然層と全く同じであ. る。. (8). D法面(第11図). この法面はBl法面の反対側(東側)斜面にあたり,標高30m付近から上方数m切 り取った露頭である。 Bl法面の3段目と2段目の一部を裏側から見る形になる。 基本的な地質構成は火砕岩塊(池子層下部層起源)が大半を占め,その中に数m大の シルト岩主体の岩塊(逗子層起源)が包含される産状を示す。その他,シルト岩角疎か ら構成される崖錐堆積物が法面左(南東)側に幅20m前後にわたって露出する。 15mな 火砕岩塊は数mm大の軽石片を多量に含む凝灰質砂岩(ピーク右方10ど),粗粒軽石凝灰岩,スコリア火山疎混じりの砂岩(ピーク右方32-37m),石灰質の 腰結した凝灰質砂岩で構成され,シロウリガイ化石密集部が部分的に含まれる。層理面 B l法面2 はばぼ東西走向で,南へ60o傾斜する。法面右端部のシルト岩主体の岩塊は, 段目左端部の岩塊に一致する。ピーク右方3-9mに見られるシルト岩,および法面左. 端部の軽く風化したシルト岩は,いずれも逗子層起源の岩塊である。これら岩塊はすべ て海底地すべりの異地性岩塊である。 法面左側の崖錐堆積物は,はとんど,逗子層起源のシルト岩角傑(数cm-数10cm 大)で構成され,砂泥基質を含まない特徴をもっ。この堆積物は左右両側のシルト岩塊 を高角で切り込む形で分布する。この分布形態と,シルト岩角疎中に少量の火砕岩レン ズを含有することから判断して,この堆積物はもともとは逗子層起源の海底地すべり岩 塊が崩壊してできたものと考えられる。 (9). E法面(第12図). シルト岩主体の地層(逗子層)と火砕岩塊(池子層下部層)が接し,それらを崖錐堆.

(15) 逗子市池子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質. TQLus. 45. deposit. ∼(I. 25m. '. '. '. `. ■. J. '叫'I.. ,々●. A. ●. .. *:. ∴才. ,I.. '>:L''●'. ∴.7<:. i(.. .. -,i. I. 。. I. J(' '. -. .ぺ.. .. .4'.. '.<.. A. ・-i1. N70wllN. '叫・. 蔓蕪ま`'一 ' A I. -_. -.}. all.. ▲ 一. :I:. -1 :与∴. 'l:lヤ::丁くモ. 斗 ̄■. I. J(I. .. .. ..I.. I. '・t. .. .. ”:. .  ̄ :ぺ二 ●. 々'. '∼. Lナ' 句●. 'y●''. ■ .. .. ...々.. L. N56E. 20N. .Y.. ≡:::メ. 22m. +. _+逝埋_→. 第12図. E法面地質スケッチ. 積物が覆っている。 法面左側にシルト岩を主体として粗粒軽石凝灰岩の薄層(厚さ5 出する。この地層はN56o. E,. cm)を挟む地層が露 20oNの走向・傾斜を示す。この露頭の南側の連続部(図. の左枠外)で,部分的に緩やかな袴曲を示すほかには,地層の擾乱はない。このことと, 周辺の層位関係から,この地層は逗子層整然層と判断される。 上記のシルト岩層の右上部には,火砕岩主体でシルト岩礁を含む混合岩塊が覆う。こ の混合岩塊は小範囲を占めるに過ぎず,やや土壌化しているのと,上方へ崖錐化してい ること,下述の断層の影響を受けていることから,その正体はやや不確かなものである。 露頭の右側には成層した火砕岩層を主体とする地層が露出し,これと左側の混合岩塊 およびシルト岩塊とは断層で画される。 火砕岩層下部は凝灰質細粒砂岩が卓越し,上部では粗粒(砂粒大)軽石混じりの淘汰 の悪い砂岩が卓越し,それぞれ軽石凝灰岩(ゴマシオ)の薄層が挟在する。N12oW,. 12oW. の走向・傾斜を示す。 火砕岩の下位には細粒砂質シルト岩が整合に続く。この砂質シルト岩は逗子層最上部 のものと考えられる。つまり,露頭右側の岩体は,逗子層・池子層境界をもっ岩塊(異 地性)である。火砕岩層上部には数10cm大のシルト岩礁を少し包含する。図の右奥 (枠外の西側)近くには,数m大の不定形のシルト岩礁が火砕岩中にいくつか含まれる のが観察されている。これらのことから,上記の混合岩塊と,成層した火砕岩・砂質シ ルト岩の岩塊は異地性岩塊と判断される。 法面上部の崖錐堆積物は,池子層下部層に由来する火砕岩礁(数10cm大)と土壌化 した細粒分解物とが混じる構成となっている。この堆積物とシルト岩体との接触部は, すべり面の性状を示し,その走向・傾斜はN70oW,. 17oNである。. 図の中央左寄りの断層は,上述したような地層・岩塊問を画するものである。この断 層は最大幅50cmの断層帯をもち,その内部はシルト岩角疎を含む軟弱粘土となってい.

