進行非扁平非小細胞肺癌に対す る
carboplatin+pemetrexed療 法 の 臨 床 的 検 討 市立 甲府病院 呼 吸器 内科 齊 木 雅 史 、 塚 原 勇 、 内 田 賢 典 、 菱 山千 祐 、 大木 善 之 助 、ノ」澤 克 良 要 旨:プ ラチ ナ 製 剤 とPEMの 併 用 療 法 は進 行 非 扁 平 非 小 細 胞 癌 に 対 して有 用 性 が 示 され て お り、 化 学 療 法 の第 一 選 択 の 一つ とな って い る。 ま た 近 年 、PEM維 持 療 法 の有 用 性 も多 く 報 告 され て い る。当 院 に お け るCBDCA+PEMお よびPEM維 持 療 法 に つ い て 検 討 を 行 った 。 対象 症 例 は38例 で 、年 齢 中央 値 は66歳 で あ っ た。PSO-1の 良好 例 が34例(89.4%)、2-3も 4例(10.6%)を 占 め て い た 。CBDCA+PEM療 法 の コー ス 数 の 中央 値 は4コ ー ス(1-6)で 、治療 効 果 はPRが6例(15.8%)、SDが15例(39.5%)、PDが17例(44.7%)で あ っ た 。 維 持 療 法 に 移 行 で きた 症 例 は10例(26.3%)で 、維 持 療 法 の コー ス数 の 中 央値 は2.5コ ー ス(1-18)で あ った,, CBDCA+PEM全 患 者 のPFSは3.9ヶ 月 、MSTは15.9ヶ 月 で あ っ た 。維 持 療 法 に移 行 で き た症 例 の 導 入 療 法 か らのPFSは9か 月 、MSTは17.7ヶ 月 で あ っ た。維 持 療 法 移 行 群 と非 移 行 群 のMSTを 比 較 してみ る と、 有 意 差 は認 め な か った が 維 持 療 法移 行 群 で 約5か 月 の 延 長 を認 め た 。 :肺 癌 、 carboplatin+pemetrexed,維持療法
は じめ に プ ラ チ ナ 製 剤 とpemetrexed(PEM)の 併 用 療 法 は 進 行 非 扁 平 非 小 細 胞 癌 に 対 し て 有 用 性 が 示 され て お り1)、 遺 伝 子 変 異 陰 性 の 場 合 は 第 一 選 択 の 一 つ と な っ て い る。 PEMは 毒 性 も軽 く、 長 期 投 与 が 可 能 と考 え られ 、維 持 療 法 の 有 効 性 につ い て 検 討 さ れ て き た 。PARAMOUNT試 験2)で は cisplatin(CDDP)+PEMの 導 入 療 法4コ ー ス 施 行 後、stabledisease(SD)以 上 が 得 ら れ た 患 者 で 、PEM維 持 療 法 を 行 っ た 群 が placebo群 と 比 較 し て 無 増 悪 生 存 期 間 (PFS)及 び 全 生 存 期 間(OS)を 有 意 に 延 長 し た と報 告 され て い る。 ま た 本 邦 で 行 わ れ た JACAL試 験3)で は(}arboplatin(CBDCA) +PEMの 導 入 療 法 後 、PEMで 維 持 療 法 を 行 いPARMOUNT試 験 と比 較 して 遜 色 な い 結 果 が 得 られ て い る。 CBDCAはCDDPと 比 較 して 腎 機 能 障 害 や 高 齢 者 、performancestatus(PS)不 良 例 で も使 用 しや す く 、点 滴 時 間 が 短 い た め 外 来 化 学 療 法 で も簡 便 で あ り当 院 で は 頻 用 され て い る。 今 回 我 々 は 当院 に お け る進 行 非 扁 平 非 小 細 胞 肺 癌 に 対 す るCBDCA+ PEM療 法 お よびPEM維 持 療 法 に つ い て 検 討 を行 っ た。 対 象 と方 法 対 象 は2010年9月 か ら2014年9月 ま で の4年 間 に 当院 でCBDCA+PEM療 法 を 行 っ た1皿B期 、IV期 も し く は術 後 再発 の38 症 例 で 、 診 療 録 べ 一 ス に情 報 を集 積 し レ ト ロ スペ ク テ ィブ に 検 討 を 行 っ た 。 統 計 学 的 解 析 はEZRを 使 用 した`i)。死 亡 率 の 比 較 はKaplan-Meier法 を用 い て 生 存 曲線 を作 成 し,各 群 間 の 比 較 はLogranktest で 検 定 を行 っ た。い ず れ の 検 定 もp<0.05 を 有 意 差 あ り と判 断 し た 。 