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II 研究代表者 研究員

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Academic year: 2021

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(1)

レーダ散乱量を用いた散乱体の形状認識について II

研究代表者 研究員 白井  宏(中央大学理工学部電気電子情報通信工学科)

共同研究者 研究員 趙  晋輝(中央大学理工学部電気電子情報通信工学科)

共同研究者 研究員 牧野 光則(中央大学理工学部情報工学科)      

1

はじめに

高周波電磁波散乱は,物体の局所的形状がその散乱パ ターンに大きく影響を及ぼす。したがって高周波電磁波を 用いた物体の散乱現象を調べるには,その散乱体の局所的 な形状をよく知る必要がある。逆に局所的な形状からの散 乱現象をある程度把握しておけば,その散乱データを基に 散乱体の形状の推定が可能となる。本研究は,こうした高 周波電磁波散乱解析に基づいて散乱体の形状認識を試みて いる。

筆者らは既に,導体多角形状をモデルにした高周波電磁 波散乱解析を行い,波長に比べ十分大きな散乱体の場合,

幾何光学的回折理論

(Geometrical Theory of Diffraction:

GTD[1])

に代表される高周波散乱解析手法は,解析に十

分有効であること,また後方散乱については,主反射方向 をもつ平板の両端のエッジで励振されるエッジ回折波が重 要な役割を果たすことを示してきた

[2], [3]

。さらに凸型柱 状散乱体に平面電磁波が入射した場合の散乱現象を

GTD

を用いて解析し,主反射方向となる反射境界における回折 波の表現を基にして,後方散乱波の性質を調べた。そして モノスタティックレーダ散乱断面積

(Radar Cross Section:

RCS)

の角度依存性から,その散乱体を構成している各平 板の大きさを簡単に推定する方法を示した。また提案した アルゴリズムの有効性を調べるために,アルミ平板を用い て作られた導体散乱体モデルを使って

RCS

値を実測し,そ れらのデータに対し本アルゴリズムの適用を試みた。その 結果,本手法は凸型柱状の散乱体に対し,構成要素である 各平板の寸法を精度よく推定できることが示された。さら に各平板を接続して元の散乱体の形状を再構成し,可視化 する方法についても調べて報告した

[4],[5]

昨年の研究

[5]

に引き続き,さらに高い精度で散乱体の 形状を認識するためのアルゴリズムの開発を行った。推定 アルゴリズムに基づいて得られた散乱体の形状を用いて,

ESM (Equivalent Source Method: ESM)

によってレー ダ散乱断面積を計算し,最初に与えられたデータと比較す ることにより,形状推定の精度を上げる方法について検討 している。

-50 -45 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10

-180-165-150-135-120-105 -90 -75 -60 -45 -30 -15 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180

RCS[dBsm]

angle[deg.]

Measured peak1 peak2

1

実測値からのピーク抽出アルゴリズム

(モデル 1)

error distance

2

再構成図における誤差距離の検出

(モデル 1)

2

問題の定式化

本研究は,ターゲットの形状が不明な場合に周波数領域

RCS

の角度変化の様子からその全体形状を推定すること を目的としている。昨年,文献

[4],[5]

で提案した形状認 識方法に基づいて,図

1

に示すような周波数領域におけ

RCS

値の角度変化から,散乱体の構成要素に対応する ピークの抽出を行う。始めに

RCS

の主なピークを抽出し,

peak1

とおく。しかし,

RCS

の角度変化において,面の主

反射方向におけるピークの左右には,面の端部からのエッ ジ回折波の干渉により細かい振動が現れる。これらのピー

クも含む

peak1

中から主反射面に対応するピークを選別

して抽出するために

peak1

同士を接続した波形を作成し,

その中から再度ピークの抽出を行い

peak2

とする。この

peak2

を構成要素からの主反射と考え,

RCS

値の降順に

認識に使用する構成平板の個数を増やしながらターゲット の再構成を行う。

本方法を用いた形状認識方法では,ピークを持つ角度順 に端面を接続していくため,推定した形状の始点と終点の 間に誤差が集中し,図

2

のように誤差距離が現れる。そこ

25

(2)

106

164 154

116

o o

o o

O

3

モデル

1

1

誤差距離

(モデル 1)

faces error distance faces error distance

3 3.01 [cm] 4 0.89 [cm]

5 2.76 [cm] 6 0.95 [cm]

7 10.36 [cm] 8 11.53 [cm]

で,複数の再構成図の中から始点と終点の距離が極小とな る面数を最適な再構成図の候補として採用する。しかしな がら始点と終点の距離からだけでは最適な推定形状の決定 まで行うことは不可能である。そこで推定形状の妥当性の 評価を行うために再構成したモデルの