(16) 江藤哲人. 46. E,. る。また,成層火砕岩塊中に小断層を伴う。主断層の走向・傾斜はN26o. 88o Eを示. す。この断層はCl法面中央部の断層の延長上に位置し,連続する同一の断層と考えら れる。. (10) F法面(第13図) この法面は西山丘陵東縁部に沿って仮設道路を建設するために斜面を切った露頭であ. る。法面図の稜線状の括り線は天空との境界ではなく,上に続く斜面の植生被覆部との 境界である。 基本的な地質構成は,逗子層整然層,シルト岩主体(逗子層起源)の混合岩塊,火砕 岩塊,それらの地層・岩塊を斜交して覆う崖錐堆積物および土壌である。 法面左側下部の長さ63mの範囲には,部分的に植生および土被りで見えないが,逗 tl, t2,. 子層が露出する。そのうち,左側の露頭では軽石凝灰岩鍵層to, N70oW,. 17o. Nの走向・傾斜を示す。右側の露頭にはto,. tlが挟在し,. t3が観察され, 10o-. N60oW,. 14oNの走向・傾斜で,右(北西)側はど緩やかな傾斜となっている。また,右側の露頭 には北北東一南南西走向の開離型の小断層のほか,節理が多数存在する。このような違い はあるが,左右の露頭は連続する逗子層岩体の整然層と判断される。 右側の逗子層の上側には崖錐堆積物と火砕岩塊が重なる。火砕岩塊(法面左端から右 方32-44m,標高17-21m)は逗子層シルト岩の上に,やや起伏のある円弧状の形 75o Sの走向・傾斜を示 で,癒着した面をもって接する。この火砕岩塊の層理面はEW, す。接触面直下のシルト岩は部分的に角傑化しており,その他の部分は成層状態が消え. て塊状になっている。本来ならt3,. t4を挟在する位置にあるが,見い出されない。これら. のことから,この火砕宕塊直下の塊状シルト岩は,火砕岩塊と同様の海底地すべり移動 岩塊である可能性が高い。すなわち,塊状シルト岩と前述のto, tlを挟在する逗子層岩 体(整然層)との間に,海底地すべり面が存在すると推定される。また,逗子層整然層 の右半分の上位に重なる崖錐堆積物との境界のうち,逗子層の層理面に平行する直線状 部は,もともと海底地すべり面であったと考えられる。 法面図の中央部から右側約20mの範囲には,下側にt2,. t3,. t4を挟在する擾乱してい. ない逗子層(走向・傾斜はN51oW, 22oN),その上側に擾乱した地層が重なる。その 擾乱した地層はシルト岩中に細粒砂岩がレンズ状に寸断されて不規則に含まれる産状を 示し,逗子層に由来する海底地すべり移動岩塊と判断される。すべり面は露頭表面の凹 凸が激しく観察されなかったが,. t4の40cm上にある砂岩薄層の数10cm上位にある. と推定される。 上記の岩体の右端(法面図左から100m付近)は,その右側の岩体と断層で仕切られ る。断層の右側から法面右端一帯にかけては,法面下側にシルト岩主体(逗子層起源) の混合岩塊が広く分布する。断層から右へ法面屈曲部までの30数mの距離にわたって は,シルト岩に細粒砂岩・細粒軽石凝灰岩の薄層(逗子層の挟在物)および一部に凝灰 質砂岩(池子層起源)が寸断されたレンズ状ないし小塊状に散在する産状を示す。上記 の法面屈曲部(この位置は図面作成上の都合で,左右の谷戸奥側の距離を少し省いてあ るため,縦線で区切る接合表現としている)付近から法面右側にかけては,本来の逗子.