結 果 患 者 背 景 をTable1に 示 す 。 年 齢 の 中央 値 は66歳(29-58)で あ っ た 。PSO-1が34 例(89.4%)を 占 め 、PS2-3が4例(10.6%) で あ っ た 。 病 理 診 断 は 約95%が 腺 癌 で 、 EGFR遺 伝 子 変 異 陽 性 例 が9例(23.6%)、 ALK融 合 遺 伝 子 陽性 例 が1例(31.6%)含 ま れ て い た 。 CBDCA+PEM療 法 の コ ー ス 数 の 中 央 値 は4コ ー ス(1-6)で 、 治 療 効 果 はpartial response(PR)が6例(15.8%)、SDが15例 (39.5%)、progressivedisease(PD)が17例 (44.7%)で あ っ た 。維 持 療 法 に 移 行 で き た 症 例 は10例(26.3%)で 、維 持 療 法 の コ ー ス 数 の 中 央 値 は2.5コ ー ス(1-18)で あ っ た (Table2)。 Grade3以 上 の 有 害 事 象 は 導 入 療 法 で 白 血 球 減 少7例(18.4%)、 貧 血6例(15.8%)、 血 小 板 減 少10例(26.3%)の 血 液 毒 性 が 認 め ら れ 、 非 血 液 毒 性 は 腎 機 能 障 害 の1例 の み
^Table 1: Baseline characteristics of the patients. (n=38)
characteristicspercentage
of the patients
• Age : -yr (median-range)
• Sex : no (%) male / female
• ECOG performance status :
0
1
2
3
• Clinical stage : - no(%)
IIIB/IV/relapse
- no(%)
66 (29-8'
21 (55.3)
21 (55.3)
13 (34.1)
2 (5.3)
2 (5.3)
8 (21.1) i
)
/17(44.7)
29 (76.3) / 1 (2.6)
•Table 2: Result.percentage
of the patients
• Line : -no (%)
1st / 2nd / 3rd
• Induction therapy
Cycles : median (range)
• RECIST : -no (%)
PR / SD / PD
RR/DCR (%)
• Maintenance therapy : -no (%)
Cycles : median (range)
25 (65.8) / 12 (31.6) / 1 (2.6)
4 (1-6)
6 (15.8) / 15 (39.5) / 17 (44.7)
15.8 / 55.3
10 (26.3)
2.5 (1-18)
で あ っ た。維 持 療 法 で はGrade3以 上 の 有 害 事 象 は 認 め な か っ た。 CBDCA+PEM全 患 者 のPFSは 約3.9 ヶ月 、MSTは15.9ヶ 月 と既 報 と同 等 の 結 果 で あ っ た(Fig.1)。 維 持 療 法 に 移 行 で き た 症 例 の 導 入 療 法 か らのPFSは 約9かH、 MSTは 約17.7ヶ 月 で あ っ た(Fig.2)。 維 持 療 法 移 行 群 と非 移 行 群 のMSTを 比 較 して み る と、有 意 差 は 示 せ な か っ た が 維 持 療 法
• Figure 1 : CBDCA+PEM
1.O 0.8 6 4 0 α 鐙 籍 8 i 02 00(n=38).
0 50 P FS 100150 11)duction.PFS3.9 months
㎜ 10 08 6 4 0 0 去 署 § o 庄 02 00 移 行 群 で 約5か 月 の 延 長 を認 め た(Fig.3)。 考 察 進 行 期 非 小 細 胞 癌 に 対 す るCDDP+ GEMとCDDP+PEMの 比 較 第 皿1相試 験1) の サ ブ セ ッ ト解 析 で は 非 扁 平 上 皮 癌 に お け るCDDP+PEMの 有 効 性 が 示 され て い る 。 こ の 試 験 で の 非 扁 平 上 皮 癌 に 対 す る CDDP+PEMのPFSは5.3ヶ 月 、MSTは 02QO40060080010001200 0S MST 15.9 months^ Figure 2 : maintenance therapy (n=10) .
