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情報処理学会研究報告 図 1 表 1 開催年 ML, DM, & AI に関連する国際会議 ISWC 開催概要 開催国 参加者数 2002 Italia Japan Ireland South Korea 2008

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ISWC2015

参加報告

野本 昌子

1 概要:セマンティック・ウェブの最高峰の国際会議であるISWC2015が2015年10月に米国で開催さ れた.本会議のResearch Trackの採択率は 約22%で,本会議での日本からの発表はなかった.次回 ISWC2016(2016年10月,神戸)に向けて,国内の同分野の研究コミュニティでは2015年12月にキックオ フ(主催:人工知能学会セマンティックウェブとオントロジー研究会)を行い,関連する研究会の開催(2016 年2月予定)を計画するなど準備が進められている.本稿ではISWC2015の参加報告として概要と動向, 論文の一部を紹介する.さらに次回ISWC2016に向けた国内の研究コミュニティの動向について述べる.

キーワード:ISWC,セマンティック・ウェブ,Linked Data,オントロジー

A Report On ISWC2015

Masako Nomoto

1

Keywords: ISWC, semantic web, Linked Data, Ontology

1.

はじめに

近年,G8サミット(2013年)でのオープンデータ憲章*1

への合意,インターナショナル・オープンデータ・デイ*2

のイベント実施など,世界的にOpen Dataに関する動き が活発化しており,関連してLinked Data/Linked Open

Data,その背景にあるセマンティック・ウェブ技術への関

心も高まってきている.

現在,セマンティック・ウェブ関連の主要な国際会議として はISWC(International Semantic Web Conference)*3,ヨー ロッパのESWC(European Semantic Web Conference)*4 ,アジアのJIST(Joint International Semantic Technology Conference)*5等がある.このうち,最高峰の国際会議で

1 ヤフー株式会社

Yahoo Japan Corporation

*1 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/dai4/sankou8.pdf *2 http://wiki.opendataday.org/Main Page *3 http://swsa.semanticweb.org/content/international-semantic-web-conference-iswc *4 http://eswc-conferences.org/ *5 JIST2015: http://www.jist2015.org/ あるISWC2015*6 201510月に米国で開催され,約 450名が参加した. 本稿ではISWC2015の参加報告としてISWCの概要, ISWC2015の概要と主な動向,論文の一部を紹介し,学会 参加の印象を述べる.また,次回ISWC2016*7に向けた国 内の研究コミュニティの動向についても紹介する.

2.

ISWC

の概要

ISWC(International Semantic Web Conference)はセマ ンティック・ウェブの最高峰の国際会議である.

本学会はAIの学会の一つとして位置付けられ,関連領

域としてはNLPや情報検索やデータマイニング等が比較

的近い(図1*8)

ISWCは2001年に米スタンフォード大学で開催された シンポジウム,SWWS(International Semantic Web Work-ing Symposium)*9を継承しており,翌2002年に第1回の *6 http://iswc2015.semanticweb.org/ *7 http://iswc2016.semanticweb.org/ *8 図は[1]p.4より転載 *9 https://files.ifi.uzh.ch/ddis/iswc archive/iswc/ih/SWWS-2001/

(2)

1 ML, DM, & AIに関連する国際会議 表1 ISWC2002∼2015開催概要 開催年 開催国 参加者数 2002 Italia 2003 USA 470 2004 Japan 460 2005 Ireland 2006 USA 2007 South Korea 2008 Germany 2009 USA 2010 China 2011 Germany 597 2012 USA 2013 Australia 2014 Italia 630 2015 USA 450 2016 Japan ISWC2002がイタリアで開催された.以降,ISWCはヨー ロッパ,米国,アジア・オセアニアの順に会場を移しなが ら毎年開催されている.表 1にISWC2002∼2015の開催 概要を示す([2], [3], [4], [5]). 初回のISWC2002から今回までの著者数の地域別分布 (図2*10)をみるとヨーロッパが約58%と圧倒的に多く,北 米の約2倍を占めているのが特徴的である.アジアは約 10%,うち日本は25名である. プログラムは本会議の他も充実しており,初回の2002年 から複数のTutorialが開催されている.また第2回から多 数のワークショップが開かれ,インフォーマルな議論や研 究アイディア交換,コミュニティ形成の場を提供している. *10[6]Author Mapを元に作成2 著者数の地域別分布(ISWC2002∼ISWC2015)

3.