RCS

の角度変化を

ESM

を用いてシミュレーションし,認識したい元のター ゲットの

RCS

値と比較する。そして推定に用いた

RCS

そのシミュレーション値の誤差を評価し,推定形状の妥当 性の検討を行う。

ESM

を用いて

RCS

のシミュレーション 値を求めるとき,誤差により空いた隙間を補うことが必要 になる。ここでは再構成図形が開いている場合は新たな面 を,また推定形状の最初の面と最後の面が交差する場合は 交線において両者を接続する方法を用いた。

本法では散乱体を構成する各平板の大きさについて構成 要素の平板毎に推定を行う。このため推定した形状は,構 成要素の各平板の奥行き長さ

L

についてそれぞれ異なった 値をとる。

ESM

を用いて2次元推定形状の

RCS

値を計算 するためには,

L

は一致している必要があるが,本方法で はこの

L

に再構成図の全構成要素平板の中央値を用いる こととした。

3

結果及び検討考察

本方法のアルゴリズムの妥当性を評価するためにアルミ ニウム平板を接続して作られた,柱状散乱体の

3

次元モノ スタティック

RCS

値を電波暗室内にて測定し,その

RCS

値からターゲットの形状認識を行った。測定データは

0.5

ごとの

1024

回の平均データであり,ピーク値とそのビー ム幅を決定するために測定値を

2

次の

B

スプライン関数

[6]

で補間している。

1

は,凸型

6

角柱

(

3)

のモノスタティック

RCS

実測値である。推定形状は表

1

,図

4

から面数

4

と面数

6

(4faces) (5faces) (6faces)

(7faces)

4

再構成断面図

(モデル 1),(4, 5, 6, 7

面)

-50 -45 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10

-180-165-150-135-120-105 -90 -75 -60 -45 -30 -15 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180

RCS[dBsm]

angle[deg.]

Measured ESM simulation 4 faces ESM simulation 6 faces

5 ESM

シミュレーション値

(モデル 1)

の場合で誤差距離が

0.89

0.95[cm]

と極小値をとる。こ の情報だけでは両者のどちらが妥当であるかは判定できな い。そこでこの

2

つを推定形状の候補と考えて

ESM

シミュ レーションを行う。図

5

はモデル

1

の実測値,ターゲット

4

角柱,

6

角柱と仮定した場合の

ESM

シミュレーショ ン値である。図

5

より

0 , ± 180

において

4

角柱推定形状

ESM

シミュレーション値はピークが無く実測値と比較 して大きな誤差が出ている。また,

6

角柱推定形状の

ESM

シミュレーション値は実測値とよく一致している。このこ とからターゲットは

6

角柱であることが推定できる。

6

柱として推定を行った再構成図は図

2

となり,使用したモ デル形状に近い推定を行うことができている。

次に一部凹型部を含む散乱体について検討する。ただし 本方法では現在,面の入れ換えによる凹型部の認識につい ては全ての場合に対して行うことが困難であり,まずは凸 型形状として認識する。面の入れ換えを行い,凹型部の認 識を行うには有効な方法として時間領域の情報を利用する ことが考えられている。ここでは,理論形状との比較のた めに面の入れ換えを行った再構成図を示すほか,

ESM

ミュレーション値と実測値の誤差からおおよそ凹型部の存 在の有無について検討を行う。図

6

の凹型部を含む

8

角柱 を,図

7

RCS

実測値を基にターゲットの形状認識を行 う。表

2

,図

8

からモデル

2

8

角柱であると推定するこ とができる。そこでターゲットを

8

角柱であると仮定し,

ESM

法を用いてシミュレーションを行った

RCS

値が図

9

の細い破線である。

26

(3)

O 95.5o

225.8o 128.7o 121.4o

200.7o 127.9o

6

モデル

2

-50 -45 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10

-180-165-150-135-120-105 -90 -75 -60 -45 -30 -15 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165

RCS[dBsm]

angle[deg.]

Measured

7 RCS

実測値

(モデル 2)

2

誤差距離

(モデル 2)

faces error distance faces error distance

[cm] [cm]

3 7.93 (7.93) 4 6.65 (6.65)

5 6.58 (6.58) 6 5.58 (5.58)

7 3.97 (2.15) 8 2.26 (0.47)

9 24.97 (23.22) – –

(カッコ内は 93.6

ピーク使用を表す.)

(6faces) (7faces) (8faces)

(9faces)

8

再構成断面図

(モデル 2),(6, 7, 8, 9

面)

-50 -45 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10

-180-165-150-135-120-105 -90 -75 -60 -45 -30 -15 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180

RCS[dBsm]

angle[deg.]

