令和元年度 学士学位論文梗概 高知工科大学 情報学群
非直交マルチキャリヤ信号で近似した QAM-FBMC 信号の特性
1200282
伊井 智紀 【 ワイヤレスネットワーク研究室 】1
はじめにIoT
の普及に伴い,現在幅広く用いられている直交周 波数分割多重方式よりも高い周波数利用効率の実現が 求められている.
その通信方式として, QAM
を用いた フィルタバンクマルチキャリヤ(filter-bank multicarrier:
FBMC)
方式や非直交マルチキャリヤ(nonorthogonal multicarrier: NOMC)
方式が検討されている[1],[2].
本 研究では, QAM-FBMC信号をNOMC
信号により近似 し, QAM-FBMC信号の帯域外特性を改善する.2 QAM-FBMC
信号サブキャリヤ数及び同時に送信する
QAM
メッセー ジシンボル数をM
としたとき, QAM-FBMC方式で は, N f
種類のプロトタイプフィルタそれぞれにM
N
f 個 のQAM
メッセージシンボルが割り当てられる. q
番プ ロトタイプフィルタの時間応答h q (t) (q = 1, 2, · · · , N f )
として,
次式のものを選ぶ.
h q (t) | | t | >
LT2
= 0 (1)
ここで,
L
はQAM
メッセージシンボル長T [s]
で正規化 したh q (t)
の長さである.q
番プロトタイプフィルタのm
番サブキャリヤで送信 するQAM
メッセージシンボルをb (q,m)
とすると,q
番 プロトタイプフィルタで送信するメッセージ信号b q (t)
は次式となる.b q (t) =
M
∑
Nfm=1
b (q.m) e j
2πT(N
f(m − 1)+q)t (2)
本研究では,文献[1]
の2
種類のプロトタイプフィルタ(プライマリフィルタとセカンダリフィルタ)
を用いる.3
提案方式浜村の方法
[2]
によりNOMC
信号の生成方法を修正 し, プライマリフィルタの時間応答h 1
(
L(t − T 2 ) )
を用いて
NOMC
信号を生成する.k
番目のNOMC
信号c k (t)(k = 1, 2, · · · , K)
を次式で表す.c k (t) = h 1
( L
( t − T
2 )) ∑ N
l=1
c k,l e j
2πT0(l −
12)t (3)
ここで,
j = √
− 1, N (> M )
はサブキャリヤ数, 1/T0
はNOMC
信号を構成する複素正弦波の周波数間隔である.T 0 /T
はサブキャリヤ密度と呼ばれる.c k,l
はk
番信号 用の長さN
の系列である[2].
次に,セカンダリフィルタを適用する
QAM
メッセー ジ信号b 2 (t)
の和をK ′
個のNOMC
信号の和により,次 のb ˜ 2 (t)
として近似する.b ˜ 2 (t) =
K
′∑
k=1
d k c k (t) (4)
ここで
d k
はb 2 (t)
に含まれるc k (t)
成分の大きさである.
d k =
∫ T 0
c ∗ k (t) b 2 (t) dt (5)
∗
は複素共役である.
復調は通常の
QAM-FBMC
受信機により行う.4
性能評価NOMC
信号のサブキャリヤ数N = 2048, QAM-FBMC
信号のサブキャリヤ数M = 512,
サブキャリヤ密度を4,
近似に用いるNOMC
信号の数K ′ = 512
としたときの
QAM-FBMC
方式と提案方式のパワースペクトルを図
1
に,
ビット誤り率(bit-error rate: BER)
特性を図2
に示す.
図1
より,
提案方式の帯域外特性は帯域から 離れるにつれて改善されていることが確認できる.
しか し,図2
より,提案方式のBER
特性はQAM-FBMC
信 号よりも約0.5dB
劣化していることが確認できる.-200 0 200 400 600 800
-120 -100 -80 -60 -40 -20 0
Frequency [Hz]
QAM-FBMC
Proposed
Power spectrum density [ dB]
図
1
パワースペクトル0 2 4 6 8 10
E
b/ N
0[dB]
10
-410
-310
-210
-1BER
Proposed
QAM-FBMC
図
2 BER
特性5
まとめ本研究では
, QAM-FBMC
信号をNOMC
信号により 近似することで,
帯域外特性を大きく改善できることを 示した. 提案方式のBER
特性にはQAM-FBMC
信号 よりも若干の劣化が見られた.参考文献