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景気変動と輸、送変動

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(1)

山 開  題   

Ⅰ 交通経済学研究の基本的態度   

Ⅱ 経済と輸送の関係  

二 景気変動と在庫投資   

Ⅰ 戦後における景気変動   

Ⅱ 今次景気変動の性格   

Ⅱ 在庫循環のメカニズム   

Ⅳ わが国における在庫投資の特異性  

三 景気下降−沈滞期における輸送減退  

由 景気回復−⊥昇期における輸送増大  

五 結論−景気変動︑在庫変動︑輸送変動の関係   

Ⅰ 景気変動と在庫変動の.関係   

Ⅱ景気変動と輸送変動の甜係   

景気変動と輸送変動   景気変動と輸︑送変動  

日l   村  

︵二六七︶ 二七   

(2)

交通経済学研究のためには︑次の三つの基本的態度が必要である︒   

り 輸送需翠ほ舘要者が不特定多数であるため千差万別な個別的なものである︒しかしこれを社会経済的にみる  

ならば血走の態様と性格をもつ流れを構成している︒流れを構成している個々の旅客︑貨物は不定であっても︑全  

休として劇定の流動構造をもっている︒その流動構造ほ小足状態の社会経済を前提として生成発展し︑当該社会経  

済から一定の性格または組織を付与せられている︒したがって輸送実態またほ輸送傾向を分析する場合にほ社会経  

済全体の立場から︑他の経済諸要因との因果性︑相関性︑波動性︑可逆性の十分な認識の下に行われなければなら  

ないのほ当然である︒また輸送現象を含めてすべての経済現象の間にほ定量的関係と定性的関係がある︒量的関係  

を考察する場合ほ数式によって経済諸関係が解明でき︑加うるに統計的方法によって計量的に表わすことができ  

る︒他方定性的関係については構造分析と相関関係の究明によって︑明らかにすることができる︒したがって父通経  

済の研究は国内輸送の場合は国民経済的立場より︑海外輸送の場合ほ世界経済的把握が必要である︒   

日 経済全体と輸送の関係の第二は輸送力ほエネルギーとともに副定の経済活動を支える基盤的関係にあるとい  

﹂とである︒さきに一定の輸送態様は当該社会から与えられるといったが︑逆に這の社会や経済ほ輸送力な基  

盤として形成発達していくということがでせる︒これが輸送力が経済基盤といわれる由縁である︒山九五四−五年  

の世界経済における高原景気に恵まれて︑日本経済も戦後最も大きな景気上昇を謳歌したが︑エネルギーや輸送力  

のような経済基盤に陸路を生ぺこの陸路を打開するのでなければ経済のより以上の拡大膨脹は望めないという状  

況に立ちいたった︒国内輸送力め陰路化現象の中でとくに問題となったのほ国鉄輸送力で︑輸送ピーク時にほ滞貨    第三十二巻 第三・由・五号  

題  一関  

Ⅰ 交通経済学研究の基本的態度   ︵二六八︶ 二八  

(3)

二〇〇カトンを越え︑経済成長に大きな障害となった︒かくの如く輸送力ほ仙定の経済活動を維持拡大させる基幹  

的セクターであるぺ したがって輸送部門の分析も従来の従属的立場から脱却し︑経済の長期的動向を左右する  

strategic sectOrとして取扱わなければならない︒   

日 経済現象ほいくつかの経済諸要因の因果的︑相関駒蘭係から成立する︒しかし同時に影響することもあり︑  

時間的ラグをもって影響し合うこともある︒例えば前期の一つの現象が今期の他の現象を規定しゆく︑すなわち建  

差的函数関係がある場合がある︒輸送現象と他の経済現象との相関関係もそういう場合が多いので︑長期的観察が 

必要である︒   

これを要するに日輪送力ほ国民経済的把握︵国内輸送に対してほ︶ないし世界経済的把握︵外航海運や国際航空  

に対してほ︶が必要である︒日輪送カほ経済基盤であるから基幹部門としての政扱いをしなければならない︒日輪  

送力ほ経済成長過程において動態的に観察しなけれぼならない︒   

Ⅱ 経済と輸送の関係   

国民経済と輸送との関係ほこれを大きくみて︑H経済成長と輸送︑日景気変動と輸送︑日経済構造変化と輸送の  

三つに分けて観察することができる︒   

植物や動物のような有機体が外界の物質をとってだんだんと大きくなっでいくように︑人口とか国民所得とかノい  

う経済諸崖も長期的にほ持続的にだんだん増加していくと解釈できる︒これを二般に経済成長といっている︒輸送  

部門も経済全体の成長とともに成長するのみならず︑経済基盤として経済成長の大きさを規定する︒したがって国  

民経済と輸送の常州の問題ほ経済成長と輸送の関係で︑経済規模の拡大に伴って輸送規模がどのように拡大される  

か︑輸送規模の拡大に伴って輸送構造がどのように変化するか︑また輸送規模の拡大に対応して輸送設備投資をど   

︵二六九︶ 二九   景気変動と輸送変動  

(4)

れだけしなければならないか等の諸問題を包含している︒  

畠民経済と輸送の第二の問題ほ景気変動と輸送の関係である︒国民経済は趨勢的︵長期的︶にほ何程かの年率を  

以って持続的に成長するけれども︑短期的にほ景気変動の影響を受けざるを得ない︒景気変動にほ八−二年周期  

の主循環の外に︑二﹂三年周期の短期的波動︵小循環︶があるが︑特に短期的景気変動の下における輸送変動︑景  

気変動と輸送変動との時間的関係等がこの問題に含まれる︒  国民経済と輸送の第三の問題ほ経済構造変化と輸送の関係である︒一般に経済の発達ほ経済構造の変化をもたら  

すと考えられている︒わが国における経済五カ年計蘭でも産業構造の高度化・−すなわち金属︑機械︑化学工業を  

中心とする重化学工業化に重点をおき︑昭和三七年度にほ三毒度の八ニ%増をそ﹂み︑軽工業部門の三六%増を  大きく上回っている︒かかる経済構造の変化が輸送に如何なる影響をもたらすかが第三の問題である︒  第山の経済成長と輸送成長の問題は既に別の機会で発表した︒また第三の経済構造変化と輸送の関係は今後の研  究にまつこととし︑本稿において峰景気変動と輸送変動との関係に・ついて分析することにした︒  