(17) 逗子市拍子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質 \ \ \. \ \ \. \ \. a. \. 4J. -. \. q). \. I) U. Ol 0 0 4J J= リ.  ̄. 1. -. -. 1. -A. ー. <. ●●▲. ●yl.. 「 ̄●ー+. ・ム●. ・. .i. I. A.. ・*・. ■. ●. ▼. ●. ●. ■. ●. 1 .. ●. ●. ■. ・. ・. .A. I. ・. ,A一. ■. ●. ▲. ●. ■. ●. ●. ・A,. ◆. ●. ●. ●. ●. ●. =. ●. ●. 一. :.x... ・A.. ●. ●. ・. ●. ・. A・. ・. ・. ▲. ・. KJ'・J・_A一l.. .. A. ●. ・X,. A. ■. ●. ■. ●. `. ・x.・・・A・。. .A・ 4. I. ・. A. I. I. ●. I. f. 4. ●. ●. ◆. ●. ●. ■. .. ・ム.. -・x-. .. ・ム・・・・メ・・ ■. ▲. ●. ・. ●. ●. ●. ● -. ・. ・X・. ・・'〆・・'・A.・. ・. ・ム・・. ● l. X ●. ■. ●. ■. ■. -. ●. ■. ●. ●. ●. ●. ・・A-・・x●. ■. ●. ■. ●. ●. l. ■. ●. l. ●. ●. ●. ●. ■. -. ●. ●. 1△●. 。. 。メ・・●.A.I. ●. ●. ●. ●. '・. ●. ・X●1 ■. ■. ・. ・A・. ● ●. ● ■. .. I. I. I .. 0. A. I. I. .. ・メ・. L. 也 (:. 請 x.. '^. i. k'. .A. .. .九.. .え. .ち. .. .¥. ナ÷莞. .. .ド. メ. .. .. .★. ㌔ I. X・. ,隻. i 0 ヽ♪. i tL). ∼. :N80w60N. :. 琶コ軍書軍;三言. 第14図. ・ム・. I. ●×・. ・・. ・. G罵頭地質スケッチ. I ,. ・. ・Å.. ▼. ・メ. .. ●. ・A. I. ●. ●∧3(J. A. ・A・. '. . ・. ■ ・. ・X■・。. X・. l. t. ●ム・. .. ・・ー▲・・.J】泣・・●・.A. A.. ・△・・.・y-. ●. 。メ,. ●. ・. ●. ●. ●. ・x-. .X●. ・X●. ・ ・. ・ム・. ‡・ム・テ. ・・・x・. ●. X・. .. '7C.. ・父I. ..

