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寺崎康博 ESTIMATE OF PRIVATE CONSUMPTION

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長崎大学教養部紀要(人文科学篇) 第21巻 第2号 39‑73 (1981年1月)

日本統治下における台湾の消費水準 の推計 ‑1912〜1938‑

寺崎康博

ESTIMATE OF PRIVATE CONSUMPTION EXPENDITURES OF TAIWAN DURING

THE COLONIAL PERIOD

‑1912〜1938‑

YASUHIRO TERASAKI

Abstract

New estimate of private consumption expenditures (PCE) of Taiwan is con‑

structed in the colonial period, 1912‑1938. PCE which were estimated by the family budget survey method are the weakest item in the Mizoguchi's work of estimating GDE. This paper employs the retail valuation method for food consumption and commodity flow method for other items. This PCE, combined with Mizoguchi's expenditures estimates produces the revised GDE estimate. The gap between expenditure and production estimates was of considerable degree, but the revised GDE makes a noticeable improvement; i.e. the discrepancy narrows to the order of ten per cent on an average over the period.

1.問題の所在*

本稿は、日本統治下時代の台湾の個人消費支出を推計すること、及びその計 測結果に基づき消費水準(及び国内総支出GDE)がどのように変動していた かを分析することを目的としている。ここ10年ほどの間に日本統治下における 台湾経済に関する数量分析に大きな進展が見られた.I)しかし、次節で概観する ように、台湾における消費水準をめぐっで異説も多い。その大きな原因の1つ は、それぞれが断片的な情報を利用して分析を進めているということである。

その問題に決着をつけるには、解釈の基礎となる消費水準を直接推計すればよ いことになろう。本稿の第1の意義はここにある。

次に、問題を個人消費支出の推計ということに限定して考えてみると、溝口

(2)

〔1975〕による試算が検討の対象になる。彼はその試算に基づきGNE指標(G NEではない)を作成しているが、独立に推計されたLeeのNDP推計との間 には減価償却分を考慮してもかなりの隔りがある。それを説明する1つの要因 は個人消費支出の推計が暫定的なものであるということに帰せられる。従って、

本稿の推計結果はその面を改善することになり、生産面からの推計と比較可能 をGDE推計を作成する道を開くものと考えられる。

なお、本稿の叙述の順序は次の通りである。まず2節では消費水準をめぐる 先駆的業績を振返り、その見解を整理する。個人消費支出に関する溝口指標も 検討される。 3節では本稿で行う推計方法の一般原則に言及する。そして、 4 節では計測結果に若干の分析を加え、その解釈を行う。 5節と6節は品目ごと

の細かい手続きの説明にあてられ、 7節では結びとして残された問題のいくつ かを指摘する。最後に、推計結果を付表としてまとめてある。

2.戦前期台湾の消費水準 2.1.先駆的業績

日本統治下の台湾について国民所得の生産面からの推計にはLee, Hsing のものが存在するが,2)消費水準の推計値を試算しているものは溝口〔1975〕以 外存在していない。しかし、断片的な情報を利用して当時の台湾の生活水準、

あるいはその変動を推論したものはいくつか存在する。以下の議論の便宜のた め、ここでそれらの代表的な見解を整理し、問題点を検討しておくことにしよう。

まず、農家については『農家経済調査』を利用した徐〔1975〕の見解がある。

彼は1931年における米作、庶作農家のうち第1生活費(住居費、飲食費、光熱 費、被服費、什器費)の占める割合を生活水準の指標にとり日本の農家と比較

した03)その結果、台湾における上層農家(米作の場合、経営規模3.5甲以上、

1甲‑0.978町)の生活水準が日本の小・零細農家のそれとほぼ同じ水準にしか すぎないと推論した04)これは1時点についての日本との比較であるが、 Chang

〔1969〕は1931、 1937、 1941、 1950年の農家の家計費を詳細に分析することに より次のことを示した。すなわち、 1家計当り(あるいは1人当り)の実質消 費支出やエンゲル係数等を比較検討すると、 1950年頃の台湾の生活水準に比べ て日本統治下の台湾の生活水準が比較的高かったであろうということである。

同様に、台湾島民の生活水準が向上していたであろうということがMeyers

〔1970〕の消費支出構成の分析からも推論されている。

一方、実質賃金率の変動から生活水準の変動を推論したものにHo 〔1968、

(3)

日本統治下における台湾の消費水準の推計‑ 1912‑1938‑ 41

1978〕、溝口〔1971、 1972、 1975〕がある。 Ho 〔1968〕は農業労働者の実質賃金 に上昇傾向が見られないことから植民地下の台湾では生活水準の向上はなかっ たであろうと予想していたが、上記Meyers論文等の批判を受け、後に見解を だいぶ変更している。すなわち、溝口によって検討された製造業労働者や農業 労働者に加えて,5)建設労働者、鉱業労働者の賃金及び吏員の俸給と幅広く集め

てその実質額を推計する。

1912年以後についてその結果を要約すると、

1)1910年代にはかなりの向上がみられ、 1920年代に入っても上昇傾向が観察 される。しかし、 1920年代後半以後若干の下降傾向が生じている。

2)産業別にみた時、吏員の俸給の伸びが1番高い。下降傾向についても、農 業労働者では20年代後半から始まるのに対して、建設、製造労働者は1930 年代後半からである.6)

これらの諸結果に加えて、 Ho 〔1978、 93‑102頁〕は米、甘藷、砂糖、豚肉の 消費や綿織物、紙の消費、さらに自転車保有等に関する断片的情報を積重ねて、

やはり日本統治下の台湾で消費水準が向上していたと推論している。この中で 興味深いのは次の事実である。すなわち、台湾における米の消費は日本への移 出のため減少する。特に、それは1930年代に入って著しい07)しかし、甘藷の他、

豚肉、砂糖等の消費が着実に伸び、̀他の食料以外の支出増加と考え合わせると、

消費水準は悪化したというより上昇していたと考えられることである。もちろ ん、戦時下に入る1930年代後半から1940年代にかけてはこの限りではない。

ところで、これらの研究はいずれも断片的情報からの間接的な推論である。

その推論を支えているのは様々な仮定である。想定される仮定はそれほど非現実 的といえないにしても、やはり細かく検討されるべきものであろう。また、この ような方法ではおよその消費水準の変動傾向しかつかめないといううらみがある。

何らかの工夫によって消費水準の推計値を得るのが議論を発展させる上で有意義 なものとなるはずである。そのような試みの1つに溝口による個人消費支出指標 の作成を挙げることができよう。この指標については、本稿のコモディティフロ ー法による推計結果と比較検討されるので、節を改めて議論することにしよう。

2.2.溝口個人支出指標

個人支出に関する溝口指標は家計調査からある1時点(1935年)の消費水準 を確定し、それを名目賃金指数によって補外することで求められている。すな わち、まず世帯を農家性帯、台湾人非農家世帯、日本人非農家世帯、及び無業

(4)

世帯に分割する。次に『農家経済調査』、 『家計調査』の1家計当り消費支出を 農業、台湾人製造業、日本人製造業労働者の名目賃金指数で1935年値に換算す る。ここで、無業世帯の消費支出は農家世帯の50%とする。これに各々の世帯 数を乗じれば1935年における個人消費支出を確定できる。他の年については、

