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3本 書 の 分類 枠組み の新 しさ

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〈研 究 ノ ー ト〉

R.Zakrzewskiに よ る 制 度 的 救 済 手 段 論 の 試 み と 「 実 体 的right」 概 念

‐RemediesReclassified

.ByRafalZakrzewski

(OxfordUniversityPress.2004)に 関 す る 紹 介 と分 析 一

松 田 健 児

1.は じ め に

2.本 書 の 構 成 と概 要 お よ び 分 類 の 枠 組 み 2.1第1部 の 構 成 と概 要

2.1.1各 章 の 概 要

2.1.2分 類 の 枠 組 み 一 本 書 に お け る分 類 の 理 論 2.1.3小 括:救 済 手 段 の 法 の 範 囲

2.2第2部 の 構 成 と概 要 お よ び 分 類 か ら得 ら れ た 結 果 2.2.1分 類 の 目 的

2。2.2分 類 の 実 践 か ら得 ら れ た 結 果:重 要 な 救 済 手 段 の 大 半 は 複 製 的 で あ る 2.2.3小 括:本 書 は 裁 量 的 救 済 主 義'の 当 否 の 検 討 の た め の 枠 組 み を 提 示 3.本 書 の 分 類 枠 組 み の 新 し さ

3.1複 製 的 救 済 手 段 と変 革 的 救 済 手 段 の 区 分 の 判 断 基 準 3.1,1変 革 的 救 済 手 段 の 判 断 基 準

3.1.2複 製 的 救 済 手 段 の 裁 量 権 3.1.3小

3.2「 実 体 的right」 と そ の1次 的rightと2次 的rightの 区 別 3.2.1本 書 に お け る 実 体 的right」 概 念

3.2.21次 的rightと2次 的rightの 内 容 と そ の 区 別 3.2.3小

4。 結 び

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1は じ め に

レ メ デ ィ(remedy)の 語 は治 療(薬)や 療 法 の意 味 に お い て 一般 に も用 い ら れ 、 法 の 領 域 に お い て も様 々 な 意 味 にお い て 使 用 され る多 義 的 で 曖 昧 な 語 で あ

る。 イ ン グ ラ ン ドの 契 約 法 、 不 法 行 為 法 、 原 状 回 復 法(い わ ゆ る、 不 当 利 得 法)、

お よ び、 財 産 権 の 法(す な わ ち、 い わ ゆ る 「私 法 」)に お い て は、 そ の 語 は、 本 書 に よれ ば、 少 な く と も、 次 の よ うな狭 義 の法 律 上 の5個 の意 味 、 す な わ ち 、 (i)訴 訟 原 因(causeofaction>、(ii)裁 判 所 命 令 に先 立 っ て 存 在 す る とい う 意 味 に お い て 実 体 的 なright(実 体 的 「権 利 」、 い わ ゆ る、 実 体 権 。 以下 、 本 稿 にお い て は 「実 体 的right」 と記 す)、(iii)裁 判 所 の命 令 、(iv)裁 判 所 命 令 を強 行 す る手 段 、 お よ び 、(v)原 告 が 手 にす る最 終 的 な結 果 の 意 味 を有 して い る。

こ う した レメ デ ィの 法 律 上 の意 味 の 不 安 定 性 は 、 本 書 に よれ ば 、 救 済 手 段 の 法 の 範 囲 を 曖 昧 に して 、 救 済 手 段 の 法 が 民 事 の実 体 法 や 手 続 法 か ら区 別 され る1 個 の 法 領 域 と して 成 立 す る こ とを妨 げて い る。

本 書 は 、 イ ン グ ラ ン ドに お け る 「私 法 」領 域 に お い て用 い られ て い る も ろ も ろ の 救 済 手 段 の 新 た な 分 類 を試 み た 著 作 で あ る。 そ の新 た な分 類 の ね らい は、

レメ デ ィ に 関 す る他 の 著 作 とは 異 な り、 諸 救 済 手 段 の 内 容 の要 点 を叙 述 す る よ りは 、 む しろ、 諸 救 済 手 段 の法 の構 造 を 明 らか に す る こ とに あ る(P.221)。 よ り具 体 的 に は 、 「諸 救 済 手段 の法 は 、 諸 『実 体 的right』 の 法 と民 事 手続 の法 の 各 々 との 間 に境 界 を 有 し、 か つ また 、 そ れ らの 各 々 に よ っ て形 成 さ れ る もの で あ っ て も、それ らの一 部 分 を な す もので は な い」こ とを見 い だ す こ とに あ る(p.5)。

換 言 す るな らぼ、 諸 救 済 手 段 の 法 が 諸 「実 体 的right」 の法 と民 事 の手 続 法 か ら 識 別 し う る明 確 な1個 の 法 領 域 を な して い る こ とを明 示 し、 諸 救 済 手 殺 の 法 の 範 囲 を 同 定 す る こ とに あ る、 と言 う こ とが 出来 るで あ ろ う。 そ して 、 そ の本 書 の ね ら い は ほ ぼ 達 せ られ て い る、 と見 て 差 し支 え な い で あ ろ う。

本 稿 は、 イ ン グ ラ ン ドに お い て初 め て 諸 救 済 手 段 の 法 の構 造 を明 らか に した と見 て 良 い で あ ろ う本 書 の概 要 を、(1)諸 「実 体 的right」 の 法 お よび 民 事 の 手 続 法 か ら諸 救 済 手 段 の法 をi識別 す る こ とを可 能 に して い る分 類 の 枠 組 み(2.

本 書 の構 成 と概 要 お よび 分 類 の枠 組 み)、 お よ び、(2)そ の分 類 の 枠 組 み の新 し さ につ い て(3.本 書 の分 類 枠 組 み の新 しさ)記 述 す る こ とを通 して 紹 介 す る。

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R.Zakrzewskiに よ る 制 度 的 救 済 手 段 論 の 試 み と 「実 体 的right」 概 念45

本書 の詳細 な分析 は別 稿 で行 な う予定 で あ る。

2.本 書 の構 成 と概 要 お よ び 分 類 の 枠 組 み

本 書 は 、 諸 救 済 手 段 を分 類 す る理 論 的枠 組 み を提 示 し、 救 済 手 段 の 法 の 範 囲 を 同 定 す る第1部 、 お よび 、 そ の枠 組 み 理 論 に従 っ て 諸 救 済 手 段 の 具 体 的 な分 類 を実 践 しそ の 結 果 を提 示 す る第2部 か ら構 成 され る。

2.1第1部 の 構 成 と概 要

第1部 は序 章 、 「2章̀レ メ デ ィ'の 不 安 定 性 」、 「3章̀レ メ デ ィ'に 関 す る著 作 者 た ち 」、 「4章̀レ メ デ ィ'の 安 定 的 な核 心 的 意 味 」、 「5章 諸 救 済 手 段 の分 類 」、 お よび 「6章 裁 量権 と諸 救 済 手 段 」 か らな る。本 書 が 実 践 して い

る理 論 的枠 組 み は4章 お よ び5章 に お い て 叙 述 され て い る。

2.1.1各 章 の 概 要

各 章 の概 要 を示 す な らば 以 下 の様 にな るで あ ろ う。 「2章 」に お い て、 レメ デ ィ の用 語 の多 義 性 を検 討 し、 狭 義 の法 律 上 の レメ デ ィが(i)訴 訟 原 因 、(ii)「 実 体 的right」 、(iii>裁 判 所 の命 令 、(iv)裁 判 所 命 令 を強 行 す る手 段 、 お よ び 、(v) 原 告 が 手 に す る最 終 的 な結 果 の 意 味 に お い て使 用 され て お り、 レメ デ ィ の 語 の

定 義 に は諸 困 難 が 伴 う こ とが 明 らか に され 、 「3章 」 に お い て諸 学 者 た ち の 著 作 は レメ デ ィ の定 義 を 欠 い て い るか 、 あ るい は定 義 が な さ れ て い て も レメ デ ィの 意 味 が 裁 判 所 命 令 か ら 「実 体 的right」 へ と推 移 す る、 あ る い は、 訴 訟 原 因 の 意 味 に お い て使 用 され る な ど、 一 貫 して い な い との批 判(P.41‑2)が な され て い る。 次 に、 「4章 」 に お い て 、 レメ デ ィ を1個 の 法 的 主 題 と して確 立 し う る語 の 安 定 的 で核 心 的 な 意 味(P.43)が 、 レ メ デ ィ の諸 著 作 に お い て共 通 に使 用 され て い る裁判 所 の 命 令 、 よ り正 確 に は訴 訟 準 備 お よ び 判 決 執 行 の段 階 に お け る命 令 以 外 の裁 判 所 命 令 か ら生 じ るrightに あ る こ とが 明 示 され た 上 で(pp.44‑5)、