ISWC2015

の概要と動向

3.1 開催概要 今回のISWC2015の会期は10月11日から15日で,ま ず最初の二日間はワークショップとチュートリアル,その 後本会議が三日間開催された. 開催地はペンシルバニア州ベスレヘム市,かつて製鉄で 栄えた地である.ワークショップとチュートリアルの会場 はリーハイ大学,本会議の会場はベスレヘム・スチールの 工場跡地に建てられたカジノリゾートホテルであった. ISWC2015の主なスポンサーを以下に示す.前回から の継続が多いが,今回新たにスポンサー加わったのは

Blazegraph,metaphacts,Oracle, AllegroGraphである.

プラチナスポンサー:Elsevier

ゴ ー ル ド ス ポ ン サ ー:Google,Blazegraph, meta-phacts,ontotext,iMinds,Fujitsu, Yahoo!Labs, Or-acle,IBM Research

シルバースポンサー:AllegroGraph

(3)

名,学生が146名,その他(industry or government person-nel)が111名であった.なお,前回の参加者は630名であっ た.また,今回の日本からの参加はNII,JST,DBCLS, 大阪大,京都大,NHK,日立,ヤフーなど約12名であっ た([7]). 3.2 ISWC2015の動向 3.2.1 プログラム構成と採択率 表 2にISWC2015のプログラム構成別の採択率と著 者の主な国籍を示す([3],[8],[9],[10],[11]).まず本会議の

Research系ではResearch Trackの他にEmpirical Studies and Experimentsがある.後者は本学会に特徴的なTrack

で手法の比較,実験評価に関する論文が対象となる.ISWC

では実験・評価の重要性が増してきており,本Trackは

2012年から始まった([12]).一方,応用系ではアプリケー ションやシステムに関するIn-Use and Software,データ セットやオントロジーに関するトラック,産業用アプリ ケーションに関するIndustryトラックがある.Industrial Trackは2003年から続いている.

次に採択率を見ると,まず本会議では,Research Track

の採択率は約22%でISWC2012以降ほぼ同程度の難易度 と言える.応用のIn-Use and Softwareは約41%と比較的 難易度が低かった.関連して前回までのIn Use Trackの 採択率は年によってバラつきがある.Industry Trackは前 回は約77%,ISWC2012も約63%と難易度は低めだが,今 回の採択率は投稿数のデータが公開されていないため不 明である.また,前回比較的難易度が低かったTrackとし てはReplication, Benchmark, Data, Software Trackが約

41%であったが,今回はTrackの構成が異なり対応するも のがない.

Posters and Demosについては前回は121件(内訳:

Postersが71,Demosが50)が採択され,採択率は約78%で

あったが,今回は採択数は99本にとどまり,採択率は不

明である.

次 に ISWC2015 の 著 者 の 国 籍 に つ い て は Research Track,In-Use and Software,Data Sets and Ontologies

については米,独が目立つ.なお,日本からの本会議の発 表は例年0∼2名と少なく([4]),今回はなかった. 3.2.2 キーワード別発表数 学会の統計情報のサイト[6]では2002年から2015年 までの論文のトレンドの推移を20のキーワードの分布 (Streamgraph)で示している.このうち直近3年分のデー タを切り出したものを図3に示す. あまり大きな傾向の変化は見られないが,データセット とパフォーマンスは継続して増加しており,オントロジー とグラフも昨年より増えている. 3.2.3 セッション別発表数と技術トレンド 今回の本会議のセッションはLinked Dataが3セッショ 図3 ISWC2013-2015キーワード別発表数 図4 セッション別発表数

ン,OBDA(Ontology Based Data Access) and Data Inte-grationが2セッション,Industry系のセッションは3セッ ションであった.