(18) 江藤哲人. 48. 層・地子層間の境界部を含む岩塊や逗子層最上部層準の岩塊などが癒着面で接するのが 見られる。図右端から左方10m付近下部には,転倒したt3凝灰岩を挟むシルト岩塊が 凝灰質砂岩塊(池子層起源)と接し合ってシルト岩中に含まれる。 法面右側の丘陵の斜面上部から頂上周辺には,火砕岩塊(淘汰の悪い凝灰質砂岩主体) がところどころ露出し,. N60oW,. 25oNの走向・傾斜を示す。この岩塊はA2およびB. l法面北端部の火砕岩塊に続いて,大きな岩塊群の一部にあたる。. 法面中央部付近には,崖錐堆積物か露出し,左側の逗子層整然層と右側の逗子層整然 層・シルト宕主体の混合岩塊を切り込む形で覆う。この堆積物は池子層の凝灰質砂岩, 逗子層のシルト岩の大・小の磯とそれらの分解した基質で構成される。この堆積物はも ともとは海底地すべりのシルト岩・火砕岩混合岩塊に由来する陸上地すべり堆積物とみ なされる。. (ll) G薄頭(第14図) この露頭は西山丘陵の北東側に入り込む沖積層の縁辺部に位置し,表面を表層や弥生 時代の二次的堆積物に覆われていたが,考古学上の文化財調査の際に表層堆積物を剥ぎ 取った結果出現したものである。すなわち,やや凸凹した平面露頭である。その標高は 10-10.5mはどである。. 地質構成は池子層の火砕岩に逗子層のシルト岩などの岩塊が取り込まれ,あるいは混 じり合う産状の混合岩塊となっている。火砕岩塊は粗粒(砂粒大)軽石および数mm大 のスコリア混じりの淘汰の悪い無層理の砂岩宕塊と,凝灰質細粒砂岩・軽石凝灰岩薄層 60oNの走向・傾斜を示す。図の左側 などが成層した岩塊とがあり,後者はN80oW, 中央部付近の凝灰質砂岩中には,シルト岩が角疎化して凝灰質砂岩と混合した注入部が 見られる。その中の砂岩の小塊および隣接する凝灰質砂岩塊には,シロウリガイ化石が 散在する。 図の左側上(北)部には,シルト岩塊中にスコリア砂混じりの凝灰質シルト岩と凝灰 質中粒砂岩の薄層(それぞれ厚さ10-20cm)とで構成される互層の岩塊(2. ×. 1・3m. 蘇)が含まれる。この岩塊は池子層上部互層の岩相に酷似する。 (12). Hl. ・H2法面(第15図) この法面は住宅建設予定地の中央ブロック南縁部に位置する。この法面では,既述の 海底地すべり堆積物の上限を限定し得る層位関係を示す現象が見られ,地質学上重要な 露頭である。この法面はL字型に配置する2つの露頭で,それぞれ一方の末端部は連続 している(第1a図)。なお,この法面はAlと同様に植生(芝生)被覆などの施工の上, 残存する。 (H. 両法面を通して見ると,下位に凝灰質砂岩・火山疎凝灰岩などの火砕岩が幅30m 2法面)にわたって露出し,東西ないし東北東一西南西の走向,. loo. -30o南傾斜する。 火砕岩の上位に,スコリア砂混じりシルト岩(厚さ数10cm)と火砕岩(厚さ数cm-敬 10. cm)の不規則互層が火砕岩塊の起伏を埋めならす形で非整合に覆い,上部ほど緩や Hlの基底部でN40oE, 34oNW,上部でN80o-84oE,. かとなる。すなわち,. 12o-.

(19) 49. 逗子市池子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質 14o N,. 6o. W,. H2では図左端(北東端)の基底部でN77o. 20o. E,. N,図の中央上部でN61o. Nの走向・傾斜をそれぞれ示す。. H2法面右側には火砕岩塊の割れ目を充填する,小チャンネル堆積物(幅1. -7m)が 見られる。その下部は凝灰質砂岩(池子層下部層起源)およびシルト岩(逗子層起源) の亜角疎(数cm-数10cm大)を含む凝灰質砂岩からなる。この含疎砂岩の上位に凝 灰質シルト岩火砕岩互層が緩やかな凹状湾曲構造を示して重なる。その中に細粒軽石凝 灰岩の薄層(最厚部20cm)が1枚挟在L,他地点でも鍵層として追跡される。 両法面の下位を構成する火砕岩塊は池子層下部層すなわち鷹取山火砕岩部層(江藤, 1986b)に属す地層であり,海底地すべり堆積物を構成する1つの岩塊とみなされる。 上位の凝灰質シルト岩火砕岩互層は火砕岩塊などの海底地すべり堆積物の凸凹した海底 面を埋めならすように堆積したことがこの法面の層位関係から推定される。. 4.ま. と. め. 逗子市拍子の旧弾薬庫地域における米軍住宅建設区域内の西山丘陵を中心として,シ ロウリガイ化石産出層の地質構造を明確にする観点から,工事施工上および調査研究を 目的としてつくられた法面の詳細な地質調査の結果を以上に記載した。各法面の全体を 通して層序・岩相・地質構造を以下に要約する。 1)上記区域の西山丘陵および近接周辺地域には,主として,下位から順に三浦層群 逗子層上部(整然層),三浦層群上部の海底地すべり岩体,三浦層群上部の地子層の凝灰 質シルト岩火砕岩互層,および陸上地すべりに起因する崖錐堆積物が分布する。海底地 すべり岩体はおもに逗子層上部ないし最上部に由来するシルト岩主体の岩塊と拍子層下 部層(鷹取山火砕岩部層)に由来する火砕岩岩塊とで構成される。. 1箇所(G露頭)の. みに池子層上部の凝灰質シルト岩火砕岩互層に由来する小岩塊が見い出される。 2)海底地すべり岩体は逗子層整然層を癒着した性質のすべり面または滑動帯をもっ て覆う。滑動帯はおもに逗子層由来のシルト岩に池子層下部層由来の火砕岩塊が混合し た産状を示し,その最厚部は6mに達する(B2法面)。滑動帯の下面(下部すべり面) は,下位の逗子層の層理面にはぼ平行ななだらかな起伏を示し,上面(上部すべり面) は凸凹した起伏を示す。 3)海底地すべり岩体のうち,火砕岩の岩塊には,はとんど擾乱を示さない,成層構 造を保っ巨大な岩塊が多くて,最大52mを起すものもある(A2a法面)。シルト岩主体 の岩塊は著しく変形・破壊した性状を示すものが多い。 動帯混合層およびその注入岩塊が見られる。. Bl法面ではシルト岩主体の滑. 4)Bl法面の巨大な火砕岩塊中には,シロウリガイ化石密集部(層厚数m)をいくつ か含み,それらが寄せ集まったコロニーをっくる。このコロニーは化石の産状から,揺 ぼ自棲群集が生棲場所近辺に堆積したもの,すなわち準コロニーとみなされる。 5) Al法面のシルト岩塊中には亀裂に沿って石膏脈(厚さ1-2cm)が見い出され Bl, B2各法面の火砕岩塊中の化石密集部には,イオウ臭を発する細粒火砕. る。 A3,. 物質の薄い注入層が挟在する。これらの物質は海底の湧水噴出物に起源するものと考え.

