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公的研究機関の成果指標に関する予備的検討(評価
(1), 第20回年次学術大会講演要旨集I)
Author(s)
村田, 賢彦; 大井, 健太
Citation
年次学術大会講演要旨集, 20: 208-211
Issue Date
2005-10-22
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/6048
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
lE03
公的研究機関の 成果指標に関する 予備的検討
0
村田賢 彦,大井健太
( 産 総研 ) 「. はじめに であ る。 また、 広範囲な研究を 進める産総研を 対象 平成 13 (2001) 年 4 月に工業技術院 ( 以下「 工 とした評価を 通じ、 他の公的研究機関の 成果指標に 枝院」という。 ) 傘下の 15 研究所が統合され、 新た ついても基本的な 特徴を理解できる。 に 独立行政法人産業技術総合研究所 ( 以下「 産 総研」 今回は政策評価手法を 参考に、 マクロな定量指標 という。 ) として研究開発活動を 開始している。 平 を利用して研究開発成果を 評価する手法の 有効性 成 17 (2005) 年 3 月には 第 1 期 4 年間の中期目標 を検討した。 施策に対するインパクトの 評価手法と 期間が終了し、 同年 4 月からは第 2 期が始まってい しては様々なモデルがあ るが [1L 、 今回は時系列モデ る 。 第 1 期を終了するにあ たり、 その間の研究開発 か は 沿って成果の 評価を試みた。 ホ モデルは、 上枝 活動の成果を 評価することは、 独立行政法人化・ 研 院から産総研への 移行に伴 う 成果指標の変化を 時 空所統合の意義と 効果を明らかにし、 第 2 期におい 系列的に評価するものであ り、 独法化への移行に 伴 て 効率的、 効果的な研究開発活動を 進める上で重要 ぅ 効果の評価に 有効であ る。枝折サービス
2) 知的 肋珪 特許由 恩数 特許実施契約数 特 辞宜 録数 井料収入 総収入 正宮女付金 "' ベンチ。 一 ・ベンチャー 起 乗数 売り上げ高 研究 穏 Ⅰ用人臭 数
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]) Ⅰ友視 的 ナショナルプロジェクト 公的受託資金 研究 立ち上げ 数 臆見 数 常勒 研究臆見
任期付き研究 且 幼攻穏 進行 文枝 公的機Ⅱとの 国掠 協力支援 共同研究 排土研究 且 法定計Ⅰ 非常勤攻具
政策提言 数
3)
政策策定 文杖 公的 リスク評価 安全 条 脩 報の提供 見沢 ヰ 走数 作成 数 評価 防災への利用 ヰ 利用数アウトカム系 指楳 被 引用 放 基盤の強化
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知臣 の卓出 ・ 技 行 誌上発表 口頭発表数 拙 招待試演、 受 宙数 ソフトウェア 株数 ソフト利用数、 売上高プレス発表数 刊行物利用数 取材対応 数 楳準 利用数 打手の主催・ 出展 数
2)
稗ギ技。
王仁 行革 知 棋準供拾数 - 仮 一 刊行物数 べ ー ス チータベースアクセス ホームベージアクセス 研究所公開存 加 者数学生受入数
3)
年会・ との迫持 大 幸 大学との共同研究 連 国交流 拡大学院協定件数 数 図 1 産 総研の活動・ 成果に関する 指標体系の整理 一 208 一2. 調査方法 研究開発のアウトプ ノトと アウトカムについて、 ここでは以下の 定義で分類している。 アウトプット : 研究開発の直接的な 成果。 例えば、 口頭発表、 特許出願、 規格原案の提出など。 アウトカム : アウトプットが 活用されてもたらされる 社会・ 経済的な効果。 例えば、 製品化、 特許料収入、 世界標 準の設定、 新たな研究分野の 開拓など。 さらに、 アウトカムがインパクト ( 経済的Ⅰ社会 的Ⅰ学術的インパクト ) を及ぼすものと 考えられる。 現時点では第 1 期の終了直後であ り、 研究開発成果 がインパクトを 及ぼすまでには 至っていない。 その ため、 ここではアウトプットを 中心とした評価に 時 系列モデルを 適用している。 産 総研は多様な 研究開発活動を 行っているが、 こ こでは、 産 総研の活動・ 成果に対する 指標体系を図 1 のように整理した。 データ収集は 公表資料を対象として 行った。 工技 院については、 各研究所の年報、 工技院研究計画等 から、 また産総研については、 年報、 事業報告書、 財務諸表、 広報誌 ( Ⅲ STTODAY) 、 ウェブサイト 等から、 該当データを 抽出した。 調査対象期間は、 Hg ∼ H15 年度とした。 ここで 調査対象としたデータ ( 指標 ) は、 以下のとおりで あ る。 常勤職員数、 常勤研究員数、 任期 付 研究員数 予算額 ( 運営費交付金、 受託収入 ( 公的資金、 民間からの共同研究資金り 特許出願 数 ・登録 数 ( 国内 ) 、 特許実施収入 ベンチャー創出数 共同研究 数 ( 大学 / 公的機関Ⅰ企業 ) 口頭発表数 新聞掲載 数 3. 調査結果 (1) インプット系指標 は 受託研究が増えていることによると 思われる。 (2) インフラ系指標 常勤職員数の 推移は、 図 2 に示すとおりであ る。 常勤職員数は Hg 年度から一貫して 減少しており、 任期 付 職員数は H13 年度から増加している。 Hg Hl0 Hll Hl2 Hl3 H14 H15 図 2 常勤職員数,研究職二教,任期 付 職員数 (3) 成果に関する 指標 ①産業競争力強化 国内特許出願数は、 一貫して増加傾向にあ る。 国 内特許登録数は、 産 総研移行後に 減少しているが、 この理由としては 出願同時審査請求ではなくなっ たこと、 特許庁で滞貨 ( 米審査案件 ) が増加してい ることが考えられる。 特許料収入は、 産 総研移行後 に増加している。 ベンチャー創業数の 推移は、 図 3 に示すとおりで あ る。 H13 年度以降、 創業数が大きく 増加している。
60 W 社 ) 50 40 30 20 Ⅰ 0 H Ⅰ 2 案 数 H ヤ ぺ 図 て し と 内訳 明ル る あ 向 頃 増ィ 微 は 入 収 て し と 体 全
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し 減少しているが、 その後は一貫して 増加している。 ( 件 ) ②行政二 一ズ 対応 公的資金の受託研究費の 推移を図 4 に示す。 H13 年度以降、 NEDO と公益法人からの 受託が増えて いる。 ( 百万円 25.000 20.000 15.000 10.000 5.000 Hg Hl0 Hll Hl2 Hl3 Hl4 H15 図 4 公的資金の受託研究費 公益団体 ( 国 ・自治体・ 独法 ・公益法人等 ) との 共同研究数の 推移を図 5 に示す。 H12 年度のデータ がないが、 全体として増加傾向にあ る。 Ⅰ 2.000 Ⅰ 0 , 000 8.000 6.000 4.000 2.000 Hg Hl0 Hll Hl2 Hl3 Hl4 H15 図 6 口頭発表数 また大学との 共同研究数は、 H12 年度のデータは 得られていないが、 H13 年度以降、 大きく増加して いる。 ④情報発信 新聞等掲載数は、 H13 年度に大きく 増加し、 その 後も増加を続けている。 4. 組織・制度の 変更 研究所統合に 伴う組織変化の 特徴としては、 工技 院時代は研究所ごとに 所掌業務が決められ、 人事権 等の裁量権 を持ち、 独自に運営する 構造となってい たのに対し、 産 総研では理事長を 中心に 、 多くの 研 究 ユニットからなるフラットな 研究組織構造を 採 用したことにあ る。 また統合に伴い 経営企画、 評価、 産学官連携 ( 知財を含む ) 等の部署が増強されてい る。 特に産学官連携に 関しては、 産 総研 TLO 、 べ ンチャー開発戦略研究センター、 知的財産部門等の、 研究成果の管理・ 移転機関を新設している。 新内制度では、 特に産学官連携に 関して、 特許 実 Hg Hl0 Hll Hl2 Hl3 H14 H15 施料の配分やべンチャー 設立の支援等について 研 図 5 公益団体との 共同研究 数 究者や所属ユニットへのインセンティブ 制度を設 け、 産学官連携に 対する意識を 高める取組がなされ ③科学技術基盤強化 ている。 口頭発表数の 推移を図 6 に示す。 Hll 、 12 年度に 独 法化にあ たって産総研では 中期目標を掲げて 一 210 一おり、 共同研究数や 論文発表数等については 数値 目 一タ入手が困難なものが 多く 、 必ずしも十分な デ一 標を設定している。 これらはすべて 達成されている。 タ 収集ができたとは 言えなかった。 今回取り上げたデータは、 成果指標としてあ る 程 5. 独 法化前後の指標値の 比較 度の有効性があ ると考えられるが、 アウトプット 的 産 総研移行に伴 う 各指標値の変化を 図 7 に示す。 な指標が多く 、 必ずしも満足できない 分類もあ った。 これは工技院時代の 指標値 (Hl0 、 Hll 年度の平均 評価の観点からは、 よりアウトカム 的な指標の設定 値 ) を 1 とした場合の、 産 総研時代の指標値 (H14 、 ( 例えば論文引用数や 特許料収入等 ) と、 それらの Hl5 年度の平均値 ) を示したものであ る。 特許料収 継続的なデータ 収集が重要であ ると考えられる。 入 、 ベンチャー創出数、 大学・企業との 共同研究 数 組織・制度の 変更は、 一定の効果を 上げているこ は 大きく伸びており、 これらは上記 4. で述べた組 とが示されたが、 今回はその詳細な 分析まではでき 織・制度の変更の 効果が表れていると 考えられる。 ていない。 今後は、 組織・制度の 変更とその影響の より詳細な分析、 特に研究者へのインセンティブ 付 6. まとめ 与や個人評価制度に 関する分析を 進めて い くこと 今回は独法化に 伴 う 変化を見るために、 エ 技院時 が必要だと考えられる。 代と 産 総研時代の両方のデータについて、 主に年報 を 対象として収集した。 しかしながら、 産 総研 と工 参考文献 枝院では年報のデータ 分類が異なるものも 多かっ Ⅲ寵愛瑠、 佐々木兎、 「政策評価」の 理論と技法、 た。 特に エ 技院は研究所間でデータが 異なる等、 デ 多賀出版 (2004)p.49 情報発信系指標 新開 掲推数 科学技術基盤の 強化 に関する指標 政策三一 ズ 対応 に関する指標 一 % : エ 技院時代の成果Ⅰ l (Hl0. H Ⅱ年度の平均 )