Title
TNF-αによる肝細胞アポトーシス誘導機構に関する研究 1.
Caspase activation during hepatocyte apoptosis induced by tumor
necrosis factor-α in galactosamine-sensitized mice 2. Possible
involvement of reactive oxygen species in
D-galactosamine-induced sensitization against tumor necrosis factor-α-D-galactosamine-induced
hepatocyte apoptosis 3. TNF-α-induced sphingosine
1-phosphate inhibits apoptosis through a phosphatidylinositol
3-kinase/Akt pathway in human hepatocytes( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
大澤, 陽介
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第486号
Issue Date
2002-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14639
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氏名 (本籍) 大 澤 陽 介(岐阜県) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 博 士(医学) 甲第 486 号 平成14 年 3 月 25 日
学位規則第4条第1項該当
TNF-∝による肝細胞アポトーシス誘導機構に関する研究1.Caspase activation during hepatocyte apoptosisinduced bY tumOr
necrosis factor-∝in galactosamine-SenSitized mice
2.PossibleinvoIvement of reactive oxygen specie$in D-galactosamine-induced sensitization against tumor necrosis factor-∝-induced hepatocyte apoptosis
3.TNF-CE-induced sphingosinel-Phosphateinhibits apoptosis through・ a phosphatidylinosito13-kinase/Akt pathwayin human hepatocytes
(主査)教授 森 脇 久 隆
(副査)教授 中 島 茂 教授 藤 原 久 義
論 文 内 容 の 要 旨
劇症肝炎の病態は急激に生じる広範な肝細胞死によって特徴づけられるが,そのメカニズムは未だ十分には解
明されていない。Tumor necrosis factor(TNF)-a/TNF受容体を介するシステムが多くの細胞にアポトーシ
スを誘導することが知られており,肝細胞においても与NF-αは肝細胞障害を惹起することが明らかにされつつ
ある。実際に,劇症肝炎患者の肝組織中ではアポトーシスに陥った肝細胞が認められ,血清中のTNF-αが高値 を示すことから,TNF-αにより誘導される肝細胞アポトーシスが劇症肝炎発症に重要な役割を果たしている可 能性が高い。_しかし,肝細胞はTNF-α単独ではアポトーシスに陥ることはない。そのメカニズムとしてTNF-α 自身が生存シグナルを誘導することが示唆されている。また,何らかの刺激により肝細胞をTNF-αに対して感 受性を示す状態(sensitization)にすることも必要であると考えられて、いる。したがって,肝細胞のTNF-aに より誘導されるアポトーシスシグナルやTNF-α抵抗性のメカニズムが解明されれば,劇症肝炎の病態と,さら には肝障害抑制への有用な知見が得られるものと期待できる。そこで,本研究では肝細胞におけるTNF-αのシ グナルメカニズムを明らかにすることを目的として,わu血0モデルとしてマウス肝障害モデル,i几Uよ云mモデ ルとしてヒト胎児肝臓由来のHc細胞およびヒト高分化型肝細胞癌由来のHl山一7細胞を用いて検討を行った。 論文1)では,Galactosamine(GalN)/TNF-a併用投与により惹起されるマウス肝障害モデルにおける細胞 死のメカニズムを検討した。GalN/TNF-α併用投与により,肝障害の発生と一致してカスバーゼー9,-3の活性 化が認められた。また,チトクロームcがミトコンドリアより細胞質に放出された。一方,GalNあるいはTNF-α単独投与群ではこれらの変化は認められなかった。カスバーゼー9活性化の引き金となるチトクロームcの放出 には,ミトコンドリア膜の透過性元進が必要であるが,本モデルでは肝組織中のセラミドの増加がチトクローム cの放出に先行していることから,ミトコンドリア膜の透過性元進にセラミドが関与している可能性が示唆され た。 論文2)ではGalN sensitizationのメカニズムについて検討した。論文1)で示された様に,マウスではTNF-αが肝障害を惹起するためには,GalNの併用投与が必要である。そのメカニズムを解明するために,抗アポトー シス効果が知られているBcl-2family,nuClear factor(NF)-KBについて検討を行ったが,GalNはTNF-a刺 激によるこれら抗アポトーシス分子の発現には全く影響を与えなかった。そこで,GalN投与により発現が上昇する遺伝子をmRNA fingerprinting analysis using arbitrary primed PCR法を用いて探索した。その結果,