上記の3種の名目賃金指数で各々の消費支出を延長し、各年の世帯数を乗じれ ばよい。ただし、無業地帯の消費水準は農家のそれに比例するものとする。表

1にはこのようにして求められた値が示されている。

表1溝口個人消費支出指標 (当年価格:千円)

Y E A R

1 9 1 2 2 9 7 0 8 5 .0 0 1 9 1 3 3 0 4 3 2 9 .0 0 1 9 1 4 3 0 7 4 6 0 .0 0 1 9 1 5 3 0 4 4 5 9 .0 0 1 9 1 6 3 1 1 1 3 2 .0 0 1 9 1 7 3 7 4 1 1 5 .0 0 1 9 1 8 4 4 0 2 4 5 .0 0 1 9 1 9 6 6 6 4 7 9 .0 0 1 9 2 0 8 4 7 1 6 7 .0 0 1 9 2 1 7 5 9 6 9 3 .0 0 1 9 2 2 6 8 6 1 3 2 .0 0 19 2 3 6 5 9 0 5 8 .0 0 19 2 4 6 7 36 7 2 .0 0 1 9 2 5 7 1 27 0 5 .0 0 1 9 2 6 7 6 77 1 8 .0 0 1 9 2 7 8 1 1 3 3 8 .0 0 1 9 2 8 8 5 9 6 7 8 ‑ 0 0 1 9 2 9 7 9 5 1 8 3 . 0 0 1 9 3 0 7 1 4 7 9 5 . 0 0 1 9 3 1 6 8 5 4 5 0 . 0 0 1 9 3 2 6 9 1 8 3 5 ‑ 0 0 1 9 3 3 7 0 7 3 3 8 . 0 0 1 9 3 4 7 1 3 1 4 6 . 0 0 1 9 3 5 7 5 4 5 9 2 ‑ 0 0 1 9 3 6 7 9 7 7 4 6 .0 0 1 9 3 7 8 3 6 3 4 9 .0 0 1 9 3 8 8 7 7 6 8 6 ‑0 0 ▼

(出所)溝口〔1975〕 146頁

ところで、推計方法から明らかなように、この 推計値はいくつかの自明とは言い難い仮定の下に 作成されているため、問題点を含んでいる。それら は次の2つの観点から整理できよう。その1つば消 費支出算定の根拠となった資料の性格に関連する。

この時期では標本は無作為抽出ではなく、代表的 な家計を選出したものからなっている。そして、

一般に所得分布上ではやや上層に偏った部分が取 られていると言われている08)従って、このことは 支出額を過大評価する傾向をもたらすであろう。

もう1つの観点は資料が不足しているためにとら れた次善策に関連を持つ。そのIつの問題は賃金指 数で延長することにかかわっていて、次の2点が問 題となる。すなわち、 t時点における消費支出Ctは、

Ct‑CoxWit‑普×YoxwIt

と書ける。ここでCoは基準時(1935年)の消費 支出、 Yoはその時の所得、 WItはt時点の賃金 指数の値とする。 YoxWItに注目すれば、勤労 者世帯にとってこれは所得金額を表わすものと考 えられる。しかし、 Yoは世帯ベース、 WItは個 人ベースで算定されているので、有業率が一定で かすれば正しい所得変動を示さないことになる。

また、 YoXWItが所得を正しく表わすとし た場合、 t時点の消費支出は所得の定数倍(Co /Yo)として推計されることになる。この定数

(5)

H本統治下における台湾の消費水準の推計‑1912‑1938‑ 43

は基準時における消費率である。換言すれば、貯蓄率一定という仮定の下で推 計値が求められている。これが賃金指数を利用することの第2の問題である。

この他に細かい技術的な問題が3つほど存在する。まず第1に、非農個人業 主世帯の消費水準が勤労者性帯のそれで代用されていること、第2には、その 非農個人業主世帯の消費が貨金指教で延長されていること。そして第3には、

農家世帯の消費が、あるいは所得が農業労働者の賃金指数で延長されているこ とである。特に、農家のシェアの大きさを考えるとこの3番目の問題は検討を 要しよう。農家所得の一部は地代であり、この部分は賃金指数と同じような変 動を示すとは言えないからであるog)

これらの諸前提は事実を過小評価したり、過大評価したりするものが混じり あっている。従って、一般に僚りの傾向を予見することは難しい。ただ、この 推計値を利用してGNE指標を作成しGDP推計と比較してみると、この溝口 指標の水準は高めに出ていることが予想される10)しかし、本稿の得た個人消費 支出推計との比較によってこれらの問題の評価が行われることになろう。そし

て、それは4節の課題のlつでもある。

3.推計方法一般

本稿の目的の1つである個人消費支出の推計について、細かい推計手続きは 5節と6節で述べる。ここでは推計結果の分析を行う前に、推計方法のおよそ の輪郭をつかむために、その原則を説明しておくことにしよう。

個人消費支出の推計には大別して (1)人的接近法

(2)物的接近法

という2つの方法がある11)前者は消費主体の支出からとられるもので、 「家計 調査法」が代表的なものである。先に述べた溝口指標の推計手続もこの部類に

含まれる。

一方、後者は商品の流れを追って消費額を推計するもので、生産額から出発 するコモディティフロー法や生産数量から出発する小売評価法が含まれる。

本稿の推計法もこの物的接近法によるものである。原則として、食料消費に ついては小売評価法、他の物財消費についてはコモディティフロー法が適用さ れる。また、サービスの支出は料金収入やサービス提供者の受取賃金で推計さ れた。しかし、戦前期には必ずしも生産統計が完備しているわけではないので、

(6)

一部家計調査の情報も利用されている。

推計された品目は新SNAの目的別分類に従って区分けした。すなわち、 (1) 食料・飲料・煙草、 (2)衣服・はきもの、 (3)家賃・光熱、 (4)家具・家庭器具・家 計雑費、 (5)医療・保健、 (6)交通・通信、 (7)教養・娯楽・教育・文化サービス、

(8)その他、の8分類である。

推計期間は1912‑1938年とした。台湾の領有は1895年から始まり、すぐに統 計調査も実行され、多くの資料が残されていて、研究業績も多い。本稿に関連 するものをあげても、農業生産額の推計を行った石川〔1971〕、鉱工業生産額の 推計を行った篠原〔1971〕、物価についての溝口〔1971〕等々があり、そのワー クシートも残されている。石川推計は1905年以後であるが、篠原推計は1912年 以後についてである。一方、溝口による物価統計の存在状況によって戦前期を 区分けすると4期に分かれ、 1910‑1928、 1929‑1938年がそれぞれ第3、 4期 を構成している。これら資料の存在状態と研究成果の利用ということを考え合 わせ、まず第1次推計として1912年以後の個人消費支出を推計することにした。

4.個人消費支出とGDEの変動 4.1.個人消費支出の変動

5節及び6節に詳述される手続きと方法とによって求められた個人消費支出 に関する一連の推計結果は付表の形にまとめてある。本節では主としてそこか ら得ることのできるfindingsを検討する。なお、今回の推計ではインプリシット デフレ一夕‑は求められていない。また、本稿で採用した品目分類は新SNA の目的別分類であったため、すでに溝口〔1975〕によって求められた5大費目 別デフレーターを利用することもできない。このため、実質額の検討は極めて 限定された形で行われる。すなわち、名目個人消費支出を総合消費者物価指数 でデフレートしたものを実質額として分析した。従って、分析の中心は当年価 格系列に置かれている。

