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シンポジウム報告書 第3回外国語教育の未来を拓く グローバル時代を生き抜くための外交語教育 いまこそ多様な外国語教育を進めよう!

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Academic year: 2021

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全文

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128 j r L J r Y j L j j t j J J CCC : > A ( L ) 2./70 5 101/ 『複 言 語 ・多 言 語 教 育 研 究 』 日 本 外 国 語 教 育 推 進 機 構 会 誌 No.3 (2015) pp.128-157

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趣旨・⽬的

21世 紀 の グ ロ ー バ ル 社 会 及 び 多 文 化 共 生 社 会 の 構 築 に お い て 、 国 家 間 に お い て も 個 々 人 に お い て も 、 相 互 の 意 思 疎 通 や 相 互 理 解 が 必 須 で あ る 。 多 言 語 ・ 多 文 化 教 育 、 あ る い は 複 言 語 ・ 複 文 化 の 考 え 方 こ そ が 、 安 定 し た 社 会 の 基 盤 づ く り の 鍵 を 握 っ て い る と 考 え る 。 い ま こ そ 時 代 の 要 請 に 応 え る た め に 、 内 容 豊 か で 多 様 な 外 国 語 教 育 を 推 進 す る こ と が 急 務 で あ る 。第 3回 目 を 迎 え た JACTFLの シ ン ポ ジ ウ ム で は 、2020年 に 開 催 さ れ る 東 京 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク を 視 野 に 入 れ 、 日 本 の 足 元 で 身 近 に 広 が る 多 言 語 ・ 多 文 化 状 況 に 対 応 す る た め に 、 学 校 教 育 で の 言 語 教 育 の あ り 方 を 参 加 者 と と も に 討 議 し た 。 多 言 語 能 力 ・ 多 文 化 能 力 を 身 つ け た 人 づ く り が 喫 緊 の 課 題 で あ る こ と を 参 加 者 と 共 有 し 、 東 京 都 教 育 庁 に も 具 体 的 な 提 案 を 行 っ た 。

実施概要

日 時 : 2014 年 3 月 8 日 ( 土 ) 10: 00~ 17: 30 場 所 : 上 智 大 学 四 谷 キ ャ ン パ ス 主 催 : 一 般 社 団 法 人 日 本 外 国 語 教 育 推 進 機 構 (JACTFL) 上 智 大 学 国 際 言 語 情 報 研 究 所 ( SOLIFIC) 特 別 協 力 : 一 般 財 団 法 人 日 本 私 学 教 育 研 究 所 、 公 益 財 団 法 人 国 際 文 化 フ ォ ー ラ ム 後 援 : 文 部 科 学 省 、 外 務 省 、 経 済 産 業 省 、 在 日 フ ラ ン ス 大 使 館 / ア ン ス テ ィ チ ュ ・ フ ラ ン セ 日 本 、在 日 ロ シ ア 連 邦 大 使 館 、駐 日 韓 国 大 使 館 韓 国 文 化 院 、 中 国 大 使 館 教 育 部 、 独 立 行 政 法 人 国 際 交 流 基 金 、 東 京 ド イ ツ 文 化 セ ン タ ー 、 ブ リ テ ィ ッ シ ュ ・ カ ウ ン シ ル 、 セ ル バ ン テ ス 文 化 セ ン タ ー 東 京 、 ケ ベ ッ ク 州 政 府 在 日 事 務 所 協 力 : 外 国 語 教 育 学 会 、 日 本 言 語 政 策 学 会 、 日 本 外 国 語 教 育 改 善 協 議 会 、 高 等 学 校 中 国 語 教 育 研 究 会 、 中 国 語 教 育 学 会 、 朝 鮮 語 教 育 学 会 、 日 本 フ ラ ン

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130 ス 語 教 育 学 会 、 日 本 独 文 学 会 ド イ ツ 語 教 育 部 会 、 日 本 イ ス パ ニ ヤ 学 会 、 日 本 ロ シ ア 文 学 会 、 全 国 英 語 教 育 研 究 団 体 連 合 会 、 異 文 化 間 教 育 学 会 、 ケ ン ブ リ ッ ジ 大 学 英 語 検 定 機 構 、 日 本 英 語 教 育 学 会 、 筑 波 大 学 中 央 ア ジ ア 事 務 所 、 高 等 学 校 韓 国 朝 鮮 語 教 育 ネ ッ ト ワ ー ク 、 日 本 ロ シ ア 語 教 育 研 究 会 、 日 本 ス ラ ヴ 人 文 学 会 、 公 益 社 団 法 人 日 本 語 教 育 学 会 、 公 益 財 団 法 人 フ ラ ン ス 語 教 育 振 興 協 会 、国 際 教 育 活 動 ネ ッ ト ワ ー ク ( REX-NET)、 日 本 国 際 理 解 教 育 学 会 、 新 英 語 教 育 研 究 会 、 高 等 学 校 ド イ ツ 語 教 育 研 究 会 、 日 本 中 国 語 学 会 、 ス ペ イ ン 語 教 育 研 究 会 ( 順 不 同 ) 参 加 者 : 219 名 ( 定 員 200 名 を 超 え る 申 込 で 、 開 催 数 日 前 に 公 募 受 付 を 終 了 し た 。 小 中 高 校 の 教 育 現 場 の 教 師・管 理 職 、大 学 関 係 者 、文 科 省・外 務 省 ・ 国 際 交 流 基 金 等 の 省 庁 関 係 者 、 東 京 都 教 育 庁 を 始 め と す る 地 方 自 治 体 の 教 育 行 政 者 、 海 外 5 か 国 の 大 使 館 ・ 文 化 交 流 基 金 の 代 表 者 、 NPO 関 係 者 、 メ デ ィ ア 、 企 業 、 学 生 等 々 、 多 分 野 の 方 々 が 参 加 し て 、 終 日 活 発 な 討 議 を 重 ね る こ と が で き た 。 参 加 費 : JACTFL 会 員 ( 無 料 ) / 一 般 ( 会 場 整 理 費 ・ 資 料 代 と し て 1000 円 )。 資 料 と し て は 、 全 体 プ ロ グ ラ ム 、外 国 語 教 育 の 多 様 化 を 推 進 す る 方 策 を 探 る多 言 語 教 育 事 例 集 、 東 京 都 長 期 ビ ジ ョ ン (概 要 図 )が 配 付 さ れ た 。

プログラム⼀覧

敬 称 略 全 体 司 会 の 迫 田 久 美 子 ( 国 立 国 語 研 究 所 ) に よ り プ ロ グ ラ ム は ほ ぼ 予 定 ど お り に 進 行 し た 。 【 午 前 の 部 】 10:00 ~ 10:20 開 会 ・ 挨 拶 山 崎 吉 朗 (JACTFL 理 事 長 ・日 本 私 学 教 育 研 究 所 )、 川 中 仁 (上 智 大 学 学 生 総 務 担 当 副 学 長 )、 圓 入 由 美 ( 文 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 外 国 語 教 育 推 進 室 長 )

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131 1 0 : 2 0 ~ 1 2 : 3 0 シ ン ポ ジ ウ ム 「 い ま 必 要 と さ れ る 多 様 な 外 国 語 能 力 と そ の 教 育 の あ り 方 ―T O K Y O 2 0 2 0 に 向 け て 」 ◆ ビ デ オ 上 映 :「 ど う 対 応 す る ? 東 京 に 広 が る 多 言 語 ・ 多 文 化 状 況 」 ◆ 発 表 ・ デ ィ ス カ ッ シ ョ ン : モ デ レ ー タ : 吉 田 研 作 ( 上 智 大 学 言 語 教 育 研 究 セ ン タ ー 長 / 教 授 ) 発 表 者: 三 森 ゆ り か( つ く ば 言 語 技 術 教 育 研 究 所 長 )、古 石 篤 子 (慶 應 義 塾 大 学 名 誉 教 授)、 高 野 敬 三 ( 東 京 都 教 育 庁 教 育 監 ) 12:30 ~ 13:30 昼 食 休 憩 【 午 後 の 部 】 1 3 : 3 0 ~ 1 5 : 0 0 分 科 会 「 外 国 語 教 育 の 多 様 化 を 推 進 す る 方 策 を 探 る 」 ◆ 第 1 分 科 会 : 小 中 学 校 の 部 司 会 運 営 : 境 一 三 ( 慶 應 義 塾 大 学 )・ 吉 村 雅 仁 ( 奈 良 教 育 大 学 ) コ メ ン テ ー タ : 古 石 篤 子 ( 慶 應 義 塾 大 学 ) 事 例 報 告 : 秦 さ や か ( 東 京 都 新 宿 区 立 淀 橋 第 四 小 学 校 ) 、吉 村 雅 仁 ( 奈 良 教 育 大 学 ) 中 嶋 雅 巳 ( 慶 應 義 塾 普 通 部 ) ◆ 第 2 分 科 会 : 高 等 学 校 の 部 司 会 運 営 : 山 下 誠( 神 奈 川 県 立 鶴 見 総 合 高 等 学 校 )・水 口 景 子( 国 際 文 化 フ ォ ー ラ ム ) コ メ ン テ ー タ : 山 崎 吉 朗 ( 日 本 私 学 教 育 研 究 所 ) 事 例 報 告 : 栃 倉 和 則 ( 東 京 都 立 小 平 高 等 学 校 ) 桜 田 京 子 ( 神 奈 川 県 立 横 浜 国 際 高 等 学 校 ) 西 澤 俊 幸 ( 長 野 県 穂 高 商 業 高 等 学 校 ) ◆ 第 3 分 科 会 : 大 学 の 部 司 会 運 営 : 大 森 洋 子 ( 明 治 学 院 大 学 ) ・四 宮 瑞 枝 ( 早 稲 田 大 学 ) コ メ ン テ ー タ : 森 住 衛 ( 桜 美 林 大 学 ) 事 例 報 告 : 齋 藤 伸 子 ( 桜 美 林 大 学 )、 谷 洋 之 ( 上 智 大 学 )、 武 井 隆 道 ( 筑 波 大 学 ) 15:00-15:30 休 憩 ・ 交 流 1 5 : 3 0 - 1 7 : 2 0 全 体 会 ◆ 各 分 科 会 報 告

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132 ◆ 「 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク 開 催 に 向 け て ― 東 京 都 に 提 案 す る ! 」 司 会 運 営 : 黒 澤 眞 爾 ( 関 東 国 際 高 等 学 校 ) ・中 野 佳 代 子 (国 際 交 流 基 金 ) 東 京 都 教 育 庁 :「 東 京 都 長 期 ビ ジ ョ ン 」 に つ い て 全 体 討 議 : 多 言 語 教 育 の 推 進 ・ グ ロ ー バ ル 人 材 づ く り に 向 け て の 提 案 17:30 挨 拶 ・閉 会 吉 田 研 作 ( JACTFL 副 理 事 長 / 上 智 大 学 )

各プログラムの発表・討議内容(要旨)