発現が上昇する分子として抗酸化作用をもつSelenoprotein Pを同定した。Selenoprotein Pの発現上昇は
-21-c。nCanaValinA投与により惹起されるマウス肝障害モデルでも認められた。抗酸化作用を持っ酵素の発現上昇 は活性酸素種の発生を示唆しており,実際にGalN投与により肝組織中では,活性酸素種生成の指標となる過酸
化脂質が上昇していた。また,H止一7細胞を用いた検討では過酸化水素カラTNF一αによるアポトーシスの感受性
を高めたことから,肝細胞sensitizationに活性酸素種の関与が示唆された。 論文3)ではTNF-aにより誘導される生存シグナルについて,Hc,Huh-7両細胞を用いてinuitroで検討した0 その結果,TNF-aにより誘導される生存シグナルとして,NF一花Bおよびphosphatidylinosito13-kinase(PI3K) /Aktが活性化されることが明らかとなった。PI3K/AktはNF-XBの上流で活性化されるとの報告もあるが・ 今回の検討では,両者は独立に活性化されていた。さらに,TNF-aによりsphingosinekinase(SphK)の活性 化およびその生成物であるsphingosinel-Phosphate(SIP)の生成が認められた。SphK阻害剤を併用すると・TNF_a誘導アポトーシスの増強,およびPI3K/Akt活性の低下がみられた。一方,Sli)の併用投与によりTNF-aによ去アポトーシスは減弱され,PI3K/Akt活性は逆に上昇した。したがって,SphK/SIPがPI3K/Aktの
上流に存在し,TNF-αにより誘導される抗アポトーシスシグナルとして作用していることが示唆された○ 以上の結果から,炎症性サイトカインであるTNF-αが肝細胞アポトーシスの誘導に重要な役割を果している ことが示唆された。また,他のアポトーシスと同様に肝細胞においても,ミトコンドリア,カスバーゼを介する 経路で細胞が死に至ることが明らかとなった。しかし,このような危険な分子機構が容易に作動することを巧妙 な生体が放置するはずなく,アポトーシスに向かうシグナル伝達は厳密に抑制されており,正常な状態では肝細 胞はTNF-αに対して抵抗性を示す。TNF-αによるアポトーシスの実行には活性酸素種の発生・ ぁるいは NF_KBやPI3K/Aktなどの生存シグナルの消去が同時に必要であることが明らかとなった。生体においては薬 剤やウイルス感染などが,このようなメカニズムを実行し,肝細胞にTNF-αに対する感受性を獲得させている ことが想定される。 論文審査の結果の要旨 申請者 大澤陽介はTNF一αにより誘導される肝細胞障害において,アポトーシスを中心とした細胞死のシグ ナルメカニズムを検討し,以下の点を明らかにした。①TNF-α誘導肝細胞アポトーシスシグナルはミトコンド リア,カスバーゼを介する。②肝細胞のsensitizationに活性酸素種が関与する。③TNF-aによりNF一花Bと SphK/SIP,PI3K/Aktを介した生存シグナルが,同時に独立して活性化される0 本研究の成果は,肝細胞アポトーシスメカニズムに新しい知見をもたらし・細胞情報学のみならず肝臓病学の 発展に少なからず寄与するものと認める。' [主論文公表誌] TNF-'αによる肝細胞アポトーシス誘導機構に関する研究 1.Caspaseactivationduringhepatocyteapoptosisinducedbytumornecrosisfactor-aingalactosamine-sensitized mice Liver,2001;21:309∼3192.Possibleinvol)ement of reactive oxygen speciesin D-galactosamine-induced sensitization against
t11mOr neCrOSis factor-a-induced hepatocyte apoptosis Journalof CellularPhysiology,2001;187:374∼385
3.TNF-a-induced sphingosinel-phosphateinhibits apoptosis through a
phosphatidylinosito13-kinase/Akt pathwayin human hepatocytes TheJournalofImmunology,2001;167:173∼180