図1は個人消費支出及びその構成費目の年々の変動形態を示したものである。

この図を見ると大正の初めから第2次大戦の戦時体制直前までのおよその変動 傾向とその特徴をつかむことができる。一見して、第1次催界大戦、大恐慌、

戦時体制の強化という大きな歴史上の出来事の影響が、 1920年前後、 1930年頃、

及び1930年代後半の凹凸の激しい動きに反映されていることがわかる。

しかし、もう少し立入った分析を行うために費目間の互いの関係を調べてい

(7)

+日本統治下における台湾の消費水準の推計‑1912‑1938‑ 45

図1‑1個人消費支出の洩努(当年価格)図1‑2個人消費支出の遵努(当年価格) くことにしよう。表2は個人消費支出の費目別構成比を示している。食料費の 割合は大正時代は70%前後であったが、昭和に入って徐々に低下をみせ始め、

1930年代前半までには60%近くまで下がった。ただ、その間に第1次大戦後は 一時的に上昇を見せているし、戦時色の濃くなる1930年代後半にも再び上昇し

ていることは注意を要する。

表2個人消費支出の構成(班)、 3力年平均

午 食 料 被 服 類 家 賃

光 熱 類 家 具 類 医 療 等 交 通

通 信

教 養

娯 楽 そ の 他

1 9 1 3 ‑ 1 9 1 5 6 9 .2 6 .5 5 . 9 1 .3 3 .1 3 .8 1 .2 5 . 1

1 9 1 6 ‑ 1 9 1 8 6 9 .0 5 .9 7 . 4 1 .2 4 .2 3 .9 1 .2 4 . 0

1 9 1 9 ‑ 1 9 2 1 7 1 .4 4 .3 4 .8 1 . 4 3 .3 3 .8 1 .3 3 . 9

1 9 2 2 ‑ 1 9 2 4 6 9 .7 5 .0 4 . 2 1 . 7 4 .5 4 .7 1 .6 4 . 3

1 9 2 5 ‑ 1 9 2 7 6 8 .9 7 .2 4 .5 1 . 9 5 .1 4 .7 1 .7 3 . 8

1 9 2 8 ‑ 1 9 3 0 6 6 .5 7 .1 5 .0 1 . 9 5 .8 5 .4 1 .7 4 .0

1 9 3 1 ‑ 1 9 3 3 6 1 .8 8 .3 5 .3 2 . 0 8 .0 5 .9 2 .4 4 . 3

1 9 3 4 ‑ 1 9 3 6 6 4 .7

8 .2 4 .8 1 . 9 5 .8 5 .6 2 .7 3 .8

(出所)付表Al

(8)

ところで、ここで推計されたエンゲル係数は高いように思われるかもしれな い。事実、 1934年の『農家経済調査』では約50%である。しかし、物的推計法 が適用されているため、家計調査では交際費とか冠婚葬祭費といった項目に含 まれる食料費支出まで食料費に入り込むことを考慮すると高くなる傾向は十分 予想できる。実際、台湾では小作農においてさえ冠婚葬祭費の割合が高いこと が指摘されている12)従って、一概に他の品目が過小評価されているとは言えな い13)このことを確かめるために同時期の日本、戦後の台湾とのエンゲル係数を 比較してみよう。表3はその結果を示したものである。これを見ると、水準の 表3エンゲル係数の比較違いはあるにせよ、日本と台湾は同じようにエン

(当年価格) 台湾1 ¥l本

4‑‑‑ ‑ ‑‑4‑‑‑‑‑‑

1912 71.5 64.2 1917 69.7 58.8 1922 69.3 58.1 1927 66.3 56.0 1932 i 64.3 50.9 1937 62.8 48.3 1952 61.8 1960 60.3

*篠原〔1967〕 137頁

代には1%強であったものが、

ゲル係数を下げている。しかも、 1930年代と1950 年代前半を比べるとほぼ同じ値をとっている。興 味深いことに、戦前と戦後の農家の家計費を比較 分析したChang 〔1969〕が1950年前後と比較して 1930年代の方が生活水準が高めであると推論して いることと矛盾しない結果である。

一方、食料費以外の費目についてみると、教養

・娯楽等への支出の割合の増加が目立つ1910年 1930年代には3%近くまで上昇している14)他に も、医療、交通・通信、家具等、及び被服等への支出割合も徐々にであるが増 加している。このことは費目ごとの平均成長率15)を計算してみると一層明瞭に なる。個人消費支出の成長率より低い成長率の費目はシェアを落とすし、高い ものは逆にシェアを増加させるからである。表4は上に述べたことを裏付けて 表4個人消費支出の費目ごとの

名目成長率(1912‑1938年平均)

G R O W T H R A T E

食 料 4 .0 7 9 7 %

破 服 1等 6 .3 4 2 5 %

家 賃 . 光 熱 等 3 .5 5 3 7 %

家 具 等 6 .6 4 6 6 %

医 療 等 7 .9 16 1 %

交 通 . 通 信 6 .6 7 2 9 % 教 養 . 娯 莱 等 9 .2 8 1 9 % そ の 他 3 . 6 0 4 8 % 個 人 消 費 支 出 4 .5 5 6 6 %

いる。すなわち、個人消費支出の成長率4.56

%より高い成長率を示す費目は被服等、家 具等、医療等、交通・通信、教養・娯楽等 の5つである。

次に、先に述べた方法で実質個人消費支 出を計算すると表5のようになる。その平 均成長率を求めると3.92%となる。同様に して、 1人当り実質個人消費の成長率は 1.85%と計算される。すなわち、 27年間で

1人当りの実質消費水準は平均して1.64倍 になったことを意味する。日本の実質個人

(9)

日本統治下における台湾の消費水準の推計1912‑1938 47

表5実質個人消責頼(1934‑36年価格)

Y E A R 実 質 個 人 消 費 支 出 1 人 当 り実 質 個 人 (千 円 ) 消 費 支 出 (円 )

1912 2 339 28 .86 68 .10

1913 2 59 109 .81 73 .99

1914 24 34 52 .90 68 .49

1915 24 57 82 ̀85 68 .85

1916 2 576 36 .45 7 1 .64

1917 26 44 34 .92 7 2 .52

1918 26 75 29 .12 7 2 .90

1919 28 64 65 .88 77 .ll

1920 3 347 35 .94 89 .08

192 1 3 307 42 .7 1 86 .22

1922 3 345 97 .68 8 5 .69

1923 3 309 79 .72 8 3 .24

1924 38 1 294 .33 94 .34

1925 4 157 96 .27 100 .25

1926 4 31 163 .09 10 1 .65

1927 4 249 6 1 .2 1 9 7 .99

1928 4 660 08 .88 10 5 .00

1929 4 71 384 .87 10 3 .63

1930 4 858 68 .09 10 3 .84

193 1 4 359 26 .39 90 .74

1932 5 187 31 .99 10 5 .22

1933 49 7 186 .97 98 .25

1934 5 158 57 .12 99 .30

1935 5 724 53 .92 107 .69

1936 58 02 80 .90 106 .44

1937 56 49 96 .41 100 .73

1938 60 03 36 .51 104 .46

消費支出の成長率は1900‑

1940年の間で年平均2.79%、

1人当りでは1.52%である16) 本稿の実質額はインプリシ ットデフレーターの方法で 求められていないので直接 比較することはできないが、

少なく見積っても日本本土 よりはやや高めの成長率を 実現していたであろうとい うことを本推計は示してい る。

ところで、これらの事実 は何を示唆しているのであ ろうか。支出構成比の変化、

実質額の伸びのいずれをみ ても、戦前期の台湾は平均 的にみて着実に生活水準を 上昇させていたことがうか がわれる。おそらく、生存 のための食料消費という段 階を越えて、他の文化的な 消費にまで手を広げっっあ ったと推論できよう。