(20) 江藤哲人. 50. られる。. 6)上述の海底地すべり堆積物は,拍子層上部互層(凝灰質シルト岩火砕岩互層)に 非整合関係で覆われる(Hl. ・. 2法面)。このことから,この地域一帯に分布する三浦層. 群逗子層最上部・拍子層下部層の海底地すべり堆積物の形成運動は,池子層下部層(磨 取山火砕岩部層)の堆積直後に発生したと結論される。 7)西山丘陵には逗子層や海底地すべり岩体を覆\ぅ崖錐堆積物が分布する。この堆積 物は海底地すべり岩体の崩壊した陸上地すべり堆積物とみなされる。 かって報告(江藤,. 1975)した逗子市池子アザリエ団地周辺に見られる逗子層・池子 層下部層の分断された分布や複雑な地質構造は,当初,逗子層の差別的な上昇・衝上に よると考えた。しかし,その地質構造の成因は,本論文に記述した海底地すべりと同一 の変動によるものであることがわかった。それらの関連性や海底地すべりの形成機構に ついては,次の機会に発表する。. 参考文献 江藤哲人, 22, -,. 1981. -,. 1986a. -,. 1975. :三浦半島鷹取山周辺の層序ならびに地質構造. 横浜国大理科紀要,第2類,. no.. 63-73.. 1986b. :逗子層中の凝灰岩鍵層の層位学的研究.横浜国大(教)特研論集, 1-10. :池子米軍提供用地の地質調査報告書(手記). 1-ll.神奈川県環嘩部. :三浦半島の三浦・上総両層群の層位学的研究.横浜国大理科紀要,第2類,. no.. 33,. 107-132. -,. -,. 1989a :池子提供用地内のシロウリガイ化石産地周辺の地質構造.シロウリガイ化石調査報 告書, 57-58.横浜防衛施設局. 36, 87-100. 1989 b :三浦半島北部逗子市池子地域の地質. 横浜国大理科紀要,.夢2類,no.. 1987 :三浦半島申・北部の新生界の微化石生 ・尾田太良・長谷川四郎・本田信幸・船山政昭, no. 34, 41-57. 層序年代と古環境.横浜国大理科紀要, 1981 :逗子市域の地質 (付1一万分の1地質図).逗子市文化財調査報 見上敬三・江藤哲人, 19809, 告書, no. 1-28.逗子市教育委員会. 1986 :鎌倉市の地質(付1万分の1地質図).鎌倉市文化財総合目録,地質・動物・植 物篇, 1-74.鎌倉市教育委員会. 岡田尚武, 1993 : 「シロウリガイ東査+関連の資料に関する石灰質ナノ化石分析結果.シロウリガイ 類化石調査最終報告書, 313 -323.横浜防衛施設局. 横浜防衛施設局, 1985..池子米軍家族住宅建設事業環境影響予測評価書案(ボーリング資料).. -.