【午前の部】

圓 ⼊ 由 美 ( ⽂ 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 国 際 教 育 課 外 国 語 教 育 推 進 室 ⻑ ) の ス ピ ー チ 冒 頭 の 主 催 者 よ り の 挨 拶 に 続 き 、 来 賓 と し て 、 文 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 国 際 教 育 課 外 国 語 教 育 推 進 室 の 圓 入 由 美 室 長 よ り 挨 拶 が あ っ た 。 こ れ ま で の 文 部 科 学 省 の 英 語 以 外 の 外 国 語 教 育 に つ い て の 政 策 を 振 り 返 り な が ら (JACTFL 会 誌 第 3 号 寄 稿 文 ご 参 照 )、 外 国 語 教 育 の 多 様 化 の 必 要 性 、 重 要 性 に つ い て 前 向 き の 発 言 が あ っ た 。 外 国 語=英 語 の 傾 向 は 省 内 に も あ り 、 い つ も 英 語 を 外 国 語 に 直 し て 英 語 偏 重 を 修 正 し て い る と の 話 も あ っ た 。 室 長 ご 自 身 、 学 生 時 代 よ り 留 学 生 と の 交 流 に 関 わ っ て き た と の 由 、 心 強 い メ ッ セ ー ジ で あ っ た 。 現 在 の 政 府 の 関 心 は 、 グ ロ ー バ ル 化 に 対 応 す る 力 、 グ ロ ー バ ル 人 材 に 必 要 な 資 質・能 力 を 育 て る こ と に あ る 。4- 5 年 前 か ら 産 業 界 の 強 い 要 請 を 受 け て 、 語 学 力 だ け で な く 、主 体 性 、積 極 性 、協 調 性 、責 任 感 、使 命 感 、異 文 化 理 解 、 日 本 人 と し て の ア イ デ ン テ ィ テ ィ ー 等 の 21 世 紀 型 の 資 質 形 成 が 眼 目 と な っ て い る 。 第 2 期 教 育 振 興 計 画 や 学 習 指 導 要 領 の 改 訂 作 業 で も 、そ れ が 中 心 課 題 と な っ て い る 。 多 言 語 教 育 に つ い て も 、 学 習 者 の 人 数 を み る だ け で な く 、 英 語 以 外 の 外 国 語 を 学 ん だ 若 い 人 が 、 そ の 後 ど ん な 役 割 を 社 会 で 果 た し て い る の か 、 ぜ ひ 具 体 的 な 成 果 を 収 集 し 、 そ の 重 要 性 を 省 内 及 び 世 の 中 で 認 識 し

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133 て も ら え る よ う 精 一 杯 努 力 し た い と 結 ん だ 。

シンポジウム

「 い ま 必 要 と さ れ る 多 様 な 外 国 語 能 ⼒ と そ の 教 育 の あ り ⽅ ― TOKYO 2020 に 向 け て 」 ◆ オ ー プ ニ ン グ の ビ デ オ 上 映:「 ど う 対 応 す る ? 東 京 に 広 が る 多 ⾔ 語・多 ⽂ 化 状 況 」 2020 年 オ リ ン ピ ッ ク・パ ラ リ ン ピ ッ ク の 開 催 地 、東 京 に 広 が る 多 言 語 多 文 化 状 況 を 、 現 場 の 取 材 や イ ン タ ビ ュ ー を 交 え て 改 め て 浮 き 彫 り に し て 、 国 際 都 市 東 京 に 喫 緊 に 求 め ら れ る 、 多 様 な 言 語 や 文 化 を 背 景 に も つ 人 び と へ の 社 会 的 対 応 及 び 多 言 語 教 育 の 環 境 整 備 の 必 要 性 を 改 め て 提 起 し た 。 こ と ば の キ ャ ッ チ ボ ー ル ・ 心 の キ ャ ッ チ ボ ー ル オ リ ン ピ ッ ク 組 織 委 員 会 公 式 マ ー ケ テ ィ ン グ 専 任 代 理 店 で あ る 株 式 会 社 電 通 の 高 橋 ス ポ ー ツ 局 長 に 、 企 業 人 か ら み る 多 言 語 教 育 の 必 要 性 に つ い て 聞 い た 。「 ス ポ ー ツ も い ま や グ ロ ー バ ル な 時 代 。ビ ジ ネ ス の 世 界 で は 英 語 で 対 応 す る こ と が 多 い が 、 相 手 の 母 語 で 、 ち ょ っ と し た こ と ば の キ ャ ッ チ ボ ー ル を す る こ と で 、 人 間 関 係 が 円 滑 に な り 、 ビ ジ ネ ス も ス ム ー ズ に 運 ぶ こ と が よ く あ る 。 こ と ば は と て も 大 事 だ 。 そ れ と 同 時 に 、 世 界 中 か ら 東 京 に き て く れ る 多 様 な 人 び と と 、 普 通 の 日 本 人 が リ ラ ッ ク ス し て 交 流 し て 、 外 国 人 に 対 し て も っ て い る 心 の バ リ ア を は ず す こ と が で き た ら 嬉 し い 。 そ う し た き っ か け に オ リ ン ピ ッ ク が な っ た ら と 願 っ て い る 」 と の メ ッ セ ー ジ が 印 象 的 だ っ た 。 急 が れ る 多 言 語 多 文 化 に 対 応 す る 環 境 づ く り 東 京 に や っ て く る 観 光 客 、 買 い 物 客 が 急 増 中 。 長 期 滞 在 す る 外 国 人 も 増 え て お り 、 公 立 校 で の 外 国 籍 の 児 童 生 徒 も 年 々 増 え て い る 。 大 手 家 電 店 で 働 く

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134 店 員( 大 学 で 韓 国 語 を 履 修 )、渋 谷 の 小 学 校 の 校 長・日 本 語 教 室 の 教 諭 、区 役 所 の 窓 口 の 人 、 そ し て 渋 谷 で コ ミ ュ ニ テ ィ ー を 形 成 す る ベ ト ナ ム 人 た ち へ の イ ン タ ビ ュ ー か ら 、 外 国 人 を 受 け 入 れ る 社 会 体 制 、 多 言 語 環 境 、 多 文 化 へ の 対 応 が ま だ ま だ 不 十 分 で あ り 、 今 後 の 課 題 が 山 積 し て い る こ と が 浮 か び 上 が っ た 。 多 言 語 ・ 多 文 化 の 教 育 が 必 要 と さ れ て い る 。

◆発表

3 名 の 発 表 者 の 紹 介 の 後 、 モ デ レ ー タ の 吉 田 研 作 ( 上 智 大 学 言 語 教 育 研 究 セ ン タ ー 長 / 教 授 ) か ら 、 シ ン ポ ジ ウ ム の 趣 旨 説 明 が あ っ た 。 日 本 に い な が ら に し て 外 国 語 が 必 要 な 時 代 が や っ て き た 。 外 国 語 の 中 で も 英 語 は 大 事 で は あ る が 、 そ れ だ け で は 足 り な い の は 明 白 で あ る 。 マ ン デ ラ 元 大 統 領 が 「 わ か る こ と ば を 使 え ば 相 手 の 頭 に は 訴 え ら れ る 。 で も 相 手 の 心 に 訴 え る に は 、 相 手 の こ と ば を 使 わ な け れ ば な ら な い 」 と 言 っ た よ う に 、 心 と 心 が つ な が る に は 、 お 互 い の こ と ば で の 対 話 が 必 要 で あ る 。 上 智 で も 、 毎 年 学 生 を カ ン ボ ジ ア に 連 れ て い っ て 現 地 の 子 ど も に 英 語 を 教 え さ せ て い る 。 英 語 を 共 通 語 に し な が ら も 、 や が て 学 生 と 子 ど も た ち は ク メ ー ル 語 と 日 本 語 で 話 す よ う に な り 心 を 通 わ せ る 。 自 分 の 授 業 で は 、 英 語 を 使 っ て 英 語 以 外 の 言 語 (10 言 語 ) を 教 え る 事 も し て い る 。 ア ジ ア 各 国 で 第 2 外 国 語 が 制 度 化 さ れ て い る 中 、日 本 の 高 校 生 330 万 人 の 内 、 英 語 以 外 の 外 国 語 を 学 習 す る 高 校 生 が 僅 か 5 万 人 弱 ( 全 体 の 1.5%)、 教 え る 高 校 は 713 校 し か な い と は 深 刻 な 状 況 で あ る 。オ リ ン ピ ッ ク を 機 に 、ぜ ひ 東 京 都 に は 率 先 し て 多 言 語 教 育 を 推 進 し て も ら い た い し 、 わ れ わ れ も 行 政 を 支 え る よ う に 努 力 し て い き た い 。 本 日 は 、 そ の 具 体 的 な 方 策 に つ い て 、3 人 の 方 か ら ご 提 案 を い た だ き た い 。 三 森 ゆ り か ( つ く ば 言 語 技 術 教 育 研 究 所 長 ): グ ロ ー バ ル ス タ ン ダ ー ド な 母 語 教 育 ― 言 語 技 術 教 育 ・ 体 系 と 内 容 ― 多 言 語 教 育 の 話 に 行 く 前 に 、 言 語 教 育 の 基 本 的 な あ り 方 を 問 い た い 。 外 国 語 以 前 に 先 ず し っ か り と 日 本 語 で 「 言 語 技 術 」 を 身 に つ け る 必 要 が あ る 。 そ う す れ ば 外 国 語 も で き る よ う に な る 。 欧 米 各 国 で は Language Arts( 言 語 技

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135 術 ) を 教 え る 伝 統 が あ り 、 小 学 校 か ら 高 校 ま で 一 貫 し た 言 語 技 術 の 訓 練 を 行 っ て い る 。 そ う し た 教 育 を 受 け て い な い か ら 、 多 く の 日 本 人 は 、 外 国 人 が わ か る よ う に 話 が で き な い 、 問 答 が で き な い 、 論 理 性 が な く 説 明 の 仕 方 を 知 ら な い 、 論 文 が 書 け な い 、 表 現 の 仕 方 が わ か ら な い 。 分 析 力 が な い か ら 批 判 的 ・ 分 析 的 に 文 章 が 読 め な い 。 グ ロ ー バ ル 人 材 の 要 件 と し て の 言 語 力 ・ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 力 、 外 国 語 能 力 を 育 て る に は 、 そ の 前 提 と し て こ う し た 言 語 技 術 が 習 得 で き る よ う に 、 適 切 な 言 語 ト レ ー ニ ン グ が 必 要 で あ る 。 古 石 篤 子 ( 慶 應 義 塾 大 学 名 誉 教 授 / J A L P 多 言 語 教 育 推 進 研 究 会 代 表 ): 多 言 語 教 育 の 多 様 化 に 向 け て 日 本 の 外 国 語 教 育 の 問 題 点 は 、 英 語 一 極 集 中 で あ る こ と 、 ス キ ル 偏 重 で あ る こ と で あ る 。 第 2 外 国 語 教 育 を 制 度 化 し て 外 国 語 教 育 を 多 様 化 し 、言 語 運 用 能 力 だ け で は な い グ ロ ー バ ル 人 材 の 資 質 形 成 と し て の 外 国 語 教 育 を 推 進 す べ き で あ る 。 共 通 語 で あ る が 故 に 、 誰 の こ と ば で も な い 英 語 で は な く 、 相 手 の 母 語 を 使 っ て や り と り を す る こ と で 相 手 の 心 に 気 持 ち が 伝 わ る 。 英 語 プ ラ ス ワ ン で 複 数 の 外 国 語 を 学 ぶ こ と に よ っ て 、 視 野 が 広 が り 相 対 化 す る こ と が で き て 、固 定 観 念 を 緩 和 す る こ と が で き る( 言 語 の 三 角 測 量 )。一 つ の 外 国 語 で は か え っ て ス テ レ オ タ イ プ に な る こ と が 珍 し く な い (CEFR)。 日 本 言 語 政 策 学 会 の 一 研 究 会 と し て 、高 校 の 多 言 語 教 育 の 推 進 を め ざ し た「7 言 語 の 学 習 指 導 要 領 案 」 を 文 科 省 ほ か に 提 言 し た が 、 反 応 が な い 。 幼 稚 園 か ら 大 学 ま で 、一 貫 し た 計 画 的 言 語 教 育 が 実 施 さ れ る こ と を 望 む( 山 田 雄 一 郎 )。 オ リ ン ピ ッ ク を 視 野 に 長 期 戦 で 多 様 化 を 推 進 す る こ と を 訴 え て い き た い 。 高 野 敬 三 ( 東 京 都 教 育 庁 教 育 監 ): グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 の た め の 東 京 都 の 教 育 施 策:東 京 都 に お け る 多 言 語 教 育 の 取 組 み 東 京 都 教 育 委 員 会 と し て 推 進 し て い る グ ロ ー バ ル 人 材 の 育 成 に 係 る 施 策 の 一 つ に 、2014 年 12 月 に 発 表 さ れ た 東 京 都 長 期 ビ ジ ョ ン の 中 に 、 都 市 戦 略 6