(出所)付表A6, A7。

4.2.食料消費の変動

2節で概観したように、台湾における消費水準の変動の中で米の消費「量」

が、特に1930年代に入って減少しているという事実が認められた。最近のHo

〔1978〕の見解によれば、他の食料消費の増加がこれを補っている可能性が強 い。ここでは一つのevidenceを提供することによってこの問題に取組んでみ ることにしたい。

(10)

表6食料費の構成比(形)

午 穀 ∃ 騎

米 野菜 果実 水産食品 . 莱 砂 糖 煙 草 酒 類 肉類 そ の 他

加工食 品

19 12 38 48 3 18 1 3 ‑ 5 14 10

19 17 30 4 1 3 18 2 2 4 5 14 l l

19 22 30 43 6 16 I 4 3 5 16 6

19 27 29 42 8 12 1 4 ‑‑ 7 17 10

193 2 23 43 9 15 0 3 1 6 14 8

193 7 21 35 9 15 I 8 1 8 17 7

(出所)付表A5

当年価格表示の食料消費の費目別構成比を見てみることにしよう。表6はそ の要約表である。次のような事実を読みとることができよう。

(1)食料費に占める米の消費「額」の割合は減少している。しかも、それ はほぼ一貫した傾向を見せている。

(2)それにかわってシェアを増加させているのは野菜・果物類、肉類、砂 糖、及び酒類である。

ただ、推計値にはいくつかの注意が必要である(詳細は付表A5を参照のこと)。

第1に煙草にマイナスの値が現われている。細かくみるとパイン缶詰もそうで ある。これは、在庫変動を含んだ推計値のためと考えられる。すなわち、本推 計は在庫調整を行っていないし、これらはいずれも保存のきく食品であり、在 庫変動が入り込んでいる可能性を裏付けている。第2に、水産食品の値がやや

高めである。食生活の違いは考慮しなければいけないが、対応する日本の値と、

経済発展の段階とを考慮しても高めのようである。これは生鮮魚貝類の消費観 が直接求められたのではなく、水産加工品の消費額に上乗せするという方法を とったためであろう。第3には、加工食品の割合がやや低いように思われる。

これは基礎資料のカバレッジが狭いことが理由かもしれない。しかし、この2 つは相殺する動きを持つので、結果としては消費水準をあまり変えないであろ うと予想できる。従って、上に指摘した2つの傾向をくつがえすほどの影響は 持たないであろう。そうすると、この2つの事実から食料消費の高度化を確認 できることになろう。

次に、実質消費、及び1人当り実質消費額を求めてみる。デフレーターは溝 口〔1975〕によって計算されたものを利用する。その結果を示したものが表7 である。実質で年平均4.7%、 1人当りでは2.6%の成長率で増加している。

さらに期間を5年ごとに区切って細かく成長率を計算したものが表8である。

(11)

日本統治下における台湾の消費水準の推計‑1912‑1938 49

表7実質食料消費(1934‑36年価格)

Y E A R 実 質 食 料 消 費 1 人 当 り実 質 食 料

(千 円 ) 消 費 . (円 ) .

19 12 129 339 .4 8 37 .6 5

19 13 14 3029 .6 2 40 .8 4

19 14 13 114 3 ー 6 6 36 .9 0

19 15 13 595 2 .38 38 .0 8

19 16 13 59 13 .0 1 37 .7 9

19 17 15 092 4 .9 5 4 1.39

19 18 14 631 5 .22 39 .8 7

19 19 16 905 3 .9 2 45 .51

19 20 23 145 2 .95 6 1.59

19 21 23 6009 .23 6 1.53

19 22 24 039 8 .79 6 1.57

19 23 24 33 23 .96 6 1.20

19 24 27 046 1 .58 66 .9 2

19 25 29 464 0 .89 7 1.04

19 26 29 219 0 .75 68 .88

19 27 29 759 1 .48 68 .62

19 28 33 070 2 .84 74 .51

1929 3 294 39 .74 7 2.42

19 30 34 17 54 .01 73 .04

19 3 1 28 395 5 .22 59 .ll

1932 34 953 7 .36 70 .90

19 33 3 1837 4 .96 62 .9 1

19 34 32 748 6 .31 63 .04

1935 38 20 13 .38 7 1.8 7

19 36 37 738 8 .87 69 .22

19 37 35 67 24 .35 63 .60

19 38 39 668 4 .36 69 .0 3

表8実質食料消費額の成長率(1934‑36年価格)

午 実 質 食 料 消 費 1 人当り実質食料消費

1 9 1 3 ‑ 1 9 1 8 2 .9 3 4 4 % 1 . 8 9 8 7 % 1 9 15 ‑ 1 9 2 0 9 .5 7 1 8 % 8 . 3 7 8 5 % 1 9 2 0 ‑ 19 2 5 6 . 1 3 6 3 % 4 . 1 7 0 1 % 1 9 2 5 ‑ 1 9 3 0 2 .1 8 5 3 % ‑ 0 . 2 2 0 6 % 1 9 3 0 ‑ 19 3 5 2 .6 1 7 8 % ‑ 0 . 0 4 3 5 % 1 9 3 2 ‑ 1 9 3 7 3 .5 0 5 1 % 0 . 9 0 8 3 %

(注)成長率は3ヵ年移動平均でならした後に求められている。

実質食料消費額は大正年間 ではいずれの期間でも高い 成長率を記録しているが、

昭和に入ってからは2‑3

%強で比較的安定している。

これらは、全般的な傾向と して着実な生活水準の向上 を示唆していると言えよう。

また、 Chang 〔1969〕の農家 に関する分析17)やH。の予 想とも符号する。しかし、

1人当りについてみると昭 和の初め頃に若干の落込み が見られる。 1930年代の米 の消費量の減少はやはり無 視し得ない影響を持ってい たことがうかがわれる。

4.3. GDEの作成と既 推計との比較 本節では既推計との相互 チェックを行うことにより、

推計値自体の吟味を行う。

第1に、溝口個人消費支出 指標との比較を試みる。こ の指標の水準自体は高めの 傾向を持つことが作成当初 から認められていた(溝口

〔1975〕第5章)。実際、本 推計と比べてみると1910年 代では50%前後、 1930年代 に入っても30%前後過大に なっている。このことはま

(12)

た、本推計の方が成長率が高いことを意味しよう。同じ消費者物価指数を利用 して実質化したものの成長率を比べると、本推計は3.92%、溝口指標は3.24%

となり、 0.7%ほどの違いが出て来る。この違いは1910年代の消費水準を過小評 価しているか、あるいは過大評価しているかによって出て来よう。そして、そ の原因には3つの可能性が考えられる。すなわち、

