Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
Characterization of mesenchymal progenitor cell
populations from non-epithelial oral mucosa
Author(s)
松村, 真太郎
Journal
歯科学報, 116(1): 78-79
URL
http://hdl.handle.net/10130/3955
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的 近年,さまざまな生体組織の再生促進技術が研究され,その成果を再生医学に応用する努力が行われてい る。組織再生には細胞,足場,増殖因子のすべての要素が必要である。そのなかで,供給される細胞源に関し てはさまざまな研究が進められている。現在,臨床応用されているものの一つに骨髄から抽出した間葉系幹細 胞を用いたものがある。骨髄中には間葉系幹細胞が含まれていることが明らかになっており,各種分化誘導因 子の存在下で培養すると,骨芽細胞,軟骨細胞,脂肪細胞などに分化することが報告されている。過去の報告 から間葉系幹細胞はさまざまな組織から発見されている。我々の施設では口腔粘膜上皮を利用した眼表面の再 建治療が行われており,実際に臨床応用されている。口腔粘膜上皮の再生に関しては研究されている部分も多 いが,口腔粘膜上皮下組織を用いた研究はほとんどされていない。さまざまな組織から間葉系幹細胞が同定さ れていることからも,口腔粘膜上皮下組織においても間葉系幹細胞に類似した細胞が存在する可能性も考えら れる。 今回,我々は口腔粘膜上皮下細胞における間葉系幹細胞の検索,骨芽細胞,脂肪細胞,軟骨細胞,神経細胞 への分化誘導を行った。 2.研 究 方 法 東京歯科大学市川総合病院眼科に来院し,口腔粘膜培養シート移植治療が必要と判断された患者の中で,市 川総合病院倫理委員会の規定に基づき同意が得られたものを対象とした。採取方法は,頬粘膜を局所麻酔下に 8mm パンチを用いて採取し,酵素処理により上皮と上皮下組織に分離した。上皮下組織から細胞を抽出しそ れぞれの条件で培養を行い評価した。Flow cytometry(FCM)による間葉系幹細胞マーカー,神経堤由来細胞 マーカーの発現,Reverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)による ES 細胞等で発現するマー カー,神経堤由来細胞マーカーの発現を評価した。また,分化能の評価として骨芽細胞,脂肪細胞,軟骨細胞 それぞれ分化誘導を行い,細胞染色,RT-PCR により評価した。 3.研究成績および結論 FCM により上皮下細胞において間葉系幹細胞特異的マーカーである CD44,CD90,CD105,CD146,CD 166,STRO-1の発現が認められた。そして,RT-PCR において ES 細胞と多能性幹細胞で発現が認められる 氏 名(本 籍) まつ むら しん た ろう
松
村
真 太 郎
(長野県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1887 号(甲第1139号) 学 位 授 与 の 日 付 平成23年3月31日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当学 位 論 文 題 目 Characterization of mesenchymal progenitor cell populations from non-epithelial oral mucosa
掲 載 雑 誌 名 Oral Diseases 第21巻 3号 361372頁 2015年 論 文 審 査 委 員 (主査) 山根 源之教授 (副査) 井上 孝教授 柴原 孝彦教授 下野 正基教授 東 俊文教授 歯科学報 Vol.116,No.1(2016) 78 ― 78 ―
OCT3/4,c-Myc,Nanog,KLF4,Rex1の発現も認められた。また,骨芽細胞,脂肪細胞,軟骨細胞,神 経細胞への分化誘導がある程度可能であった。また,FCM において神経堤由来細胞において重要な CD49d, CD56,PDGFRα の発現が認められたこと,同じく RT-PCR において Twist1,Sox9,Snail1,Snail2, Msx2,Dlx6の発現が認められたことから上皮下細胞は神経堤由来細胞を含んでいる可能性が示唆された。 上皮下細胞において FCM で造血系マーカーである CD14,CD34,CD45と,血管内皮細胞マーカーである CD31の発現は認められなかった。 今回の研究で,神経堤由来細胞を含む,間葉系幹細胞に類似した未分化細胞が口腔粘膜下組織において存在 する可能性が考えられた。 論 文 審 査 の 要 旨 組織再生には細胞,足場,増殖因子のすべての要素が必要である。これまで,骨髄中には間葉系幹細胞が含 まれることが証明されており,臨床応用もされてきている。本論文は口腔粘膜上皮下組織においても間葉系幹 細胞に類似した細胞が存在する可能性を検討することを目的としたものである。ヒト頬粘膜の上皮下組織から 細胞を抽出,それぞれの条件で培養を行い FCM,RT-PCR,細胞染色で評価した。その結果,FCM,RT-PCR により上皮下細胞では間葉系幹細胞特異的マーカー,未分化能を示すマーカー,神経堤由来細胞に関連 したマーカーの発現が認められた。また,骨芽細胞,脂肪細胞,軟骨細胞,神経細胞への分化誘導もある程度 可能であった。このことから,口腔粘膜上皮下組織から抽出した細胞において,間葉系幹細胞に類似した細胞 が存在する可能性があり,組織再生の細胞源となる可能性が考えられた。 本審査委員会は,間葉系幹細胞特異的マーカーの発現の妥当性,骨芽細胞,脂肪細胞,軟骨細胞,神経細胞 への分化誘導の評価,神経堤由来細胞の評価に関し質疑が行われ,概ね妥当な回答が得られた。また,本文お よび図構成,記載方法など修正すべき点が指摘され訂正が行われた。 以上より,本研究で得られた結果は,今後の歯科医学の進歩,発展に寄与するところ大であり,学位授与に 値するものと判定した。 歯科学報 Vol.116,No.1(2016) 79 ― 79 ―