︵1︺ 拙稿﹁経済成長と輸送力﹂交通学研究山九五八年︑七一⊥三頁  

二 景気変動と在庫投資   

Ⅰ 戦後における景気変動   戦後︑日本経済は三回の景気変動に見舞われている◇すなわち次表にみるように︑第一回目は朝鮮動乱のブム  とそれに続く二六年の不況︑第二回目は二八年のブームと国際収支感化のためのデフレ政策によるこ九年の後退︑  そうして三回冒ほ三〇年の数量景気︑三年α投資景気等忘の神武景気に霜ぐ三二年の不況である︒そして今回  の景気変動の汲登別回と此べてみると︑不況の痍度が深く庵った代りに︑循環の扱が大きくなった︒と︑⊥昇期間    第三十二巻 第三・四・五号  ︵二七〇︶ 三〇  

(5)

戦後景・気変動の推移  

景気変動と輸送変動   下降期間が長くなった割濫回復期間が短かかっセことなどが目立っている︒   

Ⅷ 今次景気変動の性格   

今次の景気後退が生産に与えた影響をみると︑鉱工業生産僧数.︵昭三〇年=一〇〇︶  

ほ三二年五月の一五三・四をピ﹂クとtて下降し︑三三年四月には一三八・二まで約山  

○%下落している︒ノその後同月をボトムに︑・年率二〇%に及ぶ上昇率で回復に転じ︑早  

くも三三年山二月には︑後退前のピークを越えて山五八・八に達した︒   

三二年五月より三三年四月までの生産減退の内容をみるに︑次頁の表に明らかな如く  

生産財︵﹂一・九%瞥と資本財︵六 

七%増︶ し︑耐久消費財ほ逆に一八%増加している︒しかも︑回復過程叱おいて︑顕著  

な上昇を示しているのほ耐久消資財︵四五・六%増︶︑消費財︵血五・七%増︶︑生産  

︵1︶  財︵山〇・五%増︶ である︒更に景気変動の要因を総需要 ︵国経済の生産する物資︑  

サービスに対する購買力︶ の分析からみてみよう︒繚奮要は普通︑.個人消費︑財政支出  

輸出および民間投資の四種に分類される︒民間投資ほさらに細分しで︑住宅建築︑設  

備投資および在庫投資に分ける︒総需要のうち︑在犀投資以外の眉効需要はその場面で  

消費されるから最魔寵妾と呼ばれ︑在庫投資は山時ストックしておいて︑他の部面に流  

れていって消費されるので中間裔要と呼ばれる︒三二年四1六月期から二〇1山二月期  

までに総需要は九%︑年率にして約一兆二十億円急減しているが︑その急減のはとんど  

全部が在庫投資の減少によって生じており︑最終常要は減退していない︒一ユニ年前半期  

︵二七こ 三山   

/  

(6)

今次景気後退における鉱工業生産  

きいから︑景気が変っても前に契約した輸入原料Ⅵ関係上︑届障投資は七−九月までかなり高く︑一〇1⊥二月期  

に入.?てはじめて在障水準の低下がみられた︒仕掛品在庫ほ生産と同じ傾向を示すものであるが︑最近ほ生産期間  

の長い機械などがふえているから比較的在庫投資の減少が遅れ⁚ている︒とれに対してメーカ1の製品在障ほ景気が  

悪くなり出荷が減るにつれて逆に増加する傾向がぁる︒いづれにせよ︑今次患気変動の最大要因ほ過大在辟の崩壊  

︵2︶  によるもので■山般に在庫調整による景気後退︵Hnく唱t雪y詔CeSSiOn︶と呼憬れている︒   

B岬C   増 力或  

(%)  

34   ■=  

ボトム!  

3し  3酎  

12長蒜  一   第三十二巻 罪三・四・五号  

完了 

(%)  

ー 

ー 

_ 

︵二七二︶ 三二  

における在庫投資の増勢ほ甚だしく︑そのための資金の大半ほ銀行借入れによっ  

て賄われていたから︑金融引締めが在庫投資による経済の膨脹に終止符をうつと  

同時に急激に収縮しなけれほならなくなったことは想像にかたくないであろう︒  

しかも以前の在犀蓄積のテンポが大きかっただけに︑在膵投資の減少による総需  

要縮小の暗も意想外に大きく︑かくして金融引締めによる抑制からデフレの自動  

進行への推移が現われたのである︒   

在庫投資も原材料在庫︹ 仕掛品在庫︑製品在膵︑流動在庫に分けて観察してみ  

ると︑金融引締めによる影響はかなり違った動きを示している︒金融引締めに山  

番敏感に反応するの′ほ﹂番銀行依存度の強い卸売在序である︒資本金に比較して  

大きな在障を絶えている問屋ほ︑金詰りになると手持ちの商品を投売して︑金繰  

りをつけようとする︒その結果流通段麿の在膵投資は三二年五月の金融引締めせ  

同時に減少し︑七卜九月に大幅に滅少した︒これに対して製造巣者の在庫調整  

にほ若干のタイム︒ラグがあった︒メーカーの原材料在庫ほ輸入原料の比重が大  

(7)