(1)本推計においては、 1910年代の雑貨類、サービス類の推計に間接的な 方法をとったものが多く、商品の捕捉が十分でない可能性があり、過 小評価になるかもしれない。

(2)溝口指標は1935年における有業率が一定であるという仮定の下で推計 されていた。しかし、この期間に見られた経済成長から考えて1910年 代における雇用機会は相対的に少なかったと考えられる。従って、過 大評価を生む可能性を持っている。

(3)もう1つの可能性は、溝口指標の延長に利用された賃金指数に問題が ある場合。

しかし、 Ho 〔1978〕の賃金指数を見ると(3)の可能性は少なく、おそらく (1)と(2)の相互作用の結果上記の違いがもたらされたと言えよう。

次に、生産面からの推計であるLee推計との比較を行う。 GDEの個人消費 支出以外の項目については溝口〔1975、 1978〕によって推計されているので、

それと合算してGDEの溝ロー寺崎推計と呼ばれるものを求める。一方、 Lee 推計はNDPなので減価償却分を加える必要がある。戦後の台湾の国民所得 統計から減価償却/GDE比率が求められるので、その比率を本推計期間にも 適用した。そして、両者を合算したものをGDP推計と呼ぶことにする。その 結果は表9にまとめられている。 GDEとNDPのデフレーターが異なるので当 年価格値の比較が行われる。 GDP推計の方が7‑24%、平均して10数%ほどの 過小評価になっていることが読みとれる。この禾離は独立推計としては予想外 の一致とみてよい。その原因の1つとして、両推計とも生産統計から出発して いることが考えられよう。

表9 GDEとGDPの比較 (当年価格:千円)

Y E A R (噌 詣 E草 2 G D P (2 M l ) 1 9 1 2 2 1 8 5 3 8 .4 1 2 0 2 7 9 3 .8 9 0 .9 3

19 1 3 2 3 0 4 6 5 .0 8 1 8 5 5 6 9 .6 5 0 .8 1 1 9 1 4 2 1 6 0 1 4 . 18 1 6 5 9 26 . 19 0 . 7 7

ところで、名目成長率の比較に はあまり意味はないが、両推計の 変動パターンの違いを知ることが できるという利点がある。今、そ の値を求めてみると、 GDP推計 では5.8%、 GDE推計では5.5%

(13)

+日本統治下における台湾の消費水準の推計1912‑1938 51

、 19 15 20 797 3 .0 1 17 99 25 .3 6 0 .87 1916 27 408 1 .4 6 23 888 5 .25 0 .87 1917 3 4882 6 .9 3 3 1688 4 .7 2 0 .91 1918 4 1572 5 .15 34 32 83 .ll 0 .83 1919 5 3170 5 .9 3 47 860 2 .55 0 .90 1920 6 2984 5 .0 1 49 68 38 .9 9 0 .79 192 1 5 2393 6 .4 7 40 048 6 .5 5 0 .76 1922 49 878 6 .2 5 38 498 7 .8 6 0 .77 192 3 5 205 31 .6 1 43 22 03 .9 0 0 .83 1924 6 1684 7 .15 5 1800、 1 .2 7 0 .84 1 925 64 302 1 .2 4 56 729 3 .51 0 .88 1 926 6 3509 1 .7 2 53 82 76 .6 5 0 .85 1927 60 67 19 .13 52 30 23 .8 7 0 .86 1928 72 0586 .4 7 58 084 9 .7 6 0 .81 1 929 7 1224 4 .12 60 93 23 .7 8 0 .86 19 30 6 528 11 .5 2 56 24 27 .22 0 .86 19 3 1 5 5648 6 .7 1 48 74 13 .8 7 0 .88 19 32 6 1966 8 .6 7 57 950 0 .7 4 0 .94 19 33 64 53 14 .9 2 57 106 1 .5 3 0 .88 19 34 7 10 15 3 .6 9 64 630 1 .4 9 0 .91 19 35 9 22 15 2 .9 6 76 449 3 .14 0 .83 19 36 89 4200 .6 3 8 1378 6 .4 1 0 .91 19 37 94 6536 .9 5 88 2264 .30 0 .93 19 38 107 754 5 .7一 6 98 55 15 .5 6 0 .91

という結果が得られる。ちなみに 溝口GDE指標についても同様に 成長率を計算すると4.7%となる。

本推計はGDP推計と溝口指標と の間に、水準の上でも、成長率の 上でも中間に位置していることに なる。これらの結果を考え合わせ ると、本推計はGDE推計として はかなり確度の高いものであると 言って差仕えないであろう。

最後に、この改訂されたGDE 推計を利用すると、 Mizoguchi‑

Yamamoto 〔1979〕の行った成長 率の要因別分析にどのように影響 が生じるか考慮してみる。溝口G DE指標と本推計との違いは個人 消費支出にある。そして前者は過 大推計になっているので、個人消 費支出のGDEに占めるシェアも 高めに出る。本推計によればその シェアは3%ほど下がる。一方、

実質成長率は本推計の方がGDE、個人消費支出とも0.7%ほど高い。しかし、

それでも個人消費支出の成長率は他の支出項目と比べると低い。従って、輸出 と資本形成が台湾の経済発展の主要源泉であったとする彼らの結論は変わらな いことになろう。

5.食料費の推計

5. 1.小売評価法及びコモ法

食料費の推計には一般に小売評価法が利用された。すなわち、まず次のよう な食料バランスシートを作成する。

「生産士貯蔵変化+輪移入一輪移出‑供給可能量」

「供給可能量一動物飼料一種子用一加工用一減耗分‑粗食料」

(14)

「粗食料×歩留り率‑純食料」

こうして求められた純食料が自家消費分と市販分に分けられ、前者を生産者価 格、後者を小売価格で評価して消費額が推計されるのである。

食料バランスシ‑トは戦後については、例えばJCRR(Joint Commission on Rural Reconstruction 〔1977〕)の作成したかなり詳細なものが存在する。戦 前期についても品目ごとの生産統計、輸移出入統計が存在するので供給可能畳 までは比較的容易に求められる。しかし、飼料及び加工向けの推計にはかなり の困難が伴う。さらに、小売価格は米を除くと1930年以後の代表的な品目のも のしか得られないという制約がある。従って、本稿では第1次推計ということ もあり、精緻性を追求するより網羅性に気を配り、消費量、あるいは輸移出大 量の多い重要品目についてのみこの方法を踏襲した。他の品目の消費額はコモ

ディティフロー法(以下コモ法と略記)によって推計された。

食料費推計のために取上げられた品目名は次の通りである。 *が付されてい る品目には小売評価法が適用されている。

1.米*

2.甘藷*

3.麦等の穀類及び豆類 4.野菜

5.バナナ*

6.パイナップル*

7.その他の果実及び核子類 8.魚貝類

9.肉類 10.莱 ll.砂糖*

12.煙草 13.酒類

14.その他の加工食品

これらの項目の推計法の説明に入る前に、一般的ないくつかの注意事項を挙 げておくことにするOその第1は貯蔵変化についてである。一般に資料が不足 しているため貯蔵変化の調整は省略した18)この処置は生鮮食品についてはほと んど問題にならか、が.'米等の穀類や加工食品について1年前後の凹凸が生じ る可能性は否定できない。事実、パイナップルの缶詰や砂糖には負の消費とい

