• 検索結果がありません。

岩手県における東日本沿岸被災地の社会福祉施設実態調査

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "岩手県における東日本沿岸被災地の社会福祉施設実態調査"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

― 124 ― 1)日本赤十字秋田看護大学 2)元岩手県立大学

岩手県における東日本沿岸被災地の社会福祉施設実態調査

藤野好美・三上邦彦・岩渕由美・鈴木聖子

1)

・細田重憲

2)

1.研究目的

 本調査の目的は、岩手県沿岸地域の福祉施設における 東日本大震災による被害の状況やその後の状況について 把握し、震災の記録として後世に残すと共に、被災時の ニーズについて明らかにし、今後の災害に対する備えや これからの福祉施設のあり方を再考することにある。

 具体的には岩手県内の沿岸 12 市町村(宮古市、大船 渡市、久慈市、陸前高田市、佂石市、大槌町、山田町、

岩泉町、田野畑村、普代村、野田村、洋野町)を所在地 とする児童、障害、高齢者福祉施設に、震災時及びその 後の状況についてアンケート調査を実施することにより、

震災時に職員自らも甚大な被害を受けながら、どのよう な思いや方法で地域の社会福祉施設として機能し、その 役割を担うことになったのかを明らかにするため、社会 福祉士施設 ・ 事業所で勤務している職員に、現在から過 去にさかのぼっての被災の状況や当時の勤務状況、震災 に対する思いなど、一部、時系列を意識した形での調査 を実施した。調査を通して、福祉専門職としての職員の 行動や思いを震災の記録として後世に残すとともに、当 時職員が置かれていた状況や感じていたストレス・不安 を明確にし、今後の災害や緊急時の対応も視野に入れた 施設体制や職員へのサポートについて検討する。

 本研究で行った調査は、 「施設調査票」と「職員調査票」

の 2 部にわかれて行っており、前年度までは 「施設調査票」

の調査結果を中心にまとめていたが、本年度は「職員調 査票」の結果を中心にまとめている。

2.研究方法

 郵送による質問紙調査を行った。調査対象施設は、

平成 24 年 2 月 1 日時点で県ホームページに掲載され ている情報をもとに、被災地域の児童福祉施設 7 ヶ所

(入所施設 3 ヶ所、通所施設 4 ヶ所)、障害者福祉施設 に つ い て は 62 ヶ 所( 入 所 施 設 23 ヶ 所、 通 所 施 設 39 ヶ所)、高齢者福祉施設については 203 ヶ所(入所 施設 84 ヶ所、通所施設 119 ヶ所)、総計 272 ヶ所の事 業所である。職員が 30 人以上いる施設には 10 人分、

職員が 30 人以下の施設 3 人分、調査票を送付した。

調査期間は平成 24 年 3 月 1 日から 3 月 31 日である。

 114 ヶ所の事業所から返送があり、469 人の施設職 員からの回答を経た。回収率は、返送されてきた施設 からみると 41.9% であった。

3.研究結果

 回答者の所属する施設種別は入所施設が 5 割以上、

通所施設は 1/4 を占める。回答者の男女比は女性 7 割、

男性 3 割であった。年齢構成は各年代 2 割〜 3 割に分 散しているが、20 代、60 代は 1 割前後となっている。

また回答者の 7 割が正社員で 3 割が非常勤やパートで ある。業務内容は 6 割がケアスタッフで、管理者、主 任クラスの人が 3割であった。 勤務年数は分散していた。

 震災後のストレスや不安が高かったのは、 「身体的負 担や疲れ」 「夜勤時に何かあったら」 「日常生活が崩さ れた喪失感」 「今後の生活の不安」である。1 年後には 全体的にストレスや不安の割合は減っているが、 「夜勤 時に何かあったら」 「今後の生活の不安」は高い。全体 的に身近な人を亡くした人のストレス、不安が高い。特 に「身体的負担感・疲れ」 「日常生活が崩された喪失感」

「今後の生活の不安」 「家族を亡くした喪失感」につい ては顕著である。1 年後には、全体的なストレス・不安 の割合は減るものの、自宅が被災した人のストレス・不 安は高く、そうでない人との差が顕著に現れてくる。

 管理者・管理職の「仕事量の負担」 「休日がとれない」

のストレスの割合が高く、 「指示系統の乱れ」 「避難住 民への対応」 「行政・支援団体とのやりとり」 「家族の理 解」についても比較的高い。1 年後には全体的なストレ ス・不安の割合は減るが、管理職との職位のない職員 の「今後の生活の不安」 「日常生活が崩された喪失感」

の割合は高いままの状態である。

4.考察

 東日本大震災は日中に起きた災害であり、入所施設 はもとより通所施設でもサービス提供中の時間帯であっ た。当時、職位なしの職員が多数を占めていたというの は、状況判断に困ったことがうかがえる。家族や親族を 亡くした人は少ないが、半数以上の職員が友人を亡くし ており、自宅が流失・全壊した人も 17.7% いた。 「夜勤 時に余震や何かあったらという不安」 「職員間のイライ ラ・衝突に対するストレス」 「指示が不十分なことへの ストレス」 「行政や支援団体へのやりとりへの負担感」

が増しているというのは、震災 1 年経った後も被災地域 に大小様々な混乱があり、その対応に追われること、職 員自身が震災の不安が癒えていないことがうかがえ、職 員へのサポートを含む、生活環境を整え不安を軽減し ていくためのマネジメントの必要性を示唆している。

 なお、本調査結果は『岩手県における東日本大震災 沿岸被災地の社会福祉施設実態等調査(職員調査)報 告書』にまとめられている。

県立大社会福祉学部.indb 124 16/03/18 8:56

参照

関連したドキュメント

東京都環境局では、平成 23 年 3 月の東日本大震災を契機とし、その後平成 24 年 4 月に出された都 の新たな被害想定を踏まえ、

 宮城県岩沼市で、東日本大震災直後の避難所生活の中、地元の青年に

 昭和62年に東京都日の出町に設立された社会福祉法人。創設者が私財

歴史的にはニュージーランドの災害対応は自然災害から軍事目的のための Civil Defence 要素を含めたものに転換され、さらに自然災害対策に再度転換がなされるといった背景が

It is found out that the Great East Japan Earthquake Fund emphasized on 1) caring for affected residents and enterprises staying in temporary places for long period, 2)

利用者 の旅行 計画では、高齢 ・ 重度化 が進 む 中で、長 距離移動や体調 に考慮した調査を 実施 し20名 の利 用者から日帰

高崎市役所による『震災救護記録』には、震災 時に市役所、市民を挙げて救護活動を行った記録 が残されている。それによれば、2 日の午後 5

夜真っ暗な中、電気をつけて夜遅くまで かけて片付けた。その時思ったのが、全 体的にボランティアの数がこの震災の規