今回のセッション別発表数を図 4に示す.インダスト

リー,Linked Data,OBDA and Data Integrationが順に 多くなっている.Linked Dataの発表数が多いことは,前 述のキーワード別発表数のDatasetの発表数の増加傾向に も影響している可能性がある.参考のため,これらの各 セッションの論文のトピック例を表3に示す. 今回の技術トレンドをセッション別発表数の分布から 推定すると,オントロジーを介してユーザのリクエスト に応じたデータを検索するOBDAは2セッションが設

けられ,発表数も多かった.ISWC2013のBest Research Paper[13]もOBDAに関するものであったが,まだ熱いと 考えられる.

3.2.4 データセットと評価指標

データセットはDBpedia Ontology*11Freebase*12を使 うものが多かった. 評価指標は適合性の評価にNDCGを使うものが多かっ た.これは適合性の評価指標の一つで,適合のグレードを 考慮して高適合であるほど高いスコアを与え,さらに最大 値が1になるように正規化したものである. *11 http://wiki.dbpedia.org/services-resources/ontology *12 https://www.freebase.com/

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2 プログラム構成と採択率,著者の国籍

分類 採択率 ISWC2015の著者の主な国籍

ISWC2015 ISWC2014 ISWC2013 ISWC2012 Research

+Research Track 0.221(38/172) 0.211(38/180) 0.214(45/210) 0.224(41/183) 米(74),独(72),伊(49),中(48) +Empirical Studies and 0.292(7/24) - - 0.195(8/41)

 Experiments Applied

+In-Use and Software 0.412(14/34) In Use Track: In Use Track: In Use Track: 米(59),独(28),アイルランド 0.326(15/46) 0.178(16/90) 0.221(17/77) (21),英(20),伊(17) +Data Sets and Ontologies 0.229(8/35) - - - 米(33),独(28),仏(10) +Industry -(20/ ) 0.769(30/39) - 0.632(12/19)

Posters and Demos -(99/ ) 0.776(121/156) - 0.492(31/63)

3 セッション別トピック例

セッション トピック例

Industry 企業の応用(税関での不正検出, KG,オントロジー統合, Semantic Publishing,症例報告書等) Linked Data応用(事業変革,図書館LD,環境データ処理,日本の科学技術分野のLD,不正検出等) 分析と発見(POI Mining,安全情報の評価,政策に関する文章の配信,地理的な関係の解釈と推論, OD4D(Open Data for Development)プロジェクト,ビッグデータ分析)

Linked Data DBpedia Commons (DBc),オントロジーアラインメントによるDBpediaのエラー検出,

薬物相互作用データ, SPARQLクエリログ, Linked Dataの可視化,評価環境,都市に関するオープン データ収集と欠損値の推定, LODのキャッシュの更新方法,医薬品情報の検索システム,関連エンティ ティランキング,エンティティナビゲーション,教材の自動生成

OBDA and Data Integration 関係データベースからのオントロジー半自動構築,仮想的に統合された複数DBに対するQA, RDFへのマッピングに着目したLinked Dataの評価, OBDAのマッピングの分析手法,

RDBからの自動抽出によるマッピング作成

Entity Resolution and Linking KGのグラフ構造によるエンティティ曖昧性解消,照応解析

Knowledge Graphs KGによる人身売買検出,関連エンティティランキング,音楽アーティストの推薦, link推定

4.

論文紹介

4に今回の受賞リストを示す.以下,受賞論文の一部

とOntology Alignmentの情報検索への応用例を紹介する.

4.1 SWSA Ten-Year Award

この10年でもっともインパクトの大きかったISWCの 論文に贈られるSWSA Ten-Year Awardを受賞したのは

Peter Mika(Yahoo Labs)らの[14]である.これはフォー クソノミーのようなコミュニティベースのオントロジー生

成に関する研究で,ここからWebコミュニティでフォー

クソノミーがセマンティック・ウェブの観点から議論され るようになった.