(15)

日本統治下における台湾の消費水準の推計‑1912‑1938‑ 53

う年が存在する。これは3年程度の移動平均をとればならされることになるが、

本稿ではそこまでの調整を行っていない。

次に注意すべき点は、価格の地域差の問題である。本稿に原則として採用さ れた小売価格は台北市のものである。一般に地方都市の方が価格が低いことが 予想されるが事実は必ずしもそうなっていない。産地や集散地に近ければ価格 は低くなり、その逆もまた然りである。例えば、 1935年の統計をみると、内地 米や小麦粉は台北の方が他の地方都市と比べて低価格である。従って、価格の 地域差を反映させる‑率的な取扱いは困難なため、その調整は放棄せざるをえ なかった。

もう1つの注意事項は純食料のうち自家消費に回る割合の推計である。本稿 では‑率に農家人口の割合で代替した。これは農家と非農家の消費水準がほぼ 同じであることを前提とするもので問題を含んでいるが、適切な資料を欠いて いるのが現状である。

また、食料品には消耗分を考慮することが必要になるが、原則として消費量 (額)の生鮮品目については20%、その他は10%が差引かれている。

5.2.米

供給可能量は『台湾米穀要覧』からとることができる。バランスシートは玄 米ベースで作成し、市販される純食料のみ白米換算する。その換算率は88%で ある。次に、差引き分として、種子用、清酒原料、米酒原料、みそ、醤油、菓 子等の加工食品用を考慮した。その推計には『同要覧』の1936年版から、 1933、

1934、 1935年における用途別消費高をとり、参考とした。

第1に、種子用向け消費高について。作付面積1甲当りもみ数量(玄米換算 で)を計算すると、 0.395石)、 0.164、 0.200となるので、 l甲当り0.2石が 種子用として消費されるとする。

清酒原料については、 『台湾総督府統計書』 (以下『統計書』と略記)から清 酒原料購入数量をとった。台湾における酒類の製造では米酒と呼ばれる蒸留酒 が生産額の半分近くを占めている。米酒製造高は1922年以後はわかるが、それ 以前は蒸留酒生産額を指数として延長した。次に、用途別消費高のうち酒造用 から清酒原料を差引いたものが米酒製造にまわるものとすると、米酒100」の 生産に玄米0.0677石必要なことがわかる。従って、米酒製造高(1002)を0.0677 倍したものが米酒原料となる。

みそ、醤油、菓子等の加工食品用は次のようにして推計される。まず、供給

(16)

可能量に占めるこれらの消費量の割合の3ヵ年平均を求めると5.7%となる。

次に、醤油生産額/米消費額(生産者価格表示)比率を求め、 1934年を100と して指数化する。これを5.7%に乗じると加工食品向けの割合が求まる。

こうして算定された飯米用数量を自家消費分と市販分とに分け、前者を生産 者価格、後者を白米換算して台北小売価格をそれぞれ乗じると、消費額が推計 される。

5.3.甘藷

甘藷は切乾薯として輸移出されている。生芋への換算は、ほぼ付加価値は登 いと仮定してその価格比が利用された。これを収獲高から差引くと供給可能量 が求まる。

差引き分としては、飼料用、種子用、甘藷澱粉原料がある。他に醸造原料が 考えられるが資料不足のため無視した。また、注意として日本では甘藷はアル コール原料として使用されていたが、当時の台湾では砂糖生産の過程で出てく る廃糖蜜からアルコールが生産されていたので考慮する必要はない19)

飼料用は資料がないので供給可能量の10%とした。これは、日本に関する篠 原推計における7.6%と台湾の養豚業が盛んであったことを考え合わせると、

そう突飛な数値とは言えないであろう。種子用は同じく篠原推計に利用された 反当り20貫(1甲当り1278斤)を採用した。

甘藷澱粉消費高は1920年以後『台湾商工統計』から得ることができるが、それ 以前は1920年の澱粉生産高における甘藷澱粉、従ってその原料消費高の比率を 用いて延長した。さらに10%の消耗分を差引くと純食料が求まる。問題は小売 価格であるが、 1930、 1931、 1935年の台北小売価格/生産者価格比を求めると、

それぞれ3.28、 3.13、 5.21になる。しかし、他の大部分の都市の価格をみると 2倍前後になっているので、生産者価格の2.5倍を小売価格とした。

5.4.麦等穀類及び豆類

この項目に含まれるものは大麦、雑穀(粟、黍、萄黍、玉萄黍等)、胡麻、豆 類(大豆、落花生、碗豆等)である。コモ法を適用するための各種マージン率

の算定にはこの中で比較的大きな割合を占める落花生のものが利用された。

1916、 1921、 1935年にういてその輸入/生産価格比率を求めると1.15、 1.27、

1.06となるので10%を運賃マ‑ジンとする。また、輸出/生産者価格比は1.09、

1.44、 1.22となるので、これを1.25とみて、 1.25/1.1‑1.136、すなわち、 14

(17)

日本統治下における台湾の消費水準の推計‑1912‑1938‑ 55

a/Oを卸売マージンとした。こうして求められた供給可能額のうち30%を飼料用、

10%を消耗分として差引き、純食料消費額を得る。このうち自家消費分を生産 者価格表示に戻し、市販分については小売マージンを上乗せすると最終的な消 費額が推計される。ここで、 1930年の落花生の台北小売価格/輸出価格比は 1.66となるので50%を小売マージンとした20)

5.5.野菜

野菜の消費額推計にはコモ法が適用される。その生産額は石川〔1970〕 (以下

『石川WS』と略記)より、輸移出入額は『貿易年表』より得ることができる。

ただし、自家消費される分は、かなり統計から抜けているようなので、生産額 を50%上乗せする。また、 1913年から1917年までの生産額が不明なので、 1918 年の生産額/輪移出額比率を計算し、その比率に輸移出額を乗じたものを生産 額とした。市販分は、運賃マージン4%、卸売マージン11%、小売マージン20 0/Oとして推計された21)こうして得られた総類のうち、 20%が消耗分として差引 かれ、消費額が推計されている。

5.6.バナナ

バナナは台湾の重要な輸出品目の1つであるためバランスシートが作成され、

小売評価法が適用された。バナナの輸出は外国向けと日本向けでは差別価格が 採用されているようであり、コモ法を適用するには無理がある。実際、輸出価 格は1920年代の前半まではほぼ生産者価格と同じであるが、日本向けの移出価 格は2‑3割増になっている。 1920年代後半から1930代前半にかけては輸出/

生産価格比は1.5‑2.0、移出/生産価格此はその2‑3倍にも達し、 30年代後 半には10倍前後まで達している22)

さて、供給可能量は『石川WS』と『貿易年表』から計算される。この全て を生食用とみて、消耗分20%を差引き、純食料を算出する23)

次に市販分を求めるための小売価格は次のようにして評価した。すなわち、バ ナナの小売価格は得ることはできないが卸売価格は存在する。今、卸売/生産 者価格比を1913、 1925、 1940年について計算してみると2.5前後になる。これ に小売マージンを幾分上乗せして、小売価格は生産者価格の3倍とした。

