カールスルーエ運輸連合の公共交通
‑ そ の歩み と現状‑
菊 池 悦 朗
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OPNVi J nK a r l s r u he r V e r ke hr s v e r bt ud S e i ACEnt wi c kl t l J l gt L nddi ehe ut i g eSi t ua t i on
Et s ur o KI KUCHI
は じめに
カールスルーエ市は ドイツの南西部 に位置す るバーデ ン ・ヴユルテ ンベル ク州の人口約 27
万の都市だが、観光都市ではな いこともあ り、話題 になることは少ない。だが、 ここには 日本の最 高裁判所 に当たる連邦憲法裁判所をは じめ役所が数多 くあ り、同州 の中心的都市のひ とつである。
宮殿 を中心 に扇形に町が開け、 「 扇 の町」 の異名 ももつ。 この町がかつて公共交通 にお いて脚光 を浴びたのは、路面電車 ( 市電) の車両が ドイツ鉄道の線路 に入 って いったか らであった。 「 カ ールスルーエ方式」 ( Kar l s r uhe rModel l ) と呼ばれる この システムはその後、他 の都市で も実 施 された り計画 された りす るよ うにな ってい く。 カールスルーエ市および周辺町村 における公共 交通の事業者を統括するカールスルーエ運輸連合 ( Kar l s r uhe rVer ke hr s ver bundGmbH .略 称 ' . KVV) 傘下のアルプタール運輸有限会社 ( Al bt al ‑ Ver kehr s ‑ Ges el l s c haf tmbH ,略称 : AVG) が 1992 年 9 月に世界で初めて導入 した もので、 当地では St adt bahn ( シュタ ッ トバー
ン)な い し S‑ Bahn と呼ばれて きた。路面電車の 750 ボル ト ( 直流) と ドイツ鉄道 の 15, 000 ボ ル ト [ 1 6
2/ 3 ヘルツ] ( 交流) との電圧 の違 いは 自動的 に切 り替え られる。 1 992 年には 1 系統
( 鉄道線の区間は 25km) だ ったが、 2004 年 6 月 1 3 日時点では 1 0 系統 にな っている。
本稿では このカールスルーエ方式で注 目されたカールスルーエおよびその周辺地域 のシュタ ッ トバー ンを中心 に した公共交通の様子 を 2002 年夏 と 2003 年春 に行な った現地調査 を基 にレポ ー トする。
1. シュタ ッ トパーン ( 都市広域電車)交通
路面電車 [ St r a l . i e nba hn ( シュ トラ‑セ ンバー ン) ] の車両やイ ンフラを改良、近代化 してス ピー ドアップを図 り、多 くの場合、低床 となって都市郊外や周辺の市町村に延びる電車 ( 路線網) いう意味でのシュタッ トバー ン ( St adt bahn) という言葉は比較的新 しい。 この語の もつ 「 現代 性
」の響 きもあってか、 あるいは この ドイツ語が文字通 り都市電車 ( ‑市電) を表わすためか、
そ う大規模な路線網でな くて も St adt bahn と呼んでいる場合がある。 ( 例えば、フライブルクやヴユ ルツプルク) 。そのは しりは ドイ ツのニーダーザ クセ ン州 の州都ハ ノー ファーであ り、ヘ ッセ ン州 のカッセルや最近ではザール ラン ト州 の州都ザールプ リュッケ ン ( Sahr ‑ Bahn) な どで このシュタ ッ トバー ンが走 っている。
筆 者 :外国語教育研 究セ ンター教授
1
受理 :平成
17
年9
月27