三三年度経済自書によれば︑今次景気後退ほ過去の投資景気の反動としての供給過剰によるものであること︑供  

給過剰ほ第一義的には在庫過剰︑第二義的には設備過剰によるものであると断定して次の如く述べている︒﹃生産  

過剰ほ在庫調整劇と設備過剰劇の二暮にわかれている︒現在の底入れほ在庫調整がこの緬につき景気の下降局面か  

ら沈滞局面に移ったことを示すにすぎない︒生産設備能力の過剰という重圧がしばらく日本経済の上にのしかかる  

であろう︒﹄かくの如く当時の支配的意見は過剰設備の圧力を大きく評価して︑景気回復にほかなり時間がかかると  

︵$︶ 予測した︒すなわち鍋底景気r︵saucer︶ と言われた︒   

しかし事実ほこれに反して予想された広範囲の設備過剰は表面化せず︑景気ほ予想外のテンポで回復した︒広範  

な設備過剰が生じなかづた原因として︑三四年度経済白書ほH投資財価格の騰貴による投資コストの上昇︑出基礎  

産業や第三次産業の投資増加︑日生産工程の迂回化や技楯の高度化のための投資額の増大︑相生産能力増大に直接  

︵1︶ 関係のない付帯工事の増加︑㈲エ事期間の長期化等の諸点を指摘している︒   

以上の理由で︑山時に集中した設備投資は予想された如き生産力効果を生心ことなく︑経済ほ三三年四月より上  

向いてきた︒すなわち三二年五月以来︑.急低下をつづけた鉱工業生産は︑三三年三月を底に上昇に転じ︑九月まで  

に八・五%増と急速な回復歩調を示した︒企業の商品や原材料仕入れなどの需要増減ほ在庫をふやす段階 ︵正の在  

庫投資︶ でほ在庫投資の増減として︑在庫ぺらしの段階︵負の在庫投資︶ でほ在庫のくいつぶしの程度として現わ  

れる︒三三年四月以降の景気回復ほまず卸小売在庫投資に最も敏感に現われ︑卸小売在庫投資ほ四−六月から増勢  

に転じた︒他方仕掛品︑国産原材料在庫は︑四1六月︑七−九月と在庫べらしがつづき︑仙○−山二月に入るとこ  

のくいつぷし程度が大きく減少し︑それだけ企業の仕入れがふえた︒最終需要はその間増加をつづけ ︵三三年度で  

三・三%増︶たが︑そのうえにこのような在庫需要の増大が加わったため︑三三年秋以降の急テン表の回復がみら   

︵二七三︶ 三三   景気変動と輸送変動  

∴∴  

(8)

︵二七四︶ 三四  第三十二巻 軍手甲五号  

れたのである︒すなわち在膵回復による景気回復︵−nくent︒ryreC︒謡ry︶であり︑今次景気変動ほ在障変動による  

へ5︶  景気循環すなわち在庫循環︵In完ntOry CyC−e︶ である︒   

Ⅱ 在庫循環のメカニズム   

﹃従来男気変動理論の対象がもっぱら主循環と呼ばれる八−仙丁年周期の循環に限定されていた︒しかし景気循  

環が資本主義に固有な現象であり︑これが主循環によって集約的に表現されていた︒もちろん資本主義の変転ほ長  

期的にほ内に技術的革新による趨勢的な発展の動力を持ち︑そのゆえに主循環の上に重ねられた長期的波動が存在  

︵6︶  するであろうと想像することも誤りでない︒その長期的波動ほしばしばコンドラティエフの波と呼ばれている︒﹄  

この主循環に対照的なものほ嵩ansenのいう小循環⊥miロOr CyC−且 で︑またキッチンの披とも呼ばれ︑二−三  

年周期の短期的の景気変動がこれによって説明される︒この短期変動の主要な説明要因として考えられるのほ在膵  

変動による循環である︒   

ここで在庫変動のメカニズムを説明する前に︑若干の概念規定を明らかにする必要がある︒まず在辟水準という  

ことばであるが︑これは山定時点における在庫品の在高であヶてストック概念である︒これに対して在犀変動ほ一  

定期間における在庫品の変動鼠であってフロー概念である︒そこで︑景点上昇期においてほまず所得が増大し︑需  

要が起り︑第血に在庫の引出しということになる︒これほ生産者が増大した需要に見合うように生産を増すことが  

すぐできないから︑事績された在膵によってそれを満すからで参る︒これに続いて生産の増大が起る︒これは増  

大した需要に対応すかためと︑引出された在庫の補充のためである︒生産が増大す\ると所得も増加し︑需要も増え  

つづける︒これだけでほ在庫水準は同じであるが︑もし生産者が需要水準以上に生産した場合ほ在庫水準ほ高まっ  

てくる︒これが景気上昇期の在庫投資増大のメカニズムである︒次に若し在庫水準が適正在障水準 − 予想される   

(9)

売上げ水準からみて適切と考えられる在庫を越えるような場合︑またほ金融引締め等で︑急速に在犀べらしを行う  

ような場合にほ生産ほ下落し︑しだかって所得も減少し︑舘要も減退し︑売上げも下落することになり︑かくして  

景気の下降が始まることになる︒  

景  気  上  昇  期  

Ⅳ わが国における在膵投資の特異性  

わが国における在庫投資ほ他国に比較して国民経済の規模にくらべてその比重が大きすぎる︒すなわち国連統計  

︵山九五〇−五六年間平均︶によると︑在庫投資の国民所得に対する比率ほ︑アメリカ︑イギリスは山%強︑西ドイ  

ツ四%弱に対して︑日本のそれほ八%と飛抜けて大きい︒また最近数年間の国民総生産の動きと在庫の蓄積状況を  

アメリカと日本について比較すると︑アメリカは在庫の蓄積と処分を繰返してその水準ほはぼ国民総生産の四分の  

一に等しい線を推移している︒日本においてほ国民総生産と在庫の関係ほ︑昭和二九年頃はアメリカとはぼ似通っ  

ていたけれども︑今日においてはすでに国民総生産の半ばに近い水準常まで増加してぃる︒   

この日本の在膵投資の悼格ほ戦前からのものである︒おそらくその原因には次の二つがある︒その第山ほわが国   

景気変動と輸送変動  ︵二七五︶ 三五    所得の増大  過剰在庫   需要の増加  在庫ぺらし   在庫の引出  生産減退   気  下  降  期  

所得減少   生産増加  

需要減退   在庫補充  

売上下帯  

(10)

在膵投資の比重  

の激変性とは原料の対外依存度が大きいため︑原料輸入やその他の在庫が生産の変動以上に変動することをいぅ︒  

︵7︶  在庫投蟄の変動が激しいことは景気循環の振幅が大きくなる要因である︒   

︵1︶ 興銀﹁調査月報﹂三二号こ九五九・五月   第三十二巻 第三・四・五号  ︵二七六︶ 三六  

経済の特質から経済規模に比して大きい在庫高を必要とする−すなわち在庫率が高いところからきている︒わが国  

においてほ︑零細企業が多いため︑分断された在膵が必要となり︑品目も多種多様となる︒この傾向ほとくに流通  

′ ̄ヽ     (       (       (  

5  4  3  2   

)       )    、・_ノ   ヽ_./  

%  

昭和三三年度﹁経済自書﹂四−六日   

﹁同上﹂三二−三三貫   

昭和三四年皮﹁経済白裔﹂九−一一貢   

﹁同上﹂八・−九重    ビルマ  日  本  西ドイツ  イギリス  アメリカ   部門に顕著である︒さらにわが国のエ業ほ輸入依存度が大きく︑原料  入手の不安からどうしても余計に原料ストックを仕入れがちになるこ  とである︒第二の原因ほこのような経済構造の特質からくる原因の外  に︑わが国でほ鉱工業生産の成長率が高いから年々余計な在揮蓄積を  必要とするためである︒また持続的なインフレインヨン傾向のため︑  商品は仕入れておけほ損ほないという気持があるし︑市場ほたえず拡  大するという戦後の経験によって在庫蓄積ぬ過大になりがちである︒   