5.7.パイナソフつレ

パイナップルも果物ではバナナに次ぐ輪移出品目であり、しかも缶詰生産が

(18)

相当量にのぼるのでバランスシートを作成した。まず、 『台湾における鳳梨産 業』より、生産高の65%が缶詰生産に向かい、残りが生食用となることがわか

る。この生食分から輸移出量を減じ、 10%の消耗分を差引いて消費量が求まる。

この時、 1個‑1.6斤という換算率が適当された。これは、生産高は1912年ま では斤表示、それ以後は個数表示であることに注目し、 1910年から1914年まで の斤当り価格と個数当り価格を比較し、価格変化は大きくないものとして算出 されたものである(輸移出数量は斤表示である)。小売価格については情報がな いので、輸移出/生産者価格比率から類推して、生産者価格の2倍とした。

缶詰についても同様にバランスシートを作成し、生食用と同じ手続きによっ て小売価格を推計した。その生産者価格に対する比率はl.iである。缶詰は供 給可能額の全てが市販されるものとし、現物消費は考慮していない。

5.8.その他の果実及び核子類

バナナ、パイナップルを除く果物及び核子類の消費額推計にはやはりコモ法 が適用される。生産額は『石川WS』、輸移出入額は『貿易年表』よりわかる。

各種マージン率の算定には、これらの品目の中で大きな割合を占めるかんきつ 類(みかん)の値を参考とした。その輸出/生産者価格比を求めると、 1912年 は1.28、 1920年は1.08、 1925年は1.1となるので、これを1.15とみて、このう ち5%が運輸マージンとなるO小売マ‑ジンはその倍の30%として供給可能額 を求め、 90%を生食用、そのうち20%を消耗分として差引き食料消費額を得る。

このうち、自家消費分については生産者価格表示に戻すと、最終的な消費額が 求まる。

5.9.魚貝類

『統計書』から魚貝の種類ごとの水揚量と金額がわかるが、マージン率、加 工向け比率の推定が困難なので次の方法によって間接的に消費額が推計された。

その第1段階はコモ法によって水産加工品の消費額を推計する。次にこれを、

生鮮魚貝支出額/水産加工支出額比率によってふくらまし、魚貝類消費額とす るのである。この比率は『台湾省都市消費者家計調査報告』 (1963年、台湾銀行、

以下r家計調査』と略記)を参考として推定した。

ところで、水産加工品消費額は次のようにして求められている。篠原〔1969〕

(以下『篠原WS』と略記)より生産額、 『貿易年表』より輸移出入額がわかる。

台湾における重要な海産物の1つは鰹節であるので24)このマージン率を参考に

(19)

日本統治下における台湾の消費水準の推計‑1912‑1938‑ 57

してコモ法を実行した。小売価格の得られる1930年以後について輸移入/生産 者、輸出/輸入、 !j、売/輸出価格比率を計算してみると、それぞれおよそ1.4、

I.2、 1.8となっている。

5.10.肉類

ハム、ベーコン等の加工肉類の消費額は『その他加工食品』の項目でまとめ て推計することにし、ここでは生肉消費のみを考慮する。台湾では豚、牛、家 禽(鶏、鴨、鷲鳥等)等の肉が消費される。このうち、家禽にづいては羽数し

かわからないし、牛肉消費は少量なので、まず豚肉の消費額を推計して、それ にその他肉類消費額/豚肉消費額比率を乗じて生肉の消費額とした。この比率 は『家計調査』から計算すると‑1.86となる。

ところで、豚肉の消費額はバランスシートを作成し、次のように推計した。

『統計書』より屠殺頭数、数量、金額がわかる。一方、日本の『畜産摘要』の 屠殺統計からは1頭当りの肉量がわかる。両国における1頭の重量を同じとみ て肉量の割合を求めると1933年では67%となる。この比率を乗じて得られた供 給可能量から、 25%を加工向けとして差引くと家計向け消費数量が求まる。こ の25%という値は『台湾の養豚と豚肉加工業』の屠豚生産予想表(13頁)で想 定されているものである。この家計消費量のうち市販分についての小売価格は、

小売価格/生産者価格比率から算定され、生産者価格の1.6倍とする(1933年 ではこの比率は丁度1.6となる)。

5.ll.茶

茶については製茶のみを考慮し、コモ法が適用される。生産額は『篠原WS』、

輸移出入額は『貿易年表』を利用し、運賃マージン3%、卸売マージン20%、

小売マージン30%によって消費額の推計を行った。これらのマージン率は日本 に関する篠原推計の3%、 18.54%、 27%を根拠としたものである。

5.12.砂糖

砂糖は米と並んで台湾経済を支えた重要品目であり、輸移出入数量も多いの でバランスシートを作成し、小売評価法によって消費額を推計した。まず、 『砂 糖年鑑』から、生産数量、輸移出入数量が得られるので容易に供給可能量が求 まる。問題はこのうち家計消費にまわる割合であるが、それを15%とした。こ れは、日本における家計消費分が25%、砂糖の配給が始まった時の台湾人の割

(20)

当ては日本人の半分であったことから想定したものである。次に、小売価格は やはり1930年以後でないとわからないので、その時の小売/生産者価格比率が 一定であるという、これまでにしばしば用いてきた仮定をおいて推計した。

1930年、 1935年についてその比率は、 1.5、 1.6となるので1.5とした。

5.13.煙草

煙草にはコモ法を適用するが、台湾製造のものと、日本、外国製造のものと ではマージン率がかなり異なっているので別々にその消費額が推計された。島 内生産はr篠原WSj、輸移入品はr貿易年表Jよりわかる。また、小売価格は

『専売事業要覧』から煙草の種類別にわかる。台湾製造のものについては刻煙 草の移出が存在するので移出/製造価格比を1.18として調整する(1920年では この比率は1.1775)。次に普及品の1つである「薯煙」の定価をとって、小売/

生産価格比を求めると、例えば1933年では1.2833となる。これを1.28とみて消 費額を推計する。日本からの移入は紙巻煙草が大部分で、 「敷島」、 「朝日」が代 表的な銘柄である。 「朝日」について1933年の定価/移入価格比率を求めると 3.516となる。輸入物は大部分が葉煙草で、 5%ほどしか製造煙草の占めるシェ アはない。小売価格は「キャメル」をとって、 1933年の輸入価格に対する比率 を求めると5.412を得る。これらの比率を利用すると消費額の推計値が求まる。

5.14.酒類

酒類も煙草と同様に、台湾製造品、日本からの移入品、外国からの輸入品に 分けて消費額を推計する。まず、小売価格を『台湾総督府専売事業年報』より 取り、 1933年値を利用して各種マージン率を算定する。酒類の生産車はr篠原 WSJから得ることができる。台湾製造の清酒について小売/生産者価格比を 求めると1.081c蒸留酒のうち米酒についてみると、壕譜では同比率が1.748、は かり売りでは1.02となる.両者の消費量が1:1とするとマージン率は1.383、

1 : 3とすると1.202となる。清酒についての比率と考え合わせて1.2とした。

日本製の清酒について「白鶴」の小売価格をとると、移入単価に対する比率 は1.245cビールについても25)同比率を求めると1.242となるので、 1.24とし た。外国製の酒については、ワインとブランデーの小売/移入価格比率を計算 する、前者については「ボルドー・スペリオール」、後者については「ヘネシ‑

l星コニャック」をとると、各比率は10.499、 8.929となる。これより、小売/

移入価格比を9.0として消費額が推計された。

(21)