「5章 」 にお い て新 た な分 類 の枠 組 み 理 論 が 提 示 され て い る。 そ の 際 に 、 分 類 に お い て最 も重 要 な 重複 的分 類 の 回避 が 「実 体 的right」 と諸 救 済 手 段 との 間 に存 在 す る、 当 該 の 救 済 手 段 が 当 該 の 「実 体 的right」 を 実 施 す る(effectuate)関 係 に照 ら して 分 類 す る こ とに よっ て達 成 され う る こ と(pp.77‑80>を 基 礎 と し て 具 体 的 な分 類 の 枠 組 み とな る諸 区分 が 提 示 され て い る。 そ して 、 「6章 」 に お

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いて 、 本 書 の 分 類 の枠 組 み に よ るな らば 、 裁 判 官 が衡平 法 上 の 救 済 手 段 を付 与 す る際 の 裁 量 権 は 訴 訟 に先 立 っ て 存 在 す る 「実 体 的right」 とは異 な るrightの 創 出 を伴 う と考 え る こ とは誤 りで あ る こ と、 また 、 裁 判 官 が 諸 救 済 手 段 を 付 与

す る際 に行 使 す る裁 量 権 は当該 の 「実 体 的right」 の存 否 を決 定 す るた めの 準 則 (rule)を 「法 の展 開 」(developmentoflaw)と して 作 成 す る際 に伴 う裁 量 権 とは 区 別 さ れ う る こ とは 明 らか で あ る との説 述 が な され て い る(P.97‑102)。

2.f.分 類 の 枠 組 み 一 本 書 に お け る分 類 の理 論

こ う して 、 提 示 され て い る分 類 の 基 準 は本 質 的 に形 式 的 で あ る。 す な わ ち、

救 済 手 段 は、 訴 訟 準備 お よび 判 決 執 行 の た め の命 令 等 を 除 く裁 判 所 命 令 と して 定 義 され る。 よ り具 体 的 に は、 裁判 所 の 命 令 か ら生 じるrightと して 定 義 され る

(p.46)o

(1)外 部 的 分 類 の た め の 区 分

諸 救 済 手 段 は、 先 ず 、 外 部 的 に、諸 「実 体 的right」 と区 別 され る。諸 「実 体 的right」 とは 、 本 書 に よれ ば(p.13)、 裁 判 所 命 令 に先 立 っ て 存 在 す る とい う 意 味 にお い て 「実 体 的 な」rightで あ る。例 え ぼ、契 約 に基 づ く支 払 に対 す るright、

錯 誤 に よ る支 払 い の返 還 に対 す るright、 あ るい はネ グ リジ ェ ンス の 不 法 行 為 を 原 因 とす る損 害 賠 償 の支 払 に対 す るrightの 様 に、 契 約 、 錯 誤 に よ る支 払 い 、 あ るい は、 不 法 行 為 とい っ た 当 該 の裁 判 所 命 令 の 以 前 に起 こ り当該 のrightの 発 生 原 因 とな っ た 出来 事(events)に よ っ て 生 じる も ろ も ろのrightの こ とで あ る、

とい う。 この 区 分 に よ って 、 諸 救 済 手 段 は、 本 書 に よれ ば、 「実 体 的right」 と の 関 係 に お い て 識 別 され 区別 され う る1個 の 明 確 な!L疇 を な す もの と して 分 類 され う る もの とな るの で あ る。 こ う して、 諸 救 済 手 段 の 法 は 、 本 書 に お い て 、 諸 「実 体 的right」 の法 との問 に境 界 線 を有 す る1個 の範 疇 を な す もの と して 裁 判 所 の 命 令 に関 す る法 と して 記 述 す る こ とが 可 能 に な っ た の で あ る。 そ の た め 、 本 書 に お い て 個 々 の救 済 手 段 が 検 討 さ れ る際 に、 裁 判 官 た ち に よ っ て 当 該 救 済 手 段 が 付 与 され る際 に使 用 さ れ る命 令 文 が 引用 され る。

そ こで 、 当該 の 裁 判所 命 令 か ら生 じ るrightは 上 記 の様 に記 述 す る こ とが 可 能 に な っ た た め、 そ れ ゆ え に、 区別 され る当 該 の 「実 体 的right」 の範 疇 との間 に 如 何 な る関係 を有 す るか 、 また 、 当該 の裁 判 所 命 令 は当 該 の 「実 体 的right」 に 対 して 如 何 な る効 果 を有 す るか が 分 析 可 能 とな り、 そ の 外 部 的 な 範 疇 との 関 係

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47 R。Zakrzewskiに よ る 制 度 的 救 済 手 段 論 の 試 み と 「実 体 的right」 概 念

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とそ の 範 疇 に 対 す る効 果 を新 た な 分 類 の枠 組 み の 基 礎 とす る こ と に よ っ て 、 ま た そ の 基 礎 に従 って 、 更 に 以 下 の 内部 的 な3個 の 区分 の設 定 が 可 能 に な っ て い る の で あ る。 以 上 の論 理 に従 っ て 、 諸 救 済 手 段 の分 類 の た め の 新 た な枠 組 み が 構 築 さ れ て い る。

(2)内 部 的 分 類 の た め の 区分

上 述 の 基 礎 に 立 っ て 、 諸 救 済 手 段 は 内 部 的 に分 類 され て い る。 そ こで 、 以 下 に お い て 内 部 的 な 分 類 の た め の 区分 を見 る こ とに し よ う。 それ に先 立 って 、先 ず 、 以 下 の 内部 的 な 区 分 に従 って 諸 救 済 手 段 を整 理 分 類 した 「図 表 」 が 本 書 に 提 示 さ れ て い る の で 、 本 書 の分 類 枠 組 み につ い て の 理 解 を容 易 に す るた め に そ

の 「図 表 」 を補 っ た 図 表1を 掲 げ て お こ う(前 頁)。

第1段 の 区 分

第1段 の 区 分 は 救 済 手 段 に つ い て の̀複 製 的'(replicative)と̀変 革 的'(transformative)と の 区別 で あ る。著 者 に よれ ぼ(PP.78‑79)、 複 製 的 救 済 手段 は原 告 が 裁 判 所 に提 起 した 「実体 的right」 を再 陳述 す る(restate)裁 判 所 命 令 で あ る。 そ して 、 変 革 的 救 済 手 段 とは、 そ の よ うな 「実体 的right」 を複 製 しな い裁 判 所 命 令 で あ る。 複 製 的 救 済 手 段 に該 当 す る救 済 手 段 はく 例 え ば、

被 告 に原 告 の 土 地 を直 接 侵 害(ト レスパ スtrespass)し な い よ うに命 じ るイ ン ジ ャ ン ク シ ョン の 命 令 の 場 合 で あ る。 この場 合 、 裁 判 所 の命 令 は、 被 告 が 既 に 原 告 に対 して負 っ て い る原 告 の土 地 を直 接 侵 害 しな い 「実 体 的 な 」 義 務(duty) あ るい は それ に相 関 す る原 告 の 「実 体 的right」 を実 施 す る に過 ぎ な い 、 とい う

こ とに な る。 それ に対 して 、 変 革 的救 済 手 段 は 「実 体 的right」 を複 製 しな い裁 判 所 命 令 か ら生 じ るrightで あ る。 変 革 的 救 済 手 段 は当該 当 事者 間 に裁 判 所 の命 令 に先 立 って 存 在 す る諸rightや 諸 義 務 を、 そ の 当事 者 間 に あ る新 しい法 律 上 の 関係 を創 出 す る こ とに よ って 変 更 し、 あ るい は変 革 す る(alterortransform)

命 令 で あ る(p.79,p.203)。 本 書 に示 され て い る実 例 は、養 子 縁 組 命 令(adoption orders)、 離 婚 判 決(divorcedecrees)、a渡 抵 当 実 行 命 令(foreclosure orders)お よび、 救 済 的擬 制 信 託(remedialconstructivetrust)等 で あ る。

第2段 の 区分

第2段 の 重 要 な 区分 は も ろ も ろ の複 製 的 救 済 手 段 の 間 に設 け られ て い る。 す な わ ち 、 も ろ も ろの̀1次 的'right(primaryrights)を 複 製 す る も ろ もろ の

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R.Zakrzewskiに よ る 制 度 的 救 済 手 段 論 の 試 み と 「実 体 的right」 概 念49

特 定 的 救 済 手 段(specificremedies)と も ろ も ろ の̀2次 的 あ る い は 救 済 的'right(secondaryorremedialrights)を 複 製 す る 代 替 的 救 済 手 段 (substitutionaryremedies)と の 区 別 で あ る 。 この 区 別 は 、 諸 「実 体 的right」