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136 「 世 界 を リ ー ド す る グ ロ ー バ ル 都 市 の 実 現 」/政 策 指 針 18「 東 京 、 そ し て 日 本 を 支 え る 人 材 の 育 成 」 が あ る 。 そ の 中 に 「 英 語 以 外 の 外 国 語 学 習 の 拡 充 」 が 政 策 目 標 に 掲 げ ら れ て い る 。 現 在 、都 立 高 校 で 多 言 語 教 育 を 実 施 し て い る の は 53 校( 全 体 で は 193 校 )、 学 習 者 は 延 べ 3115 人 で あ る 。 言 語 と し て は 学 習 者 の 多 い 順 に 、 中 国 語 、 フ ラ ン ス 語 、 ド イ ツ 語 、 韓 国 ・ 朝 鮮 語 、 ス ペ イ ン 語 ほ か が 設 置 さ れ て い る 。 海 外 修 学 旅 行 や 語 学 研 修 、 国 際 交 流 活 動 な ど を 行 う 学 校 も み ら れ る 。 オ リ ン ピ ッ ク に 向 け て 、2015 年 度 に は 、1 億 1600 万 円 の 予 算 で 、(1)都 立 高 校 に 外 国 語 部 活 動 を 設 置 ・ 拡 大 す る た め に 、 各 学 校 に 外 国 人 講 師 を 、1 回 2 時 間 、 年 間 15 回 程 度 、 20 校 に 派 遣 し 定 期 的 に 活 動 す る 。 (2)高 校 生 対 象 の 多 言 語 通 所 研 修 を 実 施 す る た め に 、1 回 2 時 間 、年 間 10 回 程 度 、都 内 2 会 場 で 、7 言 語 ( 中 、 仏 、 独 、 韓 、 西 、 露 、 伊 ) の 通 所 研 修 を 実 施 す る 予 定 で あ る と い う 。2016 年 度 以 降 の 方 向 性 と し て は 、 多 言 語 科 目 の 学 習 機 会 の 拡 大 、 外 国 語 を 使 う 場 面 の 設 定 、 多 様 な 言 語 へ の 取 組 の 促 進 を 検 討 し て い る の で 期 待 し て ほ し い と 、 多 言 語 教 育 の 推 進 に 積 極 的 な 報 告 と な っ た 。

◆ディスカッション

3 名 の 発 表 後 、 吉 田 セ ン タ ー 長 の 司 会 進 行 の も と に 、 多 言 語 教 育 を 推 進 す る 方 策 に つ い て 、 以 下 の さ ま ざ ま な 観 点 か ら 意 見 が だ さ れ た 。 ( 敬 称 略 ) ● 多 言 語 教 育 の 前 提 と な る 言 語 教 育 の 基 本 と し て 、 言 語 技 術 が 重 要 三 森 : 母 語 で 基 本 的 な 言 語 能 力 を 獲 得 す る こ と が ま ず 必 要 。そ の 後 に 外 国 語 習 得 が あ る と 思 う 。 き ち ん と し た 言 語 の カ リ キ ュ ラ ム を 作 り 、 教 材 開 発 や 教 員 養 成 も し て 、 時 間 を か け て 日 本 語 で 言 語 技 術 を し っ か り 学 ば せ る 必 要 が あ る 。 日 本 の 学 習 指 導 要 領 の 分 量 を み て も 各 国 に 比 べ て 極 め て 薄 い 。 最 近 、 学 校 か ら 私 に 研 修 依 頼 が 増 え て い る 。 私 立 が 多 い が 、 公 立 で は 唯 一 稲 城 第 二 中 学 校 が 実 施 し て お り 指 導 し て い る 。 本 来 、 国 が や る べ き で は な い か 。 日 本 語

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137 で 言 語 技 術 が で き て い れ ば 、 外 国 語 に 置 き 換 え れ ば い い だ け な の で 、 外 国 語 能 力 も 効 果 的 に 身 に つ く 。 言 語 技 術 が 身 に つ い て い な い か ら 、 ア ジ ア 人 は 発 言 が で き な い 。 ● ス ポ ー ツ 界 で も 言 語 技 術 の 指 導 を し て い る 。 ど ん な 問 題 が あ る の か 三 森 : 数 多 く の 教 育 現 場 や 日 本 サ ッ カ ー 協 会 な ど の ス ポ ー ツ 界 で 、選 手 や コ ー チ に 言 語 技 術 指 導 を し て い る が 、 そ れ は 頭 を 使 わ な い と ス ポ ー ツ は で き な い 、 パ ス 一 本 だ す に も 、 そ の 理 由 を 論 理 的 に 表 現 で き な け れ ば 世 界 に 通 用 し な い と い う こ と で 頼 ま れ て い る 。 実 際 、 世 界 的 に も 有 名 な 選 手 た ち か ら 、 外 国 人 の コ ー チ に き ち ん と 自 分 の 考 え が い え な い 、 表 現 で き な い た め に 時 間 を 無 駄 に し た と い う 話 を よ く 聞 く 。 ● 言 語 技 術 に つ い て の フ ロ ア か ら の 質 問 森 住 衛 氏( 桜 美 林 大 学 ): 普 遍 的 な 言 語 技 術 を 身 に つ け る 必 要 が あ る と い う が 、 結 局 ヨ ー ロ ッ パ 発 の 修 辞 学 、 論 理 学 で は な い か 。 そ の グ ロ ー バ ル 化 を 推 進 す る こ と に は な り は し な い か 。 三 森 : ヨ ー ロ ッ パ 発 の 言 語 技 術 で あ る の は 事 実 。そ の 共 通 の ル ー ル が グ ロ ー バ ル ス タ ン ダ ー ド に な っ て い る 以 上 、 そ れ に ま ず の っ か る べ き だ と 思 う 。 そ の 上 で 日 本 語 や 日 本 人 の 考 え 方 を き ち ん と 主 張 し 、 わ か っ て も ら う 必 要 が あ る 。 日 本 人 だ け の や り と り の 仕 方 で は 彼 ら に は 通 用 し な い 。 ● 第 二 外 国 語 の 制 度 化 と 高 大 の ア ー テ ィ キ ュ レ ー シ ョ ン の 必 要 性 と は 古 石 : 英 語 も で き な い の に 、 第 二 外 国 語 な ん て 、 と い う 人 が 多 い 。 し か し 、 子 ど も に よ っ て 興 味 を も つ 言 語 は 違 う し 相 性 も あ る 。 英 語 以 外 の 外 国 語 学 習 の 選 択 肢 を 与 え る 必 要 が あ る 。 苦 手 の 英 語 を 強 制 す る 必 要 な い 。 外 国 語 学 習 の ノ ウ ハ ウ を 教 え れ ば 、 他 の 外 国 語 学 習 に 生 か せ る 。 日 本 に は 海 外 経 験 を し て 多 言 語 が で き る 子 は 増 え て い る の で 、 そ れ を 活 用 で き る よ う な 環 境 を 確 保 す る べ き で あ る 。 忘 れ て し ま う の は 勿 体 な い 。 古 石 : 大 学 で の 第 二 外 国 語 教 育 の あ り 方 も 重 要 な ポ イ ン ト で あ る 。高 校 か ら 第 二 外 国 語 を 始 め た 学 生 が 大 学 で 継 続 し た 場 合 、 大 学 で 初 め て 始 め る よ り 高 い レ ベ ル ま で い け る と い う 調 査 結 果 が あ る 。 高 校 で 学 習 し た 言 語 を 大 学 に 入

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138 っ て か ら 伸 ば せ る よ う に 大 学 の 制 度 を 整 備 す る こ と が 重 要 で あ る 。 ● 外 国 語 学 習 の 動 機 づ け を ど う し た ら い い か 、交 流 と の 相 乗 効 果 は 期 待 で き な い か 高 野 : 東 京 都 に は 、2200 校 の 小 中 高 校 が あ る が 、 現 在 、 留 学 生 に き て も ら っ て 交 流 を し て い る 学 校 は 多 い 。 し か し 、 今 後 は 一 過 性 で は な く 中 長 期 的 な 外 国 人 と の 交 流 と 外 国 語 教 育 を 総 合 的 に 実 施 し て い く 必 要 が あ る と 思 う 。 そ れ が 学 習 の 動 機 付 け に も つ な が る 。 英 語 村 は 、 英 語 の み な ら ず 多 様 な 外 国 人 と の 文 化 交 流 の 場 と し て も 捉 え て い る 。 英 語 学 習 だ け で な く 、 多 様 な 外 国 人 と の 交 流 の 場 と し て 考 え て い た だ い て い い 。 ● 多 言 語 教 育 を 推 進 す る に は 教 員 が 必 要 。 教 員 確 保 を ど う す る か 古 石:元 来 子 ど も た ち に は 、外 国 や 外 国 語 に 対 し て 興 味 は も っ て い る と 思 う 。 や る 気 や 関 心 を 喚 起 す る の は 教 師 次 第 で あ る 。 そ う い う 意 味 で 教 員 養 成 が と て も 重 要 で あ る 。 英 語 以 外 の 外 国 語 の 場 合 、 英 語 の よ う に 制 度 が 弱 い の で 力 を 入 れ る 必 要 が あ る 。 高 野 : 都 立 高 校 の 多 言 語 教 育 を 推 進 す る に は 、そ れ を 教 え る 教 員 の 確 保 が 喫 緊 の 課 題 。 一 つ は 在 京 外 国 人 の 活 用 が あ る 。 そ れ に は 在 京 外 国 人 の 組 織 、 各 国 大 使 館 、 大 学 等 と の 連 携 が 必 要 な の で 、 ぜ ひ 大 学 関 係 者 か ら の 情 報 提 供 等 の ご 協 力 を い た だ き た い 。 古 石 : 中 高 校 で 英 語 以 外 の 外 国 語 を 必 修 化 す る と す れ ば 、大 学 で の 教 員 養 成 に 本 気 で 取 り 組 む 必 要 が あ る 。 大 学 か ら 学 習 を 始 め た 場 合 に は 、2-3 年 で は 教 員 レ ベ ル の と こ ろ ま で い く の は 難 し い 。 た だ 現 在 す で に 多 言 語 の 言 語 運 用 能 力 が 高 い 人 材 は い く ら で も い る 。 問 題 は そ の 人 材 を 活 か し 、 中 等 で 外 国 語 を 教 え る た め に 必 要 な 教 科 教 授 法 を 履 修 す る 制 度 や 、 教 師 と し て 着 任 で き る 制 度 が 保 障 さ れ る か ど う か だ 。訓 練 す れ ば 2 年 あ れ ば 教 師 と し て 育 て ら れ る 。 ● フ ロ ア か ら の 提 案 : 東 京 都 を 外 国 語 特 区 に し た ら ど う か 森 住:東 京 都 と し て 7 言 語 を 都 立 高 に 導 入 す る こ と に 賛 成 だ が 、タ ガ ロ グ 語 、 ポ ル ト ガ ル 語 な ど 、 在 京 外 国 住 民 の 言 語 を 始 め 、 最 終 的 に は オ リ ン ピ ッ ク 参 加 国 の 言 語 す べ て を 小 学 校 に 入 れ た ら ど う か 。 東 京 が 特 区 を つ く っ て 、 そ れ が 全 国 に 広 が る こ と を 期 待 し た い が そ の よ う な 構 想 は あ る か 。