4.2 Best Research Paper

Best Research PaperはLaurens Rietveld他(アムステ ルダム自由大学)の[16]である.本研究はLinked Dataの 実験環境を提供するプラットフォームに関するもので,現 在のセマンティック・ウェブ研究ではDBpediaなどごく 一部のデータセットで評価をしているため評価結果の一般 性が損なわれているが,本来はLinked Dataの多様性を考 慮して評価をすべきだという問題認識に立っている.

LOD Labは異種のLinked Dataを統一フォーマットに 変換し,コマンドラインから実験に使用するデータの特徴 を指定することで適切なデータセットで大規模な実験が簡 単に行えるようにするものである.

LOD LabのバックエンドはLOD Laundromatというプ ラットフォーム,フロントエンドはFrankという program-ming interfaceである.LOD LaundromatはLinked Data

のクリーニング,調整,再出版を行うプラットフォームで 65万文書から抽出された370億以上のtriplesを提供して いる.Frankでデータの特徴(triple/文書/メタデータ)を 指定すると適切なデータセットが選択され,Bashのコマ ンドラインから大規模データでの実験が行える. このLOD Labを用いてセマンティック・ウェブ分野の3 つの先行研究の実験を再評価したところ,例えばエンティ ティ数によるエンコード時間の差を調べる実験において元 論文では使用したデータセットにより傾向にばらつきが あったが今回の再評価で含まれるエンティティ数ごとに大 規模データを分類して評価したところ,データセットサイ ズがエンコーディング時間に影響することを明確に示すこ とができた. 人手をかけずに大規模なLinked Dataでの評価が可能と

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4 受賞リスト

award title author

SWSA Ten-Year Award Ontologies are us: A unified model of social networks and semantics Peter Mika SWSA Dissertation Querying a Web of Linked Data: Foundations and Query Execution Olaf Hartig Award Towards a Linked Semantic Web: Precisely, Comprehensively and Dezhao

Scalably Linking Heterogeneous Data in the Semantic Web

Best Research Paper LOD Lab: Experiments at LOD Scale L. Rietveld, et al. Best Student Research A Flexible Framework for Understanding the Dynamics of Evolving Y. Roussakis, et al.

RDF Datasets

Best Applied Paper Building and Using a Knowledge Graph to Combat Human Pedro Szekely, et al. Trafficking

Semantic Web Challenge 3cixty@Expo Milano 2015: Enabling Visitors to Explore a Smart Giuseppe Rizzo, et al. City

Best Poster Medical Concept Resolution Nitish Aggarwal, et al. Best Demo Semantic Access to Siemens Streaming Data: the Optique Way Evgeny Kharlamov, et al. People’s Choice Poster Test-driven Assessment of [R2]RML Mappings to Improve Dataset Anastasia Dimou, et al.

Quality

People’s Choice Demo Intermodal public transit routing using Linked Connections Pieter Colpaert, et al.

なり,データのボリューム,variety,selectivityを組み合

わせることでセマンティック・ウェブのアルゴリズム/ア

プローチの評価結果をデータの特徴と関係づけてより詳細 に分析できるようになったということである.

4.3 Best Applied Paper

Best Applied PaperはPedro Szekely(Southern Califor-nia大)らの[15]でナレッジグラフを用いて人身売買に関す る情報を検出しようとするものである.米国では人身売買 市場は年に320億ドルの利益を生み出している.ターゲッ トになりそうな人に関する情報は売春につながるエスコー トサービスや,性的なサービスを提供する違法なマッサー ジパーラーに関する広告に掲載されている.Webから収集 した6800万テキストから抽出した情報をオントロジーに マッピングし,指示対象の同じエンティティを対応づけて 被害者の掲載されている広告の場所などを特定する. 警察では人名や人物特徴,エスコートなどのキーワード でwebを検索してターゲットになりそうな個人に関する広 告の場所を探そうとするのだが膨大な検索結果から関係す る広告の場所をもれなく見つけるのは容易ではないため, knowledge graphをうまく活用しようというわけである. 図5にシステム構成を示す*13 以下,システムの処理の概要を説明する. Data Acquisition まずテキストを収集し,広告テキス ト中の場所や人名や電話番号等の情報を抽出する. Mapping To Ontology データからオントロジーへの マッピングにはKarmaというシステムを使っており, スキーマはSchema.org*14をベースに一部拡張してい *13[15]の図より抜粋 *14https://schema.org/ る.出力フォーマットとしてはElasticsearch*15のよ うにtripleを読めないbig data ツールも考慮して,