が も ろ も ろ の1次 的rightと も ろ も ろ の2次 的rightか ら な る もの と し て 定 義 で き る(P.13)こ と に 基 づ い て い る。 本 書 に よ れ ぼ(P.13)、 この 定 義 は 諸 「実 体 的right」 の 起 源 の 違 い に 由 来 す る 。 つ ま り、 も ろ も ろ の2次 的rightは あ る法 律 上 の 不 正 行 為(alegalwrong)、 す な わ ち 、 あ る1次 的 義 務 の1個 の 違 反(a breachofaprimaryduty)あ る い は1次 的rightの 侵 害 か ら生 じ る 。 そ の 実 例 は 、 合 理 的 な 配 慮 を 行 うぺ き1次 的 な 義 務 の 違 反 か ら生 じ る ネ グ リ ジ ェ ン ス の 不 法 行 為 を 原 因 とす る損 害 賠 償 の 支 払 い に 対 す る 救 済 的rightで あ る 。1次 的rightは あ る法 律 上 の 不 正 行 為 、 例 え ぼ 、 契 約 違 反 や 不 法 行 為 と は関 係 な く成 立 して い るrightで あ る 。 例 え ば 、 契 約 に よ っ て 合 意 さ れ て い る 金 額 の 支 払 に 対 す るright(合 意 さ れ て い る金 額 の 裁 定 に よ っ て 複 製 さ れ る)や 錯 誤 に よ る支 払 の 返 還 に 対 す るright(不 当 利 得 の た め の 原 状 回 復 の 裁 定 に よ っ て 複 製 さ れ る) で あ る 。

と こ ろ で 、 も ろ も ろ の2次 的rightを 複 製 す る 救 済 手 段 が 「代 替 的 」 (substitutionary)と 呼 ば れ る 理 由 は 何 で あ ろ うか?そ れ は 、 本 書 に よれ ば (P.103)、 あ る2次 的rightの 役 割 が 、 あ る1次 的rightが 複 製 さ れ 得 な い 、 あ る い は 、 さ れ る べ き で は な い場 合 に 、 そ れ ら の 場 合 の あ る1次 的rightに 取 っ て 代 わ る、 あ る い は 、 そ の1次 的rightを 補 強 す る こ とに あ る た め で あ る。例 え ば 、 あ る 合 理 的 な 配 慮 を 行 う1次 的 義 務 の あ る違 反 が あ っ た と き 、 そ の 合 理 的 配 慮 義 務 の 特 定 的 な 直 接 的 な 実 現 は 不 可 能 と な っ て し ま っ て い る た め に 、 そ の 義 務 の 代 替 的 実 現 と し て ネ グ リ ジ ェ ン ス の 不 法 行 為 を 原 因 とす る 損 害 賠 償 の 支 払 に 対 す る2次 的rightが 発 生 す る、 と言 うの で あ る(P.104‑5、PP.165‑6>。 こ の2 次 的rightが 必 要 と な る場 合 に つ い て は 、 更 に3.2.2(2)に お い て 紹 介 す る 。 第3段 の 区 分

第3段 の 内 部 的 な 区 分 は 、 法 の 歴 史 的 な 発 展 に 沿 っ て 救 済 手 段 の 起 源 が コ モ ン ・ロ ー 、 衡 平 法 、 あ る い は制 定 法 に あ る か の 区 別 で あ る 。

2.1.3小 括=救 済 手 段 の 法 の 範 囲

本 書 の 分 類 の 枠 組 み に お い て は 、(1)さ ま ざ ま な 裁 判 外 の 救 済 や 保 護 は 救 済

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手 段 で は な い こ とに な る。 また 、 よ り重 要 な こ とは 、(2)損 害賠 償 に 関 す る実 体 法 の ほ とん どそ の一 体 は、 そ の 他 の 金 銭 的 な 救 済(例 え ぼ 、 不 法 行 為 や 契 約 違 反 の 法 律 上 の不 正 行 為 に よ る利 得 の 原 状 回 復 的 損 害 賠 償 、 お よび 、 懲 罰 的損 害 賠 償)に 関 す る実 体 法 と とも に、 裁判 所 の命 令 か ら生 じ る諸rightと して の諸 救 済 手 段 とは 区別 され る諸 「実 体 的right」 の 内容 を決 定 す るた めの 準 則 をな す もの と して 、 救 済 手段 の 法 の 外 に排 除 され る、 こ とで あ る。 そ こで 、 救 済 手段 の法 は 、(a)如 何 な る場 合 に裁判 所 は あ る既 に存 在 して い るrightを 複 製 す る こ

とを承 認 す る か 、 お よび 、(b>如 何 な る場 合 に裁 判 所 は あ る新 しい 法 律 関 係 、 言 い換 えれ ば、 あ る新 しいrightや 義 務 を創 出 す る こ とを承 認 す るか、 を決 定 す

るた め の 準 則 の 一 体 で あ る、 とい う こ とに な るで あ ろ う。

22第2部 の構 成 と概 要 お よ び 分 類 か ら得 られ た 結 果

本 書 の 第2部 は第1部 に お い て構 築 され た 分 類 枠 組 み の理 論 を 上 掲 の 図表1 の分 類 順 に従 っ て実 践 す る7個 の 章 と結 語 の 章 か ら構 成 され て い る。

2.2.1分 類 の 目的

分 類 を実 践 して い る7個 の 章 の 目 的 は、 既 に明 らか で あ るが 、 よ り具 体 的 に 著 者 に聞 くな らぼ、 「すべ て の救 済 手段 に関連 す る法 を詳 細 に叙 述 し、 あ るい は、

諸 救 済 手 段 に 関 す る教 科 書 を提 供 す る こ とで は な い。 そ れ は1個 の安 定 した 観 念 に基 礎 付 け られ る諸 救 済 手 段 の 法 の範 囲 を実 証 す る こ と、 第5章 に お い て 同 定 され た各 範 疇 の 内容 を例 証 す る こ と、 お よ び 、 何 れ の 救 済 手 段 が 何 れ の 種 類 の 『実 体 的right』 を複 製 す る、 また は 、 逆 に 言 え ば、 何 れ の 『実 体 的right』

が 何 れ の 救 済 手 段 に お い て複 製 され るか の概 略 を明 示 す る こ とで あ る。」

2.2.2分 類 の 実 践 か ら得 られ た 結 果;重 要 な 救 済 手 段 の 大 半 は複 製 的 で あ る そ して 、 更 に 、7個 の章 に お け る分 類 の 実 践 の結 果 に つ い て 著 者 に聞 くな ら ば 、 そ れ は 「本 書 は 、 有 意 的 に大 半 の 救 済 手 段 が 裁 判 所 に よ る、 も ろ も ろ の1 次 的rightお よび もろ も ろの2次 的rightの 再 陳述 で あ る と見 られ う るで あ ろ う、

こ とを明 示 す る概i観を提 供 した」(p.221)、 とい う もので あ る。 す な わ ち、 本 書 に よれ ぼ、 イ ン グ ラ ン ドの 契 約 法 、 不 法 行 為 法 、 原 状 回復 法(い わ ゆ る、 不 当 利 得 法)、 お よび、 財 産 権 の法 にお いて は、 重要 なremedyの 大 半 は 、諸 「実 体 的right」 を複 製 す る(replicate)機 能 を営 む もの な の で あ る。 そ して 、例 外 的 に 、 い くつ か の 、 重 要 な も の と して制 定 法 に基 づ く、 救 済 手 段 が 、 裁 判 所 に提

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R。Zakrzewskiに よ る制 度 的 救 済 手 段 論 の 試 み と 「実 体 的right」 概 念SI

起 され る当事 者 間 の 関係 に存 在 す る諸 「実 体 的right」 を複 製 しな い で 、 裁 判 所 に提 起 され る 当事 者 間 の 関 係 に新 た な法 律 関 係 を 付 与 して 、 そ の 関 係 を 変 更 す る、 あ るい は変 革 す る(alterortransform)(p.79)機 能 を営 ん で い るに過 ぎ な い、 とい うの で あ る。

そ して、 本 書 にお いて は諸 「実体 的rightと もろ も ろ の複 製 的 救済 手段 との 間 に数 世 紀 に わ た って 展 開 され て 来 て い る直 接 的 な相 関 関 係 」 を破 壊 す る恐 れ の あ る̀裁 量 的 救済 主 義'(discretionaryremedialism)が 近 年 にお いて 他 の コ モ ン ボロー諸 国 に お い て 唱導 され て 来 て い る こ とに対 す る言 及 が な され な が ら、

イ ン グ ラ ン ドに お い て は 、 な お依 然 と して 、 結 局 に お い て 、 そ の 「直 接 的 な相 関 関 係 」 が 維 持 され て い る との 所 見 が 提 示 され て い る(P.222)、 と見 て 差 し支 え が な い で あ ろ う。