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139 高 野 : オ リ ン ピ ッ ク 推 進 校( 異 文 化 理 解 教 育 、外 国 語 学 習 に よ る 国 際 理 解 教 育 、 世 界 の 歴 史 、 文 化 の 学 習 が 入 る ) は 本 年 300 校 か ら 2016 年 は 600 校 に 増 や す 予 定 で あ る 。 最 終 的 に は 全 て の 公 立 の 小 中 高 校 2200 校 で 、 一 国 一 校 運 動 を い れ た い 。 そ の 要 は 言 語 学 習 だ と 思 う 。

【午後の部】

分 科 会 「 外 国 語 教 育 の 多 様 化 を 推 進 す る ⽅ 策 を 探 る 」

敬 称 略 以 下 の 事 例 報 告 に 使 わ れ た 発 表 PPT は 会 員 限 定 ペ ー ジ で 公 開 し て い る 。

◆第 1 分科会:⼩中学校の部

吉 村 雅 仁 ( 奈 良 教 育 大 学 ): 大 学 と 小 学 校 の 連 携 で 進 め る 多 言 語 活 動 大 学 と 小 学 校 の 連 携 で 、 奈 良 県 内 の 小 学 校 で 行 っ た 多 言 語 活 動 の 事 例 の 発 表 。 小 学 校 で の 多 言 語 活 動 の 類 型 ( 直 列 型 と 混 在 型 ) を 整 理 。 多 様 な 外 国 籍 の 児 童 生 徒 が 増 え る 中 、 日 本 語 と 英 語 だ け の 二 重 単 言 語 主 義 の 日 本 の 学 校 教 育 の 中 で は 、 多 言 語 活 動 を 導 入 す る の は 容 易 で は な い 。 教 員 の 力 だ け で は 難 し い の で 、ALT や 外 国 人 留 学 生 を 動 員 し た り 、大 学 等 と 組 ん だ り 、教 員 志 望 者 の サ ポ ー ト を 得 た り す る 必 要 が あ る 。4 か 国 の 月 名 カ ー ド を 使 っ た 具 体 的 な 授 業 を 事 例 に 、 多 言 語 活 動 の 方 法 、 開 発 教 材 、 評 価 方 法 等 が 紹 介 さ れ た 。 秦 さ や か ( 東 京 都 新 宿 区 立 淀 橋 第 四 小 学 校 ): 小 学 校 の 多 言 語 活 動 前 勤 務 校 で あ っ た 中 野 区 立 新 井 小 学 校 で 、 1 年 間 に わ た っ て 行 っ た 多 言 語 活 動 の 実 践 紹 介 。5 年 生 を 対 象 と し た 「 多 言 語 に ふ れ る 活 動 」 10 時 間 と 、 6

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140 年 生 を 対 象 と し た 「 言 語 観 を 深 め る 活 動 」7 時 間 の ね ら い と 学 習 活 動 が 紹 介 さ れ た 。「 挨 拶 し な が ら 仲 間 を 探 そ う 」、「 知 ら な い こ と ば を 分 析 し て ル ー ル を 探 せ ! 」、文 字 を 頼 り に 都 市 名 や 、天 気 を 探 っ た り す る「 お 天 気 キ ャ ス タ ー に な ろ う ! 」 等 の 活 動 中 心 の 5 年 生 の カ リ キ ュ ラ ム と 、言 葉 の イ メ ー ジ を 広 げ る 活 動 、感 性 の 多 様 性 に 気 づ く 活 動 等 の 6 年 生 の カ リ キ ュ ラ ム が 紹 介 さ れ た 。 中 嶋 雅 巳 ( 慶 應 義 塾 普 通 部 ): 慶 應 義 塾 普 通 部 に お け る 第 二 外 国 語 教 育 の 紹 介 普 通 部 の 第 二 外 国 語 教 育 は 、1 年 生 の 図 書 の 時 間 を 使 っ た 「 多 言 語 に よ る 絵 本 の 読 み 聞 か せ 」と 、3 年 生 の 週 2 コ マ の 選 択 授 業( 15-16 講 座 の 内 の 3-4 講 座/3-4 言 語 が 第 2 外 国 語 )と し て 履 修 さ れ て い る 。言 語 運 用 能 力 の 向 上 と 、 学 習 対 象 言 語 が 使 用 さ れ て い る 国 の 社 会 ・ 文 化 の 理 解 、 日 本 と の 関 係 性 の 気 づ き を ね ら い と し て い る 。 成 果 と し て は 、 外 国 語 そ の も の や 、 外 国 語 学 習 に 前 向 き の 変 化 が み ら れ 、 高 大 で 当 該 国 へ 留 学 す る 生 徒 も で て い る 。 今 後 は 、 選 択 授 業 の 位 置 づ け や 高 大 の 接 続 等 が 課 題 で あ る 。 < ま と め > 英 語 一 辺 倒 の 日 本 の 学 校 環 境 で は 、 多 言 語 活 動 を 取 り 入 れ に く い が 、 や る 気 さ え あ れ ば 実 施 は 可 能 で あ る 。 た だ 教 員 一 人 で で は な く 、 大 学 や 学 会 等 か ら 情 報 収 集 を し た り 、 仲 間 づ く り を し た り す る こ と が 必 要 で あ る 。 小 中 学 校 の 多 言 語 活 動 ( 方 言 な ど も 含 む ) は 、 外 国 籍 の 生 徒 や 方 言 コ ン プ レ ッ ク ス を 感 じ る 生 徒 に と っ て も 好 影 響 が あ る 。 地 道 な 活 動 を 通 じ て 、 身 近 に い る 周 り の 人 か ら 興 味 を も っ て も ら い 、 制 度 を 変 え る 力 を つ く っ て い く 必 要 が あ る 。

◆第 2 分科会:⾼等学校の部

栃 倉 和 則( 東 京 都 立 小 平 高 等 学 校 ): 外 国 語 教 育 の 取 り 組 み と 今 後 の 課 題 開 校 時 よ り 国 際 理 解 教 育 を 推 進 し 、7 ク ラ ス 中 、 2 ク ラ ス に 外 国 語 コ ー ス を 開 設 し て き た 都 立 高 校 と し て 、「 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 」の 重 点 支 援 校 と な っ て い る 。 英 語 教 育 で も コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 だ け で な く 、 横 断 的 カ リ キ ュ ラ ム の 採 用 や 他 教 科 の 内 容 を 英 語 で 行 う 試 み 、 自 他 の 文 化 理 解 に も 力 を い れ

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141 て い る 。 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 留 学 や 台 湾 へ の 修 学 旅 行 、 中 国 人 留 学 生 の 招 待 、 韓 国 文 化 院 と 連 携 し た 韓 国 体 験 活 動 等 も 行 っ て い る 。 第 2 外 国 語 は 、3 年 生 の み 選 択 科 目 と し て 5 言 語 を 開 設 し て い る 。1 年 生 、 2 年 生 に も 導 入 し た い が 、 教 育 課 程 上 の 問 題 が あ る 。 ま た 優 秀 な 教 師 を 確 保 す る こ と が 難 し く 非 常 勤 だ と 連 絡 が と り に く い 。 英 語 教 員 と の 連 携 や 市 民 講 師 の 制 度 を 活 用 し た い 。生 徒 の 主 体 性 を 重 ん じ た 対 話 型 ・参 加 型 の 授 業 形 態 や 体 験 活 動 な ど 取 り 組 み を 工 夫 し て い る 。 桜 田 京 子 ( 神 奈 川 県 立 横 浜 国 際 高 等 学 校 ): ス ー パ ー グ ロ ー バ ル ハ イ ス ク ー ル に お け る 6 言 語 教 育 の 実 践 神 奈 川 県 内 のSGH校 と し て 注 目 さ れ て お り 、 グ ロ ー バ ル 人 材 づ く り が 学 校 の 目 標 。1年 生 は 必 修 選 択 の 第 2 外 国 語( 週 3コ マ )と し て 、6言 語( フ ラ ン ス 語 、ス ペ イ ン 語 、ド イ ツ 語 、中 国 語 、ハ ン グ ル 、ア ラ ビ ア 語 )か ら 選 択 履 修 で き る 。2年 生 以 降 は 自 由 選 択 に な る が 、2年 間 履 修 す る 生 徒 が 多 い 。生 徒 そ れ ぞ れ の 言 語 選 択 の 理 由 は 多 様 で あ る 。学 習 言 語 を 使 わ せ る た め に 、6言 語 全 て 姉 妹 校 交 流 を し て い る 。 外 国 語 を 学 ん で 人 生 を 広 げ て ほ し い 。 第 2 外 国 語 の 履 修 上 の 課 題 と し て は 、 イ メ ー ジ だ け で 学 習 を 始 め る と 英 語 と は 異 な る 文 法 事 項 の 煩 雑 さ に く じ け る 。 受 験 を 意 識 す る と 学 習 意 欲 が 低 く な る 。 自 学 の 継 続 を 促 す 外 的 刺 激 が 乏 し く 、 学 習 意 欲 を 持 ち 続 け て 自 学 を 継 続 さ せ て い く こ と が 難 し い 等 々 が あ る 。 今 後 の 課 題 と し て は 、 継 続 的 な 学 習 を サ ポ ー ト す る 体 制 ( 学 習 ツ ー ル の 紹 介 、 反 復 練 習 、 演 習 量 の 確 保 、 定 着 度 度 合 い の 確 認 な ど ) を 整 備 す る 、 中 等 教 育 で の 学 習 の 経 験 が そ の 後 の 進 路 選 択 に も 役 立 つ こ と を 意 識 さ せ る 、 常 勤 で こ れ ら の 免 許 を も っ て い る 教 員 は ほ と ん ど い な い 。 一 部 の 常 勤 や 非 常 勤 に 頼 ら ざ る を 得 な い 。 教 員 の 育 成 が 必 要 で あ る 。 西 澤 俊 幸 ( 長 野 県 穂 高 商 業 高 等 学 校 ): 教 員 の 提 案 が 多 言 語 活 動 に つ な が る ― 長 野 県 立 松 本 蟻 ヶ 崎 高 校 の 取 組 み か ら