日カールスル ーエ市内ではシュタッ トバー ンとシュ トラ‑セ ンバー ンが併存 してお り、 当地ではシ ュタ ッ トバ ー ンは従 来 の意 味 とは 異 な る意 味 で ‑ 'S^'‑ ン と も呼 ば れ た り して い る。 この st adt bah は定着 した 日本語が まだないと思われるので、本稿では 「 都市広域電車」 としてお く。
カ ールスルーエ市郊外や 近隣町村へ延び る都市広域電 車の路線網 は 13 年前か ら幾多 の変遷 を とげ つつ拡 大 して いった。 10 の系統 の うち路線距離 が最 大 な のは系統 41 のハ イル ブ ロン ‑ ラウ ミュンツ アツハ間 の約 124, 5km で 2 ' 、最短で も系統 2 の約 22, 7km ( プランケンロッホ ー ラインシュテッテン間)である。 カールスルーエ市内 を通 らな い系統 は 3 と 31 、 32 、それ に系統 9 で、前者 3系統は中央駅内 を通 り、後者はプ レッテ ンとい う所 を経 由す るが、他 の 6系統 はいず れ も市の中心部 を通 り、系統 1 と 11 、 4 と 41 は 1994 年 に新駅舎 と鉄道線へのス ロー プ状の連 絡軌道敷
(Rampe)3)が完成 したアルプタール駅 ( Al bt a l‑ BdI nhof ) という中央駅のひ とつ先に ある都市広域電車交通の中心的駅か ら、前者は都市広域電車 の専用軌道 に、後者は ドイツ鉄道の 軌道敷 に入っていく。
都市広域電車の鉄道線への乗 り入れは一時期、大幅な乗客 増 をもた らした。 カールスルーエ運 輸連合 ( KVV)における都市広域電車運行 の主力事業者であるアルプタール運輸会社 ( AVG) は ドイツ鉄道株式会社 ( Deut s c heBahnAG.略称 :DB) とも共同 して輸送人数をかつては 3 倍以上に増や し、週末 にはそれ以上の増加 とな った。
乗客数の伸び ( ウイークデ ー、両方向)
1 ) 系統 S3 ( カールスルーエ ‑ ブル ッフザール ‑ メンツインゲ ン)
94 年 3
月97 年 4
月増
加率 カールスルーエ ー ブル ッフザール間 3. 500 15, 000
● 329 %
*うち 6, 000 は ドイツ鉄道 の列車 による
( 系統 R3) 94 年 10 月 9
7 年 4 月 増加率 ブル ッフザール ‑ メンツインゲ ン間 1 ,
800 4, 100 1 2 8%
2)系統 S4 ( バーデ ンバーデ ン ‑ カールスルーエ ‑ エ ツピンゲ ン)
94 年 3
月97 年 3
月増加率 バーデ ンバーデ ン ‑ カールスルーエ間
( カールスルーエ市内交通利用者 を除 く) 2,
92 年 3 月 97 年 3 月
増カールスルーエ ー プ レツテン間 2. 200 13, 600
加率51 8%
( カールスルーエ市内交通利
用者 を除 く) 97 年 3 月
97 年 6 月
増加率カールスルーエ ー エ ツピンゲ ン間 1 ,
600 3, 500 11 9%
( カールス
ルーエ市内交通利用者を除 く) 3) 系統 S5 ( カールスルーエ ‑ プフォルツハイム)
96 年 3 月 98 年 3 月
増加率カールスルーエ ー プフィンツタ
ール間 4, 000 1 4, 000 2 5 0%
( カールスルーエ市内交通利用者を除く) カールスルーエ ー プフォルツハイ
ム間 6, 800 23, 000 2 3 8%
(同 上)
3)
系統 S9 ( プレッテ
ン ‑ ブル ッフザール) 94 年 3 月 97 年 11 月
増プ レツテン ‑ ブル ッフザール間 900 3, 800 3
加率2 2%
1992 年 9 月 27 日にカー
ルスルーエ中央駅前‑プレッテン ・ゲルスハウゼ ン間の 30. 2km の 鉄道線路4 ' に初めて交流
直流両用の都市広域電車が運行を開始 して以来 5 ' 、路線網は次第 に拡大 していき、 1994 年 4
月にはカールスルーエ運輸連合 ( KVV) が 「 発効