2.2.3小 括:本 書 は̀裁 量 的 救 済 主 義 の 当 否 の検 討 の た め の 枠 組 み を 提 示 上 記 の所 見 に は、 イ ン グ ラ ン ドに お け る裁 判 官 は救 済 手 段 を付 与 す る 際 に 、 伝 統 と して 、 あ る い は 、 司 法 の慣 行 と して成 立 して い る と観 察 さ れ る、 諸 「実 体 的right」 と もろ も ろの複 製 的救 済 手段 との 問 の そ の 「直接 的 な 相 関 関 係 」 を 破 壊 す る行 動 を と らな い よ う要 請 され る こ とを 明 らか に しよ う とす る本 書 の大

きな ね らい を見 て取 る こ とが 出 来 る。上 記 の̀裁 量 的 救 済 主義'と は 、特 に1980 年 代 以 降 、 ア メ リカ 合 唱 国 、 カ ナ ダ、 お よび ニ ュ ー一ジ ー ラ ン ドに お い て 、 擬 制 信 託(constructivetrust)を 伝 統 的 な信 任 関係 に な い者 、例 え ば、 同居 予 定 の 家 族 員 か らの増 築 目的 の 金 銭 受 領 者 あ る い は錯 誤 に よ る振 込 金 の 受 領 者 等 を、

救 済 的 に受 託 者 の地 位 に擬 制 す る よ うに拡 大 して 適 用 す る とい う̀救 済 的 擬 制 信 託'(remedialconstructivetrust)の 法 理 の 形 成 を通 じて 唱 導 され 、 一 般 化 され て来 て い る議 論 で あ る。 す な わ ち 、 裁 判 官 は̀救 済 手 段'を 付 与 す る際 に 当 該 事 件 の 四 囲 の 状 況 に照 ら して 最 も適 切 で あ る と考 慮 す る̀救 済'の 内 容 を̀諸 救 済 手 段 の 籠'か ら選 択 す べ きで あ る とい う議 論 で あ る。 本 書 は この 裁 量 的救 済 主 義 の 当 否 を検 討 す るた め の枠 組 み を提 示 す る試 み で あ る と見 て 差 し 支 え が な い で あ ろ う。

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3本 書 の 分類 枠組み の新 しさ

本 書 の 分 類 の 新 し さ は、 そ の分 類 の枠 組 み の根 幹 を な して い る、 複 製 的 救 済 手段 と変 革 的 救 済 手段 お よび1次 的rightと2次 的rightの 区分 が 新 しい 区 分概 念 で あ る、 とい う点 に あ る。 以 下 に お い て 、 これ らの 区分 に つ い て よ り具 体 的

に見 て み よ う。

3.1複 製 的 救 済 手 段 と変 革 的 救 済 手 段 の 区 分 の 判 断基 準

複 製 的 救 済 手 段 と変 革 的 救 済 手 段 の 区分 は本 書 の 分 類 理 論 の 根 幹 を成 す最 も 重 要 な 区 分 で あ る。 そ こで 、 そ の 区 分 の判 断 基 準 が 如 何 な る もの で あ るか は本 書 の新 た な分 類 の 有 効 性 と妥 当性 を 評 価 す るた め に 最 も重 要 な 問題 点 とな る。

本 書 に お け る複 製 的 救 済 手 段 と変 革 的 救 済 手 段 の 区 分 の 判 断 基 準 の 確 定 は 、 変 革 的 救 済 手 段 とは何 か の 問 い に対 して 回答 す る こ とに よ っ て 行 な わ れ て い る。

3.1.1変 革 的 救 済 手 段 の 判 断 基 準

変 革 的 救 済 手 段 の判 断 基 準 は 、 本 書 の 分 類 の 枠 組 み理 論 に体 系 的 一 貫 性 を も た らす よ う に定 義 され た論 理 的 判 断 基 準 と区分 の実 践 の 際 に用 い られ て い る実 際 的基 準 とが あ る よ うに 見 え る。

(1)論 理 的 な 判 断 基 準:新 た な 法 律 関 係 の 創 出 の 有 無

本 書 に よれ ば 、 変 革 的 救 済 手 段 の 付 与 は あ る範 囲 の 裁 量 権 を伴 うが 、 必 ず し も、 そ の す べ て の 変 革 的 救 済 手 段 の 付 与 が 裁 量 権 を伴 う もの で は な い(p.97)。

例 え ぼ 、 制 定 法 に基 づ くあ る一 定 の 要 件 を満 た す な ら ぼ裁 判 官 が 当 然 に拒 否 で きな い離 婚 判 決 の 救 済 手 段 等 が あ るか らで あ る。 そ こで 、 本 書 は、 変 革 的 救 済 手 段 で あ るか 否 か を決 定 す るた め の 基 準 と して 、 当 該 の 救 済 手 段 が 新 た な あ る 法 的 な 関 係 を創 出 す るか 否 か の 基 準 を掲 げ て い る(P.201)。 この こ とは 、 本 書 が̀変 革 的'と̀裁 量 的'と を等 視 して い な い こ とを示 す 、 と見 て 良 い で あ ろ

う。

(2)実 際 の 区分 基 準:̀救 済 的 裁 量 権'の 有 無

しか し なが ら、 分 類 の 実 践 に お い て は、 あ る救 済 手 段 が 変 革 的救 済 手 段 に 該 当 す る か 否 か を 判 断 す る に際 して は 、 当 該 の 救 済 手 段 の 付 与 が̀救 済 的 裁 量 権'(remedialdiscretion)を 伴 うか否 か の基 準 に基 づ いて い る。̀救 済 的 裁 量 権 とは、 本 書 に よれ ば(p.97)、 「当 該 の救 済 手段 を創 出 す るか 否 か 、 お よび 、

(11)

R.Zakrzewskiに よ る制 度 的 救 済 手 段 論 の 試 み と 「実 体 的right」 概 念53

その 救 済 手 段 が 如 何 な る内 容 を有 す べ きで あ るか に 関 す る選 択 、 す な わ ち 、 そ れ が 当該 原 告 に何 を与 え るべ きで あ り、 当 該 被 告 に何 を要 求 す べ きで あ るか に 関 す る選 択 」 で あ る。 こ う して 、 本 書 で は、 例 え ば 、 複 製 的 代 替 的 救 済 手 段 で あ る損害 賠 償 の 裁 定 の救 済 手 段 に お い て複 製 され る2次 的rightが 法 に よ って 準 則 化 され て い な い 場 合 に は 、 い わ ゆ る契 約 違 反 に よ る利 得 の 吐 出 し損 害 賠 償 を 変 革 的 救 済 手段 に分 類 す る必 要 が 生 じ る 旨 の分 析 が 以 下 の様 に行 なわ れ て い る。

す な わ ち 「問題 点 に 関 す る法 が展 開 す る に従 っ て 、 契 約 違 反 を 原 因 とす る原 状 回復 的損 害賠 償 に対 す る2次 的rightが 何 れ の 四 囲 の状 況 に照 ら して生 じ る こ と に な るで あ ろ うか に つ い て 自信 を持 って 陳 述 す る こ とが 可 能 に な る とい っ て 差

し支 え が な い 。 … … 《 中略 》 … … しか しな が ら、 問 題 点 に関 す る法 が 司 法 的 に 詳 細 に この領 域 に お い て 定 義 され な い 場 合 、 ま た 、 そ う定 義 され る まで 、 お よ そ何 らか の原 状 回復 的i損害 賠 償 の 裁 定 を変 革 的 救 済 手 段 と して特 徴 づ け る こ と が 必 要 で あ る と言 っ て 良 い。」(P.176)ま た 、 更 に、 上 記 と同一 の 分 析 が 「財 産 権 主 張 の 禁 反 言 」(proprietaryestoppel)や 「約 束 的 禁 反 言 」(prornissory estoPPel)の 場 合 に つ い て も行 わ れ て い る(P.132‑3)。 これ らの場 合 に お い て

は 、 当該 の救 済 手 段 の 付 与 に は 、 付 与 され る救 済 手 段 の 内 容 を 当 該 の 四 囲 の 状 況 に照 ら して 最 も適 切 な もの とな る よ うに そ の 内容 を 決 定 し、 新 た な 救 済 手 段

を創 出 す る裁 量 権 に達 す る選 択 が 行 な わ れ て い る 、 とい う こ とに な る。

3.1.2複 製 的 救 済 手 段 にお け る 裁 量 権

変 革 的救 済 手段 の判 断 基 準 が 当該 の救 済 手段 の 付 与 の 際 に̀救 済 的裁 量 権'が 伴 わ れ て い る こ とで あ る とす るな らぼ 、 複 製 的 救 済 手 段 とは、 当 該 の 救 済 手段