これらのことほひとりわが国の在庫投資が高いということになるの  

みならず在席投資の激変性という結果をも伴うことになる︒在序段資  

(11)

この在席回復論に対してほ異論がないわけでほない︒篠原三代平助教授ほ次の如く批評している︒買ぷ気循環の分析とし  

て︑在陛循環がこのように重視されたことは正しい︒しかし︑こまかに検討してみると︑これにほ次のような問題がある︒  

四半期別国民所得中の在庫投資に季節修正を加えたものをみると︑三二年四〜六月をピークとし︑急激に低下し︑三三年  

四−六月が底となって再び急上昇している︒おそらくこの統計も一つの基礎となって﹁在庫回復﹂ ︵インペソトリー・リ   

カバリー︶説が打出されたのだろうが︑これにほ直ちに次の疑問が提出されよう◇  

郡山にわが国の輸入変動ほこれまで在庫変動と密接な関係があった︒ところが昨年四−六月から﹁在庫回復﹂にほいっ  

たのになぜ輸入が同時に上昇過程にほいらなかったのか︒輸入が増大に転じたのは三三年末ごろからであったから国民所  

得の数字が正しいとすればこれまで紅みないズレが在庫変動と輸入の間にあったことになる︒しかし生産が急速にふえ︑  

輸入がふえなかった時期にほ︑むしろ在踵の食いつぶし加速化の過程が続いたとみる方が本当だと思われる︒  

第二にこれまでほ在膵投資の変化と運転資金貸出の問に密接な関係があった︒﹁法人企業統計速報﹂ ︵劇九五社集計︶  

によってみると︑三二年四−六月をピークに︑大企業の短期債入金残高の増加額︵割引手形を含む︶ほその後三四年一−  

四月までずっと減少過程をたどっており︑それに歩調を合せて︑大企兼の在庫投資もこの期間︑増加どころか減少過程を  

たどってきたことがわかる︒大企業だけでなく︑法人企業体についてみても︑主三年中の在膵投曽の減少過程ほは薩明ら  

かなように思われる︒また全国銀行の逆転資金の貸出も季節修正を施せほこの間減少している︒だから運転員金貸出増加  

と結びつく在庫投資の増大ほむしろこれからだという見解も成立しないでほない︒  

このように︑輸入と貸出との関連から考えると︑三三年四−大月から﹁在庫回復﹂の段階にほいったとみなすことには  

かなりの問題がある︒いちほん印象強く ﹁在庫回復﹂ のテンポを示す統計ほ四半期別国民所得統計の在倖投資の封数だ  

が︑そこでは在庫投蟄に在膵単価の値下りまでが含められている関係上︑三三年初めどろまでの春庫投資の低下が過度に  

推訳され︑したがってその後の在膵回役のスピードも過大に推定ざれてはいないかが心配される︒  

呆気変動と輸送変動  ︵二七七︶ 三七   

(12)

第三十二巻 第三・四・五号  ︵二七八︶ 三八  

だが︑かりに﹁在庫回復﹂が三三年前半期から始まったと仮定しても︑貸出の統計からみて︑三三年末までの在庫回復  

ほあくまでも中小企業中心で︑大企共中心の﹁在庫回復﹂ほ三三年末あるいほ三四年紅はいってからだということほ確言  

できる︒過去の経験から中小企蒐の在膵回復ほ大企業のそれ紅先行するということができるからである︒白書の分析ほこ  

の点でそのままでは賛成しかねる︒﹄  

しかし︑篠原助教授の指摘した輸入変動と在膵変動の関係に対しては次の如く説明ができなかろうか︒なるはど輸入ほ  

三二年度後半から急激に織り︑三三年春から生産が上昇していたにもかかわらず輸入が増加に転じたのほ三三年末になっ  

てからである︒これほ日輪入価格が三三年度にはいってからも下落を続けたこと︑H鉄鋼や紡績など輸入素原料を多く消  

費する産菓の回復期問が遅れ︑また鉄くずのように国内からも供給される原材料についてほ消費がふえ始めてもまず国内  

産でまかなえたこと︑日輪入菊原材料の在庫食いつぶしなどの理由阻よる︒また︑景気変動に対する在障変動ほ仙率でな  

く最も鋭敏に関係をもつのは卸小売在庫である︒これは三二年の景気下降期においても︑三三年春の景気上昇期において  

も最も鋭敏に作用している︒これに対して仕掛品在庫︑国産原材料在庫︑輸入原材料在庫ほ若干のタイム︒ラグをもって  

作用するのほ前述の如くである︒  

︵6︶ 倉林義正﹁屈障循環に関する劇考察﹂中山伊知郎博士還暦記念論文集﹁経済の安定と進歩﹂七一二−四三富  

︵7︶ 三三年度﹁経済白睾﹂ 劇二一−一四貢  

推木信義﹁日本経済の体質とインベントリー・リセッションの特殊性﹂アナリ女ト︑三四年五月号参照  

三 景気下降−沈滞期におゆる輸送減退   

Ⅰ 総  

三一年における経済の急速な拡大ほ国内輸送の面′においても空前の貨物輸送需要の膨脹となり︑国鉄を基幹する  

国内輸送力ほこれに対応できず︑その結果駅頭在貸が異常に増加して ︵三二年T−三月まで常時二〇〇万トン以上   

(13)

三月末にほ二四三万トンに達した︶︑深刻なる輸送陸路を招来した︒三二年度に入っても︑当初ほ引きつづせ出荷  

ほ旺盛で︑各輸送機関とも前年度を大幅に上回る輸送需要を受け繁忙を呈した︒   

その後五月に入り金融引締めを受けるに至り︑鉱工業生産ほ低下しほじめ︑七月頃より輸送面にもその影響が渉  

透しほじめ︑輸送需要は次第に鈍化するよう軋なった︒景気下降が貨物輸送の面に現われた影響の態様ほ︑各々の  

機関別貨物輸送鼠指数  

ほしめとする鉱産品輸送の強気傾向によって支えられ︑三二年度中ほさして大きな輸送後退は起らなかった︒すな  

わち︑三二年度中月別輸送量ほ一︑五〇〇万トン台を堅持し︑三三年度に入っでから一︑一ニ00ガトン台に減少し  

た︒これを品目別にみれば︑まず鉄鋼︑工業菜晶の減少が一.番巌初に現われほじめ︑第三・四半期には他の多くの  

製造工業品に及び︑第四・四半期にほ鉱産品︑木材等の大宗貨物にいたるまで︑押し庵べて減少傾向となった︒駅   

︵二七九︶ 三九   景気変動と輸送変動  

0   5   

し下降が現われほじめた︒しかし︑その影響は部分的で︑かつ石炭を  

32年  

輸送機関によって区々であるが︑各機関ごとの月別貨物輸送量を季節  

変動を除去した指数になおして︑その推移をみると上図の如くである︒  

国鉄︑内航汽船および機帆船は鉱工業生産指数と同じく六−七月をピ  

ークとして漸減の傾向を示したが︑三二年仙二月に入り急激に減少す  

るに至った︒景気後退の影響の程度ほ内航汽船が最も鋭敏で︑機帆船︑  

︵1︶  国鉄がこれにつぎ︑自動車ほ増勢が鈍化した程度である︒   

Ⅱ 国鉄貨物輸送   

さらに詳細に国鉄輸送を分析してみると︑三二年度当初ほ前年度に  

引きつづき好調であったが︑八月頃より二部工業製品の上昇鈍化ない  

(14)