RDFだけでなくJSON-LD形式も生成できるように している.

Entity Linking & Similarity エンティティリンキン グでは同じ指示対象をもつエンティティを対応づけ る.イメージについてはある画像の類似画像をDeep learningを用いてDB内の2000万画像から2秒未満 で見つけられる.一方,テキストの方は場所や電話番 号や名前などの類似度のスコア計算に基づいて同じエ ンティティを指すものを対応づけている.例えば電話 番号をキーにして別の広告の売主(seller)が同一人物 であることを特定している.

Knowledge Graph Deployment 次にナレッジグラフ を知識ベースに配置する.JSON-LD形式のドキュメ ントをElasticsearch用にインデクシングしている. なお,Elasticsearchは,検索ライブラリLucene*16 ベースにした高速全文検索・解析エンジンである. Query & Visualization 最後はクエリ検索と結果の視

覚化でシステムのUIでターゲットの人物の名前や特 徴に関する情報を入力すると関連する広告の情報の検 索結果が表示される.リストからいずれかの情報をク リックすると詳細情報が確認でき,広告の場所リスト も出ている. 現在,このシステムは警察組織,非政府組織で実際に人 身売買業者の検出に使われており,今後200以上の政府系 組織でも利用される予定である. *15 https://www.elastic.co/products/elasticsearch *16 http://lucene.apache.org/

(6)

5 システム構成

4.4 Ontology Alignment

Ontology Alignmentは複数のオントロジーで別々に定義

されたカテゴリや属性の対応づけを行う技術である.

On-tology Alignmentを情報検索に応用した例として,Haofen WangらのKnowledge Cardsの統合に関する研究[19]を 紹介する.

Knowledge Cardというのは検索エンジンでキーワード 検索を行った結果,カードのように表示される部分のこと である.例えば「fox」で検索した場合のKnowledge Cards

の例を図6*17に示す.fox」のように指示対象のエンティ ティに曖昧性がある場合,検索エンジンの検索結果には  各エンティティに対応するカードのリストが提示され る.各カードに記載される情報は,属性名とその値のペア の形で記述される.同じエンティティに関するカードでも 検索エンジンによって記載される内容は異なり,例えば この例ではGoogleもBingもFOX放送に対応するカード に「Founded」という同名の属性があるが,値の形式は一 方は年月日情報と場所,もう一方は年と月というように異 なっている.このような複数の検索エンジンのKnowledge Cardsをマージする研究である.

処理の流れとしては,まず複数の検索エンジンから Knowl-edge Cardsを収集し,次に各カードに対応するWikipedia

のエンティティを確率的スコアリングアルゴリズムで同定 し,同じエンティティに関するカードをマージする.そし て関連する属性の対応付けを行い,さらに属性の値の重複 を除いてKnowledge Cardsをマージしたリストを作る. 属性の対応づけの学習に用いた素性としては属性間の語 彙的/意味的類似度,属性値のタイプ(文字列/数値/エン ティティ)の重複率,属性値の一致率(属性の類似度の分 布)がある. インスタンスや属性の対応づけの性能評価を行い,オン トロジー間の対応づけを行う4つの既存ツールとPrecision, Recall, F-Measureを比較したところ,本手法が上回るこ とを確認できたということである.