の付 与 の 際 に̀救 済 的裁 量 権'を 全 く伴 わ な い救 済 手 段 で あ る、 とい う判 断基 準 が本 書 で 論 理 的 に採 られ て い な け れ ば な らな い 、 と言 っ て 良 い 。

(1)̀救 済 的 裁 量 権'と 衡 平 法 上 の裁 量 権 の 区 別

しか しな が ら、 実 際 の 分 類 に お い て は既 に明 らか な よ う に、 例 え ば 、 しば し ば裁 量 的 救 済 手段 と呼 ぼ れ る衡 平 法 上 の諸 救 済 手 段 が 複 製 的 救 済 手 段 に分 類 さ れ て い る。 そ こで 、本 書 は分 類 の論 理 的 整 合 性 を確 保 す るた め に 、 衡 平 法 上 の 複 製 的 救 済 手 段 に伴 う裁 量 権 と̀救 済 的 裁 量 権'と の 間 に、 次 の よ うな 区 別 を 立 て て い る。 す な わ ち、 衡 平 法 上 の複 製 的 救 済 手 段 に伴 う裁 量 権 の場 合 に は 、

「裁 判 所 は、 原 告 の侵 害 され て い る 『実 体 的right』 を複 製 す る こ とを 、 当 該 の

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rightを あ る命 令 も し くは宣 告 に お い て再 陳 述 す る こ とを否 認 す る こ とに よって 、 拒 否 す る選 択 権 を有 して い る。 これ は あ る事 柄 を命 令 しな い選 択 権 で あ る。」 こ

う して 、 衡 平 法 上 の 救 済 手 段 の 法 は承 認 され て い る複 製 阻 却 事 由(あ るい は 、 障 害 事 由)が 当 該 救 済 手段 の 付 与 を妨 げ る よ う に作 用 す るか 否 か に 関 す る準 則

とな る(P.85)。

̀救済 的 裁 量 権'の 場 合 に は

、 衡 平 法 上 の救 済 手 段 に伴 う裁 量 権 とは異 な り、

裁 判 所 は 「原 告 の何 らか の 『実 体 的right』 を複 製 しな い あ る全 く新 しい救 済 手 段 を創 出 す る選 択 権 を 有 して い る。 これ は あ る事 柄 を命 令 す る選 択 権 で あ る。」

(P.98)そ して 、̀救 済 的 裁 量 権'の 場 合 に は、 本 書 に よれ ば(PP.98‑99)、 その

「あ る事 柄 」 は実 体 法 に よ って 一 般 的 に定 義 さ れ て い な い た め に、 何 が命 令 され るべ きで あ るか に関 して 、 更 な る も ろ も ろ の選 択 が 求 め られ る こ とに な る、 と い う。 つ ま り、 あ る事 案 に お い て 新 しい 内 容 を持 つ 救 済 手 段 を付 与 す る こ とは 全 く新 しいrightを 創 出す る こ とで あ り、 そ の創 出 は 「何 らか の所 与 の 事件 に お い て 、 潜 在 的 に可 能 な 救 済 の形 態 を当 該 事 件 の 文 脈 に特 有 的 に評価 し、 さ らに 、 そ の最 も適 切 な形 態 を あ る広 範 な範 囲 の要 因 を顧 慮 しな が ら選 択 す る こ とを伴

う」、 とい う。 そ の 「あ る広範 な範 囲 の 要 因」 に は、 例 えば 、(i)請 求 され て い る救 済 手 段 の 両 当事 者 に対 す る相 対 的 な厳 格 性 、(ii)経 済 的 な効 率 、(iii)問 題 とな っ て い る当 該 の 「利 益 」(interest)に 与 え られ るべ き重 要 性 あ る い は道 徳 上 の価 値 、(iv)付 与 され る救 済 手 段 の 第 三 者 あ る い は人 々 一 般 に対 す る影 響 、 (V)両 当 事 者 の行 為 と意 思 内容 、(vi)損 失 の算 定 の 困難 、 お よび(vii)当 該 救 済 手段 の実 行 可 能 性 、 等 々 の政 策 的 考 慮(policyconsideratios)が 含 まれ る。

結 局 に お い て 、 「諸 『実 体 的right』 、 特 に2次 的rightに 関 す る法律 上 の準 則 に 定 着 させ られ て い る多 くの 政 策 に 関 す る選 択 が 再 び 開 始 さ れ る必 要 が 生 じ る」

ので あ る。 これ に対 して 、 衡 平 法 上 の諸 救 済 手 段 の 付 与 に伴 う裁 量 権 の行 使 の 場 合 に考 慮 され る事 柄 と して本 書 が 挙 示 して い る もの は、 衡平 法 上 に お い て 通 例 と して 考 慮 され る 「損 害賠 償 の十 分 性 、 黙 認 、̀汚 れ の な い 手'を 欠 く行 為 、 遅 滞 、 お よび 当 該 の侵 害 の 項 末 性 」(P.128)と い う複 製 阻却 事 由 あ る い は複 製

障 害 事 由 で あ る。̀救 済 的 裁 量'に お い て 考 慮 され る事 柄 が 衡 平 法 上 の 救 済 手 段 に お け る裁 量 権 の 行 使 に お け る考 慮 事 項 よ り も 「よ りは るか に 広 範 か つ 強 固 」 で あ る、 とい う。 本 書 に よれ ば、 変 革 的 救 済 手 段 の タイ プの 救 済 手 段 を創 出 す

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R.Zakrzewskiに よる制度的救済手段論の試 み と 「実体的right」 概念55

る際 に裁 判 官 の 指 針 とな る考 慮 事 項 は広 範 な範 囲 に及 び 、 か っ 、 開 か れ た 未 確 定 の性 質 を有 して い る(open‑textured)。 本 書 で は、 さ らに、 こ う した 開 か れ た未 確 定 の 性 質 の考 慮 事 項 の例 と して 、 イ ン グ ラ ン ドに お け る裁 判 所 が 当 該 当 事 者 の 婚 姻 の破 綻 に基 づ き財 産 権 を分 割 す る際 に到 達 しな け れ ば な ら な い 公 平

な解 決 を得 るた め に適 用 す る判 断 基 準 と して1973年 婚 姻 事 件 法(Matrimonial CausesAct1973)の25条 に よ って規 定 され て い る事 柄 が挙 示 され て い る。 す

な わ ち、(i)当 該 当事 者 が 有 す る、 あ るい は、 予 見 し う る将 来 にお い て 有 す る こ とに な るで あ ろ う金 銭 的 資 源 と必 要 、(ii)当 該 家 族 に よ っ て 享 受 され て い る生 活 水 準 、 お よび 、(iii)当 該 当事 者 の 当該 家 族 の 福 利 に対 す る貢 献 等 が 上 記 の広 範 な 事柄 に該 当 す る実 例 と して 挙 示 され て い る。

(2)コ モ ン ・ロー 上 の 裁 量 権

コモ ン ・ロ ー 上 の 裁 量 権 と して 、(a)複 製 的代 替 的 救 済 手 段 で あ る損 害 賠 償 の 裁 定 に お い て行 使 され る、 因 果 関 係 、 遠 隔 性 、 お よ び責 任 軽 減 事 由 に よ る減 額(mitigation)の 準 則 に基 づ く賠 償 額 の 限 定 に 関 す る裁 量 権 、(b)複 製 的 特 定 的救 済 手段 で あ る 「合 意 され て い る金額 」(agreedsum)の 裁 定 に お い て 行 使 され る、 当 該 金 額 が 違 約 金 と して の 性 質 を有 す る程 度 に お い て 裁 定 を拒 否 す る裁 量 権 、 お よび 、(c)衡 平 法 上 の い わ ゆ る̀裁 量 的 抗 弁'を 反 映 す る違 法 性 (illegality)の 法 理 あ る い は公 共 政 策(publicpolicy、 い わ ゆ る公 序 良 俗)の 法 理 に よ る救 済 手 段 付 与 の否 認 にお け る裁 量 権 が 掲 げ られ て い る(PP.89‑91)。

(a)は 上 述 の 開 か れ た 未 確 定 の性 質 を有 す る合 理 性 の標 準 か ら な る準 則 の適 用 に よ る賠 償 額 の 限定 で あ る。(b)は 当 該 の 「合 意 され て い る金 額 」 が 契 約 の 不 履 行 か ら生 じ る損 失 の真 正 な 事 前 の 見 積 額 で あ るか 否 か を決 定 す る際 に 、(a) の 合 理 性 の標 準 か らな る準 則 の 適 用 に伴 う裁 量 権 と同 じ程 度 の 裁 量 権 を伴 う。

