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アフリカ諸国における情報通信機器の普及の規定要因の分析

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 82 回全国大会. 2G-06. アフリカ諸国における情報通信機器の普及の規定要因の分析 濱岡 豊† 慶應義塾大学† はじめに Base/Bottom of Pyramid(BoP)諸国においても 情報機器の利用によって農作物の取引などが効 率的に行われ、地域の発展に寄与することが指摘 されてきた(Prahalad 2004; Tarafdar et al. 2012)。BoP 諸国における普及研究も行われてきた が、情報機器などのこれまでの分析は国レベルで の売上などの集計レベルのデータを用いたもの であり(Ratcliff and Doshi 2013)、どのような者が 早く採用しているのかといった特徴は明らかで はなかった。一方で、情報機器の採用には、通信網 の整備など国の取り組みも必要になるが、個人や 国レベルの要因を考慮した研究はみられない。 本研究の目的は、BoP 諸国に情報機器の採用や普 及を促進するための要因を明らかにすることで ある。そのために、分析の理論的な枠組を提案し、 ア フ リ カ 諸 国 を対象に行われてきた世論調査 Afrobarometer の個票データを用いて分析を行う。. 郷香野子‡ 跡見学園女子大‡ におけるイノベーションの普及に関する研究が 1970 年代に多く行われたことが紹介されている。 ただし、分析対象は新品種の導入などに限定され ている。携帯電話には、通話相手が増加する程、よ り効用が増加するという「ネットワーク外部性」 があるという大きな特徴がある。また、携帯電話 のようなイノベーションは、それを利用可能な国 もしくは地域レベルでの「インフラ整備」が必要 であり、携帯電話事業は国もしくは企業が行うこ とを考慮して企業の要因も含める。 個人レベルの要因 国・社会レベルの要因. 社会経済特性 ・経済. ・人口統計学的要因. 経済的要因 ・経済水準. パーソナリティ 社会的、文化的要因 ・準拠集団 ・社会規範. コミュニケーション行動 イノベーショ 利用可能な資源(の制約). ンの採用、普 及. 法制度要因 ・規制. ・促進策. イノベーションの要因(特性). 関連研究と理論的枠組 各種のイノベーションの普及研究から知見をま とめたRogers(1962)はイノベーションの普及要 因について、「イノベーションの特性」として、相 対的優位性、信念や機能面での互換性、複雑性、試 行可能性、観測可能性を挙げた。また、採用時期に よって採用者を分類し、「社会経済特性」「パーソ ナリティ」「コミュニケーション行動」について比 較した。本研究では、Rogers の枠組を前提としつ つ、それに含まれていない要因がイノベーション 個人レベルでの「採用」、国や社会レベルでの「普 及」に影響を与えると考える(図 1)。 図 1 のうち、下線部分は本研究で追加した要因 である。まず、Rogers の枠組では個人レベルの要 因とイノベーションの特性しか考慮していない が、国・社会レベル、企業レベルの変数も考慮する。 そして、国・社会レベルの要因が個人レベル、企業 の要因に影響すると考える。 個人レベルの要因に関しては、BoP 諸国は先進国 と比べて、利用可能な資源が制約されるため、消 費者行動も異なることが指摘されている (Choudhury et al. 2019; Subrahmanyan et al. 2008)。 これを踏まえて「(利用可能な)資源要因」を追加 する。 その後の版を重ねたRogers(1983)には、途上国 Determiners of Adoption of Information Communication Devices in African Countries †Yutaka Hamaoka, Keio University ‡Kanoko Go, Atomi University. イノベーションそのもの ・複雑性. (通信)インフラの整備. ・試行可能性 ・観測可能性. 企業の要因. 他のイノベーションとの関係 ・相対的優位性. ・信念や機能面での互換性. ・戦略. ・経営資源. ネットワーク外部性. 注)下線は本研究で追加した要因。 図 1 理論的枠組み データと単純集計 本研究では、アフリカの 12〜34 国を対象に 2000 年から 2018 年まで 7 回、計 37 ヵ国行われてきた 世論調査 Afrobarometer の個票データを用いる1。 この調査は社会学者を中心に行われており、政治、 民主主義などについての項目が中心だが、ラジオ、 TV、自動車、携帯電話の所有状況も質問されてい る。 本研究では、それらの中で比較的普及率が低い 「携帯電話」について分析する。携帯電話の所有状 況が質問された 4 回調査(2008 年頃実施)から 7 回調査(2017 年頃実施)まで、すべてに参加したの は 20 ヵ国であった。これらの国の 4 時点での携 帯電話の普及率(回答者に占める携帯電話保有者 1. データは下記からダウンロード可能である。 https://www.afrobarometer.org. and. 4-217. Copyright 2020 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 82 回全国大会. の割合)を示す(図 2)。 South Africa、 Namibia、Kenya などは 2008 年時 点で、すでに携帯電話の普及率は 70%を越えてお り、その後も増加している。2008 年時点で、普及率 がもっとも低かったのは Zimbabwe であったが、 その後、急速に普及が進み、2017 年時点では 84% に達している。Burkina Faso、Mali も同様に、2008 年時点の普及率は 30%程度と低かったが、2017 年 にかけて急速に普及している。一方で、2008 年時 点では、これらと同様、普及率が 30%程度であった、 Malawi、Madagascar においては普及は遅く、2017 年時点でそれぞれ 50.8%、46.2%となっている。こ のようにアフリカの 20 ヵ国に限定しても様々な 普及パターンがあることがわかる。本稿では 2018 年時点で普及率が低い 5 ヵ国について分析する。. 普及のパターン 国名. 普及率(回答者に占める保有者の割合). Benin. South Africa Burkina Faso Namibia Botswana. 