4.5 Semantic Web Challenge2015

またセマンティック・ウェブ技術を用いたエンドユーザ

*17[19]p.3の図より転載

向けアプリ構築を競うSemantic Web Challenge*18が例年 通り今回も開催され,Giuseppe Rizzoらの[17]が優勝し た.本研究はExpo Milano 2015に合わせて開発されたミ ラノ観光のアプリ(ExplorMI 360*19)向けにイベント,場 所,交通機関,アーティスト,写真,レビュー等の観光関 連情報を知識ベース(3cixty KB)として構築したもので, 前記アプリから閲覧できる他,SPARQLでもアクセスで きる. 4.6 学会参加の印象 以下に今回の学会参加に関する主観的な印象を述べる. プログラム プログラムが充実しており情報収集や知識 習得に最適な場である.会期の前半二日間だけでも 計23ワークショップ,8チュートリアルとDoctoral Consortiumが4会場に分かれて終日同時並行で開催さ れていた.なお,前回のISWC2014も22ワークショッ プ,8チュートリアルとほぼ同規模で開催されている. 本会議では通常のセッションの他,Keynote3本も概 ね好評で,また,Lightning Talks(スライド1枚で2分 以内)は大いに盛り上がり,タウンミーティングでは 次回ISWC2016に向けて活発な意見交換が行われて いた. 参加者 熱心な参加者が多く,会期を通じて全体として参 加率は高かった.特にIndustry Trackは比較的小さい 会場だったが盛況であった*20.会場ではセッション 中だけでなく食事や休憩の時間も他の参加者と共に過 ごしたが,終始和やかな雰囲気の中で気軽に議論や情 報交換ができ,総じて好印象であった.日本人参加者 は国内の関連学会を中心とした常連メンバーが多く, 新規の参加者も経験豊富なメンバーからアドバイスを 受けながらスムーズに参加することができた. 地域差 既に見たように論文の著者はヨーロッパに偏って いる(図2).特に複数の組織の共同研究が目立ち,例 えば今回の受賞論文を見ても,Best Applied Paperや

*18 http://challenge.semanticweb.org/ *19 https://www.3cixty.com/

*20 ISWC2016での本トラックの開催についてはタウンミーティン

グで参加者の意見が求められていたが,現時点の公式ページを見 る限り,開催されない見通しと思われる.

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6 [fox」で検索した場合のKnowledge Cardsの例

7 ExplorMI 360

Semantic Web Challengeの著者は数組織から20名以 上の著者が名前を連ねていた.常連の参加者によると コンピュータサイエンスは一般に米国が中心だが,セ マンティック・ウェブは例外的にヨーロッパが中心と いのことで,地域による背景や研究スタイルの違いを 実感した.本学会は日本からの本会議での発表がまだ 少なく([4]),欧米との大きな差を今後埋めていくため には採択論文を十分分析する必要があるのはたしかだ が,地域差を考慮して,日本の状況に合った課題設定 や研究スタイルも工夫していく必要があり,同分野の コミュニティを中心に今後もさらに議論が必要ではな いかと感じた. 現実世界の問題とセマンティックウェブ 人身売買の情報 を検出するシステムでBest Applied Paperを受賞した 著者はESWC2013のkeynote[18]でセマンティック・ ウェブがユーザが現に今抱えている問題をどのように 解決するかを示すという話に刺激を受け,メインスト リームのユーザの使いやすさを考慮したシステムを 作って,実際に警察組織,非政府組織で使われている. またSemantic Web Challengeで優勝したミラノの観

光情報のKBは実際にExpo 2015やミラノ観光用のア プリで使われている.これらのセマンティック・ウェ ブ技術の応用例に共通している点として,特にセマン ティックウェブを意識せず,一般のユーザが気軽に利 用できるようなインターフェイスが提供されているこ とに着目したい.セマンティック・ウェブ技術が専門 知識をもつ一部の人だけに利用されるのではなくて, 表面からは見えない形であっても世の中に浸透し,現 実の問題の解決に役立つ例が増えていくことが重要と 思われる. 情報発信 会期中は関係者からTwitterで積極的な発信が あり,開かれた学会という印象を受けた.

5.