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142 一 教 師 が 積 極 的 に 学 校 管 理 職 や 同 僚 に 働 き か け て 多 言 語 を 導 入 す る 事 例 を 報 告 し た 。 自 分 は 英 語 教 師 だ っ た が 、 学 校 、 校 内 委 員 会 に 働 き か け て 韓 国 語 を 導 入 し た 。 生 徒 へ の ア ン ケ ー ト 結 果 で も 良 好 な 成 果 を 上 げ る こ と が で き 、 マ ス コ ミ も 取 り 上 げ て く れ て 、 学 校 の 宣 伝 に も な っ た 。 目 立 っ た 反 対 も な く 継 続 で き た が 、 自 分 の 転 校 に 伴 い 閉 鎖 と な っ て 残 念 だ っ た 。 英 語 以 外 の 言 語 導 入 に は 難 し い 面 に 確 か に あ る 。 受 験 に 関 係 な い 、 他 の 選 択 科 目 を 圧 迫 す る な ど で あ る 。で も 韓 国 語 に 限 ら ず 英 語 以 外 の 言 語 を 学 ぶ 意 味 は 大 き い と 思 う 。 グ ル ー プ ワ ー ク : 3 名 の 発 表 に つ い て の 質 疑 応 答 の 後 、高 校 で 多 言 語 教 育 を 推 進 す る た め の ア イ デ ア を 考 え る グ ル ー プ ワ ー ク を 全 体 で 行 っ た 。以 下 が 、提 案 さ れ た ア イ デ ア 一 覧 で あ る 。 – 教 育 委 員 会 が 決 断 す れ ば 、 英 語 以 外 の 教 員 を 正 規 雇 用 で き る – 第 2 外 国 語 を 入 試 に 取 り 入 れ れ ば 生 徒 の 学 習 意 欲 は 刺 激 さ れ る – 教 育 委 員 会 が 決 断 す れ ば 、 秋 田 国 際 教 養 大 学 の よ う な 外 国 語 に 強 い 大 学 の 先 生 に 、 綜 合 の 時 間 や 土 曜 の 時 間 に 来 て も ら う こ と が で き る 。 – 非 常 勤 講 師 や ネ イ テ ィ ブ 講 師 に 、 教 科 グ ル ー プ の 会 議 に 参 加 し て も ら え ば 、 学 校 の 目 標 な ど 理 解 し て も ら え る – 生 徒 が ど の よ う な 外 国 語 を 必 要 と す る か 考 え 、 地 域 の 外 国 人 と 交 流 を 深 め る – 校 内 で 多 言 語 挨 拶 を 励 行 す る 。 構 内 放 送 で 多 言 語 を 流 す – 多 く の 外 国 人 が 日 本 に く る こ と を 考 え て 、 日 本 語 教 育 に も 力 を 入 れ る – 免 許 の 取 得 に 専 門 以 外 の 言 語 も 必 修 に す れ ば 、 生 徒 の 躓 き が わ か っ て く る 。 教 職 員 の 知 的 レ ベ ル ア ッ プ に も つ な が る 。 学 校 内 の 外 国 語 教 科 の 教 員 と の 連 携 が で き 多 言 語 化 が 進 む – 大 事 な の は 生 徒 間 同 士 の 国 際 交 流 。 生 徒 の モ チ ベ ー シ ョ ン が 上 が る – 生 徒 の 学 習 意 欲 を 高 め る : 各 言 語 の デ モ 、 非 英 語 圏 と イ ン タ ー ネ ッ ト 交 流 、 在 校 生 の 非 英 語 圏 出 身 者 の 活 用 、 海 外 旅 行 、 大 使 館 訪 問 、 地 域 の 国 際 交 流 サ ー ク ル の 協 力 を 得 る 、 ス カ イ プ 、 文 通 、 検 定 試 験 を 目 標 に す る

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143 – 教 員 の 興 味 喚 起 : 英 語 以 外 の 地 域 や 言 語 の 興 味 を 持 つ 教 員 の 発 掘 、 生 徒 の 興 味 の キ ャ ッ チ 、 保 護 者 の 海 外 体 験 を 活 用 し 協 力 を 仰 ぐ 、 小 学 校 の 外 国 語 活 動 を 多 様 化 し て 種 を 蒔 く – 英 語 以 外 の 言 語 の 基 本 カ リ キ ュ ラ ム 、ガ イ ド ラ イ ン の 策 定 を し て ほ し い 。 非 常 勤 講 師 に 説 明 し や す い – 選 択 必 修 の シ ス テ ム に す る 。 – 異 文 化 交 流 、 国 際 理 解 を 小 さ い こ ろ か ら 積 み 上 げ て い く 。 給 食 の メ ニ ュ ー を 多 文 化 に す る( 小 学 校 )、調 べ 学 習 、各 国 を 調 べ て 文 化 祭 で 発 表( 中 学 校 ) 、 ス カ イ プ 交 流 、 修 学 旅 行 ( 高 校 ) コ メ ン テ ー タ 山 崎 吉 朗 ( 日 本 私 学 教 育 研 究 所 ): ア ジ ア の 中 で 、 第 2 外 国 語 制 度 が な い の は 、 日 本 だ け ( 中 国 も 正 式 に は な い )。明 治 時 代 の 8 年 間 だ け 、旧 制 中 学 で 第 二 外 国 語 が 開 設 さ れ た 。戦 前 で も フ ラ ン ス 語 、 ド イ ツ 語 が あ っ た 、 戦 後 も 第 二 外 国 語 が あ っ た 。 今 、 む し ろ 、 後 退 し て い る 。 国 連 で 雇 わ れ る 枠 を も っ て い る の に 、 英 語 と フ ラ ン ス 語 が で き な い と 国 連 で 採 用 さ れ な い 。 外 国 語=英 語 に な ら な い よ う 、 常 に 英 語 を 外 国 語 と 言 い 続 け る こ と が 大 事 。 ま た 、 第 一 外 国 語 と し て 英 語 以 外 の 言 語 を 選 択 し て 大 学 受 験 も し て い る 学 校 も 結 構 あ る 。独 、仏 、中 、韓 で も 受 験 で き る 。 新 到 達 度 テ ス ト で も 英 語 以 外 の 外 国 語 が 話 題 に 上 る だ ろ う 。

◆第 3 分科会:⼤学の部

齋 藤 伸 子 ( 桜 美 林 大 学) : 1 8 言 語 プ ロ グ ラ ム 桜 美 林 大 学 で は 、「18 言 語 で 世 界 と つ な が る 」 を コ ン セ プ ト に し て い る 。 18 言 語 を 選 ん だ 理 由 は 、 次 の と お り で あ る 。 ① 世 界 の 中 枢 ・国 連 の 公 用 語 : ア ラ ビ ア 語 ・英 語 ・ス ペ イ ン 語 ・中 国 語 ・フ ラ ン ス 語 ・ロ シ ア 語 、 ② ビ ジ ネ ス ・パ ー ト ナ ー (ASEAN) の 言 語 : イ ン ド ネ シ ア 語 ・カ ン ボ ジ ア 語 ・タ イ 語 ・ビ ル マ 語 ・ベ ト ナ ム 語 、③ 大 切 な 隣 国 の 言 語:コ リ ア 語 、④EU の 中 心・文 化 の 人 気 : イ タ リ ア 語 、 ド イ ツ 語 、 ⑤ 日 系 社 会 と 経 済 発 展 : ポ ル ト ガ ル 語 、 ⑥ 地 下 資 源 と 桜 美 林 と の つ な が り : モ ン ゴ ル 語 、 ⑦ 西 洋 の 学 問 の 基 礎 : ラ テ ン 語 、 ⑧ 留 学 生 の 第 二 言 語 : 日 本 語

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144 開 講 の ス タ イ ル も 3 パ タ ー ン あ る が 、 1 年 生 で 履 修 し 始 め て も 、 2 年 生 に な る と や め て し ま う 学 生 が 多 い の が 課 題 で あ る 。プ ロ グ ラ ム の 特 徴 は 、①「 桜 美 林 で 学 び 、 世 界 で 学 ぶ 」 と い う コ ン セ プ ト で 、 学 習 対 象 言 語 を 学 ん だ 後 、 対 象 国 に 研 修 や 留 学 等 で 行 っ て 学 習 を 深 め て い る こ と 、② 文 法 語 彙 中 心 で は な く 課 題 遂 行 型 の can-do を め ざ し た ア プ ロ ー チ を と っ て い る こ と で あ る 。 CEFR 及 び 行 動 中 心 主 義 に 基 づ き 、 各 言 語 共 通 の カ リ キ ュ ラ ム と シ ラ バ ス を 作 成 し て 、社 会 と つ な が る 教 育( サ ー ビ ス ラ ー ニ ン グ 等 )を 行 っ て い る こ と 、 ③ 複 言 語 主 義 に 基 づ き 、学 習 言 語 ば か り で な く 18 言 語 に 広 が る こ と が 期 待 さ れ て い る こ と 、④ 世 界 の 学 生 同 士 や ゲ ス ト 、留 学 生 と 交 流 す る「 世 界 の 友 だ ち 」 活 動 を 支 援 し て い る 。 谷 洋 之 ( 上 智 大 学 ) : 3 言 語 × 3 視 座 : 外 国 語 学 部 と グ ロ ー バ ル 教 育 セ ン タ ー が 目 指 す 人 材 育 成 上 智 大 学 に は 、60 年 の 歴 史 が あ る 外 国 語 学 部 の 他 に 、国 際 教 養 学 部 と 総 合 グ ロ ー バ ル 学 部 の 3 つ の 学 部 が あ る 。 グ ロ ー バ ル 教 育 セ ン タ ー(Center for Global Discovery)は 、 2012 年 の 文 科 省 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 推 進 事 業 と し て 採 択 さ れ 、 外 国 語 学 部 の 下 部 組 織 と し て 設 置 さ れ た 。 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 に は 、 英 語 だ け で な く 、 ① 日 本 語 ( 母 語 と し て の 基 本 的・基 礎 的 な 思 考 言 語 )、専 攻 語( 地 域 の 多 様 性 を 理 解 す る た め の 生 活 言 語 )、 ③ 英 語 ( コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 図 る た め の 世 界 通 用 語 ) の 3 言 語 を 学 ぶ 。 英 語 学 科 の 学 生 は 、 英 語 を 相 対 化 す る た め の 第 二 外 国 語 を 幅 広 く 身 に つ け 、 英 語 で 地 球 規 模 の 課 題 を 発 見 す る こ と を し て い る 。 ま た ① 日 本 語 の 視 角+日 本 の 相 対 化 、 ② 地 域 固 有 性 の 認 識 + 地 域 課 題 の 発 見 、 ③ 地 球 規 模 の 課 題 発 見 + 地 域 間 比 較 、 の 3 視 座 を 身 に つ け る こ と を め ざ し て い る 。 セ ン タ ー の 活 動 と し て は 、 留 学 の 促 進 や 外 国 語 学 部 の カ リ キ ュ ラ ム の 充 実 を 図 っ て い る 。 し か し 、 成 果 の 可 視 化 や 数 値 目 標 の 設 定 、 日 本 語 運 用 能 力 の 育 成 が 難 し い 等 の 問 題 も あ り 、 今 後 の 課 題 と し て セ ン タ ー の 全 学 組 織 化 も あ る 。 武 井 隆 道 ( 筑 波 大 学) : 筑 波 大 学 に お け る 多 言 語 教 育 ― 現 状 と 目 指 す べ き 方 向 筑 波 大 学 の 開 設 外 国 語 は 、英 語(第 一 外 国 語 )と 、初 修 外 国 語( 第 二 外 国 語 )