90.0%. Zambia. Burkina Faso Mali. Cape Verde Ghana Kenya Lesotho. 70.0%. Liberia Madagascar Mali Malawi. Malawi. 50.0%. Madagascar. Mozambique Namibia Nigeria South Africa Senegal. 都市ダミー log(年齢) 女性ダミー 教育水準 失業ダミー 人種 黒人 白人 アラブ 母語 英語 Shona Swahili Chichewa その他 文化的要 信仰する なし 因 宗教 Muslim. Evangelical Christian一般 Pentecostal Anglican Independent. Uganda 2009. 2011. 2013. 2015. 2017. 2007年以降急速に普及 Burkina Faso Mali. Zimbabwe. 切片 log(暦年) 社会経済要因. Roman Catholic. Tanzania 30.0% 2007. 分析結果 推定結果を表に示す。いずれの国も、「都市(居 住)ダミー」「教育水準」「自発的グループへの参 加」は正、「女性ダミー」「(現在)失業ダミー」「現金 の欠乏頻度」は負で有意となっている。 最も急速に普及した Zimbabwe では、他の多く の国では年齢が負で有意であるのに対して、正で 有意となっており、年齢の高い層に普及していっ たことがわかる。同国については、国、社会レベル 要因である、電力へのアクセス割合も正で有意と なっており、インフラの整備に伴って急速に普及 したと推測される。ただし、これと暦年の交互作 用項は負で有意となっており、普及速度も低下し ていることがわかる。 表 推定結果. 2019. 図 2 アフリカ 20 ヵ国における携帯電話の普及率 の推移(2008-2017 年) 分析方法 理論的枠組みに示したすべての変数を利用す ることはできないため、調査項目が設定されてい る変数のみを用いた(表参照)。国レベルの要因に ついては、GNP、電力へのアクセス割合、(国レベル での)固定電話や携帯電話の契約数などが利用可 能である。ただし、いずれも時系列データであり、 相関が高いため、国や企業がコントロールできる 変数として電力へのアクセス割合を導入した。 被説明変数は、各個人が携帯電話を所有してい るかいないかであるので、二項ロジットモデルを 適用し、説明変数については、次の 3 つのモデル を推定した。それぞれの国について推定し、多重 共線性の問題がなく(VIF が概ね 15 以下)で情報 量規準 BIC が最小となるモデルを選択した。 ・モデル 1 暦年+個人レベルの変数 ・モデル 2 モデル 1 に電力へのアクセス割合 を追加 ・モデル 3 モデル 2 に暦年×電力へのアクセ ス割合を追加。. 利用可能 水道の欠乏頻度 な資源 現金の欠乏頻度 国、社会レ 集団への参 宗教的 加・所属 自発的グループ ベルの要 電力へのアクセス割合 因 暦年 電力へのアクセス割合 Deviance N exp(-Deviance/(2N)) AIC BIC. 注)有意水準. 2007年以降緩やかに普及. Malawi. Madagascar. -3.842*** 3.085** 3.257*** -2.587* 1.648 0.398*** 0.265*** 0.210*** 0.130*** 0.088*** 1.276*** 0.909*** 1.490*** 0.953*** 1.003*** 0.269*** -0.244** -0.668*** 0.157** -0.182* -0.116* -1.242*** -1.078*** -0.311*** -0.220*** 0.477*** 0.453*** 0.419*** 0.568*** 0.693*** -0.257*** -0.497*** -0.449*** -0.235*** -0.217*** 1.055 -0.247 -0.375 0.539 -2.975** 12.115 0.477 0.179 0.914 -3.353** -13.87 1.198 -0.679 0.888 0.021 -0.082 -9.814 -0.081 0.062 0.267 0.503 0.014 -0.114 -0.367 -1.093*** -0.219 -0.456*** -0.371 0.402*** -0.036 0.179* 0.785** 0.067 0.179 -0.755* -0.03 -0.065 -0.035 0.257 0.175 -0.124 -0.056 0.13 -0.042 -0.848*** -0.185 -0.241 0.037 0.542 12.861 -0.022 0.291 0.266 0.838 -11.87 0.015 -0.12 -0.252*** -11.59 12.978 -0.463*** -0.261 0.03 0.046* 0.002 0.024 -0.028 -0.192*** -0.131*** -0.169*** -0.187*** -0.247*** 0.090** -0.001 0.155*** 0.154*** 0.116** 0.083** 0.158*** 0.259*** 0.113*** 0.133** 0.235*** -0.075*** -0.065*** 5842.7 4148.0 4601.0 7826.9 4892.0 7094 4652 4803 6934 4835 0.662 0.640 0.619 0.569 0.603 5894.7 4194.0 4645.0 7878.9 4938.0 6073.2 4342.2 4787.5 8056.8 5087.1. ***:1% **:5%. *:10%. まとめ 本研究ではイノベーションの普及に与える包 括的な理論枠組を提示し、利用可能な変数を用い て実証し、多様な変数が影響することを明らかに した。今後、分析対象国や機器の拡大、各国の政策 についての変数の追加などを行い、BoP 諸国への 情報機器の導入、地域の発展に寄与する研究とし たい。 謝辞 Afrobarometer を実施、データを公開して下さっ た方々に感謝する。 参考文献 紙幅の制約から省略する。必要な方は濱岡 [email protected] まで連絡されたい。. 4-218. Copyright 2020 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

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