次回 ISWC2016 に向けて

5.1 開催概要 次回ISWC2016は2016年10月17日から21日まで神 戸で開催される.日本での開催はISWC2004以来,12年 ぶりである.既に公式ページ*21には開催概要とCalls が公開されている.オーガナイザーのリストも公開され ているおり,現時点で日本からの参加予定はLocal Ar-rangements Chair,Posters and Demos Track Co-Chairs,

Doctoral Consortium Co-Chairs,Sponsorship Co-Chairs

である.プログラム構成は未発表だが,上記でResearch,

In-Use,Resources,Posters and Demosの各トラックにつ いてはオーガナイザーが決定しており,次回はIndustry Trackはなくなる見通しと考えらえる.

5.2 国内の動向

国内の同分野の研究コミュニティの動向としては,2015

(8)

年12月4日に次回ISWC2016のキックオフ*22が人工知能 学会セマンティックウェブとオントロジー研究会の主催で 開催された.ISWC2015の参加報告,論文投稿・採択の現 状分析,採択可能性を上げるための工夫や次回ISWC2016 を盛り上げるための議論が行われ,関連テーマでの研究会 の開催予定(2016年2月)が告知された. 論文投稿・採択の現状としては,既に述べたとおり日本 からの本会議への投稿の採択例が少ない状況が続いている. 今後の採択可能性を高めるために,主催者側からはアドバ イスやアイディアが紹介された.ISWCの概要と傾向[12] では実験・評価の重要性が年を追うごとに増加してきてい ることが指摘され,以下の点に留意して実験を実施すべき とのアドバイスが紹介された. オープンな複数のデータセットの利用 ベース手法との比較 他システムとの比較 また,ISWC2016に向けた意見交換では,次回の参加方 法の工夫として以下のアイディアが紹介された. • WS内のコンテスト(チャレンジ)を企画する. まずはPosters&Demosに投稿する.

• Semantic Web Challenge(査読なし)に参加する. 会場からの主な質問,コメントは以下の二点であった. まず,ISWCの今後の展望について,まだ発展する方向か という趣旨の質問があり,トピックは広がっているが,ま だ学術的研究が尽くされた段階ではなく,研究を積み上げ て実際に動くものができ,レベルが上がってきている段 階,等の回答があった.次に評価用データについて,セマ ンティック・ウェブのベンチマークセットがないことを指 摘する意見があり,本学会ではそのような問題意識で関連 トラックが設けられており,データセットの開発に関する 発表も可能とのコメントがあった. 5.3 まとめ セ マ ン テ ィ ッ ク・ウ ェ ブ の 最 高 峰 の 国 際 会 議 で あ る ISWC2015が2015年10月に米国で開催された.本稿で はISWC2015の参加報告として概要と動向,論文の一部 を紹介し,さらに次回ISWC2016に向けた国内の研究コ ミュニティの動向について紹介した.ISWC2015の本会議 のResearch Trackの採択率は 約22%で,本会議での日本 からの発表はなかった.次回ISWC2016(2016年10月,神 戸)の成功に向けて,国内の同分野の研究コミュニティで は2015年12月にキックオフを行い,関連する研究会の開 催(2016年2月予定)を計画するなど準備が進められてい る.ISWCは同分野の情報収集や知識習得に最適な場であ り,次回は12年ぶりの国内開催という貴重な機会であるの で,日本からの参加者や発表が増えることを期待したい. *22https://sites.google.com/site/sigswo15/papers/iswc2016kickoff 参考文献 [1] 神嶌敏弘:データマイニング・機械学習関連の国際会議, 入手先⟨http://www.jpgrid.org/event/2014/ ws45 kamishima.pdf⟩(2015) [2] 赤 埴 淳 一 他:ISWC2003 に 見 る セ マ ン テ ィ ッ ク Web 研 究 動 向 ―ISWC2004 に 向 け て ―, 入 手 先 ⟨http://sigswo.org/papers/SIG-SWO-A302/SIG-SWO-A302-10.pdf⟩(2003) [3] 川村隆浩他:国際会議ISWC2014参加報告, 入 手 先 ⟨sigswo.org/papers/SIG-SWO-035/SIG-SWO-035-11.pdf⟩(2014)