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145 と し て の 独 、 仏 、 中 、 西 、 露 、 朝 鮮 、 ア ラ ビ ア の 7 つ の 言 語 で あ る 。 1992 年 の 大 学 カ リ キ ュ ラ ム の 大 綱 化 に 伴 い 、 第 二 外 国 語 は 必 修 で は な く な り 履 修 者 が 激 減 し た が 、 動 機 付 け の 高 い 学 生 が 増 え て 量 よ り 質 に 転 換 し た と も い え る 。 そ う し た 質 の 高 い 学 生 の た め に 、 従 来 2 年 間 の 履 修 が 、 3 年 生 の 専 門 教 育 を 行 い 、「 コ ア ・ド イ ツ 語 フ ァ ン 育 成 活 動 」 な ど 動 機 づ け を 高 め る 活 動 を し て い る 。 問 題 点 と し て は 、 言 語 学 や 文 学 の 業 績 ・ 論 文 が 評 価 さ れ 、 外 国 語 教 育 学 の 意 欲 あ る 専 門 家 が 採 用 さ れ な い 、 外 国 語 の 時 間 が 専 門 教 育 に 浸 食 さ れ る 、 理 系 を 中 心 に 英 語 志 向 が 強 く 、 第 二 外 国 語 は 軽 視 さ れ る 等 々 が 挙 げ ら れ る 。 し か し 、2010 年 頃 か ら 、G30 の 実 施 や 、ス ー パ ー グ ロ ー バ ル 大 学 事 業 等 の「 上 か ら の 圧 力 」 に よ る 国 際 化 が 進 み 、G30 の 枠 内 で 、英 語 に よ る ド イ ツ 語 教 育 を 行 う な ど 、 留 学 生 が 日 本 の 大 学 で 複 数 言 語 が 学 べ る よ う に な っ た 。 海 外 の 提 携 校 や 夏 期 外 国 語 研 修 が 増 え た り 、12 か 国 に 筑 波 大 学 の 国 際 拠 点 が 開 設 さ れ た り 、 海 外 の 大 学 間 の 共 同 修 士 学 位 プ ロ グ ラ ム が 実 施 で き た り し て い る 。 今 後 の 目 標 と し て は 、 グ ロ ー バ ル コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 セ ン タ ー の 設 立 が あ る 。 学 問 的 専 門 の 基 礎 と し て の 英 語 と と も に 、 異 文 化 へ の 扉 や グ ロ ー バ ル な 教 養 と し て の 意 義 も 含 め て 、 大 学 は 複 数 の 言 語 を 学 べ る 場 を 提 供 す る べ き で あ る 。3 名 の 発 表 後 、 当 日 配 付 さ れ た 「 外 国 語 教 育 の 多 様 化 を 推 進 す る 方 策 を 探 る ~ 多 言 語 教 育 事 例 集 」 の 中 か ら 、 武 蔵 大 学 に つ い て 人 文 学 部 の 西 村 氏 か ら 、 大 阪 学 院 大 学 に つ い て 、 神 谷 氏 か ら そ れ ぞ れ の 事 例 に つ い て の 報 告 が あ っ た ( 事 例 集 ご 参 照 )。 コ メ ン テ ー タ 森 住 衛 ( 桜 美 林 大 学 ): 3 名 の 発 表 に つ い て 、 以 下 の コ メ ン ト が あ っ た 。 – 上 智 大 学 :3 言 語 と し て 英 語 を 外 し た 3 言 語 は ど う か 。 – 筑 波 大 学 : 量 よ り 質 と い う 話 が あ っ た が 、 本 来 、 健 全 な 規 模 に よ る 外 国 語 教 育 と い う の は あ り 得 る 考 え 方 だ ろ う 。 – 上 智 と 筑 波 は エ リ ー ト 校 で あ る が 、 桜 美 林 ・ 武 蔵 ・ 大 阪 学 院 は 一 般 の 大 衆 教 育 を 担 っ て い る 中 で 複 数 言 語 を 選 択 で き る と い う の は 希 望 が 持 て る し 経 営 的 に も 頑 張 っ て い る 。 – そ も そ も 大 学 と は 何 を す る べ き か 。大 学 は 役 に 立 た な い こ と を や る の か 、

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146 役 に 立 つ こ と を や る の か 、 と い う 原 点 に 立 ち 返 っ て 考 え る べ き で あ る 。 – 大 学 改 革 は ど こ か ら 出 て い る か と い え ば 経 団 連 か ら で あ り 、 文 科 省 で は な い 。 こ れ は い い こ と か 、 悪 い こ と か 。 – 20 年 後 の 英 語 の 姿 は 大 き く 変 わ る 。① 外 国 語 と し て の 英 語 と 、② 国 際 補 助 語 ・ 国 際 通 用 語 と し て の 英 語 の 2 つ に 分 け な け れ ば い け な い 。 参 加 者 か ら の 意 見 : – 英 語 教 員 の 意 識 を 変 え る 必 要 が あ る 。 英 語 教 員 を 目 指 す 学 生 が 日 本 語 教 育 の 勉 強 を す る 、 は は と て も い い 。 相 手 の 言 語 を 意 識 す る と い う こ と が で き る 。 英 語 の 教 員 採 用 に 関 し て 、 英 語 だ け で の 成 績 だ け で は な く 、 他 の 外 国 語 を 学 ん だ 人 が い い の で は な い か 。 – 賛 成 。他 の 外 国 語 を 大 学 で 学 び 、外 国 語 教 員 に な る の が よ い 。CLIL( 教 科 学 習 と 英 語 の 語 学 学 習 を 統 合 し た ア プ ロ ー チ ) で は 、 英 語 だ け が 専 門 の 人 は あ ま り 雇 わ な い 。 – こ れ か ら の 教 員 養 成 は 2 言 語 以 上 の 能 力 が 必 要 で あ る 。 ま た そ の よ う な 人 を 優 遇 す る シ ス テ ム が あ る と よ い 。 – 母 語 は 選 べ な い 。 選 べ る の は 第 3 言 語 か ら 。 言 語 を 選 ぶ 力 を 学 生 に は つ け て ほ し い 。 – 「 日 本 語 」 を ど の よ う に や る の か 。 基 礎 演 習 の 共 通 テ キ ス ト 開 発 な ど を 大 学 共 通 で で き な い か 。 – レ ポ ー ト の 書 き 方 な ど も も ち ろ ん 、 研 究 の 倫 理 観 な ど を 教 え る 必 要 も あ る 。 – 外 国 語 教 育 の コ マ 数 は 少 な い の で 、 学 習 は 教 室 の 中 だ け で は な く 、 自 律 的 学 習 能 力 を つ け る 必 要 が あ る 。 ま た 多 様 な リ ソ ー ス を 使 い こ な す 力 を つ け る 。

全体会

◆分科会報告

小 中 学 校 、 高 等 学 校 、 大 学 の 部 と 、 教 育 段 階 別 に 分 か れ て の 分 科 会 で は 、

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147 上 記 の と お り 、 多 様 な 多 言 語 教 育 の 実 践 事 例 が 報 告 さ れ た と 同 時 に 、 質 疑 応 答 や 参 加 者 と の 意 見 交 換 、 そ し て グ ル ー プ ワ ー ク と 、 参 加 型 の 活 発 な 討 議 が 各 教 室 で 行 わ れ た 。 こ れ ま で の シ ン ポ ジ ウ ム で は 、 午 前 の 部 の 基 調 講 演 や シ ン ポ ジ ウ ム を 聞 い て 帰 る 参 加 者 が 少 な く な か っ た が 、 今 回 は 分 科 会 、 そ し て そ の 後 に 再 び メ イ ン 会 場 に 集 ま っ て の 全 体 会 ま で 参 加 人 数 が あ ま り 変 わ ら ず 、 全 体 会 の 会 場 も ほ ぼ 満 席 の 状 態 だ っ た 。 冒 頭 、各 部 の 分 科 会 報 告 を 参 加 者 全 員 で 共 有 し た 後 、全 体 会 の 討 議 に 移 っ た 。

◆全体討議:

「 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク 開 催 に 向 け て ― 東 京 都 に 提 案 す

る!」

全 体 会 の 趣 旨 2020 年 東 京 オ リ ン ピ ッ ク 、 パ ラ リ ン ピ ッ ク を 視 野 に い れ て 、 2014 年 12 月 に 、 東 京 都 が 発 表 し た 「 東 京 都 長 期 ビ ジ ョ ン 」 を 踏 ま え て 、 東 京 都 内 の 学 校 教 育 に お け る 多 言 語 教 育 を 推 進 す る 具 体 的 な 方 策 を 参 加 者 と と も に 探 り 、 東 京 都 に 提 案 す る こ と に あ っ た 。 東 京 都 長 期 ビ ジ ョ ン に お け る 多 言 語 教 育 推 進 策 午 前 の 部 で の 高 野 教 育 監 の 発 表 に あ っ た よ う に 、 東 京 都 の 長 期 ビ ジ ョ ン の 「 都 市 戦 略 6:世 界 を リ ー ド す る グ ロ ー バ ル 都 市 の 実 現 / 政 策 指 針 18:東 京 、 そ し て 日 本 を 支 え る 人 材 の 育 成 」 の 中 に 、 都 立 高 校 を 中 心 と す る 多 言 語 教 育 の 環 境 づ く り に つ い て 、以 下 の 政 策 目 標 が 記 載 さ れ て い る 。( 東 京 都 長 期 ビ ジ ョ ン 図 : 主 催 者 作 成 参 照 )