かくて︑三二年会計年度における国鉄輸送年間実績ほ当初目標二億八︑000万トン聖一〇〇万トンも下回っ  

た︒   

さらに︑三三年仙月に入って︑輸送も本格的沈滞期に入り︑はとんどの工業品︵セメント︑肥料を除く︶ が不振  

である上に︑従来比較的好調であった鉱産品輸送も悪化に転じ︑全品目に亘っで本格的後退が現われた︒   

主要商品について減退の著しいものから順に︑三三年三月の実績と前年比をあげてみると次の通りである︒   第三十二巻 第三・四・五号  ︵二八〇︶ 四〇  

頭在貨も三二年下半期には平常在貨八〇万トンを割り︑一二月には三六万六千トン.に減少した︒  

遡 及こ仰替歌こ膵湖龍  

品  名  

鉱 石 頬  

砂   利  

繊   維   輸送藍︵千トン︶  対前年比︵%︶   

(15)

次に︑今次デフレ開始以来の主要商品の輸送減退の時期と現在までの下降期聞及びピーク時に対する下降程度  

を︑季節変動を除去した移動年討輸送量についてみてみよう︒  

景気変動と輸送変動   鉄   鋼  木   材   コ ー ク ス   石   灰  

油  石  アルコール  

工米英晶  

紙 パルプ   

機械車両  

右 灰 石  

商品名   

石   炭   

鉱 石.類   

石 灰 石   

砂   利   

銑   鋼   ピーク時と輸送鼠    ︵千 トン︶ 

三三年 二月  四七︑00〇  

三二年一こ月   一山︑〇九五  

山月以降やや停滞  

三二年山二月  八︑仙七六  

三二年 八月  四︑七二二   三四〇  

山︑二七六  

︷二八  

三︑四七五  

二九七  

二五山  

二九〇  

三七〇  

六六二  

三月迄の 下降期問   

一カ月  

三カ月   三月の輸送量   

︵キトン︶   

四六︑七一〇   

一〇︑七五六   九三   九五   九六  九六  副00  

七︑八五六   

四︑四四七  

九 九 九 八   一▲ ○ 七  

ピーク時に対  する比率 %  

九九・四  

九七・〇  

九六︒一   

九四・   

︵二八こ 四則   

(16)

以上で注目される点はH不況時にほ常に鉄鋼輸送の後退が時期的にも早く︑下降率も比較的大であること︑H今  

回は繊維不況が早く始まった関係で︑その輸送後退も早く起っていること︑日工業薬品︑紙パルプ等の後退の時期  

もかなり早いが︑下し降の巾は小さく︑ま雪山二年秋ないし年末より下降が強まっていること︑囲今回の場合も概し  

て各商品とも物価の下落が輸送後退より先行していること︑㈲期間的にもまた比率的にも下降の顕著な鉄鋼や繊維  

︵2︶ ほ三月頃からやや市況に安定化の兆しがみえはじめていること等である︒   

Ⅱ 海上貨物輸送    第三十二巻 第三・五・五号  

機械車両   

肥   料   

石   油  アルコール   

工業薬品   

紙 パルプ   

放   維   

コ ークス   

石 灰 頬   

セメ ント   

木   材   三二年小二月   四︑二八四  

緩慢な上昇継続  

三二年小二月   三︑五九三  

三二年 八月   三︑山四八  

三二年 八月   三︑五二九  

三二年五月∵   山︑五一五  

三二年一〇月   山︑七八七  

三二年 九月   て 四五二  

上 昇 継 続  

三二年山二月  二ハ︑〇九五   二一カ月   七カ月  七カ月   一〇カ月  

五カ月  

六カ月   三カ月  

劇五︑六劇七  三カ月   三︑五三七   三︑〇八〇   三︑四三八   一︑四二八   一︑七〇六   山︑四〇五   四︑二四三  

九八・四   

九七・八   

九七・四   

九四・二   

九五・五   

九六・八   ︵二八二︶ 四二   

九九︒○  

九七・六  

(17)

次に内航汽船は三一年度に引きつづく荷動きの増大︑国鉄運賃の値上による海送転移の伸長等によって足かけ三  

年にわたって好況を草し︑さかに内航稼動航腹の不足と相まって︑三二年初頭ほ強調であった︒しかし︑これも六  

月頃をピークとして︑金融引締めによゑ何動きの緩慢化︑外航不振による中型船の内航復帰と好況時に着工された  

造船の就航による船腹需給の軟化等の理由により︑市況ほ急激に下向に転ずるに至った︒輸送量も七月をピーク  

として減少し︑例年の如く冬場増大することもなく前年度を大きく下回った︒汽船貨物の大宗ほ石炭で︑これも寵  

要筋の貯炭増に伴う受入抑制などに加えて︑年中行事的な炭労︑港湾ストにょって荷動きが激減した︒石炭以外の  

鋼材︑木材その他の貨物も操短の影響で出荷が低調を極めており︑全体として内航荷動き口琴ほ二二年度にくらぺ  

二−三割減とみられる︒三三年沈滞期に入ケてますます極度の荷不足︑横地におけるフリー船の増加等のた.め閑散  

商状を呈し︑こうした事情を反映して運賃の低落ほ甚だしく︑スポット物ほ基準運賃︵内航同明血賃率︶を山剖以  

上も下回る状態であった︒   

機帆船ほ従来景気の下降に対して最も敏感である限界供給者的性格をもつといわれてきたが︑今回の景気後退に  

あっては荷主の金詰りとデフレによる取引単位の小口化によって︑割安で小口輸送を主とする機帆船に対する需要  

ほ比較的減少しなかった︒輸送量もその落勢のテンポほ内航汽船よりも遅く︑第四・四半期に入ってからの輸送口温  

もはば三柵年度同期の水準にとどまった︒三三年に入り輸送後退が起り同年上半期迄に対前年度実績をナ○%下  

回った︒  

Ⅳ トラック輸送   

土フック輸送ほ三仙年度の好況の影哲を受け︑車両数︑とくに自家用車や小型克の数が急激に増加し︑そのため  

全般的に輸送量が膨脹し︑三二年上半期にほ前年同期にくらペニ二%の増加と高い水準を示し︑下半期に入っても   

︵二八三︶ 四三   景気変動と輸送変動  

ヽ  

(18)