10 08 6 4 0 0 塁 蚕 oと 02 00 0 200 PFS 400 600 rn 1enence.PFs9.0 months
800 10 08 6 4 1 0 0 遣 査 篇 8 左 02 00 0 200 400 600 800 1000 OSMST 17.7 months
120011.8ヶ 月 と 報 告 さ れ て い る 。 当 院 で の CBDCA+PEM全 患 者 のPFSは3.9ヶ 月 、 MSTは15.9ヶ 月 と ほ ぼ 同 等 の 結 果 で あ り、 CBDCA+PEM療 法 も 有 効 な治 療 法 と考 え られ た。 ま た 近 年 、PEM維 持 療 法 の 有 効 性 が 多 く報 告 され て い る。PARAMOUNT試 験2) で はCDDP+PEMで 導 入 し、PEM維 持 療 法 を行 っ て お り、 導 入 療 法 か らのPFSは 6.9ヶH、MST16.9ヶ 月 と報 告 され て い る。 JACAL試 験3)で はCBDCA+PEMで 導 入 しPEM維 持 療 法 を 行 っ て い る。 導 入 療 法 か らのPFSは7.5ヶ 月 、MSTは 未 到 達 で あ るが20ヶ 月 を超 え る と考 え られ てお り、 CDDPとCBDCAの 差 は少 な い と考 え ら れ て い る。 当 院 の デ ー タ で も維 持 療 法 移 行 例 で の 導 入 療 法 か らのPFSは9.0ヶ 月 、 MSTは17.7ヶ 月 で あ り、 両試 験 とほ ぼ 同 等 な 結 果 とな っ た。 しか し既 報 の 維 持 療 法 移 行 率 は50%台 と 半 数 を超 え て い る が 、当院 で は26%と 低 い 水 準 と な っ て い る。 維 持 療 法 に 移 行 で き た 場 合 のPFSやMSTは ほ ぼ 同 等 の 結 果 で 彗 ρ £ 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 あ りPEM維 持 療 法 の 有 効 性 は 明 らか で 、 可 能 で あ れ ば 維 持 療 法 を 行 う こ と が 望 ま しい と考 え らえ る。 当院 の 維 持 療 法 に 移 行 で き な か っ た 群 で 導 入 療 法 を6コ ー ス 行 っ た症 例 が5例 あ っ た。 移 行 で き な か っ た 原 因 はPDが3例 、PS低 下 が1例 、 そ の 他 が1例 で あ っ た。 こ の5例 が 導 入 療 法4コ ー ス 後 に 維 持 療 法 に 移 行 した と仮 定 す る と 、維 持 療 法 移 行 率 は39%と 既 報 に 近 づ く 結 果 とな っ た 。 日本 肺 癌 学 会 の ガ イ ドライ ン ゆで は プ ラ チ ナ 製 剤 併 用 療 法 は6コ ー ス 以 下 とす る よ うに勧 め られ て お り、3-4コ ー ス と6コ ー ス の 比 較 で は1年 生 存 率 やOSは 同 等 で 毒 性 は 前 者 の 方 が 軽 い と さ れ て い る 。 PARAMOUNT試 験 、JACAL試 験 は 導 入 療 法 を4コ ー ス 行 い 、SD以 上 が 得 られ た 症 例 で維 持 療 法 に 移 行 して い る。 当 院 の維 持 療 法 を 行 っ た 症 例 で 導 入 療 法 を4コ ー ス 行 っ た群 と5-6コ ー ス行 っ た群 で 導 入 療 法 か ら のPFSを 比 較 して み る とい ず れ も約9 か 月 程 度 で 有 意 差 を認 め な か っ た。 プ ラチ ナ 併 用 療 法 の 継 続 は そ の 毒 性 か らPSの 低
• Figure 3: maintenance
therapy
.
0 l I
I ,
•MST
maintenance (+): n=10
maintenance (-) : n=28
17.7months 12.8months p=0.145 0 200 400 600800 0S 10001200下 を招 く可 能 性 が あ り、2次 治 療 以 降 の 選 択 に も影 響 す る場 合が あ る。PEM維 持 療 法 は 毒 性 も軽 い た め 長 期 の 継 続 が 可 能 と され て い る。 当院 の 検 討 で は 導 入 療 法4コ ー ス で5-6コ ー ス との 比 較 で はPFSに 有 意 差 を認 め な い こ とか ら4コ ー ス で維 持 療 法 に移 行 す る こ とで 良 好 なPFSを 得 る こ と が で き る と考 え られ た 。 ま た プ ラ チ ナ 併 用 療 法 の 継 続 に よ るPS低 下 が 避 け られ 、2 次 治 療 以 降 も 安 定 して 治 療 を 継 続 で き る と考 え られ た。 結語 当院 にお け るCBDCA+PEM療 法 お よ びPEM維 持療 法 の実際 につい て検 討 した。 CBDCA+PEM療 法 は安全 に施行 で き有効 な治 療法 と考 え られ た。維 持療 法に移行 で き た症 例 では 既 報 と同 等 のPFSお よび MSTが 得 られ てい た。 導入療 法 は4コ ー スで維持 療法 に移行 す るこ とでPSを 維 持 しつ つ良好 なPFSを 得 られ る可能性 が 考 え られ た。