[4] 古 崎 晃 司:Semantic Web Conference に 見 る Linked Open Dataの国際動向, 入手先 ⟨http://www.slideshare.net/KoujiKozaki/semantic-web-conferencelinked-open-data⟩(2015) [5] 人工知能学会2004年度事業報告:入手先 ⟨https://www.ai- gakkai.or.jp/wp/wp-content/themes/shinra-of-the-sun/activity-pdf/general-meeting-20.pdf

[6] STKO Scientometrics Portal: ISWC:

入手先⟨http://scientometrics.geog.ucsb.edu/iswc/⟩ [7] 川村隆浩:ISWC2015の参加報告, ISWC2016キックオフ

(2015).

入手先⟨https://sites.google.com/site/sigswo15/ papers/iswc2016kickoff⟩ (掲載予定)

[8] Alani, H., et al. (Eds.):The Semantic Web - ISWC 2013, 入手先⟨http://www.springer.com/jp/book/9783642413377⟩ [9] Steffen Staab:ISWC2015 Opening Session, 入 手 先

⟨http://www.slideshare.net/steffenstaab/iswc2015-opening-session⟩(2015)

[10] Carole Goble, Abraham Bemstein:Opening and 10 years award presentation,入手先⟨http://videolectures.net/ iswc2014 goble bernstein opening award/⟩(2014) [11] Abraham Bemsterin, et al.,:ISWC2012 Opening Session,

入手先⟨http://videolectures.net/ iswc2012 bernstein opening/⟩(2012)

[12] 市瀬龍太郎:ISWCの概要と傾向,ISWC2016キックオフ (2015).入手先⟨https://sites.google.com/site/sigswo15/ papers/iswc2016kickoff⟩ (掲載予定)

[13] Carsten Lutz, et al.:The Combined Approach to OBDA: Taming Role Hierarchies using Filters,入手先

⟨http://cgi.csc.liv.ac.uk/ frank/publ/filters.pdf⟩(2013)

[14] Peter Mika:Ontologies are us: A unified model of so-cial networks and semantics, In Proceedings of the 4th International Semantic Web Conference (ISWC) (2005) [15] Pedro Szekely, et al.:Building and Using a Knowledge

Graph to Combat Human Trafficking,

入 手 先 ⟨http://usc-isi-i2.github.io/papers/szekely15-iswc.pdf⟩(2015)

[16] Laurens Rietveld, Wouter Beek, and Stefan Schlobach: LOD Lab: Experiments at LOD Scale, 入 手 先

⟨http://laurensrietveld.nl/pdf/lodlab.pdf⟩(2015)

[17] Giuseppe Rizzo, et al.:3cixty@Expo Milano 2015 En-abling Visitors to Explore a Smart City, 入 手 先

⟨http://challenge.semanticweb.org/2015/submissions/

SWC2015 submission 3.pdf⟩(2015)

[18] David Karger :What’s Wrong with Semantic Web Research, and Some Ideas to Fix it, 入 手 先

⟨http://people.csail.mit.edu/karger/Talks/2013-05-27 eswc keynote.pptx⟩(2013)

[19] Haofen Wang, et al.:Effective Online Knowledge Graph Fusion,入手先⟨http://iswc2015.semanticweb.org/sites/ iswc2015.semanticweb.org/files/93660257.pdf⟩(2015)

図 1 ML, DM, & AI に関連する国際会議 表 1 ISWC2002 〜 2015 開催概要 開催年 開催国 参加者数 2002 Italia 2003 USA 470 2004 Japan 460 2005 Ireland 2006 USA 2007 South Korea 2008 Germany 2009 USA 2010 China 2011 Germany 597 2012 USA 2013 Australia 2014 Italia 630 2015 USA 450 2016
表 2 プログラム構成と採択率,著者の国籍
表 4 受賞リスト
図 5 システム構成
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参照

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