日本統治下における台湾の消費水準の推計‑1912‑1938 59

5¥15.その他の加工食品

この項目には、ハム・ベーブン等の肉加工品、菓子類、調味料、小麦粉、澱 粉等が含まれ、コモ法が適用される。まず、生産額は『篠原WS』の食料品工 業生産額からこれまでに推計した品目の生産額を差引いて求める26)次に、 『貿 易年表』からこれまでの推計に含まれなかった食品を取出し合計する。マージ

ン率については、 1933年の小売価格がわかり、品質も比較的均質と思われる小 麦粉、ソ‑メンについての価格の値を参考とした。その結果、運賃マージン5 0/O、卸売マージン10%、小売マージン15%を利用することにした。例えば、小 麦粉では輸入/生産、輸出/輸入、小売/輸出価格比はそれぞれ1.049、1.007、

1.068となる。ソ‑メンでは小売/生産者価格比が1.429となっている。

6.食料費以外の消費支出の推計 6.1.コモ法及びサービス消費

食料費以外の消費支出については、新SNAの目的別分類に従って次の7項 目ごとに推計が行われた。すなわち、

1.被服及びはきもの 2.家賃・水道・光熱費

3.家具・家庭器具及び家計雑費 4.医療費

5.交通・通信費

6.教養・娯楽・教育・文化サービス 7.その他

の7項目である。これらの各項目はそれぞれ物財消費とサービスの消費とから 成るが、原則として物財消費の推計にはコモ法が適用され、サービスの消費に は料金収入や受取賃金の推計値を利用するという方法が採用された。

これらの消費額の推計は食料消費のそれと比べると様々な面で困難をきわめ る。すなわち、第1に物財消費についての各マージン率の推計が問題となる。

本稿では織物類等を除き、 ‑率に運賃マージン5%、卸売マージン10%、小売 マージン15%を想定した.これは日本における「食料及び被服を除くその他の 物財」に関する篠原推計から算定されたものである。篠原推計ではこれらの雑 貨にそれぞれ、 3.8%、 8.2%、 15%というマージン率が適用されている。

第2の問題は生産統計において品目の捕捉が必ずしも十分ではないことであ

(22)

る。実際、輪移出がかなり存在するのに対応する生産統計が見当らない品目が いくつかある27)また、文房具等のこまごました雑貨類のうち多くのものは生産 統計にのらない。これらについては適宜ふくらまし推計が行われた。

サ‑ビスの消費についても、いくつかの料金収入統計を除くとほとんど直揺 的な統計は存在しない。従って、場合に応じて推計方法の工夫がなされた。

もう1つの問題は消費可能額のすべてが家計消費に向かうわけではなく、家 計消費分の割合を算定する必要があることである。これについても日本に関す る篠原推計に利用された値を参考にした。

6.2.被服・はきもの

被服・はきものの消費額は織物類と織物以外の繊維製品、衣服品及びはきも の類の2つに分割して推計された。織物類の生産額は『篠原WS』から取るこ とができるが、そのうち黄麻織物分を差引く。黄麻織物は大部分、帆布、ガン ニー嚢(麻袋)であり、衣服に利用されないからである。ただし、麻織物総額 しかわからない年については次年の黄麻織物の割合を乗じて推計された。

各種マージン率は次のようにして算定された。縞木綿の輸出/生産者価格比 率を1929、 1933、 1935の各年について求めると28)1.102、 1.09、 1.17となるの

で、これを1.1とみる。日本に関する篠原推計の運賃マ‑ジン、卸売マージン の割合によってマージン率を分配すると、輸入/生産者、輸出/輸入価格比率 はそれぞれ1.0045、 1.0955となる。

小売マージンは晒木綿、白綿ネル、晒金巾について小売/卸売価格比を算出 することから推定された。その比率は1930年ではそれぞれ1.08、 1.20、 1.16、

1935年では1.19、 1.07、 1.14となるので15%を小売マージンとする。こうして 求められた国内消費額のうち90%を家計向けとした29)そして、その2割を衣服 仕立代金として積上げた30)

完成した衣服品、メリヤス製品及びはきもの類の生産はやはり『篠原WS』か ら取ることができる。しかし、各種マージン率の算定は困難であったので、篠 原推計に基づき、運賃マージン5%、卸売マージン10%、小売マージン15%を 想定した。

6.3.家賃・水道料及び光熱費

家賃は所有者占有住宅の帰属家賃と実際に支払われた家貨とを含むが、これ らを直接調査したものは見当らない。しかし、 『農家経済調査』から自作農、小

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日本統治下における台湾の消費水準の推計‑ 1912‑1938‑ 61

作農別に農家1戸当りの住居費(住居減価額及び修繕費)を得ることができる。

また、 『統計書』の火災統計から被害戸数、同坪数及び同被害推定額がわかる。

今、坪当り被害額を住居評価の指数とすれば1戸当り住居費の年次系列が求ま る。家賃の推計はこの自作農の住居費、小作農の住居費をそれぞれ帰属家賃、

実際に支払われた家賃の算定の基礎として行われた。

水道料は『統計書』の地方財政の歳入項目からわかる。ただし、 1920年以前 では市、街庄の分が不明なので1921年の割合で延長した。このうち50%を家事 用とした31)

電灯料金については、 『電気事業要覧』から電気・電力会社の電灯収入がわか る。ただ、 1926年以前では電灯、電力等の料金収入を含めた電気収入しか記戟 されていないので、 1927年の電灯料金収入/電気収入比率0.6で延長推計され た。電灯料金には家庭用の他、官庁、事業所用も含まれる。ところで、上記『同 要覧』の1936年版には電灯料金収入の内訳が掲載されている。このうち、小口 契約である定額料金と大口契約中心の従量料金の2割及び計器、器具損料の 74.7%を加えたものを家計向けとした。この74.7%は家計向け電灯料金/(定 額料金+従量料金)比率である。こうして求められた家計向け電灯収入は全電 灯収入の73%となる。

残されている光熱費の項目は薪、黒薪、木炭への支出である。 1922年以後の

『統計書』には市販された薪、黒薪、及び木炭の消費量(供給可能量)及び工 業用消費量が掲載されているので、バランスシートを作成することができる。

家計消費量に同表から求められる小売相場を乗じると市販分の消費額が求まる。

一方、 1934年の『台湾農家経済調査』より、光熱費における現金支出は28%と なることがわかるので、このうち半分を薪、木炭の購入に当てているとする。

これと非農家分とを合わせると市販されたものを購入する割合が求まるので、

小売相場表示の全消費額が推定される。このうち、自家消費分については産地 相場表示に直すと最終的が肖費額に達する。 1921年以前については同種の資料 が見当らないので、 「官有林野の薪材数量」を指数化して延長した。

6. 4.家具・家庭器具及び家計雑費

この項目は、後に述べる文房具や身回品と同様に生産統計における捕捉が完 全ではない。特に、木製家具と電扇等の耐久消費財が不十分である。従って、

次の手続きによって推計を行った。すなわち、藤・竹細工品、ガラス器具、陶 磁器、漆器、調理器具、ろうそく等の生産額を『篠原WS』より拾い出し、輸

参照

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