(21) 逗子市池子米軍提供用地の西山丘陵の法面地質. ⊂コ,. /ヽ. ′ヽ. / ヽ. ヽ′. ヽ′. ′ヽ. /ヽ′. ヽ/ヽ. ヽ/\ ′ヽ. ′. ノヽ. ヽ′ヽノ. ′ヽ. ′\. ll. /ヽ. 申昏. 匂I. 21. 51 0000 0000. 31 12. '. L⊥'. L⊥●. I. I. ▲J. X X X ヾ. X * X X. X ズ > X. メ x. X X. X X メ X. 13. :工:・エ::エ. エ∴工: ・'工. t⊂ロコ>一. 22. TQLu5. 23. 32. 24. 33. ・X-・X. ・X-・X. ●●●●●. X-x-. -A-. ・×・・・X. X・-”-. ” X. 汁. X. X. メ x. x■x. x. X. ”. ”. X. x. ・井柵★. ●●●●●● ●●4■◆. ●●●●●●. A-パーX-XIX. ーX-. ●X●●.●X. 7. ▲ ▲ ▲▲ ▲ ▲ ▲ ▲. ▲-▲. ム △ △ ム ムムム ム ム. l,'L QQ\ し11し. Q-. ▲ ▲ ▲ ▲ ▲▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲. -▲-▲-▲. ム ム A. ム △ ム ム △ム ム ム. 14. 15. 16. :Ⅱ:. ∴コL: :. ;;:jif;;冗. 匝]25 [Ⅲ]34 I)0こプ a. 26. 17. 27. 18. 28. 19. 35. ('} (ク. 巨童∃ 29. !u. t!. 36. 囲37 'Al-3-1. 38. I. 10. A-A-A-A. 20. 30. 第2図 法面地質凡例 1:シルト岩, 2:砂質シルト岩, 3:シルト混じり細粒砂岩, 4左:凝灰質細粒-中粒砂岩, 4右: 細粒軽石混じりの同上砂岩, 5 : 4左に同じ(厚さ5cm以下の単層), 6左:凝灰質粗粒-極粗粒砂 岩, 6右:粗粒軽石混じりの6左と同じ砂岩, 7:6左た同じ(厚さ5cm以下の単層), 8:凝灰質細 9 : 8に同じ(粗粒砂優勢), 粒-粗粒砂岩(細粒砂優勢-等量), 10 :員化石(片殻および両殻), ll :細粒(シルト大)軽石凝灰岩, 12: 11に同じ(厚さ5cm以下の単層), 13:粗粒(砂粒大) 軽石凝灰岩, 14 : 13に同じ(厚さ5cm以下の単層), 15 :粗粒(径2mm以上) -火山傑軽石凝灰 岩, 16:15に同じ(厚さ5cm以下の単層), 17:細粒(砂粒大)スコリア凝灰岩, 18:17に同じ (厚さ5cm以下の単層), 19:粗粒(径2mm以上) -火山傑スコリア凝灰岩, 20: 19に同じ(厚 22 21 :珪質団塊(層状の薄層,傑状), さ5cm以下の単層), :珪質団塊(層状-不定形の厚層), 23 :石灰質団塊(層状の薄層), 25 :スコリア質砂泥岩 24:石灰質団塊(層状-不定形の厚層), (注入物質?), 26 :傑状化シルト岩, 27 :砂泥混合部, 28 :暗灰色粘土岩薄層(滑動粘土,厚さ 1cm以下), 29 :軽石凝灰岩鍵層(逗子層上部), 30 :転倒した凝灰岩鍵層を含むシルト岩塊, 31 : 崖錐堆積物, 32 :土壌, 33 :植生, 34 :土被り, 35 :断層および層厚落差(cm), 36 :断層破砕帯, 37 :節理, 38 :微化石試料採取点.