」し、同年 5 月未には KVV の共通運賃制が導
入されている
6'。路線やイ ンフラな どの新設 ・拡張工事は自治体交通助 成法 ( Ge me i nde ver ke hr s f i nanz i er ungs ge s et z .略称 : GVFG)の補助 を受けた。 この法
律では連邦 ( 国)が 都市広域電車交通が 60 %、州が 25 %、 自治体が 15 %を助成する。
進展する以前は、カールスルーエ市および周辺町村の軌道系 (レール)公 共交通は市内の路面電
車 ( 市電)交通 と市郊外や周辺町村へ延びる鉄道交通 とに分れていた。そ してそれが、他の都市
同様、当た り前のことであった。 しか しなが らカールスルー工では、中央 駅前の市電の電停が乗
り換えの乗客で混雑 し、乗客数も伸び悩み、道路の渋滞 もひどくなってい った。 こうした状況を
打開 したのが鉄道線への市内線の乗 り入れによるダイヤの改善,スピー ド アップを初めとする快適
さの増大、キ メ細かく乗客サイ ドに立った割安な運賃体系などであった。
この 「 カールスルーエ方式」が可能になるためには、路面電車 と
都市広域電車 の 10 系統 の うち、路 面電車 の運行 を担 当す るカール スルーエ運 輸有 限会社
・ ( Ve r ke bs be t r i e beKa r l s r u heGmbH ,略称 : VBK) が管轄する系統 S2 を除 いて、他 の系統 はアルプタール運輸有限会社 ( AVG) が事業者になっている。
1
)ベル リンや ミュンヘン、ハ ンブルクやフランクフル トやシュ トウツ トガル ト、あるいは1 991
年に運行を開始 したチュー リヒ市および近郊市町村 (スイス)その他の大都市圏で走っているS
パーンはSt adt bahn
、ないLSc hne l l bahn
の略とされ,都市 [高速]鉄道などと訳されてきた。2)
系統41
の都市広域電車はこれまではラウミュンツアツハ( Raumi ' nz a c h)
という所まで運行 していて.そこか らフロイデンシュタットの間は ドイツ鉄道のディーゼル動力車が走っていたが、2004
年5
月2
日の電化によっ てフロイデンシュタット中央駅が都市広域電車の新たな終点駅になった。3)
ドイツ鉄道への連絡軌道敷( Ver bi ndungs gl . e i s )
/接続区間( Ver bi ndungs s t r e cke)
はこのアルプタール駅 を出たところ (都市広域電車の系統S4
およびS41
が走 り、路面電車としての最後の駅はアルプタール駅で ド イツ鉄道の軌道敷の最初の駅ははフォルヒハイム[ For c hhei m]
)の他にはグレッツインゲン (Gr('liz i ngen)
と いうところ( S4/S41
およびS5
が走 り、路面電車としての最後の駅は7‑ブシュ トラ‑セ[ Hubs t r aL i e ]
で ドイツ鉄道の最初の駅 はグ レッツインゲ ン駅[ Gr t ' ' t zi ngenBahnhof
.略詩 :Bf . ] )
とクニー リンゲ ン( Kni el i ngen)
というところ (路面電車区間の最終駅はラインベルクシュ トラーセ[ Rhei nber gs 也・ a e]
で、ドイツ鉄道の最初の駅はマックスアウ
[ Ma xau] )
がある。4)
カールスルーエ中央駅前とグレッツインゲンとの間は路面電車の区間で、グレッツインゲンとプレッテン ・ゲ ルスハウゼンとの間( 25k m)
が ドイツ鉄道の線路の区間。5)
所要時間は約40
分。 このプロジェク トの総経費は約8000
マルクとされている( s t a dt ver ke hr
誌1992
年1 0
号.46
ページ)。6)同運輸連合の最初のゾーンはカールスルーエ市.カールスルーエ郡、 レムヒンゲン、エ ツピンゲン、パー ト・
ヘレンアルプ、 ドーベルの各地方 自治体であった