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社会福祉施設における終末期がん患者の療養の質についての実態調査

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Academic year: 2021

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(1)公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2017年度(後期) 一般公募「在宅医療研究への助成」完了報告書. 「研究課題名:社会福祉施設における 終末期がん患者の療養の質についての実態調査. 申請者:田上 恵太 所属機関:東北大学大学院 医学系研究科 提出年月日:2020 年 3 月 30 日. 」. 緩和医療学分野.

(2) 1.研究結果、研究成果 (1)研究目的 医療機関・自宅以外の社会福祉施設におけるがん患者の療養や療養に関する意 思決定の実態を明らかにすることである。. (2)調査対象者 a) 入院中に専門的緩和ケアを受けていたがん患者(緩和ケア病棟に入院してい た患者もしくは一般病棟中に緩和ケアチームの介入があった患者)が社会福祉 施設に退院した患者 b) 在宅療養支援診療所が訪問診療・往診を行っているがん患者のうち、医療機 関・自宅以外の社会福祉施設で療養中の患者、およびその家族介護者 (患者) 20 歳以上の進行・再発がん患者で、病状についての告知を受けている (家族介護者) 患者が主たる家族介護者と認める 20 歳以上の家族. (3)調査実施者 インタビュー経験が 10 人以上ある看護師の有資格者.

(3) (4)調査方法 a) 入院中に専門的緩和ケアを受けていたがん患者(緩和ケア病棟に入院してい た患者もしくは一般病棟中に緩和ケアチームの介入があった患者)が社会福祉 施設に退院した患者 緩和ケア病棟に入院中、もしくは一般病棟入院中に緩和ケアチームが介入中で 医療機関・自宅以外の社会福祉施設に退院予定のがん患者・家族 ⇓ 主治医又は緩和ケアチーム担当医より本研究について説明を行い、同意を取得 ⇓ 1回目の調査実施(退院予定 1-7 日前) ・インタビュー調査:本人、家族 ・質問紙調査:本人、家族. ⇓ 緩和ケア病棟および一般病棟から施設に退院 ⇓ 2 回目の調査実施(退院 7-14 日後) ・インタビュー調査:本人、家族 ・質問紙調査:本人、家族. ⇓ 3 回目の調査実施(2 回目の調査から約 3-6 ヶ月後) ・インタビュー調査:本人・家族 ・質問紙調査:本人・家族. b) 在宅療養支援診療所が訪問診療・往診を行っているがん患者のうち、医療機 関・自宅以外の社会福祉施設で療養中の患者、およびその家族介護者 在宅療養支援診療所が訪問診療・往診を行っている、がん患者のうち、 医療機関・自宅以外の施設で療養中の患者・家族 ⇓ 在宅療養支援診療所の担当医より本研究について説明を行い、同意を取得 ⇓ 1回目の調査実施 ・インタビュー調査:本人、家族 ・質問紙調査:本人、家族. ⇓ 2回目の調査実施(1回目の調査から約 3 ヶ月後) ・インタビュー調査:本人・家族 ・質問紙調査:本人・家族.

(4) ※ なお a)の 3 回目、b)の 2 回目の調査前に患者本人が死亡していた場合には、 調査による心理的な影響や負担を考慮し死亡後 3~6 カ月以上期間を空けて、調 査について家族介護者に電話連絡を行い、調査日程・調査場所の調整を行う。 患者が死亡した場合の調査は家族介護者にのみ調査を行うが、家族介護者が調 査を拒否した場合や適格基準に当てはまる家族介護者がいない場合には調査は 行わない。. (5)解析方法 社会施設における終末期の療養の患者や家族の受け止めや心理的影響について の要素を主題分析・内容分析を用いて抽出する。.

(5) (6)調査結果 8 組の患者・家族(内 2 組は患者のみ)に対してインタビューを実施した。 ・対象者背景 患 者 年 齢. 疾患名. 患 者 性 別. a. 75. 後腹膜原 発脂肪肉 腫. 女. b. 87. 乳がん. 女. b. 94. 歯肉がん. 女. b. 89. 肺がん. b. 94. a. 調 査 群. 最終調査時*2 の 療養場所(施設). 退院前に死亡 (施設入所前). 家族介護者 生存/ 性別 死亡. 療養/ 死亡 場所. 入居 期間. 男 (息子). 死亡*3. 病院. なし. なし. 生存. 施設. 約 8 ヶ月. グループホーム (ホームホスピス). なし. 生存. 施設. 約5年. 男. 介護付有料老人ホー ム. 女(娘). 死亡*4. 施設. 約3年. 膀胱がん. 男. サービス付高齢者住 宅. 女(娘). 死亡*4. 施設. 約4年. 82. 子宮がん. 女. グループホーム (ホームホスピス). 女 (息子の妻). 生存. 施設. 約 6 ヶ月. a. 87. 肺がん. 女. サービス付高齢者住 宅. 女(娘). 死亡*4. 施設. 約 2 ヶ月. b. 79. 卵巣がん. 女. サービス付高齢者住 宅. 男(夫). 死亡*4. 施設. 約7年. 介護付有料老人ホー ム. *1: a) 入院中に専門的緩和ケアを受けていた(緩和ケア病棟に入院していた患 者もしくは一般病棟中に緩和ケアチームの介入があった患者)が社会福祉 施設に退院したがん患者、b) 在宅療養支援診療所が訪問診療・往診を行っ ているがん患者のうち、医療機関・自宅以外の社会福祉施設で療養中の患 者、およびその家族介護者 *2: a) 3 回目の調査時、b) 2 回目の調査時 *3: 社会福祉施設への退院前に病院内で死亡したため、退院前の調査(1 回目) のみ施行 *4: a)3 回目の調査時、および b)2 回目の調査時には患者は死亡していたため、 家族介護者のみに調査を施行.