(22) d・・二・/4..≡ ユ事:′盲:二. ≧昏・■、.-王 …@せ申・'. ,・・.ら■:;:■■・1;,・轍. ㌔/吃 /. ト. ;/:・転p:1.;;. ††▼事劇■ i. ㌔-1Ll /. 棚凄;'k.7.鮭義…l.,㌻ ̄ 鷲...互. ≡. :†・′例1.I:;=I'fi・WA・:I∴. y:=㌔i、・.・1.・★-z違J∼l. TTT. I. llJiuJJ山J. -3加†. 済・毒妻. r,,. n. 二i A.:ち. :・g. ゝ吋・如 ・・ん∂tx・. 汀9■・ じ!;∼/.. 垂1. I,. 三漸. \. i. ::暮:■. ホン.. -きサ. .i_. ・・*. 書望・I玩...・.・.宅■, .孤 ・i-i7.'h. £4. T. LLL】l. ::8Pp. ..B.. '''':;・=T:::?i:■、. ∫. r. i. LJ,:i 、し・.rr. ペ1ノ. HuJ'.Lil. jl■ll. ㌔・Ⅷ羊 ̄・+?・'γ;E:■、凪tlr・◆■■一打■■-'て・血′′-:V・.・.盲■・. .'・壷. -32印†. 望. I,;.蛸・、ゝ. A:・ .Ll. ち. 儒遊■・. ■■■i、. t=・.・・・・-.帯・. i. \. ∴:T:. ■・吋・/i・. 山こ.感感:・・、・ I・_,. 、■.i■■.. 丁.云. Li>iI:I. :兵. .罪,、I. 簡∴. ・鰍.. エー■.妻■;垂掛・..㌢・.. .I. ・・1. I. ;'4:<':、てゝ. さ欄′ 5:・i・・1・'!'・・・・:p†・lユ1'p・::・5i・(::a:・・・ジ弓l・.:1轟i.渚ざ■・<. ら ̄甘■ ll. iI. 郎h. ;;:::…・…Lミ..・. 歪 1. J〆. ポ.  ̄身. 1^l. Ap. :-㌔.. 卜. A;. ≡. jl/㌔l. '†''■㍉n+Lゝ・ゝ丸、、≡慧、.1L.. 1.1■:ヲ. ゴ,i':-. 二:,r:7:. :::・声. I)A. _/∵27郡. pllt l. ■/1/. 尭. i. ㌔. :……E;Sfgt. .:監::.,::,;L・:,・L・・・・L,”.熱雷;:・S・,::■. 宇∠. x■:L・■.:l・r・klさ. r4、・「.. 某. ■,A:雷警終:. r''確 鴨. ト、.. J戸1■.州.・<■事・ ..・.守.・. 琶. 艶・:. ・・_”.1て...i.よ:. (7:聯≡i よL■・[lr. 搬. Z. 5rN<k-々■Q=F・r・1..・私・■◆J:∋. 首・守・\. I. 冊jと州●∃:;i'L賢…,◆・・・,itt::}L, \. 畑-. ・Jヽ(. .離主弓.i. ■.与. ・T/_・.・IGrv:う・<・. =こ撃:過. 守. 第馴勝ケッチ(朋槻射膏鮒. 塁≡. i.'i:実≡試:孟A掴!'.:i:S!,hjiLp=憾′.:. -…2持.

(23) Q 'X:二X●. -37rn. 5rn. ♂. -32m ′1ー. 'i=: 令 ♂. ::=*. 三=皇. 義. -27m. :# へ. 〟. 6P ,.I. 轟 ,r. 守一:”> _22m. 第4囲A2a緬地質スケッチ. ←哩L.

(24) Q). .X'. -.i. =メ r^g '+Jt. -. 簡 A=●. 4 A■=◆.A. r+. 弓 ◆ム fL3. AJ. 亀亀 描. 'i::こ<. ㌢ A. -32rn. :i. く紳. #. % / Gメ/♂/.. 戯:,:・: や. :.S!. /. .LP. ♂. ふ:諺. :或. 許さ. ・>:r. 汐∵:. -27_”. ′ ′. 毛〆. i. 璽 5. 堰. i. rTl. 尊5囲A2b法面地質スケッチ. i. I. X・・,・米-. 1.膚弓 ㌔. *-. ■●●. y. -一X--ポ・. ◆■. y. き芝ニ芸ギ二号. ・X‥一 ⊥+=.i. >y.. ∴A :x∴乍:. 's∴ ‥又-.. .X.. xニ. ヽ. ∴や:. i-え ㌣ノ. 冬∴. ヾ. : Lh.. ‥..‥. :米∴ ∴. ◆瓜‥. ニ:4-. 1j(二‥ /.*t.. A:::. 父. ::丈ニ. .*':. ':. 米 二ニ:-:三菟ニ. :二道二. ∴. :A. ◆ ̄'tJ∴∵ト. イ・. ㌔. \. ●三一戦;:. :yl': {y.. I.で二. i. '▲占◆. 'x∴亨 J .r. :ヌ;:. :二丈∴:ムメ:. '.. i. ㌔ A. ?-. (I.. ∼. ◆ ■. ・-・ム・-・ふ・. ∴j;ニ:::㌔. :ミ邑二 :ヽ. ぎ(: 吋. ”. 第6図Å3法面地質スケッチ. 艶.