発言十二巻 第三・四・五号  ︵一大四︶ 四四  

依然増加の趨勢は変らず︑わずかに増勢が鈍化した程度であった︒この原因ほH車両数︑とくに小型車を主とする  

自家用車の増加によって︑新規輸送館要が開拓されたこと︑出自動車の輸送物資中︑意気下降に対する弾力性の乏  

しい消費物資の占めるウエイトが高いこと︑臼三二年四月の国鉄運賃の値上げが若干影鱒していること等が考えら  

れる︒しかし営業車のみについてみると︑第四・四半期になって︑輸送需要がやや下ったため二部集荷競争や運賃  

︵$︶ ダンピングが現われた︒  

品目別トラック輸送実続  

(単イ立千トン)   

32年討i前鮎l32年12璃甑   米  

麦及その   他 穀 類   甘藷馬鈴薯   その他菜頬   鮮魚介類   そ・の 飽   食 糧 品   石   炭  

コー・クス   亜   炭   木   炭   薪  

 ̄  

l  

_  

l 1 0  6 7  9   9  1 0  4  1 ウ︼ 4 9 0  1  0 2 2 3  

1  1  1      1   1   1  1  1  1  

木   石材、砂   セ メ ソ   鉱砿   

材 利 卜 石 鋼両  

・ 

・ 

1 4 00  1  

1 2 1  6  

1  1  1  1  

32,865≡38,7531183,178  

2   4 1  3  7  5  

0  0 1 2 0 1  

1   1  1  1  1  1  

肥 料12,052≡13,437112l,103  

郵便新聞  4,558   床   尿… 6,609  

l  

5,264 115】  504  

∴ ̄ 二 二  

653   10,981   1,257    40,998   14,121   

445,394  

小型車ぎ210,834272.428ト29  

合 封 t583,150    アナ7,823い2368,叫121  

】   L  

(19)

国 内 旅 客 輸 送 実 績  

農気変動と輸送変動    Ⅴ 旅 客 輸 送  最後に︑景気下降−沈滞期における旅客輸送常要の動向をみるに︑名  

輸送概関ともはとんどその影響を受けておらず叫様に増勢を示してい  

る︒これを長期間の趨勢でみても︑逐年はとんど変動をみせず着実な増  

加の傾向をみている︒旅客輸送がてのように着実に伸長する原因を分析  

すると次の通りである︒旅客ほ大別して定期旅客と定期外旅客に二分さ  

れ︑はぼ六対四の割合になっている︒定期旅客を規定するものは︑雇用  

者数と学生数であるが︑これらは戦後確実な増加を示している︒すなわ  

ち二五年にくらべ三二年の雇用者数は四八%増︑高等学校以上学生数ほ  

六〇%増となっている︒他方︑定期外旅客ほ生産的旅客︵社用︑商用等︶  

と消費的旅客︵行楽︑家事等︶に分けられ︑その軋合ははぼ五対五であ  

る︒このうち生産的旅客は短期的にほ一応景気変動に対して弾力的と考  

えられるが︑戦後の生産活動と販売活動の活潜化によって趨勢的には増  

加を示している︒消費的旅客は︑総人口の増加 ︵三二年度ほ二五年度に  

比し約一〇%の増加︶︑消費水準の上昇︵三二年度は二六年度に比し都  

市四六%︑農村二二%の上昇︶︑およびスキー︑登山︑行楽等を中心と  

する旅行性向の増大等を原因として︑消費的紆要も増加している︒   

これを輸送機関別にみると︑その伸び率にほ若干の格差がみられ︑  

︵二八五︶ 四五   

(20)

′   

︵二八六︶ 四六  第三十二巻 第三・四・五号  

二五1三二年度の間年平均の伸び率ほ国鉄五・五%︵定期六・五%︑定期外四・六%︶︑私鉄四・七%であるに対  

し︑バス山九・二%︑乗用貴四一・二%となっている︒その結果︑国民山人当りの全輸送機関の平均乗車回数ほ二  

︵4︶  五年の劇 二ハ回に対して︑三二年には一九五回となった︒  

︵1︶ 三四年度﹁経済白番﹂二二五頁  

︵2︶  ﹁述輸と経済﹂ 山九五八︑五月号劇八−二〇頁  

︵3︶  ﹁述輸と経済﹂ 馴九五八︑六月号二三頁  

︵4︶ 三三年﹁経済自書﹂二二九−二三︼貝  

四 景気回復−上昇期における輸送増大   

論   Ⅰ 総  

三四年度経済自書によると﹃昭和三三年度の貨物輸送は前年度来の景気後退による生産の停滞︑輸入の減少およ  

び在庫調整の影響をうけて︑年度を通じて三%の減を示した︒三三年度の推移をたどれ濾︑鉱工業生産の第⊥・四  

半期における底入れとその後ゐ回復を背景として︑各輸送機関の輸送量は︑第二・四単期以降上昇の気運をみせ︑  

︵1︶ 年末の繁忙期にほはぼ前年なみの水準を回復し︑その後の景気の上昇とともに堅実な増加傾向を持続している︒﹄  

と述べられているが︑景気回復期における輸送回復ほそんなに円満に行われたものでほなかった︒   

Ⅱ 国鉄貨物輸送   

かりに鉱工業生産が底入れし︑回復に向ったといわれている四月における輸送状況をみてみると︑この景気底入  

れ観とは逆にかえって悪化の色が濃かったのが実状である︒たとえば︑四月の国鉄輸送は対前年比率で山○%︑数  

盈で一四〇万トンとこれまでにない減送を示し︑駅頭在貨も月末には三九万トンと山口の発送鼠にも達しない異例  

(21)