(6) ・解析のまとめ 【入所前の施設への入所の期待と不安】 期待:認知機能が低下している患者の家族が、 「患者と他の利用者とのコミュニ ケーション」を期待している回答がみられた。 不安:また「不安が無い」と回答した人がほとんどであった。希望して施設に 入所した対象が多かったためと考えられる。 「施設がどんな設備があるかわから ない」といった今後の生活に対して不安を訴えていた意見も一例みられた。 【入所した施設の良かったところ】 「職員が良い」、「人の目があって安心できる」と回答した対象が多かった。 特に一人暮らしをしていた患者に関しては、 「人の目があって安心できる」と患 者・家族ともに回答していた。多くの患者・家族が「職員が良い」と回答して おり、特に長く過ごしている患者ほど関係性が構築できていた。また、2 人の 患者・家族は中高年の職員は人生経験が豊富でコミュニケーションが取りやす かったと回答していた。その他には、家族の自宅が施設に近くなったことで「家 族が面会に来やすくなった」ことや「施設の周囲の環境が良い」といった立地 に関する利点が挙がった。 「施設内の環境」について、静かである、トイレが個室についていることがよ い、などといった意見があげられている一方で、食事や入浴に関しては良い評 価と改善が必要という双方向の回答が見られ、施設毎のケアの質の差や患者・ 家族個人の好みが影響している可能性が示唆された。 また本研究の対象者はすべて在宅療養支援診療所が介入していたためか、医療 サポートが施設に入所していても十分受けることができることがあがっていた 【入所した施設の改善してほしいところ】 改善してほしい点を回答した対象は少なかった。前述の通り「食事が口に合わ ない」、 「入浴をゆっくりしたい」という意見が挙がった他には、 「施設スタッフ は患者ともっとコミュニケーションをとってほしい」という回答があった。 【最期に過ごす場所の希望】 最期を希望する場所としては、自宅、施設、病院、ホスピス、不明と個々によ って異なっていた。亡くなられたケースの調査(遺族のインタビュー)からは亡 くなった患者と同じ環境での最期を希望する傾向がみられた。.

(7) 【限界】 ・全例が在宅療養支援診療所の介入を受けていたこと ・対象者が 8 人と少ないこと(特に遺族は 5 人と少ない) ・患者毎の年齢、病状や疾患、全身状態が異なる ・対象が高齢であり、調査時に認知機能低下している場合も多かった。 ・療養している施設の種類や入居期間に偏りが見られた。. (2)研究結果からの本研究の成果の考察 がん患者の社会福祉施設での療養の質に関する患者報告アウトカムを調査・評 価した研究は、これまで本邦では行われていない。本研究の結果は限界が存在 しているが、今後の社会福祉施設での療養の質の向上に向けた有意義な知見が 多く得られた。 ほとんどの対象者は、入所前から不安がない、入所後も不安なく過ごしている、 過ごすことが出来た、と回答した。この結果は、一般的にケアや生活の支援が 大変であり多くの医療資源を必要とすると思われているがん患者も社会福祉施 設で安心して暮らしていけることを示唆している。 また本研究の結果は、すべての対象者が在宅療養支援診療所や訪問看護の 24 時間の医療サポートを受けていることも関係していると考えられる。在宅医療 の密な介入により、全身状態の管理や症状緩和だけではなく、患者・家族の安 心、そして社会福祉施設スタッフの安心にも繋がっていることが示唆できる。 概ね施設療養に満足している結果となったが、食事・入浴の支援やケアへの改 善点なども挙げられたため、より安心な施設療養の提供や環境整備に向けて、 良い面・改善が求められる点双方をフィードバックしていく。. (3)本研究からの今後の展開等 本研究は対象者のリクルートに難儀し、少人数での調査にとどまった。本研究 はパイロット研究としての意味合いを十二分に持っているため結果を鑑みた上 で、今後参加施設を増やし改めて調査を行っていきたい。 また遺族を対象にした広い横断調査を行うことで、社会福祉施設での療養の印 象や問題点、解決点などを明らかにしていくことを計画している。そして、介 護職員の看取りに関する認識や経験を調査した研究グループ(川上ら. 介護職 員の看取りに対する認識と認識に影響する要因─混合研究法を用いた探索的研 究─Palliat Care Res.2019; 14(1):43-52))と協働し、互いの調査結果を鑑み ながら、住み慣れた施設で進行性疾患と付き合いながら最期まで安心して療養.

(8) できるための、教育プログラムや地域社会・医療・福祉の連携の体系の提案を 行っていきたい。. 2.本研究の助成について 本研究「社会福祉施設における終末期がん患者の療養の質についての実態調査」 は、公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成によって行われた。. 3.感想 本研究に多くの御支援を賜り、大変感謝しております。 本研究の当初の対象者は、上記の a(入院中に専門的緩和ケアを受けていたがん 患者(緩和ケア病棟に入院していた患者もしくは一般病棟中に緩和ケアチーム の介入があった患者)が社会福祉施設に退院した患者)であったが、1 年間で対 象者が 1 名のみであったため、b(在宅療養支援診療所が訪問診療・往診を行っ ているがん患者のうち、医療機関・自宅以外の社会福祉施設で療養中の患者、 およびその家族介護者)を追加しました。研究開始前年度の a の対象者が 7 名で あったことから症例集積は可能と見積もっておりましたが、見込み通りの状況 にならず戸惑いました。幸いにも対象の拡大を御許可いただけたことで、ここ まで調査を進めることが出来ました。.

(9)

参照

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