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148 1 . 高 い 語 学 力 と 豊 か な 国 際 感 覚 を 育 て る (1) 全 学 習 者 の 英 語 力 ア ッ プ : 少 人 数 ・ 習 熟 度 別 指 導 、 英 語 教 員 の 海 外 派 遣 と 指 導 力 の 向 上 (2) 学 び の 場 の 国 際 化 : 英 語 村 の 開 設 、JET の 活 用( 全 都 立 高 校 に 配 置 )、公 立 学 校 ・ 首 都 大 学 へ の 留 学 生 の 受 け 入 れ 、 JICA 訓 練 所 へ 都 立 高 校 生 を 派 遣 (3) グ ロ ー バ ル リ ー ダ ー の 育 成 : 都 立 高 校「 グ ロ ー バ ル 10」の 指 定( 英 語 推 進 )、 語 学 研 修 ・ 留 学 の 推 進 、 都 立 国 際 高 校 に IB コ ー ス を 設 置 2 . 多 様 な 言 語 を 学 べ る 環 境 づ く り (1) 都 立 高 校 に 英 語 以 外 の 外 国 語 ( 中 、 仏 、 独 、 韓 、 西 、 露 、 伊 ) の 選 択 科 目 を 実 施 拡 大 さ せ る 。 (2) 都 立 高 校 に 外 国 語 部 活 動 を 置 き 、 言 語 学 習 と 異 文 化 交 流 を 推 進 す る 。 今 後 こ れ ら の 政 策 が 順 次 実 施 さ れ る と 同 時 に 、 オ リ ン ピ ッ ク を 機 に 、 東 京 都 の 学 校 教 育 に 多 様 な 外 国 語 教 育 が 定 着 す る た め に は 、 私 た ち と し て 何 が で き る の か を 討 議 し た 。 各 国 大 使 館 ・ 文 化 交 流 機 関 代 表 の 参 加 全 体 会 に は 、 特 別 ゲ ス ト と し て 在 京 の 各 国 大 使 館 や 文 化 交 流 機 関 の 関 係 者 を 招 待 し た 。 東 京 都 ビ ジ ョ ン で 指 定 さ れ た 上 記 の 7 つ の 言 語 の 内 、 ロ シ ア 、 イ タ リ ア 以 外 の 5 機 関 か ら 、以 下 の 代 表 が 参 加 し て く れ た 。い ず れ の 機 関 も 、 そ れ ぞ れ の 言 語 が 東 京 の 学 校 教 育 の な か に 導 入 さ れ る こ と を 歓 迎 す る 意 を 表 し 、 実 施 に 必 要 な 教 師 、 教 材 、 学 習 者 指 導 等 々 に お い て 、 喜 ん で 協 力 す る 旨 の 発 言 が あ っ た (下 述 参 照 )。 今 後 、 東 京 都 と こ れ ら の 機 関 の 仲 介 役 を 果 た す こ と が で き れ ば と 考 え て い る 。

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来 賓 : 東 京 韓 国 教 育 院 南 貞 順 院 長 、中 華 人 民 共 和 国 駐 日 本 国 大 使 館 教 育 部 乔 颖 二 等 書 記 官 、 東 京 ド イ ツ 文 化 セ ン タ ー ド イ ツ 語 教 育 推 進 部 丸 山 智 子 氏 、 セ ル バ ン テ ス 文 化 セ ン タ ー 東 京 Antonio Gil de Carrasc 館 長 、 同 セ ン タ ー 東 京 Javier Rodriguez 学 習 部 長 、 ア ン ス テ ィ チ ュ ・フ ラ ン セ Juliette Salabert 文 化 担 当 官 、 カ ナ ダ ケ ベ ッ ク 州 政 府 在 日 事 務 所 Claire Deronzier 代 表 、 同 事 務 所 Marc Beliveau 広 報 担 当 官 多 ⾔ 語 教 育 の 推 進 ・ グ ロ ー バ ル ⼈ 材 づ く り に 向 け て の ⽅ 策 の 提 案 討 議 す る に あ た っ て 、 午 前 の 部 よ り 提 案 さ れ た 具 体 的 な 方 策 に つ い て の 意 見 を 整 理 し 、 参 加 者 と 振 り 返 っ た 。 (1) 午 前 の 部 の シ ン ポ ジ ウ ム で の 発 表 ・ 提 案 (2) 午 後 の 部 の 各 分 科 会 で の 発 表 ・ 提 案 (3) シ ン ポ ジ ウ ム 後 に 回 収 さ れ た 参 加 者 か ら の 提 案( ア ン ケ ー ト A の 結 果 ) 参 加 者 か ら の 提 案 ( ア ン ケ ー ト の 結 果 ) Q 1:2020 年 に 向 け 、効 果 的 な ア ク シ ョ ン プ ラ ン や 提 案 が あ れ ば お 聞 か せ く だ さ い 。 – 各 学 校 が 無 理 な く 参 加 で き る プ ラ ン を 提 案 す る 。 – 人 材 育 成 プ ロ グ ラ ム を 発 展 さ せ る 。 – 一 校 一 国 運 動 に 賛 成 – オ リ ン ピ ッ ク 参 加 国 す べ て の 言 語 を 学 ぶ 〔 リ レ ー 方 式 〕。 – 地 政 学 的 に つ な が り の 強 い 言 語( 中 国 語・ロ シ ア 語 な ど )を 集 中 的 に 導 入 す る 。 – 地 域 毎 に 中 高 生 の た め の 外 国 語 講 座 を 設 置 し 、行 政 機 関 ・大 学 ・国 際 交 流 協 会 が 支 援 す る 。 – 多 言 語 学 習 の 評 価 方 法 を 確 立 す る 。 – 2020 で 終 わ ら ず 、 次 回 の 学 習 指 導 要 領 ま で つ な げ る 。 – 在 日 外 国 人 と の 協 働 を 進 め る 。 – 身 近 な 外 国 人 学 校 と の 交 流 を 継 続 的 に 行 う 。 – 地 方 の 教 員 が 東 京 の 実 践 例 を 研 修 し 、 地 元 に 持 ち 帰 る 流 れ を 制 度 化 す る 。

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150 – 英 語 の 教 員 が 第 2 外 国 語 を 教 え る こ と が で き る よ う に す る 。 – 高 校 生 に よ る 観 光 ボ ラ ン テ ィ ア 団 体 を 立 ち 上 げ る 。 – 登 録 制 ボ ラ ン テ ィ ア 制 度 を と り 入 れ て 、オ リ ン ピ ッ ク 会 場 以 外 で の 観 光・交 流 を 促 進 す る 。 – ボ ラ ン テ ィ ア 通 訳 の 育 成 は 工 夫 が 必 要〔 こ れ ま で の オ リ ン ピ ッ ク の 経 験 を 生 か す 〕。 第 一 分 科 会 か ら の 提 案 – 絵 本 の 読 み 聞 か せ を 多 言 語 で 行 う 。 – 外 国 語 の 教 員 免 許 を と る 学 生 に 、 教 材 を 作 っ て 現 場 で 授 業 を 行 わ せ る 。 学 生 に 多 言 語 活 動 の 重 要 性 に 気 づ か せ る 。 – 各 段 階 の カ リ キ ュ ラ ム を 統 合 す る 。 – 周 囲 の 職 員 、 管 理 職 と 不 断 に 話 し 、 重 要 性 に 気 づ い て も ら う 。 – 多 言 語 活 動 は 、教 員 一 人 で や ろ う と し な い で 、大 学 や 公 的 機 関 等 に 相 談 し 連 携 し て 行 う 。 第 二 分 科 会 か ら の 提 案 – 県 教 委 の 決 断 ひ と つ で 実 施 で き る こ と が あ る 。 – 高 等 学 校 に お い て 複 数 の 外 国 語 を 必 修 化 す る 。 – 専 任 の 教 師 の 関 与 度 = 採 用 を 増 や す 。 – 教 員 間 連 携 : 外 国 語 科 内 ・他 教 科 教 員 ・非 常 勤 外 国 語 講 師 (教 科 会 議 に 出 席 し て も ら う 等 ) – 生 徒 間 連 携:生 徒 か ら 生 徒 へ 、先 輩 か ら 後 輩 へ 、口 コ ミ で 英 語 以 外 の 外 国 語 学 習 の 楽 し み を 伝 え る 。 – 地 域 連 携:地 域 の 大 学 教 授 の 協 力 を 得 た り 、国 際 交 流 協 会 と 連 携 し た り す る こ と で 、綜 合 の 時 間 、土 曜 の 時 間 に 多 言 語 活 動 を 展 開 す る 。地 域 に 在 住 し て い る 外 国 人 の 協 力 を 得 る 。 – 学 校 で 多 言 語 の 環 境 を つ く る 、 雰 囲 気 を つ く る : 生 徒 の 多 言 語 に 対 す る 関 心 を 高 め 、 学 習 の 動 機 づ け を す る 。 生 徒 が 直 接 多 様 な 言 語 に 触 れ る 機 会 を つ く る (ス カ イ プ を 利 用 し た 交 流 、 修 学 旅 行 な ど )。 学 校 内 で 「 英 語 科 」 の 名 称 を や め て 「 外 国 語 科 」 に す る 。 職 員 会 議 等 で 、 多 言 語 で 挨 拶 を す る 。

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151 – 段 階 を 踏 ん だ 異 文 化 理 解 の プ ロ グ ラ ム:文 化 交 流 や 国 際 理 解 を 小 さ い こ ろ か ら や る と よ い 。 例 え ば 、 給 食 の メ ニ ュ ー を 多 文 化 に す る ( 小 学 校 )、 調 べ 学 習 、 各 国 を 調 べ て 文 化 祭 で 発 表 ( 中 学 校 ) ス カ イ プ 交 流 、 修 学 旅 行 ( 高 校 ) な ど 。 第 三 分 科 会 か ら の 提 案 – 英 語 教 員 養 成 時 に 日 本 語 の 教 授 法 も 学 ぶ 。 英 語 教 員 を 養 成 す る 上 で 、他 の 言 語 を 学 ん で い る か ど う か が 意 味 を 持 つ 。教 員 と な る 場 合 、他 の 専 門 、他 の 外 国 語 の 学 習 経 験 の 有 無 が 重 要 。大 学 に お け る 第 二 外 国 語 担 当 教 員 は 、 外 国 語 教 授 法 を 学 ん だ 人 が 少 な い こ と が 課 題 。 – そ れ を カ バ ー す る た め に 、他 の 専 門 、他 の 言 語 の 学 習 経 験 者 の 教 員 を 優 先 す る こ と が 重 要 。 – 時 間 数 が 少 な い 中 で 、教 室 内 だ け で 到 達 目 標 を 達 成 す る の は 難 し い 。学 内 で 他 教 科 と 連 携 す る ほ か 、学 外 と の 連 携 も 実 施 し な が ら 、自 律 し た 学 習 者 を 養 成 す る 。 各 国 大 使 館 ・ 文 化 交 流 機 関 か ら の 提 案 ◆ 中 国 大 使 館 教 育 部 か ら の メ ッ セ ー ジ – 2004 年 か ら 対 外 中 国 語 教 育 と し て 、 孔 子 学 院 と 孔 子 学 堂 の 設 置 を 進 め て い る 。 2014 年 ま で に 358 校 の 孔 子 学 院 と 500 の 孔 子 学 堂 を 世 界 各 国 に 設 置 。 2015 年 ま で に 孔 子 学 院 を 500、孔 子 学 堂 を 1000 に 増 加 。学 習 者 数 は 1000 万 人 が 目 標 。 – 日 本 に は 13 か 所 の 孔 子 学 院 と 7 か 所 の 孔 子 学 堂 を 設 置 し て い る 。2015 年 に は 、さ ら に 増 加・拡 大 を 計 画 。中 国 大 使 館 教 育 部 と し て 連 携 で き る こ と が あ れ ば 、 積 極 的 に 対 応 し た い 。 ◆ 東 京 韓 国 教 育 院 か ら の 宣 言 – 韓 国 文 化 院 の 韓 国 語 講 座 と し て 世 宗 学 堂 が あ る 。東 京 韓 国 教 育 院 は 、小 中 高 校 の 韓 国 語 教 育 ( 直 接 学 校 と つ な が り が あ る ) を サ ポ ー ト し て い る 。 ま た 、 国 際 理 解 教 育 の サ ポ ー ト も し て い る 。文 化 と こ と ば が つ な が る よ う に す る に は ど う し た ら い い か を 考 え な が ら 進 め て い る 。小 学 校 か ら 外 国 語 の 学 習 が で き れ ば 刺 激 的 で 生 活 に 楽 し み が で き る 。