上 記(b)お よび(c)は と もに救 済 手 段 付 与 の 阻 却 あ る い は 障 害 に関 連 す る裁 量 権 で あ るの に対 して 、(a)の 損害 賠 償 の 裁 定 に お け る裁 量 権 は救 済 手段 に よ っ て 付 与 され る 内容 を 限 定 す る と言 う意 味 に お い て 衡 平 法 上 の救 済 手 段 付 与 の 阻 却 あ るい は 障 害 の 裁 量 権 と異 な る点 が重 要 で あ る と考 慮 され て い る、 よ う に見 え る。

なお 、 責任 加 重 事 由 に基 づ く賠 償 額 の加 重(aggraVatiOn)お よび懲 罰 的損 害 賠 償 に お け る裁 量 権 が 複 製 的 救 済 手 段 に伴 う裁 量 権 に該 当 す るか 否 か は検 討 さ

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れ て い な い 。 懲 罰 的 損 害 賠 償 の 救 済 手 段 に伴 う裁 量 権 の 問 題 点 につ い て は 、 コ モ ン ・ロー 上 の複 製 的救 済 手段 に分 類 され る損 害 賠 償 の 裁 定 の 「10章 」 に お い て 以 下 の よ う に説 述 され るの み で あ る。 「この よ うな 損 害 賠 償 の 裁 定 を行 な うた め の諸 条 件 は 、 そ れ らの 条 件 が 満 た され る場 合 に は 当 該 の 原 告 はか か る手 段 に 基 づ き損 害 賠 償 に対 す る2次 的rightを 取 得 す る、 と述 べ て差 し支 えが な い程 に 十 分 に確 立 され て い る、 と論 証 し う る。 … … 《 中 略 》 … … しか しなが ら、 も し、

述 べ う る こ とが 、 当該 の原 告 は 、 あ る裁 判 所 命 令 が 懲 罰 的 損 害 賠 償 の趣 旨 で獲 得 され る とき に初 め て懲 罰 的 損 害 賠 償 に対 す るrightを 取 得 す る こ とに過 ぎ な い な らば、 そ の 場 合 に は、 懲 罰 的 損 害 賠 償 の 裁 定 は変 革 的 救 済 手 段 の 部 類 に帰 属 す る こ とに な る。」(p.177>

3.1.3ノ 」寸舌

複 製 的 救 済 手 段 と変 革 的 救 済 手 段 の 区別 の判 断 基 準 は、 実 際 の分 類 に お いて は 、 それ ぞ れ の 救 済 手 段 の 付 与 に如何 な る裁 量 権 が伴 う、 か で あ る。 す な わ ち 、 複 製 的 救 済 手 段 は、 コモ ン ゼロー 上 の救 済 手 段 に お け る様 に そ の 救 済 内容 を限 定 す る等 の 何 らか の 裁 量 権 、 あ るい は 、衡 平 法 上 の 救 済 手 段 に お け る様 に救 済 手 段 の 付 与 を 阻 却 あ るい は障 害 す る裁 量 権 を伴 う救 済 手 段 で あ る。 変 革 的 救 済 手 段 は これ らの 複 製 的 救 済 手 段 に伴 う裁 量 権 よ りもは るか にず っ と広 範 か つ 強 固 な裁 量 権 を伴 う救 済 手 段 で あ る。 しか しな が ら、 例 え ば 、 複 製 的代 替 的 救 済 手 段 で あ る損 害 賠 償 の裁 定 に お い て 懲 罰 的 損 害 賠 償 額 が 裁 定 され る場 合 に お い て 裁 判 所 が 行 使 す る裁 量 権 は、 変 革 的 救 済 手 段 に伴 う̀救 済 的 裁 量 権'と 区別 され う る、 も ろ も ろ の複 製 的 救 済 手 段 に伴 う裁 量権 の 範 囲 内 に止 ま る も ので あ ろ うか?こ の 点 に関 す る本 書 の 立 場 は、 懲 罰 的 損 害 賠 償 の 裁 定 に伴 う裁 量 権 は 懲 罰 的i損害 賠 償 の 支 払 い に対 す る 「実 体 的right」 が 成 立 す る場 合 が 法 準 則 に よっ て 確 立 され て い る こ とが 論 証 され う る な らば 、 複 製 的 救 済 手 段 の範 疇 の 裁 量権

に止 ま る、 と言 う もの で あ る。 した が っ て 、 それ が 論 証 し う る場 合 に は、 本 書 の論 理 構 造 に従 え ば 、 そ う論 証 し う る前 提 と して 、 当 該 の被 告 は裁 判 所 命 令 が 懲 罰 的 損 害 賠 償 を裁 定 す る以 前 に原 告 に 対 して 補 填 的 損 害 賠 償 を超 過 す る懲 罰 的損 害 賠 償 を支 払 う義 務 を負 っ て い る、 とい う こ とが 成 立 して い な け れ ば な ら な い こ とに な る。 こ う して 、 懲 罰 的 損 害 賠 償(あ る い は、 追 求 利 得 吐 き出 し型 の 損 害 賠 償)の 裁 定 の 救 済 手 段 が 複 製 的救 済 手 段 あ るい は変 革 的 救 済 手 段 で あ

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R.Zakrzewskiに よ る 制 度 的 救 済 手 段 論 の 試 み と 「実 体 的right」 概 念57

るか の 区別 は 、 結 局 に お い て 、 当該 事 件 の 四 囲 の状 況 に照 ら して 裁 判 所 の 命 令 以 前 に 当 該 の 「実 体 的right」 が 成 立 して い るか 否 か に懸 か っ て い る、 とい う こ

とに な る。

3.2「 実 体 的right」 とそ の1次 的rightと2次 的rightの 区 別

本 書 は、 既 に確 認 され て い る よ うに、 裁 判 所 命 令 に よ って 生 じ るrightと して 定 義 され る救 済 手 段 か ら区分 され る、裁 判 所 命 令 に先 立 っ て存 在 す るrightを 「実 体 的 なright」 と呼 称 して い る。

3.2.1本 書 に お け る 「実 体 的right」 概 念

本 書 に よれ ば、 も ろ も ろの 「実 体 的right」 は も ろ も ろの1次 的rightと もろ もろ の2次 的rightに 区 別 され て い るが 、 そ の 区分 は本 書 に お い て初 めて 明確 に 掲 げ られ た もの で あ る。 本 書 に よれ ぼ、2次 的rightの 語 は、 従 来 、3個 の 意 味 に お い て 混 乱 して用 い られ て きて い る。 す な わ ち 、(a)被 告 に よ る あ る行 為 に 対 す るright(例 え ば、 金 銭賠 償 の 支 払 い に対 す るright)、(b)裁 判所 命 令 に対 す るright(例 えば 、金 銭 賠 償 の命 令 に対 す るright)、 お よび、(c)裁 判 所 命 令 か ら生 じ るright(例 え ば 、 金 銭 賠 償 の支 払 い命 令 か ら生 じ るright>の 意 味 に

お い て で あ る、 と言 う(P.15)。 「実体 的right」 と して の2次 的rightと は(a) の意 味 、す な わ ち、1個 の義 務 違 反 か ら生 じ る被 告 に よ るあ る行 為 に 対 す るright、

よ り広 義 に は、 そ の よ うな 義 務 違 反 か ら生 じ る法 的 な 関 係 で あ る。

も ろ も ろ の 法 律 上 の不 正 行 為(す な わ ち、 諸 契 約 違 反 あ る い は諸 不 法 行 為) の た め の 救 済 手 段 が2次 的rightと 呼 ばれ るの に対 して 、1次 的rightの 大 半 は 救 済 手 段 と記 述 され うる こ とは な い。 例 え ぼ、 トレ スパ ス の 不 法 行 為 法 に お い て 保 護 され て きて い る諸rightお よび合 意 か ら生 じ る諸rightの ほ とん ど は、 そ れ ら のrightが あ る 特 定 の 苦 情 か ら の 救 済(relieffromaparticular

grievance)を 獲 得 す るた め の具 体 的 な手 段 をな す もので あ る、 と説 述 され う る もの で は な い た め に救 済 手 段 と記 述 され な い の で あ る(P、16)。1次 的rightが 例 外 的 に救 済 手 段 と呼 ばれ る場 合 が あ る。 そ の実 例 の ひ とつ と して 、 本 書 に は 、 不 当利 得 の よ うに1個 の義 務 違反 を伴 わ な い 出来 事 か ら生 じ るrightが 救 済 手 段

と呼 ばれ る場 合 が 言 及 され て い る(p.17)。 す な わ ち 、 「例 え ば、 錯 誤 に よ る支 払 い の 受 領 者 は1個 の不 正 行 為 を 冒 して は い な い の で あ る が 、 な お そ の者 に対 して生 じ る原 状 回 復 的rightは それ に もか か わ らず 当 該 の 支 払 い者 の苦 情 に 対 し