(25) 22mJl.5m. 那図B儲質zl.yチ.

(26) 令:声:. ・…. 立も謹':. 1:-. : : ・x・・l'.A... 音: 'A;. .:T :㌔:・. 鮮. :-X:. ,i.I : ∼㌔ ・.4,ll. 州州さ. …. +11. :.:. :∃:. …洲'モ、':今. 吋. \'・::㌔. Il. l・. ¥.. A■l米. 辛.: :L与. ::1・. I ll. f・. 柑 t'Å: :¥'. ,'.LT. 'A. 一米. ?.. ++. 1;::A・. 如 柑. I:∼. Il. ㌔:.・'y.. ‡◆洩. =l. l. ?漢享 湘.. 1=. i. Il. ・:よも. ”. t丈:;.dl. A..I. .米一. I.◆ 1I.1. き漂':. 這':. ■・1?t'.. ◆l=. 群. .-か.ヌ・. i'.,,ALttj2・:'4.ii. 'T:. '∴・・‥.・... ∴'::/:. .ち I,. 那. A. I,'r・ /==. :・余・. A:、ムー:;'t・. =′-. r・lLA. = I. :心 i.*'{I,,<I3 !':cY r.”. 抑. =∴…. .{g. i'・:. レ=. 駁. ・.-. -II. i:・ g:A. =l. ,I. l-. コ.へ:・×. ・き∴J・.A;.コ ・・:弓・二一t.こ_・. ?i l. At:. J:x/.. ち;,ギ. y・. J!. \. リ. .A/■. :. ・Y>.... 轄. S',);:: i:.・. I;. l/A. L,. 罪. .. 古ギ .J A. /‥. J・㌍ x71:.:,-.. 'd#i. :x・'・・ 糾 享年:. .\. + Lg. .㌔. ∼.---I. 野. 毎 ♂. 乍3. 胤. こや. -29.3m. ㌔(1\. \、や,∼. T. ∼. .\‡. ∼. 蘇. 、ヽJ. 拙. ヽ、、ヽ. ヽ--1. ●、l-、ヽ ヽk--、l-N、■ヽ. ∼1. 王室. O. zgl L腰. i. 早. 叫 t^. i. rd. r+. 緒. ヽ▲-、、■. 8. 第8図B2法面地質スケッチ. 篤. D. ?oo.

(27) OOO COO OoOOg. 08OOCiOO. -触. 00OC. OOO GOO 00000 80eoOO. oOO…O 000QO. Oo. / 000OO. 藍套. m風. \\ /. i. 鞘. +... 紬図欄掛ケープチ. +山一.

(28) 27.5m. -27.5鞄. ㌣∼ 5m. ㌔. ㌔. 叫ゝゝト i-∼¶. 帆 柵叫. 戸l 【≦ -脂 N69E ∼. -!5m. 第1咽C2法面地質スケッチ. 脚喜EQnL娘f. 釧州儒…川促しL 告諸州…. ”:. 心\. ・r∴′r∴丁:I. ==,i'i:`!三≡-∴与=州書 】L∃. A. 7. 州. 母機軍言……………ooo喜…冒芸se;oS還……喜≡…冨撰 .メ..i.1. -・声.  ̄汀Y. tb[x. 上.・■二. (. ”. C-. 〔 してy. :xて=:nJy. ■1rrY. ・冗r・て冊X・. 凸o(ccロ00nO.ユoOO∼…ぐ凸-. ・tヽr. かi. i. Son 宜36Wー】→…仙. +. 劉1撰D薗地質スケッチ.

(29) -J5柁. 郎囲瑚掛チ. 風. +山一. 舶. 脚. 削gぎ御\ 発脱. 3S担. 軸ふレ. 船舶常緑桝. 髄 ム. 戸. 且誠・ニ;・. ら. 31 i. ーllノL,㌢て: =・崇 …mHMl¥MX. rfJibJ,;邪三. …d”止……1上m. A 九包 ulムri. 筆削機鮒]チ. ■,Y i. 東. 基. 36汚 ;i蔓草三貴芸ヌ言至芸.

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参照

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