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152 – 韓 国 で は 、英 語 が で き な く て も 日 本 語 で 受 験 し 、大 学 に 入 学 で き た 例 も あ る 。 英 語 だ け が 認 め ら れ る の は 、 グ ロ ー バ ル 社 会 で は 違 う の で は な い か 。 – 東 京 韓 国 教 育 院 の 出 張 講 座 、講 師 派 遣 の プ ロ グ ラ ム が あ る の で 、申 請 を し て も ら え れ ば 支 援 で き る 。 東 京 ド イ ツ 文 化 セ ン タ ー か ら の 支 援 提 案 – ド イ ツ 語 の 授 業 、教 員 養 成 を 行 っ て い る ほ か 、図 書 館 で の 情 報 提 供 、ド イ ツ の 文 化 紹 介 の イ ベ ン ト を 実 施 し て い る 。 – 学 習 者 の 動 機 づ け 、成 功 体 験 、ド イ ツ 語 の 宣 伝 の 3 つ を キ ー ワ ー ド に 活 動 を 行 っ て い る 。 – 外 国 人 お も て な し 語 学 ボ ラ ン テ ィ ア の 育 成 は 、全 体 を 7 言 語 で 単 純 に 割 る と ド イ ツ 語 だ け で 5000 人 と な る 。 ド イ ツ 文 化 セ ン タ ー と し て は 、 例 え ば 、 こ の 5000 人 に 対 す る ド イ ツ 語 コ ー ス を 提 供 す る サ ポ ー ト が で き る 。 – 教 員 養 成 に つ い て も 、ド イ ツ 文 化 セ ン タ ー が も つ ノ ウ ハ ウ を 活 用 し て ほ し い 。 教 員 養 成 の 具 体 的 ニ ー ズ に 関 す る 情 報 を 提 供 し て ほ し い 。 駐 日 フ ラ ン ス 大 使 館 か ら の 提 案 – 日 本 の 学 校( 小 学 校 か ら 大 学 ま で )の 教 員 養 成 と 研 修 を サ ポ ー ト す る こ と が で き る 。 – 教 員 養 成 に 関 し て は 、フ ラ ン ス 語 教 育 学 会 、日 本 フ ラ ン ス 文 学 会 と 連 携 し て 協 力 し て い る 。フ ラ ン ス 語 の デ ィ プ ロ ム 、仏 検 な ど と 協 力 し て 能 力 評 価 を サ ポ ー ト し て い る 。 – ア ン ス テ ィ チ ュ・フ ラ ン セ と ア リ ア ン ス・フ ラ ン セ ー ズ と 協 力 し て 、フ ラ ン ス 語 と フ ラ ン ス 文 化 の 促 進 を し て い る 。外 国 語 と し て の フ ラ ン ス 語 教 育 の 養 成 も 行 っ て い る 。 – フ ラ ン ス で 行 わ れ て い る バ イ リ ン ガ ル セ ク シ ョ ン を 提 案 し た い 。フ ラ ン ス に は 7 つ の 日 本 語 の バ イ リ ン ガ ル セ ク シ ョ ン が あ る 。 中 学 校 で 音 楽 を 選 ん で 、 日 本 語 で 行 う と い う も の 。中 学 校 で は 、日 本 語 で 数 学 や 歴 史 、地 理 を 教 え た り 、 言 語 的 に 難 し く な い 科 目 を フ ラ ン ス 語 以 外 の 言 語 で 教 え た り す る も の 。 今 年 の 5 月 に 、日 本 の 校 長 た ち を フ ラ ン ス に 招 き 、バ イ リ ン ガ ル セ ク シ ョ ン を 見 学 し て も ら う こ と を 計 画 し て い る 。 – 教 員 養 成 は 非 常 に 重 要 な 課 題 。フ ラ ン ス に 行 か れ な い フ ラ ン ス 語 担 当 教 員 に 、 日 本 で 研 修 を 受 け て も ら え る よ う に す る 。

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153 – フ ラ ン ス 語 教 育 の 方 法 論 と し て コ ミ ュ ニ カ テ ィ ブ・ア プ ロ ー チ を 推 奨 し て い る 。日 本 の 生 徒 た ち は 、書 き こ と ば や 文 法 の 知 識 は あ っ て も 、コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 力 が 弱 い 。 そ こ に 焦 点 を あ て た 教 育 を サ ポ ー ト し た い 。 ケ ベ ッ ク 政 府 駐 日 代 表 部 か ら の 支 援 表 明 – ケ ベ ッ ク で も 教 員 研 修 は あ る 。 – フ ラ ン ス 語 は 5 大 陸 で 話 さ れ て お り 、ネ ッ ト で は 5 番 目 に 使 用 さ れ て い る 言 語 。 東 京 に は 二 十 数 か 国 の フ ラ ン ス 語 を 公 用 語 と す る 政 府 代 表 部 が あ る 。 – フ ラ ン ス 語 が 多 様 性 を も っ た 言 語 で あ る こ と を 知 っ て も ら う 。世 界 フ ラ ン コ フ ォ ニ ー の 日 に 、 3 月 日 本 の 各 地 で 開 催 。 – オ リ ン ピ ッ ク に 向 け て の 多 言 語 推 進 活 動 に は 協 力 を 惜 し ま な い 。 フ ロ ア か ら の 提 案 – 外 国 語 = 英 語 は 日 本 独 特 の 現 象 。文 化 の 多 様 性 も 日 本 に は 欠 け て い る 。ユ ネ ス コ の 文 化 多 様 性 条 約 が 圧 倒 的 多 数 で 可 決 し て い る が 、日 本 の メ デ ィ ア の 取 扱 い は 1 行 の み 。日 本 は ま だ 批 准 が 終 わ っ て い な い 。文 化 の 多 様 性 の 重 要 性 を 生 徒 た ち に 身 に つ け さ せ て ほ し い 。言 語 は 文 化 の 中 枢 で あ り 、相 手 の 言 語 で 語 っ て 初 め て 心 が 伝 わ る 。 (磯 村 尚 徳 氏 ) – 外 国 語 教 育 の ハ ー ド ル が 高 い 。各 地 域 に カ フ ェ の よ う な か た ち で 、簡 単 に 子 供・大 人 が 入 っ て 気 軽 に 勉 強 で き る 、コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン で き る 場 所 が あ れ ば よ い と 思 う 。 ( 聖 徳 学 園 山 名 氏 ) – 多 言 語 に 第 二 言 語 と し て の 日 本 語(「 や さ し い 日 本 語 」)を 加 え る の は ど う か 。 す べ て の 言 語 に は 対 応 で き な い の で 、日 本 語 を 工 夫 す る 視 点 も 加 え て は ど う か 。( 津 田 塾 大 学 林 氏 ) – 海 外 か ら 日 本 に 来 た 学 生 が 、英 語 で し か 受 け 入 れ て も ら え な い の が 現 状 。日 本 に お い て 多 言 語 活 動 が 促 進 さ れ る の は す ば ら し い 。 ( 外 務 省 小 澤 氏 ) – 教 育 の 出 口 は 社 会 。民 間 企 業 の グ ロ ー バ ル 人 材 の ニ ー ズ 、そ こ で 必 要 と さ れ る 語 学 力 の 要 件 を 把 握 す る こ と も 必 要 。 民 間 企 業 と JACTFL の 連 携 を 提 案 す る 。 ( 三 菱 商 事 梨 本 氏 ) – ひ と こ と で も い い の で 、 今 日 の 話 し 合 い の ア ピ ー ル が 必 要 な の で は な い か 。 ( 慶 應 義 塾 大 学 古 石 氏 ) 主 催 者 か ら の 提 案 ・ 閉 会 の 挨 拶

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154 – 本 シ ン ポ ジ ウ ム で の 議 論 を 踏 ま え て 、東 京 都 長 期 ビ ジ ョ ン に 掲 げ ら れ て い る 、多 言 語 教 育 の 推 進 策 に つ い て 、そ れ に 賛 同 し 支 持 す る こ と を 表 明 す る と と も に 、具 体 的 な 推 進 策 の 提 案 書 を 東 京 都 教 育 庁 に 提 出 す る こ と を 参 加 者 に 約 し た 。 – 最 後 に 、多 く の 方 々 に シ ン ポ ジ ウ ム も 参 加 い た だ い た こ と に 謝 辞 を 述 べ る と と も に 、多 様 な 外 国 語 教 育 を 推 進 す る こ と に 賛 同 す る 個 人 、団 体 、 機 関 と 、 今 後 も 情 報 を 共 有 し 、 連 携 し て い け る 場 を 提 供 し 、 協 働 し て い き た い 旨 、 挨 拶 が あ っ た 。

成 果 と 課 題

以 下 、 シ ン ポ ジ ウ ム 参 加 者 か ら 回 収 さ れ た ア ン ケ ー ト の 結 果 か ら み る 今 回 の シ ン ポ ジ ウ ム の 成 果・課 題 で す 。( 回 収 61 件 /参 加 者 219 名 /回 収 率 27.9% ) < 関 ⼼ に 合 っ た 、 ま た は 得 る も の が あ っ た プ ロ グ ラ ム > (複 数 回 答 ) 回 答 数 全 体 に占 める割 合 午 前 の部 シンポジウム発 表 46 (75.4%) ディスカッション 28 (45.9%) 午 後 の部 分 科 会 38 (62.3%) 全 体 会 26 (42.6%) *今 回 の シ ン ポ ジ ウ ム を 踏 ま え て 、2015 年 3 月 25 日 、吉 田 JACTFL 副 理 事 長 よ り 東 京 都 教 育 庁 の 高 野 教 育 監 (当 時 )に 対 し て 、東 京 都 に お い て 多 言 語 教 育 が 推 進 さ れ る こ と に 賛 同 す る と と も に 、今 後 の 多 言 語 教 育 の 施 策 の 推 進 に JACTFL と し て 協 力 し た い 旨 を 伝 え ま し た 。7 月 8 日 に は 、山 崎 理 事 長 、 吉 田・中 野 副 理 事 長 の 3 名 が 東 京 都 庁 教 育 指 導 部 を 訪 問 し 、東 京 都 の 高 等 学 校 に お け る 多 言 語 教 育 に 係 る 事 業 に つ い て 情 報 交 換 を 行 い ま し た 。今 年 度 か ら 推 進 さ れ る 多 言 語 学 習 の 機 会 拡 充 に 対 し て 、JACTFL と し て 提 案 す る と と も に 、今 後 協 力 で き る こ と が あ れ ば 、連 絡 を い た だ く こ と に な り ま し た 。

参照

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