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て 救 済 を供 与 す る もの として 見 られ 得 るの で あ っ て 、 そ れ ゆ え 、1個 の 救 済 手 段 で あ る と呼 ぼ れ う るの で あ る。」

こ う して 、 本 書 は、伝 統 的 に救 済 手段 と呼 ばれ る こ との あ る1次 的rightお よ び2次 的rightを 含 め て それ らを裁 判 所 命 令 か ら生 じ るrightか ら区別 す る こ と に よ っ て 、 社 会 的諸 関 係 に お け る も ろ も ろ の 出 来 事(event)か ら生 起 す る諸 rightを 裁判 所 の命 令 に先 立 っ て成 立 して い る と言 う意 味 にお い て 「実 体 的right」

と定 義 して い る。

3.2.21次 的rightと2次 的rightの 内 容 とそ の 区 別

本 書 に よれ ぼ、1次 的rightと は、 例 えば 、 契 約 に基 づ い て合 意 され た 金 額 の 支 払 い に対 す るrightあ るい は 占有 す る土地 を直接 侵 害 され な いright等 で あ る。

2次 的rightと は1次 的rightの 複 製 が い くつ か の理 由 の た め に な され な い と き に発 生 す る必 要 が あ るrightで あ る。

(1)1次 的rightの 複 製 要 件 と救 済 手 段

1次 的rightが 裁 判 所 命 令 に お い て 複 製 さ れ る た め に は 、 本 書 に よ れ ば (p.103)、 以 下 の3個 の 条 件 を満 た さ な けれ ば な らな い 。 す な わ ち 、 先 ず 、(a) 当該 の 権 利 の 侵 害(infringement)あ るい は そ の権 利 の 侵 害 の危 険 が 存 在 しな けれ ば な ら な い 。 次 に、(b)問 題 のrightは そ の侵 害 に よ って 消 滅 あ る い は破 壊 され て い て は な らな い。 最 後 に、(c)当 該 のrightの 複 製 を妨 げ る政 策 上 の理 由 が 存 在 して は な らな い、 が 満 た され な け れ ぼ な らな い 。 な お 、 上 記(a)の 要 件 は、(i)当 該 のrightが 消極 的 義 務(negativeduty。 例 え ぼ、 契 約 に基 づ く 他 の 劇 場 に 出演 しな い 義務 あ るい は土 地 の 静 穏 な 占有 の享 受 を妨 げ な い義 務 等)

に相 関 す る とき に は、 そ のrightの 侵 害 の 脅威 が あ る、 あ る い は そ の侵 害 の継 続 が あ る こ と、 とな る場 合 が あ る。 また 、 そ の(a)の 要 件 は、(ii)当 該 のright が積 極 的 義 務(positiveduty。 例 え ぼ、 契 約 に よ る合 意 され て い る金額 の支 払 義 務 等 を含 め て大 半 の 契 約 上 の 義務 、 あ る い は 、 非 契 約 上 の義 務 一 受 託 者 の 信 託 財産 回復 義 務 、 等 々)に 相 関 す る ときに は、 そ のrightが 現 実 的 に侵 害 され る、 そ の侵 害 の脅 威 が あ る、 あ る い は そ の侵 害 の 継 続 が あ る こ と、 とな る場 合 が あ る。

こ う して 、1次 的rightの 複 製 は、(a)(i)のrightの 場 合 は、例 え ぼ、 禁 止 的 イ ン ジ ャ ン ク シ ョンの 救 済 手 段 に よっ て、 また(a)(ii)のrightの 場 合 に は、

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R.Zakrzewskiに よ る制 度 的 救 済 手 段 論 の 試 み と 「実 体 的right」 概 念59

例 え ぼ 、 作 為 的 イ ン ジ ャ ン ク シ ョ ンの 救 済 手 段 に よ っ て 行 な わ れ る。

(2)2次 的rightの 、 必 要 性 の発 生 理 由、 機 能 、 お よび 、 内 容 の政 策 的 決 定 それ で は 、1次 的rightが 上 記 の(b)お よび(c)の 要 件 を満 た して い な い 場 合 に は、 その 複 製 は 裁 判 所 命 令 に お い て 実 行 され な い ま ま に 止 ま る こ とに な

るの で あ ろ うか?

(a)2次 的rightの 必 要 性 の発 生 理 由

本 書 に よれ ぼ、 それ らの場 合 に は、 それ らの 場 合 のrightの 侵 害 に対 して2次 的rightが 発 生 す る、 とい う。 例 え ぼ、1個 の 暴 行(battery)は 身 体 的 な 完 全 性(bodilyintegrity)に 対 す るrightを 侵 害 し、 そ の侵 害 と と も に そ のright が 破 壊 され て 存 在 し得 な い もの とな るた め に、 そ の暴 行 の 不 法 行 為 者 に よ る損 害 賠 償 の 支 払 い に対 す るrightを 発 生 させ る、 の で あ る。

この よ うに して、 本 書 は、2次 的rightの 成 立 の 必 要 性 が 発 生 す る理 由 は、1 次 的rightの 複 製 が 以 下 の理 由 に よ って な され な い た め で あ る、 と説 述 して い る

(P.165)。 す な わ ち 、(a)(i)複 製 の 目的 を な すrightが 侵 害 の現 実 的 発 生 と と もに消 滅 な い しは破 壊 され て し ま う(例 え ば、 身体 的 な完 全 性 に対 す るrightが 消 滅 して し ま う)た め に無 益 に な っ て し ま うで あ ろ う、 あ るい は、(ii>そ の 複 製 が な され て は な らな か っ た 事 柄 を取 り消 す こ とに な は な らな い で あ ろ う(例 え ぼ、3ヶ 月 間他 の 劇 場 に 出演 しな い とい うrightの 侵 害 を3ヶ 月 間 にわ た る そ の劇 場 へ の 出演 後 に 取 り消 す こ とが 出来 な い で あ ろ う)た め に 実 効 性 を 欠 くも の とな っ て しま うで あ ろ う、 とい う理 由 、 も し くは、(b)1次 的rightの 複 製 が あ る政 策 的 な 理 由(例 え ぼ、 契約 上 の あ る種 の労 務 提 供 に対 す るrightの 複 製 は 当該 労 務 の提 供 者 を奴 隷 と して 扱 うこ とに な る た め に 回避 す る政 策)の た め に、 実 効 性 を欠 く、 あ るい は 望 ま し くな い こ とに な るで あ ろ う、 とい う理 由 で あ る。

(b)2次 的rightの 機 能

この よ う に して 、本 書 に よれ ば 、 も ろ もろ の2次 的rightの 機 能 は、 も ろ も ろ の1次 的rightが 複 製 され な い とき に、 裁 判 所 に よ って 少 な くと もそれ らを 間 接 的 に実 施 され うる もの とす るた め に、それ らの1次 的rightを 代 替 し、あ る い は、

強 化 す る、 とい う もの で あ る。

(18)

6D

(c)2次 的rightの 内容 は 国会 また は上 級 裁判 所 に よっ て決 定 され る政 策 問 題 従 って 、2次 的rightの 内容 は、 論 理 的 に は、 違 反 され る1次 的 義務 の 性 質 か ら必 ず し も導 き 出 され る こ とに は な らな い。 本 書 に よれ ば(p.1s5‑s)、 こ う し て、2次 的rightの 内 容 、 す な わ ち、2次 的rightが 原 告 に何 を与 え るか は政 策 (よ り正 確 に は、 政 治 上 の政 策 とは 異 な る法 政 策)の 問題 とな るの で あ る。 例 え ぼ、 契 約 違 反 あ るい は不 法 行 為 の場 合 に一 般 的 に 普 及 して い る政 策 は 、 損 害 賠 償 の裁 定 が 救 済 手 段 で あ るべ きで あ り、 そ の 際 の賠 償 額 裁 定 の 目的 は損 害 の補 填 で あ る。 しか しな が ら、 何 らか の利 得 追 及 の 契 約 違 反 あ る い は不 法 行 為 の場 合 に は、 そ れ らの法 律 上 の不 正 行 為 の抑 止 の 政 策 が 不 当 な 利 得 につ い て の 原 状 回復 に対 す る2次 的rightを 生 じ させ る場 合 が あ る。 また、 当 該被 告 が 公 職 者 で あ る と き、 当該 被 告 の行 為 が 原 告 に支 払 う こ とに な るで あ ろ う損 害 賠 償 を超 過 す る利 得 の 意 図 を持 っ て な され る と き、 あ る い は、 懲 罰 的 損 害 賠 償 が 制 定 法 に よ っ て 明 示 的 に授 権 され て い る と きに不 法 行 為 が 成 立 す る場 合 に は 、 そ の 被 告 を処 罰 す る とい う政 策 が 懲 罰 的 損 害賠 償 に対 す る2次 的rightを 生 じさせ る こ と が あ る。 そ して 、 この よ うな政 策 の選 択 は 、 国 会 に よ っ て 、 あ る い は、 上 級 裁 判所 に よ っ て 「制 度 的 な次 元 で 」 行 な わ れ る。 そ の後 、 「これ らの選 択 は、 当該 の 法 律 上 の準 則 にお い て定 着 させ られ て、 将 来 の事 件 にお い て は、 それ らは̀法 に よっ て'作 成 され た 、 と述 べ られ る こ とが あ る。」 そ して 、本 書 は、 こ う して 成 立 した あ る2次 的rightの 存 在 が裁 判 官 に対 して 以下 の こ とを命 じ る、 と説 述 す る(p.166)。 す な わ ち、 「裁 判 官 は、 そ の 裁 判 官 の面 前 に提 起 さ れ て い る各 事 件 に お い て 、 既 に法 に よ っ て 回 答 が 与 え られ て い る困難 な 政 策 問 題 、 す な わ ち、