Measured using 113.8 peak usnig 93.6 peak

9 ESM

シミュレーション値

(モデル 2)

3 RCS

ピーク値の比較

(モデル 2) Estimated Original RCS Estimated angle [deg.] peak [dBsm] RCS peak [dBsm]

-90.1 5.8921 3.8973 (5.5368) -1.6 -8.4633 -7.7485 (-7.5174) 34.2 -7.0259 -7.7746 (-7.8600) 49.8 -8.4664 -8.0100 (-8.9620) 88.9 1.2108 -3.7202 (1.4345)

(93.6) (-1.0695) **

113.8 -10.3207 -7.3476

146.6 -8.5583 -7.2524 (-6.8630) 180.0 -6.8671 -9.1650 (-6.8371)

(

カッコ内は

93.6

ピーク使用を表す

)

次に表

3

に示すように推定形状の主反射方向にあたる

RCS

値のピークを実測値とシミュレーション値で比較を 行った。

大きな誤差が

90.1

に現れているが,推定形状は最初 の面と最後の面を交差線で接続し,余分に長い分を切り離 しているために

± 180 , 90

方向の平板は面積が小さく なり

RCS

もシミュレーション値が実測値よりも小さくなっ たと考えられる。次に

88.9 , 113.8

についても誤差が現れ ている。これは

88.9

に隣接する

93.6

のピークは,

88.9

平板の二次的な振動ピークと考えたために起きた誤差であ る。これらの情報を基に

113.8

に主反射面をもつ平板の かわりに

93.6

方向に主反射する平板があるとして,

ESM

法を用いてシミュレーションした結果が図

9

の太い破線で ある。平板の主反射方向が

113.8

であると想定した場合 の結果

(

9

の細い破線

)

と比較して

88.9

付近において 実測値とシミュレーション値の誤差が小さくなっているが,

シミュレーション値では

93.6

の平板に対応するピークが 失われている。これは,実際のモデルでは主反射角

90.0

, 95.5

の二平板は互いに散乱波が干渉して合成波が激し

く振動するのに対し,図

10

の推定形状では

88.9 , 93.6

の二平板が凸型に接続されたことでエッジの位置が変化し て主反射角の近い二平板の計

3

つのエッジ回折波が互いに 干渉し,一つのピークとなったためであると考えられる。

また,理論形状との比較のために面の入れ換えを行った再 構成図は図

11

となる。

4

結論

本報告では周波数領域におけるモノスタティック

RCS

値の角度変化を用いて柱状散乱体の形状認識を行い,

ESM

を用いて推定形状を評価する方法を考案した。その結果本 方法は柱状散乱体の各平板の大きさを推定するのに有効で あり,元データと推定形状の

ESM

シミュレーション値と を推定形状における主反射角の

RCS

値ピークについて比

27

(4)

Model Estimated

10

モデル

2

の再構成図

Model Estimated

11

モデル

2

の再構成図

(面入れ換え後)

較することで推定形状の妥当性を確認する方法が有効であ ることがわかった。また,一部凹型部が含まれる場合や同 一主反射角に複数の平板が存在する場合について,元デー タと推定形状のシミュレーション値との間に起きる誤差の 問題を明らかにした。今後は凹型部の有無による

RCS

シュ ミレーション値と元データの誤差を評価し凹型部の認識を 可能にすること,また時間領域の

RCS

値の情報を組み合 わせることで凹型部,同一主反射角の複数の平板の認識に ついて検討を進める方針である。

謝辞

本研究は,中央大学 理工学研究所

2000

年度,

2001

度共同研究の援助を受けて行われた。ここに記し,謝意を 表する。

参 考 文 献

[1] J. B. Keller: “Geometrical theory of diffraction,”

J. Opt. Soc. Am., 52(2), pp.116-130, 1962.

[2]

林,白井,関口

: “

多角柱による平面電磁波の散乱解

,”

電学会電磁界理論研資

, EMT-97-36, pp.61-66, 1997.

[3]

白井,林

: “

自動車モデルに対する電磁波の散乱

,”

学会電磁界理論研資

, EMT-99-78, pp.47-52, 1999.

[4]

小野,白井,有竹,牧野,趙

: “RCS

値を用いた凸型 柱状散乱体の形状認識について

,”

電気学会電磁界理 論研資

, EMT-01-96, 2001.

[5]

白井,趙,牧野

: “

レーダ散乱量を用いた散乱体の形 状認識について

,”

中央大学 理工学研究所 年報

, 8

,

pp.12-15, 2001.

[6]

桜井,菅野,吉村,高山

: “C

によるスプライン関数

,”

東京電機大学出版

, 1993.

28

図 5 ESM シミュレーション値 (モデル 1) の場合で誤差距離が 0.89 , 0.95[cm] と極小値をとる。こ の情報だけでは両者のどちらが妥当であるかは判定できな い。そこでこの 2 つを推定形状の候補と考えて ESM シミュ レーションを行う。図 5 はモデル 1 の実測値,ターゲット を 4 角柱, 6 角柱と仮定した場合の ESM シミュレーショ ン値である。図 5 より 0 ◦ , ± 180 ◦ において 4 角柱推定形状 の ESM シミュレーション値はピークが無く実測値と比較 し

参照

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