なはどの激減に転じていた︒また五月始めにほ五︑八〇〇両の貨車が遊休留置される状態であった︒′でほ劃体景気  

の動向との関係で︑この輸送情勢の感化ほどう解釈したらよいのか︒また不況の底入れ現象ほ輸送面に全然現われ  

なかったかどうか︒四月における国鉄輸送を品目別に分析してみると︑エ業晶の輸送傾向ほ︑鉄鋼︑工業薬品︑紙  

パルプ等についてほ減送の率が底をつき︑機械車両︑石油アルコー・ル等ほこれまでの減送から逆に上昇に転じ︑さ  

らにコークスについてほ一月で対前年同月の輸送減が二四%に達していたのが︑四月でほ四%減まで回復している  

︵2︶  ことがわかる︒  

工業品の対前年度輸送比α推移︵%︶  

これに対して︑石炭その他の鉱産物の出荷ほ不況の渉透とともにいよいよ軟化し︑炭労︑全鉱︑私鉄︑港湾など  

景気変動と輸送変動   セ メ ン ト   

料  肥  

銑  機 械 車 両  

石油アルコール  

紙 パ ル プ  

工 業 薬 品   

ク ス   コ ー  

繍  維  類  

石  灰  類   名  一月  

山〇七  

一〇二  

九二  

六  

九五   

九山  

九五  

七六・  

九叫  

八八    二月   山〇八   

九八   

八叫   

九五  

九四   

九五  九三  

八四  

八五  八九    三月  一二叫  叫〇三   

八七   

九六   

九三  九六  

九五  

九一   

八七  嘲○山    四月   劃 叫二  

九三  

八五  仙〇三  

一一四  

九四  

九モ  

九六  

八三  九八  

へ二八七︶ 四七   

(22)

化の色を濃くしたのが実状である︒  

鉱産物の輸送実績︵四月分︶   三八八︶ 四八  第三十二巻 欝三・四・五号  

山連のストを契機として深刻化するに至った︒これを要するに四1五月における輸送情勢ほ︑工業品などに関して  

は横パイないし鞘に増送傾向がみられながら︑重量物資である鉱産物の減送が大きく影響し︑全体的には屑慈  

の情勢をみると︑この上向きのテンポほ︺層速くなり繁忙を呈した︒二月の国鉄の輸送実恕蒜∵年ぶりで前年同月  

の水準空一㌻三%上回り︑三二年二月 

の通りで︑三二年二月の実績にわずか五千ト・ン及ばなかっただけで︑他の年をいずれも上回る成績となっている︒   国鉄輸送が全面的に回復し始めたのは九月頃で︑  

四︑九七九千トン︑対前年比九六%まで回復した︒   品   名  石   鉱  石  石  灰   砂  

年   

二 六 年  

二 七 年   例年 二 月 の輸送実績   輸送目標  

炭   三︑九九〇  

輸送蛍  

一一︑二五九  

一二︑九二三   八二五  七三三   六劇二    輸送実績  

三︑二有二  

七六六  

六〇五  

五山○  

三四年度になって急ピッチで上向きとなり︑土−三月にかけて    七月ほ実給二三︑   単位〒トン  

︵単位芋トン︶  

年  

三一年  

三 二 年   対前年比   

八一   

八四   

九二   

九〇  

五三八千トン︑対前年比八九%︑十月にほ  

輸送炭  

山三︑〇七〇  

一三︑九七二   

(23)

油アルコール壱%︑紙パルプ山六%︑機械車両⁝%と各物資が軒なみに前年の水準を大巾にオーバ1し︑霊  にない清瀬な荷動きをみた︒エ業品の急ピッチの←昇のみをみると前かがみのⅤ字形の上昇である︒   三 〇 年  〟一︑九二五  

中でもエ業晶の輸送ほ昨年にくらべものにならない程の伸びを示し︑鉄鋼二四%を筆頭に︑  

繊  金  属  

石  灰  

景気変動と輸送変動   二 月 の  

品   名   

セ メ ン ト   

料  

銑  鉄  

機 械 車 両  

石油アルコール  

紙 パ ル プ  

工 葉 菜 品  

コ ー  ク ス   二 八 年   一二︑三〇四  

二 九 年   一二︑一三三  

工業品輸送実績  

三二年︵A︶  

五六四  

六五七  

三六九  

三三三  

二九九  

二ヒ八  

二五四  

一二九  

一二一  

一一四  

一〇七   ︵単位千トン︶  

三三年︵B︶   

六〇八   

六四四   

二九八   

三叫八   

二七五   

二六三   

二三五   

山〇八   

州〇二  

七四   

九五   三 三 年  三 四 年  

三四年︵C︶   

六五四   

七二ハ   

三六九   

三五九   

三二二   

三〇五   

二七八  

一一八  

九二   

九七  鵬〇四   山三︑五劇九  山三︑九六七  

九一  一三〇  

叫〇九  

︵二八九︶ 四九    ︵%︶   山〇八   山一一   二一四  一山三  一山七  一山六  一一八  一〇九   工業薬品一八%︑石  

(24)

一 

︵一元○︶ 五〇   第三十二巻 第三・四・五号  

しかし︑国鉄貨物の二五%を占める石炭ほ二月に入っても︑昨年実績を四%下回る不振ぶりであったが︑他の物  

資の出荷の好調がこれをカーバーした︒この意味において三四年二月の実績ほ実質的において戦後最高であったと  

いえる︒以上の如く輸送実績が好調であったと同時に︑駅頭在貨も高水準をつづけ︑±月末から三月末にかけて八  

︵3︶  ○−九〇万トンのレベルをくだらなかった︒   

四月以降︑工業品の増送は依然としてつづくと共に︑石炭を除く鉱産品の増勢が山段と強まり︑これまで比較的  

上昇が遅れていた鉱石類︑石灰石︑砂利等ほ本格的に上昇傾向をみせ始めた︒すなわち︑国鉄統計の工業品山二品  

目を合計した年間換欝の増送ぺースほ︑六月にほ九〇〇万ト・ンオーバーし︑一月以降の最高を示した︒商品別にこ  

れをみると次の通り過半のものが二〇%以上の対前年増送となり︑低下な示したものほ二品目もなかった︒  

対前年二五−三〇%増送のもの:⁝⁚⁝⁝⁝:銑鋼︑・紙パルプ︑金属屑  

ゲ  二〇−二四%〃:・     ・⁝・セメント︑肥料︑コークス︑工業薬品  

〃  仙四−⊥九%か⁝     ⁝⁝⁝・石油︑アル七−ル︑石灰類︑雑工業品  

か⁝     ⁝⁝⁝・繊維類   〃  七%  

他方︑鉱産品の増送も顕著となり︑六月にほ鉱石類︑石灰石︑砂利等も対前年二〇%以上の増送となり︑エ業部  

門の生産の上昇が原料への爾要を急速に増加させていることがわかる︒   

右の情勢から国鉄ほ今秋冬期の輸送繁忙期をひかえ︑神武景気下にみられたような輸送逼迫の再現ほ避けがたい  

︵4︶  と思われる︒  

Ⅱ・海上貨物輸送   

景気底入れ当初における海上輸送をみるに︑内航汽船ほ年初来二〇〇万トン台を割る激減ぶりを示し︑逐月減少   

(25)