あ る一 定 の 種 類 の1次 的rightが 侵 害 され て い る とき如 何 な る種 類 の応 答 が 正 し いGust)も の で あ るか の 問題 に対 す る1個 の 新 た な回 答 に到 達 す る必 要 は な い 」

こ とが 、 そ れ で あ る。

3.2.3ノ 」\括

本 書 に よれ ぼ 、 当 該 の2次 的rightの 内 容 は侵 害 され た 当該 の1次 的rightの 複 製 が な され な い とき に法 政 策 に よ って 決 定 され る こ とに な る。 しか しなが ら、

な お依 然 と して 、 それ は裁 判 所 命 令 以 前 に成 立 して い る と言 う意 味 にお いて 「実 体 的right」 で あ り複 製 され う る もの と定 義 され る もの で あ る。 ま た、 もろ もろ

(19)

R.Zakrzewskiに よ る 制 度 的 救 済 手 段 論 の 試 み と 「実 体 的right」 概i念61

の1次 的rightは 契 約 違 反 や不 法行 為 とい う法律 上 の不 正 行 為 以 外 の 出来 事 か ら 生 じ る 「実 体 的right」 で あ り複 製 され る もの と定 義 され る。 こ う して 、 も ろ も ろの1次 的rightは 、 本 書 で は、 上 記 の 出来 事 か ら直 接 的 に、 そ して、 法 政 策 か ら独 立 して 生 じ る もの と して把 握 され て い る様 に 見 え る。 確 か に、 あ る政 策 を 理 由 として複 製 され な い1次 的rightが 存 在 す る とい う意 味 にお いて は、本 書 は、

一 覧 とな る1次 的rightが 法 政 策 と無 関 係 な もの で あ る と把 握 して い る、 と言 う こ とは 出来 な い で あ ろ う。 しか しなが ら、1次 的rightは 、 そ の 内容 は原 因 とな る出 来 事 か ら直 接 的 に法 政 策 とは無 関 係 に成 立 す る もの と して把 握 さ れ て い る、

と考 え られ る。 果 た して 、0覧 に含 まれ るで あ ろ う1次 的rightの 内容 は政 策 的 に決 定 され る こ とが な い も の で あ ろ うか?

本 書 で は 、 原 告 の損 失 に よ る不 当 利得 の 通 例 の 事 件 に お け る原 状 回 復 の 裁 定 の 救 済 手 段 が 複 製 す る1次 的 なrightは 「金 銭 の支 払 い に 対 す る人 的right(a personalrighttothepaymentofmoney)」(p.114)で あ る と定 義 され て

い る。 つ ま り、 本 書 は、 この 問 題 点 に関 す る判 例 法 に現 れ て い る伝 統 的 な 見 解 に従 っ て 、通 例 の不 当 利 得 の 事 件 に お い て 、 被 告 は移 転 され た 当該 の 財 産(権i) の 給 付 価 値 を支 払 う1次 的 義 務 を原 告 に対 して 負 う、 との 立場 を採 っ て い る の で あ る。 しか しな が ら、 これ とは異 な る立 場 を 、 本 書 の 分 類 理 論 の根 幹 に あ る

「実 体 的right」 と裁 判 所 命 令 とを 区 別 す る論 理 に整 合 的 に考 え な が ら、 採 る こ と も可 能 で あ る。 例 え ば、 通 例 の 不 当利 得 の 事 件 にお い て は 、 被 告 は 、 当該 の 裁 判 所 命 令 以 前 に1次 的 に 、 移 転 され た 財 産(権)の 給 付 価 値 で は な く当 該 の 財 産(権)そ の もの を返 還 す る義 務 を原 告 に対 して 負 う、 との 立 場 を採 る こ と

は本 書 の 新 た な分 類 枠 組 み の 上 記 の論 理 構 造 に整 合 的 で あ ろ う。 しか も、 この 後 者 の 立 場 は 、 前 者 の 立場 よ りも、 常 識 あ る い は通 常 人 の 道 徳 観 に照 ら して も よ り説 得 的 で あ ろ う。 そ して 、 も し、 錯 誤 に よ る財 産(権)の 移 転 の 出 来 事 か ら生 じ る1次 的 義務(お よび 、 それ に相 関 す る原 告 の1次 的right)は 被 告 が 原 告 に 対 して 負 う当 該 財 産(権)の 返 還 義 務 で あ る とす るな ら ば、 問題 点 に 関 す る判 例 法 に つ い て 、 コモ ン ・ロ ー裁 判 所 は こ う した返 還 義 務 の履 行 を確 保 す る 手段 を歴 史 的 に 持 って い な か っ た た め に 、 政 策 的 に、 通 例 の 不 当 利 得 の 事 件 に お いて 生 じ る1次 的rightの 内容 を当 該 財 産(権)の 給 付 価 値 の 支 払 い に 対 す る rightに 定 め た 、 とい うよ り説 得 的 な説 明 が 可 能 に な るの で は なか ろ うか 。 問 題

(20)

62

は、1次 的rightが 不 正 行為 以 外 の 出来 事 か ら客 観 的 に政 策 的考 慮 とは無 関 係 に 生 じ うる も の と して 定 義 し得 な い の で は な い か 、 とい う疑 問 が 成 立 し う る可 能 性 が あ る、 こ とで あ る。 そ して 、 も しそ う した 疑 問 が 成 立 し う る の で あ れ ば、

1次 的rightと は如何 な る内容 を有 す るrightで あ り、 それ は どの よ うに して決 定 さ れ う る の か 、 とい う問 題 が 再 び立 ち現 わ れ て 来 るの で は な か ろ うか 。

本 書 は上 記 の 問題 を含 め て1次 的rightお よ び2次 的rightの 諸 分 析 に取 り組 ん だ 著 書 で は な い 。 しか し、 本 書 の 分 類 の理 論 的枠 組 み は、 そ の前 提 を な す も の と して 、 こ う した 分 析 を 要 求 す る もの で あ る。

4.結 び

本 書 に お け る救 済 手 段 の概 念 お よび本 書 に お い て提 示 さ れ た 分 類 の 結 果 は 、 本 書 が 述 べ る様iに(P.223)、 「私 法 」 に お け る司法 的判 断 の核 心 に存 在 す る争 点 、 す な わ ち、 救 済 手段 を付 与 す る際 に、裁 判 官 は可能 な限 り厳 密 に 「実 体 的right」

を複 製 す べ きで あ る に過 ぎ な い の か 、 あ る い は 、 そ の 際 に、 裁 判 官 は創 造 的 に あ る救 済 手 段 を形 造 るべ きで あ るか(つ ま り、 あ る個 別 の 事 件 に お い て また そ の事 件 の た め に新 しい 内容 を持 っ たrightを 創 出 す べ きで あ るか)、 とい う1個 の重 要 な 争 点 を結 晶 化 させ る こ とに役 立 つ もの で あ る。 そ して 、 本 書 は、 この 問 題 が 有 意 的 に検 討 され う るた め に は、1次 的rightお よ び2次 的rightか らな る もの と して定 義 され て い る 「実 体 的right」 とは何 で あ るか が 重 要 な課 題 とな る こ とを明 らか に提 示 して い る。

本 書 は イ ン グ ラ ン ドの 「私 法 」 に お け る 「実 体 的right」 に関 す る論 議 の 必 要 性 と重 要 性 を、 初 め て 体 系 的 に明 示 した書 物 で あ る、 と言 って 差 し支 え な いで あ ろ う。

(本学 法学部 助教授)

参照

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