の遠を辿り︑丁一着期ほ対前年比八九%︑四1六月期同七九%と前年を大巾に下甲った︒機帆船も冬場ほ前年  

並を維持していたものの漸次減少し︑四−六月期にほ対前年比八姦まで激減した︒品目別にみると︑滅送の主因  

ほ大宗貨物である石炭の大巾な減少にある︒すなわち汽船では丁六月期で対前年竺九%︑機帆船でほ同云%  の減送となっている︒かくて︑夏場閑散期も過ぎ秋口に入ってから︑内航輸送ほ漸次上昇気配を示しはじめた︒山  

12月 の内航輸送実績  (単付て■トン)  

景気変動と輸送変動   

船    対前年   同月比  

機   帆   船  

†ン数闇労琵   品  名  

石   炭   鉄 鉱 石  

/銑   鉄  

非   鉄   

コ−ク ス    セメ ント    紙パルプ   木   材   肥   料  

塩 穀   類  

ソーダ・灰頬   雑   貨  

託  

品  名  

96㌔l石 炭ぎ  

砂 利 等   石油製品   肥   料   木  材   そ の 他  

討  

822!47芦!沿紗ンク   タ ンカー・  

○月後半に至り︑荷動きも漸次   

活漆化し︑市場ほ久し振りに活   

気を呈してきた︒さらに仙二月   

に入り︑景気の回復と年末の季   

節的要因が重なって︑大宗貨物   

の石炭をはじめ︑鉄鋼︑非鉄︑   

セメント︑雑貨などの荷動きが   

増大してきた︒山二月における   

汽船の実績は二二七万トン︑対   

前年同月比仙〇五︑機帆船ほ三   

四七万トン︑対前年同月比九九   

%で汽船の方がやや回復度が高   

いようにみられるが︑これは冬   

場荒海期で荷が汽船に集中した  

︵二九一︶ 五叫   

(26)

第三十二巻 第三・四・五号  

︵5︶ ものと思われる︒  

かように︑海上輸送においてほ仙二月で昨年水準に回復し︑引続い互荷動きは上昇過程にある︒とくに︑鋼材︑  

セメント︑肥料︑パルプ材の外に︑従来低調であった石炭の新年度契約ものの出荷が漸次盛んとなり︑活気を呈し  

てきた︒  

Ⅳ トラック輸送   

トラックについては︑輸送需要が減少しなかった消費物蟄の割合が大きいため︑三三年度年間を通じて貫して  

上昇趨勢を辿っていた︒とくに︑自家用車でほ小型車を中心とする車両増加のため輸送巌の増加がめざましかっ  

た︒   

これに対して営業車ほH自家用車の車両数増加とその営業行為による侵蝕︑Hトラック輸送の大宗を占める建設  

資材の不振︵全国建築着工統計速報によると︑三三年上半期の全建築着工藍は前年同期の山二%減であぺ不況の  

惨透した三二年下半期と比べても七%の減少︶ 等の理由により不況となり︑激しい貨物の争奪と運賃ダンピングが  

行われた︒しかし︑トラック輸送全体としてほ叫貰して順調な上昇傾向にあり︑景気の回復期に入ってもとりたて  

て急増しなかった︒年末にほかなりの荷動きがあり︑繁忙を極めた︒三四年景気上昇期に入ってからほトラック輸  

送は一層活況を呈した︒これほ山般経済界の景気回復により建設資材をほじめ工業品︑雑貨などの出廻りが増大し  

たからである︒中でも電気器具などの耐久消費財やセメント︑鋼材などの輸送が盛んとなり︑これらがトラック輸  

送を山段と好転させる要因となった︒三四年二月の倫送実轄をみると七二︑二〇七万ト・ンで︑対前年比一山八%︑  

二月の実績としてほ史ト音牧高記録である︒   

このような情勢に加えて︑最近︑車両数の増勢がますます強まってきたことほ︑輸送が如何に急ピノチで上向い   ︵二九二︶ 五二  

(27)

ト ラ ック 輸送の推移  (単位千トン括弧内は対前年比)  

景気変動と輸送変動  

合  訂  

 ̄  壷這妄丁示蒜「 

21,611  

(110)  

22,032  

(111)  

22,170  

(110)   

27,71067,599  

(124) (114)   

謂69,0∂9 (116)  

2冒1;三冒70,290     (117)  

ているかを証明している︒すなわち︑トラック車両数は三三年山二月末に  

ほ前月よりも山万四千台増加して︑山00万五千台と遂に百万台の大台を  

突破した︒これまでの動きほ年初来九月までほ月間七−八千台︑山○月に  

は一万台︑山 仙月には二万仙千五官台の増加であったから︑二一月にはさ  

ら.に増勢が強まったわけである︒車種別にみると︑ほとんどの車種にわた  

/ って増勢がほげしいが︑小型四輪車の増勢が最も助著で九千五百合︑次い  

で小型三輪車が三千二百台︑普通車が一千三百合と増加している︒業態別  

にみると︑自家用の増加が圧倒的に高いが︑営業用も山千四百合とかなり  

︻一b︶  の増加ぶりを示している︒  

Ⅴ 旅 客 輸 送   

最後に景気回復−上昇期における旅客輸送需要の動向をみるに次の如く  

である︒三三年度旅客輸送ほ︑その景気変動に対する非弾力性に加えて︑  

今次デフレが賃金雇用面への影響が軽く︑個人消費ほ堅調を維持したこと  

等のために︑全体として二貰した増加傾向を維持したことほ前述の通りで  

ある︒しかしながら︑詳細に定期旅客を分析してみると︑三三年上半期は  

非農林業就業者の増加が鈍化し︑やや伸び悩みを示していたことがわかる︒  

ところが︑下半期からほ︑景気の立直りによる非農林業就業者の増加︑就  

業人口の都市集中傾向︑学生数の増加等のため定期旅客ほ増勢を回復した︒  

︵二九三︶ 五三   

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